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審決分類 審判 査定不服 商3条柱書 業務尾記載 取り消して登録 X07091112
審判 査定不服 外観類似 取り消して登録 X07091112
管理番号 1230106 
審判番号 不服2009-25851 
総通号数 134 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-02-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-12-28 
確定日 2011-01-17 
事件の表示 商願2009-6054拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
理由 第1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第7類、第9類、第11類及び第12類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成21年1月30日に登録出願されたものであるが、その後、指定商品については、同21年7月15日付け手続補正書により、第7類、第9類、第11類及び第12類に属する手続補正書記載のとおりの商品に補正されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、以下の1及び2のとおり認定、判断し、本願を拒絶したものである。
1 商標法第3条第1項柱書について
本願は、第7類、第9類、第11類及び第12類において広範な範囲にわたる商品を指定しているため、出願人が本願商標をそれらの指定商品の全てについて使用しているか又は近い将来使用をすることについて疑義があるといわざるを得ない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項柱書の要件を具備しない。
2 商標法第4条第1項第11号について
本願商標は、以下の登録第4785149号商標と同一又は類似の商標であって、その商標に係る指定商品と同一又は類似の商品について使用をするものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
登録第4785149号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、平成15年9月24日登録出願、第5類、第10類、第16類、第37類、第42類、第43類及び第44類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同16年7月9日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

第3 当審の判断
1 商標法第3条第1項柱書について
商標法第3条第1項柱書の「自己の業務に係る商品又は役務について使用する商標」として登録を受けられる商標は、現に使用している商標だけでなく、使用する意思があり、かつ、近い将来において使用する予定のある商標も含まれるものと解すべきである。
当審において請求人が提出した「商標の使用を開始する意思」及び「事業計画書」の各書面によれば、同人は、本願商標をその指定商品について、使用をする意思があり、近い将来、使用をする予定がある旨述べていることが認められる。
そうすると、本願商標は、その指定商品のいずれについても請求人において使用する意思があり、かつ、近い将来において使用する予定のある商標ということができる。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項柱書の要件を具備するものとなった。
2 商標法第4条第1項第11号について
商標法第4条第1項第11号に係る商標の類否は、対比される両商標が同一又は類似の商品又は役務に使用された場合に、商品又は役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが、それには、そのような商品又は役務に使用された商標がその外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべく、しかもその商品の取引の実情を明らかにしうるかぎりその具体的取引状況に基づいて判断すべきものである(最高裁昭和43年2月27日第三小法廷判決・民集22巻2号399頁参照)。一方、商標は、その構成部分全体によって他人の商標と識別すべく考案されているものであるから、複数の構成部分を組み合わせた結合商標と解されるものについて、商標の構成部分の一部を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは、その部分が取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合などを除き、許されないというべきである(最高裁昭和38年12月5日第一小法廷判決・民集17巻12号1621頁、同平成5年9月10日第二小法廷判決・民集47巻7号5009頁、同平成20年9月8日第二小法廷判決裁判集民事228号561頁、平成20年(行ケ)第10439号平成21年5月28日判決参照)。
(1)本願商標について
本願商標は、別掲1のとおり、青色を基調とするグラデーションを施した円図形と、該円図形を中心に、外側を青色、橙色、緑色にそれぞれ着色し、いずれも内側を灰色に着色した3つの三日月状図形を、その左端を左側に位置する三日月状図形の内側とし、その右端を右側に位置する三日月状図形の外側に間隔を空けて配置し、これらの図形(以下「本件図形」という。)の下に「優秀省エネルギー機器」の文字を配した構成からなる結合商標であり、本件図形が文字部分の背景となったり、文字部分が意匠化されて本件図形と組み合わされていたりするものではないから、両者を分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものではない。
そして、本件図形は、上記のとおりの構成からなるところ、特定の観念及び称呼を生じさせるものとは認められないのに対して、本願商標の文字部分は、「優秀省エネルギー機器」の文字を書してなるものであるから、「ユウシュウショウエネルギーキキ」の称呼を生じ、「優れた省エネルギー機器」ほどの観念を生じるものとみるのが相当である。
そうすると、本願商標は、その構成中の「優秀省エネルギー機器」の文字に相応して、「ユウシュウショウエネルギーキキ」の称呼を生じるものであり、また、「優れた省エネルギー機器」ほどの観念を生じるものというべきである。
(2)引用商標について
引用商標は、別掲2のとおり、青色のグラデーションを施した円図形と、該円図形を中心に、青色を基調とする3つの三日月状図形を、その左端を左側に位置する三日月状図形の外側とし、その右端を右側に位置する三日月状図形の内側とし、各三日月状図形の両端を中心に向けて隣り合う三日月状図形に近接して配置した構成からなるものであるところ、特定の称呼及び観念は生じないものと認められる。
(3)本願商標と引用商標との類否判断
ア 外観
本願商標と引用商標とは、前記(1)及び(2)で認定したとおりの構成からなるところ、本件図形と引用商標との比較において、両者を子細にみれば、色彩を異にし、それぞれの三日月状図形は、本件図形ではその右側を外側に向けて、右隣の三日月状図形との間隔を開けて配されているのに対して、引用商標ではその両端を内側に向けて、左隣の三日月状図形との間隔をほとんど空けずに配されている点において異なるとしても、両者は、円図形を中心に3つの三日月状図形を配置してなる点において共通にするものであり、上記差異がかかる共通点と比べて、それほど看者の印象に残るとはいい難いものであり、むしろ、看者に与える印象の骨格を決定づける図形としての基本的構成において、両者は、構成の軌を一にするものである。
そうすると、本件図形と引用商標に接する需要者は、両者から共通する印象を強く受けるものとみるのが相当であるから、本件図形と引用商標とは、これらを時と所を異にして離隔的に観察した場合において、互いに見誤るおそれがあるほどに類似するものということができる。
イ 称呼及び観念
本願商標は、前記(1)で認定したとおり、その文字部分から「ユウシュウショウエネルギーキキ」の称呼が生じ、「優秀な省エネルギー機器」の観念が生じるものである。
他方、引用商標は、前記(2)で認定したとおり、特定の称呼及び観念を生じるものではない。
したがって、本願商標と引用商標とは、その称呼及び観念において比較できないものである。
ウ 本願商標の使用態様
請求人が提出した証拠及び当審における調査によれば、請求人は、機械工業の総合的な進歩発達を図り、我が国経済の発展に寄与することを目的に、50の法人会員及び50の団体会員のほか、多数の賛助会員を擁して、各種の調査・研究、事業活動を行っており、その事業の一つとして、省エネルギー推進の国策に呼応して、省エネルギー機器の普及及び省エネルギー機器の開発を促進することを目的とする「優秀省エネルギー機器表彰」事業を行っており、実用化された産業用の優秀な省エネルギー機器と認定した機器を開発製造した者を毎年表彰していること、そして、請求人は、本願商標を優秀省エネルギー機器受賞マークとして創設し、かかる表彰事業を紹介するウェブページや優秀省エネルギー機器表彰式などにおいて、本願商標を本件図形及び文字部分全体を一体として使用するとともに、受賞を受けた者に対しても、表彰を受けた機器に本願商標全体を一体のものとして表示し、広告等に活用することを許可しており、受賞した者においても、表彰を受けた機器のカタログ等に本願商標全体を一体として使用していることが認められる。
そうすると、本願商標は、本件図形とその文字部分とが切り離されて使用されたり、本件図形のみが使用されることはないものと解される。
類否判断
以上の本願商標と引用商標との外観、称呼及び観念についての比較検討の結果を踏まえて、全体的に考察すると、両商標は、外観において類似し、称呼及び観念において比較できないものであり、本願商標が本件図形とその文字部分とが常に一体として使用されているという取引の実情をも考慮すれば、本願商標を使用した商品が引用商標を使用した商品とその出所につき誤認混同を生ずるおそれはないものといえる。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
3 むすび
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項柱書の要件を具備していないものではなく、また、同法第4条第1項第11号に該当するものでもないから、これらを理由とした原査定は、妥当でなく、その理由をもって本願を拒絶することはできない。
その他、政令で定める期間内に本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
1 本願商標

(色彩は、原本参照)

2 引用商標

(色彩は、原本参照)

審決日 2010-12-17 
出願番号 商願2009-6054(T2009-6054) 
審決分類 T 1 8・ 261- WY (X07091112)
T 1 8・ 18- WY (X07091112)
最終処分 成立  
前審関与審査官 佐藤 丈晴薩摩 純一 
特許庁審判長 石田 清
特許庁審判官 末武 久佳
吉野 晃弘
商標の称呼 ユーシューショーエネルギーキキ、ユーシューショーエネルギー 
代理人 小田 治親 

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