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審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
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不服200918927 | 審決 | 商標 |
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審決分類 |
審判 査定不服 商4条1項7号 公序、良俗 登録しない X35 |
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管理番号 | 1234987 |
審判番号 | 不服2010-4720 |
総通号数 | 137 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2011-05-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2010-03-04 |
確定日 | 2011-03-30 |
事件の表示 | 商願2008-73136拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は、「Monet」の欧文字を表してなり、第35類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として、平成20年9月5日に登録出願されたものである。 その後、指定役務については、原審における、同21年6月3日付け提出の手続補正書により、第35類「履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」と補正されたものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定において、「本願商標は、印象派のフランス人画家で世界的に著名なクロード・モネ(Claude Monet 1840?1926)の略称を表示した『Monet』の文字を横書きしてなるものであるから、これを上記者と何等の関係のない出願人が商標として採択使用することは国際信義に反し、また、公序良俗に反するものと認める。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。 3 当審の判断 (1)本願商標「Monet」について 本願商標は、前記1のとおり、ややレタリングされた「Monet」の文字よりなるところ、該文字が、世界的に有名なフランスの画家「Claude Monet」の著名な略称として、一般世人に理解、認識されていることは、以下の事実からも認められる。 ア 「広辞苑第六版」には、「モネ【Claude Monet】フランス印象派の代表的画家。「印象?日の出」と題するその作が印象主義の呼称を生んだ。同じ主題を一日の光の変化に従って描き分ける連作が特徴。ほかに「ルーアン大聖堂」「睡蓮」など。(1840?1926)」の記載がある。 イ 「ランダムハウス英和辞典」(小学館)には、「Claude,ミネ(1840-1926):フランスの画家;印象主義の代表的画家」の記載がある。 ウ 「プログレッシブ英和中辞典」(小学館)には、「モネ(1840-1926):フランスの画家」の記載がある。 エ 「リーダース英和辞典」(研究社)には、「モネ Claude?(1840-1926)《フランス印象派の風景画家》」の記載がある。 オ 「[どれどれどーれ]読売イベントのページ・6月25日」 読売新聞 2007.06.25 東京朝刊 36頁 「■大回顧展モネ/▽7月2日まで、国立新美術館(東京・六本木)。10時?18時。木・金曜は20時まで。火曜休館。http://monet2007.jp」との記載。 カ 「クロード・モネ」 の見出しのもと「Claude Monet (1840-1926)/フランス/印象派 ブーダンの影響で、戸外での絵画制作を始める/パリではルノワールやシスレーらと友人になる。クールベやマネの影響を受け、「自然の光」をいかに描写するか、ということに熱心になる。1870年代、普仏戦争を避けて、イギリスに渡航。 コンスタブルやターナーを研究。1874年、『印象= 日の出』を第一回印象派展に出品する。反サロン派たちの芸術展であった。ここで「印象派」という名前が生まれた。」との記載(http://www.ne.jp/asahi/art/dorian/M/Monet/Monet.htm)。 キ 「財団の歴史」の見出しのもと「クロード・モネ1926年12月5日没、唯一生存していた息子ミシェルは、日本の浮世絵や貴重な絵画とジヴェルニーにある不動産を相続しました。しかしミシェルは、アフリカのサファリの方が好きであり家族の家にはあまり興味をしめしませんでした。モネの長男ジャンはすでに他界し、アリスの娘であり、ジャンの妻ブランシュ・モネ・オシュデが、庭師長であるルブレと共に庭園の保護活動に従事しました。1947年ブランシュの死後、庭はほとんど放置されたままでした。」及び「1980年に、クロード・モネ財団ガ作られました。そして6月1日に大衆のために、そのドアが開けられたのです。それは非常に速く、世界中から多くの訪問者を集め、最も有名な観光地となりました。」との記載(http://www.fondation-monet.fr/jp/content/%E8%B2%A1%E5%9B%A3%E3%81%AE%E6%AD%B4%E5%8F%B2)。 ク 「フランス観光開発機構オフィシャルサイト」において「ジヴェルニー」を紹介し、「ジヴェルニーは印象派の巨匠クロード・モネが1883年から1926年まで住んだ家がある村だ。息子によって美術アカデミーに寄贈され、大規模な修復工事を経て、1980年にクロード・モネ財団として開館した。」との記載 (http://jp.franceguide.com/%E3%82%B8%E3%83%B4%E3%82%A7%E3%83%AB%E3%83%8B%E3%83%BC.html?NodeID=1&EditoID=33397)。 上記の事実によれば、故クロード・モネ(Claude Monet)は、印象派を代表するフランスの画家として世界的に著名な存在であり、1926年の死亡時から、本願商標の登録出願時(平成20年9月5日)はもとより現在においても、上記印象派の画家として著名な存在であることを認めることができる。 (2)著名な略称「Monet」の登録の是非について 「ところで、我が国において、その名称、氏名又はそれらの略称をもって著名な者と無関係な者が、その承諾なしに前記の名称等からなる商標について登録を受けることは、それが商標法第4条第1項第8号及び同条第15号等によって商標登録が受けられない場合に当たらないとしても、当該名称等に係るものの名声を冒用して不正な利益を得るために使用する目的、その他不正目的をもって登録出願されたものと認められる限り、商取引秩序を乱すものであり、ひいては国際信義に反するものというべく、公序良俗を害する行為というべきであるから、同条第7号に該当すると解すべきである。」(東京高等裁判所判決 平成10年(行ケ)第11号・第12号 平成11年3月24日言渡参照)と判示されているところ、これを本願商標についてみれば、本願商標は、前記(1)のとおり、故クロード・モネ(Claude Monet)の著名な略称であると認められ、同人は、生前、世界的に著名なフランスの印象派の画家であり、同人の死後、本願商標の登録出願時はもとより現在においても、その者の著名性は、継続しているものと認め得るものであるから、同人の遺族等の承諾を得ることなく本願商標を指定役務について登録し、独占して使用することは、世界的に著名な死者の著名な略称の名声に便乗し、故人の名声、名誉を傷つけるおそれがあるばかりでなく、公正な取引秩序を乱し、ひいては国際信義に反するものとして、公の秩序又は善良の風俗を害するものといわなければならない。 したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。 (3)請求人の主張について 請求人は、本願商標「Monet」は、クロード・モネの氏名を表示したものではなく、フランスにおいて名字に該当する「Monet」を表示したものに過ぎない旨、及び、歴史上の人物の名称を使用した公益的な施策等に便乗し、その遂行を阻害し、公共的利益を損なう結果に至ることを知りながら、利益の独占を図る意図をもってした商標登録出願ではない旨、主張する。 しかしながら、「Monet」の文字がフランス人の姓であるとしても、該文字は、世界的に有名なフランスの画家「Claude Monet」の著名な略称として、一般世人に理解、認識されていること、前記(1)のとおりであって、たとえ、請求人に、歴史上の人物名の著名性・評価を自己の事業のために利用する意図等がないとしても、その名称、氏名又はそれらの略称をもって著名な者と無関係な請求人が、遺族の承諾を得ることなく「Monet」の文字からなる商標について登録を受けることは、前記判決の趣旨に照らし、穏当を欠くものといわなければならない。 したがって、請求人の主張は、採用することができない。 (4)まとめ 以上のとおり、本願商標が商標法第4条第1項第7号に該当するとした原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2011-01-24 |
結審通知日 | 2011-01-28 |
審決日 | 2011-02-08 |
出願番号 | 商願2008-73136(T2008-73136) |
審決分類 |
T
1
8・
22-
Z
(X35)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 津金 純子 |
特許庁審判長 |
佐藤 達夫 |
特許庁審判官 |
田中 亨子 小田 昌子 |
商標の称呼 | モネ、モネット |
代理人 | 山本 拓也 |