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審決分類 審判 査定不服 商4条1項15号出所の混同 登録しない X3637
管理番号 1236472 
審判番号 不服2009-11856 
総通号数 138 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-06-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-06-29 
確定日 2011-04-08 
事件の表示 商願2008-11606拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「パーティセゾン」の片仮名文字を標準文字で表してなり、第36類「建物の管理,建物管理の代行,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価並びにそれに関する相談,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介,建物及び土地の有効活用に関する企画・指導及び助言,建物又は土地の取引に関する指導・助言,建物又は土地の情報の提供」及び第37類「建設工事,建設工事に関する情報の提供,建築工事に関する助言,建築設備の運転・点検・整備,家具の修理,ガス湯沸かし器の修理又は保守,加熱器の修理又は保守,なべ類の修理又は保守,浴槽類の修理又は保守,建築物の外壁の清掃,窓の清掃,床敷物の清掃,床磨き」を指定役務として、平成20年2月19日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『パーティセゾン』の文字を表してなるところ、これは、東京都豊島区所在の『株式会社クレディセゾン』が、本願登録出願前よりクレジットサービス事業、ファイナンス事業等に使用して著名な商標『セゾン』の文字を含むものであり、さらに、同会社の連結会社・持分法適用会社の中には、他の語と『セゾン』とを結合した構成の言葉が使用されている例もある。そうとすれば、出願人が、『セゾン』の文字を含む本願商標をその指定役務に使用するときは、これが恰も前記会社又は同社と経済的、組織的に何等かの関係を有する者の業務に係る役務であるかの如く、役務の出所について混同を生じさせるおそれがあるものと認められる。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第4条第1項第15号に該当するか否かについて、職権により証拠調べをした結果、別掲に示すとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき請求人に対し、平成22年10月21日付で証拠調べの結果を通知し、相当の期間を指定して意見を述べる機会を与えた。

4 証拠調べに対する請求人の意見(要点)
本願商標は、片仮名文字「パーティセゾン」を一連一体に横書きしてなり、称呼も冗長ではないため、視覚上・称呼上一連一体の商標である。
そして、株式会社クレディセゾンが不動産業を手がけていることを認識している需要者は少ないであろうこと、その性質上、不動産・建設業とクレジットカード業との関連性は非常に低いこと、株式会社クレディセゾンと何ら関係のない多くの会社が、「セゾン」の文字を商号または商標に広く使用していること等からすれば、「セゾン」の文字をその構成に含む本願商標が、本願の指定役務に使用されても、株式会社クレディセゾンあるいは同人と経済的または組織的な関係を有する者の業務に係る役務であるかの如く、認識されるおそれはない。

5 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 本願商標
本願商標は、前記1のとおり、「パーティセゾン」の片仮名文字を表してなるところ、その構成中の「パーティ」の文字は、「社交のための集まり。宴会。」の意味を、「セゾン」の文字は、「季節。シーズン。」(いずれも広辞苑第六版)の意味をそれぞれ有する語であるところ、両者を結合して特定の熟語を形成しているものとはいえないから、本願商標は、「パーティ」と「セゾン」の文字との組み合わせによりなるものと容易に認識し把握されるというべきである。

イ 「セゾン」の周知・著名性
「セゾン」の文字について、前記3の証拠調べによって発見した新聞記事やインターネットのウェブサイトの記載によれば、次の事実が認められる。
(ア)株式会社クレディセゾンが、クレジットサービス事業等に使用している「セゾンカード」は、本願登録出願前から現在に至るまで、クレジットカード業界において、常に高いシェアを占めている。
(イ)「セゾンカード」の会員数は、平成17年時点で約1700万人に達しており、かつ、その会員の入会受付や会員に向けたサービスを行うセゾンカウンターは全国各地に存在している。
(ウ)株式会社クレディセゾンは、クレジットサービス産業、ファイナンス事業の他にも、不動産関連事業、エンタテイメント事業、情報処理、保険等、多角的な事業を展開している。
(エ)「セゾン」の文字は、「株式会社クレディセゾン」又は「セゾンカード」を指称するものとして使用されている。
以上よりすれば、「セゾン」の文字は、本願商標の登録出願以前から、既に、東京都豊島区所在の「株式会社クレディセゾン」がクレジットサービス事業、ファイナンス事業等に使用して、かつ、本願商標の登録出願時及び査定時には、該会社の取扱いに係る役務であることを表示するものとして、我が国の取引者、需要者の間において広く認識されていたといい得るものであり、現時点においてもその周知、著名性は継続しているものと認められる。

ウ 出所の混同を生ずるおそれ
他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標であるか否かの判断にあたっては、「(ア)その他人の標章の周知度(広告、宣伝の程度又は普及度)(イ)その他人の標章が創造標章であるかどうか(ウ)その他人の標章がハウスマークであるかどうか(エ)企業における多角経営の可能性(オ)商品間、役務間又は商品と役務間の関連性」等を総合的に考慮するものとされるところ、本願商標「パーティセゾン」の構成中「セゾン」の文字部分は、株式会社クレディセゾン又は該企業に係るクレジットカード事業に使用している「セゾンカード」の略称として著名であること、株式会社クレディセゾンが引用商標の指定役務の業界である不動産関連事業を含め、多角的な事業を行っていることは前記イのとおりである。
そして、最高裁は、商標法4条1項15号にいう「混同のおそれ」の解釈について、「商標法4条1項15号にいう『他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標』には、当該商標をその指定商品又は指定役務に使用したときに、当該商品等が他人の商品又は役務に係るものであると誤信されるおそれがある商標のみならず、当該商品等が右他人との間にいわゆる親子関係や系列会社の緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品等であると誤信さえるおそれがある商標を含むもの理解するのが相当である。」(平成10年(行ヒ)85号 最高裁言渡)旨判示している。
これを本件に照らすと、本願商標の第36類の指定役務は、不動産関連の役務といえるところ、株式会社クレディセゾンのグループ会社として、前記役務と密接な関係のある「不動産流動化事業、不動産開発分譲事業、不動産賃貸事業」等の事業を行っている「株式会社アトリウムグループ」、「株式会社ハウスプランニング」及び「株式会社コンチェルト」等の企業が存在している。
そうとすれば、本願商標を第36類の前記指定役務に使用するときは、取引者、需要者は、本願商標の「セゾン」の文字部分より、周知著名な企業グループである「株式会社クレディセゾン」又は前記企業のクレジット事業に使用する「セゾンカード」の略称である「セゾン」を想起し、これを恰も株式会社クレディセゾンあるいは同人と経済的又は組織的に何等かの関係を有する者に係る役務であるかのように連想して役務の出所について混同を生じさせるおそれがあるものというのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

(2)請求人の主張について
ア 請求人は、不動産・建設業とクレジットカード業との関連性は非常に低いこと、株式会社クレディセゾンと何ら関係のない多くの会社が、「セゾン」の文字を商号または商標に広く使用していること等からすれば、出所の
混同は生じない旨主張しているが、クレジットカード業界と不動産・建設業界とは類別を異にするものであることを否定するものではないが、株式会社クレディセゾン又は前記企業のクレジット事業に使用する「セゾンカード」の略称である「セゾン」に高い著名性があり、しかも、実際に、該企業が、不動産業を行っている取引の実情があることは、前記ウのとおりであるから、取引者、需要者にその出所について混同させるおそれが十分にあると判断せざるを得ず、他に本願商標が他人の業務に係る役務と混同を生ずるおそれがないと考えさせる具体的な取引の実情を見出すことはできない。
よって、請求人の該主張を採用することはできない。

イ 請求人は、過去の登録例を挙げ、広く知られた商標を一部に含む商標が、外観及び称呼上不可分一体であり、需要者が出所について混同を生ずるおそれはないと判断されている旨主張しているが、前記既登録例は、本願商標とは商標の構成態様等が相違し事案を異にするものであるほか、商標の類否は、対比する商標について個別具体的に判断されるべきであり、また、商品又は役務の出所の混同を生ずるおそれがあるか否かについては、商標の周知著名性の程度、商標・役務の類似性、使用状況、需要者層等の具体的な事情を総合的に考察して判断されるべきであるから、前記登録例をもって本件の判断が左右されるものでもない。
よって、請求人の該主張も採用することはできない。

(3)まとめ
以上のとおり、本願商標が商標法第4条第1項第15号に該当するとした原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(証拠調べ通知)

(1)株式会社クレディセゾン及びセゾンカードについて
ア「株式会社クレディセゾン」の会社概要2008(http://corporate.saisoncard.co.jp/co.nsf/rep/DE82C48AFBA25D72492574C8001A51D4/$file/KAISHAGAIYOU2008.pdf)
(ア)昭和26年5月に「株式会社緑屋」として設立され、昭和55年8月より「株式会社西武クレジット」に社名変更され、昭和58年3月より、「セゾンカード(旧西武カード)」を発行、平成元年10月には「株式会社クレディセゾン」に社名を変更したものである。
(イ)昭和43年6月には、東京証券取引所第一部上場、それ以降、株式会社西武百貨店と資本提携し、セゾン(旧西武流通)グループ内信販事業のオペレーション体制を確立するに至った。
(ウ)現在、クレジットサービス産業、ファイナンス事業、不動産関連事業、エンタテイメント事業、情報処理、保険等の事業を展開しており、中でもクレジットサービス事業は、営業収益構成比からすると、全体の約80%を占める中核事業となっている。
(エ)「セゾンカード」の総会員数は、平成4年4月時点で、1000万人を突破する規模となっており、前記カードの会員の入会受付や会員に向けたサービスなどを行うセゾンカウンターは、北海道から九州までの全国各地の西友、西武、パルコ、そごう、高島屋等に設置され、130カ所存在している。
(オ)同社のグループ会社の中に、「株式会社アトリウムグループ」(不動産流動化事業・サービサー事業)、「株式会社ハウスプランニング」(不動産開発分譲事業、建設事業)及び「株式会社コンチェルト」(アミューズメント運営事業・不動産賃貸事業)等、本願の指定役務である不動産関連事業を取り扱っている会社が存在している。

イ 新聞記事及びインターネット
(カ)「スピード重視、業務提携 みずほFGとセゾンカード」の見出しのもと、「■クレジットカード業界の取扱高のシェア(02年度) クレディセゾンが7.3%のシェアで第3位である」旨の記載。(2004.8.5 朝日新聞 東京朝刊 9頁)
(キ)「業界動向 SERRCH.com」のウェブサイトにおいて、「平成20年 クレジット業界の現状と動向」の見出しのもと、「平成20年のクレジットカード業界の業界規模(主要対象企業14社の営業収益計)」は2兆0,266億円となっています。」、「クレジットカード業界シェア&ランキング 営業収益(売上高)&シェアランキングTOP10」の見出しのもと、「クレディセゾンが営業収益3,270億円、16.1%のシェアで第2位である」旨の記載。(http://gyokai-search.com/3-card.htm)
(ク)「年収ラボ」のウェブサイトにおいて、「クレジットカード業界」の見出しのもと、「業界規模1兆9,689億円(数字は22年3月現在、14企業の営業収益の合計)中、営業収益ランキングでクレディセゾンが営業収益3,068億円で2位である」旨の記載。(http://nensyu-labo.com/gyousyu_card.htm)

(2)「セゾン」の文字について
ア「マネックス証券、日本初の口座統合サービス開始、まず新生銀行・セゾンの顧客から」の見出しのもと、「当初は新生銀行に口座を持つ顧客が、10月上旬からはクレディセゾンの顧客が対象となる。」の記載。(2001.9.28 金融専門紙ニッキン 6頁)
イ「京都信金、『セゾン』と提携し一体型カード取り扱い」の見出しのもと、「【京都】京都信用金庫(井上達也理事長)は、4月2日からキャッシュカードとセゾンのクレジットカードが一体となった『京信《セゾン》カード』を取り扱っている。」の記載。(2001.4.6 金融専門紙ニッキン 12頁)
ウ「日本トイザラス クレディセゾンと提携 新クレジットカード発行」の見出しのもと、「日本トイザラス(社長・田崎学氏、川崎市幸区、TEL044・549・9072)は、セゾンカードの発行元であるクレディセゾンと提携し、新クレジットカード『トイザらス・カード《セゾン》』を発行する。」、「・・・セゾンの場合は毎月五、二十日の西友でのカード利用が五%引きなどとなる。」の記載。(2001.9.14 FujiSankei Business i.日本工業新聞 8頁)
エ「住友信託銀行、クレディセゾンと業務提携、会員向け商品を共同開発」の見出しのもと、「住友信託銀行は9月20日、クレジットカード大手のクレディセゾンとセゾン会員向け金融商品の共同開発で業務提携した。提携第1弾として、10月1日からセゾン会員を対象にセゾンの無期限ポイントサービス『永久不滅ポイント』を付加した新型定期預金の販売を開始。セゾン会員約1700万人を新たな対象とし、優遇サービスの提供で顧客基盤の飛躍的な拡大を狙う。」の記載。(2005.9.30 金融専門紙ニッキン 4頁)
オ「クレディセゾンと提携 山形屋 ポイントカード発行」の見出しのもと、「また、セゾンの永久不滅ポイント(1000円につき1ポイント)も付く。」の記載。(2007.7.21 繊研新聞 5面)

以上のとおり、株式会社クレディセゾンが、クレジットサービス事業において使用していた「セゾンカード」は、クレジットカード業界において、本願登録出願前から、現在に至るまで常に高いシェアを占めており、その会員数は平成17年時点で約1700万人に達しており、かつ、全国各地に及んでいること、株式会社クレディセゾンのグループ会社が本願の指定役務である不動産関連事業を取り扱っていること、「セゾン」の文字が「セゾンカード」の略称として認識されていること、等の事実を総合すれば、「セゾン」の文字は、本願商標登録出願時において、株式会社クレディセゾンの業務に関連するものとして、我が国の取引者及び需要者の間に広く認識されており、その状態が現在においても継続していることが認められる。

以上よりすれば、本願商標をその指定役務について使用するときは、取引者、需要者は、その構成中の「セゾン」の文字部分より、「セゾンカード」の略称である「セゾン」を想起し、その役務が、株式会社クレディセゾンあるいは同人と経済的又は組織的に何等かの関係を有する者の業務に係る役務であるかの如く、役務の出所について混同を生じさせるおそれがあるものというのが相当である。

審理終結日 2011-02-04 
結審通知日 2011-02-09 
審決日 2011-02-22 
出願番号 商願2008-11606(T2008-11606) 
審決分類 T 1 8・ 271- Z (X3637)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 新井 裕子大島 康浩 
特許庁審判長 佐藤 達夫
特許庁審判官 田中 亨子
小田 昌子
商標の称呼 パーティセゾン、パーティ、セゾン 
代理人 特許業務法人三枝国際特許事務所 

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