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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 025
管理番号 1236538 
審判番号 取消2010-300429 
総通号数 138 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-06-24 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2010-04-14 
確定日 2011-04-08 
事件の表示 上記当事者間の登録第4035031号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4035031号商標(以下「本件商標」という。)は、「KhANS KhAN」の文字を書してなり、平成7年11月17日に登録出願、第25類「被服(和服を除く),ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、同9年8月1日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張
請求人は、本件商標の指定商品中、第25類「被服(和服を除く)」について登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁の理由を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第3号証を提出した。
(1)請求の理由
本件商標は、その指定商品中、第25類「被服(和服を除く)」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実がないから商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
(2)弁駁の理由
ア 被請求人は本件商標の使用を立証するものとして乙第1号証ないし乙第13号証を提出しているが、その多くは被請求人が本件商標の他にも商標登録を有していることを示すもの等であり、本件商標の使用の立証とは何ら関係なく、証拠価値がない。
(ア)乙第5号証について
被請求人は乙第2号証に記載されているように「衣料用繊維製品の企画及び製造販売」、「服飾雑貨及び身の回り品の企画及び製造販売」等を業務内容とする法人である。
通常、服飾に関連する商品について登録商標の使用を立証しようとするとき、証拠として、カタログ、企画書、仕様書、資材指示書等を提出した上で、更に取引があったことを示す補足的資料として請求書や納品書を提出することが一般的である。しかしながら、本件についてはカタログ、企画書及び仕様書等は一切提出されておらず、被請求人がそもそも真に服飾に関係する企画販売を行う者であるか、甚だ疑問である。
また、インターネットにおける情報通信が発達した昨今では、実際に販売されている商品名やブランド名についてインターネットで検索すれば、その商品やブランドを扱うオンラインショップの情報やその商品等を購入した人のクチコミなどといった何らかの情報が表れるものであるが、本件商標「KhANS KhAN」、のキーワードをインターネット検索エンジンのGoogleを用いて検索しても、被請求人と関連すると思われる情報は全く発見されなかった(甲第1号証)。
以上の事実を考え合わせると、被請求人が本件商標を付した被服等の企画及び製造販売を行っているかどうか疑念を抱かざるをえない。
そして、被請求人は、「取引事実については、乙第5号証(請求書の写し)により請求書の発行を立証する」と述べているが、乙第5号証の請求書には品番(86041)が記載されているのみである。つまり、品番(86041)について2009年12月に請求書が発行されたことが立証されたとしても、本件商標の使用との関連性は何ら明らかにされていない。
(イ)乙第4号証について
乙第4号証には、(a)販売証明書、(b)納品書、(c)写真4点、の3種の書類が含まれている。以下、それぞれについて説明する。
(a)販売証明書について
一般的に、この種の販売証明書には、取引対象を特定するための記載と併せて、登録商標及び登録番号などを明記しなければ、商標が付された商品の販売を証明しているとはいえない。一方、乙第4号証の販売証明書には「別紙写真に示す商品番号(86041)フルーツ柄スカート」と記載されているのみであるが、かかる販売証明書は、「商品番号(86041)フルーツ柄スカート」が販売されたことを証明しているにすぎず、本件商標が付された商品を販売したことについて証明しているものではない。
さらに、インターネットで調べたところ、証明者Pocheの所在地は「神奈川県川崎市高津区二子5-2-5」であるが(甲第2号証)、販売証明書に記載されている住所は「神奈川県川崎市高津区二子5-2 5」である。実際の店舗の所在地と異なる住所が記載されている販売証明書に、その店舗の店長が署名及び捺印するかどうか疑念が生じるし、そもそも実際の店舗と異なる住所が記載された書面が販売証明書として成立するかどうかも疑わしい。また、上記書類はあらかじめタイプされた書類に、空欄を手書き及び捺印で埋めて作成されたものであり、この販売証明書が証明者の意図に沿って用意されたものであるかは甚だ疑問が残る。
(b)納品書について
2009年12月12日付けで「商品番号(86041)フルーツ柄スカート」がPocheに納品されたことが記載されているが、単に商品番号及びスカートについて記載されているだけであり、本件商標が付された商品であるかどうかは明記されていない。
(c)写真4点について
乙第4号証の写真4点については、撮影者・撮影場所・撮影日時のいずれも不明であり、本件商標の使用を立証する証拠としては不十分である。つまり、これらの写真が何時、何処で、どのような取引の場面に置かれている商品を撮影したものなのか、具体的な事実関係が何ら明らかにされていない。
更に、乙第4号証の写真4点にあらわされるフルーツ柄スカートと思われるものには商品のタグ及び織ネームが付されているが、一般の商品では考え難い不自然な点が複数みられる
a 通常、織ネームに記された商標と、タグに記載された商標とは一致するのが一般的である。乙第4号証の写真4点のフルーツ柄スカートのタグにはすべて小文字で「khans khan」と記載されている。一方、フルーツ柄スカートに付された織ネームには「KhANS(葉の図形)KhAN」と記載されている。乙第4号証の写真4点にあらわされるスカートの織ネームと、タグに記載された商標は異なっており、一般的な慣習に照らし不自然と思われる。
b 日本の企業は一般に製品の品質に対する意識が高く、消費者の評価も厳しいので、品質や縫製加工には十二分の注意を支払っている。従って、比較的廉価な被服商品であったとしても、織ネームなどブランド表示部として重要な機能を有する箇所については特に美しい仕上がりになるよう細心の注意を払う。乙第4号証の写真の4枚目に表わされる織ネームを見ると、縫い上がりがゆがんでおり、一見して雑な仕上がりであることが分かる。乙第4号証の写真の4枚目に表わされる織ネームの仕上がりは、店頭に並べるにはあまりにもずさんである。
c タグに記載されている被請求人の電話番号は03-5428-6681である。一方、乙第4号証の納品書及び乙第5号証の請求書に記載されている被請求人の代表電話の番号は03(5723)8881であり、タグに記載されている電話番号と、乙第4号証の納品書及び乙第5号証の請求書に記載されている電話番号とが異なっていることは不自然である。
d タグには商品番号、素材、サイズ、バーコード等が記載されているが、価格については「PRICE」とのみ記載されており、具体的な金額が記載されていない。価格のみ後付で記載するとは考え難く、この点からも、乙第4号証の写真4点に写されたフルーツ柄スカートが真に取引に資するためのものであるか疑念が生じる。
以上を総合的に考えると、乙第4号証の写真4点に表わされたフルーツ柄スカートについて、真正な取引が行われたとは考え難い。
e タグには商品の素材として綿100%と記載されている。また、乙第4号証の写真4点に表わされたフルーツ柄スカートの生地も非常に薄く、生地が重なる箇所では、下の生地の模様が透けて見えるほどである。納品された日が真冬の2009年12月12日付であることを考慮すると、乙第4号証の写真4点に表わされたスカートは、冬に履くには薄手すぎる。
従って、乙第4号証の写真4点に表わされるフルーツ柄スカートが、2009年12月の時点で取引されたとは考え難い。
f 本件商標に係る登録第4035031号については、指定商品中「被服(和服を除く)」を取消対象とする本件審判の他に、「履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を取消対象とする不使用取消審判(取消2010-300430)が請求され、答弁書が提出されている。本件商標にかかる登録第4035031号に対する2つの審判において、それぞれ提出されている答弁書に添付された証拠について比較すると、以下に述べるように不自然な点が多く見受けられる。
本件審判では乙第4号証としてタグや織ネームの写真が提出されているが、本件商標に係る登録の指定商品中「履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を取消対象とする不使用取消審判(取消2010-300430)の答弁書においても、乙第4号証としてタグの写真(甲第3号証)が提出されている。タグや織ネームは、商品のブランドを示す最も重要な部分であり、異なる商品間でも、一般的には同一のタグ及び織ネームを用いてブランドイメージを統一するものである。本件審判の乙第4号証の写真に写されたタグ及び織ネームと、本件商標に係る登録の指定商品中「履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を取消対象とする不使用取消審判(取消2010-300430)の乙第4号証の写真に写されたタグとは、形状、色、情報の記載方法、記載されている電話番号が異なる上、商標の態様までもが大きく異なる。
例え販売する商品の種類がスカートとブーツで異なるとしても、顕著に異なる態様のタグや織ネームを付すことは通常考え難い上、被請求人が答弁書において2年位の間隔で新しいブランドを次々と立ち上げている旨述べているように、複数のブランドを有しているならば尚のこと、1つのブランドに対するブランドイメージの統一を重視するはずであり、本件審判の乙第4号証の写真に写されたフルーツ柄スカートについて、真正な取引が行われたかどうか甚だ疑問である。
(ウ)乙第6号証について
被請求人は、「本件商標を表示する織ネームの在庫を立証する」旨述べているが、織ネームの在庫が立証されたとしても、本件商標及び取消対象商品との関連が何ら明らかにされていない。
以上述べたとおり、乙第1号証ないし乙第13号証を以ってしては、本件商標が本件審判請求の予告登録日前3年以内に日本国内において、商標権者によって、「被服(和服を除く)」について使用されていたことを証明していない。
イ 本件商標の名目的な使用による信用の蓄積について
乙第1号証ないし乙第13号証からは、本件商標の使用は認められないが、仮に提出された証拠が、形式的に商標の使用に該当したとしても、商標法の保護を受ける商標には該当しない。
すなわち、商標法50条による登録商標不使用取消審判の制度趣旨は、商標法上の保護は、商標の使用によって蓄積された信用に対して与えられるのが本来的な姿であって、一定期間登録商標の使用をしない場合には保護すべき信用が発生しないか、あるいは発生した信用も消滅してその保護の対象がなくなるし、他方、不使用の登録商標に対して排他的独占的な権利を与えておくのは国民一般の利益を不当に侵害し、かつ、その存在により権利者以外の商標使用希望者の商標の選択の余地を狭めるから、このような商標登録を取消させることにある。
乙第1号証ないし乙第13号証中、乙第4号証及び乙第5号証を好意的に解釈すると、フルーツ柄スカート3枚を、被請求人からPocheへ販売していたこととなり、商標法2条3項2号の使用に該当しそうにも思える。しかし、本件審判請求の予告登録日前3年以内の期間において、1店舗においてわずか3枚の商品を1回販売したことのみによって、商標の使用による信用が蓄積されたとは考え難い。このような名目的な商標の使用は、商標法50条1項の登録商標の使用ではない。また、このような名目的な商標の使用が認められるとしたら、商標法50条による登録商標不使用取消審判の制度趣旨に反するといえる。
ウ 商標の同一性について
上記で述べたとおり、仮に提出された証拠が、形式的に商標の使用に該当したとしても、乙第4号証及び乙第6号証にあらわされている商標は、以下に述べるとおり、いずれも本件商標と社会通念上同一の商標ではないと思われる。
乙第4号証のタグに記載されている商標はすべて小文字で「khans khan」と記載されており、本件商標とは大きく印象が異なる。すなわち、本件商標は「KhANS KhAN」であり、「h」のみが小文字である点に大きな特徴があり、単なる欧文字の羅列というよりは、どこか不自然でアンバランスな特別なデザインが施されたような印象を受ける。また、「h」以外の欧文字が全て大文字であることから、全体的に幅広な横に広がりのある印象を与える。
一方、タグに記載されている商標は「khans khan」であり、すべての欧文字が小文字で記載されており、アンバランスな印象はない。また、特別なデザインが施されたような印象は受けず、一般的な欧文字の小文字が単に記載されているような印象を受ける。すべての欧文字が小文字で記載されていることから、本件商標と比較すると、横幅が狭く、縦に広がりのある印象を与える。
さらに、本件商標からは特別な称呼が生じにくく、特に外観に着目されやすい。このような構成の商標において、商標を構成する欧文字の大文字又は小文字の差異は、著しく異なる外観上の印象を与えるため、社会通念上同一の商標とはいえない。
また、乙第4号証及び乙第6号証にあらわされた織ネームには、「KhANS(葉の図形)KhAN」と記載されている。本件商標は「KhANS KhAN」であるところ、織ネームにあらわされた商標は「KhANS」部分と「KhAN」部分とを分断する態様で葉の図形が表わされており、本件商標とは著しく異なる外観上の印象を与えるものであるから、被請求人の使用標章に接する需要者・取引者は、被請求人使用標章と本件商標とが社会通念上同一の商標で、同一の出所にかかるものであると看取することができるとは到底考えられない。
エ 以上のとおり、乙各号証によっては、本件商標がその指定商品について被請求人によって要証期間内に使用されたことが証明されていない。
すなわち、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、同人、専用使用権者または通常使用権者のいずれかがその請求にかかる指定商品についての本件商標の使用をしていることを証明していない。

3 被請求人の主張
被請求人は、結論と同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第13号証を提出した。
(1)被請求人は、以下に主張・立証するように、請求にかかる本件商標を「被服」について使用をしている。
(2)本件商標権の一部取消審判は、平成22年4月14日に請求され、平成22年5月7日に予告登録がなされているものである。よって、被請求人は、その予告登録日前3年以内に、本件商標を指定商品「被服」に使用した事実について、以下のとおり立証する。
(3)被請求人について
ア 本件商標権者は、別紙履歴事項全部証明書(乙第2号証)に記載のファッションメーカーであり、本店登記所在地に本社ビルを所有し、従業員20名、年商5億千万円の中堅ファッションメーカーである。
イ 本件商標は、ハウスマークである「WONDERSTAFF」登録第2042847号(乙第3号証)の取得の次に立ち上げたブランドであり、その後、2年位の間隔で新しいブランドを、次々と立ち上げている関係でウエイトに強弱があるも今日まで大切に使用しているものである。
(4)本件商標の使用について
本件商標を付した商品の販売した事実について、乙第4号証(販売証明書)により立証する。取引事実については、乙第5号証(請求書の写し)により請求書の発行を立証する。本件商標を示す織ネームについては、乙第6号証(現品)提出により立証する。
(5)以上のように、本件商標は、被請求人により、指定商品「被服」について、本件審判の予告登録日前3年以内に使用がなされているから、商標法第50条第1項に該当しないものである。

4 当審の判断
(1)被請求人提出の証拠によれば、以下の事実が認められる。
ア 証明書(乙第4号証)には、被請求人から川崎市高津区二子の「poche」宛ての「納品書」が添付されており、その日付欄に「09.12.12」、商品名欄に「(86041)(K)フルーツ柄スカート」、数量欄に「3.0(枚)」、金額欄に「5,880」の各記載がある。
イ 同証明の続葉として、4枚の写真が添付されている。その3枚目の写真には、フルーツ柄のスカートが写されており、それには、「NO:86041」、「KhANS KhAN」が表示された下げ札(タグ)が付けられている。また、その4枚目の写真には、フルーツ柄のスカートが写されており、スカートのウエスト部に織ネームが縫い付けられている。その織ネームには、間に緑色の葉の図が配された黒色文字「KhANS KhAN」が表示されている。
ウ 証明書(乙第4号証)によれば、被請求人からの証明依頼に対して、川崎市高津区二子のpocheの店長(山本直香)が、上記ア及びイの2009年12月12日付納品書や写真に基づき、フルーツ柄のスカートを被請求人から買い入れた旨の証明をしていることが認められる。
エ 2009年12月20日付の被請求人から「poche」に宛てた請求書(乙第5号証)には、品番として「86041」、枚数「3」、について、金額「5,880」の請求がされたことが認められる。日付け、品番及び金額からみて、上記のスカート3枚に係る請求書とみることができる。
オ 上記アないしエの年月日は、いずれも、本件審判請求の登録前3年以内の時期に該当するものである。
(2)上記(1)で認定した事実を綜合してみれば、標章「KhANS KhAN」を表示した下げ札(タグ)が付され、また、中間に緑色の葉の図が配された「KhANS KhAN」を表示する織ネームをウエスト部に縫い付けたスカートが、被請求人によって、本件審判請求の登録前3年以内の時期に、日本国内の者に譲渡されたと推認することができる。
そして、本件商標は、「KhANS KhAN」の文字からなるものであるところ、上記(1)において、商品の下げ札に表示された文字、及び、スカートのウエスト部の織ネームに表された文字は、「KhANS KhAN」からなるものであるから、本件商標とその構成文字を同じにするものであり、本件商標と社会通念上同一と認め得る商標が上記スカートに付されたといえるものである。
なお、被請求人は、織ネームに表された標章について、「KhANS」部分と「KhAN」部分とを分断する態様で葉の図形が表わされており、本件商標とは著しく異なる外観上の印象を与えるものであるから、これに接する需要者・取引者は、使用標章と本件商標とが社会通念上同一の商標で同一の出所にかかるものであると看取することができない旨述べている。
しかし、本件商標は、前記1に記載のとおり、「KhANS」部分と「KhAN」部分とが空白によって分離して看取されるものであるところ、織ネームに表された標章は、文字の間に緑の葉の図が配されているとはいえ、文字と図が不離に融合した態様のものでなく、また、両文字の書体、大きさ、色は共通であって、図によって、これら両文字を一連に表したものとして把握する妨げとはならず、「KhANS KhAN」として看取され得るものである。したがって、社会通念上同一の商標といえないとする請求人の主張は、採用することができない。
(3)上記の商標の使用に係る商品「スカート」は、取消請求に係る指定商品「被服(和服を除く)」に属する商品であることが明らかである。
(4)以上によれば、被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内の時期に、取消請求に係る指定商品について、本件商標と社会通念上同一と認め得る商標を使用したと認められる。
(5)請求人は、被請求人の使用を示す取引回数に言及し、1店舗においてわずか3枚の商品を1回販売したことのみによって、商標の使用による信用が蓄積されたとは考え難いとして、このような名目的な商標の使用は、商標法第50条第1項の登録商標の使用ではない旨主張している。
しかしながら、商標法第50条の取消審判は、商標登録を得た後の一定期間内に、登録商標について何らの使用行為も認められないときには、審判請求をまって、当該登録商標の登録を取り消すものであり、上記期間における商標法所定の商標の使用行為が証明された場合には、当該商標登録を取り消し得ないものであって、それが証明に係る使用行為の回数の多寡によって左右されるものでないことは、商標法50条の規定(同条第2項)に照らしても、明らかというべきである。そして、上記で認定した商標の使用行為が、現に行われたものではないと断じ得るほど、不自然なものであるとみるべき的確な証左はみいだせず、上記のとおり判断するのが相当であるから、請求人の主張は採用することができない。
(6)以上のとおり、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、その指定商品について、被請求人により使用されていたものであるから、商標法第50条第1項の規定によりその登録を取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2010-11-12 
結審通知日 2010-11-16 
審決日 2010-11-30 
出願番号 商願平7-119037 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (025)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小林 薫 
特許庁審判長 石田 清
特許庁審判官 小川 きみえ
小林 由美子
登録日 1997-08-01 
登録番号 商標登録第4035031号(T4035031) 
商標の称呼 カンズカン 
代理人 中島 淳 
代理人 加藤 和詳 
代理人 西元 勝一 
代理人 増田 政義 

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