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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X11
審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない X11
管理番号 1236588 
審判番号 不服2009-25942 
総通号数 138 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-06-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-12-28 
確定日 2011-04-21 
事件の表示 商願2009-5281拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、「適温おまかせ調理」の文字を標準文字で表してなり、第11類「家庭用電磁誘導加熱式調理器その他の家庭用電熱用品類」を指定商品として、平成21年1月28日に登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『適温おまかせ調理』の文字を標準文字で書してなるものであるが、該文字は、その指定商品中『電磁誘導加熱式調理器』等の調理用の商品に使用した場合は、『適温をまかせられる調理』程の意味合いを容易に想起させるにとどまるものであり、これをその指定商品について使用しても、これに接する取引者・需要者は、単に商品の品質を記述的に表示したものと理解・認識するにすぎないとみるのが相当であるから、本願商標は、自他商品の識別標識としての機能を果たすものと認めることはできない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨、認定、判断して本願を拒絶したものである。

第3 当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権により証拠調べをした結果、下記の事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき請求人に通知し、相当の期間を指定して意見を述べる機会を与えた。

1 辞書類の記載について
(1)てきおん【適温】ほどよい温度。適した温度。(「広辞苑第6版」株式会社岩波書店)
(2)おまかせ【御任せ】自分で判断・選択せず、他人にまかせること。一任すること。(前掲「広辞苑第6版」)
(3)ちょうり【調理】1物事をととのえおさめること。2料理すること。(前掲「広辞苑第6版」)
(4)ちょうり【調理】調は“ととのえる”、理は“おさめる”の意。すなわち、調理の語義は“ととのえおさめる”ことであり、食品に種々の操作を加えて食物(食べ物)にすることをいう。(「改訂調理用語辞典」株式会社調理栄養教育公社)

2 本願の指定商品との関係における「適温」、「おまかせ」及び「調理」の文字について
(1)電磁誘導加熱式調理器のカタログ
ア 「適温調理で手軽においしく フライパン焼き物温度調節」の見出しの下、「メニューにあわせて140℃、160℃、180℃、200℃、230℃の5つの温度を設定できます。」の記載(パナソニック株式会社IHクッキングヒーター特選カタログ 2010/夏)。
イ 「食材投入のタイミングを見張る 予熱おまかせ機能」の見出しの下、「炒め物、焼き物などの高温料理は『予熱』が大切。適温に達したら音声でお知らせし、温度を5分間キープします。」の記載(前掲パナソニック株式会社IHクッキングヒーター特選カタログ)。
ウ 「おまかせ調理・おまかせ判別」の見出しの下、「両面焼きグリルだから、ほとんどの焼き魚メニューが自動でできます。」の記載(前掲パナソニック株式会社IHクッキングヒーター特選カタログ)。
エ 「煮物、焼き物、炒め物。どんな火加減でもおまかせIH」の見出しの下、「三菱のIHクッキングヒーターが又一段と進化しました。3つの加熱技術で様々な火加減が自由自在。どんなメニューもカンタン調理で、ぐっと本格派の味に。」の記載(三菱電機株式会社三菱IHクッキングヒーターカタログ 2010年2月作成)
オ 「火加減上手はお料理上手。煮込み料理が得意メニューに。」の見出しの下、「火加減はおまかせだから、誰でもコツいらずで煮物上手に。」の記載(前掲三菱電機株式会社三菱IHクッキングヒーターカタログ)
カ 「発酵も焼きもおまかせパンメニューキー」の見出しの下、「ポンとボタンを押すだけで、生地の発酵温度を自動キープ。」の記載(前掲三菱電機株式会社三菱IHクッキングヒーターカタログ)。
(2)新聞記事情報
ア 「[市場を読む]〈上〉IH調理器『多機能』から『付加価値』へ」の見出しの下、「口火を切ったのは国内トップシェアを誇るパナソニック。08年4月に発表した新製品に、業界で初めて赤外線の光出力センサーを使った『予熱おまかせ機能』を搭載した。従来の温度管理はトッププレートを伝わる熱から、鍋底の温度を推定する手法が主流。同社は光センサーで直接鍋底を監視することで、測定の精度を向上。高温時の安全確保と適温調理による『おいしさ』を両立できる製品を生み出した。」の記載(2009.3.6電気新聞10頁)。
イ 「IHの新製品、21機種 適温機能強化 レシピに広がり/日立AP」の見出しの下、「設定した目安温度に予熱や加熱をコントロールする『適温調理機能』を強化。・・・適温調理機能の温度維持時間を従来の15分から45分に延ばし、火加減が難しかった料理も簡単に調理できるようにしたほか、レシピの広がりに対応し、クッキングガイドと使い方DVDを付属。」の記載(2010.7.8電気新聞 4頁)。
(3)ウェブサイト情報
ア 「むずかしい卵料理の火加減も簡単 適温調理機能」の見出しの下、「光&4温度センサーで、予熱も加熱もコントロール。卵料理からステーキまで多彩な料理をサポートします。」の記載(http://kadenfan.hitachi.co.jp/catalog/ih/ih.pdf)。
イ 「IHクッキングヒーター」の見出しの下、「火力調節もおまかせ 超トロ火から高火力まで、ボタンひとつで簡単調節」の記載(http://www.tepco-switch.com/after/ih/heat-j.html)。
ウ 電磁誘導加熱式調理器に係るウェブページにおいて、「便利な機能でお料理上手に」の見出しの下、「揚げ物の温度設定はマイコンにおまかせ 温度設定機能を使えば、マイコンが上手に温度をキープ。揚げ物がおいしく仕上がります。」の記載(http://www.chuden.co.jp/electrify/livelihood/ih/usage.html)。
エ 「日立、IHクッキングヒーター『HT-E』シリーズ」の見出しの下、「2009年モデルと同様、鍋底温度を検知する光センサーと、4個の温度センサーから構成されている『適温調理機能』を搭載し、設定した目安温度に予熱や加熱をコントロールすることが可能。」の記載(http://news.kakaku.com/prdnews/cd=kaden/ctcd=2123/id=11866/)。
オ 「日立『適温調理』は、予熱も調理も温度おまかせ。」の見出しの下、「この機種のスゴイところは、『予熱』完了 で食材投入のタイミングを教えてくれるだけでなく、料理中は、その食材に最適な温度をキープしてくれるところ。『適温調理機能』といいます。この『適温調理機能』は、『炒めもの』なら180℃、『ステーキ』なら220℃というように、それぞれの料理にあった『適温』にしてくれるという優れものです。予熱から調理まで、『炒めもの』『ステーキ』という2通りの温度を選択できるというところが、パナソニックの『予熱おまかせ機能』とは、違うところです。」の記載(http://www.alldenka-reform.com/blog/?p=559)。
カ 電磁誘導加熱式調理器に係るウェブページにおいて、「鍋底温度をダイレクトに広範囲にはかって、火加減!」の見出しの下、「適温調理機能で選んだメニューに合わせて設定目安温度をキープします。」の記載(http://www.daikinaircon.com/catalog/ihcook/features/f02.html)。
キ 「揚げ物料理はおまかせ! 5月下旬入荷予定 揚げ物料理はおまかせ 電気フライヤー」の見出しの下、「揚げ物料理はおまかせ!!苦手な揚げ物もこの電気フライヤーで上手に調理!」の記載(http://store.shopping.yahoo.co.jp/tsuhan-o/xj-5k100co.html)。
ク 「スチームクッカーは電気の蒸し器です。」の見出しの下、「『スチームクッカー』はガスを使う蒸し器と違い、ガスコンロをふさがずに、タイマーでおまかせ調理が出来るので、とっても手軽に簡単に蒸し料理が作れます。」、「タイマー付きでおまかせ調理。そばを離れて他の調理や家事ができます。」 の記載(http://www.steamcooker.t-fal.co.jp/02.html)。
ケ オーブントースターに係るウェブページにおいて、「マイコンおまかせ『自動焼き』」の見出しの下、「マイコンで温度を細かくコントロール。トーストはもちろん冷凍トースト、冷蔵グラタン、冷蔵ピザもワンタッチででき上がり。また、お好みの焼き色に調節できるので、続けて焼いても失敗がありません。」の記載(http://www.zojirushi.co.jp/syohin/kitchenware/ETRT.html)。

第4 証拠調べに対する請求人の意見
請求人は、前記第3の証拠調べに対し、何ら意見を述べていない。

第5 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号該当性について
商標法3条1項3号に掲げる商標が商標登録の要件を欠くとされているのは、このような商標は、商品の産地、販売地その他の特性を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示としてなんぴともその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場合自他商品識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解すべきである(最高裁昭和53年(行ツ)第129号 昭和54年4月10日第三小法廷判決言渡 裁判集民事126号507頁、判例時報927号233頁)。
これを踏まえて、本願商標の商標法第3条第1項第3号の該当性についてみるに、本願商標は、前記第1のとおり、「適温おまかせ調理」の文字を標準文字で表してなるところ、前記第3の1によれば、その構成中の「適温」の文字は、「ほどよい温度。適した温度。」等の意味を有する語であり、「おまかせ」の文字は、「自分で判断・選択せず、他人にまかせること。一任すること。」等の意味を有する語であり、さらに、「調理」の文字は、「料理すること。」等の意味を有する語として、いずれも一般に広く知られているものであるから、該「適温」、「おまかせ」、「調理」の3語の組合せからなるものと容易に理解、把握されるものである。
そして、前記第3の2の事実によれば、本願商標の構成中の「適温」、「おまかせ」及び「調理」の各文字は、それぞれ、「料理に適した温度」、「(調理器に)まかせられること」、「料理すること」の意味合いをもって取引上、普通に使用されていることが認められる。
そうとすれば、本願商標は、これをその指定商品中、「家庭用電磁誘導加熱式調理器,家庭用電気式揚物器,家庭用電気食品蒸し器」に使用したときは、これに接する取引者、需要者に、その構成全体から、「料理に適した温度を調理器にまかせて料理」の意味合いを容易に理解、把握させるにとどまり、自他商品の識別標識としては認識し得ないというべきであるから、商品の品質を表示したにすぎないものといわなければならない。

2 商標法第4条第1項第16号該当性について
本願商標は、前記1のとおり、「料理に適した温度を調理器にまかせて料理」の意味合いを容易に理解、把握させるものである以上、これをその指定商品中、「家庭用電磁誘導加熱式調理器,家庭用電気式揚物器,家庭用電気食品蒸し器」以外の「家庭用電熱用品類」に使用する場合は、あたかも「適した温度を(調理器に)まかせて調理のできる家庭用電熱用品」であるかのように、その商品の品質について誤認を生じるおそれがあるものと判断するのが相当である。

3 請求人の主張について
請求人は、過去の審決例を挙げて本願商標も登録されるべきである旨主張するが、それらの審決例は、指定商品及び指定役務の内容及び商標の具体的構成等において本願とは事案を異にするものであり、また、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるか否かは、当該商標の構成態様と指定商品及び指定役務とに基づいて、個別具体的に判断されるべきものであり、本願商標については、前記1及び2のとおり判断するのが相当であるから、請求人の主張は、採用できない。

4 むすび
以上によれば、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2011-02-24 
結審通知日 2011-02-25 
審決日 2011-03-09 
出願番号 商願2009-5281(T2009-5281) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (X11)
T 1 8・ 272- Z (X11)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 今田 尊恵 
特許庁審判長 井岡 賢一
特許庁審判官 大森 友子
末武 久佳
商標の称呼 テキオンオマカセチョーリ 
代理人 堀口 浩 

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