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審決分類 審判 査定不服 称呼類似 登録しない X09
管理番号 1234988 
審判番号 不服2010-6085 
総通号数 137 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-05-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-03-19 
確定日 2011-03-30 
事件の表示 商願2009-11007拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「匠」の文字を標準文字で表してなり、第9類「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」を指定商品として、平成21年2月18日に登録出願されたものである。

2 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願の拒絶の理由に引用した登録第第5042662号(以下「引用商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成16年11月9日登録出願、第9類「電池,磁心,液晶表示装置部品,水晶振動子,液晶表示装置,水晶発振器,半導体」を指定商品として、同19年4月20日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

3 当審の判断
(1)本願商標と引用商標の類否について
商標の類否は、対比される両商標が同一または類似の商品に使用された場合に、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが、それには、そのような商品に使用された商標がその外観、観念、称呼等によって取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべく、しかも、その取引の実情を明らかにし得る限り、その具体的な取引状況に基づいて判断しなければならない(最高裁昭和39年(行ツ)第110号同43年2月27日第三小法廷判決・民集22巻2号399頁参照)。
しかるところ、複数の構成部分を組み合わせた結合商標については、商標の各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められる場合において、その構成部分の一部を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは、原則として許されない。他方、商標の構成部分の一部が取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合などには、商標の構成部分の一部だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することも、許されるものである(最高裁昭和37年(オ)第953号同38年12月5日第一小法廷判決・民集17巻12号1621頁、最高裁平成3年(行ツ)第103号同5年9月10日第二小法廷判決・民集47巻7号5009頁、最高裁平成19年(行ヒ)第223号同20年9月8日第二小法廷判決・裁判集民事228号561頁、知財高裁平成21年(行ケ)第10380号同22年5月12日判決参照)。
これを本件についてみるに、本願商標は、「匠」の漢字を標準文字で表してなるところ、該文字は、常用漢字として親しまれているものであり、該文字に相応して、「タクミ」若しくは「ショウ」の称呼を生ずるものであり、「職人。職工。たくみ。技芸にすぐれた人。」(「広辞苑第6版」株式会社岩波書店 2008年1月11日発行)の観念が生ずるものである。
一方、引用商標は、別掲のとおり、「匠」の漢字の右側に「匠」の文字のおよそ2分の1程度の高さを有する黒色帯状内に「We value the ”takumi”spirit.」の白抜き文字を配してなるところ(以下、黒色帯状とその中に配された「We value the ”takumi”spirit.」の白抜き文字を総称して「黒色帯状部分」という。)、その構成中の「We value the ”takumi”spirit.」の白抜き欧文字は、同じ大きさ、同じ書体で表してなる一方、「匠」の文字は、これに比して、4倍程度のひときわ大きな漢字1文字で表してなるものであり、文字の種類、文字の大小及び文字の装飾の相違という視覚上の差異から、それぞれ「匠」の文字と、黒色帯状部分に分離して看取される結合商標である。
そして、「匠」との黒色帯状部分中の「We value the ”takumi”spirit.」の白抜き文字は、語義上の関連性が認められず、また、上記のとおり「匠」の文字が、圧倒的な大きさをもって、顕著に表されてなることからすれば、「匠」の文字部分が独立して看者の注意をひき、取引者、需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる。
そうとすれば、本願商標は、その構成文字全体から「タクミウィーバリューザタクミスピリット」若しくは「ショウウィーバリューザタクミスピリット」の称呼を生ずるほか、「匠」の文字部分に相応して、「タクミ」若しくは「ショウ」の称呼をも生ずるものとみるのが相当であり、本願商標と同様に「職人。職工。たくみ。技芸にすぐれた人。」の観念が生ずるものである。
そこで、本願商標と引用商標を比較するに、両者は、「タクミ」若しくは「ショウ」の称呼及び「職人。職工。たくみ。技芸にすぐれた人。」の観念を共通にするものであることから、外観において差異を有するとしても、相紛れるおそれのある類似の商標であり、かつ、本願商標の指定商品である「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」は、引用商標の指定商品に含まれる「液晶表示装置部品,液晶表示装置,半導体」と類似する商品である。
(2)請求人の主張について
請求人は、引用商標における自他商品の識別標識としての機能が強い部分を、「匠」の漢字部分ではなく、むしろ特徴的な図形要素を有する黒色帯状内に書された「We value the ”takumi”spirit.」の白抜き文字部分にあるとし、これは、引用商標に関する拒絶査定不服審判において、引用商標権者も説示していることからも裏付けられることから、本願商標は、該部分若しくは商標の構成全体をもって把握されるものである旨を主張するが、該黒色帯状部分は、その右端部分が毛筆書き風にややかすれているとしても、その部分は、黒色帯状部分全体の1割にも満たず、その中に配された白抜き文字も、「匠」の文字に比して、非常に小さな文字で書され、また、その書体も特殊なフォントとはいい得ないものであるから、該黒色帯状部分が独特の図形要素を形成しているということはできない。
そして、上記認定のとおり、本願商標は、その構成中の強く印象的な「匠」の文字部分が独立して自他商品の識別標識としての機能を果たすものであるから、これより「タクミ」若しくは「ショウ」の称呼が生ずることが明らかである。
また、請求人は、請求人の保有する商標登録第2673797号商標(以下、「本人既登録商標」という。)は、本願商標と構成を一にし、その指定商品は、引用商標の指定商品と類似する商品を含む商標であるところ、該商標と引用商標が併存登録されている事実は、両者を非類似と判断したものと考えざるを得ず、仮に本願商標と引用商標が類似する商標であると判断するならば、引用商標は、本人既登録商標よりも後願の商標であることから、商標法第4条第1項第11号違反の無効理由を内包するものであり不合理な判断であると主張する。
しかし、登録出願に係る商標が登録されるか否かの判断は、指定商品のそれぞれの取引の実情を考慮し、当該商標の全体の構成に基づいて、個々の商標ごとに個別具体的に判断されるべきであるところ、その全体の構成や指定商品を異にする登録例に拘束されるものではない。
そして、本人既登録商標と本願商標は、その指定商品を異とするものであるから、本人既登録商標と引用商標の関係をもって、本願商標と引用商標の類否を論ずるべき事由が認められない。
さらに、引用商標が商標法第46条第1項所定の無効理由に該当するとしても、本審決時において、請求人は商標登録の無効審判を請求していない。
(3)まとめ
以上によれば、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するものであるとして本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって、取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
引用商標


審理終結日 2011-01-25 
結審通知日 2011-01-31 
審決日 2011-02-15 
出願番号 商願2009-11007(T2009-11007) 
審決分類 T 1 8・ 262- Z (X09)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 長柄 豊 
特許庁審判長 石田 清
特許庁審判官 末武 久佳
吉野 晃弘
商標の称呼 タクミ、ショー 
代理人 深見 久郎 
代理人 竹内 耕三 
代理人 森田 俊雄 

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