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審決分類 審判 査定不服 称呼類似 登録しない X37
管理番号 1238298 
審判番号 不服2010-13276 
総通号数 139 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-07-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-06-17 
確定日 2011-05-16 
事件の表示 商願2009- 64938拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、「タマ200年住宅」の文字を標準文字で書してなり、第37類「建築一式工事,建築工事に関する助言,建築設備の運転・点検・整備,暖冷房装置の修理又は保守,バーナーの修理又は保守,ボイラーの修理又は保守,ポンプの修理又は保守,冷凍機械器具の修理又は保守,照明用器具の修理又は保守,浴槽類の修理又は保守,建築物の外壁の清掃,窓の清掃,床敷物の清掃,床磨き」を指定役務として、平成20年2月19日に商標登録出願された商願2008-11708に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願として、同21年7月2日に登録出願された商願2009-50160をもとの商標登録出願として、さらに商標法第10条第1項の規定による商標登録出願として、同年8月25日に登録出願されたものである。

第2 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして拒絶の理由に引用した登録第3274655号商標(以下「引用商標」という。)は、後掲のとおりの構成からなり、平成5年7月14日登録出願、第37類「機械器具設置工事,土木機械器具の修理又は保守,土木機械器具の貸与」を指定役務として、同9年4月4日に設定登録、その後、同18年12月26日に商標権の存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。

第3 当審の判断
(1)本願商標の商標法第4条第1項第11号該当性について
本願商標は、前記第1のとおり、「タマ200年住宅」の文字を標準文字で書してなるから、一連の「タマニヒャクネンジュウタク」の称呼を生ずることがあるとしても、冗長なものであって、「タマ」の文字と「200年住宅」の文字とを一体不可分なものと把握しなければならない特段の事情も見いだせないところである。
そして、その構成中後半の「200年住宅」の文字は、別掲の新聞記事等の情報のとおり、自由民主党政務調査会により発表された「200年住宅ビジョン」を基礎とし、平成21年6月4日に施行される「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」(平成20年12月5日公布)で定められた「長期優良住宅」を意味する語として使用されているものである。
さらに、国土交通省は、その長期優良住宅の先導的モデル事業として、民間事業者に対して提案を公募し、採択事業を決定するなどの取組みを行っており、そのモデル事業に採択された民間事業者は、そのウェブページなどにおいて、「200年住宅」をもって、自社のサービスについて宣伝広告活動をおこなっている実情が窺えるところである。
そうとすれば、その構成中「200年住宅」の文字は、その指定役務中例えば「建築一式工事,建築工事に関する助言」について使用したときには、これに接する需要者、取引者は、「長期優良住宅に係わる役務」であることを理解するにとどまるというのが相当であるから、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないか、弱いものといわざるをえない。
してみれば、本願商標は、その構成文字全体から生ずる「タマニヒャクネンジュウタク」の一連の称呼の他に、簡易迅速を尊ぶ取引の実際にあっては、独立して、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ると認められる「タマ」の文字部分に着目して、これより生ずる「タマ」の称呼をもって取引に資される場合も決して少なくないというべきであるが、これと読みを同じくする親しまれた「玉・珠・球」「多摩」(以上「広辞苑第六版」)等の語が多数あるので、特定の観念を生ずるものとは認められない。
他方、引用商標は、間隔を異にする白抜きの細線を多数有する黒塗りの円図形の中央やや左寄りに、「TAmA」(なお、「m」の文字の大きさ、高さは他の文字と同じである。以下同じ)の文字を顕著に表示してなるが、図形部分からは、特定の称呼、観念を生ずるものでなく、図形部分は「TAmA」の背景図形と認識されると判断するのが相当である。
そうとすれば、引用商標は、その構成中の「TAmA」の文字部分が独立して自他役務の識別標識としての機能を果たすとみるのが自然である。
してみれば、引用商標は、多少図案化されているものの、容易に「T」「A」「m」「A」の文字から構成されていることが把握、理解されるものであるから、その構成文字に相応して「タマ」の称呼を生ずるものであるが、上記のとおりこれと読みを同じくする親しまれた語が多数あるので、特定の観念を生ずるものとはいえない。
そこで、本願商標と引用商標とを比較すると、両商標は、上記のとおり、簡潔で馴染みやすく、記憶にとどめやすい「タマ」の称呼を共通にするものである。
そして、本願商標の指定役務は、引用商標の指定役務と類似する役務を含むものである。
してみれば、本願商標と引用商標とは、「タマ」の称呼を共通にする類似の商標であるから、本願商標をその指定役務に使用した場合は、その役務の出所について誤認混同を生ずるおそれがあるものと認められる。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)請求人(出願人)(以下「請求人」という。)の主張について
ア 請求人は、「請求人の業務である『建築一式工事』を、日本全国において行い、大々的に莫大な費用を投じて、継続して宣伝、広告をしており、現在では請求人の社名である『タマホーム』は、全国に広く知られるに至っていること、『建築一式工事』の指定役務も含む、語頭部分に『TAMA』や『タマ』の付く商標を多数登録していること、請求人のグループ会社名は、そのほとんどが頭の部分に『タマ』が付いていること等から、『建築一式工事』においては、本願商標中の『タマ』の部分からは、請求人を想起し『本願出願人が建築する長持ちする住宅』という意味合いを暗示するところから、本願商標は、全体で不可分一体の称呼『タマニヒャクネンジュウタク』のみを生じるといえる。したがって、本願商標と引用商標とは役務の出所について誤認混同を生ずるような事情はない。」旨、主張すると共に、証拠資料を提出している。
そこで、請求人の提出による証拠資料をみると、以下の事実が窺えるものである。
(ア)資料1、資料3ないし資料6及び資料10は、請求人のホームページ(http://www.tamahome.jp/index.html)のプリントの写しであるが、資料1、資料3、資料5及び資料6には、2009年12月29日のプリント日付けが、資料4及び資料10には、同年11月2日のプリント日付けがあるところ、資料1、資料3ないし資料6及び資料10には、共通して、欄外上部左側に「家を建てるならタマホーム株式会社」及び枠内に「TamaHome」「タマホーム」が表示されていることから、請求人は、「家づくり」を業として、「TamaHome」「タマホーム」の標章を宣伝、広告に使用していたことが認められる。
資料1(1枚目)、資料3、資料5(1枚目)、資料6(6枚目)及び資料10(2枚目)には、「お近くのタマホーム」の見出しと共に、地域別に色分けされた日本地図と「北海道」「東北」「北陸」「関東」「東海」「近畿」「中国」「四国」「九州」の地域名(メニュー)が用意されていることから、請求人は全国に支店、営業所を有することが認められる。
資料1(1枚目)には、上部正面に戸建住宅の写真と共に「タマホームがかんがえる家づくり」、その上部に「戸建住宅」、また、右側下には、「TAMA GROUP」「タマホームグループ一覧」と併記され、最下部(2枚目)には、後述する「テレビCM」「屋外広告」「協賛イベント」等の表示(メニュー)が用意されていることから、請求人は、業とする「家づくり」の宣伝、広告をしていたことが認められる。
同3枚目(http://www.tamahome.jp/tamahome/lineup/newdaianshin.html)には、「大安心の家」の見出しのもと、「特長 タマホームのベストセラー商品『大安心の家』が新たな仕様で登場」等の記載、同4枚目(http://www.tamahome.jp/tamahome/lineup/newdaichi.html)には、「大地の家」の見出しのもと、「特長 高断熱・高気密。北海道の気候に左右されない室内環境を実現」等の記載、同5枚目(http://www.tamahome.jp/tamahome/lineup/kibou.html)には、「木望の家」の見出しのもと、「特長 市街地や狭小地、変形敷地でも妥協しない住まいづくり」等の記載、同6枚目(http://www.tamahome.jp/tamahome/lineup/rakuraku.html)には、「楽楽の家」の見出しのもと、「特長 狭小敷地の限られた住空間を最大限に生かす空間づくり」等の記載があることから、請求人は「家づくり」を業として行っていることが認められる。
資料2(1枚目)には、赤地に白抜きした「もし、ビバリーヒルズにタマホームを建てたなら。」の文字が表示され、同2枚目は、戸建住宅の写真とともに、「TamaHome」が表示された気球の写真が掲載され、「TAMA」「BEVERLY HILLS」が表示された丸いスタンプ等が表示され、同3枚目は、赤地に白抜きで「TamaHome」(なお、「e」の右肩には丸付きの「R」が付いている。)「タマホーム」が併記されている(なお、プリントにはホームページアドレスの表示は見当たらない)。
資料3(http://www.tamahome.jp/other/radiocm.html)には、上部左側に「HOME>ハッピーライフソング篇 テレビCM」の見出しとその下に「タマホームのテレビCMご覧になれます。」等の表示と共にCMビデオが視聴できるモニター画面が表示(用意)されていることから、請求人は家づくりの宣伝、広告をしていたことが認められる。
資料4(1枚目:http://www.tamahome.jp/other/radiocm.html)には、上部左側に「HOME>ラジオCMオンエア情報」「タマホームプレゼンツ」「ラジオCM情報」の見出しとその下に「タマホームプレゼンツ300秒ラジオドラマ ON AIR!」等が表示され視聴できる表示(メニュー)が用意されていることから、請求人は、「タマホーム」標章を使用して家づくりの宣伝、広告をしていたことが認められる。
資料5(1枚目:http://www.tamahome.jp/other/ad.html)には、上部左側に「HOME>屋外広告」「ご存じですか?こんな場所にも屋外広告」「日本各地に広告を掲出。タマホームは皆さまの街でお目にかかっています。」の見出しの下に、「東京ドームバックネット」「福岡空港」「六本木交差点」「道頓堀」の項には、赤地に白抜き「タマホーム」の看板が写っている写真が掲載されていることから、請求人は、「タマホーム」の屋外広告をしたことが認められる。
同2枚目は、野球場内の壁面に「タマホーム ハッピーボイス/本日のゲーム始球式はタマホームの玉木社長!」「9/13一斉見学会/タマホーム」「タマホームハッピーデーゲーム」が表示されていることから、請求人が「タマホーム」を宣伝、広告で使用をしていたことが認められる(なお、プリントにはホームページアドレスの表示は見当たらない)。
資料6(http://www.tamahome.jp/other/event.html)には、上部左側に「HOME>協賛イベント」「タマホームは、文化・芸術・スポーツなど様々な事業に協賛しています。」「TALK LIKE SINGING」「ディズニー・オン・クラシック」(以上1枚目)、「ウィーン・ヴィルトゥオーゼン」「シティマラソン福岡2009」「タマホームpresents blast(ブラスト!)」等(以上2枚目)、「第58回 別府大分毎日マラソン大会」「2008防府読売マラソン」「タマホームスペシャル第62回 福岡国際マラソン 実況中継」等(以上3枚目)「ディズニー・オン・クラシック?まほうの夜の音楽会 2008 “Dream,Dream,Dream”?夢よ、響け Suported by タマホーム」「タマホーム スペシャル VY HIGGINSEN Presents Sing,Harlem,Sing!2008年日本公演」等(以上4枚目)及び「タマホームプレゼンツ フロアプレイ」等(以上5枚目)の記載があることから、請求人は、2008年ないし2009年に協賛する各種イベントを通じて、「タマホーム」を宣伝、広告していたことが認められる。
資料7は、 「TamaHome」「タマホーム」が大きく表示された、請求人の提供する「大安心の家」の販売、見学会の平成21年末のちらしであるから、請求は、「TamaHome」「タマホーム」標章を使用して、業とする「建築工事」を宣伝、広告したことが認められる。
資料8には、提供スポンサー番組(テレビ(日本テレビ系、TBS系、フジテレビ系、テレビ朝日系、テレビ東京系、BS朝日、ローカル番組)、ラジオ(NRN系(ニッポン放送・文化放送発))の記載があることから、請求人は、提供スポンサー番組を通じて宣伝、広告していたことが認められる。
資料9には、請求人が所有する登録第4639750号商標「タマホーム\TAMAHOME」、同第4730179号商標「タマパレス」、同第5075841号商標「タマヒルズ」、同第5086189号商標「タマハウス\たまはうす\TAMAHOUSE」等の商標を挙げている。
資料10(http://www.tamahome.jp/company/group.html)には、上部左側に「HOME>企業情報>グループ情報」「グループ情報」の見出しのもと、「タマ・アド株式会社」「タマファイナンス株式会社」「タマリビング株式会社」「TH建設株式会社」「タマソリューションズ株式会社」「タマホーム東京株式会社」「タマホーム建築研究所株式会社」等(以上1枚目)「タマアグリ株式会社」の記載及び最下部右側には、「TAMA GROUP」「タマホームグループ一覧」と併記されている等(以上2枚目)の記載があることから、請求人は、関連会社を有することが認められる。
(イ)以上を総合的に判断すると、請求人は、自社のホームページ「TamaHome/タマホーム」を通じて、その取り扱いに係る役務に含まれる「戸建住宅の建築工事」を業として行っていること、全国の支店、営業所、グループ企業等を有すること、テレビCM、ラジオCM、屋外広告、2008年、2009年の協賛イベントによる宣伝、広告の活動を行っている事実が認められるものである。
しかしながら、上記各資料で使用されている標章は、請求人の社名「タマホーム株式会社」の略称「タマホーム」「TamaHome」等であって、本願商標が使用されている事実は認められないし、また、上記各資料からは、請求人の営業規模、営業実績、営業期間は明らかにされておらず、ホームページへの掲載時期、期間、閲覧者数、宣伝、広告の実績、期間等も明らかでない。
そうとすれば、本願商標は、請求人の業務に係る役務「建築一式工事」の出所を表示するものとして、取引者、需要者に認識されているものとはいえない。
してみれば、本願商標と引用商標とは、「タマ」の称呼を共通にする類似の商標であって、かつ、本願商標の指定役務は引用商標の指定役務と類似する役務を含むものであるから、本願商標をその指定役務に使用した場合は、その役務の出所について誤認混同を生ずるおそれがあるものと認められる。
よって、請求人の前記主張は採用することができない。
イ 請求人は、「本願指定役務中の『建築一式工事』は、引用商標の指定役務中の『機械器具設置工事』と役務が類似するが同一ではない。また、両商標は、市場において転々流通する商品に使用されるのではなく、『建築一式工事』のような役務について使用されるもので、主として特定人間の個別の取引になり、取引者・需要者の年齢層も高く、これらの工事に関する取引は注意深く慎重に行われるので、このような取引の実情を勘案すると、たとえ称呼が同一であるとしても、外観・観念の違いにより、取引者・需要者が、役務の出所につき誤認混同をきたすおそれはない。引用商標権者である『奥多摩工業株式会社』は、引用商標の使用をしているが、『機械器具設置工事』を行っていないし、主要子会社である『奥多摩建設工業株式会社』も、別の商標を使用しているが、引用商標を使用していないので、取引者・需要者が、役務の出所につき誤認混同を生じるような事情もない。」旨主張し、資料16ないし資料18を提出している。
しかしながら、平成17年(行ケ)第10618号判決(知的財産高等裁判所 平成18年2月16日判決言渡)において、「商標法4条1項11号にいう先願の『他人の登録商標』は、後願の同一又は類似商標の査定時又は審決時において、現に有効に存続しているものであれば足り、現実に使用されていることを必要とするものではないと解するのが相当である。また、商標の類否判断に際しては、取引の実情を考慮することが必要であるが、ここで考慮すべき取引の実情とは、指定商品又は役務全般についての一般的、恒常的なものであるから、『他人の登録商標』が現実に使用されているかどうかということは類否判断に際し考慮すべき取引の実情には当たらないのであり、査定時又は審決時において、先願の『他人の登録商標』が現に有効に存続しているものである以上、現実に使用されていなくても、それが使用された場合に混同を生ずるか否かを一般的、恒常的な取引の実情に照らして判断すべきものである。」と判示されており、これを踏まえて判断するに、引用商標が本願商標の査定時又は審決時において、現に有効に存続しているものである以上、引用商標がその引用商標権者により、現実に使用されていなくても、それが使用された場合に混同を生ずるか否かを一般的、恒常的な取引の実情に照らして判断すべきものであるところ、請求人は、上記主張を裏付ける具体的、客観的な資料を提出していない。
そうとすれば、本願商標と引用商標とは、認定前記のとおり、「タマ」の称呼を共通にする類似の商標であって、かつ、その指定役務も類似するものを含むものであるから、取引者、需要者が両商標に時と所を異にして接した場合、互いに相紛れるおそれがあることを否定することはできないというべきであり、請求人の前記主張は採用することができない。
ウ 請求人は、「引用商標が『TAmA』であると明確に理解できたとしても、地名である『多摩』がよく知られており、引用商標権者が『奥多摩工業株式會社』でもあるので、引用商標中の『TAmA』の文字からは、地名の『多摩』を想起しやすく、『TAmA』の文字から生じる『タマ』の称呼の自他役務識別機能は、比較的弱いものと考える。」旨主張しているが、仮に引用商標中の「TAmA」が引用商標権者の社名の一部をローマ字表記したものであるとしても、当該文字部分が地名「多摩」との関連があり自他役務の識別力が弱いものと認めるに足る客観的な状況が示されておらず、商標の類否判断にあたって考慮すべき取引の実情には当たらないから、請求人の主張は採用できない。
エ 請求人は、過去の審決例等(資料11ないし資料15)を挙げて本願商標も登録されるべきである旨主張しているが、該審決例等は、商標の構成及び指定役務等において本願とは事案を異にするものであり、それらの審決例をもって、本願商標の登録の適否を判断する基準とするのは必ずしも適切とはいえないことから、請求人の係る主張も採用することができない。
その他の請求人の主張及び証拠をもってしても、原査定の拒絶の理由を覆すことはできない。
(3)まとめ
したがって、本願商標が、商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。

後掲
(引用商標)

別掲 別掲
(新聞記事等の情報)
1 「200年住宅」の文字について
(1)「現代用語の基礎知識2010」(自由国民社 2010.1.1発行)の1046頁「この分野を読む」の項には、「従来より建物にお金をかけて、長持ちする住まいにしようという動きもある。国が進めている『超長期住宅先導的モデル事業』はその象徴。マンションにおいては100年を大きく超える耐用年数をもつ住宅を造ろうとし、いくつかのマンション、一戸建て用建物がその認定を受けている。非公式に『200年住宅』というような呼び方をされているが,それくらい長生きする建物と理解したい。」との記載。
「現代用語の基礎知識2011」(自由国民社 2011.1.1発行)の1056頁「200年住宅」の項には、「政府が目指す『長持ちする住宅』のスローガンとなる言葉。長持ちするための住宅構造を開発し、それに対応する住宅ローンを考案。中古住宅の流通システムを整備することなども含めて考えていこうというもの。今後、税制の優遇措置や関連法案の整備を行う方針が示されている。」との記載。
(2)「200年住宅ビジョン」と題して、平成19年5月、自由民主党政務調査会により発表されている(自由民主党本部のウェブページ(http://www.jimin.jp/jimin/seisaku/2007/pdf/seisaku-007b.pdf))。以下要約する。
平成18年6月、ストック重視、市場重視の新たな住宅施策の基本法制となる「住生活基本法」が制定された。・・基本理念にのっとり 1)超長期にわたって循環利用できる質の高い住宅ストックを形成すること 2)個人の財産としての住宅の価値を維持することはもとより、これを社会全体の資産として承継していくことが最も重要な政策課題であるのと認識のもと、平成18年6月、住生活基本法の施行後間髪を置かずに「200年住宅ビジョン」の検討に着手した。ストック型社会における豊かな住生活の実現に向けた提言として「200年住宅ビジョン」をとりまとめたものである。
〔1〕200年住宅の理念
超長期にわたって循環利用できる質の高い住宅(=200年住宅)ストックの形成を目指すべきである。本ビジョンにおいては、住宅のロングライフ化を象徴的に表すものとして「200年」という言葉を用いている。
200年住宅の具体的なイメージ
・構造躯体(スケルトン)と内装・設備(インフィル)が分離され、スケルトンについては耐久性・耐震性、インフィルについては可変性を確保されていること
・維持管理の容易性が確保されていること
・次世代に引き継ぐにふさわしい住宅の質(省エネルギー性能、バリアフリー性能)が確保されていること
・計画的な維持管理(点検、補修、交換等)が行われること
・周辺のまちなみとの調和が考慮されていること 等
200年住宅の実現によるメリット
我が国における「滅失住宅の平均築後年数」は約30年であり、アメリカの約55年、イギリスの約77年と比較して著しく短い。(中略)住宅ローンをようやく完済した時には住宅の資産価値がゼロになっていることを意味する。さらに、住宅を30年ごとに建替えることにより大量の産業廃棄物を発生させている。(中略)しかしながら、耐久性・耐震性に優れた200年住宅は、(中略)超長期にわたる安全な暮らしを実現するものである。(中略)世代を超えて循環利用される「社会的資産」として住宅が認識されるようになる。(中略)その実現のため、超長期にわたる維持管理にも配慮された建設システムの構築を図ることとする。加えて、適切に維持管理していくためのシステム、既存住宅が(中略)円滑に流通するためのシステム、200年住宅に対応した金融システムなどと有機的に連携させ、200年住宅にふさわしい社会基盤・まちなみの整備も含め、一体となったシステムとして構築する。
本調査会は、200年住宅の実現・普及に向けた(中略)12の政策提言を行う。(中略)200年住宅の実現・普及を図るための具体的施策を強力に推進していくこととする。
〔2〕200年住宅の実現・普及に向けた12の政策提言(抜粋)
提言1 超長期住宅ガイドラインの策定(国民、住宅関連事業者、国、地方公共団体等が目指すべき200年住宅のイメージを共有)・・・・
提言8 200年住宅(スケルトン・インフィル住宅)の建設・取得を支援する住宅ローン等の枠組み整備
提言9 200年住宅の資産価値を活用した新たなローンが提供される仕組みの構築
提言10 200年住宅に係る税負担の軽減
提言11 200年住宅の実現・普及に向けた先導的モデル事業の実施
(3)「平成20年度国土交通省税制改正要望 主要項目 結果概要 平成19年12月13日」の見出しのもと、「〔1〕住宅の長寿命化(「200年住宅」)促進税制の創設」として、「持続可能な社会の実現を目指し、良質な住宅を大切に長く使うことによる地球環境への負荷の低減を図るとともに、建替えコストの削減による国民の住宅負担の軽減を図るため、一定の基準に適合する認定を受けた長期耐用住宅(仮称)(「200年住宅」)について、以下の特例措置を講ずる。登録免許税・・・」との記載(国土交通省のウェブページ(http://www.mlit.go.jp/yosan/yosan08/zeisei08g/zeisei08_.html)。
(4)「建築研究所ニュース 平成20年11月14日 200年住宅および住宅建築物の省CO2化に向けた取組みについて-住宅・建築物省CO2推進モデル事業-(専門紙記者懇談会資料)」と題する資料には、「住宅・建築物省CO2推進モデル事業 概要(平成20年度予算額:国費50億円)」の項に「家庭部門・業務部門のCO2排出量が増加傾向にある中、住宅・建築物における省CO2対策を強力に推進するため、先進的かつ効果的な省CO2技術が導入された先導的な住宅・建築プロジェクトを推進する民間事業者等に対し助成を行う。」との記載(独立行政法人建築研究所のウェブページ(http://www.kenken.go.jp/japanese/information/information/press/20081117-6.pdf))。

2 新聞記事における「200年住宅」の文字について
(1)「話題縦横・マンション計画修繕施工協会会長(サカクラ社長)坂倉徹氏に聞く」の見出しのもと、「坂倉会長は『国土交通省が建物の長寿命化を目指す『200年住宅』の施策を打ち出すなど、マンションの修繕・改修の需要が増える傾向にある。・・』」との記載(2009.2.9 建設通信新聞)。
(2)「空知に初の200年住宅*武部建設*断熱性高い省エネ型」の見出しのもと、「【岩見沢】武部建設(三笠市、武部豊樹社長)はこのほど、気密性や断熱性が高い省エネ型住宅を推進する道の『北方型住宅ECOモデル事業』の住宅を空地知管内で初めて北村赤川に建設した。同事業は、国土交通省の『超長期住宅(二百年住宅)先導的モデル事業』にも採択されており、この二百年住宅としても空知管内では初めて。」との記載(2009.2.5 北海道新聞朝刊地方 29頁)。
(3)「長寿の秘密『のぞき窓』住宅の壁内、結露チェック エス・バイ・エルが開発【大阪】」の見出しのもと、「1月から同社の全住宅に採用され、国土交通省が推進する『超長期住宅(200年住宅)』の第1回モデル事業にも選ばれた。」との記載(2009.2.4 朝日新聞 大阪朝刊 8頁)。
(4)「[生活わいど]家造り 地域の工務店、親身対応」の見出しのもと、「1月のテーマは、近く施行される『長期優良住宅(200年住宅)の普及の促進に関する法律』。限られた敷地にどんな家を建てられるかなど個別相談にも応じる。」との記載(2009.2.3 読売新聞 東京朝刊 15頁)。
(5)「大沼氏が200年住宅・古民家再生を語る/宮事協セミナー」の見出しのもと、「東北文化学園大准教授の大沼正寛氏が、国の第1回超長期住宅(200年住宅)先導的モデル事業に選ばれた、古民家住宅の再生事業について語った。」との記載(2009.1.30 建設通信新聞)。
(6)「2009年は堅実な住宅ローン利用のチャンス〈上〉良質な住宅が値頃感」の見出しのもと、「省エネルギー性やバリアフリー性などに優れた質の高い住宅や耐震性や防犯面に配慮した安心・安全な住宅が値頃感のある価格で多数供給されている。さらに、長期優良住宅(200年住宅)や住宅瑕疵担保履行法の施行など消費者の住宅に対する質や安心・安全への意識の高まりに応える制度が相次いで創設されている。」との記載(2009.1.22 産経新聞 大阪朝刊 12頁)。
(7)「【次代への一歩】住友林業(3)リフォーム・不動産で成長」の見出しのもと、「メモ リフォーム事業は差し迫った必要性の低い物件が多いため、景気後退の影響で延期などの事例が顕在化している。しかし、政府は超長期住宅(200年住宅)を推進しており、事業の拡大は確実とみられる。」との記載(2009.1.15 FujiSankei Business i.15頁)。
(8)「200年住宅:建築進む 国のモデル事業に3件採用--橿原の設計工務店/奈良」の見出しのもと、「耐久性や耐震性に優れた『200年住宅(長期優良住宅)』の建築が進んでいる。県内では設計工務店『エーティーエム建築』が住宅建築に取り組んでいる。200年住宅は、造っては壊す大量生産・消費型の社会から、造った物を長く大切に使う持続可能社会への転換を理念にした政策。」との記載(2009.1.14 毎日新聞 地方版/奈良 23頁)。
(9)「新日鉄住金ステンレス/クロム系ステンレス鉄筋市場拡大に本腰/建物を長寿命化」の見出しのもと、「同社は、新日鉄都市開発と共同でステンレス鉄筋を使用した共同住宅を提案、今年7月に国土交通省の超長期住宅(200年住宅)のモデル事業に採択されるなど、市場開拓に力を注いでいる。」との記載(2008.12.26 日刊建設工業新聞 3頁)。
(10)「住宅建設、量から質へ(景気指標)」の見出しのもと、「政府は景気対策として過去最大規模の住宅減税を実施する。住宅ローンを借りる場合だけでなく、自己資金で新築・購入する時にも減税する。ただし、投資減税は長期優良住宅、いわゆる二百年住宅などに対象を絞る方針だ。」との記載(2008.12.16 日本経済新聞 朝刊 33頁)。
(11)「長寿200年住宅完成 ミサワインターナショナル社、九州初」の見出しのもと、「住宅建材メーカーのミサワインターナショナル(東京)が国産木材を使った『200年住宅』の九州初のモデルハウスを福岡県宗像市につくり、29日に内覧会を開いた。住宅を頑丈につくって長寿命化し、資源を節約する200年住宅は、国が今年度135億円かけてモデル事業を実施しており、同社も採択された。15センチ角の柱など、一般的な住宅の約2倍の量の木材を使い、壁ははずしたり移動したりでき、間取りを変えて長期居住できるように設計したという。」との記載(2008.7.30朝日新聞 西部朝刊 11頁)。
(12)「アキュラホーム、全国95の工務店と『200年住宅』で新組織」の見出しのもと、「アキュラホームは全国の工務店95社と共同で『200年住宅推進プロジェクト』を発足させた。アキュラホームが基本となる超長期耐用住宅のモデルを開発し、共同で資材を購入してコスト削減する。宣伝活動も展開して拡販する。超長期耐用住宅の普及が予想される中、地域密着型の工務店とタイアップし、大手住宅メーカーに対抗する。」との記載(2008.4.7 日刊工業新聞 17頁)。
(13)「ASJとミサワインター、『200年住宅』で業務提携」の見出しのもと、「アーキテクツ・スタジオ・ジャパンとミサワインターナショナルは11日、200年耐久をコンセプトにした木造住宅『HABITA(ハビタ)』で業務提携したと発表した。」との記載(2007.9.12 日刊工業新聞 20頁)。
(14)「社説/200年住宅-技術・制度整え普及を促そう」の見出しのもと、「『200年住宅』がいよいよ具体像を現す。200年住宅は構造躯体(スケルトン)と内装・設備(インフィル)を分離し、適切な維持管理により『超長期にわたって循環利用できる質の高い住宅』のこと。国土交通省が07年度内に『超長期住宅ガイドライン』を策定し、08年度には実現に必要な建設、維持管理、流通、金融などの各システムを統合したモデルプロジェクトを実施する。・・・200年住宅は大規模地震に耐えられる強度を持つ構造躯体で、内装・設備については居住者のライフスタイルの変化に対応できる可変性を備えることが基本コンセプト。・・・さらに国交省は200年住宅への政策的な誘導策として、ガイドラインに先だって08年度税制改正要望に登録免許税と固定資産税の軽減、不動産取得税の控除特例などを盛り込んだ。」との記載(2007.9.5 日刊工業新聞 2頁)。

審理終結日 2011-02-25 
結審通知日 2011-03-04 
審決日 2011-04-01 
出願番号 商願2009-64938(T2009-64938) 
審決分類 T 1 8・ 262- Z (X37)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 平澤 芳行浦崎 直之 
特許庁審判長 鈴木 修
特許庁審判官 小畑 恵一
板谷 玲子
商標の称呼 タマニヒャクネンジュータク、タマニヒャクネン、タマ、ニヒャクネンジュータク 
代理人 堤 隆人 
代理人 小堀 益 

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