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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z14
管理番号 1233263 
審判番号 取消2010-300421 
総通号数 136 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-04-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2010-04-13 
確定日 2011-02-07 
事件の表示 上記当事者間の登録第4581750号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4581750号商標の指定商品中「キーホルダー」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4581750号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成13年10月5日に登録出願され、第14類「身飾品,宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品,時計,記念カップ,記念たて,キーホルダー,貴金属製食器類,貴金属製のくるみ割り器・こしょう入れ・砂糖入れ・塩振出し容器・卵立て・ナプキンホルダー・ナプキンリング・盆及びようじ入れ,貴金属製の花瓶・水盤・針箱・宝石箱・ろうそく消し及びろうそく立て,貴金属製のがま口・コンパクト及び財布,貴金属製喫煙用具,貴金属」を指定商品として、平成14年6月28日に設定登録されたものである。
その後、商標法第50条第1項の規定に基づく審判請求(2008-301529)により、その指定商品中「身飾品,宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品,時計,記念カップ,記念たて,貴金属製のくるみ割り器・こしょう入れ・砂糖入れ・塩振出し容器・卵立て・ナプキンホルダー・ナプキンリング・盆及びようじ入れ,貴金属製の花瓶・水盤・針箱・宝石箱・ろうそく消し及びろうそく立て,貴金属製のがま口・コンパクト及び財布,貴金属」についての登録を取り消す旨の審決の確定登録が、平成21年12月3日にされているものである。

2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号ないし第5号証を提出している。
(1)請求の理由
本件商標は、その指定商品中「キーホルダー」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
(2)答弁に対する弁駁
被請求人は、本件商標はその指定商品中「キーホルダー」について、本件審判の請求の登録前3年以内に使用されているとし、本件商標の登録は維持されるべきである旨主張している。しかしながら、答弁書に証拠として添付されている乙第1号ないし第3号証は、いずれも本件商標が使用されていたことを証明するものではない。
ア 乙第1号証について
乙第1号証は、被請求人が、「ブルーノート」事業に関連する事業をその子会社である株式会社ライカを介して譲り受け、株式会社ブルーノートジャパンInc.(以下「ブルーノートジャパン」という。)に「ブルーノート」事業に関連する商標の使用許諾を行っていることを示すために提出されたものと思われるところ、本件については商標使用許諾契約の事実を示すものは提出されていないものの、100%出資者とその子会社という関係を考慮すれば、両者間における使用許諾の事実関係は容易に成立させることが可能であると考えられるので、被請求人の主張するブルーノートジャパンが、本件商標の通常使用権者であるという点についてはあえて反論は行わない。
イ 乙第2号証について
(ア)乙第2号証によれば、ソフィー・ミルマンという実演家の公演は、本件審判の請求の予告登録日である平成22年4月28日(審決注:「平成22年5月6日」の誤記と認められる。以下、同じ。)前3年以内である平成22年4月9日から11日である。
しかしながら、乙第2号証の3枚目の写真で示される「ブルーノート東京オリジナル・キーホルダー」という物品には、本件商標と社会通念上同一と認められる商標が用いられているかどうかという点が、同写真からは不明である。
(イ)仮に本件商標と社会通念上同一と認められる商標が用いられていたとしても、乙第2号証の説明によれば、当該物品は、独立して販売をされているものではなく、音楽鑑賞と飲食とを目的として2名1組31,500円で提供される鑑賞プランに含まれるものであるとされている。
(ウ)このような「景品」として提供される物品についての商標の使用が、商標法第50条の商品の使用に該当するものではないということもまた過去の審決例から明らかである。
したがって、乙第2号証をもって、本件商標が「キーホルダー」について使用されていたと証明することはできない。
ウ 乙第3号証について
(ア)乙第3号証の2枚目の写真で示される「ブラスキーホルダー L/Sセット」には、確かに本件商標と社会通念上同一と認められる商標が用いられているものと思われる。また、乙第3号証の1枚目及び2枚目のコンテンツは、統一されたパターンのもとにレイアウトされており、したがって、これが大阪ブルーノートで、ある時期に販売されていたものである可能性が認められ、請求人もこれを否定するものではない。
また、乙第3号証の3枚目及び4枚目に示されている、大阪ブルーノートが「2007年8月8日」をもって営業を終了していたという点についても特に否定するものではない。
しかしながら、ある店舗がある時点まで営業していたからといって、その営業終了時まで、過去に販売実績のある特定の商品を販売し続けていたというのは論理的に飛躍がある。
(イ)乙第3号証は、その記載から、本年6月14日におそらくは被請求人によってプリントアウトされたものと思われる。そして、最初の2枚(前半部)は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標が大阪ブルーノートで販売されていた商品に用いられていることを示すために、後半の2枚(後半部)は、前半部のウェブサイトが、大阪ブルーノートの営業終了日として予告されている2007年(平成19年)8月8日頃のウェブサイトであることを示すために提出されているものと思われる。
しかしながら、当該前半部と後半部が、同時期にウェブサイト上に掲示されていたことを示す証拠は何ら存在しない。
したがって、前半部は本件審判の請求の予告登録日前3年にあたる2007年(平成19年)5月6日以前の商品紹介ページである可能性も十分にあるのであるから、これらの証拠をもっては、本件審判の請求の予告登録日である平成22年5月6日前3年以内に本件商標と社会通念上同一と認められる商標が商品キーホルダーに用いられていたことは立証できていない。
(ウ)そして、被請求人は、乙第3号証のウェブサイトは現在も削除されずに残存している旨主張するが、当該サイトにアクセスしても当該ウェブサイトのトップページにはアクセスできず、一般の需要者向けに示されているのは、「ごあいさつ」という標題の大阪ブルーノートの営業終了に関する告知に係るページであり(甲第5号証)、既に営業終了している店舗の営業案内が一般消費者に公開されているのであれば、あたかも当該店舗が営業しているような誤った印象を与えるものである。
サーバー等においてデー夕として残存していたとしても、そのような恣意的に抽出できるデータをもって、ウェブサイトが残存し、あたかもそれらのサイトから自然にプリントアウトしたかのような主張を行うのは不自然であり、被請求人がこれらの不確かな証拠に依拠して主張を行うのは、結局のところ、本件審判の請求の予告登録日である平成22年5月6日前3年以内に本件商標と社会通念上同一と認められる商標が、商品キーホルダーに用いられていたことを示す証拠が存在しないからであるものと思料する。
エ 結語
以上述べたとおり、被請求人は、その答弁書において、本件商標が本件審判請求の登録前3年以内に商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかにより使用されている点を主張立証できておらず、また使用していないことについての正当な理由と証明も行っていないものであるから、本件商標は、不使用によりその商標登録を取り消されることを免れないものである。

3 被請求人の答弁及び通知(審理事項通知)に対する上申
被請求人は、「本件審判の請求は認められない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のとおり述べ、平成22年11月11日付けで上申書を提出している。
(1)答弁の理由
ア 被請求人である伊藤忠商事株式会社は、ニューヨークのジャズレストラン「ブルーノート」事業に関連する商標権を、その子会社株式会社ライカを介して譲り受け、ブルーノートジャパンに「ブルーノート」事業に関連する商標の使用許諾を行っている(乙第1号証)。
被請求人のライセンシーであるブルーノートジャパンは、東京、大阪、名古屋、福岡でのジャズレストラン「ブルーノート」の事業展開を行ってきた。
ブルーノートジャパンは、ジャズレストラン「ブルーノート」の各店舗でブルーノートのオリジナルグッズを販売している。
イ 乙第2号証は、ブルーノート東京で、2010年4月9日?11日に開催されたSophie Milmanの公演の案内資料写しであり、本件商標を付したキーホルダーが頒布されたことが窺える。
ウ 乙第3号証は、大阪ブルーノートのウェブサイトのプリントアウトである。同ウェブサイトからは、本件商標を付した「キーホルダー」が大阪ブルーノートのオリジナルグッズとして販売されていたことが分かる。
大阪ブルーノートは2007年8月に営業を終了しているが、上記乙第3号証のウェブサイトは、現在も削除されずに残存しており、かつ、2007年8月1日?8月8日のスケジュールがアップされている。
とすれば、少なくとも、本件審判請求の登録前3年以内である2007年8月8日までは、上記「キーホルダー」の販売が行われていたことは明らかである。
エ 上記のように、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に、被請求人のライセンシーであるブルーノートジャパンによって「キーホルダー」について使用されていたものであるから、請求人の主張は理由がないものである。
(2)通知(審理事項通知)に対する上申
被請求人は、通知(審理事項通知)に対する上申書において、「被請求人は、平成22年11月29日の口頭審理にて新たな主張及び証拠の提出をする予定はなく、被請求人及びその代理人ともに、上記口頭審理に欠席する。ついては、平成22年6月25日付け答弁書における主張及び証拠にて審理を行ってほしい。」旨述べている。

4 被請求人に対する通知(審理事項通知)
請求人は、「乙第3号証の前半部(2枚)と後半部(2枚)とが、同時期にウェブサイト上に掲示されていたことを示す証拠は何ら存在しない。また、乙第3号証のウェブサイトにアクセスしても、当該ウェブサイトのトップページにはアクセスできない。」旨主張しているので、当審において、被請求人に対し「乙第3号証に係る請求人の上記主張を明確に否定する説明及びそれを証明する明確な証拠を提示又は提出されたい。」旨の通知を行った。

5 口頭審理における陳述
被請求人は、本件口頭審理期日に出頭していない。

6 当審の判断
(1)乙第1号ないし第3号証によれば、以下の事実が認められる。
ア 乙第1号証は、2004年1月29日及び2005年4月28日付けの2種類の「ニュースリリース」であるところ、株式会社ライカのブルーノート本部を2005年4月に会社分割することにより、株式会社ブルーノートジャパンを設立したことなどが告知されている。
しかしながら、上記「ニュースリリース」中には、本件商標又はこれと社会通念上同一と認められる商標の表示は一切ない。
イ 乙第2号証は、「SOPHIE MILMAN-ソフィー・ミルマン」と題するウェブサイトの写しと認められるところ、1枚目には「SOPHIE MILMAN(2010 4.9fri-4.11sun.)公演決定! 最新の情報はこちら ▲」の文字が書いてあるのに対し、2枚目には年月日の異なる「SOPHIE MILMAN 2008 6/12 thu - 6/15 sun」の文字が書いてあることから、1枚目と2枚目とは連続した一連の内容の案内ではない。
なお、2枚目ないし4枚目の内容は一致していると認められ、その内容は、2008年6月12日?6月15日における「SOPHIE MILMAN」(ソフィー・ミルマン)の公演を案内するもので、「本プランには下記が含まれます(2名様分)」、「・ミュージック・チャージ」、「・ウェルカム・シャンパン」、「・デイナー・コース(アミューズ、前菜、メインディッシュ、デザート、パン、コーヒー)」、「・ブルーノート東京オリジナル・キーホルダー(1名様につき1つずつ)」、「【料金】2名様1組¥31,500(税サ込)」等と記載され、キーホルダーと思しき物品の写真が掲載されている。
しかしながら、該キーホルダーに本件商標が付されているか否かは明らかでない。
ウ 乙第3号証は、「OSAKA Blue Note」のウェブサイトの写しと認められるところ、前半の2枚には、「大阪ブルーノートのオリジナルグッズをご紹介します。」との見出しの下に、様々な商品と共に「ブラスキーホルダー L/Sセット¥1,942円」、「ブルーノートオリジナル ブラス製キーホルダー ステッカー(S)付き」として、キーホルダーの写真が掲載されており、該キーホルダーには、本件商標と社会通念上同一といえる標章が付されていることが認められる。
また、後半の2枚には、「LIVE SCHEDULE 8/1(水)-8/31(金)」の項目が掲げられ、「8/1水」から「8/8水」までの公演予定が掲載され、その下部の四角枠内に、「株式会社 阪神コンテンツリンクは、2007年8月8日(水)をもって大阪ブルーノートの営業を終了させていただきます。・・・」と記載されている。
しかしながら、乙第3号証の前半部(2枚)と後半部(2枚)とが、同時期にウェブサイト上に掲示されていたことを示す証拠は存在せず、また、乙第3号証のウェブサイトにアクセスしようとしても、当該ウェブサイトのトップページにはアクセスできない(クリックしてもNot Foundとなり、前半部のページを参照できない。)。
そうすると、乙第3号証の「キーホルダー」が掲載されたページを含む前半部と、「2007年8月8日(水)をもって大阪ブルーノートの営業を終了させていただきます。・・・」と記載されている同後半部とが、大阪ブルーノートが2007年8月8日に営業を終了するまでの間、常に同一のウェブサイト上で掲示されていたものとは俄に認めることができないので、当審より、被請求人に対し「乙第3号証に係る請求人の上記主張を明確に否定する説明及びそれを証明する明確な証拠を提示又は提出されたい」旨の通知を行ったが、被請求人は、本件口頭審理期日には出頭せず、かつ、請求人の前記主張に対する弁明も、請求人の主張を否定する証拠の提出もしなかった。

(2)上記(1)の認定事実によれば、乙第1号証は「ニュースリリース」にすぎず、本件商標の表示はどこにもないから、該証拠をもって本件商標の使用がなされたものであるとは認めることができない。
また、乙第2号証に示されたキーホルダーは、飲食付きの公演という役務の提供に付随して頒布される景品ともいうべきものであって、独立して商取引の対象となるものでなく、商標法上の商品とはいえないものである。しかも、該キーホルダーには、本件商標が使用されているか否かも明らかでない。
そうすると、上記乙第1号及び第2号証をもってしては、本件商標が商品「キーホルダー」について、要証期間内に使用されていたものと認めることはできない。
そして、乙第3号証についても、上記(1)ウの事実を総合勘案すれば、本件商標が取消請求に係る商品「キーホルダー」について、要証期間内に使用されていたものとは認めることができない。

(3)まとめ
以上のとおりであるから、被請求人の提出に係る証拠によっては、本件商標が、本件審判請求の請求登録前3年以内に、日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、その取消請求に係る指定商品について、本件商標を使用していたことを証明したものと認めることはできない。
また、被請求人は、本件商標を使用していないことについて、正当な理由があることを明らかにしていない。
したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その指定商品中「結論掲記の商品」について、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(本件商標)




審決日 2010-12-24 
出願番号 商願2001-89817(T2001-89817) 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (Z14)
最終処分 成立  
前審関与審査官 飯田 亜紀井岡 賢一 
特許庁審判長 佐藤 達夫
特許庁審判官 田中 亨子
野口 美代子
登録日 2002-06-28 
登録番号 商標登録第4581750号(T4581750) 
商標の称呼 ブルーノート、ノート 
代理人 竹内 耕三 
代理人 深見 久郎 
代理人 杉山 直人 
代理人 山崎 行造 
代理人 森田 俊雄 
代理人 向口 浩二 

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