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審決分類 審判 査定不服 称呼類似 登録しない X38
管理番号 1234952 
審判番号 不服2010-453 
総通号数 137 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-05-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-01-08 
確定日 2011-03-23 
事件の表示 商願2008- 95358拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲に示すとおりの構成からなり、第38類「テレビジョン放送,放送,報道をする者に対するニュースの供給,電気通信(放送を除く。),電話機・ファクシミリその他の通信機器の貸与」を指定役務として、平成20年11月26日に登録出願されたものである。

2 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録商標は、以下のとおりであり、その商標権は、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第3030372号商標(以下「引用商標1」という。)は、「ネクスト/NEXT」の文字を横書きしてなり、平成4年9月30日登録出願、第38類「移動体電話による通信,移動体電話機その他の通信機器の貸与」を指定役務として、同7年3月31日に設定登録、その後、同17年4月12日に商標権の存続期間の更新登録がされているものである。
(2)登録第4657570号商標(以下「引用商標2」という。)は、「ネクスト」の片仮名文字と「NEXT」の欧文字とを上下二段に横書きしてなり、平成14年3月20日登録出願、第38類「電子計算機端末による通信,無線呼出し,電子計算機端末による通信ネットワークへの接続の提供,移動体電話による通信ネットワークへの接続の提供(インターネットへの接続の提供を含む),その他の電気通信(放送を除く。),付加価値通信網による通信,インターネットによる映像及びそれに伴う音声その他の音響を送る放送」を指定役務として、同15年3月28日に設定登録されたものである。
なお、「引用商標1」及び「引用商標2」を一括していう場合は、単に「引用商標」という。

3 当審の判断
(1)本願商標と引用商標との類否について
本願商標は、別掲のとおり、親指を突き立て、中指・薬指及び小指を握りしめ、人差し指で右方向を指さしている左手を表したと思しき図形を左側に配し、その握りしめた中指の右横に「フジテレビ」の文字を横書きしてなり、その下部に「NEXT」の文字を、当該「フジテレビ」の文字の約2倍の大きさで配してなるところ、その構成中の文字部分と図形部分とは、これらが一体となって特定の観念を有するものとは認められないばかりでなく、両者が渾然一体として融合した構成態様からなるものともいえず、他にこれらを一体不可分のものとして把握しなければならない特段の理由も見いだすことはできないことから、本願商標は、文字部分と図形部分とがそれぞれ独立して自他役務の識別標識としての機能を果たすと判断するのが相当である。
そして、その文字部分についてみると、「フジテレビ」の文字と「NEXT」の文字とは上下二段に離れて配されていることに加え、「NEXT」の文字が、「フジテレビ」の文字に比べ約2倍の大きさで顕著に大きく書されているところからすれば、「フジテレビ」の文字と「NEXT」の文字とは、外観上分離して看取されるものである。
また、その構成文字部分全体から生ずる「フジテレビネクスト」の称呼は、9音と一連に称呼するにはやや冗長といえるものである。
さらに、その構成文字中「フジテレビ」の文字は、指定役務との関係では、請求人の商号の略称を表示する代表的な出所表示標識として認識される語と認められるものである。
さらにまた、「NEXT」の文字は、「次の」等を意味する英語であり、役務の質を具体的に表示するものでもないところから、独立して自他役務の識別標識としての機能を果たし得ると言い得るものである。
ところで、実際の商取引の場にあって、企業は、自己の商標を採択、使用するに際して、企業の代表的な出所標識とともに、その取り扱いに係る多くの商品または役務の種類を個別化して特定するための個別商標を一般に使用されているのが実情である。
そうしてみると、本願商標を、その指定役務について使用した場合、これに接する取引者、需要者は、その構成中の「フジテレビ」の文字を当該業務の主体を表す代表的な出所表示標識として捉え、また、「NEXT」の文字をその役務の種類を個別化して特定するための個別商標と認識し、把握するとみるのが相当である。
してみれば、本願商標は、構成文字部分全体から生ずる「フジテレビネクスト」の称呼のほかに、簡易・迅速を旨とする取引の実際においては、「フジテレビ」の提供する個別商標と認められる「NEXT」の文字部分に着目し、これより生ずる称呼及び観念をもって取引に資されることも少なからずあるものというのが相当であるから、当該文字に相応して、「ネクスト」の称呼及び「次の」等の観念をも生ずるものといわなければならない。
他方、引用商標は、それぞれの構成文字に相応して、「ネクスト」の称呼及び「次の」等の観念を生ずると認められるものである。
そうしてみれば、本願商標と引用商標とは、「ネクスト」の称呼及び「次の」等の観念を共通にするものである。
次に、外観上において、本願商標と引用商標とは、その外観を全体観察をもって対比した場合には相違する点を有するとしても、本願商標と引用商標の要部である「NEXT」の文字部分とは、その構成文字の綴りを同じくするところからすれば、本願商標と、引用商標とは、外観上においても近似した印象を与えるというべきである。
したがって、本願商標と引用商標とは、称呼・観念において類似する商標であって、外観上においても近似した印象を与えるものといわざるを得ない。
そして、本願商標の指定役務は、引用商標の指定役務と同一又は類似する役務を含むものである。

(2)請求人の主張について
ア 請求人は、「『WHO‘S NEXT』(第4048305号)等の登録商標は、引用商標があるにもかかわらず登録されたものであるが、これらは、『NEXT』部分とスペースを空けて他の文字と結合された商標であるから分離観察の対象になり得るものであるところ、その結果、引用商標とは非類似として登録されたものである。つまり、これらの存在により『NEXT』部分の独占適応性・識別力は低い。」旨、主張する。
しかしながら、本願商標と引用商標とが類似するものであることは、前記したとおりであり、商標の類否はそれぞれ個別、具体的に判断されるものであることから、それらの登録例をもって、本件の判断が左右されるものではない。
また、請求人が挙げる登録例は、「NEXT」部分とスペースを空けて他の文字と結合されているとしても、全体として観念が生じる等、分離観察すべき理由がないとして登録された事例であって、登録例が分離観察の対象になり得るものであることを前提に、「NEXT」部分の独占適応性・識別力が低いとする旨の請求人の主張は、その前提において失当である。
イ 請求人は、「拒絶査定にある記載『簡易迅速を旨とする取引上、本願商標に接する取引者、需要者は、『フジテレビ』の文字部分と『NEXT』の文字部分を分離して観察する場合もあるとするのが相当であり、その構成中大きく表された『NEXT』の文字部分をもって取引に資される場合も少なくないものというのが相当です。』とあるが、この考えは市場とかけ離れており、『簡易迅速を旨とする取引』であればあるほど、識別力の高い『フジテレビ』を省略した文字で取引に資されることはなく必ず『フジテレビネクスト』として取引をするものである。」旨、主張する。
しかしながら、前記したとおり、本願商標は、その外観、称呼及び観念のそれぞれの判断要素や実際の商取引の実情を参酌し、本願商標から、「フジテレビネクスト」の称呼以外にも、代表的出所識別標識である「フジテレビ」の提供する個別商標と認められる「NEXT」の文字部分に着目し、これより生ずる称呼及び観念をもって取引される余地はあるというべきであるから、本願商標からは、必ず「フジテレビネクスト」として取引をするものである旨の請求人の主張は、採用することができない。

(3)結び
本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとする原査定は、妥当であって、取り消すべきでない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
本願商標


審理終結日 2011-01-06 
結審通知日 2011-01-14 
審決日 2011-01-27 
出願番号 商願2008-95358(T2008-95358) 
審決分類 T 1 8・ 262- Z (X38)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 池田 光治吉田 昌史 
特許庁審判長 野口 美代子
特許庁審判官 豊瀬 京太郎
小川 きみえ
商標の称呼 フジテレビネクスト、フジテレビ、フジ、ネクスト 
代理人 井澤 洵 

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