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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y30
管理番号 1231760 
審判番号 取消2009-301395 
総通号数 135 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-03-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2009-12-22 
確定日 2011-02-08 
事件の表示 上記当事者間の登録第4906932号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4906932号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成14年11月19日に登録出願、第30類「茶」を指定商品として、平成17年11月11日に設定登録されたものであり、その商標権は、現に有効に存続しているものである。

2 請求人の主張
請求人は、「本件商標の登録を取り消す。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由を「本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用されていないから、その登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。」旨述べ、証拠方法として、甲第1号証を提出した。

3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第13号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)使用の事実
ア 株式会社ビュウ(商標権者、以下「ビュウ社」という。)による使用
(ア)本件商標が使用されている商品は、製造年月日として「2007.09.27」が印字されたパッケージの写真(乙第1号証)、及び平成21年11月17日付けWEBサイト「香味柚子茶ユジャロン(YUJARON)公式ページ」(乙第2号証の1ないし4)から明らかなように「柚子茶」(以下「本件商品」という。)であり、第30類「茶」に該当する。
(イ)本件商品は、商標権者であるビュウ社自らが市場に提供していたものである。また、本件商品の総販売元であり、かつ、ビュウ社と密接な関連を有していた株式会社ユジャロン(請求人、以下「ユジャロン社」という。)を通してビュウ社が市場に提供していたものである(乙第3号証ないし乙第6号証)。
a 乙第3号証は、平成19年(2007年)10月25日に掲載されたユジャロン社の会社概要ページであり、乙第4号証は、平成19年(2007年)10月26日に掲載されたビュウ社の会社概要ページである。現在、これらの会社概要ページは更新されており、各URLに存在しないか、又は内容が変更されているが、米国NPOインターネット・アーカイブが運営するウェブページ収集サイト「Wayback Machine(http://www.archive.org/web/web.php)」では検索・閲覧が可能である。この収集サイトには、平成13年(2001年)10月22日から平成19年(2007年)12月12日までにビュウ社及びユジャロン社が運営・管理していた過去のWEBサイト情報を参照することができる(乙第7号証)。なお、乙第7号証のリストに記載の日付は、上記収集サイトの検索エンジンがビュウ社及びユジャロン社のWEBサイトのデータを収集した日付を意味している。また、上記収集サイトで検索された乙第3号証及び乙第4号証のページ左下に記載のURLは当該ページの所在を示すものであり、このURLの中頃にある数字列の前から8桁(下線部分)は、当該ページがアーカイブ(保存)された日付を示している。
b 乙第5号証は、平成21年9月4日に掲載されていたビュウ社及びユジャロン社の会社概要ページである。これらは、乙第5号証の右上に記載されているように、平成21年9月4日にウェブ検索サイト「Google」によって一時的にアーカイブ(キャッシュ)されていたものであり、平成21年11月17日にプリントアウトしたものである。
c 乙第3号証ないし乙第5号証に明らかなように、WEBサイト「香味柚子茶ユジャロン(YUJARON)公式ページ」の会社概要としてユジャロン社及びビュウ社が掲載されている。このWEBサイト「香味柚子茶ユジャロン(YUJARON)公式ページ」は、本件商品を販売する目的で公開されたものであり、当該サイトにリンクされたオンラインショップ(乙第2号証の3参照)から本件商品を購入することが可能となっている。つまり、ビュウ社は、当該WEBサイトを通じて本件商標を付した本件商品の販売又は販売の申出をしていることが明らかである。これにより、ビュウ社が本件商標を本件商品に使用していることが立証された。
d 乙第3号証及び乙第5号証のユジャロン社の会社概要欄には、同社の事業内容として、「香味柚子茶『YUJARON』の国内総販売・卸売業他」と明記されていることが確認できる。さらに、乙第4号証及び乙第5号証のビュウ社の沿革欄には、2002年3月にビュウ社が有限会社ユジャロン(後のユジャロン社)を総販売元としたことが明記されている。
このことから、ユジャロン社は、本件商品を代理販売する総販売元であることが立証された。したがって、ビュウ社は、ユジャロン社を通じて本件商標を本件商品に使用していたことが立証された。
なお、ユジャロン社がビュウ社の総販売元であることを証明する資料として、ビュウ社が平成21年12月3日にユジャロン社宛に内容証明郵便にて送付した通知書(乙第8号証)と、当該通知書に対するユジャロン社からの回答書(乙第9号証)を添付する。上記通知書には、ユジャロン社を総販売元にした経緯と、総代理店契約を解除する旨が記載されている。一方、上記回答書には、上記総代理店契約の存在を是認する記載がある(乙第9号証の第3段落部分)。当該総代理店契約は口頭で締結したものであり、契約書は存在しないが、乙第3号証ないし乙第5号証、乙第8号証及び乙第9号証から、少なくとも、上記総代理店契約が締結されていたことと、ユジャロン社がビュウ社の総販売元であったことは明白である。
イ 韓国農協インターナショナル株式会社(商標権者、以下「韓国農協社」という。)による使用
韓国農協社は、本件商品を韓国からに日本に輸入している(乙第10号証ないし乙第13号証)。
乙第10号証の発注書の摘要欄には、「ユジャロン用1kg」、「(株)ティーオーエス用 ユジャロン1kg」などと記載されているが、これらは、乙第1号証ないし乙第5号証から明らかなように、本件商品を示している。したがって、乙第10号証ないし乙第13号証から、韓国農協社が平成21年2月26日に韓国から輸入した商品が本件商品であることは明らかである。これにより、韓国農協社が本件商標を本件商品に使用していることが立証された。
(2)本件商標と使用商標との同一性について
本件商標は、欧文字と片仮名文字とハングル文字とを上下に三段表記したものであり、そのうちのハングル文字部分は、日本語の「ユジャロン」をハングル文字で表したものであり、「ユジャロン」と読む。
本件商標は、「柚子茶」の原料となる「柚子」を、日本語の「ユズ」と韓国語の「ユジャ」及び英語の「CITRON」(シトロン)との一部を組み合わせ、ビュウ社の高見正行が創作した造語であって、日本において特定の意味合いを持って知られた語ではないことは明かである。
一方、使用商標は、欧文字のみの商標か、片仮名文字のみの商標か、欧文字と片仮名文字とを二段表記した商標(乙第1号証)又は横並びにした商標(乙第2号証)のいずれかである。しかしながら、いずれの商標からも特定の意味を生じず、しかも「ユジャロン」と称呼されるものであるので、本件商標と使用商標とは社会通念上同一の商標である。
(3)以上要するに、本件商標は、本件審判の請求の前3年以内に日本国内において、その指定商品について、商標権者及び通常使用者により使用されていたことから、本件商標の登録は取り消されるべきではない。

4 当審の判断
(1)本件商標の商標登録原簿及び乙第1号証ないし乙第13号証(枝番号を含む。)によれば、以下の事実を認めることができる。
ア 本件商標の商標登録原簿によれば、本件商標の商標権者は、設定登録時においては、大阪府大阪市中央区南久宝寺町4-4-12に所在のビュウ社であったが、平成21年8月4日の受付に係る「特定承継による本権の一部移転」により、本件商標の商標権は、東京都渋谷区代々木2-10-12に所在の韓国農協社と共有に係るものとなった(ビュウ社及び韓国農協社を合わせていうときは、以下「商標権者ら」という。)。
イ 本件商品の包装箱には、その上面に、「香味柚子茶」、「YUJARON」、「citron syrup tea」の各文字が表示され、また、側面の一つには、「香味柚子茶」、「YUJARON」、「ユジャロン」の各文字が表示されている。さらに、他の側面には、その上段に「YUJARON」の文字が表示され、その他、「名称:マーマレード(柚子茶)」、「原材料名:柚子、砂糖、蜂蜜、クエン酸、ビタミンC」、「内容量:550g」、「賞味期限:欄外に記載」、「保存方法:高温・直射日光を避けて保存して下さい」、「原産国名:韓国」、「輸入者:(株)ユジャロン/大阪市北区東天満1-4-16」などの文字が表示されている。そして、上記文字が記載された欄外には、「2007.09.27」と記載されている(乙第1号証)。
ウ ユジャロン社のホームページ「香味柚子茶ユジャロン(YUJARON)公式ページ」(2009年(平成21年)11月17日にプリントアウトしたもの)によれば、「YUJARON」、「ユジャロン」の商品名が随所に表示されており、本件商品についての説明として、「柚子茶とは、ビタミンとクエン酸が豊富な柚子を蜂蜜と砂糖に漬け込んだもので、健康にも美容にも良く、韓国ではどこの家庭や飲食店でも親しまれている伝統的なお茶です。」の記載がある(乙第2号証の1ないし4)。
エ 2007年10月25日及び26日にインターネット上で掲載されたユジャロン社のホームページ「香味柚子茶ユジャロン(YUJARON)公式ページ」によれば、ユジャロン社は、その前身を、2002年(平成14年)3月に設立された有限会社ユジャロン(2004年(平成16年)4月に組織変更)とし、本件商品の国内総販売・卸売業を事業内容とするものであること、また、ビュウ社は、食料品の製造・販売・輸出入を事業内容として、2001年(平成13年)5月に設立され、同年9月に本件商品の販売を開始し、2002年(平成14年)3月に、有限会社ユジャロンを本件商品の総販売元としたこと、などの記載がある。
そして、そのホームページには、「香味柚子茶」、「YUJARON/ユジャロン」の表示がされており、本件商品の広告がなされている(乙第3号証ないし乙第5号証)。
なお、ユジャロン社が本件商品の国内総販売代理店であったことを明らかにする証拠として、商標権者らは、乙第8号証及び乙第9号証を提出するところ、乙第8号証は、ビュウ社がユジャロン社に対し送付した平成21年12月3日付け通知であり、その要旨は、ユジャロン社が、本件商品の国内総販売元として平成14年3月6日に設立され(当時は有限会社ユジャロン)、本件商品の販売を継続していたにもかかわらず、ビュウ社に無断で、本件商標に類似する商標を指定商品「柚子を用いてなるマーマレード」等について商標登録出願し、登録を得、他社から「柚子茶」を輸入販売していたものであるから、上記ユジャロン社の行為は、信義則に反するものであり、ビュウ社とユジャロン社との間で締結した国内総販売代理店契約を解除する旨のものである。また、乙第9号証は、上記通知に対する平成21年12月22日付けユジャロン社の回答書であり、その要旨は、ビュウ社とユジャロン社との間で締結した契約は、継続的商品供給契約であり、一方的な解除行為は認めることができない旨のものである。
オ ユジャロン社は、商標権者ら(ビュウ社のみのものも含む。)に対し、平成21年2月19日から同年8月19日までの間に本件商品についての発注書を13通送付した(乙第6号証)。
カ ユジャロン社から発注された本件商品は、韓国農協社を介して韓国の企業に発注され、日本に輸入された(乙第10号証ないし乙第13号証)。
(2)前記(1)で認定した事実によれば、本件商品の国内総販売代理店であったユジャロン社は、「YUJARON/ユジャロン」又は「YUJARON」の文字を表示した本件商品について、本件審判の請求の登録(平成22年1月19日)前3年以内である2007年(平成19年)10月ころに、インターネット上で広告をしたことを認めることができる。
さらに、韓国農協社は、ユジャロン社から発注された本件商品を、本件審判の請求の登録前3年以内である2009年(平成21年)2月ころに、韓国から輸入したことを推認することができる。
そして、本件商品は、本件請求に係る指定商品「茶」に含まれる商品の「柚子茶」であり、かつ、上記使用に係る「YUJARON/ユジャロン」又は「YUJARON」の文字よりなる商標は、本件商標と称呼を同じくする商標であって、本件商標と社会通念上同一と認められる商標ということができる。
してみれば、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者ら及び本件商標の通常使用権者と認めて差し支えのないユジャロン社が、本件請求に係る指定商品に含まれる「柚子茶」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したものと認めることができる。
一方、請求人は、前記3の被請求人の答弁に対し、何ら弁駁するところがない。
(3)むすび
以上のとおりであるから、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別 掲(本件商標)



審理終結日 2010-09-01 
結審通知日 2010-09-03 
審決日 2010-09-24 
出願番号 商願2002-97512(T2002-97512) 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (Y30)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鈴木 斎 
特許庁審判長 鈴木 修
特許庁審判官 内山 進
井出 英一郎
登録日 2005-11-11 
登録番号 商標登録第4906932号(T4906932) 
商標の称呼 ユジャロン 
代理人 華山 浩伸 
代理人 大槻 聡 
代理人 華山 浩伸 

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