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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X16
審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない X16
管理番号 1230015 
審判番号 不服2010-13604 
総通号数 134 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-02-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-06-22 
確定日 2010-12-09 
事件の表示 商願2009-2063拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「梱包用マーカー」の文字を黒色の横長だ円の背景内に白抜きにて表してなり、第16類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成21年1月15日に登録出願され、その後、指定商品については、原審における平成21年7月22日付けの手続補正書により、第16類「マーカー」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、横長の円形内に白抜きで『梱包用マーカー』の文字を普通に用いられる方法で書してなるところ、その指定商品との関係では、例えば、『物を梱包した際に使用するのに適した梱包用のネームマーカー又はマーカーペン』の意を認識させるものであるから、これをその指定商品中上記文字に照応する商品に使用しても、単に商品の品質を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、本願の指定商品の分野において、各種用途に応じた「マーカー」が販売されている別掲に示すとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対し、意見書を提出する相当の期間を指定して、平成22年8月31日付けで証拠調べの結果を通知した。

4 職権証拠調べに対する請求人の意見(要点)
(1)証拠調べ通知で挙げられた事実によって、「梱包用マーカー」が商品の用途表示であるとする立証はなしえない。
(2)マーカーの用途が、書かれる文字ないしその文字が書かれる対象物によって表示されるものである以上、行為である「梱包」が直接的に用途を表示するものではない。
(3)本件証拠調べ通知が、各種用途に応じた「マーカー」の販売事実があるので、「梱包用」も、用途表示になるという論理の下にされたものであれば、それは明らかに誤謬である。クラフトテープ用等のマーカーがあるからといって、「梱包」までが用途表示にされるのは、到底受け入れられない。
(4)他の商標が登録されたことからすれば、本願商標を登録しなければ、行政処分の衡平性、公平性を保つことができない。
(5)なお、本願商標は、指定商品を補正した結果、商標法第4条第1項第16号に該当するものではない。

5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号について
本願商標は、上記1のとおり、「梱包用マーカー」の文字よりなるところ、その構成中「梱包」の文字は、「荷造りしたもの」の意味を有し、「用」の文字は、接尾語的に用いて、「?に使うためのもの」の意味を有し、「マーカー」の文字は、本願指定商品を表すものであるから、これらの既成の語を組み合わせた、本願商標からは「荷造りしたものに使うためのマーカー」の意味を極めて容易に認識し理解するものというのが相当である。
そして、上記3の証拠調べ通知のとおり、商品「マーカー」には、その用途に応じて適切なものが製造、販売されている実情があるものである。
してみれば、本願商標は、「梱包用マーカー」の文字を普通に用いられる方法で表してなるにすぎず、これよりは「荷造りしたものに使うためのマーカー」の意味を、極めて容易に認識し理解させるものであり、これを、その指定商品「マーカー」について使用しても、これに接する取引者、需要者は、その商品が荷造りしたものへの記入に適したものであること、すなわち、商品の品質、用途を表示したものと認識し理解するにとどまるものであって、自他商品の識別標識として機能し得ないものというべきである。
また、本願商標を、上記の「荷造りしたものに使うためのマーカー」以外のマーカーに使用するときには、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものというべきである。
(2)請求人の主張について
請求人は、本願商標は、請求人のみが、その製造する商品「マーカー」に使用し、第三者は全く使用していない、したがって、取引界は、本願商標の
使用を請求人のみに独占させることを許容しており、本願商標の使用を取引界に開放するため拒絶する必要はない旨主張する。
しかしながら、請求人が、当審において提出した商品の実物の画像の写し(甲10)には、請求人の代表的な出所標識である「uni」の文字が赤色で表示され、「パワフルブラック」の文字が、大きな文字で商品の中心に顕著に表示されており、「梱包用マーカー」の文字は、「油性」、「中字・丸芯」の文字と同様に、商標の品質・用途を記述的に表示したものと理解し認識される態様で表示されているにすぎないものである。
してみれば、「梱包用マーカー」の文字が、自他商品の識別標識としての機能を果たしているものとは言い難く、本願商標の指定商品の分野における取引者が、本願商標の独占使用を請求人に許容しているということはできない。
また、請求人は、証拠調べ通知で挙げられた事実をもって、「梱包用マーカー」が商品の用途表示であることを立証しえない旨主張する。
しかしながら、証拠調べ通知で挙げた事実からすれば、本願指定商品の分野において、各種用途に応じた商品が製造・販売されていることが認められる上に、荷造りしたものに使用することを目的としたマーカーを請求人以外の者が、販売している事実(別掲(4)及び(6)参照)からすれば、本願商標に接した取引者・需要者は、本願商標の指定商品との関係において、商品の品質・用途を表示したものと極めて容易に認識し理解するというのが相当である。
また、請求人は、マーカーの用途が、書かれる文字ないしその文字が書かれる対象物によって表示されるものである以上、行為である「梱包」が直接的には用途を表示するものではない旨主張する。
しかしながら、「梱包」は、上記(1)のとおり、荷造りしたものを意味するものである。このことは、例えば、以下の辞書の記載からも明らかなものである。
ア 広辞苑 第六版(株式会社岩波書店発行)には、「こんぽう【梱包】」の項に、「覆いや縄などをかけて荷造りすること。また、その荷造りしたもの。・・・」との記載がある。
イ 大辞林 第三版(株式会社三省堂発行)には、「こんぽう【梱包】」の項に、「紙などで包み、紐をかけて荷造りすること。また、その荷物。・・・」との記載がある。
ウ 大辞泉 増補・新装版(株式会社小学館発行)には、「こんぽう【梱包】」の項に、「包装し、縄などで荷造りすること。また、その荷物。・・・」との記載がある。
エ 新明解国語辞典 第六版(株式会社三省堂発行)には、「こんぽう【梱包】」の項に、「縄やむしろをかけて荷造りすること。また、その荷造りしたもの。・・・」との記載がある。
してみれば、「梱包」の語には、荷造りするという行為のほか、その荷造りしたもの、との意味をも有するものであって、「梱包」は、荷造りするという行為であると断定し、それを前提とする請求人の主張は、その前提において、誤りである。
また、請求人は、本件証拠調べ通知が、各種用途に応じた「マーカー」の販売事実があるので、「梱包用」も、用途表示になるという論理の下にされたものであれば、それは明らかに誤謬である旨主張する。
しかしながら、本願商標に接した取引者・需要者は、本願指定商品との関係において、上記したとおり、「荷造りしたものに使うためのマーカー」であることを極めて容易に認識し理解するものというのが相当である。
また、請求人は、他者の商標が登録されたことからすれば、本願商標を登録しなければ、行政処分の衡平性、公平性を保つことができない旨主張する。
しかしながら、本願商標が、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについての判断は、本願商標とその指定商品との関係から、個別具体的に判断されるべきものであって、商標の構成を異にする商標登録の存在等により、判断が左右されるものではない。
さらに、請求人は、本願商標の指定商品を補正した結果、本願商標は、商標法第4条第1項第16号に該当するものではない旨主張する。
しかしながら、補正後の本願の指定商品には、荷造りしたものに使うためのマーカーと、それ以外の用途に用いるマーカーとが包含されるものである。
してみれば、梱包用以外のマーカーとの関係において、本願商標は、未だ、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
したがって、上記の請求人の主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上からすれば、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すべきではない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
証拠調べ通知により、通知した事実は、以下の(1)ないし(6)のとおりである。

(1)ぺんてる株式会社のインターネットホームページ(http://pentel.imagestore.jp/)中の商品カタログには、油性ペンとして「名前書き用マーカー」、「布がきペン」、「ホワイトボードマーカー」等が掲載されている。
(2)ゼブラ株式会社のインターネットホームページ(http://www.zebra.co.jp/pro/listmokuteki.html)中の「目的別 ペンを使う用途から探す。」には、ペンの用途から最適なペンを選択できるようにチェックボックスが設けられており、それらには、例えば、「プラスチック・金属に」、「布に」、「ポスター・ポップに」、「ホワイトボードに」等がある。

(3)株式会社サクラクレパスのインターネットホームページ(http://www.craypas.com/products/use/)中の商品紹介、用途別商品紹介中の「使用シーンで選ぶ」には、「服や靴に名前を書くなら」、「屋外用の看板をつくるなら」、「高温なモノへのマーキングなら」、「建築資材・工業資材のマーキングなら」等の用途ごとに商品が紹介されている。

(4)株式会社パイロットコーポレーションのインターネットホームページ(http://www.pilot.co.jp/products/pen/sign_marker/oil_based/index.html)中の「筆記具」の欄に「サインペン・マーカー」の項目があり、その中には「油性マーカー」として、「なまえペン」、「宛名書きペン」、「布書き用ペン」、「CD・DVDマーカー」等が掲載されているほか、梱包材への記入に適した商品と認められる「Vスーパーカラー」が「クラフトテープにも、ポリ袋にもしっかり書けるプロ仕様の油性マーカー。」との説明文で紹介されている。

(5)化学工業日報(1995年8月15日付け3頁)には、「パイロット、塩ビ製バッグ『荷造りセット』発売」の見出しのもと、「パイロットは粘着テープやカッター、はさみ、マーカーペンなど荷造りに必要な各種用具を、透明な塩ビ製バッグに詰めた『荷造りセット』を新発売した。・・・パイロットでは、引っ越しや宅配便など、一般家庭でも荷造り・梱包の機会が多く、毎回、紐や粘着テープを探し、かき集めているのが実情であるため、筆記具メーカーの視点から必要な用具を”セット化”した。今回の『荷造りセット』は、宛名書きから送り状の保管まででき、コンパクトで中身が見えやすい。・・・全国の有名文具店、デパートなどで販売、初年度一億四百万円の売上げを目指す。」との記事が掲載されている。

(6)日経プラスワン(2007年8月25日付け2ページ)には、「パイロットコーポレーション『Vスーパーカラー』、テープの表面に書ける(視点採点)」の見出しのもと、「荷造りなどに使うクラフトテープの表面にも書ける油性マーカー。クラフトテープの非粘着面に使われるシリコンなど表面処理剤と親和性が高い新開発のインクを採用し、強い定着力でくっきり書ける。インクがこすれ落ちやすいポリ袋でも文字は消えにくい。・・・キャップには引っ掛かりやすい突起を設けてあり、軍手などをはめたままでも着脱しやすい。段ボール箱で梱包する場合などに便利だ。」との記事が掲載されている。

審理終結日 2010-10-06 
結審通知日 2010-10-12 
審決日 2010-10-25 
出願番号 商願2009-2063(T2009-2063) 
審決分類 T 1 8・ 272- Z (X16)
T 1 8・ 13- Z (X16)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山田 正樹 
特許庁審判長 芦葉 松美
特許庁審判官 内田 直樹
井出 英一郎
商標の称呼 コンポーヨーマーカー、コンポーヨー、コンポー 
代理人 青木 篤 
代理人 田島 壽 

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