• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 商3条1項6号 1号から5号以外のもの 登録しない X45
管理番号 1230011 
審判番号 不服2009-18431 
総通号数 134 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-02-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-09-30 
確定日 2010-12-16 
事件の表示 商願2008-14121拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「たかさき法律事務所」の文字を標準文字で表してなり、第42類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として、平成20年2月27日に登録出願されたものであるが、その後、指定役務については、原審における平成21年1月16日付け手続補正書により、第45類「訴訟事件その他に関する法律事務,法律に関する助言,法律に関する情報の提供,法律相談,工業所有権・その他の知的財産権に関する手続きの代理又は鑑定その他の事務,知的財産権に関する先行調査,知的財産権に関する助言及びコンサルティング,登記又は供託に関する手続きの代理,著作権・その他知的財産権の利用に関する契約の代理又は媒介,社会保険に関する手続きの代理」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、『たかさき法律事務所』の文字を書してなるところ、該文字は、全体として『高崎市にある弁護士が法律に関する諸事務を取り扱う所』又は『(ありふれた氏の)高崎姓の弁護士が法律に関する諸事務を取り扱う所』の意味合いを認識させるにすぎず、これをその指定役務に使用しても、単に役務の提供場所あるいは役務を提供する者の所在・氏等を表したものと理解、認識するにとどまり、自他役務識別標識としての機能を果たし得ないものであるから、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第6号該当性について
本願商標は、前記1のとおり、「たかさき法律事務所」の文字を表してなるところ、その構成中「たかさき」の文字部分は「群馬県南部の市。中山道から三国街道が分岐する古くからの交通の要地。もと大河内氏8万石の城下町。姓氏の一。」を意味する「高崎」の読みを表わしたものであり、また、「法律事務所」の文字部分は「弁護士が法律に関する諸事務を取り扱う所。」(いずれも「広辞苑 第六版」)の意味をそれぞれ表わすものであるから、これよりは「高崎市所在の弁護士が法律に関する諸事務を取り扱う所」の意味合いを理解、認識させるに止まるものとみるのが相当である。
ところで、本願指定役務を提供する業界において、地域を表す語と「法律事務所」の文字とを結合させた文字が事務所の名称として採択、使用されている実情があり、例えば、以下のウェブサイトの情報からも十分に裏付けられるところである。
ア 「9199.JP街検索」のウェブサイトにおいて、「ながの法律事務所」の見出しのもと「長野県長野市にある、ながの法律事務所の電話番号や地図、近くのお店・会社、周辺グルメ情報、クチコミを紹介しています。」の記載。(http://9199.jp/phone_page/02904650/)
イ 「9199.JP街検索」のウェブサイトにおいて、「稲毛法律事務所」の見出しのもと「千葉県千葉市稲毛区にある、稲毛法律事務所の電話番号や地図、近くのお店・会社、周辺グルメ情報、クチコミを紹介しています。」の記載。(http://9199.jp/phone_page/01372085/)
ウ 「青葉台法律事務所」のウェブサイトにおいて、「東急田園都市線『青葉台駅』から 徒歩5分の地域密着型弁護士事務所」の記載。(http://www.aobadailaw.com/)
エ 「名古屋法律事務所」(愛知県名古屋市 [弁護士事務所 税理士事務所])
オ 「静岡法律事務所」(静岡県静岡市 [弁護士事務所])
カ 「おやま法律事務所」(栃木県小山市 [弁護士事務所])
キ 「桜木町法律事務所」(神奈川県横浜市 [弁護士事務所])
(上記エないしキは、「Yahoo!地域情報」(http://local.yahoo.co.jp/))
以上よりすれば、「たかさき法律事務所」の文字に接する取引者、需要者は、「高崎市所在の弁護士事務所」のごとき意味合いを理解、認識することは容易というべきである。
してみれば、本願商標をその補正後の指定役務に使用した場合、これに接する取引者、需要者をして、単に役務の提供場所あるいは役務を提供する者の所在等を表示したものと理解するにとどまり、何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標というべきである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。

(2)請求人の主張について
ア 請求人は、「本願商標が取引者・需要者には既に出願人が経営する法律事務所の名称として把握されるとともに、周知になっていることから、識別力を獲得した商標となっている。」旨主張しているが、請求人により提出された添付資料を勘案するも、「高崎市請地町11番地6」に「たかさき法律事務所」と称する者(事務所)が存在すること、当該者(事務所)には7名の弁護士が勤務している(甲第6号証)こと等を窺い知ることはできるが、これをもって直ちに、本願商標が請求人の業務に係る役務を表示する商標として、取引者、需要者間に広く認識されていることを認めることはできないものであるから、識別力を獲得したものとも認め難いものである。
イ 請求人は、「法律事務所の名称等に関する規定の第2章第5条柱書(甲第14号証)には、『弁護士は、所属弁護士会の地域内にある弁護士法人の法人名称又は他の弁護士若しくは弁護士法人の事務所名称と同一の名称をその事務所名称とすることができない』と規定されているところ、『高崎』の行政区画名は群馬県高崎市のみであるから、『たかさき法律事務所』が複数存在することはない。」また、「商標法第3条第1項第6号の審査基準に照らせば、本願商標は、多数使用されている店名に該当すると判断されたものと思われるが、拒絶査定においては、本願商標が業界において多数使用されているとの証拠を提示しておらず、前記条項に該当する旨の根拠が明確になっていない。」旨主張しているが、商標法第3条第1項第6号については、「同項6号にいう『需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標』としては、構成自体が商標としての体をなしていないなど、そもそも自他商品識別力を持ち得ないもののほか、同項1号から5号までには該当しないが、一応、その構成自体から自他商品識別力を欠き,商標としての機能を果たし得ないと推定されるもの、及び、その構成自体から自他商品識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものと推定はされないが、取引の実情を考慮すると、自他商品識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものがあるということができる。」(知財高裁 平成17年(行ケ)10651号判決)と判示されているところ、本願指定役務を提供する業界において、地域を表す語と「法律事務所」の文字とを結合させた文字が事務所の名称として採択、使用されている実情が多数あることから、「たかさき法律事務所」の文字に接した取引者、需要者は、単に役務の提供場所あるいは役務を提供する者の所在等を表示したものと認識するにすぎないものであること、前記認定のとおりである。
そして、商標権の保護範囲は日本全国に及ぶことから、「弁護士が、『所属弁護士会の地域内』に限って、『弁護士法人の法人名称又は他の弁護士若しくは弁護士法人の事務所の名称と同一の名称をその事務所の名称とする
ことができない』旨の規定と同列には論ずることができないものであり、たとえ、所属弁護士会の地域内において、請求人以外に「たかさき法律事務所」が存在しないとしても、該事実をもって、本願商標が自他役務の識別標識としての機能を果たし得るかの判断に影響を及ぼすものではなく、地域を表す語と「法律事務所」の文字とを組合せた文字が使用されている前記の実情を考慮すると、「たかさき法律事務所」の文字は、自他役務識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものというのが相当である。
ウ 請求人は、過去の登録例を挙げて、「本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当するものではない。」旨主張しているが、商標登録出願に係る商標が上記条項に該当するか否かは、当該商標の査定時又は審決時において、その商標が使用される取引の実情等を考慮し、個別具体的に判断されるべきものであるところ、請求人の挙げた登録例は、いずれも本願商標とその構成、態様を異にするものであって、本件とは事案を異にするものであるから、それらの既登録例に拘束される理由はない。
したがって、請求人の前記主張は、いずれも採用することができない。

(3)まとめ
以上のとおり、本願商標が、商標法第3条第1項第6号に該当するとした原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2010-10-20 
結審通知日 2010-10-22 
審決日 2010-11-04 
出願番号 商願2008-14121(T2008-14121) 
審決分類 T 1 8・ 16- Z (X45)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 堀内 真一 
特許庁審判長 佐藤 達夫
特許庁審判官 小田 昌子
田中 亨子
商標の称呼 タカサキホーリツジムショ 
代理人 羽鳥 亘 
代理人 中村 希望 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ