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審決分類 審判 査定不服 称呼類似 登録しない X11
管理番号 1239902 
審判番号 不服2010-12108 
総通号数 140 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-08-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-06-04 
確定日 2011-06-27 
事件の表示 商願2009-10086拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成からなり、第11類「ホットプレート,その他の家庭用電熱用品類,電気式調理用具」を指定商品として、平成21年2月16日に登録出願されたものである。

2 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願の拒絶の理由に引用した登録商標は、以下のとおりである。
(1)登録第第2203096号(以下「引用商標1」という。)は、「Express」の欧文字を横書きしてなり、昭和61年5月29日登録出願、第11類「電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く)電気材料」を指定商品として、平成2年1月30日に設定登録され、その後、同12年3月28日及び同21年9月8日に商標権の存続期間の更新登録がなされ、さらに、同年11月18日に指定商品を、第7類「起動器,交流電動機及び直流電動機(陸上の乗物用の交流電動機及び直流電動機(その部品を除く。)を除く。),交流発電機,直流発電機,家庭用食器洗浄機,家庭用電気式ワックス磨き機,家庭用電気洗濯機,家庭用電気掃除機,電気ミキサー,電機ブラシ」、第8類「電気かみそり及び電気バリカン」、第9類「配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,磁心,抵抗線,電極」、第10類「家庭用電気マッサージ器」、第11類「電球類及び照明用器具,家庭用電熱用品類」、第12類「陸上の乗物用の交流電動機又は直流電動機(その部品を除く。)」、第17類「電気絶縁材料」及び第21類「電気式歯ブラシ」とする指定商品の書換登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
(2)登録第2266334号商標(以下「引用商標2」という。)は、「EXPRESS」の欧文字を横書きしてなり、昭和62年10月21日登録出願、第11類「電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く)電気材料」を指定商品として、平成2年9月21日に設定登録され、その後、同12年11月14日及び同22年6月22日に商標権の存続期間の更新登録がなされ、さらに、同年9月1日に指定商品を、第7類「起動器,交流電動機及び直流電動機(陸上の乗物用の交流電動機及び直流電動機(その部品を除く。)を除く。),交流発電機,直流発電機,家庭用食器洗浄機,家庭用電気式ワックス磨き機,家庭用電気洗濯機,家庭用電気掃除機,電気ミキサー,電機ブラシ」、第8類「電気かみそり及び電気バリカン」、第9類「配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,磁心,抵抗線,電極」、第10類「家庭用電気マッサージ器」、第11類「電球類及び照明用器具,家庭用電熱用品類」、第12類「陸上の乗物用の交流電動機又は直流電動機(その部品を除く。)」、第17類「電気絶縁材料」及び第21類「電気式歯ブラシ」とする指定商品の書換登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
(3)登録第4378840号商標(以下「引用商標3」という。)は、「EXPRESS」の欧文字を標準文字で表してなり、平成11年2月2日登録出願、第7類「鉱山機械器具,繊維機械器具,製材用・木工用又は合板用の機械器具,パルプ製造用・製紙用又は紙工用の機械器具,包装用機械器具,プラスチックその他の合成樹脂加工機械器具,半導体素子その他の半導体製造装置,電子回路組立器具,ゴム製品製造機械器具,石材加工機械器具,水車,風車,風水力機械器具,牛乳ろ過器,搾乳機,育雛器,ふ卵器,蚕種製造用又は養蚕用の機械器具,ミシン,ガラス器製造機械,靴製造機械,製革機械,たばこ製造機械,芝刈機,修繕用機械器具,業務用電気洗濯機,業務用食器洗浄機,業務用電気式ワックス磨き機,業務用電気掃除機,電動式カーテン引き装置,陶工用ろくろ,塗装機械器具,乗物用洗浄機,廃棄物圧縮装置,廃棄物破砕装置,軸・軸受・軸継ぎ手・ベアリング(陸上の乗物用のものを除く。),制動装置(陸上の乗物用のものを除く。)」を指定商品として、同12年4月21日に設定登録され、その後、同23年1月19日に商標権の登録の抹消が行われたものである。

3 当審の判断
(1)引用商標3について
商標法第4条第1項第11号は、「当該商標登録出願の日前の商標登録出願に係る他人の登録商標又はこれに類似する商標であつて、その商標登録に係る指定商品…について使用をするもの」については、商標登録を受けることができないと規定している。
したがって、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当すると判断することができるためには、引用商標が「他人の登録商標」であること、すなわち、引用商標に係る商標権が査定・審決時に有効に存続するものであることが必要である。
ところが引用商標3は、平成22年4月21日をもって存続期間が満了し、同23年1月19日に商標権抹消の登録がなされたことが認められる。
したがって、引用商標3に係る商標権は、既に消滅しているから、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願の拒絶の理由に引用した登録商標のうち、引例商標3についての拒絶の理由は解消した。
(2)本願商標と引用商標1及び2との類否について
商標の類否は、対比される両商標が同一または類似の商品に使用された場合に、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが、それには、そのような商品に使用された商標がその外観、観念、称呼等によって取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべく、しかも、その取引の実情を明らかにし得る限り、その具体的な取引状況に基づいて判断しなければならない(最高裁昭和39年(行ツ)第110号同43年2月27日第三小法廷判決・民集22巻2号399頁参照)。
しかるところ、複数の構成部分を組み合わせた結合商標については、商標の各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められる場合において、その構成部分の一部を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは、原則として許されない。他方、商標の構成部分の一部が取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合などには、商標の構成部分の一部だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することも、許されるものである(最高裁昭和37年(オ)第953号同38年12月5日第一小法廷判決・民集17巻12号1621頁、最高裁平成3年(行ツ)第103号同5年9月10日第二小法廷判決・民集47巻7号5009頁、最高裁平成19年(行ヒ)第223号同20年9月8日第二小法廷判決・裁判集民事228号561頁、知財高裁平成21年(行ケ)第10380号同22年5月12日判決参照)。
これを本件についてみるに、本願商標は、別掲のとおり、上段に黒色で縁取りされた赤色の筆記体で「Xpress」の欧文字を顕著に表し、中段に黒色のブロック体で「Redi」(「R」、「d」及び「i」の各文字については、文字の下端を円弧状に欠いたレタリングが施されている。)の欧文字を、下段に黒色のブロック体で「Set」及び「GO」の欧文字(「O」の文字の右上に極小の文字で「TM」の文字を有する。)をそれぞれ該「Xpress」の文字より小さく表した構成からなるところ、その構成中の「REDI」、「SET」及び「GO」の各文字は、共に黒色の欧文字でほぼ同じ大きさ、同じ書体で表してなる一方、「Xpress」の文字は、これに比して、ほぼ倍する程度の大きさのひときわ目立つ黒色で縁取りされた赤色の筆記体で表してなるものであり、文字の大小、文字の装飾の相違という視覚上の差異から、それぞれ「Xpress」と「REDI SET GO」の各文字部分に分離して看取される結合商標である。
そして、その構成文字全体から生ずる「エックスプレスレディセットゴー」の称呼は、14音にわたり、冗長なものとして認識されることから、簡易・迅速を尊ぶ取引の実際においては、比較的印象の強い文字部分に着目して、取引に資されることも少なくないものとみるのが相当であるところ、「Xpress」の文字と「REDI」、「SET」及び「GO」の各文字は、語義上の関連性が認められず、また、上記のとおり「Xpress」の文字が顕著に表されてなることからすれば、「Xpress」の文字部分が独立して取引者、需要者の注意をひき、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものとみるのが相当である。
そうとすれば、本願商標は、その構成文字全体から「エックスプレスレディセットゴー」の称呼を生ずるほか、「Xpress」の文字部分から、「エックスプレス」の称呼をも生ずるものとみるのが相当であり、また、「Xpress」の文字は、辞書等に掲載されていない文字であって、特定の意味を有しない造語といえるものであるから、特定の観念を生じないものである。
一方、引用商標1及び2は、前記2のとおりの構成よりなるところ、いずれも「エクスプレス」の称呼を生ずるものであり、「急行電車、速達(便)」(「ベーシック ジーニアス英和辞典」株式会社大修館書店 2009年4月1日発行)の観念が生ずるものである。
そこで、本願商標と引用商標1及び2を比較するに、両商標は、前記1、2(1)及び2(2)の構成よりみて外観において相紛れるおそれはなく、観念については、本願商標が特定の観念を生ずるものではないから、比較することができない。
一方、称呼については、本願商標から生ずる「エックスプレス」の称呼と引用商標1及び2から生ずる「エクスプレス」の称呼は、前者が7音、後者が6音からなり、語頭「エ」の音に伴う促音の有無を除き、その他の音を共通にするものである。
そして、該差異音である促音は、それ自体が独立した1音として明確に発音されて、聴取されるものではなく、その前音である「エ」に吸収されて、明確には聴取され難い微弱音となることから、促音の有無が、称呼全体に及ぼす影響は決して大きいものとはいえず、両称呼をそれぞれ一連に称呼した場合には、全体としての語調、語感が近似し、互いに聞き誤るおそれがあるものと判断するのが相当である。
そうとすれば、本願商標と引用商標1及び2とは、外観において差異を有し、観念において比較できないとしても、類似する称呼を有する点において相紛れるおそれのある類似の商標であり、ほかに、本願商標と引用商標1及び2とは、その商品の出所について混同を生ずるおそれがないとみるべき特段の取引の実情も認められない。
そして、本願商標の指定商品である「ホットプレート,その他の家庭用電熱用品類,電気式調理用具」は、引用商標1及び2の指定商品に含まれる「家庭用食器洗浄機,家庭用電気式ワックス磨き機,家庭用電気洗濯機,家庭用電気掃除機,電気ミキサー,電気かみそり及び電気バリカン,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,家庭用電気マッサージ器,家庭用電熱用品類,電気式歯ブラシ」と、同一又は類似の商品である。
(3)請求人の主張
請求人は、商標の構成上において、文字の大きさ・書体の相違があったとしても、全体として纏まりよく一体的に看取される態様であれば、一部分を分離して把握するのは不自然であると考えるべきであり、敢えて本願商標の構成中の「Xpress」の文字部分のみを分離して把握するのは適切ではない旨を主張する。
しかし、上記認定のとおり、本願商標は、視覚上の差異に加え、構成全体から親しまれた特定の観念を生ずるものではないから、その構成中の商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与える「XPRESS」の文字部分が独立して自他商品の識別標識としての機能を果たすものというべきであり、これより「エックスプレス」の称呼が生ずることが明らかである。
また、請求人は、「EXPRESS」「エクスプレス」の文字は、「急行列車」等を意味する英語であり、今日では分野を問わず「早い」「急速」「待たせない」等の商品の品質を誇称する語としてしばしば使用される場合もある語であることから、本願の構成中の「XPRESS」の文字と「REDI SET GO」の文字とでは、自他商品の識別力について明らかに軽重の差が認められ、自他商品の識別標識として強い印象を受ける「REDI SET GO」の文字部分を殊更、捨象し、「XPRESS」の文字部分のみをもって取引に資するものとは認め難い旨を主張する。
しかし、本願商標の構成文字は、別掲のとおり「XPRESS」、「REDI」、「SET」及び「GO」の各欧文字からなるものであって、その構成中には、上記「EXPRESS」の欧文字を有しないことが明らかであり、請求人のかかる主張は、その前提を欠くものであるから理由がない。
さらに、請求人は、過去の審決例を挙証し、本願商標の登録適格性を主張するが、請求人の挙げた審決例は、商標の構成、指定商品等において本願とは事案を異にするものであって、出願された商標と引用商標との類否判断は、両商標について個別具体的に行えば足り、過去の審決例の判断に拘束されることなく検討されるべきものである。
したがって、請求人の上記各主張は、いずれも採用することができない。
(4)まとめ
以上によれば、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するものであるとして本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって、取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
本願商標

(色彩については、原本を参照。)

審理終結日 2011-01-25 
結審通知日 2011-01-26 
審決日 2011-02-14 
出願番号 商願2009-10086(T2009-10086) 
審決分類 T 1 8・ 262- Z (X11)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鈴木 斎藤村 浩二 
特許庁審判長 石田 清
特許庁審判官 末武 久佳
吉野 晃弘
商標の称呼 エクスプレスレディセットゴー、エクスプレス、エックスプレス、レディセットゴー、レディ、セットゴー 
代理人 藤川 忠司 
代理人 三上 祐子 
代理人 正木 裕士 

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