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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X09
審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない X09
管理番号 1238355 
審判番号 不服2010-9051 
総通号数 139 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-07-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-04-27 
確定日 2011-05-27 
事件の表示 商願2009-42515拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、「エコドラ」の片仮名を標準文字で表してなり、第9類「乗物運転技能訓練のシミュレーション用コンピュータソフトウェア,乗物運転技能訓練用シミュレーター並びにその部品及び附属品」を指定商品として、平成21年6月8日に登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は、「本願商標は、『エコドラ』の文字を標準文字で表してなるところ、該文字は、『エコドライブ:環境に優しい省エネルギー運転』の略語として用いられており、また、本願の指定商品を取り扱う業界においては、近年の地球環境への関心の高まりを受けて、エコドライブのシミュレーションができる商品が開発・販売されている実情が認められることからすれば、これをその指定商品中『エコドライブのための乗物運転技能訓練のシミュレーション用コンピュータソフトウェア,エコドライブのための乗物運転技能訓練用シミュレーター並びにその部品及び附属品』に使用するときには、これに接する取引者、需要者は、その商品が『エコドライブのための商品』であると理解・認識するにすぎず、単に商品の品質、用途、効能を表わしたものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるため、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審における証拠調べ通知
本願商標「エコドラ」に関して、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、以下の事実が認められる。
1 「エコドラ」の語について
(1)「幸田サーキットYRP桐山」のウェブサイトに、「2010カブdeエコドラ6時間」及び「この競技はホンダ製スーパーカブ&カブスタイルのバイクを使用し、速さを競い合うのではなく限られた燃料を上手に使う工夫と、6時間でどこまで遠くに行けるか?のエコドライブ技能を競います。」との記述がある。
(http://www.yrp-net.com/?page_id=3263)
(2)「物流ウィークリー」のウェブサイトに、「大型に特化しエコドラ研修」の表題のもと、「SBSホールディングスのグループ企業・ティーエルロジコム(鎌田正彦社長)はこのほど、大型ドライバーに特化したエコドライブの自社研修を行った。」との記述がある。
(http://www.weekly-net.co.jp/logistics/post-4927.php)
(3)「物流企業のための儲かる環境ビジネス情報 エコロジ!」のウェブサイトに「市民と交流深める 長崎・大分エコドラ体験会 (2010年09月06日)」の表題のもと、「『長崎・大分エコ安全ドライブ体験会』がこのほど、『長崎龍馬の道』や浦上自動車学校で開かれた。」及び「ドライバーの1人は、『一般の方にエコドライブの努力が伝わらず、配送中にクラクションを鳴らされることや割り込みをされることも多い』とし、『お客様から預かった大切な荷物が危険にさらされる場合がある』と語った。」との記述がある。
(http://www.ecologi.net/kankyo-archive/post-643.html)
(4)「?☆ BLUE F-ST ☆?」のブログサイトに「エコドラに目覚める ?雑談?」の表題のもと、「早速エコドライブ(略してエコドラ)を実践してみる。心がけるのは、
・なるべくエンジンをフカさない(回転数を変動させない)
・ブレーキはゆっくりジワァ?っと
交通状況なんかも考えながら可能な限りでね。」との記述がある。
(http://white.ap.teacup.com/skywave0371/195.html)
(5)「物流・運送・ロジスティックス業界の総合専門誌 物流ウィークリー」のウェブサイトにおいて、「あくなきエコドラへの挑戦 飛田運送」の表題のもと、「【兵庫】エコドライブ、安全教育をテーマとした社内講習会を定着させてきた飛田運送(飛田一季社長、兵庫県西脇市)。」、「通常運転をしている大型トラック1台が取り組めば、年間の軽油消費量で8000L強、CO2の排出量も同20tの削減につながるというエコドラ研修の内容からは、プロであるトラック関係者でさえ見落とすようなポイントを見つけることができる。長年の実施によって省エネによる改善の幅は狭まっているが、それでも燃料費だけで年間数十万円の効率化を実現している。」及び「春分の日に開かれる同社の『エコドライブ・安全講習会』」との記述がある。
(http://www.weekly-net.co.jp/localnews/post-3609.php)
また、同ウェブサイトにおいて、「長谷川サービス エコドラ徹底し『驚異の燃費改善』」の表題のもと、「【千葉県】ハンガー車を利用したファッション衣料の輸送を得意とする長谷川サービス(千葉県市川市)では、2年前から全社を挙げてエコドライブに取り組んでいる。」との記述がある。(http://www.weekly-net.co.jp/localnews/post-5516.php)
(6)北九州市のウェブサイトにおいて、「エコドラ北九州プロジェクト」の表題のもと、「エコドラ北九州プロジェクトとは? 北九州市では、市民・事業者におけるエコドライブ活動を“アイドリング・ストップ運動“や環境省・(独)環境再生保全機構主催の”エコドライブコンテスト“参加等を通し、推進してきました。 今後、エコドライブ活動をより実りあるものとし、業種や車種を問わずさまざまな企業が継続して実践できるエコドライブの手法を開発するため、平成19年度に八幡東区を中心とした『エコドラ北九州プロジェクト』を開始しました。」との記述がある。
(http://www.city.kitakyushu.jp/pcp_portal/PortalServlet;jsessionid=BACF2CCEE8FA4D61E23DE78D2A561B3B?DISPLAY_ID=DIRECT&NEXT_DISPLAY_ID=U000004&CONTENTS_ID=22500)
(7)「吉田由美のなんちゃってセレブなカーライフ」のブログサイトに「フォルクスワーゲンの’エコドラ’?」の表題のもと、「フォルクスワーゲンの『エコ・ドライブ・トレーニング』に参加。今回、このイベントに関しては特別大きな告知しなかったのにも関わらず、1週間だけフォルクスワーゲンのオフィシャルHPで一般公募したところ、なんと!100組以上の申込みがあったとか!?人気なのね?。『エコドラ』!(笑)ちなみにこのところいろんなメーカーで始めだした『エコドラ』講習だけど、エコドラの元祖フォルクスワーゲンでは、本国ドイツでのエコドラでも使用しているスペシャルな装置を使っているのよっ。」との記述がある。
(http://www.hobidas.com/blog/rosso/yoshida/archives/2009/08/post_1398.html)
(8)「環境省・環境再生保全機構主催の『平成22年度エコドライブコンテスト』で『理事長賞』を受賞」の表題のもと、「TOTO九州支社では『エコドライブ』の実践に向けて、事業所を挙げて活動に取り組みました。導入時教育のための判り易いエコドラ学習ソフト、運転時のノウハウを端的に伝える『エコドラ実践 虎の巻』などを作成し運用しました。」との記述がある。
(http://www.toto.co.jp/company/press/2010/11/18.htm)

2 「エコドライブ」の語について
(1)「エコ・ドライブ〈ecological+drive〉」について、「環境にやさしい省エネルギー運転。アイドリング-ストップなど。」との記述がある。(「コンサイスカタカナ語辞典 第4版」155頁 株式会社三省堂 2010年2月10日発行)
(2)「エコ・ドライブ〈eco+drive〉」について、「環境にやさしい省エネルギーの輸送車両などの運転。」との記述がある。(「現代人のカタカナ語欧文略語辞典」82頁 株式会社集英社 2006年4月30日発行)
(3)「エコ・ドライブ〈eco+drive〉」について、「環境保護を考えた自動車の運転マナー。アイドリング禁止など。」との記述がある。(「カタカナ語新辞典 改訂新版」80頁 株式会社新星出版社 2005年12月25日発行)

3 ドライブシミュレーター及びドライブシミュレーション用コンピュータソフトウェアにおける「エコドライブ」の文字の使用状況について
(1)「株式会社フォーラムエイト」のウェブサイトにおいて、「3次元リアルタイム・バーチャルリアルティ UC-WIN/Road ver.5」の商品名のもと、以下のPDFファイル中の10頁目に「ECOドライブプラグイン UC-win/Roadのツールメニューとして『エコドライブ出力開始』、『名前を付けてエコドライブログを保存』、『CO2排出量の算出』が用意され、ドライブログの出力、保存、二酸化炭素排出量の計算を行うことが可能です。エコドライブログをデータファイルとして保存することができ、後日再読込みして、計算結果を再現することが可能です。」の記述とともに商品画像がある。
また、同ファイル中の12頁目に「VR-DRIVE 先進の技術を取り入れたジュニア向けドライブ教育パッケージです。3D-VR環境での運転から、日常の運転シナリオから道路上での危険・予期せぬ出来事への対処にいたるまで体験することができます。」との表題のもと、「エコドライブレポート CO2排出量と燃料消費量のレポートがドライブ毎に作成されます。」の記述とともに商品画像がある。
(ftp://ftp.forum8.co.jp/forum8lib/pdf/Road-201008.pdf)
(2)「ITmedia GAMESゲームズ」のウェブサイトにおいて、「『セガ・ドライビングシミュレータ』でエコドライブを体験」の表題のもと、「セガは、2003年1月より販売している自動車教習所向けシミュレータ『セガ・ドライビングシミュレータ』を一部カスタマイズし、エコドライブの体験を可能とした。」の記述とともに商品画像がある。
(http://gamez.itmedia.co.jp/games/articles/0710/04/news047.html)
(3)フランスOKTAL社開発のソフト販売代理店である株式会社オクタル・ジャポンのウェブサイトにおいて、「エコドライブ講習用ドライビングシミュレータールノー 自動車販売代理店 (2008年)」の表題のもと、「ルノー社では、低燃費自動車のエネルギー効率をより向上させるには、ドライバーの運転操作を改善する必要があると考えました。そこで、数十箇所の販売代理店に、SCANeR IIを利用した『エコドライブ講習用ドライビングシミュレーター』の導入を決定しました。」の記述とともに商品画像がある。
(http://www.oktal.jp/users/ecodrive.html)
(4)「ITS-P21」のウェブサイトに「『みちナビとよたにエコドライブシュミレーター設置』の表題のもと、「豊田市のITS情報センター『みちナビとよた』にエコドライブシュミレーターが設置された。同市が推進中の『環境モデル都市』の活動の一環として市民にエコドライブについてPR/啓蒙を諮る。」の記述とともに商品画像がある。
(http://www.its-p21.com/information/cat2/post_84.html)
(5)有限会社ワイズコムのウェブサイトに「エコドライブ度診断」の表題のもと、「エコ運転シミュレーションマシンを使って、ご自身のエコドライブ度を診断します。」との記述がある。
(http://www.y-scom.co.jp/ecodrive.html)
また、以下のPDFファイル中の2頁目に、「エコドラ〈やさしい運転を学べる〉」の表題のもと、「エコドライブは、運転時の燃費向上により地球温暖化の原因となるCO2排出量と燃料コストの削減につながるカーライフの知恵です。『エコドラ』は、誰でも手軽にエコドライブを学ぶことができます。」との記述及び上記「エコ運転シミュレーションマシン」の画像がある。
(http://www.y-scom.co.jp/pdf/eco-drive.pdf)

第4 請求人の意見の要旨
請求人は、前記第3の証拠調べ通知に対して、平成23年3月2日付けの意見書を提出し、以下の主張をしている。
本願商標は、「エコドラ」の文字からなるところ、証拠調べで発見された証左のうち、本願の指定商品と関係する分野で直接的に該文字が使用されているものは、証拠調べ3の(5)のみであり、その他の証左については、「エコドライブ」についてのものか、本願指定商品とは直接関係のない商品又は商品でない行為の名称についてのものである。そして、「エコドラ」の文字は、出願人の創意工夫による「造語」であり、商品の品質・内容を示す度合いの低い言葉であるとともに、本願の指定商品である「乗物運転技能訓練のシミュレーション用コンピュータソフトウェア,乗物運転技能訓練用シミュレーター並びにその部品及び附属品」との関係において、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるものではない。 以上によれば、本願商標は、自他商品識別力を十分発揮し得るものであるから、商標法第3条第1項第3号又は第4条第1項第16号のいずれにも該当するものではない。

第5 当審の判断
本願商標は、前記第1のとおり、「エコドラ」の文字を標準文字で表してなるものである。
そして、前記第3の1によれば、「エコドラ」の文字と「エコドライブ」の文字とを併存して使用している例が認められ、「早速エコドライブ(略してエコドラ)を実践してみる。」(第3の1(4))の記述に見られるように、「エコドラ」の文字は、「エコドライブ」の略称として、使用されていること、また、前記第3の2によれば、「エコドライブ」とは、概ね「環境にやさしい省エネルギー運転」を意味する語として、辞典類への掲載が認められること、さらに、前記第3の3によれば、「『セガ・ドライビングシミュレータ』でエコドライブを体験」の表題のもと、「セガは、2003年1月より販売している自動車教習所向けシミュレータ『セガ・ドライビングシミュレータ』を一部カスタマイズし、エコドライブの体験を可能とした。」(前記第3の3(2))や「ルノー社では、低燃費自動車のエネルギー効率をより向上させるには、ドライバーの運転操作を改善する必要があると考えました。そこで、数十箇所の販売代理店に、SCANeR IIを利用した『エコドライブ講習用ドライビングシミュレーター』の導入を決定しました。」(前記第3の3(3))の記述に見られるように、本願の指定商品である「乗物運転技能訓練のシミュレーション用コンピュータソフトウェア,乗物運転技能訓練用シミュレーター並びにその部品及び附属品」において、該「エコドライブ」の文字が、「エコドライブ」の体験機能を有するという商品の品質ないしは機能を表示する語として、認識し把握されていることが、それぞれ窺い知れるところである。
以上の認定事実によれば、「エコドラ」は、「環境にやさしい省エネルギー運転」を意味する「エコドライブ」の略称を表したものと取引者、需要者は認識するものというべきであるから、「エコドラ」の文字を普通に用いられる方法で表してなるにすぎない本願商標は、これをその指定商品中「エコドライブの体験機能を有する乗物運転技能訓練のシミュレーション用コンピュータソフトウェア」及び「エコドライブの体験機能を有する乗物運転技能訓練用シミュレーター並びにその部品及び附属品」について使用しても、単に「エコドライブの体験機能を有する商品」であること、すなわち、商品の品質、機能を表示したものとして認識し理解されるに止まり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものと判断するのが相当であり、上記商品以外の指定商品「乗物運転技能訓練のシミュレーション用コンピュータソフトウェア」及び「乗物運転技能訓練用シミュレーター並びにその部品及び附属品」に使用するときは、該商品があたかも「エコドライブの体験機能を有する商品」であるかの如く、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
なお、請求人は、「エコドラ」の文字は、出願人の創意工夫による「造語」であり、商品の品質・内容を示す度合いの低い言葉であるとともに、本願の指定商品において、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるものではない旨主張するが、上記のとおり、「エコドラ」の文字は、請求人による造語とはいえず、また、本願の指定商品における取引者及び需要者は、車両の運転に関する一般的な知識を有する者であり、昨今の環境意識の高まりによって、一般的な運転技術として「エコドライブ」が広く知られる状況下にあることからすれば、その取引者及び需要者が、「エコドラ」の文字に接した場合、「環境にやさしい省エネルギー運転」を意味する「エコドライブ」の略語として、正確にその意味を捉えるものとみるのが相当である。
そうとすれば、「エコドラ」の文字をその指定商品に使用した場合は、上記のとおり、商品の品質、機能を表示したものとして認識し理解されるものとみるのが相当である。
以上によれば、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
したがって、本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2011-03-18 
結審通知日 2011-03-25 
審決日 2011-04-06 
出願番号 商願2009-42515(T2009-42515) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (X09)
T 1 8・ 272- Z (X09)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鈴木 斎豊田 緋呂子 
特許庁審判長 石田 清
特許庁審判官 吉野 晃弘
末武 久佳
商標の称呼 エコドラ 
代理人 小田 治親 

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