• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 商64条防護標章 取り消して登録 X35
管理番号 1231746 
審判番号 不服2010-11137 
総通号数 135 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-03-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-05-25 
確定日 2011-02-28 
事件の表示 商願2009- 41566拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の標章は、登録第3196763号の防護標章として登録をすべきものとする。
理由 第1 本願標章
本願標章は、別掲1のとおりの構成からなり、第35類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務とし、登録第3196763号商標(以下「原登録商標」という。)の防護標章として、そして、平成20年3月26日に登録出願された商願2008-22652号を原出願とする、商標法第68条第1項において準用する同法第10条第1項の規定による防護標章登録出願として、同21年6月4日に登録出願されたものである。その後、指定役務については、原審における同21年8月28日付け、同年12月25日付けの手続補正書及び当審における同22年6月29日付けの手続補正書により、最終的に、第35類「つけづめ・つけまつ毛の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,ひげそり用具入れ・ペディキュアセット・まつ毛カール器・マニキュアセットの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,耳かきの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,化粧用具(「電気式歯ブラシ」を除く。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,乳幼児用粉乳の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,乳製品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,アイスクリームのもと・シャーベットのもとの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,穀物の加工品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,加工野菜及び加工果実の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,アーモンドペーストの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,イーストパウダー・こうじ・酵母・ベーキングパウダーの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,台所用品・清掃用具及び洗濯用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,薬剤及び医療補助品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,化粧品・歯磨き及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,試験紙の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,防虫紙の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,加工ガラス(建築用のものを除く。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,ガラス基礎製品(建築用のものを除く。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」と補正されたものである。

第2 原登録商標
原登録商標は、別掲2のとおりの構成よりなり、平成5年11月19日に登録出願、第10類「医療用機械器具」を指定商品として、同8年9月30日に設定登録がなされているものである。そして、その商標権は、現に有効に存続しているものである。

第3 原査定の拒絶理由
原査定は、「本願標章は、医療に関係する分野においては、一定の著名性は認められるものの、他人がこれを本願指定役務に使用しても、役務の出所について、混同を生じさせる程に需要者間に広く認識されているものとは認められない。したがって、本願標章は、商標法第64条に規定する要件を具備しない。」旨認定、判断して、その登録を拒絶したものである。

第4 当審の判断
1 商標法第64条について
商標法第64条第1項において、「商標権者は、商品に係る登録商標が自己の業務に係る指定商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている場合において、その登録商標に係る指定商品及びこれに類似する商品以外の商品又は指定商品に類似する役務以外の役務について他人が登録商標の使用をすることによりその商品又は役務と自己の業務に係る指定商品とが混同を生ずるおそれがあるときは、そのおそれがある商品又は役務について、その登録商標と同一の標章についての防護標章登録を受けることができる。」と規定している。
そこで、これを本件についてみる。

2 本願標章と原登録商標との同一性
本願標章はその構成において原登録商標と同一のものであること、また、原登録商標が請求人(出願人:ニプロ株式会社)の所有に係るものであり、かつ、該商標権が権利存続中であることは、商標登録原簿の記載よりこれを認めることができる。

3 原登録商標が需要者の間に広く認識されているか否かについて
(1)原審において請求人が提出した第1号証ないし195号証によれば、以下の事実が認められる。
ア 請求人(出願人:ニプロ株式会社)は、1954年(昭和29年)に「日本硝子商事株式会社」として創業を開始し、その後、1977年(昭和52年)に商号を「株式会社ニッショー」と変更した後、さらに2001年(平成13年)に「ニプロ株式会社」と変更され、「医療機器の製造・販売、医薬品の製造・販売、硝子製品の製造・販売」を主な事業内容として行っている。また、事業所は、北海道から鹿児島にかけて約50ヶ所あり、さらに、国内から海外(中国、フランス、ロシア、アメリカ等)に至るグループ会社を有している(第2号証)。
イ 1994年(平成6年)1月1日より、請求人の英文表記である「NIPRO」を表示する際には、原登録商標を統一的に使用することとし(第4号証)、そして、請求人発行の製品カタログ2006年版の表紙・裏表紙や、請求人が製造・販売する医療機器や薬剤等に原登録商標が付されている(第6号証)。
ウ 請求人の2002年(平成14年)4月1日から2007年(平成19年)3月31日の5年間における販売実績は、医療機器の分野においては約4254億円、医薬品の分野においては、約1508億円である(第3号証、第7号証ないし第10号証)。
エ 請求人は、1998(平成10年)年から2009年(平成21年)にかけ継続して、「信頼の医療器」等の文字とともに、原登録商標を使用したテレビCMを行っている(第12号証ないし第81号証、第152号証ないし第167号証)。
オ 1994年(平成6年)から2009年(平成21年)にかけ継続して、「読売新聞」「朝日新聞」「日本経済新聞」「毎日新聞」の第1面などにおいて、原登録商標による宣伝・広告を行っている(第82号証ないし第142号証、第168号証ないし第179号証)。
カ 請求人の事業所、空港等に設置されている看板に、「信頼の医療器」「信頼の医薬品・医療器」等の文字とともに、原登録商標が表されている(第143号証ないし第148号証)。
キ 請求人は、2008年(平成20年)頃、Jリーグ「ヴァンフォーレ甲府」のユニフォームスポンサーとして、選手ユニフォームの胸部に原登録商標が付されている(第149号証ないし第151号証)。
(2)上記(1)を総合してみれば、請求人は、遅くとも1994年(平成6年)から現在に至るまで、全国約50カ所ある事業所等を通し、原登録商標を、請求人のハウスマークとして、医療機器、医薬品について継続して使用し、かつ、原登録商標が、テレビCM、新聞等で頻繁に宣伝広告された結果、原登録商標は、その指定商品について、需要者の間に広く認識されるに至っているものと認められる。

4 混同を生ずるおそれについて
本願標章の指定役務は、前記第1のとおり補正されたものであり、また、原登録商標の指定商品は、「医療用機械器具」である。
ところで、請求人が当審において提出した第1号証ないし第17号証(枝番を含む。以下、「第○号証」を「甲第○号証」の表記とし、また、全ての枝番を含むときは、その表示を省略する。)を提出しているところ、「ケンコーコム」のウェブサイト(甲第4号証)によれば、健康食品、医薬品及び体温計(原登録商標の指定商品「医療用機械器具」の範疇に属するものである。)等を含む衛生医療、介護用品等の多種多様な商品を揃え、商品の説明などを行うなどの通信販売がされていること、すなわち、小売り等の役務を行っているいることが認められる。
そうとすると、本願標章の「つけづめ・つけまつ毛」等「商品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」のいわゆる小売り等の役務と原登録商標の指定商品「医療用機械器具」とは、商品の販売場所と役務の提供場所を共通にすること、また、請求人は、「健康食品」、「野菜・果物鮮度保持袋」、「洗剤、せっけん」等を取り扱っている等(甲第5号証ないし甲第9号証)の多角経営の事実も窺うことができるものである。
さらに、上記3で認定したとおり、原登録商標は、需要者の間に広く認識されるに至っているものである。
したがって、本願標章は、これを他人がその指定役務について使用した場合には、これに接する取引者、需要者をして、該役務が請求人と何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれがあると判断するのが相当である。

5 小括
以上からすれば、原登録商標が、請求人の業務に係る指定商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されており、原登録商標に係る指定商品及びこれに類似する商品以外の商品又は指定商品に類似する役務以外の役務について他人が登録商標の使用をすることによりその商品又は役務と自己の業務に係る指定商品とが混同を生ずるおそれがあるというべきであるから、本願標章は、防護標章の登録要件を具備するものである。

6 むすび
したがって、本願標章が、商標法第64条の要件を具備しないとして本願を拒絶した原査定は、取り消しを免れない。
その他、政令で定める期間内に本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1
(本願標章)


別掲2
(原登録商標)


審決日 2011-02-15 
出願番号 商願2009-41566(T2009-41566) 
審決分類 T 1 8・ 8- WY (X35)
最終処分 成立  
前審関与審査官 大島 康浩宮川 元平澤 芳行 
特許庁審判長 野口 美代子
特許庁審判官 小俣 克巳
小川 きみえ
商標の称呼 ニプロ 
代理人 川瀬 幹夫 
代理人 小谷 悦司 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ