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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) X05
管理番号 1238504 
異議申立番号 異議2009-900291 
総通号数 139 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2011-07-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2009-08-07 
確定日 2011-05-16 
異議申立件数
事件の表示 登録第5226899号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5226899号商標の商標登録を取り消す。
理由 第1 本件商標
本件登録第5226899号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)の構成からなり、平成20年7月1日に登録出願され、第5類「カプセル,薬剤,中枢神経系用薬剤,感覚器官用薬剤,循環器官用薬剤,呼吸器官用薬剤,消化器官用薬剤,アレルギー用薬剤,末しょう神経系用薬剤」を指定商品として、同21年1月13日に登録査定され、同年5月1日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、登録異議の申立ての理由を要旨次のように主張し、証拠方法として、甲第1号証ないし同第44号証(枝番を含む。)を提出した。
1 引用商標
申立人が引用する商標は、以下のとおりであり、いずれも現に有効に存続している。
ア 登録第4341740号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲(2)の構成からなり、平成11年2月15日に登録出願、第5類「薬剤」を指定商品として、同年12月3日に設定登録、その後、商標権の存続期間の更新登録がなされたものである。

イ 登録第4318694号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲(3)の構成からなり、平成10年9月3日に登録出願、第1類「化学品,植物成長調製剤,肥料,人工甘味料」、第5類「薬剤,歯科用材料,医療用腕環,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,失禁用おしめ,人工受精用精液,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,乳児用粉乳,乳糖,はえ取り紙,ばんそうこう,包帯,包帯液,防虫紙,胸当てパッド」、第10類「医療用機械器具,氷まくら,三角きん,支持包帯,手術用キャットガット,吸い飲み,スポイト,乳首,氷のう,氷のうつり,ほ乳用具,魔法ほ乳器,綿棒,指サック,避妊用具,人工鼓膜用材料,医療用手袋,しびん,病人用便器」、第16類「印刷物,文房具類」、第35類「経営の診断及び指導,市場調査,商品の販売に関する情報の提供」を指定商品及び指定役務として、同11年9月24日に設定登録、その後、商標権の存続期間の更新登録がなされたものである。

ウ 登録第4428467号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲(4)の構成からなり、平成11年11月18日に立体商標として登録出願、第5類「薬剤」を指定商品として、同12年10月27日に設定登録、その後、商標権の存続期間の更新登録がなされたものである。

エ 登録第4304716号商標(以下「引用商標4」という。)は、別掲(5)の構成からなり、平成10年7月15日に立体商標として登録出願、第5類「薬剤」を指定商品として、同11年8月13日に設定登録、その後、商標権の存続期間の更新登録がなされたものである。

以下、引用商標1ないし引用商標4を併せていうときは、引用商標という。

2 商標法第4条第1項第11号について
本件商標構成中の欧文字部分は、引用商標の欧文字部分と外観上類似する。
また、本件商標と引用商標3及び引用商標4とは、欧文字部分のみでなく図形部分においても類似する。
さらに、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品は同一又は類似である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。

3 商標法第4条第1項第15号該当性について
「薬剤」について、引用商標からなる著名な「Pfizer」ブランドを含む本件商標を、その指定商品に使用すると、出所について混同を生ずるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものである。

4 商標法第4条第1項第19号該当性について
引用商標1及び引用商標2は、日本国内及び世界的にも著名な商標であり、本件商標は、引用商標に化体した業務上の信用にただ乗りする不正の目的をもって出願されたものである。

5 まとめ
本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第15号及び同第19号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきである。

第3 取消理由通知(要旨)
当審において、平成22年8月12日付けで、商標権者に対し通知した取消理由は、次のとおりである。
1 使用商標
申立人は、別掲(2)の構成からなる商標(以下「使用商標1」という。)及び別掲(6)の構成からなる商標(以下「使用商標2」という。)を「薬剤」に使用している。
以下、使用商標1と使用商標2を併せていうときは、使用商標という。
1 商標法第4条第1項第15号について
(1)使用商標の周知著名性
申立人の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。
ア 申立人は、1849年に米国で設立された製薬会社であり、1941年にペニシリンの量産化に成功し、第二次世界大戦中米国政府から製造委託を受け、1950年には抗生物質テラマイシンを開発し海外進出を展開した。1982年には抗炎症剤フェルデンが売上げ10億ドルを突破するなど、成長を続け、1990年代からは企業合併を繰り返し、2003年には世界最大の製薬会社となった。日本には、1953年に進出し、1997年には、高血圧症・狭心症治療剤「ノルバスク」が降圧薬市場でNo.1製品になったほか、売上1000億円を達成した(甲第12及び第13号証)。

イ 申立人については、英和辞典にも搭載されており、「Pfizer」の項目の下に「ファイザー:米国の製薬会社」と掲載されている(甲第14号証)。

ウ 申立人は、2003年から2008年まで毎年、医薬品売上高の世界ランキングにおいて第1位を占めているほか、日本国内でも、2008年に申立人の医療用医薬品の売上順位は第4位にランキングされ、売上額は4121億円に達し、年商3000億円以上の超大手企業として紹介されている(甲第21号証ないし甲第27号証)。

エ 使用商標は、申立人及び同人の日本法人の社章として使用されているほか、米国では1951年11月から薬剤について商標として使用されている(甲第15号証ないし甲第17号証)。具体的には、使用商標は、医薬品の包装、PTPシートに付して使用されている(甲第12号証、甲第18号証ないし甲第20号証)。
また、使用商標は、企業広告と共に又は個別医薬品の商標として医療情報誌、業界紙、一般紙等に宣伝広告されている(甲第28号証ないし甲第42号証)。このうち、甲第28号証ないし甲第37号証及び甲第40号証ないし甲第42号証に係る雑誌、新聞は、本件商標の登録出願前に発行されたものである。

オ さらに、2008年度及び2009年度には使用商標を表示した企業広告がテレビ放映された(甲第44号証の1ないし3)。

カ 上記アないしオで認定した事実によれば、使用商標は、申立人の業務に係る商品「薬剤」を表示する商標として、本件商標の登録出願時及び登録査定時には既に、取引者、需要者の間に広く認識されていたものというべきである。

(2)本件商標と使用商標の類似性の程度
本件商標は、別掲(1)のとおり、灰色の略菱形図形内に白抜きでやや図案化された「pficker」の欧文字を書し、当該略菱形図形の下に、灰色の「輝克」の漢字を配してなるところ、略菱形輪郭及び「pficker」の欧文字からなる部分(以下「本件図形」という。)と「輝克」の漢字からなる部分は、視覚上分離して看取されるばかりでなく、両者が常に不可分一体のものとしのみ認識し把握されるとみるべき格別の理由も見いだし難いところである。
してみれば、本件図形と「輝克」の漢字は、それぞれが独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものといえる。
そして、本件図形構成中、略菱形図形はありふれた輪郭と認められるから、本件図形構成中、識別標識としての機能を有するのは、「pficker」の欧文字であるといえる。
一方、使用商標1は、別掲(2)のとおり、黒塗りの楕円形を描き、当該楕円形中に白抜きでやや図案化された「pfizer」の欧文字を書してなるところ、当該楕円形はありふれた輪郭と認められるから、使用商標1の構成中、識別標識としての機能を有するのは、「pfizer」の欧文字にあるといえる。
また、使用商標2は、別掲(6)のとおり、白塗りの楕円形を描き、当該楕円形中に黒抜きでやや図案化された「pfizer」の欧文字を書してなるところ、当該楕円形はありふれた輪郭と認められるから、使用商標2の構成中、識別標識としての機能を有するのは、「pfizer」の欧文字にあるといえる。
そこで、本件商標構成中の「pficker」の欧文字と使用商標構成中の「pfizer」の欧文字を比較するに、両者は、(a)各文字の縦線を太く横線を細く図案化し、右に傾斜していること、(b)第1番目の「p」の文字の曲線部分が三日月状になっていること(c)第2番目の「f」の文字は下端が輪郭の一辺に接する程近接させ、上端を湾曲させ先端に円形を有し、その円形が第3番目の文字と相俟って「i」を形成する如き態様となっていること、(d)語尾部分は「er」となっている点において共通性を有している。
してみれば、本件商標構成中の「pficker」の欧文字と使用商標構成中の「pfizer」の欧文字は、構成の軌を一にするものであって、その外観において酷似した印象を看者に与えるものであるから、類似性の程度は高いといわざるを得ない。

(3)本件商標の指定商品と使用商標の使用商品の関連性
本件商標は、使用商標が使用されている商品「薬剤」と同一若しくは類似の商品又は密接な関係を有する商品を指定商品とするものである。

(4)むすび
以上を総合すると、本件商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、その構成中の「pfiker」の欧文字に注目し、周知著名となっている使用商標ないしは申立人を連想、想起し、当該商品が申立人又は同人と経済的・組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれがあるものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、その登録を取り消すべきものである。

第4 商標権者の意見
前記第3の取消理由に対し、商標権者は、何ら意見を述べるところがない。

第5 当審の判断
本件商標についてした先の取消理由は、妥当なものと認められる。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたといわざるを得ないから、本件商標の登録は、同法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
(1)本件商標


(色彩は原本参照)

(2)引用商標1及び使用商標1





(3)引用商標2





(4)引用商標3



(色彩は原本参照)


(5)引用商標4





(6)使用商標2






異議決定日 2010-12-22 
出願番号 商願2008-52502(T2008-52502) 
審決分類 T 1 651・ 271- Z (X05)
最終処分 取消  
前審関与審査官 前山 るり子 
特許庁審判長 井岡 賢一
特許庁審判官 末武 久佳
酒井 福造
登録日 2009-05-01 
登録番号 商標登録第5226899号(T5226899) 
権利者 淮北輝克薬業有限会社
商標の称呼 フィッカー、キカツ、キコー、ホイコー 
代理人 川崎 隆夫 
代理人 瀧野 文雄 
代理人 瀧野 秀雄 
代理人 今井 貴子 

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