• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 商3条1項5号 簡単でありふれたもの 登録しない Y0737
管理番号 1236720 
審判番号 不服2009-650003 
総通号数 138 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-06-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-01-08 
確定日 2011-03-08 
事件の表示 国際登録第926870号に係る国際商標登録出願の拒絶査定に対する審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は,ローマ字「R」及び数字「5」を別掲のとおり、「R5」と横書きしてなり、日本国を指定する国際登録において指定された、第7類「Pumps;vacuum pumps.」及び第37類「Services of installation,upkeep,maintenance and repair of pumps.」を指定商品及び指定役務として、2007年2月15日に、スイス国においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、同年(平成19)5月24日に国際商標登録出願されたものである。
第2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、欧文字『R』と数字『5』を結合した『R5』の文字を普通に用いられる方法で書してなるものであるところ、欧文字1文字と数字1文字を結合させた構成は、商品の品番・型式又は役務の種別、等級等を表す記号・符号として、普通一般に使用されているところである。そうとすれば、本願商標は、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標であるから、商標法第3条第1項第5号に該当する。」旨認定、判断をして、本願を拒絶したものである。
第3 当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第5号に該当するか否かについて職権に基づく証拠調べをした結果下記の事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、平成22月6月11日付けで、証拠調べ通知書をもって通知し意見を述べる機会を与えた。

1 欧文字1字と数字1桁を結合した標章が、本願に係る指定商品「Pumps;vacuum pumps」の分野において、品番を表示するものとして使用されている事実
(1)「株式会社川本製作所」のウェブサイト内の「製品紹介:カスケードポンプ」の項目に、「C3形 自吸カスケードポンプ(2極)」の記載がある。
(http://www.kawamoto.co.jp/product/03_cascade/c3.html)
(2)「(有)京阪錦鯉センター」のウェブサイト内の「川本ポンプ」の項に、「浅井戸用自動ポンプ カワエースN3形」の記載がある。
(http://www.koibest.com/pomp-kawamoto-N3.htm)
(3)「株式会社 三蔵」のウェブサイト内の「価格表 セルプラポンプ(株)寺田ポンプ製作所)の項目に、「セルプラポンプ O形・OL形・OH形」、「形式O-8」及び「形式O-9」の記載がある。
(http://www.mitukura.net/japan/value/motor/907.html)
(4)「アルバック機工株式会社」のウェブサイト内の「小型油回転真空ポンプの項目に、「小型油回転真空ポンプ Gシリーズ」の記載及び「型式 G-5」の記載がある。
(http://www.ulvac-kiko.com/pumps/index01.html)
2 「R5」の標章又は「R-5」の標章が、機械の分野において、商品の品番を表示するものとして使用されている事実
(1)「プラスデイ」のウェブサイト内の「PC USER」の項目に「オンキヨー、ノートPC『R5』『C2』にWiMAX搭載モデルを追加」の記載がある。
(http://plusd.itmedia.co.jp/pcuser/articles/1002/02/news057.html)
(2)「ロアスダイレクト Yahoo!店」のウェブサイト内の「ロジクールPC用ステレオスピーカー【R-5】」の項に「商品コード:R-5」の記載がある。
(http://store.shopping.yahoo.co.jp/lsshop/r-5.html)
第4 証拠調べ通知に対する意見の要旨
請求人は、本願商標の文字構成自体が商標法第3条第1項第5号に該当しないとの主張のみに終始するものではない。
本願商標は、その指定商品であるポンプ(真空ポンプ)について、1968年発売以降現在に至るまで継続して使用された結果、本願商標に接する取引者間において、請求人又は請求人の関連会社の製造、販売に係る商品として広く知られるに至っている。
第5 当審の判断
1 商標法第3条第1項第5号該当性について
本願商標は、ローマ字「R」及び数字「5」を別掲のとおり、「R5」と横書きしてなるところ、格別、特徴のある字体で表されているものでなく、また、特別の図形的な特徴を連想するものともいえないものである。
そして、前記第3で認定した事実よりすれば、欧文字1字と数字1桁を結合した標章が、本願に係る指定商品「Pumps;vacuum pumps」の分野において、品番を表示するものとして使用されている実情及び「R5」の標章又は「R-5」の標章が、機械の分野において、商品の品番を表示するものとして使用されている実情が認められる。
そうとすれば、本願商標は、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標として、認識されるものであるから、商品の出所を識別するための標識とは認識し得ないものといわなければならない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第5号に該当する。
2 商標法第3条第2項該当性について
請求人は、「本願商標は、その指定商品であるポンプ(真空ポンプ)について、1968年発売以降現在に至るまで継続してして使用された結果、本願商標に接する取引者間において、請求人又は請求人の関連会社の製造、販売に係る商品として広く知られるに至っている。」旨を主張しているところ、提出された甲第1号証ないし甲第21号証に照らせば、同法第3条第2項の適用により登録されるべきである旨をも主張していると理解できるから、以下、請求人の前記主張及び提出された証拠について検討する。
(1)商標法第3条第2項について
商標法第3条第2項の判断に当たっては、「商標登録出願された商標(以下「出願商標」という。)が、商標法3条2項の要件を具備し、登録が認められるか否かは、実際に使用している商標及び商品、使用開始時期、使用期間、使用地域、当該商品の生産又は販売の数量、並びに広告宣伝の方法及び回数等を総合考慮して、出願商標が使用された結果、判断時である審決時において,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものと認められるか否かによって決すべきものである。」(知財高裁平成18年(行ケ)第10054号 平成18年6月12日判決言渡)と判示されているので、以下、本趣旨に沿って検討する。
(2)甲各号証について
ア 甲第1号証は、Busch Incorporatedによる、1987年7月付けの海外向けニュースレター(写し)と認められるところ、英語で書かれていることから、我が国の取引者、需要者を対象としたものとは認め難い。
イ 甲第2号証及び甲第3号証は、日本ブッシュ株式会社のウェブページの打ち出しと認められるところ、当該のウェブページのアクセス数については、何ら主張がされておらず、また、証拠も提出されていないから、同号証によっては、本願商標が需要者にどの程度認識されたか判断することができない。
ウ 甲第4号証ないし甲第13号証は、真空ポンプについての請求人のパンフレットの写しと認められるところ、当該パンフレットが、何時、誰に対して、何部配布されたかについては、何ら主張がされておらず、また、証拠も提出されていないから、同号証によっては、本願商標が需要者にどの程度認識されたか判断することができない。
エ 甲第14号証は、「iPROS」のウェブサイトの打ち出しと認められるところ、当該ホームページのアクセス数については、何ら主張がされておらず、また、証拠も提出されていないから、同号証によっては、本願商標が需要者にどの程度認識されたか判断することができない。
オ 甲第15号証は、「中村産業株式会社」のウェブサイトの打ち出しと認められるところ、当該ホームページのアクセス数については、何ら主張がされておらず、また、証拠も提出されていないから、同号証によっては、本願商標が需要者にどの程度認識されたか判断することができない。
カ 甲第16号証は、「日本真空工業会」のウェブサイトの打ち出しと認められるところ、当該ホームページのアクセス数については、何ら主張がされておらず、また、証拠も提出されていないから、同号証によっては、本願商標が需要者にどの程度認識されたか判断することができない。
キ 甲第17号証は、「VACUUM2009第31回真空展」に関する「株式会社シー・エヌ・ティ」のウェブサイトの打ち出しと認められ、また、甲第18号証及び甲第19号証は、「セミコン・ジャパン 2008」に関するウェブサイトの打ち出しと認められ、さらに、甲第20号証は、「Fair participations 2009」を表題とする書面であると認められるところ、いずれにも、本件商標の記載はないから、同号証によっては、本願商標が使用された事実を認めることができない。
ク 甲第21号証は、日本ブッシュ株式会社社長が、関係者各位に宛てた英文の手紙(写し)及びその翻訳と認められるところ、当該翻訳には、「我々、日本ブッシュ株式会社は、本件商標『R5』と名付けられたポンプが、1980年代以降わが国において、日本ブッシュ株式会社並びにその販売代理店を通じて幅広く販売された事実を証明します。添付資料として、R5のポンプが遅くとも1984年以降わが国において販売されてきた事実を示す資料を提出します。」と記載されている。
しかしながら、貼付された資料は、R5価格表、R5プロダクトリーフレット及びR5に関するファクシミリ通信文のみであるところ、この程度の資料では、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものと認められない。
ケ 請求人は、「R5」真空ポンプについて、我が国における2003年から2008年までの各年ごとの販売数量と売上高及び2007年における「R5」真空ポンプの広告費について主張しているが、それを証する書面の提出がないことから、当該主張は採用することができない。
コ 本願の指定商品及び指定役務は、第7類「Pumps;vacuum pumps.」及び第37類「Services of installation,upkeep,maintenance and repair of pumps.」であるところ、請求人は、第37類「Services of installation,upkeep,maintenance and repair of pumps.」の役務については本願商標が使用されたことを証明する何らの証拠も提出していない。
そして、もし、出願商標に係る指定商品及び指定役務中に、商標法第3条第2項の要件を満たさないため登録を受けることができない商品又は役務があるときは、その指定商品及び指定役務中から当該商品又は役務が補正等により削除されない限り、その出願は全体として登録を受けることができないものと解すべきところ、上述のとおり、本願商標は、第7類「Pumps;vacuum pumps.」及び第37類「Services of installation,upkeep,maintenance and repair of pumps.」を指定商品及び指定役務として登録出願されたものであって、その後、何ら指定商品の減縮補正は行われていないものである。
そうとすると、本願商標は、その指定商品及び指定役務中の指定商品にのみ使用されているにすぎないことが明らかであるから、結局、前記(1)に照らせば、その指定商品及び指定役務の全部にわたって登録を受けることができないものといわざるを得ない。
サ その他、請求人の主張及び証拠をもってしても、本願商標が、その指定商品に使用された結果、取引者、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識するに至ったものとは認められない。
3 結論
以上のとおり、本願商標については、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標と判断するのが相当であって、かつ、甲各号証によっては、本願商標が使用による自他商品の識別力を備えたものになっていたともいい難く、商標法第3条第2項の要件を満たすものと認めることは出来ない。
したがって、本願商標は、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものであるから、商標法第3条第1項第5号に該当し、同法第3条第2項の要件を具備しないものであるから本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって、これを取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 【別記】

審理終結日 2010-10-13 
結審通知日 2010-10-15 
審決日 2010-10-27 
国際登録番号 0926870 
審決分類 T 1 8・ 15- Z (Y0737)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 池田 光治 
特許庁審判長 井岡 賢一
特許庁審判官 小林 由美子
大島 勉
商標の称呼 アアルファイブ、アアルゴ 
代理人 田中 克郎 
代理人 稲葉 良幸 
代理人 石田 昌彦 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ