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審決分類 |
審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y20 |
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管理番号 | 1236541 |
審判番号 | 取消2009-300931 |
総通号数 | 138 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2011-06-24 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2009-08-13 |
確定日 | 2011-04-04 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4942495号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第4942495号商標(以下「本件商標」という。)は、「Rocky」の欧文字を標準文字で表してなり、平成17年8月12日に登録出願、第20類「家具」を指定商品として、同18年4月7日に設定登録されたものである。 2 請求人の主張 請求人は、本審商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出している。 (1)請求の理由 本件商標は、指定商品のいずれについても、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかによって使用された事実が存しないものであるから、商標法第50条第1項の規定により、その登録は取り消されるべきである。 (2)第1弁駁 ア 乙第1号証からは、有限会社村田家具(以下「村田家具」という。)のウェブサイトにおいて、指定商品「椅子」につき、商標「Rocky」が使用されているかのような事実を確認することはできる。 しかしながら、当該サイトは「商標権者」が運営するサイトでないばかりか、当該サイトを運営していると思われる村田家具が、本件商標権についての「専用使用権者又は通常使用権者」であることを立証する客観的事実も示されていない。 したがって、乙第1号証によっては、「商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれか」が本件商標の使用をしていることについて、何らの証明もなされていないといえる。 イ また、被請求人(以下「スチールケース社」という場合がある。)は、該サイトには2007年から2009年の掲載を示す村田家具の著作権表示があり、その表示により2009年には該サイトに掲載の乙第1号証に示す商品が販売されていたことが証明されている旨述べている。 しかしながら、前記著作権表示がなされているという事実は、本件商標が本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において使用されていたという事実を直接的に証明するものではなく、これらの事実に関する因果関係を間接的に示すような資料等も一切提出されていない。 よって、仮に、当該サイトを運営していると思われる村田家具が、本件商標権についての通常使用権者等であったとしても、乙第1号証によっては、本件商標の使用に関する時期的な証明が何らなされていないということになる。 (3)第2弁駁 被請求人は、平成22年10月7日付の第3答弁書において、乙第2号証の1ないし乙第3号証を提出し、本件商標の使用事実を示してはいるが、これらの事実によっても、本件商標が、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかにより当該指定商品に使用されたという事実は明確に証明されていない。 即ち、被請求人は、乙第2号証の1ないし乙第2号証の9として提出した総合カタログにおいて、株式会社くろがね工作所(以下「くろがね工作所」という。)が、本件審判の請求の登録日前3年以内に日本国内において、本件商標を指定商品「椅子」につき使用していたという事実を示してはいるが、くろがね工作所が、本件商標権についての「専用使用権者又は通常使用権者」であることを立証する客観的事実は十分に示されていない。 また、被請求人の提出した乙第3号証は、2010年10月6日の時点におけるスチールケース社のウェブサイトにおいて、くろがね工作所が、単にスチールケース社の販売代理店として掲載されている事実を示すに過ぎず、くろがね工作所が、本件審判の請求の登録日前3年以内に、商標権者より明示又は黙示の使用許諾を受けていた者であることを何ら証明するものではない。通常、正規の販売代理店であれば、何らかの契約が締結された上で、商標の使用に関する規定も明文化されていると考えられるが、そのような事実の裏付けとなるような資料も被請求人より一切提出されていない。これらの事実が認められない限り、くろがね工作所が本件商標権についての「専用使用権者又は通常使用権者」のいずれかに該当するとは言い得ない。 以上のように、被請求人が提出した証拠によっては、本件商標が本件審判の請求の登録日前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかにより、その請求に係る指定商品について使用されていた事実は未だ十分に証明されていない。したがって、本件登録は、その不使用を理由とする取消しを免れ得るものではない。 3 被請求人の主張 被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第3号証(枝番号を含む。)を提出している。 (1)第1答弁 被請求人は、本件商標の指定商品「椅子」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を本件審判請求の登録前3年の間に日本国内において使用している。以下、本件商標の使用事実を証明する。 被請求人は、アメリカ合衆国ミシガン州グランドラピッズを拠点とするオフィス用家具の世界的メーカーである。日本における被請求人商品は、日本スチールケース株式会社を中心に株式会社内田洋行(以下「内田洋行」という。)、くろがね工作所、村田家具などを通して販売されている。 ア 乙第1号証は、村田家具のウェブサイト写しであって、該サイトには被請求人提供の商品「オフィス用チェア」の商品名として本件商標とほぼ同一の商標「Rocky」が使用されている。 イ そして、該サイトには2007年から2009年の掲載を示す村田家具の著作権表示があり、その表示により2009年には該サイトに掲載の乙第1号証に示す商品が販売されていたことが証明されていることになる。 よって、被請求人が本件商標の指定商品「椅子」について、本件商標を本件審判請求の登録前3年の間に日本国内において使用していること明らかである。 (2)第2答弁 請求人の第1弁駁に対し、以下のとおり答弁する。 ア 商品は、生産者又はその販売者から流通過程を経て最終消費者に販売・提供されるのが一般であるから直接商標権者又は使用権者から提供・販売されていないことをもって使用にあたらないことにはならない。 イ 「(C)2007?2009」の表示は、当該著件物の最初の発行年?最終更新年を表す表示であるからその間当該サイトに掲載されていたことは明らかである。 (3)第3答弁 乙第2号証の1ないし9は、くろがね工作所が2008年1月1日発行したオフィス用家具商品の総合カタログである。そして、乙第3号証に示すとおり、くろがね工作所は、被請求人商品の日本における販売代理人である。 該カタログは、くろがね工作所が2008年に販売又は取扱うオフィス用家具商品を網羅したものであり、その中には日本で販売される被請求人製品の大半が掲載されている。そして、該カタログは2008年1月1日に発行されたものであり、カタログ中の「カタログご利用方法」(700頁)には、掲載商品について、「このカタログは2008年1月1日現在に販売を予定する製品と近日に販売する製品を掲載しています。」と記載されている。したがって、該カタログ掲載商品が、本件審判請求の登録前3年以内に広告に供されていたことは明らかである。 そして、該カタログの項目10「ミーティングチェア」欄435頁には、「椅子」の写真が掲載され、その商品名として本件商標と社会通念上同一の商標「Rocky」が表示され、またその商品説明が掲載されている。また、396?7頁「ミーティングチェア目次」及び696頁「Product Index」欄にも商品「椅子」の写真とその商品名として本件商標「Rocky」が表示されている。 したがって、該カタログにより、被請求人の販売代理人であるくろがね工作所によって、2008年に本件商標「Rocky」が付された商品「椅子」が広告されていたこと明らかである。なお、それによって商標「Rocky」が付された商品「椅子」が販売されたことも十分推認できる。 よって、本件商標と社会通念上同一の商標が本件商標の指定商品の一である「椅子」について、被請求人の販売代理人によって、本件審判請求の登録前3年の間に日本国内において使用されていたこと明らかである。 以上より、本件商標は、指定商品中の「椅子」について、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において使用していたものであるから、本件審判の請求は認められないものである。 4 当審の判断 (1)被請求人提出の証拠によれば、以下の事実が認められる。 乙第1号証は、村田家具のウェブサイトにおける「ミーティングテーブル&チェアー」についての「steelcase」の「Rocky」に係るウェブページのトップページである。そして、その1枚目には、「steelcase」、「Rocky」、「ロッキー」及び「アメリカ」の文字が表示されており、その下に、商品説明が記載され、椅子の写真が各機能の説明などとともに掲載されている。 2枚目には、「ご注文フォーム」の文字の下に、「当社は、株式会社内田洋行正規販売店です。」の記載がある。 4枚目は、同ウェブページの椅子の注文に係るページである。そして、該ページには、「steelcase」、「Rocky」、「ロッキー」及び「アメリカ」の文字が表示されており、その下に、2タイプの椅子の写真が掲載され、それぞれ「ロッキー 4スター脚タイプ」及び「ロッキー V字脚脚タイプ」として、価格等の商品説明が記載されている。 また、各頁は、その下段に印字された「2010/04/22」からして、平成22年4月22日に出力されたものである。 乙第2号証の1ないし9は、2008年1月1日発行のくろがね工作所の「KUROGANE OFFICE FURNITURE 2008 Vol.38(くろがね2008総合カタログ Vol.38)」(以下「総合カタログ」という。)である(乙2の8)。 総合カタログの397頁(乙2の4)の右下、及び435頁(乙2の5)の上部には、「Steelcase」及び「Rocky」の文字が表示されるとともに、椅子の写真が掲載されている。 乙第3号証は、スチールケース社に係るウェブページである。そして、その3枚目及び4枚目には、「スチールケース販売代理店」の項目のもと、「株式会社内田洋行」、「株式会社くろがね工作所」及び「株式会社ワークプレイスソリューションズ」が販売代理店として表示されている。 また、各頁は、その下段に印字された「2010/10/06」からして、平成22年10月6日に出力されたものである。 (2)上記によれば、くろがね工作所は、同社の2008年用の総合カタログにおいて、「Steelcase」及び「Rocky」の文字が表示されたスチールケース社の椅子を、日本国内の需要者に向け、平成20(2008)年1月1日の時点で販売していたことを認めることができる(乙2、乙3)。 また、村田家具が内田洋行を通じ、その正規販売店として、同社の通信販売に係るウェブページにおいて、「Rocky」又は「ロッキー」の文字が表示されたスチールケース社の2タイプの椅子を、日本国内の需要者に向け、平成22年4月22日の時点で販売していたことを認めることができる(乙1)。 そして、スチールケース社に係るウェブサイトには、販売代理店として「株式会社内田洋行」及び「株式会社くろがね工作所」が表示されているところ、くろがね工作所については、平成20年1月1日の時点において、スチールケース社の椅子を総合カタログで取り扱っていることからすれば、審判請求前3年以内にスチールケース社の販売代理店という関係にあったものと認められる。 (3)使用商標について くろがね工作所がスチールケース社の椅子について使用する使用商標は、「Rocky」の文字であって、本件商標と社会通念上同一のものと認められる。 (4)商標権者の「使用」について 商標法第2条第3項が同法上の標章の「使用」の定義を規定した趣旨は、商品に標章が表示される場合において、それが何人の使用と認められるものであるかについては社会通念にゆだねるとともに、同法の目的との関係を考慮し、特に商品の識別標識として機能すると認められる事実についてのみ、これを「使用」であると定義することにより、同法上の「使用」としての法的効果を認めるべき行為の範囲を限定したものであると解される。そして、商標権者等が商品に付した商標は、その商品が転々流通した後においても、当該商標に手が加えられない限り、社会通念上は、当初、商品に商標を付した者による商標の使用であると解されるから、その商品が実際に何人によって所有、占有されているとを問わず、同法第2条第3項に該当する行為が行われる限り、その行為は、当初、商品に商標を付した者による商標の「使用」行為であるというべきである。これを本件のような我が国で商標登録を有する外国法人との関係についてみれば、商標権は、国ごとに出願及び登録を経て権利として認められるものであり、属地主義の原則に支配され、その効力は当該国の領域内においてのみ認められるところから、当該外国法人が商標を付した商品が我が国外において流通している限りは、我が国の商標法の効力は及ばない結果、我が国の商標法上の「使用」として認めることはできないものの、その商品がいったん日本に輸入された場合には、当該輸入行為をとらえ、当該外国法人による同法第2条第3項第2号にいう「商品に標章を付したものを輸入する行為」に当たる「使用」行為として、同法上の「使用」としての法的効果を認めるのが相当である。(東京高裁 平成15年6月2日判決言渡 平成14年(行ケ)第346号) そうとすれば、本件においては、上記(1)ないし(3)を総合すれば、本件商標の商標権者であるスチールケース社が販売する本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用した商品の「椅子」について、本件審判請求の予告登録日前3年以内である平成20(2008)年1月ころには、少なくとも取引先のくろがね工作所がこれをカタログに掲載した事実、及び販売を推認できるから、上記くろがね工作所の広告及び販売行為をもって、商標法第50条に規定する商標権者による本件商標の「使用」があったものと認めることができるというべきである。 (5)請求人の主張 請求人は、スチールケース社による国内における使用行為の存在自体を争うとともに、くろがね工作所が本件商標について商標権者より明示又は黙示の使用許諾を受けていた者であることを何ら証明していない等と主張するが、スチールケース社の椅子について、くろがね工作所による広告及び販売行為が認定できることは、上記(4)のとおりであって、上記で説示したとおり、販売代理店であるくろがね工作所の広告及び販売行為をもって商標権者の「使用」と解することができるというべきであるから、くろがね工作所が商標権者より本件商標の使用許諾を受けていた者であるかの有無を問題にする請求人の主張は失当である。 (6) 以上のとおりであるから、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に商標権者の販売代理店であるくろがね工作所を介し、日本国内において、その請求に係る指定商品の「家具」に含まれる「椅子」について、商標権者により使用されていたものと認め得るものである。 したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すことはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審理終結日 | 2011-02-03 |
結審通知日 | 2011-02-08 |
審決日 | 2011-02-21 |
出願番号 | 商願2005-75872(T2005-75872) |
審決分類 |
T
1
31・
1-
Y
(Y20)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 前山 るり子 |
特許庁審判長 |
鈴木 修 |
特許庁審判官 |
井出 英一郎 内山 進 |
登録日 | 2006-04-07 |
登録番号 | 商標登録第4942495号(T4942495) |
商標の称呼 | ロッキー |
代理人 | 曾我 道治 |
代理人 | 岡田 稔 |