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審決分類 審判 一部申立て  登録を取消(一部取消、一部維持) X03
審判 一部申立て  登録を取消(一部取消、一部維持) X03
管理番号 1236736 
異議申立番号 異議2010-900170 
総通号数 138 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2011-06-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2010-06-11 
確定日 2011-04-08 
異議申立件数
事件の表示 登録第5310596号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5310596号商標の指定商品中、第3類「化粧品」についての商標登録を取り消す。 本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品についての商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5310596号商標(以下「本件商標」という。)は、「ニュートライザー」の片仮名と「Neutraizer」の欧文字とを二段に書してなり、平成21年6月4日に登録出願、第3類「家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,つや出し剤,せっけん類,歯磨き,化粧品,芳香剤(身体用のものを除く。),その他の香料類」、第5類及び第11類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同22年3月5日に登録査定され、同年3月19日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立人「高野勝弘」(以下「申立人A」という。)の登録異議申立ての理由
本件指定商品である「化粧品」の範ちゅうである「パーマネント用液」において、「ニュートライザー」の語は、「第2剤」を意味する語として普通に使用されているものである(申立人A提出の甲第1号証)。また、該語は、染毛剤、頭髪用化粧品、洗顔料等の本願指定商品においても、頭髪や皮膚に塗布された製品に対するpHに影響を与え、「中和剤の機能を有する商品」の意味を持って普通に使用されているものである(申立人A提出の甲第2号証)。
したがって、本件商標を「中和剤の機能を有する商品」あるいは「パーマネント用液第2剤」以外の本件指定商品に使用するときは、その商品があたかも「中和剤の機能を有する商品」あるいは「パーマネント用液第2剤」であるかのごとく直感させ、その商品の品質について誤認を生ずるから、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に該当し、本件商標の登録は、商標法第43条の2第1号により取り消されるべきものである。

3 登録異議申立人「株式会社ミルボン」(以下「申立人B」という。)の登録異議申立ての理由
「ニュートライザー」は、本件商標の出願前から、「パーマ2剤」について慣用されている商標である(申立人B提出の甲第2号証及び甲第3号証)から、本件商標は、商標法第3条第1項第2号に該当する。したがって、本件商標は、その指定商品中、「化粧品」についての登録は、商標法第43条の2第1号により取り消されるべきものである。

4 本件商標に対する取消理由
当審において、商標権者に対して、平成22年12月6日付けで通知した取消理由の要旨は以下のとおりである。
(1)申立人A及び申立人Bの提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。
(ア)「パーマ入門」(株式会社髪書房、2008年6月6日第1刷発行 写し)で、「ニュートライザー」の項に「アメリカではパーマ2剤をニュートライザー(Neutralizer)と呼んでいます。これを語源に中和剤という言い方もあります。しかし、還元・酸化の化学反応を利用していることを考えると、中和という呼称自体誤りです。」と記載されている(申立人Aの提出に係る甲第1号証と申立人Bの提出に係る甲第2号証)。
(イ)上左角部に「GRAPHICA|プロ専用品|美容師のみなさまへ|コタ株式会社」の表題のあるウェブサイト(写し)に、「AC(アルカリキャンセル)2%は、トーンダウン専用のカラー2剤です。配合成分であるニュートライザーがアルカリを中和し、ブリーチ力を抑え、繰り返しのカラー施術でも高いコンディショニング性をキープします。」の記載がある(申立人Aの提出に係る甲第2号証1枚目)。
(ウ)メロス化学のウェブサイト(写し)に「ニュートライザー 800ml(リフィル)」が写真と共に掲載され、その商品説明に「ニュートライザー アルカリ性に傾いた髪を中和させます。開いてしまったキューティクルをひきしめ潤いを持続させます。」の記載がある(同2枚目)。
(エ)「iVoCE」と題する2003年8月17日更新日のウェブサイト(写し)のセレヴィーナジャパンの「セレヴィーナ MD Phd クリスタル ピーライズ」の商品説明に「ピーリング後の酸性に傾いたお肌をニュートライザー(中和剤)を使用することで瞬時にphを戻すことが出来ます。」(同5枚目)
(オ)資生堂 医療機関向けナビジョン 商品詳細:ニュートライザー」と題するウェブサイト(写し)において、「ナビジョン ニュートライザー 100mL」の商品説明に「酸性に傾いた肌のpHをすばやく整えるクリニック専用の中和剤」の記載がある(同11枚目)。また、「SHISEIDO NEWS RELEASE」に美容皮膚医療機関向け化粧品「NAVISION」についての説明があり、「ナビジョン ニュートライザー」(2005年11月発売)について、上記申立人Aの甲第2号証11枚目と同様の説明が記載されている(申立人Bの提出に係る甲第3号証)。
(2)以上の甲各号証を総合すると、「ニュートライザー」は、本件商標の登録査定日前において、化粧品分野において「中和するもの(pHを調整するもの)」を表すものとして中和剤若しくは中和効果のある商品について使用され、知られているということができる。
そうとすると、本件商標は、これをその指定商品中の「化粧品」について使用するときは、これに接する取引者、需要者は、上記意味合いをもって商品の品質を表示するものとして、理解、認識するにすぎず、自他商品の識別標識としての機能を有しないものと認める。
したがって、本件商標の登録は、その指定商品中「化粧品」について、商標法第3条第1項第3号に違反してされたものである。

5 商標権者の意見
本件商標について、前記4の取消理由を通知し、相当な期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、商標権者は何ら意見を述べるところがない。

6 当審の判断
本件商標は、上記4で述べたとおりの取消理由があるものと認められる。
したがって、本件商標は、その指定商品中「化粧品」については、商標法第3条第1項第3号に違反して登録されたものといわざるを得ないから、同法第43条の3第2項により、その登録を取り消すべきものである。
また、本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品については、申立人Aの主張及び提出証拠を検討したが、商標法第4条第1項第16号に違反して登録されたものではなく、取り消すべき理由がないものと認められるから、商標法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2011-02-22 
出願番号 商願2009-41699(T2009-41699) 
審決分類 T 1 652・ 13- ZC (X03)
T 1 652・ 272- ZC (X03)
最終処分 一部取消  
前審関与審査官 浦辺 淑絵 
特許庁審判長 鈴木 修
特許庁審判官 内山 進
前山 るり子
登録日 2010-03-19 
登録番号 商標登録第5310596号(T5310596) 
権利者 エステー株式会社
商標の称呼 ニュートライザー、ノイトライザー、トライザー 
代理人 三輪 鐵雄 

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