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審判番号(事件番号) データベース 権利
不服201213270 審決 商標
不服2008650012 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 商3条1項5号 簡単でありふれたもの 登録しない X07
管理番号 1234949 
審判番号 不服2010-5969 
総通号数 137 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-05-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-03-18 
確定日 2011-03-22 
事件の表示 商願2009- 41960拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、「EB2H」の文字を横書きにしてなり、第7類「風水力機械器具」を指定商品として、平成21年6月5日に登録出願、その後、指定商品については、当審における同22年4月19日付け手続補正書により、第7類「船舶用遠心ポンプ,工業用遠心ポンプ」に補正されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、『EB2H』の文字よりなるところ、本願指定商品を取り扱う業界においては、商品の規格、品番等を表すための記号又は符号として、数字を介在させ前後に欧文字1字ないし2字を配した組み合わせが、取引上普通に採択・使用されている実情がある(別掲1)から、本願商標をその指定商品に使用しても、商品の規格、品番等を表すために用いられている欧文字と数字を組み合わせた一類型と理解させるにとどまり、本願商標は、自他商品の識別機能を有しない極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標と認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第5号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審の判断
1 商標法第3条第1項第5号について
商標法第3条第1項第5号(以下「本号」という。)において、「極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標」は、商標登録を受けることができない旨規定している。
そして、知的財産高等裁判所平成19年(行ケ)10050号判決(判決日 平成19年10月31日)(以下「知財高裁判決」という。)において「一般に、欧文字や数字は、製品や役務の管理のための符号として用いられることがあること、欧文字と数字の組合せも上記の符号として用いられることがあることは公知の事実である。」旨判示されている。
そこで、以上の観点から本件について検討する。

2 本願商標の本号の該当性について
本願商標は、前記1のとおり「EB2H」の欧文字を書してなるところ、その構成中の「EB」は、欧文字「E」及び「B」を結合した欧文字2字と認識され、構成中の「2H」は数字「2」と欧文字「H」を結合したものと容易に認識するものであることから、本願商標は、構成全体として欧文字と数字を組み合わせた標章と認められ、上記「知財高裁判決」で判示されているとおり、商品の規格、型式又は品番等を表示するための記号・符号として、取引上普通に採択・使用されているものである。
そして、欧文字と数字を組み合わせた標章が、商品の規格、型式又は品番等を表示するための記号・符号として採択・使用されていることは、拒絶査定で示した証拠(別掲1)の他、別掲2で掲げる証拠等からも明らかである。
してみれば、欧文字と数字とを組み合わせた「EB2H」の文字からなる本願商標は、これを補正された指定商品「船舶用遠心ポンプ,工業用遠心ポンプ」に使用しても、これに接する取引者、需要者は、その商品の規格、型式又は品番等を表示するための記号・符号の一類型を表示したものと理解するにとどまるというのが相当であって、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標といわざるを得ない。

3 請求人(出願人)(以下「請求人」という。)の主張について
ア 請求人は、平成21年10月14日付け意見書において、「本願商標は、『EB2H』の文字よりなるところ、構成各文字は外観上まとまりよく一体に表現されており、これより生ずる『イービーニーエイチ』又は『イービーツーエイチ』の称呼もよどみなく一連に称呼できるものである。そして、本願の指定商品の属する分野において、アルファベット1字ないし2字と数字とをハイフンで結合した文字が、商品の品番、型式等を表すための記号、符号として商取引上類型的に採択・使用されている事実は存するとしても、本願商標の如く、途中に(特に数字の前に)ハイフンを入れずに、アルファベット2字と1字の間に数字1字を挟んで一連に配列した構成よりなる文字配列が、類型的に採択使用されている事実は確認できない。そうとすると、本願商標に接した需要者は、本願商標を一種の造語と認識するものであり、本願商標を構成する『EB2H』の文字は、その指定商品との関係を考慮しても、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標とはいえず、本願商標をその指定商品に使用しても、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものである。」旨、主張する。
しかしながら、アルファベット2字と1字の間に数字1字を挟んで一連に配列した構成よりなる文字配列が、類型的に採択使用されていることは、別掲1及び2で示すとおりである。
そして、前記2で述べたとおり、本願商標は、欧文字と数字とを組み合わせた「EB2H」の文字からなるものであるから、その商品の規格、型式又は品番等を表示するための記号・符号の一類型を表示したものと理解するにとどまるというのが相当である。
したがって、「本願商標をその指定商品に使用しても、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものである。」とする請求人の主張は、採用することができない。

イ 請求人は、平成22年3月18日付け審判請求書(同年4月19日付け手続補正書により、「請求の理由」を補完)において、「ある商標が商品の型式名として使用されている場合であっても、そのこと故に、これが自他識別機能・出所表示機能を有しないというものではない。なぜなら、需要者が当該型式名の商品について特定の出所に係る商品であると認識するならば、その型式名すなわち商標が出所を表示しているということになるのであって、需要者において型式名に基づいて特定の出所を認識することは可能である。そして、本願商標は、船舶・工業用ポンプの専門メーカーである請求人が、30年にわたり継続的に自社製ポンプに使用してきた商標である。かかる使用実績及び『EB2H』の商標ないし型式名が出願人以外の者の船舶用あるいは工業用の遠心ポンプに用いられていないことに鑑みると、本願商標は、仮に需要者において製品の型式の表示であると認識するとしても、該型式名に基づいて自他識別機能・出所表示機能を発揮するものである。」旨主張し、前記主張の根拠として、同年8月19日付け手続補足書において、「本願商標の使用実績を証明するポンプ検索明細リスト(第8号証)及び設計図面[製品仕様書](第9号証)」を提出している。
そこで、請求人提出による本願商標の使用実績を証明するポンプ検索明細リスト(第8号証)をみるに、型式の欄に、「EB2H-32」等の記載があり、また、設計図面[製品仕様書](第9号証)をみると、「黒円内に幾何図形を配した図形」とその下に「naniwapump」の文字を配した請求人の出所を表示する標章が記載され、その出所表示とは別に、「型式」を意味する「MODEL」の項目に「EB2H」、「EB2H-32/40」、「EB2H-50S/65S」の文字が使用されている事実がうかがえる。
してみると、本願商標は、型式を表示するものとして実際に使用されていることは認められるものの、その型式の表記とともに、請求人の出所を表示する標章が使用されている事実(第9号証)が見受けられるものである。
そうすると、本願商標に接する需要者・取引者は、本願商標「EB2H」をその指定商品の型式を表示したものと認識するとしても、請求人以外の者が船舶用あるいは工業用の遠心ポンプの型式に用いられていないことのみをもって、本願商標が、請求人の取り扱いに係る商品の出所を表示として認識するものとはいえない。
したがって、本願商標は、自他商品の識別機能や出所表示機能を発揮するものであるとはいえないものであるから、請求人のかかる主張は、採用することができない。

ウ その他の請求人の主張をもってしても、原査定の拒絶の理由を覆すに足りない。

4 まとめ
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第5号に該当するとの原査定は、妥当なものであって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1 欧文字と数字を組み合わせた標章が、商品の規格、型式又は品番等を表示するための記号・符号として採択・使用されている事実について、拒絶査定で通知した証拠

(1)「株式会社MonotaROホームページ」のウェブサイトにおける「淀川電機製作所」のタイトルの下、「シロッコ型電動送風機」の項目の「メーカー品番」の欄に「CN3T」「CN4T」「CN5T」「CN6T」「CN7T」「CN8T」等の記載。
(http://ihc.monotaro.com/p/124798/)

(2)「工具専門店 ウェビックツールズ」のウェブサイトにおける、各種真空ポンプの品番として、「EA112RE」、「EA112RC」、「EA112RD」、「EA112AG」、「EA112TK」等の記載。
(http://tools.webike.net/sg/139/14672/8000/)

(3)「工具通販Bildy」のウェブサイトにおける、「日立高圧コンプレッサー」の項目に、「EC1445H」の記載。
http://www.bildy.jp/airtools/c945c961/p867/

別掲2 別掲1以外で、欧文字と数字を組み合わせた標章が、商品の規格、型式又は品番等を表示するための記号・符号として採択・使用されている事実

(1)「株式会社大阪真空機器製作所」のウェブサイトにおける「姿勢自在型複合分子ポンプTG-Fシリーズ」のタイトルの下、ラインアップの項目に「TG50F」、「TG70F」、「TG220F」及び「TG240F」等の記載。
(http://www.osakavacuum.co.jp/products/pump_turbo/tgf/index.html)

(2)「櫻護謨株式会社」のウェブサイトにおける「防災機器総合カタログ」の「消火栓・可搬ポンプ」の項目の「シバウラ可搬ポンプ」のPDFデータの「型式」の欄に「SF761F」、「SF656MG」、「SF651MG」、「TF745M」、「TF640MH」及び「TF516MH」の記載。
(http://public.sakura-rubber.co.jp/f/pdf/02/012.pdf)

(3)「株式会社イワヤ綜業」のウェブサイトにおける「主な商品紹介」のタイトルの下、
「浅井戸用ポンプ WSシリーズ」の項目の「型式」の欄に「WSSU150F」、「WSSU252F」の記載及び、「深井戸用水中ポンプ PSシリーズ」の項目の「型式」の欄に、「PS537H」、「PS637H」及び「PS545H」等の記載。
(http://www.iwaya-sougyou.co.jp/product/iwaya.html)

(4)「川崎重工株式会社」のウェブサイトにおける「ニュース」の項目の「電動機付ポンプユニット カワサキK3PUシリーズ登場 低騒音化・省スペース達成!」のタイトルの下、「機種」の項目の「型式」の欄に、「K3PU63」、「K3PU112」、「K3PU180」及び「K3PU280」の記載。
(http://www.khi.co.jp/kpm/news/detail/20071001.html)

(5)「新明和工業株式会社」のウェブサイトにおける「汎用・工事用水中ポンプ」のタイトルの下、「2極汎用(軽量・高揚程) 軽量汎用水中ポンプ」の項目の「型式」の欄に「BTR250S」、「BTR250T」、「BTR400S」、「BTR400T」、「BTR750S」、「BTR750T」、「BTR37H」及び「BTR400T」の記載。
(http://www.shinmaywa.co.jp/pump/products/hanyoutop.htm)



審理終結日 2011-01-05 
結審通知日 2011-01-07 
審決日 2011-02-08 
出願番号 商願2009-41960(T2009-41960) 
審決分類 T 1 8・ 15- Z (X07)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鈴木 斎豊田 緋呂子 
特許庁審判長 井岡 賢一
特許庁審判官 小林 由美子
豊田 純一
商標の称呼 イイビイニエッチ、イイビイニエイチ、イイビイツーエッチ、イイビイツーエイチ 
代理人 福島 三雄 

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