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審決分類 審判 査定不服 商3条1項6号 1号から5号以外のもの 登録しない X36
管理番号 1233246 
審判番号 不服2009-17773 
総通号数 136 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-04-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-09-24 
確定日 2011-02-07 
事件の表示 商願2008- 62592拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、「投資信託のセレクトショップ」の文字を標準文字で表してなり、第36類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として、平成20年7月30日に登録出願、その後、指定役務については、原審における同21年6月1日付け手続補正書、当審における同年9月24日付け及び同22年10月12日付け手続補正書により、最終的に、第36類「証券投資信託の受益証券に係る募集の取扱い,証券投資信託の受益証券に係る保護預り,証券投資信託の受益証券に係る振替,証券投資信託の受益証券に係る収益金・償還金又は解約金の支払に係る業務の代理,証券投資信託の受益証券に係る買取り,契約型投資信託の受益証券の発行及び販売,証券投資信託受益証券の発行,証券投資信託に係る信託財産の収益分配金及び償還金の支払い,証券投資信託受益証券の募集・売出し,投資信託受益証券の募集・売出し,投資信託に関する情報の提供,投資信託に係る信託財産の運用指図,不動産投資信託に関する情報の提供,不動産投資信託に関する相談及び助言,不動産投資信託の引受け,投資信託の運用報告書の作成,インターネットによる投資信託の引き受け」と補正されたものである。

第2 原査定の拒絶理由の要点
原査定は、「本願商標は、『独自の視点で選び抜いた投資信託物件をそろえた店』であることを認識させる『投資信託のセレクトショップ』の文字を標準文字で表してなるにすぎないから、これを本願指定役務中の投資信託に関する役務に使用するときは自他役務識別標識としての機能を果たし得ず、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標と認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第6号(通知書中の「商標法第3条第1項第3号」については誤記と認める。)及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、次の事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づく通知を行った。

本願商標は、「投資信託のセレクトショップ」の文字を標準文字で表してなるところ、該文字に関して証拠調べを行った結果、以下のとおり、「投資信託」並びに「セレクトショップ」の各文字が有する意味及び「投資信託」やその他の金融商品である「保険」、あるいは投資の対象となる「不動産」の各文字と「セレクトショップ」の文字とを組み合わせた文字について使用されている事実が認められる。
1 「投資信託」及び「セレクトショップ」の各文字について
(1)「とうし‐しんたく【投資信託】」の項に、「投資家から集めた資金を委託会社(信託銀行)が運用し、その成果を出資額に応じて投資家に還元する金融商品。また、その仕組み。ファンド。投信。」との記載がある( 広辞苑第六版)。
(2)「セレクト・ショップ〔*select shop〕」の項に、「ひとつのブランドにこだわらず、店独自の視点で選び抜いた商品をそろえた店」との記載がある(現代用語の基礎知識 2010 自由国民社 2010年1月1日発行)。
(3)「セレクトショップ〔select shop 日〕」の項に、「生活様式や暮らし方を全体的に提案し、衣類・家具・雑貨などを扱うが、店主などの好み・個性で商品を選んで展示する店」との記載がある(イミダス/imidas2007 株式会社集英社 2007年1月1日発行)。

2 「セレクトショップ投資信託」の文字の使用例について
「News2u.net」のウェブサイトにおける、「2001年10月02日 09時00分」の項に、「セレクトショップ投資信託の販売手数料変更のお知らせ/マネックス証券株式会社 」との記載がある。
(http://www.news2u.net/releases/169)

3 「保険セレクトショップ」の文字の使用例について
(1)「株式会社ソニーファイナンスインターナショナル」のウェブサイトにおいて、「保険セレクトショップ/INSURANCE SELECTION」の見出しの下、「取扱商品一覧」の項に、「自動車保険/引受保険会社 ソニー損保」等の記載がある。
(http://www.sonyfinance.co.jp/hoken/auto/)
(2)「株式会社ワールドフィナンシャル」のウェブサイトにおいて、「For Your Best Insurance/保険セレクトショップ」の見出しの下、「保険ショップ/来店型保険セレクト ショップとは、生命保険19社損害保険10社共済3社の計32社からお客様にあったより良い商品で構成したコーディネートを提案いたします。」の記載がある。
(http://www.worldfinancial.jp/comapnysummary.htm)
(3)「保険セレクトショッププレシャス-生命保険・がん・女性保険のポイント」を見出しとするウェブサイトにおいて、「生命保険・がん・女性保険のポイント/生命保険・がん・女性保険で知っておくべきポイント」の項に、「保険セレクトショッププレシャス/生命保険・女性保険関連情報の生命保険情報をまとめています。」の記載がある。
(http://www.cancer.zfez.net/ent1032.html)

4 「不動産セレクトショップ」の文字の使用例について
(1)「株式会社CAPD」のウェブサイトにおいて、「広島を『再発見』できる提案型不動産サイト」の見出しの下、「不動産セレクトショップ SMUD/スムド」の記載がある。
(http://www.smu-d.net/)
(2)「株式会社 アライアンス」のウェブサイトにおいて、「不動産セレクトショップ/住まいる情報センター」の記載がある。
(http://www.smile2103.co.jp/)
(3)「株式会社シェイクハンズ」のウェブサイトにおいて、「西新の賃貸不動産セレクトショップ 福岡面白家屋、賃貸マンション、分譲賃貸マンション、売買物件、中古マンション」の記載がある。
(http://f-uh.com/)
(4)「SPEAC.inc」のウェブサイトにおいて、「VISION セレクトショップ型の不動産流通へ」の見出しの下、「顧客の求めるものは多様化し複雑になっています。・・・SPEACは、『チャネル』をニーズに合わせて多様化させてゆくことを中期的なテーマとしています。それにより、個別の価値を持った商品は、より高い価値をもって流通してゆくことになり、その時、商品の供給もあるべき多様化が実現するのです。」の記載、及び 「不動産セレクトショップ」の項には、「[Label 1]東京R不動産」等の記載がある。
(http://www.speac.co.jp/vision/vision_3.html)

第4 職権証拠調べに対する意見の要点
本件商標「投資信託のセレクトショップ」は、第三者による使用例は発見されていないこと、証拠調べ通知書で開示されたインターネット上のものは、「特定の目的のために『投資信託』及び『セレクトショップ』のキーワードを事前に得た上で意識的に検索する必要があると考えられるから、近年におけるインターネットの普及を考慮したとしても、そのような操作の結果得られた情報である記事をもって、わが国の取引者、需要者が『投資信託のセレクトショップ』を認識し、又は認識し得ることの直接の根拠とすることはできないというべきである。」(甲第38号証の高裁判決参照)であること、さらにインターネットは、アクセス件数が100万件を超えるものも、10件程度のものも検索エンジンなら同等にヒットするものであり、アクセス件数の証明もないウェブページの存在をもって本願商標の識別力を否定することは、商標法第3条第1項第3号の要件である「普通に用いられる方法で表示」の解釈を逸脱したものといえる。
したがって、本願商標は、本件審判請求人のみが市場で使用する商標であり、識別力を有する商標として登録されるべきものである。

第5 当審の判断
1 商標法第3条第1項第6号について
本願商標は、「投資信託のセレクトショップ」の文字よりなるところ、その構成中の「投資信託」の文字部分は、「投資家から集めた資金を委託会社(信託銀行)が運用し、その成果を出資額に応じて投資家に還元する金融商品。また、その仕組み。ファンド。投信。」を、また、「セレクトショップ」の文字部分は、「ひとつのブランドにこだわらず、店独自の視点で選び抜いた商品をそろえた店」等をそれぞれ意味する語と認められる。
ところで、前記第3に示すように、「投資信託」と同様の金融商品と認められる「保険」、あるいは投資の対象となる「不動産」の各文字と、「セレクトショップ」の文字とを組み合わせた「保険セレクトショップ」及び「不動産セレクトショップ」の語が、「店独自の視点で選び抜いた各種保険・各種不動産物件をそろえた店」程の意味合いで、広く一般に採択・使用されている事実が認められる。
しかも、「セレクトショップ」と「投資信託」の文字とを組み合わせた「セレクトショップ投資信託」の語については、請求人が述べるように、2001年10月のデータしかヒットしない情報であるとしても、実際に、当該語が使用されていたという事実になんら変わりはないものである。
そうとすると、上記意味合いを有する「投資信託」と「セレクトショップ」の両文字を格助詞「の」を介して一連に結合してなる本願商標からは、全体として、「金融商品である投資信託のセレクトショップ(店独自の視点で選び抜いた投資信託を取り揃えた店)」程の意味合いを容易に理解、認識させるものである。
してみれば、本願商標は、これを投資信託に関連するその指定役務について使用しても、これに接する取引者、需要者をして「店独自の視点で選び抜いた投資信託(金融商品)を取り揃えた店」であることを理解させるにすぎず、需要者が何人かの業務に係る役務であると認識することができない商標といわなければならない。

2 請求人の主な主張について
(1)請求人は、「本願商標は、第三者による使用例はなく、証拠調べ通知書で開示されたインターネット上のものは、特定の目的のために『投資信託』及び『セレクトショップ』のキーワードを事前に得た上で意識的に検索した結果得られた情報(高裁判決『紅豆杉』(平成12年(行ケ)第164号)参照。以下、『判決』という。)であるから、わが国の取引者、需要者が『投資信託のセレクトショップ』を認識し、又は認識し得ることの直接の根拠とすることはできないというべきであって、このインターネット上のものの存在をもって本願商標の識別力を否定することは、商標法第3条第1項第3号の要件である『普通に用いられる方法で表示』の解釈を逸脱したものといえる。したがって、本願商標は、本件審判請求人のみが市場で使用する商標であり、識別力を有する商標として登録されるべきものである」旨、主張している。
しかしながら、本願商標が、現実に使用されている等の事実は、商標法第3条第1項第6号の適用において必ずしも要求されないものと解すべきであり、また、証拠調べ通知書で開示したインターネット情報は、それぞれ意味を有し、かつ、知られている「保険」、「不動産」及び「投資信託」の文字と「セレクトショップ」の文字とを組み合わせた文字をキーワードとして得た情報であって、請求人が引用する判決において、「紅豆杉」の語自体が取引者・需要者に知られているか否か争われた際に、証拠として提出した「紅豆杉」の文字をキーワードとして得たインターネット情報とは、同列に論じることはできないから、証拠調べ通知書で開示したインターネット情報は、特定の目的のために、意識的に検索した結果得られた情報ということはできない。
そうとすると、かかる請求人の主張は、採用することができない。
(2)請求人は、登録例を挙げ、本願商標も同様に、登録されてしかるべきである旨述べているが、商標の登録の可否は、その指定商品及び指定役務との関係を含めて個別・具体的に判断されるべきものであり、過去の登録例の存在のみをもって、本願商標について、それらと同列に論ずべき特別の理由も見当らず、本願商標については、上記のとおり判断するのが相当というべきであるから、かかる請求人の主張も、採用することができない。

3 まとめ
したがって、本願商標を商標法第3条第1項第6号に該当するとした原査定は、妥当であって取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2010-11-26 
結審通知日 2010-12-03 
審決日 2010-12-15 
出願番号 商願2008-62592(T2008-62592) 
審決分類 T 1 8・ 16- Z (X36)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 今田 三男津金 純子 
特許庁審判長 野口 美代子
特許庁審判官 小俣 克巳
小川 きみえ
商標の称呼 トーシシンタクノセレクトショップ、セレクトショップ 
代理人 押本 泰彦 

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