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審決分類 |
審判 判定 その他 属する(申立て成立) Y30 |
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管理番号 | 1231810 |
判定請求番号 | 判定2010-600060 |
総通号数 | 135 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標判定公報 |
発行日 | 2011-03-25 |
種別 | 判定 |
2010-10-06 | |
確定日 | 2011-02-03 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4711250号商標の判定請求事件について、次のとおり判定する。 |
結論 | 商品「茶」に使用する(イ)号標章は、登録第4711250号商標の商標権の効力の範囲に属する。 |
理由 |
1 本件商標
本件登録第4711250号商標(以下「本件商標」という。)は、「JUAR TEA」の欧文字を標準文字で表してなり、第30類「茶」を指定商品として、平成14年5月14日に登録出願、同15年9月19日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 2 イ号標章 被請求人が、商品「茶」について使用する標章(以下「イ号標章」という。)は、別掲のとおりの構成からなるものである。 3 請求人の主張 請求人は、結論同旨の判定を求め、その理由を要旨以下のとおり述べ、証拠方法として甲第1号ないし同第6号証を提出している。 (1)商標権取得と事業の経緯 ア 請求人である企業A(以下「請求人」という。)は、アフリカから輸入した茶葉を加工した商品「茶」に関して、「ジュアールティーブランド」として、請求人が製造し、企業Bが仕入れ・販売する事業を進めてきた。両社による製造・販売ルートで市場に供給される商品を真正品と位置づけ、共同名義で、「ジュアールティーブランド」の5件の商標権を取得し、判定請求にかかる本件商標を含む、それぞれの商標権は、継続して使用されており、いずれも指定商品に「茶」を含むものである。 イ 平成18年末までは、両社間のジュアールティーブランド事業は問題なく履行され、市場には、「ジュアールティーブランド」の「茶」が、請求人が製造、企業Bが仕入れ・販売という事業形態で真正品が供給されてきた。平成15年から平成18年まで「ジュアールティーブランド」の商取引は、年平均2000万円近くあった。 (2)被請求人の商品「茶」(以下「イ号商品」という。)及び被請求人による侵害行為 ア 平成18年まで順調に推移してきた取引は、平成19年初頭から急に減少し、平成20年2月以降停止された。 被請求人である企業C(以下「被請求人」という。)は、平成19年初め頃、企業Bの一部社員を被請求人の会社に入社させ、ジュアールティーブランド商品の販売を始めた。当初は、企業Bから買い受けた「ジュアールティーブランド」商品の在庫品を販売したようだが、さらに、「ジュアールティーブランド」を自らのブランドとしての製造、販売を企図し、5件の商標権の企業Bの持分の譲り受けをするため、請求人に対して、商標法第35条で準用する特許法第73条第1項の譲渡同意を求めてきた。 イ 請求人は、被請求人からの企業Bの持分譲渡に関して、商標法第35条で準用する特許法第73条第1項の同意を明確に断った。 なお、上記の被請求人の動きについて確認すべく、請求人は、企業B側に連絡を取ろうとしたが、電話もつながらず、その住所地に訪ねても既に引き払った後で連絡不能な状態に陥っている。ちなみに企業Bは現在でも破産、清算などしておらず、存続しているようである。 ウ 被請求人は、遅くとも、平成21年2月から「製造者:企業C」として、自らの福岡県内の製造設備にて茶を製造し、「ジュアールティーブランド」を自社ブランドとして商品に使用して販売しており、判定請求時においても販売を継続している。 エ 甲第1号証の商品パッケージに明記されているように、「製造者:企業C」となっており、また、甲第1号証の商品パッケージには、本件商標と酷似した商標が使用されている。つまり、外観において、本件商標と同じ文字「JUARTEA」が大書され、また、発音においても「ジュアールティー」と発音されるものであるから、外観・称呼において、明らかにイ号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属するものである。 また、被請求人は、同社のホームページにおいて、本件商標と酷似した商標を掲載し、同社自らの「ジュアールティーブランド」の販売の誘因を行っている。 オ 「製造者および販売者:企業C」として商標を使用している事実を立証するため、公証人役場において作成した事実実験公正証書を提出する(甲第2号証)。 甲第2号証において立証されているように、被請求人の公式サイトにおいて、同事実実験公正証書の別紙3及び4として添付されているページが表示され、各商品の中央に判定請求の商標が大書で掲載されている事実を確認していただいた。 また、商品名称も「ジュアールティー」とカタカナで表記されている。これは、請求人が所有する本件商標「JUAR TEA」のカタカナ表記である。被請求人の公式サイトの商品群は、請求人の「ジュアールティーブランド」商品群を無権限で製造・販売するものが、同社の製造、販売として認識される形で商標が使用され、並んでいる事実を確認していただいた。 (3)判定請求の必要性 ア 請求人は、被請求人に対して、商標法第35条で準用する特許法第73条第1項の同意を得ていない限り、企業Bの商標権持分を譲り受けたとする同社の主張は法的に無効であり、同社の商標権侵害状態を解消すべく、再三「ジュアールティーブランド」の同社名義での製造・販売の中止を求めてきた。 その中で、平成22年2月10日、兵庫県神戸市の「ANAクラウンプラザ新神戸」において、請求人及び被請求人の代表取締役らが一堂に会した交渉がもたれ、その席上、請求人は、商標法第35条で準用する特許法第73条第1項の同意を得ていない限り、企業Bの商標権持分を譲り受けたとする被請求人の主張は法的に無効であり、同社は無権限に自社ブランドとして本件商標などの商標権を使用しており、商標権侵害であると指摘し、その侵害状態を解消することを求めた。 その席上、被請求人は、平成19年初め頃に、企業Bの商標権持分の譲り受けの同意を申し出た時点で、商標権の持分譲り受けに同意が必要であることは認識しているが、請求人から同意を得られなかったことにより、仕方なく商標権の持分譲り受けをしないまま「ジュアールティーブランド」を自社ブランドとして製造・販売を開始してしまったと主張した。 この席上では、被請求人は、商標権侵害状態を解消するため善処すると約束した。 イ しかし、平成22年2月10日の交渉の後、被請求人から請求人ヘの連絡が一向になく、何度かのやりとりの末、請求人から被請求人に対して送った通知文(甲第3号証)に対して、被請求人は、「企業Cと企業Bとの間の事業譲渡について金銭授受があったので、商標権譲渡を巡る商標法上の問題は、請求人と企業Bとの間の問題である」旨の回答(甲第4号証)を送り、責任がまったくないかのように主張を変遷させてきた。 ウ それに対して請求人は、企業Bが被請求人に対して商標権の持分譲渡を含む事業譲渡を約束したとしても、それは企業Bが債務不履行を起こしたということであり、逆に、被請求人と企業B間の問題であると、法律的な解説を明確に行う通知文(甲第5号証)を送ったが、被請求人からの回答(甲第6号証)は前回の主張の繰り返しで両社の主張が平行線を辿るようになり、建設的な交渉が不能に陥った。 エ そこで、被請求人が使用するイ号商品に、本件商標と類似する商標が、無権限で使用され、本件商標の商標権の効力に属する侵害行為を行っており、同社が違法行為を継続していることについて判定を求めるものである。 (4)むすび 以上、本件商標と明らかに外観および称呼において類似するイ号標章を、イ号商品について使用し、製造・販売する行為は、本件商標の商標権の効力範囲に属するものであり、被請求人が申し立てる抗弁は、商標法上認められない抗弁であり、商標使用について何らの抗弁も持たず無権限で使用しているため、少なくとも一定期間、違法行為を継続していたことについて判定を求めるものである。 4 被請求人の答弁 被請求人は、本判定請求に対し、何ら答弁していない。 5 当審の判断 (1)本件商標について 本件商標は、前記1のとおり、「JUAR TEA」の文字よりなるところ、その構成中後半の「TEA」の文字部分は、「茶;茶の葉」を意味する、よく親しまれた英語であるとしても、同前半の「JUAR」の文字部分が、特定の観念を有しない一種の造語といえるものであるから、構成文字全体としては、特定の観念は生じさせないものであり、英語読みに倣って「ジュアールティー」と称呼されるとみるのが自然である。 (2)イ号標章について イ号標章は、別掲のとおり、縦長長方形内の上部に、黒塗り正方形の中に太陽をイメージした図形と「Jua & Ardhi / JUAR 」の欧文字を表し、その下に、「African Tea」、「GOLD」、「JUARTEA」及び「ゴールドジュアールティー」の各文字を4段に書し、そのやや左下には、円図形内に「アフリカの聖なる太陽と大地から生まれたジュアールティー」の文字を表し、その右には、太陽の上部をイメージしたと思しき図形をやや大きく表してなるものである。 そして、その構成中、大きく表された「GOLD」の文字は、品質が良いことを表すものであるから、自他商品の識別力はない。他方、中央部に表された「JUARTEA」の文字部分は、造語であって、要部と認められるものであるから、簡易迅速を旨とする取引の実際においてイ号標章に接する取引者、需要者は、該文字部分に着目し、これより生ずる称呼をもって取引に資される場合もあるものとみるのが相当である。 そうとすれば、イ号標章は、「JUARTEA」の文字部分より、単に、「ジュアールティー」の称呼をも生ずるものと認められ、該文字は、本件商標と同様、特定の観念を有しない、一種の造語といえるものである。 (3)本件商標とイ号標章の類否について ア 外観 本件商標は、「JUAR TEA」の文字を大文字で書してなるところ、イ号標章は、別掲のとおり、図形と、「JUARTEA」の文字を含む前記(2)の各文字よりなるものである。 したがって、本件商標とイ号標章とは、構成全体としては、互いに見誤るおそれのない非類似の商標であるとしても、イ号標章の要部である「JUARTEA」の文字部分は、本件商標とその構成文字を同じくするものであるから、外観において極めて近似したものといわざるを得ない。 イ 称呼 本件商標とイ号標章とは、いずれも「ジュアールティー」の称呼を生ずるものであるから、「ジュアールティー」の称呼を共通にする同一又は類似の商標である。 ウ 観念 本件商標は、特定の観念を生じさせないものであるから、観念については、イ号標章と比較することができない。 (4)本件商標の指定商品「茶」とイ号商品について 甲1号証の二枚目は、イ号商品の包装の裏面といえるものであるところ、その上部には、「JUARTEA」の文字が表示されている。 そして、「名称 混合茶」と表示されていることから、その商品は「茶」と認められるものであり、本件商標の指定商品に含まれるものである。 (5)まとめ 以上のとおり、本件商標とイ号標章とは、外観及び「ジュアールティー」の称呼を共通にする同一又は類似の商標であって、かつ、イ号商品は、本件商標の指定商品に含まれるものである。 したがって、商品「茶」について使用するイ号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属するものである。 よって、結論のとおり判定する。 |
別掲 |
別掲 |
判定日 | 2011-01-24 |
出願番号 | 商願2002-39205(T2002-39205) |
審決分類 |
T
1
2・
9-
YA
(Y30)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 鈴木 斎 |
特許庁審判長 |
佐藤 達夫 |
特許庁審判官 |
野口美代子 田中 亨子 |
登録日 | 2003-09-19 |
登録番号 | 商標登録第4711250号(T4711250) |
商標の称呼 | ジュアールティー、ジュアール |
代理人 | 永井 道彰 |