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審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
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不服200910699 | 審決 | 商標 |
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審決分類 |
審判 査定不服 商4条1項7号 公序、良俗 登録しない X2943 |
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管理番号 | 1231582 |
審判番号 | 不服2009-25896 |
総通号数 | 135 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2011-03-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2009-12-28 |
確定日 | 2011-01-14 |
事件の表示 | 商願2008- 77034拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は、別掲のとおりの構成からなり、第29類「肉を主材料とした中華風惣菜及びその詰め合わせ,魚介類を主材料とした中華風惣菜及びその詰め合わせ,野菜を主材料とした中華風惣菜及びその詰め合わせ,とうふ・凍り豆腐を主材料とした中華風惣菜及びその詰め合わせ,卵を主材料とした中華風惣菜及びその詰め合わせ」及び第43類に属する出願時の願書に記載した役務を指定商品及び指定役務として、平成20年9月19日に登録出願されたものである。そして、指定役務については、同21年5月1日付け手続補正書をもって、第43類「四川料理を主とする飲食物の提供」と補正されたものである。 2 原査定の拒絶の理由の要点 原査定は、「本願商標は、その構成中に中国四川省の西北部にある著名な観光地であって、 世界遺産としても知られている「九寨溝」の文字を顕著に表してなるものであるから、これを自己の営利を目的とするために一出願人が商標として登録使用することは、社会の一般的な道徳観念に反し、国際信義の上からも穏当でないものといえる。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。」旨判断し、本願を拒絶したものである。 3 当審の判断 (1)本願商標は、別掲のとおり、その構成中央に大きく「九寨溝」の文字を有してなるものである。 そして、「九寨溝」の文字(語)は、中国四川省北部に位置し、1992年にユネスコの世界遺産(自然遺産)として登録された地域「九寨溝の渓谷の景観と歴史地域」を表す略称として一般的に採択・使用されているものであって、他に特定の意味は見いだせないものであるから、当該文字は、「九寨溝の渓谷の景観と歴史地域」を表したものと認識させるとみるのが自然である。 (2)ところで、ユネスコの世界遺産は、「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」に基づいて登録されるものであり、同条約は、締約国は自国内に存在する遺産を保護する義務を認識し、最善を尽くす(第4条)旨、また、自国内に存在する遺産については、保護に協力することが国際社会全体の義務であることを認識する(第6条)旨定めている(外務省ホームページ http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/culture/kyoryoku/unesco/isan/world/isan_1.html)。 また、世界遺産として登録されるためには、「世界遺産条約履行のための作業指針」で示されている10の登録基準のいずれか1つ以上に合致するとともに、真実性(オーセンティシティ)や完全性(インテグリティ)の条件を満たし、適切な保護管理体制がとられていることが必要とされている(社団法人日本ユネスコ協会連盟ホームページ http://www.unesco.jp/contents/isan/decides.html)。 そうとすれば、登録された世界遺産は、その国及びその国民が誇るべき重要な文化遺産及び自然遺産として認識しているものというべきものであって、我が国も世界遺産条約の締結国として、当該国におけるそのような認識を理解し保護に協力すべきといわなければならない。 (3)そして、商標法第4条第1項第7号にいう「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」には、ア)その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、矯激若しくは他人に不快な印象を与えるような文字又は図形である場合、イ)当該商標の構成自体がそのようなものでなくとも、指定商品又は指定役務について使用することが社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反する場合、ウ)他の法律によって、当該商標の使用等が禁止されている場合、エ)特定の国若しくはその国民を侮辱し、又は一般に国際信義に反する場合、オ)当該商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合、などが含まれると解されている。(知財高裁平成17年(行ケ)第10349号 平成18年9月20日判決) してみれば、その構成中央に中国及びその国民が誇るべき重要な自然遺産を表す「九寨溝」の文字を大きく表してなる本願商標は、これを一企業である出願人の商標として登録することは、我が国と中国(及び世界遺産条約加盟国)の国際信義に反し、両国の公益を損なうおそれが高いものというべきである。 (4)請求人は、外国の地名を含む登録商標の例を挙げ、著名な観光地の地名は、識別力を有しないものとしてとらえるべきであって、それを含む商標は商標法第4条第1項第7号に該当するか否かが問われるものではないから、識別力を有する図形部分等と組み合わせてなる本願商標は登録されるべきである旨主張している。 しかしながら、本願商標は、その構成全体から「中国四川料理を提供(又は販売)する「九寨溝」という名の店」のごとき意味合いを認識させるものであるから、かかる構成において「九寨溝」の文字は、店名として認識されるというべきであるし、また、たとえ、「九寨溝」が地名や観光地であるとしても、本願商標を出願人の商標として登録することが国際信義に反すること上述のとおりであるから、出願人の主張は採用できない。 (5)したがって、本願商標は、特定の国若しくはその国民を侮辱し、又は一般に国際信義に反する場合に該当するものというべきであるから、本願商標が商標法第4条第1項第7号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって取り消すことはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
【別掲】 (色彩については原本参照。) |
審理終結日 | 2010-11-04 |
結審通知日 | 2010-11-12 |
審決日 | 2010-11-24 |
出願番号 | 商願2008-77034(T2008-77034) |
審決分類 |
T
1
8・
22-
Z
(X2943)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 津金 純子、大森 健司 |
特許庁審判長 |
森吉 正美 |
特許庁審判官 |
大島 康浩 瀧本 佐代子 |
商標の称呼 | チャイニーズレストランチューゴクシセンリョーリキューサイコー、チューゴクシセンリョーリキューサイコー、キューサイコー、クサイコー、ニッチューショージ |
代理人 | 飯田 昭夫 |