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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X18
審判 全部申立て  登録を維持 X18
審判 全部申立て  登録を維持 X18
管理番号 1235032 
異議申立番号 異議2010-900147 
総通号数 137 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2011-05-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2010-06-07 
確定日 2011-03-09 
異議申立件数
事件の表示 登録第5305486号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5305486号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5305486号商標(以下「本件商標」という。)は、「F.CLIO」の欧文字を標準文字で表してなり、平成21年8月5日に登録出願、同22年1月18日に登録査定がなされ、第18類「かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ」を指定商品として、同年3月5日に設定登録されたものである。

2 本件登録異議申立ての理由
本件登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第34号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)引用商標
申立人が引用する登録第2239347号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、昭和62年4月9日に登録出願、第21類「装身具、ボタン類、かばん類、袋物、宝玉およびその模造品、造花、化粧用具」を指定商品として、平成2年6月28日に設定登録、その後、同12年7月4日及び同22年6月22日の2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされたものである。
同じく、登録第4061578号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、平成7年11月13日に登録出願、第18類「フランス製の合成皮革、その他のフランス製の皮革、フランス製の書類入れカバン、フランス製のスーツケース、,フランス製のハンドバッグ,フランス製のトランク,フランス製の旅行かばん,フランス製の学生かばん,その他のフランス製のかばん類,フランス製の財布(貴金属製のものを除く。)、フランス製のクレジットカード入れ、その他のフランス製のカード入れ、その他のフランス製の袋物,フランス製の携帯用化粧道具入れ」を指定商品として、同9年10月3日に設定登録、その後、同19年10月2日に商標権の存続期間の更新登録がなされたものである。
以下、これらを一括して「引用各商標」という。
(2)申立人について
申立人に係る商標「Clio Blue」は、1981年にデザイナーのAnnie Bussonによってフランス・パリにて設立されたジュエリーブランドからスタートしたものである(甲第5号証)。
現在においては、ヨーロッパ、北米、アジアなど世界15力国で展開されているほどに評価の高いブランドとして知られている。我が国においては、ファッションの地域として知られている東京の青山に店舗を構え、また、高島屋新宿店、阪急百貨店うめだ本店、三越名古屋栄店といった主要都市の人気デパートに店舗を構えている上に、神戸に店舗を構えている(甲第6号証)。
(3)申立人商標の周知・著名性について
申立人の商標「Clio blue」(以下「申立人商標」という。)は、アクセサリー(ジュエリー)をそのブランドの中心としつつも、時計、かばん類や袋物類についても、少なくとも2008年から商品を展開している(甲第7号証ないし甲第19号証)。
そして、アクセサリーを中心とするファッション業界において高い注目を集めるに至っており、このことは、例えば、平成18年(2006年)4月20日付の宝飾業界ニュースにおいて、「生誕25周年を迎えた『Clio Blue(クリオ ブルー)』ブランド」との見出しで、申立人の業務に係るブランドが取り上げられており(甲第20号証)、平成21年(2009年)3月に発売されたファッション雑誌において、「Clio blue」は、大きく宣伝広告を展開しており、また、読者プレゼントとして採択されている実情が認められる(甲第21号証)。
同様に、平成21年(2009年)9月に発売されたファッション雑誌には「自分だけの夢がいっぱい詰まったカスタマイズできるアクセサリー。」との見出しで、申立人の業務に係る商品の広告記事が大きく取り扱われており(甲第22号証)、さらに、平成21年(2009年)11月に発売されたファッション雑誌においては、両頁見開きにて、宣伝広告を展開している(甲第23号証)。
このように、申立人の業務に係る商品は、その商標「Clio blue」とともに宣伝広告やブランドの紹介がなされており、これらの事実から、商標「Clio blue」は、申立人の業務に係る商品を示すものとして、本件商標の出願前から現在に至るまで、継続して、主たる需要者であるファッションに関心の高い女性層や取引者の間において、広く親しまれていることが明らかである。
(4)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、先に出願された他人の登録商標すなわち引用各商標と類似するものであり、その同一又は類似する指定商品に使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(5)商標法第4条第1項第10号について
本件商標は、申立人商標に類似する商標であって、その周知に係るファッション関連の商品について使用するものであるから、商標法第4条第1項第10号に該当する。
(6)商標法第4条第1項第15号について
ア 申立人に係る周知商標「Clio Blue」は、上述のとおり、1981年にデザイナーのAnnie Bussonによってフランス・パリにて設立されたジュエリーブランドからスタートし、現在、世界15力国で展開されているほどに評価の高いブランドである。我が国においては、ファッションの地域として知られている東京の青山に店舗を構え、また、高島屋新宿店、阪急百貨店うめだ本店、三越名古屋栄店といった、主要都市の人気デパートに店舗を構えている上に、神戸にも店舗を構えるまでに至る。
そして、申立人に係る周知商標に係る商品は、飛行機内にて販売される商品として採択されるまでに支持を得ており(甲第32号証)、また、テレビの人気通信販売番組においても取り扱われるなど(甲第33号証)、広く人気を博していることが認められる。
イ また、本件商標「F.CLIO」は、申立人の周知商標の要部「Clio」が含まれており、かつ、分離して理解されやすい態様である。
したがって、本件商標に接した需要者は、申立人の商標に係るブランド「Clio Blue」の姉妹ブランドであると誤認するおそれがある。
実際に、申立人の商標に係るブランド「Clio Blue」は、アクセサリー、時計にとどまらず、かばん類について、オリジナルデザインにて製造・販売の展開がなされている実情がある。
そして、本件商標の「F.」部分は、商品(洋服、ほか)との関係を考慮すると、その識別力は「CLIO」と比して弱いものと考えられる。また、「.」が配されていることを考慮すると、一層、一体不可分とのみ把握することは困難といわざるを得ない。
したがって、申立人商標の周知性と相まって、取引者・需要者は、本件商標の「CLIO」部分に強く着目することが明らかであり、その結果、本件商標に係る商品について、申立人と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であると誤認し、その商品又は役務の需要者が商品又は役務の出所について混同するおそれがあることは明らかである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(7)商標法第4条第1項第19号について
本件商標に係る商品と、申立人の使用に係る商品の主たる需要者層は、ともにファッションに意識の高い需要者層である。したがって、需要者は競業し、かつ、その市場は共通するものである。
ここにおいて、申立人の周知・著名商標「Clio blue」に係るブランドは、1981年にフランス国パリにてスタートしたアクセサリー(ジュエリー)ブランドであって、本件商標の出願前(平成21年[2009年]8月5日)前に、海外でのファッション雑誌に掲載されるまでに人気を博しているものである(甲第34号証)。例えば、2009年3月・4月号「Bijoux Montres & vous」には、「Clio Blue,une invitation au voyage」との見出しで、「Clio Blue」とのブランド名とともに商品が紹介されており、また、「BIBA MAGAZINE」4月号には、「efects de manchettes」との見出しで、申立人の業務に係る商品と「Clio Blue」とのブランド名が示されている。
このように、本件商標の出願前から、申立人に係る商標は、アクセサリーを始めとするファッション関連の商品について使用されており、外国においても、主たる取引者・需要者間において、広く知られていると認識できるものである。
そして、本件商標「F.CLIO」は、申立人の周知・著名商標「Clio blue」を容易に連想させる態様にて構成されている。
したがって、本件商標に接した需要者は、その態様から、申立人の周知・著名な商標に係る商品であるかのように認識し、その商品の出所について混同することのみならず、その商品の品質について誤認を生ずるものである。
上述のとおり、ファッション業界において、「Clio Blue」が周知・著名であって、新聞・雑誌などで数多く取り上げられたことから、商標権者は、本件商標の出願前及び使用商標の使用開始当初より、著名な引用商標を知悉していたものといえる。
このように、本件商標が、申立人の著名商標「Clio Blue」の顧客吸引力を利用し、自己のファッション関連の商品について使用する行為は、申立人の著名商標「Clio Blue」の顧客吸引力を利用(フリーライド)したブランド商品が市場に蔓延することとなり、その結果として、申立人が長年の営業努力によって築いた当該著名商標に化体した信用、名声、顧客吸引力等の毀損を招来させていることが明らかである。
すなわち、本件商標権者は、申立人の著名商標「Clio Blue」の顧客吸引力を利用(フリーライド)することを意図して、本件商標を取得したことが明らかであって、すなわち、不正の目的をもって使用をするものである。
上述のとおり、申立人の著名商標「Clio Blue」は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして日本国内及び外国における需要者の間に極めて広く認識されており、そして、本件商標は、申立人の周知・著名商標「Clio Blue」と類似しており、また、不正の目的をもって使用をするものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。
(8)結び
以上のとおり、本件商標登録は、商標法第43条の2第1号により取り消されるべきものでる。

3 当審の判断
(1)申立人商標「Clio blue」について
申立人提出の証拠をみるに、甲第5号証は、申立人のウェブサイトとするものであるが、そこには「クリオブルーについて」の見出しの下、「Clio blue 1981年4月1日、デザイナーのAnnie Busson(アニー・ビュッソン)によってフランス・パリで設立されたジュエリーブランドです」、「ブランドネーム“Clio blue”の由来 Clioとはギリシャ神話の‘海の女神’を意味し、blueは地中海に広がる海の色‘ターコイズブルー’をイメージしています」との記載がある。
甲第6号証は、申立人(Clio blue)の日本国における店舗を示す資料であるが、そこには「東京都港区南青山」「東京都渋谷区千駄ヶ谷」「神戸市中央区山本通り」「名古屋市中区栄」及び「パリ」に引用商標2を看板とする店舗があることを示しており、「店舗のご案内」の見出しの下、「クリオブルーを実際に手に取ってご覧いただける、国内外の店舗についてご案内します」と記載されている。
甲第7号証(枝番号を含む。)ないし甲第23号証及び甲第32号証ないし甲第34号証は、(「Clio blue」の)周知性を立証する趣旨として提出されているが、それらは、問題となる「Clio」と「blue」が上下二段であるか、横一連であるかの差異はあるものの、一体的に表されてなるもの及びその片仮名表記「クリオブルー」よりなるものである。
してみれば、申立人の使用に係る「Clio blue」は、その採択の経緯、実際の使用態様等に照らして、一連一体と見るべき取引の実情があるものというべきであり、これを「Clio」と「blue」とに分離して観察すべきものではない。
(2)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、「F.CLIO」の文字よりなるものであるところ、その構成中の「F.」文字が商品の品番、形式または規格等を表示するための記号・符号を認識させるというよりは、構成全体をもって一体不可分のものと認識し把握されるとみるのが自然であり、常に「エフクリオ」の一連の称呼のみをもって取引に資される固有の商標とみるのが相当である。
他方、引用各商標は、別掲(1)及び(2)に示した構成よりなるものであるところ、その構成中、顕著に表された「Clio blue」の文字は、前記「(1)」認定のとおり、一連一体と見るべきものであって、「blue」が色彩表示「青色」を意味するというよりは、本件の場合、申立人商標の主要な構成部分であるというべきである。
このことは、「ブランドネーム “Clio blue”の由来 Clioとはギリシャ神話の‘海の女神’を意味し、blueは地中海に広がる海の色‘ターコイズブルー’をイメージしています」との記載があることからも明らかというべきである。
してみれば、引用各商標より「Clio」の文字を分離して観察し、本件商標と引用各商標とが称呼上類似するとする申立人の主張は、理由がないものといわざるを得ない。
そして、本件商標と引用各商標とは、外観が明らかに相違し、称呼においては、本件商標の称呼が「エフクリオ」であるのに対し、引用各商標の問題となる「Clio blue」の文字部分からは、前記のとおり、一連の「クリオブルー」の称呼のみを生ずるから、これらの対比においては、その構成音及び構成音数が明らかに相違し、十分に聴別し得るものである。
また、観念においては、その構成中の図形部分(魚の)との比較においてはもとより、問題となる「Clio blue」の文字部分と本件商標とでは、該「Clio blue」から格別の観念は生じないものというべきであるから、比較すべきところがない。
そうとすれば、本件商標と引用各商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれよりみても、何ら相紛れるおそれのない、非類似の商標である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第10号及び同第15号について
申立人商標は、前記「(1)」認定のとおりであり、本件商標と引用各商標とは、前記「(2)」の認定のとおり、何ら相紛れるおそれのない、非類似の商標であって、これと同様に本件商標と申立人商標とは、相紛れるところのない別異のものであるから、申立人商標が需要者の間に広く認識されているという取引の実情があるとしても、本件商標をその指定商品について使用した場合、これに接する取引者・需要者が申立人又は申立人と経済的・組織的に何らかの関係のある者の業務に係る商品であるかのごとく、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものということはできないところである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第15号にも該当しない。
(4)商標法第4条第1項第19号について
前記認定のとおり、本件商標と申立人商標とは、何ら相紛れるおそれのない、非類似の商標であるばかりでなく、申立人提出の証拠を徴するに、商標権者が不正の目的をもって使用するものと認めるに足りる証拠の提出もない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号にも該当しない。
(5)結び
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項の規定に違反して登録されたものということができないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
(1)引用商標1


(2)引用商標2



異議決定日 2011-02-21 
出願番号 商願2009-59707(T2009-59707) 
審決分類 T 1 651・ 252- Y (X18)
T 1 651・ 262- Y (X18)
T 1 651・ 272- Y (X18)
最終処分 維持  
前審関与審査官 泉田 智宏 
特許庁審判長 鈴木 修
特許庁審判官 前山 るり子
内山 進
登録日 2010-03-05 
登録番号 商標登録第5305486号(T5305486) 
権利者 エース株式会社
商標の称呼 エフクリオ、クリオ 
代理人 杉村 憲司 
代理人 村松 由布子 

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