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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Z12
管理番号 1230169 
審判番号 取消2009-301068 
総通号数 134 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-02-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2009-09-17 
確定日 2011-01-04 
事件の表示 上記当事者間の登録第4663297号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4663297号商標(以下「本件商標」という。)は、「マジョーラ」の片仮名文字と「MAZIORA」の欧文字を二段に横書きしてなり、第12類「船舶並びにその部品及び附属品(「エアクッション艇」を除く。),エアクッション艇,航空機並びにその部品及び附属品,鉄道車両並びにその部品及び附属品,自動車並びにその部品及び附属品,二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品,乳母車,人力車,そり,手押し車,荷車,馬車,リヤカー,車いす,荷役用索道,カーダンパー,カープッシャー,カープラー,牽引車,陸上の乗物用の動力機械器具(その部品を除く。),軸,軸受,軸継ぎ手,ベアリング,動力伝導装置,緩衝器,ばね,制動装置,陸上の乗物用の交流電動機又は直流電動機(その部品を除く。),タイヤ又はチューブの修繕用ゴムはり付け片,乗物用盗難警報器,落下傘」を指定商品として、平成12年5月12日に登録出願、同15年4月18日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

第2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により本件商標の指定商品中「自動車並びにその部品及び附属品」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする,との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁書に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
1 請求の理由
請求人の調査によれば、本件商標は、その指定商品中「自動車並びにその部品及び附属品」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実がなく、また、それについての正当事由も存在しない。
したがって、本件商標は、その指定商品中「自動車並びにその部品及び附属品」について、商標法第50条第1項の規定に基づきその登録を取り消されるべきものである。

2 答弁書に対する弁駁
(1)被請求人が提出した乙第2号証のトヨタ自動車(株)と交わした「商標使用許諾契約書」は2000年11月30日に締結されたもので、期間2年で自動更新できるものであることは認められる。しかし、これはトヨタ自動車(株)に使用権限があることを証明しても、その使用の事実を証明するものではない。
(2)実際、トヨタ自動車(株)のホームページをみても、この弁駁書提出時点においては、その販売車種中に「マークX」「マークXジオ」の車名はあっても、「マジョーラ」、「MAZIORA」の車名はカスタムカーも含めて見当たらない(甲第1号証)。
(3)乙第1号証のカタログは2004年12月の発行時点で本件商標が使用されていた事実を証明することはできても、本件審判の請求の登録前3年以内、すなわち2006年9月30日(審判注:本件審判の請求の登録日は、商標登録原簿の記載によれば、「平成21年(2009年)10月2日」である。以下同じ。)以後にも本件商標が使用されていたことを証明するものではない。
(4)乙第3号証及び乙第4号証は、有限会社カーサービスヒロが、使用許諾契約のもとに本件商標を使用していることを証明するものであると被請求人は主張する。
しかし、請求人の調査によれば、有限会社カーサービスヒロはレストア、すなわち、車の修理を主要な業務とするものであり(甲第2号証)、塗装・ペイントを行なうことがあるにすぎず、自動車販売はその業務中に挙げられていない。そして、甲第2号証の3枚目(審判注:「甲第2号証の2」となっていたが、枝番表記がないので「甲第2号証の3枚目」とした。)には、カスタムペイントとして「マジョーラ・ゴースト塗装」の語が見える。すなわち、「MAZIORA」、「マジョーラ」の商標はカスタムペイント、すなわち塗装サービスについて使用されているにすぎないものである。
実際、乙第3号証及び乙第4号証の領収書には「MAZIORA」の文字の他、「C1500」、「180SX」の文字が見えるが、「C1500」はシボレー自動車であり、「180SX」は日産の自動車である。
シボレーと日産が競争関係にあることは常識であり、同じ自動車の商標として「MAZIORA」を使用することはあり得ないものである。
乙第3号証及び乙第4号証における「MAZIORA」の文字は、「C1500」、「180SX」の車体が「マジョーラ・ゴースト塗装」、あるいは「マジョーラ」を施されものであることを表すにすぎず、自動車の商標として使用されたものとは認められない。

3 結論
以上のとおり、被請求人提出の乙第1号証ないし乙第4号証のいずれによっても、本件商標が本件審判の請求の登録前3年以内に通常使用権者によって使用されていたとする主張はなりたたない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び弁駁書に対する答弁並びに審尋に対する回答を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第7号証を提出した。
1 第1答弁
(1)本件審判請求が成り立たない旨の理由
ア 本件商標の取消請求に係る商品についての使用
トヨタ自動車株式会社が本件商標のカタカナ文字部分の「マジョーラ」(以下「使用商標」という。)をその前後に車の種類を示した「Z X Version」ないしは「S W Version」と商品記号の「2」(ローマ数字で表示されている。)を配置した形で同社の製造に係るミニバン「bB」の特別仕様車に使用してきた。この特別仕様車が取消請求に係る商品に含まれることは明らかである。
取引上車の種類を付した表示や商品記号を付加した形で商標が使用されていることは一般に広く行なわれていることから、商標「マジョーラ」が使用されているといえる。
使用商標は本件商標とは称呼、観念を共通にする故に社会通念上同一のものと考えられる。
被請求人は、上記事実を立証するために、ここにトヨタ自動車株式会社が頒布してきた商品のカタログを提出する(乙第1号証)。
イ 本件審判の請求の登録3年以内の使用
上記カタログには「このカタログの内容は‘04年12月現在のもの」(第4ページ欄外下)、「自動車リサイクル法の施行(‘05年1月)により、リサイクル料金(10,650円 <‘05年1月時点の金額> )(第3ページ右下欄)の記述があることから、本件審判の請求の登録がされた2009年9月30日以前に印刷されたといえる。
2009年9月30日以降に印刷されたカタログに2005年頃の事項が記述されることは、取引の経験則上、あり得ないものといわざるを得ない。
そして、ここにカタログ原本を提出するということは、取りも直さず、印刷された後、今日に至るまでトヨタ自動車株式会社が同カタログを所持し、必要に応じて頒布してきたことを意味する。
以上のことから、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に使用されていたことは明らかである。
通常使用権者による使用
被請求人は、2000年11月30日に上記自動車の製造者であるトヨタ自動車株式会社と本件商標を「甲(被請求人)が製造もしくは販売する超フリップフロップ性を有する塗料を塗装した自動車並びにそれらの部品および附属品」に使用することを許諾する契約を締結した(乙第2号証 第2条第1項)。
この契約に基づきトヨタ自動車株式会社は、上記商品を直接販売する自動車販売会社に再使用許諾をすることができるものとされた(乙第2号証 第2条第2項第4号)。
この契約の有効期間は、締結日から2年とされ、両当事者から特段の申し出がない場合には自動延長されるものとされた。(乙第2号証 第8条)
そして、この契約は現在に至るまで自動延長されてきた。
したがって、通常使用権者によって本件商標は使用されてきた。
(2)以上述べたことからして、本件商標が本件審判の取消請求に係る商品について、本件審判の請求の登録前3年以内に通常使用権者によって使用されていたことが客観的に証明された。

2 第2答弁
(1)有限会社カーサービスヒロ(埼玉県志木市中宗岡3丁目17番58号所在)はカスタムカーの製造・販売を行なっており、その製造・販売に係るカスタムカーに商標「MAZIORA」を付して販売している。このカスタムカーが取消請求に係る商品に含まれることは明らかである。
提出した証拠方法から、有限会社カーサービスヒロは使用商標を付したカスタムカーを、少なくとも計2台(平成19年7月7日及び同21年9月21日)販売したことがわかる。
すなわち、提出された領収書には「MAZIORA C1500 車輛代として」(乙第3号証 但書)、「MAZIORA 180SX 車輛代」(乙第4号証 但書)と明記されている。領収書記載の金額は取引の経験則上自動車の販売代価としては妥当なものといえ、かつ、販売者の名称が「有限会社カーサービスヒロ」であることから同社が本件商標を付した自動車を販売したことは明らかである。
なお、領収書の宛て名は個人情報に関するものであるため、ここでは明らかにできないことを念のため申し添える。
被請求人は、有限会社カーサービスヒロに口頭で本件商標の使用を許諾した。
現実の取引において、大手企業間では正式に商標許諾契約書を取り交わすのが一般的であるが、一方、大手企業と中小の企業との間では口頭のみで使用許諾をすることが一般的である。被請求人と有限会社カーサービスヒロとの間の商標使用許諾もこの取引の実情に沿ったものである。したがって、この使用許諾に関しては契約書が提出できない。
このように、新たに提出された証拠方法からしても、本件審判の請求の登録前3年以内に通常使用権者が本件商標を取消の請求に係る商品「自動車」に使用していたことが立証された。
(2)以上のとおり、新たに提出された証拠方法に基づいても、本件商標の登録は取消を免れることができる。

3 第3答弁
(1)商標使用許諾契約書について
請求人は乙第2号証の商標使用許諾契約書がトヨタ自動車株式会社の使用権限を証明しても、使用の事実を証明するものではないと主張している。
被請求人はトヨタ自動車株式会社が通常使用権者であることを立証するために商標使用許諾契約書の写しを提出したものであって、同書類によって本件商標の使用自体を立証する意図はなかった。
(2)トヨタ自動車株式会社のホームページについて
請求人は、弁駁書と共に甲第1号証として提出したトヨタ自動車株式会社のホームページの写しには「マジョーラ」「MAZIORA」が見当たらないと主張する。
しかしながら、トヨタ自動車株式会社が販売してきた全ての自動車が同ホームページに掲載されているものではない。
すなわち、トヨタ自動車のみならず、自動車メーカーのホームページは、日々新しい情報に更新されていくものであって、自動車メーカーが販売してきた自社の全ての自動車を、常にホームページに掲載するものではないことは取引の経験則上明らかである。
したがって、トヨタ自動車株式会社のホームページに「マジョーラ」「MAZIORA」が見当たらないことをもって、本件商標の使用がないことを立証できるものではない。
(3)トヨタ自動車株式会社のカタログについて
請求人は乙第1号証のカタログは2004年12月の発行時点で本件商標の使用を立証できるが、2006年9月30日以降の本件商標の使用を立証できないと主張する。
しかしながら、同カタログは「このカタログの内容は04年12月現在のもの」とされているものであって、2004年12月に発行されたものではない。この点で請求人の主張には事実の誤認がある。
また、カタログを印刷したことが商標の使用ではなく、カタログを頒布したことが商標の使用である(商標法第2条第3項第8号)。そして当該カタログが2006年9月30日以降に使用されなかったとの証拠は提示されておらず、平成21年11月24日付審判事件答弁書で述べたように、今日に至るまでトヨタ自動車株式会社は同カタログを所持し、必要に応じて頒布してきたのである。
したがって、カタログに関する請求人の主張をもって本件商標の予告登録前三年以内の使用事実を否定できない。
(4)有限会社カーサービスヒロについて
ア 請求人は、調査したところ有限会社カーサービスヒロは自動車の販売をしていないと主張する。
請求人が有限会社カーサービスヒロのホームページの写しを甲第2号証として提出しているが、該ホームベージには常に全ての業務が記載されるものではない。
したがって、有限会社カーサービスヒロのホームページに記載されてないことをもって、有限会社カーサービスヒロがカスタムカーを継続的に販売してきたことを否定できるものではない。
イ 請求人は「MAZIORA」「マジョーラ」の商標は塗装サービスについて使用しているもので、自動車に使用したものではないとも主張している。
しかしながら、乙第3号証及び同第4号証の領収書においては「車輌代」と表示されており、かつ、その金額が2,415,000円及び1,785,000円となっている。
当該領収書に記された金額は、この金額は経験則上自動車の販売価格であって、単なる塗装の料金としては考えられない高価な金額である。自動車の価格と同額乃至はより高い自動車塗装の料金が世上存在するとは到底あり得ないことであり、当該領収書に記された金額は自動車本体の販売金額に他ならない。
確かに、請求人が主張するように、有限会社カーサービスヒロが「MAZIORA」「マジョーラ」のブランドで販売しているカスタムカーは元はシボレー社及び日産自動車のものであったかもしれないが、有限会社カーサービスヒロは自己の購入したシボレー社製、日産自動車製等(この点でシボレーと日産が競争関係にあるとの主張は何ら意味をもたない。)の自動車に、請求人も主張するようにカスタムペイントすなわち独自の塗装を施した上で、同社のカスタムカーとして販売してきたのである。このように、有限会社カーサービスヒロのカスタムカーのブランドとして「MAZIORA」「マジョーラ」が使用される以上、本件商標は自動車に使用されていたと言える。
ウ 被請求人は乙第3号証及び同第4号証の領収書で有限会社カーサービスヒロが「MAZIORA」「マジョーラ」のブランドで自動車(カスタムカー)を販売していたことを立証できたと確信しているが、この事実を更に補強するものとして同社の宣誓書を提出する。
(5)まとめ
以上のとおり、請求人の主張及び同人が提出した証拠方法によっては、通常使用権者による本件商標の本審判の予告登録前三年以内の使用事実を否定できない。また、これまでに被請求人が提出した証拠方法から上記使用を十分立証できている。

4 審尋に対する回答書
被請求人は、「有限会社カーサービスヒロが、実際に、カスタムカーを販売したことを具体的に裏づける取引書類を提出されたい。」旨の当合議体による審尋(平成22年5月18日付け)に対し、平成22年6月4日付けの回答書において要旨次のように回答している。
(1)被請求人はここに乙第3号証及び同第4号証として提出した領収書に対応した納品書を提出する。
すなわち、乙第3号証「19年7月7日付『MAZIORA C1500』の車輌代2,415,000円の領収書」に対応する「19年7月1日付『MAZIORA C1500』の総合計金額2,415,000円の納品書」(乙第6号証)並びに乙第4号証「21年9月21日付『MAZIORA 180SX』の車輌代1,785,000円の領収書」に対応する「21年9月21日付『MAZIORA 180SX』の総合計金額1,785,000円の納品書」(乙第7号証)を本回答書と共に提出する。
両者の発行日付の一致ないしは極めて近いこと、車名(商標)の一致並びに金額の一致からこれら書類がそれぞれ対応したものであることは経験則上明らかである。
そして、これら納品書からも、有限会社カーサービスヒロが、シボレー社及び日産自動車を原車とするMAZIORAの名を付したカスタムカーを販売したことは明らかである。
(2)具体的に言うと、これら納品書における「車輌本体」の記述は有限会社カーサービスヒロが、原車であるシボレー社のC1500を、及び日産自動車の180SXを仕入れたことを示すものであり、「ボディー加工」「全塗装(アンドロメダ2)」(「2」は、ローマ数字で表示されている。以下同じ。)「エアロパーツ(部品代)」「エアロパーツ(取付代)」「全塗装(スカラビュース)」の記述は同社が仕入れた原車に独自の加工を施して自身のカスタムカー「MAZIORA」を製造したことを示している。
(3)なお、納品書のタイトルが「車体整備納品書」であり、「車輌本体」の購入代金が「工賃」の項目に記載され、カスタムカーとして販売された代金が「工賃合計」の項目に記載されているのは、有限会社カーサービスヒロはカスタムカーの販売を主要な業務とはしていないことから、主要業務でない業務用の取引書類を敢えて作成するということはせず、主要な業務でない業務の取引書類であっても、主要な業務で用いられている取引書類を流用していたのである。本件「車体整備納品書」もこの取引の一般的な慣行にしたがって使用されたものである。それ故、「車体整備納品書」「工賃」「工賃合計」の表記は有限会社カーサービスヒロが「MAZIORA」なる商標のカスタムカーを販売した事実を何ら疑わせるものではない。
(4)以上のとおり、新たに提出された証拠方法からしても、本件審判の予告登録前三年以内に通常使用権者が本件商標を取消の請求に係る商品「自動車」に使用していたことが立証された。

第4 当審の判断
1 乙各号証によれば、以下の事実が認められる。
なお、乙第3号証ないし乙第7号証(ただし、乙第5号証を除く。)に記載された「C1500」及び「180 SX」が、それぞれ「シボレー自動車」及び「日産の自動車」を意味するものであることは、当事者間に争いはない。
(1)乙第3号証は、平成19年7月7日付けの「有限会社カーサービスヒロ」発行の領収書写しであり、「¥2,415,000-/MAZIORA C1500 車輌代として」(「MAZIORA」の「Z」の斜め線部分には、該線にクロスするように短い線が付されている。以下、同じ。)と記載されている。
(2)乙第4号証は、平成21年9月21日付けの「有限会社カーサービスヒロ」発行の領収書写しで、「¥1,785,000-/MAZIORA 180 SX 車輌代」(「MAZIORA」の「Z」の部分は、上記(1)と同様の態様である。以下、同じ。)と記載されている。
(3)乙第5号証は、2010年3月24日付けの「有限会社カーサービスヒロ」の宣誓書写しであって、これには、同社がカスタムカーとしての自動車の販売をおこなってきたこと、および、被請求人の許諾のもとに、当該カスタムカーの一部を「MAZIORA」「マジョーラ」「MAZIORA(ロゴ)」のブランドで販売してきたことに相違ないことを宣誓する旨の記載がされている。
(4)乙第6号証は、平成19年7月1日付けの「有限会社カーサービス・ヒロ」発行の「車体整備納品書」写しであり、「総合計 ¥2,415,000」の記載、「車名」欄に「MAZIORA C1500」の記載、「作業名・部品名」欄に、「車両本体」「ボディー加工」「全塗装(アンドロメダ2)」の記載と、これらの金額等及び振込先の銀行名等の記載がされている。
(5)乙第7号証は、平成21年9月21日付けの「有限会社カーサービス・ヒロ」発行の「車体整備納品書」写しであり、「総合計 ¥1,785,000」の記載、「車名」欄に「MAZIORA 180SX」の記載、「作業名・部品名」欄に、「車両本体」「エアロパーツ」「全塗装(スカラビュース)」の記載と、これらの金額等及び振込先の銀行名等の記載がされている。

2 以上の事実を総合してみると、自動車に関する取引書類として提出された乙第3号証及び乙第4号証の領収書、並びに、乙第6号証及び乙第7号証の車体整備納品書に記載された日付がいずれも本件審判の請求の登録日(平成21年10月2日)前3年以内の 平成19年7月1日、同7日、平成21年9月21日であって、これら車体整備納品書(乙第6号証及び乙第7号証)に記載されている車両本体と、塗装のサービス、加工サービス等の合計金額及び「C1500」並びに「180 SX」等が、領収書(乙第3号証及び乙第4号証)に記載されたものと符合するものであり、また、いずれの「領収書」及び「車体整備納品書」にも、通常使用権者と推認し得る「有限会社カーサービスヒロ」と、本件商標と社会通念上同一と認められる「MAZIORA」の商標が付されている。
また、乙第6号証及び乙第7号証は、「車体整備納品書」と題するものであるが、この点に関して、「有限会社カーサービスヒロはカスタムカーの販売を主要な業務とはしていないことから、主要な業務でない業務の取引書類であっても、主要な業務で用いられている取引書類を流用していた」旨の被請求人の主張は、上記のとおり、その記載内容からも肯首し得るところである。
そうとすると、通常使用権者と推認し得る有限会社カーサービスヒロが、自己の購入した「シボレー自動車」及び「日産の自動車」に塗装のサービス等を施した上で、「MAZIORA」を商標として、カスタムカー、いわゆる改造車を販売していたものと推認し得るものである。

3 まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者によって、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を取消し請求に係る指定商品中「自動車」について使用していたことを証明したものというべきである。
したがって、本件商標は、その指定商品中「自動車並びにその部品及び附属品」についての登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2010-08-05 
結審通知日 2010-08-09 
審決日 2010-08-27 
出願番号 商願2000-52062(T2000-52062) 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (Z12)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 根岸 克弘半田 正人 
特許庁審判長 佐藤 達夫
特許庁審判官 小川 きみえ
野口 美代子
登録日 2003-04-18 
登録番号 商標登録第4663297号(T4663297) 
商標の称呼 マジョーラ、マジオラ 
代理人 伊藤 正和 
代理人 田島 壽 
代理人 岩崎 幸邦 
代理人 原 隆 
代理人 三好 秀和 
代理人 青木 篤 

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