• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 称呼類似 登録しない X0942
審判 査定不服 観念類似 登録しない X0942
管理番号 1233348 
審判番号 不服2010-4171 
総通号数 136 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-04-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-02-25 
確定日 2011-02-18 
事件の表示 商願2009-54635拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「eSenrigan」の欧文字を標準文字で表してなり、第9類「電気通信機械器具,インターネットを通じてダウンロード可能なコンピュータプログラム及びコンピュータ用プログラムを記憶させた記録媒体並びにその他の電子応用機械器具及びその部品,インターネットを通じてダウンロード可能な音楽又は音声,録音済みCD-ROM及びその他の記録媒体,インターネットを通じてダウンロード可能な映像・画像,録画済みビデオディスク及びビデオテープ並びにその他の記録媒体,電子出版物」及び第42類「電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供」を指定商品及び指定役務とし、平成21年2月17日に登録出願された商願2009-10804に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願として、同年7月17日に登録出願されたものである。
そして、その指定商品及び指定役務については、原審における平成21年11月30日付け手続補正書により、第9類「電気通信機械器具,インターネットを通じてダウンロード可能なコンピュータプログラム及びコンピュータ用プログラムを記憶させた記録媒体並びにその他の電子応用機械器具及びその部品」及び第42類「電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供」と補正されたものである。

2 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録商標は以下のとおりである。
(1)第1573650号商標(以下「引用商標1」という。)は、「千里がん」の文字を横書きしてなり、昭和55年6月12日登録出願、第11類「電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く)電気材料」を指定商品として、同58年3月28日に設定登録され、その後、平成5年6月29日及び同14年11月12日に商標権の存続期間の更新がなされ、さらに、平成15年4月16日に指定商品を第7類「起動器,交流電動機及び直流電動機(陸上の乗物用の交流電動機及び直流電動機(その部品を除く。)を除く。),交流発電機,直流発電機,家庭用食器洗浄機,家庭用電気式ワックス磨き機,家庭用電気洗濯機,家庭用電気掃除機,電気ミキサー,電機ブラシ」、第8類「電気かみそり及び電気バリカン」、第9類「配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,磁心,抵抗線,電極」、第10類「家庭用電気マッサージ器」、第11類「電球類及び照明用器具,家庭用電熱用品類」、第12類「陸上の乗物用の交流電動機又は直流電動機(その部品を除く。)」、第17類「電気絶縁材料」及び第21類「電気式歯ブラシ」とする指定商品の書換登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
(2)第4990475号商標(以下「引用商標2」という。)は、「千利眼」の漢字と「SENRIGAN」の欧文字を上下二段に書してなり、平成17年10月4日登録出願、第35類「広告,商品情報・商品の販売に関する情報の提供,広告用具の貸与」、第41類「インターネット等の通信ネットワークを利用した音楽・映像の提供,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),テレビジョン受信機用ディスプレイの貸与,映画機械器具の貸与,テレビジョン受信機の貸与」及び第42類「コンピュータディスプレイの貸与」を指定役務として、平成18年9月29日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

3 当審の判断
商標の類否は、対比される両商標が同一または類似の商品に使用された場合に、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが、それには、そのような商品に使用された商標がその外観、観念、称呼等によって取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべく、しかも、その取引の実情を明らかにし得る限り、その具体的な取引状況に基づいて判断しなければならない(最高裁昭和39年(行ツ)第110号同43年2月27日第三小法廷判決・民集22巻2号399頁参照)。
しかるところ、複数の構成部分を組み合わせた結合商標については、商標の各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められる場合において、その構成部分の一部を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは、原則として許されない。他方、商標の構成部分の一部が取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合などには、商標の構成部分の一部だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することも、許されるものである(最高裁昭和37年(オ)第953号同38年12月5日第一小法廷判決・民集17巻12号1621頁、最高裁平成3年(行ツ)第103号同5年9月10日第二小法廷判決・民集47巻7号5009頁、最高裁平成19年(行ヒ)第223号同20年9月8日第二小法廷判決・裁判集民事228号561頁、知財高裁平成21年(行ケ)第10380号同22年5月12日判決参照)。
これを本件についてみるに、本願商標は、「eSenrigan」の欧文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の先頭の「e」の文字は、小文字で書されている一方、次の「S」の文字は、大文字で、それ以降の「enrigan」の文字は、小文字で書されていることからすれば、全体として「e」と「Senrigan」の各文字を組み合わせたものとして看取される結合商標である。
そして、語頭における小文字の「e」の文字は、本願の指定商品及び指定役務の分野であるコンピュータ関連の商品及び役務においては、「電子の。インターネットの。」の意味を有する欧文略語として知られるものであり(「現代用語の基礎知識2010」 自由国民社 2010年1月1日発行)、「eメール」、「eコマース」、「eラーニング」、「eBook」、「eCRM」等のように類型的に使用されている実情が認められることからすれば、本願商標の構成中の「e」の文字は、自他商品識別標識としての機能が極めて弱いか、その機能を果たさないものとみるのが相当である。
一方、本願商標の構成中の「Senrigan」の文字は、辞書等に掲載された成語とは認められないものであるが、これをローマ字読みした「センリガン」は、我が国において「遠隔の地の出来事を直覚的に感知する神秘的な能力。また、それを持つ人。仏教でいう天眼通」(「広辞苑第6版」株式会社岩波書店 2008年1月11日発行)の意味を有する語として一般に広く知られている「千里眼」の語の読みと同一のものであり、ほかに「センリガン」の読みを生ずる語として一般に知られている語は見いだせない。
そうすると、かかる「Senrigan」の文字からは、「千里眼」の語を連想、想起するとみるのが相当であるから、これから「千里眼」の観念を生ずるというべきであり、本願の指定商品及び指定役務の分野であるコンピュータ関連の商品及び役務においては、商品及び役務の品質等を示す記述的な語とは認められず、自他商品識別標識としての機能を有するものである。
そうとすれば、本願商標は、同じ書体でその全体が等間隔にまとまりよく表されているとしても、「Senrigan」の文字部分が、取引者、需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものというべきであり、本願商標と引用商標との類否判断に際して、本願商標から「Senrigan」の文字部分を抽出することは当然に許されるべきものである。
したがって、本願商標は、「eSenrigan」の文字全体から「イーセンリガン」の称呼を生ずるほか、「Senrigan」の文字部分に相応して、「センリガン」の称呼をも生ずるものとみるのが相当である。
また、観念については、上記のとおり、「Senrigan」の文字は、「千里眼」に通じるものであるから、これに相応して、「千里眼」の観念が生じるものとみるのが相当である。
一方、引用商標1は、「千里がん」の文字を横書きしてなるところ、該文字に相応して、「センリガン」の称呼を生ずるものとみるのが相当であり、また、構成中の「がん」の文字が、平仮名で書されているとしても、「千里眼」の語を連想、想起するとみるのが相当であるから、これから「千里眼」の観念を生ずるものとみるのが相当である。
次に、引用商標2は、「千利眼」の漢字と「SENRIGAN」の欧文字を上下二段に書してなるところ、下段の「SENRIGAN」の欧文字は、
ローマ字読みした「センリガン」の称呼を生ずるものであり、上段の「千利眼」から生ずる読みの表音である「センリガン」を欧文字表記したものと無理なく認められるものである。
そして、かかる「千利眼」の文字は、辞書等に掲載されていない文字であって、特定の意味を有しない造語であるとしても、下段の「SENRIGAN」の欧文字は、本願商標の「Senrigan」の欧文字と同様に、「千里眼」に通じるものであるから、これに相応して、「千里眼」の観念を生じる場合もあるものとみるのが相当である。
そこで、本願商標と引用商標1を比較すると、両者は、外観において差異を有するとしても、いずれも「センリガン」の称呼及び「千里眼」の観念を共通する点において相紛れるおそれのある類似の商標であり、かつ、本願商標の指定商品である「電気通信機械器具」及び「インターネットを通じてダウンロード可能なコンピュータプログラム及びコンピュータ用プログラムを記憶させた記録媒体並びにその他の電子応用機械器具及びその部品」と、引用商標1の指定商品に含まれる「電気通信機械器具」及び「電子応用機械器具及びその部品」とは、それぞれ同一の商品又は類似する商品である。
次に、本願商標と引用商標2を比較すると、両者は、「センリガン」の称呼を共通とし、また、本願商標の構成中の「Senrigan」の欧文字と、引用商標2の構成中の「SENRIGAN」の欧文字とは、2字目以降にアルファベットの大文字と小文字の差異を有するとしても、その綴りを共通とするものであるから、外観についても近似するものであり、さらには、観念についても、「千里眼」の観念を同じくする場合がある類似の商標とみるのが相当である。
そして、本願商標の指定役務である「電子計算機の貸与」及び「電子計算機用プログラムの提供」と、引用商標2の指定商品に含まれる「コンピュータディスプレイの貸与」とは、それぞれ類似する役務である。
なお、請求人は、本願商標の構成中の「Senrigan」の文字は、上記認定と同様に、「千里眼」に通じるものであり、該語は、広く知られた語であること、そして、平成22年4月2日付けの手続補正書中の参考資料C-2によれば、電気通信関連分野において、多数の千里眼の語から成る造語が使用されている実情が認められることを挙証し、「千里眼」は、極めて識別力の弱い文字であるとして、その上で、本願商標を識別力の弱い「e」の文字と同様に識別力の弱い「Senrigan」文字からなる結合商標とし、識別力の弱い文字同士の結合商標は、一体不可分のものとして観察評価すべきである旨主張している。
しかしながら、参考資料C-2は、いずれも、情報提供、放送、助言の役務に関する例であり、本願の指定商品及び指定役務とは別異のものである。
そして、当審において、職権により調査を行うも、「Senrigan」及び「千里眼」の文字が、本願商標の指定商品及び指定役務の分野において、類型的に使用されている事実は、発見できなかった。
そうとすれば、本願商標の構成中の「Senrigan」の文字は、極めて識別力の弱いものとはいい得ず、むしろ上記のとおり、取引者、需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる。
したがって、「Senrigan」の文字部分が、極めて識別力が弱い文字であることを前提とした請求人の主張は、採用することができない。
以上によれば、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するものであるとして本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって、取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2010-12-10 
結審通知日 2010-12-15 
審決日 2011-01-05 
出願番号 商願2009-54635(T2009-54635) 
審決分類 T 1 8・ 262- Z (X0942)
T 1 8・ 263- Z (X0942)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 薩摩 純一佐藤 丈晴 
特許庁審判長 石田 清
特許庁審判官 吉野 晃弘
末武 久佳
商標の称呼 イイセンリガン、エセンリガン、センリガン 
代理人 員見 正文 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ