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審決分類 審判 査定不服 商3条1項4号 ありふれた氏、名称 登録しない X0341
管理番号 1236454 
審判番号 不服2010-9095 
総通号数 138 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-06-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-04-28 
確定日 2011-04-11 
事件の表示 商願2009- 22430拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲のとおり、「SHIGETA」の欧文字を横書きしてなり、第3類「せっけん類,化粧品,香料類」及び第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催」を指定商品及び指定役務として、平成21年3月27日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、ありふれた氏である『重田』に通じる『SHIGETA』の文字を普通に用いられる方法の域を脱しない程度の態様で書してなるにすぎないものである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第4号に該当する。」旨認定、判断して本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第4号について
本願商標は、別掲のとおり、「G」文字を他の文字に比して大きく表した「SHIGETA」の文字を書してなるが、未だ普通に用いられる方法で表示する範ちゅうの欧文字からなるものである。
そして、「SHIGETA」の文字は「シゲタ」と読まれるものであるが、「シゲタ」と読まれる氏に「重田」があるところ、「日本の苗字7000傑」のサイト(http://www.myj7000.jp-biz.net/1000/0100f.htm)によれば、「重田」の氏は、全国で約19,300人存在し、960番目に多い氏であることが認められる。
そうすると、「重田」の氏は、我が国においてありふれた氏の一つであるというべきである。
そして、氏を表す場合、必ずしも漢字のみに限らず、ローマ文字で表すことが普通に行われているものであることよりすれば、本願商標に接する取引者、需要者は、これをありふれた氏の「重田」をローマ文字で表したものと理解するというのが相当であるから、本願商標は、自他商品・役務の識別標識としての機能を果たし得ないものといわなければならない。
したがって、本願商標は、ありふれた氏普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから、商標法第3条第1項第4号に該当する。
なお、請求人は、2009年発行の東京都23区の電話帳「ハローページ」の掲載者を調べると、「シゲタ」の読みを持つ氏姓として「重田」、「繁田」、「茂田」、「滋田」の記載が確認できるが、その総数は167人程度となっており(甲第218号証)、ごく僅かな数であって、多数存在しているものでない旨、述べている。
しかしながら、2000年ころ以降、携帯電話やインターネット電話が普及するようになって、固定電話に加入している人数は減少していることに加えて、個人情報の保護の観点からも前記電話帳に登録している人は少なくなってきているのが現状であり、当該主張をもって「重田」の氏がごく僅かな数しか存在しないと推認することはできない。
また、請求人は、本願商標は、氏姓の「重田」の読み方の一つであるが、この「シゲタ」の読みに該当する文字は、その他、氏姓の一つである「繁田」、「茂田」、「滋田」や、青森県つがる市稲垣町の町名としての「繁田」、兵庫県神戸市西区平野町の町名としての「繁田」、愛知県一宮市大和町北高井の字名としての「重田」、徳島県東みよし町(三好郡)の字名としての「重田」、また、名前としての「繁太」、「重太」、「茂多」等、多数の語が知られており、本願商標は、上記した複数の意味合いを想起させるものであるので、これより直ちに氏姓の一つである「重田」のみを認識させるものとはいい難く、単に、ありふれた氏で表示する標章のみからなる商標とはいえず、自他商品・役務の識別標識としての機能を果たし得る旨、述べている。
しかしながら、上記地名は、いずれも町名(行政区画上の「町」ではない。)、字名であり、その周辺地域である程度知られているとしても、それをもって全国的に著名とはいえず、また、地名辞典(コンサイス日本地名辞典 三省堂)においても、「シゲタ」の読みを付する地名は存在しないものである。そして、前記のとおり、「重田」がありふれた氏であることよりすると、本願商標は、第一義的に氏としての「重田」を認識するというのが自然であるから、請求人の主張は採用できない。
さらに、請求人は、過去の登録例を挙げ、本願商標も登録されるべきであると主張している。
しかしながら、請求人が示す登録例は、本願と事案を異にするものであり、本願と同一に論ずることができないことから、その主張は、採用することができないものである。
(2)商標法第3条第2項について
請求人は、本願商標を付した商品は、雑誌等に掲載され、本願商標がその指定商品について使用された結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができる程度に周知性を獲得し、本願商標は、商標法第3条第1項第4号に該当するとしても、商標法第3条第2項(使用による識別性)の適用により、商標登録を受けられる旨主張し、甲第1号証ないし甲第217号証を提出している。
ア 商標法第3条第2項の趣旨
商標登録出願された商標(以下「出願商標」という。)が、商標法3条2項の要件を具備し、登録が認められるか否かは、実際に使用している商標(以下「使用商標」という。)及び商品、使用開始時期、使用期間、使用地域、当該商品の生産又は販売の数量、並びに広告宣伝の方法及び回数等を総合考慮して、出願商標が使用された結果、判断時である審決時において、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものと認められるか否か(いわゆる「自他商品識別力(特別顕著性)」の獲得の有無)によって決すべきものである。また、商標法第3条第2項の要件を具備するためには、使用商標は、出願商標と同一であることを要し、出願商標と類似のもの(例えば、文字商標において書体が異なるもの)を含まないと解すべきである。なぜなら、同条項は、本来的には自他商品識別力がなく、特定人の独占にもなじまない商標について、特定の商品に使用された結果として自他商品識別力を有するに至ったことを理由に商標登録を認める例外的規定であり、実際に商品に使用された範囲を超えて商標登録を認めるのは妥当ではないからである。そして、登録により発生する権利が全国的に及ぶ更新可能な独占権であることをも考慮すると、同条項は、厳格に解釈し適用されるべきものである(平成18年(行ケ)第10054号 知的財産高等裁判所平成18年6月12日言渡 参照)。上記の商標法第3条第2項の趣旨に照らすと、同条項によって商標登録が認められるためには、上記のような要件を具備することが必要であると解される。
イ 以上の観点を踏まえて、以下検討する。
請求人の提出した甲第1号証ないし甲第217号証は、いずれも2008年(平成20年)1月ないし2010年(平成22年)2月の間に発行された雑誌等の写し(甲第122号証及び甲第186号証は新聞記事の写し)である。
そして、これらの証拠によれば、請求人は、美容コンサルトである「Chico Shigeta」氏が主宰する会社であり、「SHIGETA」の文字は、「Chiko Shigeta」氏が開発した商品のブランド名として、「エッセンシャルオイル」「マッサージオイル」「ヘヤケア用オイル」「バスソルト」「ローズウォーター及びフローラルウォーター(スキンローション)」の商品に使用されていることが認められる。
しかし、それらの商品の発売時期は不明であるし、その広告の期間も2008年(平成20年)1月からであり、3年ほど前からのものである。しかも、本願商標は、「G」の文字をやや大きく表すデザインを施した構成よりなるものであるが、2009年(平成21年)2月(甲第96号証)までの雑誌の写しには、前記デザインが何ら施されていない「SHIGETA」の文字を表示した商品のみが掲載されているものも見受けられ、本願商標の使用開始時期も不明である。
そして、請求人が使用の事実として提出する雑誌の写しには、美容に関する記事を前面にし、その関連商品である複数のメーカーの掲載商品の一つとして、本願商標が使用された商品が紹介されているにすぎず、しかもその掲載方法は、商品全体の写真を掲載し、手短に商品の説明を記載しているが、その商品写真を見てもその商品に付されている商標まで認識することができず、また、商品の説明においても商品の出所を表すものとして「SHIGETA」の文字が特に強調されていないものが多数見受けられる。
また、「Chiko Shigeta」氏の美容コンサルトに関する記事についてみても、関連する商品として小さく掲載されているにすぎないものがある。
さらに、請求人の提出した証拠には、飲料及び食品についてのみ掲載されているものや、「Chiko Shigeta」氏の美容コンサルティングについてのみ紹介されているものも含まれ、結局、請求人の主力の商品と思われる「エッセンシャルオイル」に関連しては、「スキンケア商品」に関するものを含め甲第1号証ないし甲第7号証、甲第9号証、甲第13号証ないし甲第32号証、甲第34号証ないし甲第36号証、甲第38号証ないし甲第55号証、甲第57号証、甲第59号証ないし甲第61号証、甲第63号証ないし甲第66号証、甲第69号証ないし甲第84号証、甲第86号証ないし甲第93号証、甲第95号証ないし甲第98号証、甲第100号証ないし甲第115号証、甲第117号証ないし甲第125号証、甲第127号証ないし甲第131号証、甲第133号証ないし甲第138号証、甲第140号証ないし甲第157号証、甲第159号証、甲第161号証、甲第163号証ないし甲第169号証、甲第172号証ないし甲第174号証、甲第176号証ないし甲第189号証、甲第191号証、甲第192号証、甲第194号証ないし甲第196号証及び甲第198号証ないし甲第215号証に掲載されていることは認められるが、その掲載は、前記のとおり、使用商標が本願商標と異なる態様のもの、その商標が明快に掲載されていないものを多く含んでいるものであり、さらに、使用された期間も短いものである。
そのほか、本願商標に係る商品についての販売数量、売上高も明らかでない。
なお、職権で調査した「ホットコスメランキング」と称するウェブサイトの「化粧品メーカー:さ行の人気ランキング1位?」及び「化粧品ブランド一覧の人気ランキング1位?」の「総合投票数順」(全120件)の見出しもと、本願商標を使用する商品の記載はない(http://www.hot-cosme.com/c_2_0.html)。また、「【楽天市場】ランキング市場」と称するウェブサイトの「エッセンシャルオイル(精油)」の見出しのもと、ランキング1位ないし200位にも本願商標を使用する商品の記載はない(http://ranking.rakuten.co.jp/rnk/navi/g551744/st0sl0rt1du1ge9mb0pr00/p4/)。
そうとすると、本願商標は、請求人の提出した証拠からは、その主力商品である「エッセンシャルオイル」についても、本願商標を使用した結果、需要者が請求人の業務に係る商品であることを認識することはできるものとは認められないし、それ以外の本願の指定商品及び指定役務については、何ら本願商標の使用の事実の立証はない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第2項に該当するものとすることはできない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第4号に該当するものであって、かつ、同法第3条第2項の要件を具備しないものであるから、これを登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲 本願商標





審理終結日 2011-01-31 
結審通知日 2011-02-14 
審決日 2011-02-28 
出願番号 商願2009-22430(T2009-22430) 
審決分類 T 1 8・ 14- Z (X0341)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 前山 るり子 
特許庁審判長 内山 進
特許庁審判官 瀧本 佐代子
根岸 克弘
商標の称呼 シゲタ 
代理人 猪狩 充 

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