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審決分類 審判 全部無効 商4条1項10号一般周知商標 無効としない X35
審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効としない X35
審判 全部無効 商4条1項11号一般他人の登録商標 無効としない X35
管理番号 1238232 
審判番号 無効2010-890035 
総通号数 139 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-07-29 
種別 無効の審決 
審判請求日 2010-04-30 
確定日 2011-05-09 
事件の表示 上記当事者間の登録第5174857号商標の商標登録無効審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 審判費用は,請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5174857号商標(以下「本件商標」という。)は,「CLAIRE」の文字からなり,平成19年6月27日に登録出願,第35類「織物及び寝具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として,平成20年9月18日に登録査定,同年10月24日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
請求人が,本件商標の登録無効の理由に引用する登録第4225283号商標(以下「引用商標」という。)は,「Claire’s」の文字及び記号からなり,平成9年3月19日に登録出願,第25類「婦人用ベルト,その他のベルト,靴下・その他の被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として,平成10年12月25日に設定登録され,現に有効に存続しているものである。

第3 請求人の主張(要旨)
請求人は,本件商標の登録はこれを無効とする審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め,その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べ,証拠方法として,甲第1号証ないし甲第33号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は,商標法第4条第1項第10号,同第11号及び同第15号に違反し登録されたものであるから,その登録は,同法第46条の規定により無効とされるべきものである。
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標と引用商標は,次のとおり外観及び観念において類似する。
ア 外観上の類似性
本件商標と引用商標を比較すると,両者は,引用商標の語尾に付されたアポストロフィー記号(’)と「s」を除き,語頭から6文字の綴りを同一にしているため,需要者に,同一の印象及び記憶を与えることになる。
そして,両者間には,語尾部分の「’s」の有無の差異こそあるものの,日本国内の需要者が有する中学校修了程度の英語力をもってすれば,かかる部分が所有格を表す用法であって,「Claire’s」の語が「Claireの」又は「Claireのもの」を意味することは充分に認識できるから,需要者は,「Claire」の部分に最も強く注意を惹き付けられるというべきであり,結果として,引用商標及び本件商標は,需要者に対してほとんど同一の記憶及び印象を抱かせることになる。
したがって,時と処を異にして両商標に接した場合,本件商標の外観が看者に与える印象や記憶と,引用商標の外観が与える印象や記憶とは相共通する部分が大きく,商品・役務の出所ついて混同を生じさせる可能性が高い。
よって,本件商標と引用商標は,外観上相紛れるおそれのある類似商標である。
イ 観念上の類似性
本件商標と引用商標の観念について考察すると,両商標に含まれる「Claire」の語が女性の名前として主に欧米で用いられている語であることは,あまねく知られているというべきであり,需要者は,引用商標を当該「Claire」の語に所有格「’s」を付加してなるものと認識することから,引用商標からは「Claireという女性の」や「Claireという女性のもの」といった観念が生じる。一方,本件商標からは,「『Claire』という名前の女性」の観念が生じる。
両者を観念において対比すると,所有格を表す用法である「’s」を付加したことによって生じた「・・・の」や「・・・のもの」の部分のみに差異が存するが,それ単独では何等の観念も生じさせず,他の名詞と結合して初めて意味を生じさせる性質を有していることを考慮すれば,「’s」の有無の差異は,対比する商標の観念における識別上,大きな影響を与えるものではなく,需要者は,引用商標を上記観念のみならず,「『Claire』という名前の女性」の観念でも認識するというべきであって,その意味で本件商標と引用商標とは,その観念を同一にするともいえるものである。
よって,引用商標と本件商標は,観念上も相紛れるおそれのある類似の商標である。
ウ 審決例及び異議決定例
上述した主張が正当であることは,「ALLEN’S」と「アリン」(昭和51年審判第4071号)のほか甲第5号証ないし甲第14号証にあげる審決例からも明らかである。これらの審決は,本件事案と同じく所有格と認められる語尾音「ズ」の有無に差異を有する商標の類否を争点としたものである。
エ 商品及び役務の類似性
本件商標の指定役務中「被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」と引用商標の指定商品「靴下・その他の被服」とは密接に関連しており,ファッション業界においては,被服の製造・販売と被服に係る小売等役務の提供が同一事業者によって行われることも多い。加えて「靴下・その他の被服」は,主に被服を取扱う卸売問屋や小売店で販売されるが「被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」は当該販売の際に提供される役務であることから,商品の販売場所と役務の提供場所とは一致している。また「靴下・その他の被服」の主たる需要者は,被服を取扱う卸売業者や小売店,さらには一般消費者であり,「被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」の主たる需要者は,被服を取扱う小売店や一般消費者であるから,その需要者の範囲は一致している。
してみれば,引用商標の上記指定商品と本件商標の指定役務「被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」とが類似する。
オ 小括
以上のとおり,本件商標と引用商標は,外観及び観念において類似する商標であり,また,本件商標の指定役務と引用商標の指定商品とは同一若しくは類似するものであるから,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
(2)商標「Claire’s」の著名性について
米国法人CLAIRE’S STORES,INC(以下,「Claire’s社」という。)及びその関連会社の業務に係る商品・役務について使用されている商標「Claire’s」(以下,「Claire’s商標」という。)は,日本国内のみならず,多くの国において需要者の間で広く認識されるに至っている。
ア Claire’s社
Claire’s商標は,Claire’s社及びその関連会社が,女性向けの宝飾品・頭飾品を中心に時計,財布,かばん,靴,被服,キーホルダー・携帯電話用ストラップ・文房具等雑貨類といったファッション関連製品(以下「Claire’s製品」という。)及び同商品の小売等役務について幅広く使用している商標であって,かつ,同社のハウスマークである(甲第15号証ないし甲第32号証)。
Claire’s社は,1974年に設立されて以来,一の店舗において低価格の身飾品や頭飾品等のファッション関連製品を豊富に扱うという他者にはない強みを活かして,事業拡大を継続し,平成18年(2006)年度においては,北アメリカに2,100店舗,ヨーロッパに772店舗,日本に172店舗,中東に84店舗,南アフリカに7店舗を構えるに至り,世界最大のファッション関連製品の製造販売・小売業者の一社に成長した(甲第15号証,甲第16号証)。
米経済誌FORBES(フォーブス)発表の「America’s Largest Private Companies」においては,2007年度の業績に基づき選出された441社中,Claire’s社は,第320位にランクインし,これは,「Apparel Store」の産業分野においては,第2位である(甲第17号証)。
このような事業展開を行っているClaire’s社の純売上高は,平成16年度が11億3283万4千米ドル,平成17年度が12億7940万7千米ドル,平成18年度が13億6975万2千米ドル,及び平成19年度が15億1000万米ドルであり(甲第16号証,甲第17号証),この事業規模及び業績からすれば,Claire’s社は,上記のようなファッション関連製品に関する製造販売・小売の分野においては,世界を代表する企業の一社であることは明らかである。
そして,引用商標は,Claire’s社のハウスマークであり,Claire’s製品やこれらを取り扱う3000店以上の世界各国Claire’s小売店において使用されている。
よって,引用商標は,遅くとも本件商標の出願がされた平成19(2007)年6月27日の時点において,日本を含む全世界規模で,需要者である女性の間で上記商品を指標する商標として広く認識されていたことは明らかである。
なお,請求人の「シービーアイ ディストリビューティング コーポレイション」は,甲第18号証のとおり,Claire’s社の子会社であり,同社の商標に関する権利を世界各国で保有し,管理等している法人であり,Claire’s社と法的には別法人ではあるものの,実質的にはClaire’s社の一部署のような立場にすぎない。
イ Claire’s社の日本国における事業展開
Claire’s社は,株式会社ジャスコ(東京都千代田区)との間で「Joint Venture Agreement」(甲第19号証)を交わし,二社の合弁で,Claire’s社の日本法人「クレアーズ日本株式会社(東京都中央区)」(以下「クレアーズ日本」という。)を1994(平成6)年7月に設立し,本格的に日本進出を開始した(甲第19号証ないし甲第22号証)。
そして,平成6年11月に日本1号店を東京都新宿区四谷にオープンして以来,店舗数を増やし続け,本件商標の出願時である平成19年6月27日時点では,日本全国に203の店舗を数えるに至っており,平成22年4月現在,店舗数はさらに増え,北海道12店舗,東北6店舗,関東93店舗,北陸・東海28店舗,関西52店舗,九州18店舗とほぼ全ての都道府県において店舗を有している(甲第21号証,甲第23号証)。また,その店舗は,原宿,渋谷,新宿,池袋等で展開され(甲第23号証),かつ,各都道府県の中心都市や大規模ショッピングモールにも展開していることから,需要者である女性のみならず一般需要者の多くが,実際に店舗に足を運んだり,その名を聞いたり,目にしたりしたことがあるというべきである。
さらに,実際にクレアーズ日本は,洋品類雑貨小間物の小売業界において,日本1,919社中第8位に位置づけられており(甲第22号証),この事実も使用商標が,需要者の間で人気を博していることを裏付けるものである。
また,Claire’s商品は,女性をターゲットにした様々な雑誌においても大きく数ページに渡って製品紹介がなされていたり,新聞記事にClaire’s社の事業展開や業績等の関連記事が記載されたり,女性のファッションに関するコラム記事にClaire’s社やClaire’s製品が紹介されたりしている(甲第25号証ないし甲第30号証)。
そして,クレアーズ日本の売上げは,平成14年度が29億300万円,同15年度が44億200万円,同16年度が55億2300万円,同17年度が68億4400万円,同18年度が75億7900万円,同19年度が84億5000万円,及び同20年度が85億9700万円であり,また,営業利益は,平成19年度が4億3800万円,及び同20年度が2億500万円である(甲第22号証)。
ウ 小括
以上のとおり,本件商標の出願時である平成19年6月27日の時点においては,日本国内において,請求人は身飾品や頭飾品等の製造・販売又は小売等役務に関する業務を行っている者として,また,請求人の業務に係る引用商標は,請求人の製造販売に係る商標及び小売店の名称として,需要者である女性の間では広く認識されていることは明らかである。
(3)商標法第4条第1項10号について
請求人は,本件商標が商標法第4条第1項10号に違反して登録されたものであることの根拠として,多くの国において需要者の間に広く認識されるに至っているClaire’s商標を引用する。
本件商標と引用商標が類似商標である以上,かかる引用商標と綴りを同じくするClaire’s商標は,本件商標と相紛れるおそれのある類似商標である。
Claire’s商標の使用に係る小売等役務中,「宝飾品・頭飾品等の小売又は卸売りの業務において行われる顧客に対する便益の提供」と本件商標指定役務とは,共に「衣」に関する商品の譲渡を役務の本質的要素としており,同一の卸売業者及び小売業者によって提供される役務であるから,これらの小売り等役務は類似する。また,「被服」と本件商標の指定役務中の「被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」とが類似することは既に述べたとおりである。
上述のとおり,本件商標は,他人(請求人)の周知商標「Claire’s」と類似する商標であって,その商品及び役務と同一・類似の役務に使用するものであるから,本件商標がその指定役務に使用された場合,需要者は,請求人の著名な引用商標を直ちに想起し,本件商標が使用された役務を請求人の提供に係る役務であると誤信するおそれがあることは明らかである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものである。
(4)商標法第4条第1項15号について
上述のとおり,請求人は,本件商標とClaire’s商標との間に「狭義の混同が生じるおそれ」があると思料するが,仮に,「狭義の混同」を生じない場合であっても,本件商標がその指定役務について使用された場合には,Claire’s商標との関係において,あたかも請求人又は同人と業務上あるいは組織上何等かの特殊な関係がある企業体が提供する役務であるかの如く,誤認・混同(いわゆる「広義の混同」)を生じることは明らかである。
そして,最高裁平成12年7月11日第三小法廷判決,いわゆる「レールデュタン」判決は,「混同を生ずるおそれ」の判断における考慮要素を5つ挙げているので,本件について各要件を検討する。
ア 当該商標と他人の表示との類似性の程度
本件商標の綴りとClaire’s商標の「Claire」の綴りが共通しており,その差異は,上述のとおり自他商品・役務の識別上大きな影響を与えない所有格に通じる「’s」のみである。
したがって,それぞれの外観・称呼及び観念が需要者に与える印象及び記憶における共通点を勘案すれば,需要者は,本件商標を請求人の業務に係る商標となんらかの関係ある商標であると誤認するおそれがあることは明らかである。
イ 他人の表示の周知・著名性及び独創性の程度
上述(2)のとおり,Claire’s商標は,日本国内のほぼ全域において使用されており,かつ,全世界的規模でも使用されていることにより広く知られており,その周知性ないし著名性は高い。
加えて,Claire’s商標は請求人のハウスマークとして使用されており,Claire’s店舗の出入り口の上など,人目を惹く場所に必ず使用されている。しかして,一般にハウスマークは,多くの商品及び役務に使用され,商標使用者とより密着しているため,自他商品役務識別力が強く,出所表示力が強い。
したがって,Claire’s商標が強い顧客吸引力を獲得するに至っていることは明らかである。
ウ 当該商標の指定商品等と他人の業務に係る商品等との間の性質,用途または目的における関連性の程度
ファッション業界においては,宝飾品,頭飾品,時計,履物,かばん類,被服,織物,携帯電話ストラップ・キーホルダー・文房具類等の雑貨類がファッションを構成する重要なアイテムの一つとして認識され,これらが同一の店舗において,一括して販売されていたり,一のブランドの下でこれらの商品を展開していたりする事実は既に常識になって久しい。
さらに,これら商品の製造を行っている者が,実際に小売店を構え,販売を行うことも往々にしてある。
Claire’s商標は,女性用の宝飾品・頭飾品を中心にファッションに通じる商品に幅広く使用されており,また,これらを取り扱う小売等役務について全世界規模・日本全国規模で使用されており,需要者である女性を中心に子供から大人まで広く認識されるに至っている。
したがって,Claire’s商標に係る商品・役務と本件商標の指定役務とは共にファッションに関する商品又はこれら商品を取り扱う小売等役務という点において共通していることからすれば,本件商標の指定役務と請求人の業務にかかる宝飾品・頭飾品・時計・財布等のファッション関連製品又はこれらに係る小売等役務とは,性質・用途又は目的において密接な関連性があるというべきである。
エ 商品等の取引者及び需要者の共通性
Claire’s商標の使用に係る商品及び小売等役務の需要者は一般女性であり,本件商標の指定役務は,女性用の商品を取り扱う小売等役務を含んでいる。
したがって,Claire’s商標の使用に係る商品及び小売等役務の需要者と,本件商標の使用に係る小売等役務の需要者は共通している。
オ その他取引の実状
ファッション業界は,競業関係にあるか否かを問わず二以上の者が協力して,それぞれ有するノウハウを活かしつつ一つの製品を作り上げる,いわゆる「コラボレーション」が日常的に行われている業界である。
このような商慣行の観点からも,需要者は,被請求人と請求人とが,組織的・経済的に何等かの関係を有しているものと認識する可能性は高いというべきである。
カ 小括
以上のとおり,本件商標が,その指定役務について使用された場合に,Claire’s商標との関係で,あたかもClaire’s社,又は同社と業務上あるいは組織上何らかの特殊な関係がある企業体が提供する商品であるかの如く,誤認・混同されることは必至である。
してみれば,本件商標は商標法第4条第1項第15号にも違反して登録されたものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 外観上の類似性
(ア)被請求人は,書体,大文字・小文字,及び文字間隔の違いを主張するが,本件商標と引用商標において用いられている書体・文字間隔は,共に,市井一般で広く使用されているごくありふれたものであることから,需要者は,これら書体・文字間隔については,注意を向けることはない。
また,大文字・小文字の違いについても,欧文字からなる商標について,大文字と小文字の間の変更使用は,広告宣伝活動や事業戦略等により,頻繁になされていることは経験則から明らかであることから,かかる違いについても,需要者が注意深く観察することはない。
さらに,被請求人の主張する本件商標の「すっきりした」,及び引用商標の「縮こまって窮屈な」との印象の相違についても,外観上の類否に影響を与えることのない差異に基づくものである。
したがって,これら相違については,比較する商標を時と場所を違えて観察する離隔的観察によった場合,これら差異をもって本件商標と引用商標とを彼此区別することはできないことは明らかである。
(イ)被請求人は,所有格を表す「’s」の有無の違いについて主張するが,近時の取引においては,簡易迅速性が求められ,ぱっと見たときの商標の印象を記憶し,商品の出所を特定しなければならない事態も頻繁に生じ,需要者は引用商標中「Claire」の部分に強い注意を向けることから,両者は,需要者に対してほとんど同一の記憶及び印象を抱かせることになる。
よって,この相違に基づき,本件商標と引用商標とが外観上非類似であるとする被請求人の主張も失当である。
イ 本件商標のフランス語としての認識性
(ア)被請求人は,過去の審決や判決(乙第2号証,乙第3号証)を引用し,被服等の分野においてはファッションの先進国であるフランス文化と関係が深く,当業者・需要者共にある程度フランス語の知識があると主張するが,今日においては,ファッションの流行を左右する「世界五大コレクション」と呼ばれる展示会が開催されている東京,ニューヨーク,ミラノ,ロンドン及びパリの各都市が所在する日本,アメリカ合衆国,イタリア及びイギリスもフランスと同様にファッション先進国であるといえるから,ファッション業界に身を置く者の中には,「フランス」を意識しない者が多数いて然るべきである。
よって,ファッション業界において,フランス語の理解力を有しない需要者も多く存在することは明らかである。
(イ)被請求人は,仏語辞典(乙第1号証)を提出し,フランス語「Claire」は,フランス語の単語の中でも基本中の基本の単語であるとし,本件商標に接する取引者・需要者は,本件商標をごく自然に「クレール」と称呼し,「明るい,薄い,透明の,分かりやすい,はっきりした」等の観念をもってこれを印象・記憶すると主張するが,フランス語を習得することが,ファッション業界での事業遂行においては必須ではなく,あくまで選択的なものにすぎない以上,当該主張は,本件商標がフランス語として認識される理由にはならない。
また,ファッション業界において,「Claire」の単語がカタカナ語として被請求人の主張する上記意味で広く使用されている事実もないことから,フランス語の辞書を参照しない限り,これを認識することは不可能である。
(ウ)被請求人は,実際の商標の事実(乙第5号証ないし乙第18号証)に基づき,本件商標は「クレール」と称呼されるフランス語であると主張するが,かかる使用事実は,「CLAIRE」単体で使用された場合に,需要者が「クレール」と読まれるフランス語であると認識することの証拠にはならない。
(エ)日本の中学までの義務教育課程における外国語の必須科目としては,フランス語は採用されていないから,中学修了程度の英語力を有する日本国内の需要者が欧文字からなる語句に接した場合,英語の理解力に従い解釈するのが自然である。しかも,「CLAIRE」には,「女性の名前」という特定の観念が存在していることから,需要者は,本件商標を英語からなる商標と理解するのは明らかである。また,本件商標は小売等役務について使用するものであって,その性質上,提供を受ける需要者にはフランス語の知識を全く有しない一般消費者も多数含まれることは当然であり,これら一般消費者がある程度のフランス語の理解力を有していることはあり得ない。
さらに,小売等役務を営む同業者の中にも,自らの事業展開において,フランス語圏に所在する者により製造された商品を取扱わない限り,フランス語の理解力は,全く以て不要である。
したがって,被請求人が,小売等役務の特色・性質について言及することなく,ファッション業界に身を置く当業者及び需要者を一括りにして,皆がある程度フランス語の知識があると主張するのは失当である。
ウ 観念における類似性
上述イのとおり,本件商標は英単語と認識されるに十分な理由が存していることから,本件商標は「Claireという女性」の観念で認識される。
また,被請求人は,所有格に基づく差異が観念上大きな相違を生み出すと主張するが,引用商標は,後に名詞が続かず,漠然と「名詞+’s」のみの態様で表示されているにすぎない場合には,「Claireという女性の」という末尾が極めて曖昧な観念で認識されることになるため,需要者の脳裏に当該末尾部分は強く刻み込まれないことは明らかである。
したがって,「人間」と「物」に限定して,類否を論じた被請求人の主張には理由がない。
エ 本件商標と引用商標との称呼上の類否
被請求人は,取引の実情を勘案すれば,本件商標より生じる自然的称呼は「クレール」であると主張するが,上述イのとおり,「クレール」のみが本件商標の自然的称呼でないことは明らかである。さらに,被請求人は,英語の解釈方法によって導き出される本件商標の「クレア」の称呼と引用商標の称呼との非類似性を何ら主張せずに,「クレール」と「クレアズ」を比較すれば,非類似であると断言するのは軽率である。
オ 以上のとおり,商標法第4条第1項第11号についての被請求人の主張には,いずれも理由がない。
(2)Claire’s商標の著名性について
ア 被請求人は,請求人の使用に係るClaire’s商標の態様が一致しておらず,引用商標が不明確であると主張するが,長年及び広範囲わたる商標の使用の経過や広告宣伝活動や事業戦略において,使用商標の書体の変更や,大文字・小文字の変更等は,日常的になされている。
そして,請求人は,使用態様の多少の違いはあれ,一貫して「Claire’s」の綴りを有する商標を全世界的規模で使用した結果,「Claire’s」という単語及びこの単語の「クレアーズ」の読みが請求人の出所標識として,需要者の間で広く認識されるに至っている。
イ 被請求人は,市場における当業者・需要者の認識を端的に示していると思われる第三者の手による使用事例は,全て「クレアーズ」である旨主張するが,甲第27号証及び甲第28号証においては,「Claire’s」の欧文字が,数度に亘って,目立つ態様で表示されていることは,ぱっと見ただけで容易に認めることができ,被請求人の主張は事実誤認に基づくものである。
ウ 加えて,被請求人は,請求人の提出に係る証拠は,不適切な証拠が大半を占めていると主張するが,甲第16号証,甲第21号証及び甲22号証において,本件商標の出願時前における請求人の日本国内外のClaire’s商標に関する事業展開が記載されている等,Claire’s商標の周知・著名性を裏付けるためには十分な根拠がある。
エ 以上のとおり,Claire’s商標の周知・著名性を否定するには,被請求人の主張は,いずれも理由がない。

第4 被請求人の主張
被請求人は,結論同旨の審決を求めると答弁し,その理由を次のように述べ,証拠方法として乙第1号証ないし乙第22号証を提出した。
1 商標法第4条第1項第11号について
本件商標と引用商標は,外観及び観念に加え,称呼においても明瞭な相違があり,彼此相紛れることのない非類似の商標である。
ア 外観上の類似性
本件商標と引用商標では大文字・小文字の相違に加え,書体が明瞭に異なっており,この書体の相違が看者に異なる印象を与えている。
そして,本件商標は,全ての文字が大文字で,かつ,肉細の書体でやや縦長に書されており,構成文字が全て背の高い大文字であることに加え,書体が肉細書体であることも相俟って,本件商標は,余白が目立つ態様であり,その結果,看者にすっきりした印象を与える。
一方,引用商標は,語頭の「C」を除きすべて小文字で,かつ,肉太の書体で書されており,構成文字が背の低い小文字を主体としていることに加え,肉太の書体が隙間無くぎっしりと並べられた引用商標は,縮こまった窮屈な印象を与える。
このように,本件商標と引用商標では,そもそも大文字・小文字の相違に加え,書体も相違することで外観的印象が大きく異なるものである。
さらに,引用商標は,語尾において本件商標にはない文字列「’s」の二文字が付加されている。この有無が看者に与える印象をより一層異ならせており,その存在が,看者の印象から欠落することはない。
したがって,両商標は,看者に全く異なる印象・記憶を与えるのであって,外観上非類似である。
イ 観念上の類似性
「Claire」は,フランス語で「明るい,薄い,透明の,分かりやすい,はっきりした」等の意味合いの形容詞で「クレール」と読む。そして,被服等の分野においてはファッションの先進国であるフランス文化と関係が深く,当業者・需要者共にある程度フランス語の知識がある(乙第2号証,乙第3号証)。しかも,仏語辞書中(乙第1号証)の「Claire」には記号「*」が2つ付けられており,これが厳選された基本700語を意味することからも明らかである(乙第4号証)。
したがって,本件商標に接する取引者・需要者は,本件商標をごく自然に「クレール」と称呼し,「明るい,薄い,透明の,分かりやすい,はっきりした」等の観念をもってこれを印象・記憶する。
一方,引用商標は,「’s」を含み,これが英語で所有格を意味するものであって,その前に位置するのは名詞に限定されるということは,中学生でも分かることである。そうとすれば,引用商標中の「Claire」部分は,請求人が主張するように,「Claireという女性のもの」という観念しか生じない。
そうすると,上記観念を生じる本件商標と,「Claireという女性のもの」の観念を生じる引用商標とは観念上非類似である。
ウ 称呼上の類似性
上記のとおり,「Claire」は平易な仏単語である。加えて,本件商標は「クレール」の称呼でもって従来より取引に資され,当業者・需要者に,被請求人の業務に係る商品を表象する商標として広く認識されているものであって,こうした取引の実情を踏まえて考えれば,本件商標よりは,「クレール」の称呼が生じると考えるのが自然である。
一方,引用商標は,所有格を表す「’s」の文字・記号を有しているが,所有格の前に位置するのは,通常,名詞である。そこで,引用商標に接する取引者・需要者は,フランス語「Claire(クレール)」が形容詞であることから,所有格を伴うことに違和感をおぼえ,やむなく,これを英語風に「クレア」と称呼する。その結果,引用商標よりは,「クレアズ」の称呼が生じるのである。
「クレール」と「クレアズ」の称呼を比較すれば,両者は,4音中2音が相違するものであり,非類似であることは明らかである。
エ 取引の実情
被請求人は,本件商標を下着専門店の店舗名として従来より使用しており,取引者・需要者に「クレール」の読み方で慣れ親しまれている。
被請求人は,「CLAIRE」の名称の店舗を1986年頃より全国で展開し,現在でも目本全国で,「錦糸町店」(錦糸町リヴィン内),「新浦安店」(MONA新浦安内),「松本パルコ店」(松本パルコ内),「グランデュオ立川店」(グランデュオ立川内),「青葉台店」(青葉台東急スクエア内),徳島クレメントプラザ店(徳島クレメントプラザ内),「青山店」(大丸ピーコック内),「自由が丘店」(大丸ピーコック内),「西新エルモール店」(西新エルモール内)及び「広島木通店」の10店舗を運営している。そして,乙第5号証ないし乙第18号証に示すとおり,被請求人は,「CLAIRE」に「クレール」の読み仮名を付して使用している。
こうしたことから,本件商標より生ずる自然称呼は「クレール」である。
オ 審決例及び登録例
請求人は,複数の審決例をあげるが,これらの審決例は,「’s」の有無が末尾における「ス(ズ)」音の有無の相違しか生じさせていない事例であり,本件商標と引用商標にあっては「’s」の有無の違いが,英語とフランス語という言語の違いに結びつくものである結果,称呼及び観念が全く異なり,これらの審決例と本件は本質的に事案が異なる。
逆に,「CLAIRE」の文字からなる登録商標と請求人の後願商標「Claire’s」について,第14類及び第25類の商品と第35類の小売り等役務並びに第14類の商品と第35類の小売り等役務において4例の併存登録がある。これらの併存登録例の存在は,本件商標と引用商標が非類似あるとの被請求人主張の妥当性を裏付けるものである。
2 使用商標の著名性について
ア 請求人は,Claire’s商標は,日本のみならず,多くの国において需要者の間で広く認識されているとして各種証拠を提出するが,提出された各商標に記載された商標は,たとえば,甲第24号証に記載された写真では「Claire’s」の「a」が白い円の中に「@」のように表示されていたり,片仮名で「クレアーズ」と表示されていたり,請求人が提出する各証拠は著名性を立証しようとする商標の態様が特定されておらず,証拠として不適切である。
さらに,こうした証拠の中で第三者によるClaire’s商標の紹介事例(甲第25号証ないし甲第30号証)をみれば,市場において,Claire’s商標が「クレアーズ」としてしか認識されていないことが図らずも明らかであり,欧文字「Claire’s」が日本において周知・著名であるとは認められない。
イ しかも,ウェブサイトの写し(甲第23号証,甲第24号証等)は,その日時が特定できないし,雑誌類は,平成20年8月号(甲第25号証),同年10月号(甲第26号証),同年3月号(甲第27号証),平成19年10月号(甲第28号証),及び同年9月号(甲第29号証号)であり,「クレアーズ」の語の検索結果及びその一部記事のプリントアウト(甲第30号証)も平成20年,同21年の記事を多数含んでいる。
ウ 小括
以上のように,請求人が提出する証拠では周知・著名性を立証しようとする引用商標が不明確であり,かつ,本件商標の出願時において周知・著名性を立証するに不適切な証拠が大半を占めている。
3 商標法第4条第1項第10号について
上記のとおり,欧文字「Claire’s」商標については,周知・著名性を立証する証拠が提出されておらず,当該商標が日本において広く認識されるとの請求人の主張は根拠がない。
加えて,上記1のとおり,本件商標と引用商標は,外観はもとよりとりわけ称呼及び観念において全く相紛れることのない非類似の商標である。
したがって,本件商標が商標法第4条第1項第10号に違反するとの主張は失当である。
4 商標法第4条第1項第15号について
請求人は,「レールデュタン」判決を踏まえて検討すれば,本件商標と欧文字「Claire’s」商標との間で広義の混同を生じるから,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであると主張するが,上記1のとおり,本件商標と引用商標は,非類似であるから,アの要件を満たしていない。
また,欧文字「Claire’s」商標については,周知・著名性を立証する証拠が提出されておらず,当該商標が日本において広く認識されるとの請求人の主張は根拠がなく,加えて,「Claire」商標には独創性もないから,イの要件も満たしていない。
その上,上記1でも述べたとおり,被請求人は本件商標を「クレール」の読み方で長年に亘り使用していおり,市場において「クレール」の読み方で取引者・需要者に慣れ親しまれている。
そして,過去,請求人の使用商標と出所について混同を生じたという事例は一切報告されていないから,オの要件も満たしていない。
したがって,本件商標が商標法第4条第1項第15号に違反するとの主張は失当である。
5 むすび
以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第10号,同第11号及び同第15号に違反して登録されたものではない。

第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標は,「CLAIRE」の欧文字からなるものであるところ,これは,「明るい,薄い,透明の」又は「クレール(女子の名)」等の意味を有し,「クレール」と発音されるフランス語であること,そして,本件商標の指定役務は,商標中にフランス語が好んで用いられる傾向にある被服や織物等のいわゆるファッション関連商品の小売りに関する役務であること,また,被請求人が本件商標の使用に当たり「クレール」の読みを付して使用していること等をあわせ考慮すれば,本件商標は,フランス語の読みである「クレール」の称呼を生ずるものであって,「明るい,薄い,透明の」ほどの観念を生ずるものとみるのが自然である(乙第1号証ないし乙第18号証)。
一方,引用商標は,「Claire’s」の欧文字からなるものであるところ,その構成中の「Claire」の部分は,本件商標と同様に,「明るい,薄い,透明の」又は「クレール(女子の名)」等の意味を有し,「クレール」と発音されるフランス語であることが認められる。
しかし,引用商標は,語末に英語の所有格を表す符号として一般によく知られ,馴染まれた「’s」を有していることから,これに接する需要者は,フランス語というよりは,全体として名詞に所有格を付した英語を表したものと認識するとみるのが自然である。加えて,請求人の関連会社であるクレアーズ日本が,自己の運営する店舗の名称に引用商標とほぼ同一の書体からなる「Claire’s」商標(以下「使用商標」という)を使用し,これを「クレアーズ」と称していること,また,雑誌の紹介記事等においても当該店舗が「クレアーズ」の片仮名文字で紹介されていること等をあわせ考慮すれば,引用商標は,「クレアーズ」の称呼を生ずるものであって,特定の観念を生じない造語を表したものとみるのが自然である(甲第21号証ないし甲第33号証)。
なお,請求人は,本件商標及び引用商標から称呼を生ずるとの主張はしていないが,引用商標と同一の文字からなる使用商標について,「クレアーズ」の読みが請求人の出所標識として,需要者の間で広く認識されるに至っているとして,使用商標が「クレアーズ」と読まれることを肯定している。
そこで,本件商標から生ずる「クレール」の称呼と引用商標から生ずる「クレアーズ」の称呼を比較すると,両称呼は,長音を含めて4音又は5音という短い音構成にあって,語頭の「クレ」の音を除く,「ール」と「アーズ」の音を異にするものである。
そうすると,両商標は,全体の構成音数及び音構成の相違及び相違する音の音質や音感の相違により,それぞれを一連に称呼した場合においても,称呼上,明確に聴別し得るものである。
次に,本件商標と引用商標の外観を比較すると,本件商標が欧文字の大文字のみにより「CLAIRE」と表してなるのに対し,引用商標は,欧文字の大文字と小文字及びアポストロフィー記号(’)の組み合わせにより「Claire’s」と表したものであるから,それぞれの構成に照らし,両商標は,外観上も十分に区別できるものである。
また,本件商標は,「明るい,薄い,透明の」ほどの観念を生ずるのに対し,引用商標は,特定の観念を生ずるものではないから,両商標は,観念上比較することはできず,観念における相違を理由に,非類似であるということはできない。
そうすると,本件商標と引用商標とは,外観,称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
してみれば,たとえ,本件商標の指定役務中の「被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」と引用商標の指定商品中の「くつ下・その他の被服」が類似するものであるとしても,本件商標と引用商標とは,商標について類似するものではないから,結局,本件商標は,商標法第4条第1項第11号には該当しない。
したがって,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第11号に違反してされたものとはいえない。
2 商標法第4条1項第10号及び同第15号該当について
請求人は,使用商標は,Claire’s社及びその関連会社が,その業務に係る商品,役務について使用し,遅くとも本件商標の出願時である平成19(2007)年6月27日の時点において,日本国内のみならず,多くの国において需要者の間で広く認識されるに至っている旨述べている。
そして,請求人の提出した証拠によれば,使用商標は,1974年に米国において設立されたClaire’s社が,その関連会社と共に女性向けの宝飾品,頭飾品,時計,財布,かばん等のいわゆるファッション関連商品及び同商品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供について使用をしている商標であり,Claire’s社及びその関連会社は,「Claire’sstores」と称され,使用商標を店舗名とすると推認される店舗を,本件商標の出願前である2006年の時点において,米国を中心に日本を含む各国に3,000以上展開していること,その売上高や雑誌「FORBES」にアメリカにおける大企業400社のうち一社に認定されたことが認められる(甲第15号証ないし甲第17号証)。
また,日本においては,Claire’s社は,1994年7月に株式会社ジャスコ(現在は「株式会社イオン」)との合弁で「クレアーズ日本」を設立し,使用商標を店名とすると推認される店舗の1号店を平成6年11月にオープンして以来,同名と推認される店舗を2000年の時点で104店,2008年の時点で214店展開していたこと,そして,クレアーズ日本の売上げは,平成14年度が29億300万円,同15年度が44億200万円,同16年度が55億2300万円,同17年度が68億4400万円,同18年度が75億7900万円であることが認められる(甲第19号証ないし甲第22号証)。
しかしながら,日本における使用商標の実際の使用状況を示す証拠をみると,使用商標を店名とする店舗が掲載されたウェブサイトの写しのうち,本件商標の出願日前のものは,甲第16号証及び甲第22号証のみであり,その他のウェブサイトの写し(甲第23号証,甲第24号証及び甲第31号証ないし甲第33号証)は,その作成日が特定できないか,本件商標の出願日以降のものである。また,使用商標を店名とする店舗や使用商標を使用した商品の紹介が掲載された雑誌類(甲第25号証ないし甲第29号証)は,いずれも本件商標の出願日後に発行されたものである。
加えて,請求人の提出に係る証拠からは,前記のほか,使用商標を使用した商品の販売数量,売上高,市場占有率,広告宣伝の方法や規模等の具体的事実を確認することができず,該証拠によっては,使用商標が,本件商標の出願時において,Claire’s社及びクレアーズ日本を含むその関連会社の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして,需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。
そして,使用商標は,引用商標とほぼ同一の書体からなるものといえるところ,前記1のとおり,本件商標と引用商標とは,相紛れるおそれのない非類似の商標である。
そうすると,本件商標は,他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であって,その商品若しくは役務又はこれらに類似する役務について使用をするものということはできない。
したがって,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第10号に違反してされたものとはいえない。
次に,本件商標の商標法第4条第1項第15号該当性についてみると,前記のとおり,本件商標は,使用商標とほぼ同一の書体からなる引用商標と互いに相紛れるおそれのない非類似の商標であって,かつ,明らかに区別できる別異の商標というべきものであり,また,使用商標が本件商標の出願時において,Claire’s社及びクレアーズ日本を含むその関連会社の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものともいえない。
そして,その他,使用商標が造語であること,ハウスマークであること,Claire’s社及びクレアーズ日本を含むその関連会社企業における多角経営の可能性,本件商標の指定役務と使用商標の使用に係る商品及び役務との類似性等を考慮するとしても,被請求人が本件商標をその指定役務に使用しても,これに接する需要者が,その役務がClaire’s社又はクレアーズ日本を含むその関連会社あるいは同人らと経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であると誤認し,役務の出所について混同するおそれがあるものということはできない。
したがって,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第15号に違反してされたものとはいえない。
3 むすび
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第10号,同第11号及び同第15号に違反してされたものではないから,同法第46条第1項の規定により,無効とすることはできない。
よって,結論のとおり審決する。
審理終結日 2010-12-09 
結審通知日 2010-12-14 
審決日 2010-12-27 
出願番号 商願2007-78279(T2007-78279) 
審決分類 T 1 11・ 26- Y (X35)
T 1 11・ 25- Y (X35)
T 1 11・ 271- Y (X35)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 今田 三男 
特許庁審判長 石田 清
特許庁審判官 小林 由美子
小川 きみえ
登録日 2008-10-24 
登録番号 商標登録第5174857号(T5174857) 
商標の称呼 クレール、クレア 
代理人 工藤 莞司 
代理人 辻居 幸一 
代理人 齋藤 宗也 
代理人 熊倉 禎男 
代理人 中村 稔 
代理人 長谷川 芳樹 
代理人 黒川 朋也 
代理人 藤倉 大作 
代理人 井滝 裕敬 
代理人 松尾 和子 
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