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審決分類 審判 全部無効 商4条1項19号 不正目的の出願 無効としない 130
審判 全部無効 商4条1項7号 公序、良俗 無効としない 130
管理番号 1228519 
審判番号 無効2010-890031 
総通号数 133 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-01-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2010-04-06 
確定日 2010-12-06 
事件の表示 上記当事者間の登録第2515948号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第2515948号商標(以下「本件商標」という。)は、「TEDDY BEAR」の文字を横書きしてなり、平成2年7月13日に登録出願、第30類「菓子、パン」を指定商品として、同4年10月16日に登録査定、同5年3月31日に設定登録されたものである。
その後、指定商品については、平成15年2月5日の書換登録により第30類「菓子及びパン」となった。

第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第10号証を提出した。
1 請求の理由
(1)「テディベア」の基本的考えについて
全く無関係な被請求人が、理由もなく「『Teddy Bear』という語を商標として登録し、それを特定の商標権者が独占することは、セオドア・ルーズベルト大統領の有名なエピソード、又はテディベアの愛称をもつ小熊のぬいぐるみ固有の人気や著名性に便乗する意図、又は誰もが自己の商品にその『テディベアー』等の名称を自由に使用できるという共通の認識を覆す意図があり、公正な競争秩序ないし公平の観念に反するものとして、商標登録の無効事由を構成する余地があるというべきである。」との考えを尊重すべきである。
(2)請求人提出の証拠について
「テディベア」は、米国第26代「セオドア・ルーズベルト大統領」の狩りの時の「小熊を助けた」エピソードから生まれた名前として日本で知られている。
ア 日本国内で出版されている辞書
(ア)英語辞典の掲載について(甲第1号証)
ルーズベルト大統領との関係が説明されているのは、全体の約60%であり、記載されていないものは紙面スペースの理由だけであって、「テディベア」とルーズベルト大統領との関係はその前提として理解されている。
a 「ルーズベルト大統領」の記載がある英語辞典
(a)「初級クラウン英和辞典」第11版(三省堂)1959年刊行
(b)「新英和中辞典」第7版(研究社)1967年刊行
(c)「現代英和辞典」(研究社)1973年刊行
(d)「小学館ランダムハウス英和大辞典」第2版(小学館)1973年刊行
(e)「小学館プログレッシブ英和中辞典」第4版(小学館)1980年刊行
(f)「新グローバル英和辞典」第2版(三省堂)1983年刊行
(g)「ポケットプログレッシブ英和辞典」第3版(小学館)1995年刊行
(h)「フェイバリット英和辞典」第3版(東京書籍)1996年刊行
(i)「旺文社新英和中辞典」重版(旺文社)1999年刊行
(j)「リーダーズ英和中辞典」(研究社)2000年刊行
(k)「グランドセンチュリー英和辞典」第2版(三省堂)2000年刊行
(l)「ビーコン英和辞典」第2版(三省堂)2002年刊行
(m)「アドバンストフェイバリット英和辞典」(東京書籍)2002年刊行
(n)「ベーシックジーニアス英和辞典」(大修館)2002年刊行
(o)「旺文社レクシス英和辞典」重版(旺文社)2003年刊行
(p)「ウィズダム英和辞典」第2版(三省堂)2003年刊行
(q)「ユースプログレッシブ英和辞典(小学館)2004年刊行
(r)「プラクティカルジーニアス英和辞典」(大修館)2004年刊行
(s)「コアレックス英和辞典」重版(旺文社)2005年刊行
(t)「ジーニアス英和辞典」第4版(大修館)2006年刊行
(u)「アルファフェイバリット英和辞典」(東京書籍)2008年刊行
(v)「オーレックス英和辞典」(旺文社)2008年刊行
b 「テディベア」の記載がある英語辞典
(a)「コンサイス英和辞典」第13版(三省堂)1922年刊行
(b)「デイリーコンサイス英和・和英辞典」第6版(三省堂)1963年刊行
(c)「ライトハウス英和辞典」第5版(研究社)1972年刊行
(d)「スーパー・アンカー英和辞典」第3版(学習研究社)1997年刊行
(e)「パーソナル英和辞典」第2版(学習研究社)2000年刊行
(f)「ルミナス英和辞典」第2版(研究社)2001年刊行
(g)「ユニコン英和辞典」(文英堂)2002年刊行
(h)「ワードパワー英英和辞典」(増進会)2002年刊行
(i)「ジュニア・アンカー英和・和英辞典」第4版(学習研究社)2002年刊行
(j)「ジュニア・アンカー英和辞典」第4版(学習研究社)2002年刊行
(k)「Eゲイト英和辞典(ベネッセ)2003年刊行
(l)「小学館ケンブリッジ英英和辞典(小学館)2004年刊行
(m)「ニューヴィクトリーアンカー英和辞典」第2版(学習研究社)2005年刊行
(n)「エクスプレスEゲイト英和辞典」(ベネッセ)2007年刊行
(o)「ロングマン英和辞典(ピアソン)2007年刊行
(p)「アンカーコズミカ英和辞典」(学習研究社)2008年刊行
(イ)「カタカナ語辞典」の掲載について(甲第2号証)
(a)「大きな活字のコンサイスカタカナ語辞典」(三省堂)1972年刊行
(b)「コンサイスカタカナ語辞典」第2版(三省堂)1972年刊行
(c)「マスコミに強くなるカタカナ新語辞典」第6版(学習研究社)1986年刊行
(d)「マスコミに強くなるカタカナ新語辞典」第7版(学習研究社)1986年刊行
(e)「カタカナ語・略語辞典」第3版(旺文社)1990年刊行
(f)「ポケットプログレッシブカタカナ語辞典」第2版(小学館)1996年刊行
(g)「カタカナ外来語/略語辞典」全訂版(自由国民社)1996年刊行
(h)「最新カタカナ用語『読む見る』辞典」(講談社)1998年刊行
(i)「角川モバイルカタカナ語辞典」(角川書店)2000年刊行
(j)「日経新聞をよむためのカタカナ語辞典」(三省堂)2001年刊行
(k)「大きな文字の最新カタカナ語辞典」(梧桐書院)2001年刊行
(l)「大きな字のカタカナ新語実用辞典」(学習研究社)2002年刊行
(m)「用例でわかるカタカナ新語辞典」(学習研究社)2003年刊行
(n)「カタカナ新語辞典」改訂第2版(学習研究社)2003年刊行
(o)「用例でわかるカタカナ新語辞典」改訂第2版(学習研究社)2003年刊行
(p)「大きな字のカタカナ新語辞典」第2版(学習研究社)2004年刊行
(q)「朝日新聞のカタカナ語辞典」(朝日新聞社)2006年刊行
(r)「現代人のカタカナ語欧文略語辞典」(集英社)2006年刊行
(s)「現代用語の基礎知識カタカナ・外来語/略語辞典」(自由国民社)2009年刊行
(t)「ポケット版外来語新語辞典」(成美堂出版)2009年刊行
(ウ)国語辞典の掲載について(甲第3号証)
(a)「広辞苑」第6版(岩波書店)1955年刊行
(b)「デイリーコンサイス国語辞典」第6版(三省堂)1960年刊行
(c)「三省堂国語辞典」第6版〔小型版〕(三省堂)1960年刊行
(d)「三省堂国語辞典」第6版(三省堂)1960年刊行
(e)「日本国語大辞典」第2版第9巻(小学館)1972年刊行
(f)「大辞泉」増補・新装版(小学館)1995年刊行
(g)「大辞泉」第1版(小学館)1995年刊行
(h)「三省堂現代新国語辞典」第3版(三省堂)1998年刊行
(i)「大きな活字の三省堂国語辞典」第5版(三省堂)2001年刊行
(j)「大辞林」第3版(三省堂)2006年刊行
イ 雑誌類の掲載について(甲第4号証)
最近の対象雑誌類を提出するのは量が膨大であるため、昭和60年前後のものを集めた。また、雑誌の「集英社」発行の「ノンノ」等は当時200万部発行されており、若い世代の「ファッション・バイブル」といわれた。
(a)「ノンノ」通巻285(集英社)昭和58年10月20日発行
(b)「ノンノ」通巻294(集英社)昭和59年3月20日発行
(c)「ノンノ」通巻296(集英社)昭和59年4月20日発行
(d)「ノンノ」通巻312(集英社)昭和59年12月20日発行
(e)「ノンノ」通巻317(集英社)昭和60年3月20日発行
(f)「ノンノ」通巻325(集英社)昭和60年7月20日発行
(g)「ノンノ」通巻334(集英社)昭和60年12月5日発行
(h)「アンアン」通巻510(マガジンハウス)昭和61年1月10日発行
(i)「メンズ ノンノ」1巻7号(集英社)昭和61年12月1日発行
(j)「ノンノ」通巻406(集英社)昭和64年2月5日発行
(k)「オレンジページ」7巻21号(オレンジページ)平成3年10月17日発行
(l)「ノンノ」通巻473(集英社)平成3年12月20日発行
(m)「ダイム」No.23(小学館)平成4年12月3日発行
(n)「ノンノ」通巻495(集英社)平成4年12月5日発行
ウ 童話、絵本の掲載について(甲第5号証)
(a)「英語のべんきょうテディの一日」(小学館)昭和46年4月1日発行
(b)「くまのテディ・ロビンソン」(福音館書店)昭和54年5月20日発行
(c)「テディ・ロビンソンまほうをつかう」(福音館書店)昭和55年9月30日発行
(d)「おやすみ、テディ・ベア」(光文社)昭和57年11月25日発行
(e)「テディベア」(雄鶏社)昭和59年5月30日再版発行
(f)「テディベアのえほん1 うみへいこうよ」(岩崎書店)昭和59年8月10日発行
(g)「テディベアのえほん2 ひっこしおおさわぎ」(岩崎書店)昭和59年8月30日発行
(h)「テディベアのえほん3 雨の日うちゅうせんごっこ」(岩崎書店)昭和59年10月5日発行
(i)「テディベアのえほん4 かいものいっぱい」(岩崎書店)昭和59年10月30日発行
(j)「テディベアのえほん5 おいしいおりょうり」(岩崎書店)昭和59年12月15日発行
(k)「テディベアとかくれんぼ」(雄鶏社)昭和59年12月25日発行
(l)「テディベアカタログ」(雄鶏社)昭和60年1月10日発行
(m)「テディベアのえほん7 ABCであそぼう」(岩崎書店)昭和60年2月5日発行
(n)「テディベアのえほん6 かぞえてみよう1・2・3」(岩崎書店)昭和60年2月5日発行
(o)「テディベアのえほん8 かぜひいちゃった」(岩崎書店) 昭和60年3月5日発行
(p)「テディベアのワードローブ」(雄鶏社)昭和60年11月発行
(q)「おやすみ、テディ・ベア上」(角川書店)昭和60年12月25日発行
(r)「おやすみ、テディ・ベア下」(角川書店)昭和60年12月25日発行
(s)「おやすみ、テディ・ベア上」(光文社)昭和61年12月20日発行
(t)「おやすみ、テディ・ベア下」(光文社)昭和61年12月20日発行
エ 漫画の掲載について(甲第6号証)
(a)「テディ・ベア 第1巻」(秋田書店)昭和54年1月20日発行
(b)「テディ・ベア 第2巻」(秋田書店)昭和54年8月5日発行
(c)「テディ・ベア 第3巻」(秋田書店)昭和55年3月25日発行
(d)「テディ・ベア 第4巻」(秋田書店)昭和55年11月15日発行
(e)「テディ・ベア 第5巻」(秋田書店)昭和58年12月10日発行
(f)「ジャストコミック」(光文社)昭和58年11月1日発行
オ レコード、テレビドラマでのテーマ採用について(甲第7号証)
(ア)レコード
(a)アルバム「シニフィエ」昭和58年10月21日発売
(b)シングルB面「テディベアの頃?少女の香り?」昭和60年10月21日発売、おニャン子クラブ シングルコンプリート 平成19年7月18日発売
(イ)テレビドラマ
赤川次郎作の「おやすみ、テディ・ベア」という小説をドラマ化した「赤川次郎のおやすみ、テディベア」という題名の作品が、TBSにより、昭和58年8月9日放送された。
カ 新聞の掲載について(甲第8号証)
平成5年11月3日の毎日新聞には、「テディベア」についての記事が掲載されており、1984(昭和59)年に東京の渋谷に初の「テディベア」専門店が開店したことなどが記載されている。
キ テディベア博物館等について(甲第9号証)
平成21年3月現在、我が国に、熊のぬいぐるみや「テディベア」関係の資料等を展示する博物館(テディベア博物館又はテディベア美術館など)が12件存在し、「テディベア」の愛好家等により構成される「日本テディベア協会」(会員数3000人、加盟店61店、加盟企業47社、加盟美術館10件)が活動を行っている。
ク 「テディベア」の日本での一般的な著名性について(甲第10号証))
平成22年1月6日現在の、「インターネット」でのそれぞれの「ブランド(名前)」アクセス数を調査した結果が甲第10号証である。
その中で「テディベア」は「鉄腕アトム」や「不二家のペコちゃん」と並ぶ程の著名性があり、「動物のパンダ」、「忠太ハチ公」、「ポパイ」よりも有名である。
(3)「テディベア」の知名度などについて
以上のとおり、「テディベア」は「小熊のぬいぐるみ人形」として、日本人では知らない人はいない程有名であり、現在、日本国内では「一般用語」となっているので、それを商標登録し独占する事は好ましくない。請求人は「テディベアは誰でも使って良い」との考えである。
そして、「テディベア」は「セオドア・ルーズベルト大統領」の就任当時1902(明治35)年から世界的に有名であり、日本でも昭和50年前後より良く知られており、出願・登録の時点において既に日本で有名であった。
しかし、被請求人はその著名性を知りながら日本で有名な名称を故意に商標登録し個人(法人)のものにしたに過ぎず、日本の一法人、一個人が「商標登録」して独占すべきではない。
(4)セオドア・ルーズベルト協会について
請求人は、米国のルーズベルト第26代大統領を記念して設立されたセオドア・ルーズベルト協会の委任を受け、同協会の運営資金を確保するため、日本国内で商品化事業を行っている立場である。
それ等の事業を遂行するために、被請求人が所有する登録商標が障害となり、その活動を円満に遂行する事が出来ない。
2 弁駁
(1)本件商標を「無効」とすべき理由
本件商標は「TEDDY BEAR」と表示した文字商標であるが、この商標をその指定商品についての商標として被請求人が登録することは、次の理由によって、本来、商標登録を受けることの出来ないものであるから、商標法に違反するというべきである。
ア 商標法第4条第1項第7号該当性
本件商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標であるから、商標法第4条第1項第7号に該当する商標である。
本件商標は、米国の「セオドア・ルーズベルト」第26代大統領の「狩りの時に小熊を助けたエピソード」にちなんで生まれた名前であり、その後、ドイツのおもちゃメーカー等により、「小熊のぬいぐるみ人形」等が作られた。
元々、上記「セオドア・ルーズベルト」大統領が作った名前として認識されており、「テディ」は「セオドア」のニックネームである事はよく知られた事実である。
それを本人と何ら関係もない一個人(企業)である被請求人が、しかも本人の承諾も無く商標登録し、その使用を独占させることは穏当でないばかりか、一般社会道徳及び国際商道徳に反し、公正な商取引秩序を乱すとともに、米国国民に対する関係で国際信義にも反するものである。
イ 商標法第4条第1項第19号該当性
本件商標は「TEDDY BEAR」に係る商品又は役務を表示するものとして、日本国内又は外国における需要者間に広く認識されている。しかも、その著名性に只乗りして不当に使用料収入を得ようとするものである。
したがって、本件商標は、他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして、日本国内又は外国における需要者間に広く認識されている商標と同一又は類似のものであって、不正の目的をもって使用するものであるから、商標法第4条第1項第19号に該当する商標である。
(2)答弁書に対する反論
ア 米国での登録商標は現在「セオドア・ルーズベルト協会」で譲渡を受け、それを統一することを継続しており米国でも「テディベア」は誰でも使って良いとはいえない。
イ 請求人提出の証拠には、テディベアの語は、米国第26代「セオドア・ルーズベルト大統領」の狩りの時の「小熊を助けた」エピソードから生まれた名前としての記載が多く、それを見るとルーズベルト大統領のエピソードは日本人に知れ渡っているといえる。
元々辞書に記載されるものは著名な事実でも相当遅れて掲載されるのが一般的である。
上記証拠の具体的例は、請求の理由(2)ア(ア)a「ルーズベルト大統領」の記載がある英語辞典としての(a)ないし(v)の22件(甲第1号証)、同(イ)カタカナ語辞典としての(a)ないし(d)(f)(g)(i)(j)(m)ないし(p)(s)(t)の14件(甲第2号証)及び、同(ウ)国語辞典としての(a)(c)ないし(j)の9件(甲第3号証)で計45件である。その他のそれぞれの辞書でもスペースの関係で「ルーズベルト大統領のエピソード」を省略しただけで「テディベア」が単なる「くまのぬいぐるみ人形」だと断定したものはない。
あらゆる書籍で「テディベア」を紹介する場合、必ず同エピソードを加えるのが一般的である。
ウ 被請求人は雑誌について社会的影響がないように主張するが、証拠として提出した「ノンノ」は、当時隔週で100万部以上が発行されており、若い女性に絶大な人気を持っていたものである。
また、レコードの曲が2個であったとしても、そのテーマに採用されること自体、その事実が日本人の間によく知られたテーマであったことが窺えるものであり、その当時若い世代に圧倒的に人気があった「おニヤン子クラブ」等での採用はその当時の日本人でも認識度が大変大きなものであったであろう。
さらに、「テレビドラマ」「アニメ」はシリーズで放送されており、被請求人の勝手な誤解に基づく主張に過ぎない。
エ 請求人が「テディベア」の商標を所有している事実を被請求人は指摘する。しかし、それは米国の「セオドア・ルーズベルト協会」の指示に代理人としてしたがったものであり、今後同協会に譲渡を予定している。
また、「テディベア」の登録商標を多数所有していた株式会社雄鶏社が倒産したため、管財人からその所有を求められ応じただけである。

第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第6号証を提出した。
〈答弁の理由〉
本件審判請求には、本件商標を無効とする根拠条文が一切明示されていないが、念のために、請求の理由中における主張に対し、答弁及び反論をする。
(1)「『テディベア』の基本的考え」について
請求人は、かぎ括弧を付して「…商標登録の無効事由を構成する余地がある」という文言を引用し、「上記の考えを尊重すべきである」と述べている部分は、審決取消訴訟の判決(平成20年(行ケ)第10014号:平成20年5月15日判決、乙第1号証)の末尾の一文と思われる。
しかしながら、該引用部分は、本件商標とは別個の商標登録に係る不使用取消審判の審決取消訴訟の判決中の傍論で、当該判決の商標取消理由の有無には関係のない説示であり、当然ながら同事件では商標登録の無効事由について検討がなされたわけでもない。したがって、前記判決における判断が、本件の審理判断に何ら影響を及ぼすものではないことは明らかである。
すなわち、上記判決は、「Teddy Bear」を、小熊の形をしたぬいぐるみの普通名称と述べているに過ぎない。その上で、このような普通名称を、その普通名称が通常有する意味の商品(本件では小熊の「ぬいぐるみ」と、それと強い関連性を有する商品)に商標登録して独占すべきではないと述べているのであって、それ以外の商品について商標登録することを否定した説示ではない。
さらに、請求人は、上記判決(乙第1号証)の後に、これと同一の商標登録に対し、商標法第4条第1項第7号に基づく無効審判を請求し、請求不成立の審決を受け、その審決取消訴訟も棄却されている(平成21年(行ケ)第10055号:平成21年12月21日判決、乙第2号証)。ちなみに、この判決では「teddy bear」と呼ばれる独特の形をした小熊のぬいぐるみは、ドイツの玩具会社シュタイフに由来するとの説や、「teddy bear」の語の由来については、セオドア・ルーズベルトのエピソードの他にも、英国のヴィクトリア女王の長子エドワード7世(愛称「テッド」)がロンドンの動物園の熊興味を示したことに由来するとの説があること、また、「teddy bear」との文字は、米国において様々な指定商品について商標登録されていること等を認定、考慮し、該語が「ぬいぐるみの名称として知られていることを超えて、米国または米国民と密接不可分な関係があるものとは認められない」としており、そもそも請求人の「テディベア」の基本的考え、における主張に根拠がないことは、上記の各判決によって既に明らかにされている。
(2)請求人提出の証拠について
請求人は、「テディベア」が本件商標の出願・登録時において有名であったと述べ、これを示す証拠として甲第1号証ないし甲第7号証を提出しているが、甲第1号証ないし甲第3号証として提出された辞書類は、いずれも本件商標の登録査定後に発行されたもの、又は、発行の年度が不明なものばかりであり、また、甲第4号証ないし甲第7号証として提出された雑誌、書籍、レコード及びテレビドラマは、特定の雑誌であったり、同一の出版社により発行された一連のシリーズであるため、これらの雑誌及び書籍の読者数はある程度限られたものであったと考えられ、さらに、レコードは2曲に過ぎず、何枚販売されたのかも定かではなく、テレビドラマに関しては、一回放映されたに過ぎないものであって、請求人提出の証拠は、極めて限定的なものであるから、これらの証拠から、本件商標が登録査定時は勿論、出願時において我が国において広く知られていたとは断定できない。
(3)「テディベア」の知名度などについて
ア 請求人は、「テディベア」は現在日本中で有名である。と述べ、また、「テディベア」が「日本での一般的な著名性」を有すると主張するが、「現在」における「テディベア」の語に係る「一般的な著名性」が如何なる無効事由を構成するとの主張なのかは不明である。
また、請求人は、「テディベア」は誰でも使ってよいとの考えである。と述べ、テディベアは現在日本国内では「一般用語」となっているので、それを商標登録し独占することは好ましくない、と主張する。
しかしながら、乙第3号証に示されるとおり「TEDDY BEAR(テディベア)」と称する小熊のぬいぐるみは、1900年初頭から複数の玩具メーカーにより発売されており、「TEDDY BEAR(テディベア)」の語は、永年に亘り、取引者間において小熊のぬいぐるみの一般的な名称として使用されてきたものであって、その結果、該語は特定人の営業に係る小熊のぬいぐるみを識別する標識としての機能を発揮し得ない状態となっている。
このように、「TEDDY BEAR(テディベア)」の語は、小熊のぬいぐるみの普通名称として広く知られているにすぎないのであるから、これを誰もが自由に使用できるものである。
してみれば、本件商標の指定商品は「菓子及びパン」であり、いうまでもなく「ぬいぐるみ」とは非類似の商品であるから、小熊のぬいぐるみの普通名称を、かかる指定商品に使用することが制限されることはないし、被請求人が本件商標を登録し、維持し、使用するには商標法上何らの問題もない。
このことは、例えば、乙第5号証に示すように、我が国において「TEDDY BEAR(テディベア)」に関連する商標が「ぬいぐるみ」とは非類似の商品及び役務について多数登録されていることからも明らかであり、さらに付言すれば、乙第4号証に示すように「TEDDY BEAR」の語は、米国においても様々な指定商品について商標登録されている。
イ 請求人は、「テディベア」は米国第26代「セオドア・ルーズベルト大統領」の狩りの時の「小熊を助けた」エピソードから生まれた名前として日本で知られている。と主張しているが、請求人提出の証拠のほとんどは、「TEDDY BEAR(テディベア)」と称する小熊のぬいぐるみ一般に関するものであり、確かに、請求人提出の証拠の一部には、前記エピソードが記載されているものもあるが、小熊のぬいぐるみの普通名称としての「TEDDY BEAR(テディベア)」の語の認知度を超えて、前記エピソードが我が国において知られているとはいえないから、請求人が主張するエピソードは、本件商標の登録査定時はもとより、現在においても広く知られているとはいえないのであり、「TEDDY BEAR」の語に接した者が、「小熊のぬいぐるみ」の普通名称であるとの認識を超えて、「TEDDY BEAR」の語と前記エピソードとを密接に結びつけ、例えば本件商標が付された商品の出所を、前記エピソードやそれに登場するセオドア・ルーズベルト大統領と関連させ認識するようなことは起こりえない。
ウ なお、請求人は、「テディベア」は日本の一法人、一個人が「商標登録」して独占すべきではない、「テディベア」は現在日本国内では一般用語となっているのでそれを商標登録し独占することは好ましくない、と繰り返し述べているのにもかかわらず、一方で、請求人自身の名称で「TEDDY BEAR(テディベア)」に関する多数の商標を出願し又は商標登録を所有している(乙第5号証)。係る請求人の行為は、本件審判請求の理由に記載された請求人自身の「独占することは好ましくない」との主張と相矛盾するものであり、両者がどのように整合するのか理解に苦しむものである。
(4)セオドア・ルーズベルト協会について
セオドア・ルーズベルト協会に関する記載の事実については被請求人の知るところではないが、いずれにしても本件商標を無効とする理由を構成しない。
(5)まとめ
以上のとおり、本件商標には、いかなる観点からも、無効理由は存在しない。

第4 当審の判断
1 請求人適格について
本件審判請求に関し、当事者間に利害関係については争いがないので本案に入って審理する。
2 請求の理由に係る根拠条文について
請求人は、請求当初には請求の理由に係る適用条文を明示してないが、平成22年6月30日提出の弁駁書において、「本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同第19号に該当する。」旨述べ、特に請求の理由については改変するものでないことが認められるから、本件商標が上記の条項号に該当するか否かについて検討する。
また、請求人は、本件商標が商標法第4条第1項第7号に該当するとの主張において、本件商標が同法第46条第1項第1号に違反する旨を主張しているのか、または、同第5号に違反する旨を主張しているのか明確ではない。したがって、当審では、同法第46条第1項第1号及び第5号の双方について、本件商標が違反するか否かを判断することとする。
3 商標法第4条第1項第7号該当性について
(1)本件審判は、本件商標が商標法第4条第1項第7号に該当するとして本件商標の登録の無効を求めるものであるところ、同号にいう「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」には、その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、矯激若しくは他人に不快な印象を与えるような文字又は図形である場合、当該商標の構成自体がそのようなものでなくとも、指定商品又は指定役務について使用することが社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反する場合、他の法律によって、当該商標の使用等が禁止されている場合、特定の国若しくはその国民を侮辱し、又は一般に国際信義に反する場合、当該商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合、などが含まれるというべきである(知的財産高等裁判所、平成17年(行ケ)第10349号、平成18年9月20日判決参照)。
なお、請求人は、冒頭で「『Teddy Bear』という語を商標として登録し、それを特定の商標権者が独占することは、セオドア・ルーズベルト大統領の有名なエピソード、又はテディベアの愛称をもつ小熊のぬいぐるみ固有の人気や著名性に便乗する意図、又は誰もが自己の商品にその『テディベアー』等の名称を自由に使用できるという共通の認識を覆す意図があり、公正な競争秩序ないし公平の観念に反するものとして、商標登録の無効事由を構成する余地があるというべきである。」との考えを尊重すべきである、と述べている。
この点は、被請求人が指摘するとおり、本件商標とは別個の商標登録に係る不使用取消審判についての審決取消訴訟(平成20年(行ケ)第10014号事件、乙第1号証)の判決中の一文を引用し、これを根拠にして本件商標が商標法に違反するとして本件無効審判を請求したものということができる。
しかしながら、該判決の既判力ないし拘束力が当然に本件無効審判に及ぶものではないことは明らかであり、また、該判決における「3 取消事由3(被告による本件商標に係る商標権の取得等が国際信義に反した不正な目的をもったものであるにもかかわらずその点の判断をしなかった誤り)」とする取消事由については、商標法第50条第1項不使用取消審判の請求理由としては埒外のものであって、当該商標登録の無効事由について詳細に検討したものではないし、単に、ぬいぐるみ等の商品について「…公正な競争秩序ないし公平の観念に反するものとして、無効事由を構成する余地がある。」と指摘したにとどまるものと解されるから、それが本件審判の審理判断に影響を及ぼすものではない。
以上を前提として、以下検討する。
(2)請求人提出の証拠によれば、以下の事実が認められる。
ア 「teddy bear」の項目に「ルーズベルト大統領」の記載がある英語辞典は、以下のとおりである(甲第1号証「『ルーズベルト大統領』の記載がある英語辞典」)。
そして、「teddy bear」の項目に「テディベア」の記載のほかに、ルーズベルト大統領との関係(逸話、愛称)等が説明されているものがある。
(ア)2007年12月10日第11版第5刷「初級クラウン英和辞典」株式会社三省堂発行
「teddy bear」の項には、「ぬいぐるみのクマ、テディ・ベア.→米国第26代大統領セオドア(愛称Teddy)・ルーズベルトが狩りで子グマの命を助けたという話からこれが売られるようになった。」との記載がある。
(イ)2008年(平成20年)2月第7版第6刷「新英和中辞典」第7版 株式会社研究社発行
(ウ)1995年(平成7年)第22刷「現代英和辞典」株式会社研究社発行
(エ)2002年(平成14年)1月10日第2版第9刷「小学館ランダムハウス英和大辞典」第2版 株式会社小学館発行
(オ)2005年(平成17年)2月20日第4版第3刷「プログレッシブ英和中辞典」株式会社小学館発行
(カ)2001年(平成13年)2月20日第2版第2刷「新グローバル英和辞典」第2版 株式会社三省堂発行
(キ)2008年(平成20年)2月2日第3版第1刷発行「ポケットプログレッシブ英和辞典」第3版 株式会社小学館
(ク)2006年(平成18年)2月20日第3版第2刷「フェイバリット英和辞典」第3版 東京書籍株式会社発行
(ケ)2003年(平成15年)重版「旺文社新英和中辞典」株式会社旺文社発行
(コ)2006年(平成18年)12月第1版第4刷発行「リーダーズ英和中辞典」株式会社研究社
(サ)2008年(平成20年)1月10日第2版第7刷「グランドセンチュリー英和辞典」第2版 株式会社三省堂発行
(シ)2006年(平成18年)12月10日第2版第4刷「ビーコン英和辞典」第2版 株式会社三省堂発行
(ス)2008年(平成20年)2月28日初版第5刷「アドバンストフェイバリット英和辞典」東京書籍株式会社発行
(セ)2008年(平成20年)4月1日初版第6刷「ベーシックジーニアス英和辞典」株式会社大修館書店発行
(ソ)2003年(平成15年)重版「旺文社レクシス英和辞典」株式会社旺文社発行
(タ)2007年(平成19年)1月10日第2版第1刷「ウィズダム英和辞典」第2版 株式会社三省堂発行
(チ)2005年(平成17年)5月10日初版第3刷「ユースプログレッシブ英和辞典」株式会社小学館発行
(ツ)2008年(平成20年)4月1日初版第4刷「プラクティカルジーニアス英和辞典」株式会社大修館書店発行
(テ)2008年(平成20年)重版「コアレックス英和辞典」株式会社旺文社発行
(ト)2008年(平成20年)4月1日第4版第3刷「ジーニアス英和辞典」第4版 株式会社大修館書店発行
(ナ)2008年(平成20年)11月28日初版第1刷「アルファフェイバリット英和辞典」東京書籍株式会社発行
(ニ)2008年(平成20年)10月7日初版「オーレックス英和辞典」株式会社旺文社発行
なお、上記(ア)と同様に(イ)ないし(カ)(ク)ないし(コ)(シ)ないし(セ)(タ)ないし(ニ)には、「テディベア」、ルーズベルト大統領の逸話が記載されている。
イ 「teddy bear」の項に「ぬいぐるみの子グマ」の記載があるが、「ルーズベルト大統領」に関する記載のない英語辞典は、以下のとおりである(甲第1号証「『テディベア』の記載がある英語辞典」)。
なお、以下の(カ)及び(ソ)には、「teddy bear」の写真が掲載されている。
(ア)2007年(平成19年)11月10日第13版第8刷「コンサイス英和辞典」第13版 株式会社三省堂発行
「teddy bear」の項には、「クマのぬいぐるみ(玩具)」との記載がある。
(イ)2008年(平成20年)1月20日第6版第5刷「デイリーコンサイス英和・和英辞典」第6版 株式会社三省堂発行
(ウ)2008年(平成20年)3月第5版第4刷「ライトハウス英和辞典」第5版 株式会社研究社発行
(エ)2008年(平成20年)2月23日第3版第6刷「スーパー・アンカー英和辞典」第3版 株式会社学習研究社発行
(オ)2003年(平成15年)3月10日第2版「パーソナル英和辞典」第2版 株式会社学習研究社発行
(カ)2006年(平成18年)12月第2版第3刷「ルミナス英和辞典」第2版 株式会社研究社発行
(キ)2003年(平成15年)3月1日初版第3刷「ユニコン英和辞典」株式会社文英堂発行
(ク)2003年(平成15年)3月10日初版第4刷「ワードパワー英英和辞典」株式会社増進会出版社発行
(ケ)2008年(平成20年)2月23日第4版第4刷「ジュニア・アンカー英和辞典 英単語表つき」第4版 株式会社学習研究社発行
(コ)2008年(平成20年)2月23日第4版第7刷「ジュニア・アンカー英和辞典」第4版 株式会社学習研究社発行
(サ)2005年(平成17年)12月初版第12刷「Eゲイト英和辞典」株式会社ベネッセコーポレーション発行
(シ)2004年(平成16年)4月1日初版第1刷「小学館-ケンブリッジ英英和辞典」株式会社小学館発行
「teddy bear」の項目には、「a soft, toy bear」と記載されている。
(ス)2007年(平成19年)2月1日第3刷「ニューヴィクトリーアンカー英和辞典」第2版 株式会社学習研究社発行
(セ)2007年(平成19年)3月初版発行「エクスプレスEゲイト英和辞典」株式会社ベネッセコーポレーション
(ソ)2007年(平成19年)2月1日初版第1刷「ロングマン英和辞典」株式会社ピアソン・エデュケーション発行
(タ)2008年(平成20年)1月25日初版「アンカーコズミカ英和辞典」株式会社学習研究社発行
ウ 「テディベア」の記載があるカタカナ語辞典は、以下のとおりである(甲第2号証)。
(ア)1995年(平成7年)5月10日初版第2刷「大きな活字のコンサイスカタカナ語辞典」株式会社三省堂発行
「テディー・ベア[teddy bear]」の項目には、「ぬいぐるみの熊〈現〉★米国大統領Theodore Rooseveltが狩猟中に子熊を見逃してやったという漫画にちなむ.」との記載と挿絵の掲載がある。
(イ)2000年(平成12年)9月10日第2版第1刷「コンサイスカタカナ語辞典」第2版 株式会社三省堂発行
(ウ)2004年(平成16年)3月22日第6版「マスコミに強くなるカタカナ新語辞典」第6版 株式会社学習研究社発行
(エ)2008年(平成20年)11月12日第7版「マスコミに強くなるカタカナ新語辞典」第7版 株式会社学習研究社発行
(オ)2000年(平成12年)8月25日第3版「カタカナ語・略語辞典」第3版 株式会社旺文社発行
(カ)2007年(平成19年)12月5日第2版「ポケットプログレッシブカタカナ語辞典」第2版 株式会社小学館発行
(キ)2006年(平成18年)4月10日全訂第3版「カタカナ外来語・略語辞典」全訂第3版 株式会社自由国民社発行
(ク)1998年(平成10年)3月2日第1刷「最新カタカナ用語『読む見る』事典」株式会社講談社発行
「テディー・ベア[teddy bear]」の項には、「クマのぬいぐるみの名前。ドイツ製の素朴なぬいぐるみで、長年の欧米で親しまれている。」と記載され、「テディベア」の挿絵も掲載されている。
(ケ)2000年(平成12年)3月25日初版「角川モバイル カタカナ語辞典」株式会社角川書店発行
(コ)2001年(平成13年)4月10日第1刷「日経新聞を読むためのカタカナ語辞典」株式会社三省堂発行
(サ)2008年(平成20年)8月25日第7版「大きな文字の最新カタカナ辞典」株式会社梧桐書院発行
「テディー・ベア」の見出し語はなく、「テディー・ベア・シンドローム[teddy bear syndrome]・・・相手にぬいぐるみのクマの役割を求めるところから」との記載がある。
(シ)2002年(平成14年)6月25日初版「大きな字のカタカナ新語実用辞典」株式会社学習研究社発行
(ス)2003年(平成15年)3月24日初版「用例でわかるカタカナ新語辞典」改訂第2版 株式会社学習研究社発行
(セ)2007年(平成19年)2月1日改訂第2版「カタカナ新語辞典」株式会社学習研究社発行
(ソ)2009年(平成21年)3月18日改訂第2版第3刷「用例でわかるカタカナ新語辞典」株式会社学習研究社発行
(タ)2009年(平成21年)1月19日第2版「大きな字のカタカナ新語辞典」第2版 株式会社学習研究社発行
(チ)2006年(平成18年)8月30日第1刷「朝日新聞のカタカナ語辞典」朝日新聞社発行
(ツ)2006年4月30日初版「現代人のカタカナ欧文略語辞典」株式会社集英社発行
(テ)2009年8月30日初版「カタカナ外来語略/語辞典」株式会社自由国民社発行
上記(ア)と同様に(イ)(カ)(キ)及び(ケ)には、「テディベア」、ルーズベルト大統領の逸話について記載されている。
さらに、上記(ア)と同様に(イ)及び(ク)には、「テディベア」の挿絵が掲載されている。
エ 「テディベア」の記載がある「国語辞典」は、以下のとおりである(甲第3号証)。
(ア)2008年1月11日第6版第1刷「広辞苑」株式会社岩波書店発行
「テディー・ベア[teddy bear]」の項には、「熊のぬいぐるみの一種。テディーは、狩猟好きのアメリカ大統領Tルーズヴェルト(愛称テディー)が木につながれた小熊の命を助けたという[ワシントンポスト]紙の漫画に因む名。」との記載がある。
(イ)「デイリーコンサイス国語辞典」(奥付差違え、発行日不明)株式会社三省堂発行
「テディー・ベア.teddy bear 熊のぬいぐるみ.」との掲載がある
(ウ)2009年1月10日第6版第2刷「三省堂国語辞典」〔小型版〕及び(エ)2008年10月10日第6版第2刷「三省堂国語辞典」株式会社三省堂発行
(オ)2001年9月20日第2版第9巻第1刷「日本国語大辞典」株式会社小学館発行
「テディー・ベア」の項には、(アメリカteddy bear テディーは狩猟中子熊の命を助けたという26代米国大統領セオドア・ルーズヴェルトのニックネームにちなむ)(テッディベーア)縫いぐるみの熊をいう。*アルス新語辞典(1930)〈桃井鶴夫〉テッディ・ベーア 英 teddy bear小児玩具用の熊」との記載がある。
(カ)1998年11月20日第1版〈増補・新装版〉第1刷 株式会社小学館発行の「大辞泉」
(キ)1995年(平成7年)12月1日第1版第1刷「大辞泉」株式会社小学館発行
(ク)2007年11月10日第1刷「三省堂現代新国語辞典」第3版株 式会社三省堂発行
(ケ)2001年5月1日第1刷「大きな活字の三省堂国語辞典」第5版 株式会社三省堂発行
(コ)2006年10月27日第1刷「大辞林」第3版 株式会社三省堂発行
上記(ア)(オ)と同様に(カ)及び(キ)には、「テディベア」及びルーズベルト大統領の逸話について記載されている。
オ 「テディベア」の紹介記事、「テディベア」の写真などが掲載されている雑誌類は、以下のとおりである(甲第4号証)。
(ア)昭和58年10月20日「ノンノ」通巻285 株式会社集英社発行
(イ)昭和59年3月20日「ノンノ」通巻294 株式会社集英社発行
(ウ)昭和59年4月20日「ノンノ」通巻296 株式会社集英社発行
(エ)昭和59年12月20日「ノンノ」通巻312 株式会社集英社発行
「ぬいぐるみ大好き!!」とするとじ込み保存版において「大好きなぬいぐるみ、その中でも、やっぱり テディ・ベアは特別ね」の見出しの下で「…ところで、テディ・ベアの生まれたのは1902年、アメリカです。当時の大統領ルーズベルトが、狩のとき現れた子グマを撃つのをやめた話が報道されたのがはじまり。大統領の愛称にちなんでテディ・ベアと名づけられたクマのぬいぐるみが作られ、世界中で大人気。…」と「テディベア」の紹介記事及び各種縫いぐるみ写真などの掲載がある。
(オ)昭和60年3月20日「ノンノ」通巻317 株式会社集英社発行
(カ)昭和60年7月20日「ノンノ」通巻325 株式会社集英社発行
「テディベアなら、何でもおまかせ。」の見出しの下「…今年5月でオープン1年を迎え、新しいテディベアも3種仲間入りしました。…」や子グマのぬいぐるみの写真を掲載した子グマのぬいぐるみの専門店の紹介記事の掲載がある(この専門店は、平成5年11月3日付けの毎日新聞にも掲載されている:甲第8号証)。
(キ)昭和60年12月5日「ノンノ」通巻334 株式会社集英社発行
(ク)昭和61年1月10日「アンアン」通巻510 株式会社マガジンハウス発行
(ケ)昭和61年12月1日「メンズ ノンノ」1巻7号 株式会社集英社発行
「テディベアのぬいぐるみ」の見出しの下、各種の子グマのぬいぐるみの写真と記載と共に「大好きな、ぬいぐるみたちのこと、どのくらい知ってるかな?」の見出しの下「…ただなんとなく、クマのぬいぐるみのことをテディベアって呼ぶんだって思っていたから。なんて人、きっと多いよね。でも、それで正解。ただし、ちゃんと理由はあるんだ。…当時の大統領テオドール・ルーズベルトが狩に出かけたときのこと…その話がアメリカ中に報道されて、彼のニックネーム、テディと名づけられたクマのぬいぐるみが誕生したわけ。…」の記載がある。
(コ)昭和64年2月5日「ノンノ」通巻406 株式会社集英社発行
「クマはメルヘンの人気主人公。”テディ・ベア”誕生秘話が本になった!!」の見出しの下「…テディ・ベア・ファンのあなたに2つの質問です。…1.の答えは、なんとアメリカの26代大統領のルーズベルト。テディは、彼の愛称です。…2.の答えは、ニューヨーク、ブルックリンのお菓子屋さんのおじさん。いったいどうして…」や「子グマのぬいぐるみ」ほか各種クマのグッズ写真などの掲載がある。
(サ)平成3年10月17日発行「オレンジページ」7巻21号
「手足が動く テディベアのぬいぐるみ」において、「基本的のテディベアの作り方」、「トラッドベア」、「楽団ベア」、「ベビーベア」及び「サンタベア」の作り方と各種テディベアの写真と共に、「テディベアのお話」の見出しの下「テディとは、アメリカの26代目の大統領セオドア・ルーズベルトのニックネームなんです。事の起こりは、1902年11月18日ワシントンの新聞に掲載された漫画でした。大統領が境界線でもめていたミシシッピー州に出かけたとき、狩り好きの大統領のためにハンティングツアーが開かれました。何日間かの長いツアーにもかかわらず、獲物はただの一頭も姿を現しません。あせった主催者側が、森中探して小熊を見つけ出し、大統領に撃ってくださいと差し出しました。ぶるぶるおびえた小熊を見た大統領は顔をしかめて、「小熊を撃たないよ」と拒否したそうです。その話を聞いた新聞社が小熊を撃つのをよしとせず、心に一線を引いた大統領の気持ちと、争っていた州の境界線をかけて”ミシシッピーの線引き”といった風刺漫画い仕立て上げました。漫画は大評判、大統領のファンであったおもちゃメーカーの主人が、自社製品の熊のぬいぐるみを、大統領のニックネーム”テディ”と名づけて売り出したい旨を手紙に書き、大統領に送ったところ、なんと直筆でOKの返事がありました。それから熊のぬいぐるみはテディベアと広く親しまれるようになったといいます。」の記載がある。
(シ)平成3年12月20日「ノンノ」通巻473 株式会社集英社発行
(ス)平成4年12月3日「ダイム」No.23 株式会社小学館発行
「TREND WATCHING」の見出しの下、各種のテディベアの写真と「…テディベアが誕生したのは1902年。熊を愛したルーズベルト大統領の愛称”テディ”にちなんで名付けられたという。」の掲載がある。
(セ)平成4年12月5日「ノンノ」通巻495 株式会社集英社発行
上記のとおり、(エ)と同様に(ケ)ないし(サ)及び(ス)には、「ぬいぐるみの子グマ」の紹介及びルーズベルト大統領の逸話について記載されている。
カ 「テディベア」の「童話、絵本」は、以下のとおりである(甲第5号証)。
(ア)昭和46年4月1日「英語のべんきょうテディの一日」稲村松雄監修 株式会社小学館発行の絵本は、テディベアを題材としている。
(イ)昭和54年(1979年)5月20日「くまのテディ・ロビンソン」ジョーン・G・ロビンソン著 福音館書店初版発行
(ウ)昭和55年(1980年)9月30日「テディ・ロビンソン まほうをつかう」ジョーン・G・ロビンソン著 福音館書店初版発行
(エ)昭和57年11月25日「おやすみ、テディ・ベア」赤川次郎著 光文社発行の小説では、「テディベア」と称するぬいぐるみが出てくること、後書きに「…は、『日刊スポーツ』昭和57年4月8日より183回にわたり連載された作品です。(編集部)」との記載がある。
(オ)昭和59年5月30日「テディベア」株式会社雄鶏社発行
「テディベア」を作るための解説本であるが、その解説には、「テディベアの名前は、米国史上の出来事に由来しています。1902年米国大統領セオドール・ルーズベルトは、ミシシッピー州で狩りに出かけました。狩りの一行は途中、やせた黒熊を捕え、木にしばりつけました。早速、大統領に知らされ、大統領が現場にやってきましたが、木にしばられ、疲れはてた熊に鉄砲をうつのは、スポーツマンシップに反すると、熊をうつことをことわりました。この美談は翌日の新聞に載り、またたく間に広がりました。ニューヨークの文房具店では、熊の縫いぐるみを売り出し、大統領に“テディベア”と名付けてもらいました。これがアイディアル玩具社のテディベアです。同じ頃、ドイツのシュタイフ社でも熊の縫いぐるみを売り出し、アメリカにも輸入されるようになりました。」と記載されている。
(カ)昭和59年(1984年)8月10日「うみへいこうよ」(テディベアのえほん1)スザンナ・グレッツ作 岩崎書店 第1刷発行
(キ)昭和59年(1984年)8月30日「ひっこしおおさわぎ」(テディベアのえほん2)スザンナ・グレッツ作 岩崎書店 第1刷発行
(ク)昭和59年(1984年)10月5日「雨の日のうちゅうせんごっこ」(テディベアのえほん3)スザンナ・グレッツ作 岩崎書店 第1刷発行
(ケ)昭和59年(1984年)10月30日「かいもの いっぱい」(テディベアのえほん4)スザンナ・グレッツ作 岩崎書店 第1刷発行
(コ)昭和59年(1984年)12月15日「おいしいおりょうり」(テディベアのえほん5)スザンナ・グレッツ作 岩崎書店 第1刷発行
(サ)昭和59年12月25日「テディベアとかくれんぼ」株式会社雄鶏社発行は、多種のテディベア写真や挿絵がされている絵本である。
(シ)昭和60年1月10日「テディベアカタログ」株式会社雄鶏社発行
多種類の子グマのぬいぐるみの写真や挿絵、日本でテディベアを扱っている店の紹介、テディベア材料セット、前出自社書籍の紹介などと共に「テディベアの歴史」の見出しの下「…において、次のように定義しています。/テディベア、〔テディ、第26代米大統領になったセオドール・ルーズヴェルトのニックネーム:狩猟中、小熊の命を助けた大統領を描いた漫画に由来する〕縫いぐるみの熊の玩具。」との記載がある。
(ス)昭和60年(1985年)2月5日「ABCであそぼう」(テディベアのえほん7)スザンナ・グレッツ作 岩崎書店 第1刷発行
(セ)昭和60年(1985年)2月5日「かぞえてみよう 1・2・3」(テディベアのえほん6)スザンナ・グレッツ作 岩崎書店 第1刷発行
(ソ)昭和60年(1985年)3月5日「かぜひいちゃった」(テディベアのえほん8)スザンナ・グレッツ作 岩崎書店 第1刷発行
上記(カ)ないし(コ)及び(ス)ないし(ソ)は、昭和59年8月10日ないし昭和60年3月5日岩崎書店発行のテディベアを題材とする「テディベアのえほん」全8巻のシリーズ絵本である。
(タ)昭和60年11月「テディベアのワードローブ」株式会社雄鶏社発行には、多種の子グマのぬいぐるみの写真やテディベアの衣料についての掲載と共に「今、テディベアは全世界でかわいがられていますが、このテディベアの名がアメリカ合衆国、第26代大統領セオドール・ルーズヴェルトのニックネームに由来していることは、あまり知られていません。大統領が狩りに出かけた時、一匹の小熊の命を救ったのが、テディベア誕生のいきさつだそうです。…」
上記のとおり、(オ)、(シ)及び(タ)には、「テディベア」の紹介及びルーズベルト大統領の逸話について記載されている。
(チ)昭和60年12月25日「おやすみ、テディ・ベア」(上)赤川次郎著 株式会社角川書店 初版発行
(ツ)昭和60年12月25日「おやすみ、テディ・ベア」(下)赤川次郎著 株式会社角川書店 初版発行
(テ)昭和61年12月20日「おやすみ、テディ・ベア」(上)赤川次郎著 株式会社光文社 初版1刷発行
(ト)昭和61年12月20日「おやすみ、テディ・ベア」(下)赤川次郎著 株式会社光文社 初版1刷発行
上記(チ)ないし(ト)の小説には、「テディベア」のぬいぐるみが登場する。
キ 「テディベア」が登場する漫画類は、以下のとおりである(甲第6号証)。
(ア)昭和54年1月20日「テディ・ベア1」あしべゆうほ作 株式会社秋田書店 初版発行
(イ)昭和54年8月5日「テディ・ベア2」あしべゆうほ作 株式会社秋田書店初版発行
(ウ)昭和55年3月25日「テディ・ベア3」あしべゆうほ作 株式会社秋田書店 初版発行
(エ)昭和55年11月15日「テディ・ベア4」あしべゆうほ作 株式会社秋田書店 初版発行
(オ)昭和58年12月10日「テディ・ベア5」あしべゆうほ作 株式会社秋田書店 初版発行
上記(ア)ないし(オ)は、「テディベア」の掲載がされている「漫画」とするものであり、昭和54年1月20日ないし昭和58年12月10日秋田書店発行の「テディ・ベア」を題号とする第1巻から第5巻までの主人公がかわいがるぬいぐるみとして、テディベアが描かれているシリーズ漫画である。
(カ)昭和58年11月「ベア」赤川次郎原作 株式会社光文社発行の漫画雑誌「ジャストコミック」の中に前出の著者赤川次郎の小説が「ベア」の題号で初登場として掲載されており「テディ・ベア」が描かれている。
ク 「テディベア」の語が曲の題名及び歌詞に使用されているレコード、テレビドラマは、以下のとおりである(甲第7号証「レコード」、「テレビドラマ」)。
(ア)「シニフィエ」昭和58年10月21日発売
アルバムレコード「シニフィエ」中に「テディ・ベア」を曲名とするものの収録がある。
(イ)昭和60年10月21日「テディベアの頃-少女の香り-」株式会社キャニオン・レコード発売
レコードのシングルB面に曲名「テディベアの頃?少女の香り?」と、この曲が収録された「おニャン子クラブ」シングルコンプリートが平成19年7月18日に発売されていることの各記載が認められる。
(ウ)昭和58年8月9日に、前記カ(チ)ないし(ト)の小説をテレビドラマ化した作品「赤川次郎のおやすみ、テディベア」がTBSにより放送された。
ケ 「テディベア」についての記事が掲載された新聞は、以下のとおりである(甲第8号証)。
1993年(平成5年)11月3日の毎日新聞には、テディベアについての記事が掲載されており、平成5年4月にテディベアの愛好者らにより日本テディベア協会が設立されたこと、テディベアという名は米国第26代大統領セオドア・ルーズベルトの愛称にちなんで名付けられたこと、1984年(昭和59年)に東京に初のテディベア専門店が開店したことなどが記載されている。
コ 平成21年3月11日にプリントアウトしたテディベア博物館等に関するインターネット記事は、以下のとおりである(甲第9号証)。
(ア)「伊香保おもちゃと人形自動車博物館」
「伊香保おもちゃと人形自動車博物館」、「テディベア博物館」を見出しとするウェブページには、各種テディベアの写真や「世界各地から集められたテディベア。いつまでも変わることのないその愛くるしい表情は、訪れる人々を癒しの世界へ誘います。」、「1902年、『ルーズベルト大統領が狩りの時に小熊を助けた』という新聞記事を見たお菓子屋さんが、大統領のニックネームと同じ“テディ”という名前をつけたクマのぬいぐるみを店先に飾ったことでテディベアが誕生しました。」などの掲載がある。
(イ)「河口湖テディベア館」
(ウ)「伊豆テディベア・ミュージアム」
(エ)「那須テディベア・ミュージアム」
(オ)「テディベア博物館 テディベアキングダム」(長崎ハウステンボス)
(カ)「飛騨高山テディベア エコビレッジ」
(キ)「神戸ドールミュージアム」
(ク)「フォレストベアクラブ」(千葉県在)
(ケ)「山中湖テディベアワールドミュージアム」
(コ)「蓼科テディベア美術館」
(サ)「富良野テディベアミュージアム」
(シ)「神戸北野テディベアミュージアム」
「神戸北野テディベアミュージアム」を見出しとするウェブページには、「テディベアの写真やエピソードに係る風刺漫画、Teddy─Theodore,Edwardの愛称。Teddy Bearという名前はアメリカの第26代大統領であるセオドア・ルーズベルト氏にちなんでつけられました。…エピソードがあるのです。1902年秋、ルーズベルト大統領が熊狩りへ行った時の事。…動くこともできない小さな熊を撃つのはスポーツマンシップに反する行為だと。…彼の行動は『ワシントンポスト紙』で報道され、記事と共に載った風刺漫画はたちまち大評判となり…この話しを聞いて、テディベアを作ろう!と思ったのがお菓子職人であったモリス。“テディベア”名付けられた熊がウィンドーに飾られると、たちまち人気者になり、モリスさんは正式にニックネームを使わせてもらう事を大統領にお願いし、許しを得た返事をもらいました。そして『アイディアル社』を設立、本格的なテディベアメーカーとしてスタートしたのです。」などの記載がある。
上記(ア)ないし(シ)のインターネット記事によれば、平成21年3月現在、我が国に、熊のぬいぐるみやテディベア関係の資料等を展示する博物館(テディベア博物館又はテディベア美術館など)が12件存在することが認められる。
上記のとおり、(ア)及び(シ)には、「テディベア」の紹介のほかルーズベルト大統領の逸話などが記載されている。
(ス)「日本テディベア協会」(東京都目黒区在)
「協会について」の見出しの下「人々にテディベアのもつ愛らしさ、やさしさを伝え、テディベアを通してボランティア活動などの社会的文化貢献を目指す団体です。現在、法人会員150、個人会員4,000人(2003年1月現在)の特定非営利活動法人(NPO法人、1999年10月認可)です。会報誌の発行、コンベンションの開催、各種催事の後援などのテディベア普及啓蒙活動を行うと同時に、…」の記載や各種催事、大統領とのエピソードなどのテディベアに関する情報が掲載されている。
サ 「キャラクター別『知名度』比較表」は、平成22年1月6日現在の「インターネット」上の「ブランド(名前)」のアクセス数を調査した結果とするとするものであり、「テディベア」のヒット数「16,100,000」と記載されている(甲第10号証)。
(3)「テディベア」の周知、著名性について
前記(2)の記載等を総合すれば、登録査定時における我が国の「テディベア」についての一般的な認識は以下のとおりである。
ア 前記(2)アないしエによれば、「teddy bear(テディベア)」の語は、米国第26代大統領セオドア・ルーズベルトが1902年に狩猟中に一匹の子熊を追い詰めたが撃たずに助けたというエピソードに由来する語であり、英米では「独特の形をした小熊のぬいぐるみ」を意味する語として知られているものといえる。
しかしながら、前記(2)アないしエの辞書類の発行日は、その多くは最近の発行日であり、初版(現版以前の版)発行のときから「テディーベア」に係る記載がされていたかは明らかでないし、そもそも各辞書類に共通して収録されている語が必ずしも周知なものといえるものでもない。
そうとすると、英米では「独特の形をした小熊のぬいぐるみ」を意味する語として良く知られているものといえるとしても、前記(2)アないしエによっては、我が国において、本件商標の登録査定時(平成4年10月16日)において、「テディベア」の語が、独特の形をした子グマのぬいぐるみを指すことが一般的に認識されていたとは認められない。また、「teddy bear」の語の由来とされるセオドア・ルーズベルトの逸話も、本件商標の登録査定時、我が国において知られていたとは認められない。
イ 前記(2)オによれば、本件商標の登録査定前に、12件の雑誌にテディベアに関する記事が掲載されていたことが認められる。また、前記(2)ケによれば、平成5年の新聞記事には、昭和59年に東京に初のテディベア専門店が開店したことなどが記載され、テディベアの愛好者らにより日本テディベア協会が設立されたのは平成5年4月と記載されているが、当時の会員数、規模などについての記載はない。
前記(2)カ及びキによれば、小熊のぬいぐるみ又はそれと同様の形態の登場者等を「テディベア」又は「テディ」として表した童話・絵本の書籍、テディベアのぬいぐるみの写真やぬいぐるみの作り方を掲載したカタログ、テディベアが登場する漫画で、本件商標の登録査定前に発行されたものが存在することが認められる。
前記(2)クによれば、「赤川次郎のおやすみ、テディベア」の放送は、昭和58年8月9日の1回にとどまる。
前記(2)ケによれば、平成21年3月現在、我が国に、熊のぬいぐるみやテディベア関係の資料等を展示する博物館(テディベア博物館又はテディベア美術館など)が12件存在することが認められるが、それらの設立年月日は明らかではなく、これらが、本件商標の登録査定時に存在したことを認めるに足りる証拠はない。また、(2)ケ(セ)によれば、日本テディベア協会は、テディベア美術館等をも構成員とするものであり、その設立は平成5年4月であることが認められる。
また、テディベアに関する記載等のある雑誌、書籍、レコード、テレビ番組等のうち、セオドア・ルーズベルトの逸話が紹介されたものは、雑誌5点(前記(2)オ(エ)(ケ)ないし(サ)及び(ス))、カタログ3点(いずれも株式会社雄鶏社のカタログ、(2)カ(オ)(ス)及び(チ))である。
ウ 前記(2)の辞書、雑誌、新聞、書籍、レコード、テレビ番組、テディベア博物館等に「テディーベア」が取り上げられていることを併せ考えると、現在においては、我が国においても、「テディベア」との語は、独特の形をした小熊のぬいぐるみを意味する語として相当程度知られていると認められる。そして、前記(2)オないしクによれば、本件商標の登録査定前に、テディベアに関する記載等のある雑誌、書籍、レコード、テレビ番組等があったことは認められる。
エ 以上の事実認定によれば、本件商標の登録出願時(平成2年7月13日)ないし登録査定時(平成4年10月16日)前において、既に「テディベア」(teddy bear又はTEDDY BEAR)の語は、絵本、雑誌及び書籍などでの題材として取り上げられていた状況が認められ、「独特の形をした小熊のぬいぐるみ」の名称として、ある程度使用されていたものであり、その使用状況は現在においても継続しているものといえる(上記(2)コの「テディベア博物館」、甲第9号証「インターネット」でのアクセス結果:甲第10号証)。
してみれば、「テディベア」(teddy bear又はTEDDY BEAR)の語は、本件商標の登録出願時ないし登録査定時前から、我が国においてもぬいぐるみのクマを表すものとして、普通に使用されていたものというのが相当である。
しかしながら、「テディベア」(「teddy bear」又は「TEDDY BEAR」)の語がクマのぬいぐるみとしての知名度を超えて、セオドア・ルーズベルトが狩猟中に小熊を助けたことや、それのワシントンポスト紙で報道、これをヒントに「テディベア」と名付けたことなどの逸話は、一般にそれ程広く知られていものとはいい難いところである。
オ また、米国において、セオドア・ルーズベルトに係る逸話として「teddy bear」又は「TEDDY BEAR」の各表示などが、一般にセオドア・ルーズベルトを直ちに連想させるほど同人と密接に関連した語として認識されているとは認められないし、ぬいぐるみの名称として知られていることを超えて、米国又は米国民と密接不可分な関係があるものとは認められない。
(4)次に、本件商標が「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」であるかを検討するに、その構成文字は上記第1のとおり「TEDDY BEAR」の欧文字からなり、この文字自体が非道徳的、卑わい、差別的、矯激若しくは他人に不快な印象を与えるようなものでないことは明らかであるし、他の法律等によってその使用が禁止されているものでもない。
そして、前記(3)の認定の事実によれば、本件商標が米国若しくは米国民を侮辱し、又は一般に国際信義に反するものとは認められないばかりでなく、本件商標の登録出願の経緯に社会的妥当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないということもできない。
してみれば、本件商標は、公正な競争秩序又は公平の観念に反するものではなく、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標とは認められない。
また、「TEDDY BEAR」の語は、本件商標の登録後においても、その状況に変わるところはなく、独特の形をした小熊のぬいぐるみを意味する語として知られるものといえるほかに、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標となっていると認めるに足る証拠もない。
したがって、本件商標は、その登録査定時ないし商標登録後においても、商標法第4条第1項第7号に該当するものということはできない。
4 商標法第4条第1項第19号該当性について
前記3で認定判断したとおり、本件商標の登録出願時にあって「teddy bear」、「TEDDY BEAR」又は「テディベア」の文字が米国におけるセオドア・ルーズベルト協会の活動によって、広く知られているものとする証拠はないし、その他「TEDDY BEAR」などの表示が特定企業の業務に係る商品や役務を表示する商標として、日本国内又は外国における当該需要者間に広く認識されていると認めるに足りる証拠の提出はない。
また、被請求人(商標権者)が、不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的をはじめとする取引上の信義則に反するような目的をもって、本件商標に係る登録出願の行為に及び、登録を受けたと認めることはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当するものということはできない。
5 請求人の主張について
(1)請求人は、「米国のルーズベルト第26代大統領を記念して設立されたセオドア・ルーズベルト協会の委任を受け、同協会の運営資金を確保するため、日本国内で商品化事業を行っている立場であるとし、それ等の事業を遂行するために、被請求人が所有する登録商標が障害となり、その活動を円満に遂行する事が出来ない」と述べ、また、「日本での登録商標は『セオドア・ルーズベルト協会』に譲渡を予定している」旨述べている。
しかしながら、セオドア・ルーズベルト協会が、米国第26代大統領を顕彰するために設立された米国内の任意団体にすぎず、また、米国においても、「TEDDY BEAR」の文字からなる商標を同協会以外の者が商標登録を受けている。
そうとすると、同協会及び請求人の商品化事業に関する行為は、一般的な経営戦略上の行為の域を出ないものであるといわざるを得ず、請求人の主張は上記判断を左右するものではない。
(2)請求人は、「『小熊のぬいぐるみ人形』を意味する『一般用語』(普通名詞)となっているものであるので、それを商標登録と独占することは好ましくない」と主張している。
しかしながら、本件商標「TEDDY BEAR」は、「小熊のぬいぐるみ」を意味する普通名詞であるとしても、その指定商品である第30類「菓子及びパン」との関係では普通名称であるとはいえず、出所識別機能を有するものであり、これを商標法4条1項7号(公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標)に該当するということはできない。
(3)請求人は、「『テディベア』は、米国のセオドア・ルーズベルト大統領が作った名前として認識されており、『テディ』は上記大統領のニックネームであることはよく知られた事実であるが、上記大統領と何らの関係のない一個人にその使用を独占させることは穏当でないばかりか、一般社会道徳及び国際商道徳に反し、公正な商取引秩序を乱すとともに、米国国民に対する関係で国際信義にも反するものである。」と主張している。
しかしながら、「テディベア」は、一般にセオドア・ルーズベルトを直ちに連想するほど、同人と密接に関連して認識されるとは認められないことは前記のとおりである。
なお、「テディベア」の語から、セオドア・ルーズベルト又は同人に係るエピソードを想起したとしても、同人の尊厳を傷つけるということは
できないし、米国民との関係で国際信義に反するものとはいうことができない。
(4)請求人は、「本件商標は、『TEDDYBEAR』に係る商品又は役務を表示するものとして、日本国内又は外国における需要者間に広く認識されている。しかも、その著名性に只乗りして不当に使用料収入を得ようとするものである。」と主張している。
しかしながら、前記のとおり、「テディベア」は、「小熊のぬいぐるみ」を意味する普通名詞といえるとしても、ある普通名詞のもつ良いイメージと自己の商品のイメージ等を重ねて商標を採択、使用することは一般的に行われているところであり、普通名詞を採択使用することをもって、「不正の目的」があるとはいえない。
6 まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同第19号に違反して登録されたものではないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきでない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2010-10-07 
結審通知日 2010-10-12 
審決日 2010-10-25 
出願番号 商願平2-79470 
審決分類 T 1 11・ 222- Y (130)
T 1 11・ 22- Y (130)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 杉山 和江 
特許庁審判長 鈴木 修
特許庁審判官 井出 英一郎
内山 進
登録日 1993-03-31 
登録番号 商標登録第2515948号(T2515948) 
商標の称呼 テディベア 
代理人 松尾 和子 
代理人 井滝 裕敬 
代理人 加藤 ちあき 
代理人 辻居 幸一 
代理人 中村 稔 
代理人 熊倉 禎男 
代理人 藤倉 大作 

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