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審決分類 審判 査定不服 商64条防護標章 登録しない X35
管理番号 1235010 
審判番号 不服2009-18406 
総通号数 137 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-05-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-09-30 
確定日 2011-03-31 
事件の表示 商願2008- 86466拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願標章
本願に係る防護標章登録を受けようとする標章(以下「本願標章」という。)は、別掲1のとおり太字で表された「5-56」の文字を横書きしてなり、第35類「自動車の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,二輪自動車及び自転車の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務とし、登録第2284984号商標(以下「原登録商標」という。)に係る防護標章登録出願として、平成19年6月29日に登録出願された商願2007-72555に係る商標法第10条第1項の規定による防護標章登録出願として、平成20年10月24日に登録出願されたものである。

第2 原登録商標
原登録商標は、本願標章と同一の構成よりなり、昭和60年2月20日に登録出願、第1類「潤滑・防錆剤」を指定商品として、商標法第3条第2項の適用を受けて平成2年11月30日に設定登録、その後、商標権の存続期間の更新登録がなされ、さらに、指定商品については、同14年4月17日に第2類「防錆剤」及び第4類「潤滑剤」に書換登録され、現に有効に存続しているものである。

第3 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願標章は、他人がこれを本願指定商品に使用しても役務の出所について、混同を生じさせる程に需要者間に広く認識されているものとは認められない。したがって、本願標章は、商標法第64条に規定する要件を具備しない。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第4 当審の判断
1 商標法第64条第1項において、「商標権者は、商品に係る登録商標が自己の業務に係る指定商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている場合において、その登録商標に係る指定商品及びこれに類似する商品以外の商品又は指定商品に類似する役務以外の役務について他人が登録商標の使用をすることによりその商品又は役務と自己の業務に係る指定商品とが混同を生ずるおそれがあるときは、そのおそれがある商品又は役務について、その登録商標と同一の標章についての防護標章登録を受けることができる。」と規定している。
そこで、これを本件についてみる。

2 本願標章と原登録商標との一致性について
本願標章と原登録商標とが同一のものであること、また、本願標章の出願人(請求人)と原登録商標の商標権者が同一人であることは、出願書類及び商標登録原簿の記載に照らし、これを認めることができる。

3 原登録商標の著名の程度について
請求人は、原審における平成20年12月16日付け手続補足書において甲第1号証ないし甲第7号証(枝番を含む)を提出している。また、当審における同21年11月19日付け手続補正書(方式)において、前記甲第1号証ないし甲第7号証を援用している。
そこで、請求人の主張及び提出した資料を検討するに、甲第1号証は、請求人の総合カタログの抜粋写と認められるところ、原登録商標が付された防錆・潤滑剤(以下「5-56製品」という。)が掲載されていることが認められる。
甲第2号証は、請求人のウェブサイトと認められるところ、「5-56シリーズ 製品紹介」として、4種類の「5-56製品」が表示され、また、「Multi-Purpose Line」(多用途・多機能防錆・潤滑剤)として、5種類の製品名が表示されており、このうちの4種類についての製品紹介、用途、容量が表示されている。
甲第3号証の1ないし5は、請求人のテレビCMの概要を示す請求人のウェブサイト及び動画投稿サイトとするものであるところ、「5-56製品」に関する3種類のテレビCMと、2種類の動画が確認できる。
甲第4号証の1ないし10は、請求人の雑誌広告の態様を示す請求人のウェブサイトとするものであるところ、「5-56製品」についての、2002年ないし2005年及び2007年の雑誌広告と思しき表示が確認できる。
甲第5号証の1ないし3は、「5-56製品」に関するインターネット記事(コラム等)と認められるところ、「日本でのこの分野の製品としては、KURE CRC 5-56がトップシェア。何と98パーセント以上のシェアだそうで、ダントツの製品なんですな。」、「発売以来40年以上たった今も、防錆・潤滑剤の代名詞として、不動のNo.1シェアを誇っています。」、「1962年から売っているという、この分野では90%以上のシェアを持つスグレモノです。」等の記載が認められる。
甲第6号証の1ないし3は、「Amazon.co.jp」及び「楽天市場」のインターネットショッピングサイトと認められるところ、当該サイトにおいて「5-56商品」が販売されていることが確認できる。
以上によれば、請求人は、原登録商標である「5-56」商標を、商品「防錆・潤滑剤」に大々的に使用し、また、テレビCMあるいは雑誌広告も継続して行っており、1962年の発売以来40年を経過した現在においても、ロングライフかつベストセラー商品として、この種の商品分野において圧倒的なシェアを誇っているものであることが認められる。
ところで、原登録商標は、前記第2のとおり、その指定商品「潤滑・防錆剤」について、商標法第3条第2項の適用を受けて登録されているものであり、また、原登録商標の防護標章登録第1号及び第2号として、別掲2のとおりの指定商品及び指定役務が登録されているものである。
そうすると、原登録商標は、請求人により、同人の取扱いに係る商品「防錆・潤滑剤」について継続して使用され、現在においても、請求人の業務に係る前記商品を表示する商標として取引者、需要者の間に広く認識されているものと認め得るものである。

4 出所混同のおそれ
商標法第64条第1項においていう「混同のおそれ」を判断するに当たっては、原登録商標が請求人の業務に係る商品を表示する商標として取引者、需要者の間に広く認識されていることを前提として、原登録商標の指定商品と防護標章登録出願の指定商品〈役務)との間の性質、用途又は目的における関連性の程度並びに商品の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情などに照らし、防護標章登録出願の指定商品の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として、総合的に判断されるべきものと解される。
これを本件についてみるに、前記3に記載のとおり、原登録商標は、請求人の取扱いに係る商品「防錆・潤滑剤」について継続して使用された結果、請求人の業務に係る商品「防錆・潤滑剤」を表示する商標として、取引者、需要者の間に広く認識されているものといえる。
ところで、本願標章の指定役務は、商品(自動車、二輪自動車及び自転車)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供、いわゆる「小売等役務」であるところ、小売等役務とは、「小売業及び卸売業において顧客に提供する総合的なサービス活動(商品の品揃え、陳列、接客サービス等)」(商標法第2条第2項)であるのに対し、原登録商標の指定商品「防錆剤,潤滑剤」と同一商品と認められる、請求人の取扱いに係る商品「防錆・潤滑剤」は、金属製品や機械類、家庭用品等のサビを落とし(防ぎ)、動きを良くするための商品と認められる。
そうとすれば、本願標章の指定役務あるいは役務の提供の用に供する物といえる「自動車、二輪自動車及び自転車」と、原登録商標の指定商品「防錆剤,潤滑剤」とは、その内容、質(品質)、用途又は目的を異にする、全く関連性の認められない商品及び役務であるというのが相当である。
してみれば、請求人が述べる企業経営の多角化を考慮したとしても、他人が原登録商標と構成を同一にする本願標章をその指定役務について使用した場合、該役務が請求人の取扱いに係る役務であるかのように、その出所について混同を生じさせるおそれがあるということはできない。

5 請求人の主張について
請求人は、「(1)役務と商品の関連性について、『5-56製品の需要者が、カーディーラー、中古自動車販売店、バイクや自転車販売店などのメカニックといった専門家に留まらず、広範な範囲の一般消費者を含むことは明白である。・・・本願役務の需要者は、自動車やバイク・自動車に関心を寄せる者であり、主として成人の男女である。本願役務と原登録商標にかかる商品は、需要者、提供場所(使用場所)、販売場所等を共通にする。』、(2)企業経営の多角化について、『カー用品以外にも除菌消臭剤や化粧品、各種クリーナー、つや出し剤、錆取剤、眼鏡レンズクリーナー、カレー粉などを取り扱っており、経営は多角化の度合いを強めている』等のことからすれば、商品・役務の出所につき混同を生ずるおそれがある」旨主張する。
(1)について
原登録商標の指定商品「防錆剤,潤滑剤」と、本願標章の指定役務「自動車の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,二輪自動車及び自転車の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」の需要者が、請求人の述べるとおり、成人の男女という広い括りにおいては同一であるとしても、金属製品や機械類等の錆を落とし、あるいは動きを良くしたいとして当該商品を求める者と、例えば、「自動車」の購入を目的として、品揃え、陳列、接客サービス等を受ける者とは、その目的等が明らかに相違するものであり、また、本願の指定役務の提供場所の一つといえるカーディーラー等において、原登録商標にかかる商品(防錆剤,潤滑剤)を普通一般に販売しているとは考え難く、その提供場所(使用場所)、販売場所等を共通にするものとは認められないものであるから、請求人の上記主張は採用することができない。
(2)について
請求人が、経営の多角化として販売しているとする商品中「つや出し剤、錆取剤、眼鏡レンズクリーナー」は、防護標章登録の指定商品(別掲2参照)に含まれ、また、それ以外の商品についても、原登録商標の指定商品と同一あるいは比較的近い産業分野に属する商品がほとんどであることからすれば、請求人が、当該商品を取り扱っていることを考慮したとしても、本願標章は、前記4のとおり、原登録商標の指定商品と全く関係性の認められない本願指定役務についてまで、請求人の取扱いに係る商品と需要者が出所の混同を生ずるおそれがあるとはいえないものであり、請求人の係る主張も採用することはできない。
その他の請求人の主張をもってしても、原査定の拒絶の理由を覆すことはできない。

6 結論
以上によれば、本願標章は、商標法第64条に規定する要件を具備しないものとして本願を拒絶した原査定は妥当であって、これを取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1(本願標章)


別掲2(原登録商標の防護標章登録の指定商品及び指定役務)
〈防護標章登録第01号〉
第01類 化学剤,製造工程用洗浄剤,燃料用化学添加剤(化学品に属するものに限る。),ティッシュペーパーに含浸させた眼鏡用曇り止め剤,ガラス曇り止め剤,金属防食用コーティング剤,自動車等の塗装表面保護用コーティング剤,エンジンオイル用添加剤(化学品に属するものに限る。),自動車用バッテリー強化剤,自動車用バッテリーの補充液,燃料タンク内の水分除去剤,酸化防止剤,油膜取り剤,解氷剤
第02類 防錆グリース,防錆油,腐蝕防止剤,金属用曇り止め剤
第03類 さび除去剤,つや出し剤,つや出し紙,油脂除去剤(製造工程用のものを除く。),自動車用洗浄剤,眼鏡レンズ用洗浄剤,家庭用洗浄剤,自動車用芳香剤
第04類 潤滑油,自動車燃料用添加剤(化学品を除く。),自動車用エンジンオイル添加剤(化学品を除く。)
第05類 車内及び室内用の消臭剤
第09類 自動車用消火器,スプレー式の消火器
第12類 自動車の部品及び附属品,二輪自動車及び自転車の部品及び附属品
第16類 防錆紙,洗浄剤を含浸してなる紙製の清掃用タオル(身体用のものを除く。)
第37類 船舶の修理又は整備,航空機の修理又は整備,自転車の修理,自動車の修理又は整備,鉄道車両の修理又は整備,二輪自動車の修理又は整備

〈防護標章登録第02号〉
第35類 製造工程用洗浄剤の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,防錆グリースの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,防錆油の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,つや出し剤の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,つや出し紙の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,自動車用洗浄剤の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,眼鏡レンズ用洗浄剤の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,家庭用洗浄剤の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,自動車用芳香剤の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,潤滑油の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,自動車燃料用添加剤(化学品を除く。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,自動車用エンジンオイル添加剤(化学品を除く。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,車内及び室内用の消臭剤の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,自動車用消火器の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,スプレー式の消火器の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,自動車の部品及び附属品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,二輪自動車及び自転車の部品及び附属品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,防錆紙の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,洗浄剤を含浸してなる紙製の清掃用タオル(身体用のものを除く。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供


審理終結日 2011-01-20 
結審通知日 2011-01-25 
審決日 2011-02-14 
出願番号 商願2008-86466(T2008-86466) 
審決分類 T 1 8・ 8- Z (X35)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 津金 純子今田 三男 
特許庁審判長 野口 美代子
特許庁審判官 豊瀬 京太郎
小川 きみえ
商標の称呼 ゴゴジューロク、ゴゴロク 
代理人 一色国際特許業務法人 

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