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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z09
管理番号 1226654 
審判番号 取消2009-301248 
総通号数 132 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2010-12-24 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2009-11-11 
確定日 2010-10-27 
事件の表示 上記当事者間の登録第4596070号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4596070号商標の指定商品中、第9類「理化学機械器具,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,救命用具,レコード,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,メトロノーム」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4596070号商標(以下「本件商標」という。)は、「HeartWorks」の欧文字と「ハートワークス」の片仮名文字とを二段に横書きしてなり、平成12年10月19日に登録出願、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,かつら装着用接着剤,つけづめ,つけまつ毛,つけまつ毛用接着剤,歯磨き,家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用漂白剤,洗濯用ふのり,つや出し剤,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,靴クリーム,靴墨,塗料用剥離剤」、第5類「薬剤,歯科用材料,医療用腕環,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,人工受精用精液,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,乳児用粉乳,乳糖,はえ取り紙,ばんそうこう,包帯,包帯液,防虫紙,胸当てパッド」、第8類「手動工具,手動利器,くわ,鋤,レーキ・組ひも機及び靴製造用靴型(手持ち工具に当たるものに限る。),ひげそり用具入れ,ペディキュアセット,マニキュアセット,かつお節削り器,角砂糖挟み,缶切,くるみ割り器(貴金属製のものを除く。),スプーン,フォーク,アイロン(電気式のものを除く。),糸通し器,チャコ削り器,水中ナイフ,水中ナイフ保持具,ピッケル,五徳,殺虫剤用噴霧器(手持ち工具に当たるものに限る。),十能,パレットナイフ,火消しつぼ,火ばし,ピンセット」、第9類「理化学機械器具,測定機械器具,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,眼鏡,加工ガラス(建築用のものを除く。),救命用具,レコード,オゾン発生器,電解槽,ロケット,遊園地用機械器具,スロットマシン,運動技能訓練用シミュレーター,乗物運転技能訓練用シミュレーター,鉄道用信号機,乗物の故障の警告用の三角標識,発光式又は機械式の道路標識,火災報知機,ガス漏れ警報器,消火器,消火栓,消火ホース用ノズル,消防車,消防艇,スプリンクラー消火装置,盗難警報器,保安用ヘルメット,自動車用シガーライター,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,ガソリンステーション用装置,自動販売機,駐車場用硬貨作動式ゲート,金銭登録機,計算尺,硬貨の計数用又は選別用の機械,作業記録機,写真複写機,手動計算機,製図用又は図案用の機械器具,タイムスタンプ,タイムレコーダー,電気計算機,パンチカードシステム機械,票数計算機,ビリングマシン,郵便切手のはり付けチェック装置,ウエイトベルト,ウエットスーツ,浮袋,エアタンク,水泳用浮き板,潜水用機械器具,レギュレーター,アーク溶接機,家庭用テレビゲームおもちゃ,金属溶断機,検卵器,電気溶接装置,電動式扉自動開閉装置,メトロノーム」、第10類「医療用機械器具,氷まくら,三角きん,支持包帯,手術用キャットガット,吸い飲み,スポイト,乳首,氷のう,氷のうつり,ほ乳用具,魔法ほ乳器,綿棒,指サック,避妊用具,人工鼓膜用材料,補綴充てん用材料(歯科用のものを除く。),耳栓,しびん,病人用便器,耳かき」、第11類「あんどん,ガスランプ,石油ランプ,ちょうちん,ほや,工業用炉,原子炉,火鉢類,ボイラー,ガス湯沸かし器,調理台,流し台,加熱器,業務用揚物器,業務用食器乾燥機,業務用炊飯器,業務用煮炊釜,業務用焼物器,業務用レンジ,冷凍機械器具,アイスボックス,氷冷蔵庫,飼料乾燥装置,牛乳殺菌機,乾燥装置,換熱器,蒸煮装置,蒸発装置,蒸留装置,熱交換器,暖冷房装置,便所ユニット,浴室ユニット,美容院用又は理髪店用の機械器具(いすを除く。),太陽熱利用温水器,浄水装置,浴槽類,家庭用浄水器,水道蛇口用座金,水道蛇口用ワッシャー,水道用栓,タンク用水位制御弁,パイプライン用栓,汚水浄化槽,家庭用汚水浄化槽,家庭用し尿処理槽,ごみ焼却炉,し尿処理槽,洗浄機能付き便座,洗面所用消毒剤ディスペンサー,便器,和式便器用いす,あんか,かいろ,かいろ灰,化学物質を充てんした保温保冷具,湯たんぽ」、第12類「船舶並びにその部品及び附属品,航空機並びにその部品及び附属品,鉄道車両並びにその部品及び附属品,自動車並びにその部品及び附属品,二輪自動車並びにその部品及び附属品,自転車並びにその部品及び附属品,乳母車,車いす,人力車,そり,手押し車,荷車,馬車,リヤカー,荷役用索道,カーダンパー,カープッシャー,カープラー,索引車,陸上の乗物用の機械要素,タイヤ又はチューブの修繕用ゴムはり付け片,乗物用盗難警報機,落下傘」、第18類「皮革,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,かばん金具,がま口口金,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,乗馬用具,愛玩動物用被服類」、第20類「家具,貯蔵槽類(金属製又は石製のものを除く。),プラスチック製バルブ(機械要素に当たるものを除く。),カーテン金具,金属代用のプラスチック製締め金具,くぎ・くさび・ナット・ねじくぎ・びょう・ボルト・リベット及びキャスター(金属製のものを除く。),座金及びワッシャー(金属製・ゴム製又はバルカンファイバー製のものを除く。),錠(電気式又は金属製のものを除く。),木製・竹製又はプラスチック製の包装用容器,葬祭用具,荷役用パレット(金属製のものを除く。),養蜂用巣箱,愛玩動物用ベッド,アドバルーン,犬小屋,うちわ,買物かご,額縁,家庭用水槽(金属製又は石製のものを除く。),きゃたつ及びはしご(金属製のものを除く。),工具箱(金属製のものを除く。),小鳥用巣箱,ししゅう用枠,植物の茎支持具,食品見本模型,人工池,すだれ,ストロー,スリーピングバッグ,せんす,装飾用ビーズカーテン,タオル用ディスペンサー(金属製のものを除く。),つい立て,ネームプレート及び標札(金属製のものを除く。),旗ざお,ハンガーボード,びょうぶ,ベンチ,帽子掛けかぎ(金属製のものを除く。),盆(金属製のものを除く。),マネキン人形,麦わらさなだ,木製又はプラスチック製の立て看板,郵便受け(金属製又は石製のものを除く。),揺りかご,幼児用歩行器,洋服飾り型類,美容院用いす,理髪用いす,石こう製彫刻,プラスチック製彫刻,木製彫刻,あし,い,おにがや,きょう木,しだ,すげ,すさ,竹,竹皮,つる,とう,麦わら,木皮,わら,きば,鯨のひげ,甲殻,さんご,人工角,ぞうげ,角,歯,べっこう,骨,海泡石,こはく」、第24類「織物,メリヤス生地,フェルト及び不織布,オイルクロス,ゴム引防水布,ビニルクロス,ラバークロス,レザークロス,ろ過布,織物製テーブルナプキン,ふきん,織物製いすカバー,織物製壁掛け,織物製ブラインド,カーテン,シャワーカーテン,テーブル掛け,どん帳,織物製トイレットシートカバー,遺体覆い,経かたびら,黒白幕,紅白幕,布製ラベル,ビリヤードクロス,のぼり及び旗(紙製のものを除く。)」及び第30類「コーヒー及びココア,コーヒー豆,茶,調味料,香辛料,食品香料(精油のものを除く。),米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用粉類,食用グルテン,穀物の加工品,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,菓子及びパン,即席菓子のもと,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,アーモンドペースト,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,氷,アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,酒かす,ホイップクリーム用安定剤」を指定商品として同14年8月16日に設定登録されたものであり、現に、有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録は、平成21年12月2日にされたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第9号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、継続して3年以上、日本国内において、被請求人、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても、第9類「理化学機械器具,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,救命用具,レコード,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,メトロノーム」について使用された事実がない。
したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定に基づいて、上記指定商品について、その登録を取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)被請求人は、本件商標を取消請求に係る指定商品中の「救命用具」について使用している旨主張しているが、いずれの証拠も本件商標が「救命用具」について使用されていたことを示すものではない。
ア 被請求人が「移乗用ボード」と称している商品は、乙第1号証のホームページ、乙第3号証の1ないし8のカタログにそれぞれ記載された4コマの絵によって示されるとおり、マット状の本体の上に人を寝かせ、取っ手を引き寄せることで人を寝た状態のままベッドから他のところに移動させることができるという機能、用途を有する商品である。そして、このマット状の商品に関して、「看護、介護する方の腰痛を防止し、軽減します。」という効果が宣伝文句として謳われているとおり、看護・介護が必要な人を対象とした商品である。これらを総合的に考慮すると、このマット状の商品は、家具に含まれる介護ベッド用マットレスの一種であって移動用の取っ手付きのもの又は車いすの付属品の一種というべきものである。
イ 被請求人は、「移乗用ボード」と称する商品は「介護用担架」と用途、機能、流通系等を同じくするものであり、「介護用担架」は「救急救命」用の用具として使用されており、救急救命として重視されている旨主張し、加えて、「救命具」は「人名救助に用いる諸種の用具の総称」であるとして、乙第6号証ないし乙第9号証を提出している。
しかし、乙第6号証ないし乙第9号証のホームページや辞書において用いられている「救命」の語が示す広い概念と商標権の権利範囲を判断する基準となる指定商品の表示(「救命用具」)に含まれる「救命」の概念とが完全に一致するものではない。
例えば、被請求人が主張するような広い意味での「救命」の概念には、AED(自動体外式除細動器)を活用した「救命手当て」も含まれるが(甲第3号証)、「類似商品・役務審査基準」に例示されている「除細動器」は、第9類の「救命用具」ではなく、第10類の「医療用機械器具」に該当する商品として分類されている。
また、被請求人は、第9類の「救命用具」に「救命帯」が含まれることを指摘した上で、この「移乗用ボード」と称する商品も人命救助のために人を乗せて運ぶ「帯状」のものという点で「救命帯」と同一の用途を果たすものであるから、第9類の「救命用具」に該当する旨主張している。
しかし、第9類の「救命用具」は、類似商品・役務審査基準において例示列挙された下位概念の商品「救命綱、救命帯、救命胴衣、救命浮標」の特徴に共通するように、危険を伴う作業を行う場合の救命対策等に使用するものであり(例えば、高所での作業時の落下防止対策に使用するロープ、ベルト等が該当する。)、病院・介護施設等に入院している要看護者、要介護者の移動用に用いる被請求人の商品とは、用途、機能はもちろんのこと、求められる品質や需要者の範囲等も異なるものである。
(2)被請求人は、「HeartWorks」がそれ自体で識別力を発揮する態様で表示されている旨主張している。
しかし、カタログや取引書類において「移乗用ボード」と称する商品と具体的関連性をもって表示されている表示は「のせかえくん」の表示である。また、乙各号証の証拠資料(写真、カタログ、納品書等)には、「HeartWorks」の文字が単独で認識される態様では表示されておらず、常に「TAKANO」の文字とともに全体としてまとまりのある態様で表示されており、「HeartWorks」の文字部分のみを独立した商標として認識することは不自然というべきである。
加えて、「ハートワークス」と「HeartWorks」は、いずれも結合語として辞書において定義されている事実は発見できず(甲第4号証ないし甲第6号証)、被請求人もこの種の商品分野において称呼及び観念が一対一に結びつくものであることを示す証拠を示していない。しかも、「ハートワークス」という語からは、様々な英単語の結合語が想起できるから、少なくとも、「ハートワークス」と「HeartWorks」とが観念において同一であるということはできない。なお、登録商標に他の文字を結合させた商標の使用や登録商標の一部の文字部分の使用が登録商標と社会通念上同一の商標の使用と認められなかった審決例(甲第7号証ないし甲第9号証)を答弁に対する弁駁に有利に援用する。
したがって、乙各号証に表された商標は、本件商標とは同一ではなく、本件商標と社会通念上同一のものとも認められない。
(3)以上のとおり、被請求人は、本件商標を本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、取消請求に係る指定商品について使用したものということはできない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第10号証(枝番を含む。)を提出した。
被請求人は、本件審判請求の予告登録前3年以内に、本件商標をその請求に係る指定商品中の「救命用具」について使用している。
1 第1答弁の理由
(1)本件商標の使用者
本件商標の使用者は、本件商標の権利者であるタカノ株式会社である。
(2)本件商標の使用事実
ア 乙第1号証ないし乙第3号証の8には、本件商標と同一性を有する「HeartWorks」がそれ自体で識別機能を発揮する態様で表示されている。
そして、本件商標は、欧文字と片仮名文字からなっているが、商標を使用する者の商慣習として欧文字と片仮名文字よりなる商標の一方のみを使用する場合が多いこと及び「ハートワークス」と「HeartWorks」は称呼、観念において同一であることから、本件商標と使用商標とは、社会通念上同一性を有する商標である。
イ 乙第1号証ないし乙第5号証の3は、被請求人の製造販売に係る「移乗用ボード」に関するものであって、この「移乗用ボード」は、いわゆる「介護用担架」(乙第6号証)と用途や機能、流通系統を同じくするものである。
そして、かかる「介護用担架」は、「救急救命」用の用具として使用されているものであって(乙第7号証)、「介護用担架」は、救命用具として重要視されているものである(乙第8号証)。
ところで、「救命具」は、「人命救助に用いる諸種の用具の総称」(乙第9号証)とされているところ、第9類の「救命用具」には「救命帯」が含まれるとされており、上記「移乗用ボード」も人命救助のために人を乗せて運ぶ「帯状のもの」という点では「救命帯」と同一の用途を果たすものであるから、第9類の「救命用具」に該当するものである。
2 第2答弁の理由
(1)請求人は,乙第1号証ないし乙第5号証の3で本件商標の使用商品としている「移乗用ボード」は、「車いず」又は「家具」に属するものであって、第9類の「救命用具」には属さない旨主張している。
しかしながら,東京高等裁判所昭和57年(行ケ)第67号、昭和60年5月14日判決のように「現行商標法における商品区分は,市場で流通する膨大な種類の商品を商標登録出願に際しての出願人の便宜及び審査の便宜を図るという行政的見地から分類したものであり,もとより,いずれの分類に属するかの判断の極めて困難な商品も存するのみならず,時代の推移とともに右分類のなされた当時には存在しなかった種類の商品が実現することは見易い道理であり,右分類自体,現実の流通市場の実態に合わせるべく改定されできたところであること等を鑑みれば,右分類のいずれか一つに属するとは決し難い商品が出現した場合,不使用取消審判の場で,商品はいずれか一つの分類に属すべきものであって,二つの分類に属することはありえないとするのは相当でなく,登録商標の使用されている当該商品の実質に則して,それが真に二つの分類に属する二面性を有する商品であれば,当該二つの分類に属する商品について登録商標が使用されているものと扱って差し支えないというべきである」としており(同旨:東京高等裁判所平成12年(行ケ)第447号)、乙第1号証ないし乙第5号証の3の「移乗用ボード」が乙第6号証及び乙第7号証にいう「救急救命」のための「コンパクト担架」(乙第8号証)としての機能を発揮するものであることから、上記「移乗用ボード」は、第9類の「救命用具」にも該当するものである。
同様に、請求人が弁駁書で言及している「AED(自動体外式除細動器)」も不使用取消審判の場では、請求人も認めているように「救命手当て」の目的をも有することから、第9類の「救命用具」である。
(2)請求人は、乙第6号証ないし乙第9号証で特定される「救命」の概念と商標権の権利範囲を判断する基準となる指定商品の表示(救命用具)に含まれる「救命」の概念とは完全に一致するものではないこと、そして、第9類の「救命用具」は、「危険を伴う作業を行う場合の救命対策等に使用するものである(例えば、高所での作業時の落下防止対策に使用するロープ、ベルト等が該当する)」として、上記「移乗用ボード」とは、用途、機能はもちろんのこと、求められる品質や需要者の範囲等も異なるというべきである旨主張している。
しかしながら、ニース協定に基づく商品・サービスの国際分類表(第9版)(乙第10号証)では「救命用具」を「Life saving apparatus and equipment」と表現されており、請求人が上記で主張するような「危険を伴う作業を行う場合の救命対策等に使用するもの」に限定されるものではない。そもそも「類似商品・役務審査基準」で表示されている「救命用具」に含まれる「救命綱,救命帯,救命胴衣,救命浮標」等はあくまでも例示列挙であるし、時代の推移とともに分類のなされた当時には存在しなかった種類の商品の出現することは見易い道理で有ることから、請求人の主張は失当である。
(3)以上のとおり、本件商標は、本件審判請求の予告登録前3年以内に、請求に係る商品「救命用具」について使用されていたものであるから、本件審判請求は成り立たない。

第4 当審の判断
1 被請求人は、本件商標を取消請求に係る指定商品中の「救命用具」について使用している旨主張して、乙第1号証ないし乙第10号証を提出しているので、以下、被請求人の提出に係る乙各号証について検討する。
乙第1号証は、2010年1月15日打出しに係る被請求人のホームページ中の「のせかえくん|商品ラインアップ|タカノ ハートワークス」と題するページの写しであり、冒頭部分に「らくらく水平移乗。看護・介護する方の腰痛を予防し、負担を軽減します。」と記載されており、「コンセプト」の項に「らくらく水平移乗 ベッドからの移乗時、抱きかかえたりすることなく、引き寄せるだけで、楽に・簡単に・安全に移乗ができます。」と記載、「移乗時の負担軽減 柔らかいので、敷きこみやすく、取扱も楽です。腰痛を予防し、移乗時の負担を軽減します。」と記載、「主な特徴と機能」の項に「表面には防水加工布、裏面には滑りやすい特殊加工布を使用しております。周辺にある取っ手をもって引き寄せます。」等と記載されている。また、「(1)寝ている方を側臥にして、移乗ボード“のせかえくん”をしきこみます。(2)コンバー2(審決注「ストレッチャー機能付き車いす」のこと)をベッドに横付けし、ベッドの高さを調整し、ロックします。(3)移乗ボード“のせかえくん”の取っ手を2ケ所もちます。(4)取っ手を引きよせ、コンバー2に移乗させます。」と記載されている。上記と同趣旨のことは、乙第3号証の1ないし8の商品カクログにおいても記載されている。
乙第2号証は、「移乗用ボード」の全体写真及び商標が付されている箇所の拡大写真であり、ストラップ部分に別掲(1)のとおりの構成からなる商標(以下「使用商標1」という。)が付されていることが認められる。
乙第3号証の1ないし6は「タカノハートワークスダイジェストカクログ」であり、同号証の7及び8は「タカノハートワークスカクログ」であって、巻末には、乙第3号証の1には「07.01 Vol.8」、乙第3号証の2には「07.05 Vol.9」、乙第3号証の3には「07.06 Vol.10」、乙第3号証の4には「07.10 Vol.11.01」、乙第3号証の5には「08.04 Vol.12.02」、乙第3号証の6には「08.08 Vol.13」、乙第3号証の7には「08.11 Vol.14」、乙第3号証の8には「09.09 Vol.16」なる表示が記載されており、カタログ表紙部分の右肩には、使用商標1が表示されており、下部には、別掲(2)のとおりの構成からなる商標(以下「使用商標2」という。)が表示されている。そして、いずれのカタログにおいても、車いす等の商品とともに「移乗用ボード/のせかえくん」が紹介されており、乙第1号証のホームページにおける写真や説明と同様の写真や説明が掲載されている。
乙第4号証は、「移乗ボード のせかえくん 取り扱い説明書」の表紙部分と認められるものであり、ここにも、その右肩には使用商標1が表示されており、「ごあいさつ」、「お問い合わせは タカノ株式会社・・・」、「各部の名称」が記載されており、「各部の名称」によれば、「移乗ボード のせかえくん」なる商品は、「本体パッド」と称する布状の本体、その本体の上部と左右(10カ所)に設けられた「スライディングハンドル」と称する取っ手及び上部に設けられた「ストラップ」から構成されていることが認められる。
乙第5号証の1ないし3は、「移乗用ボード のせかえくん」に関する注文書及び納品書の写しであり、乙第5号証の1は、2009年7月24日付けで村中医療器株式会社が被請求人に宛てた注文書及び同日付けで被請求人が村中医療器株式会社に宛てた納品書(控)であり、乙第5号証の2は、平成19年1月20日付け(ファックスの日付は07-7-20となっている)で浜医科工業株式会社が被請求人に宛た注文書及び2007年7月23日付けで被請求人が浜医科工業株式会社に宛てた納品書(控)であり、乙第5号証の3は、2009年8月19日付けで村中医療器株式会社が被請求人に宛てた注文書及び同日付けで被請求人が村中医療器株式会社に宛てた納品書(控)であり、いずれにも、品名欄には「移乗用ボード のせかえくん」の記載があり、数量や金額等が記載されており、納品書の被請求人の社名の左側には、使用商標1が表示されている。
乙第6号証は、ANS商事の「担架、ストレッチャー販売。介護、防災、医療用担架・ストレッチャー」を紹介しているウェブページであり、「次世代担架スクープストレッチャー、軽量携帯用折りたたみ担架、万能ソフト担架、介護用担架、入浴担架、救護用担架、車輌搭載用マルチストレッチャー」等の各種の担架について紹介されている。
乙第7号証は、ショップレスキューの「救急救命」に関するウェブページであり、「けが人の搬送・応急手当に必要な用品を厳選しました。防火/防災の責任者の方、救急箱や担架の準備は万全ですか?」と記載、組織用救急箱や担架(4つ折り、2つ折り)と記載されている。
乙第8号証は、小はし商店の「介護担架通販」に関するウェブページであり、「コンパクト担架ってなに?どんな時使うの?」なる表題のもとに、コンパクト担架についての説明が記載されており、介護用具としてばかりでなく、救命用具としても重要視されている旨の商品説明が記載されている。
乙第9号証は、岩波書店発行の広辞苑の「きゅうめい(救命)」の項を抜粋した頁であり、「救命具」の説明として「人命救助に用いる諸種の用具の総称」と記載されている。
2 上記において認定した事実によれば、被請求人は、本件審判の請求の登録(平成21年12月2日)前3年以内である2007年1月ないし2009年9月当時に発行されたものと認められる「タカノハートワークス(ダイジェスト)カクログ」(乙第3号証の1ないし8)において、その表紙等に使用商標1及び使用商標2を表示して、「移乗用ボード のせかえくん」を紹介していたことが認められる。
被請求人の使用に係る使用商標1及び使用商標2は、カタログに掲載されている「移乗用ボード のせかえくん」を含む各種商品についの代表的出所標識と認められるものであり、その構成態様からみれば、「HeartWorks」の欧文字部分もそれ自体独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得ると認められるものである。そして、この使用に係る商標には、本件商標構成中の「ハートワークス」の片仮名文字部分が併記されてはいないが、「ハートワークス」の片仮名文字は、「HeartWorks」の自然な読みに相応するものであり、また、「ハートワークス」の片仮名文字に相応する最も自然な欧文字は「HeartWorks」の欧文字であると認められるから、使用に係る商標は、本件商標と社会通念上同一の商標と認めて差し支えないものということができる。
そして、乙第5号証の1ないし3によれば、被請求人は、2007年7月23日当時に浜医科工業株式会社に対して、2009年7月24日及び2009年8月19日当時に村中医療器株式会社に対して、該「移乗用ボード のせかえくん」を販売したものと認めることができる。
3 しかしながら、「移乗用ボード のせかえくん」なる商品は、以下の理由により、取消請求に係る指定商品中の「救命用具」の範疇に属する商品とは認められない。
上記において認定したとおり、「移乗用ボード のせかえくん」なる商品は、被請求人のホームページ(乙第1号証)の「移乗ボード のせかえくん」の説明にもあるとおり、要介護者をベッドとストレッチャー機能付き車いす等との間で移乗させる際に、抱きかかえたりすることなく、「移乗ボード のせかえくん」を要介護者の下に敷き込んで引き寄せるだけで、楽に・簡単に・安全に移乗させることができる商品であり、看護人・介護者の腰痛を予防し、負担を軽減することを目的に開発された商品と認められるものであり、そのために、素材も柔らかい材質にして表面には防水加工布、裏面には滑りやすい特殊加工布が使用されており、引き寄せ易いように両側で10カ所のスライディングハンドル(取っ手)が設けられているものと認められる(乙第2号証の写真には両側8カ所のものもあるが、乙第3号各証のカタログや乙第4号証の取扱い説明書は全て両側10カ所のものである。)。
そして、乙第1号証、乙第3号証の1ないし8のいずれにも「看護・介護する方の腰痛を予防し、負担を軽減します。」と記載されいることからすると「移乗ボード のせかえくん」なる商品は、専ら看護・介護用に使用するものと、これら乙第1号証、乙第3号証の1ないし8に接する取引者、需要者に認識、把握されるとみるのが自然である。他に「移乗ボード のせかえくん」なる商品が救命用具として取扱われていることを認めるに足りる証左はない。
したがって、上記のような商品の開発目的や商品の用途・機能、使用方法、商品の構造・材質等を併せみれば、「移乗用ボード のせかえくん」なる商品は、例えば、第10類の「医療用機械器具」中の「病院用機械器具」の範疇に属する商品とみるのが相当であり、第9類の「救命用具」の範疇に属する商品とは認められない。
4 被請求人の主張について
(1)被請求人は、「移乗用ボード のせかえくん」は「介護用担架」と用途や機能、流通系統を同じくするものであり、「介護用担架」は救急救命用の用具して重視されている。そして、「救命具」は人命救助に用いる諸種の用具の総称であって、第9類の「救命用具」には「救命帯」が含まれており、「移乗用ボード のせかえくん」も人命救助のために人を乗せて運ぶ帯状のものという点では「救命帯」と同一の用途を果たすものであるから、「移乗用ボード のせかえくん」は第9類の「救命用具」に該当する旨主張している。
しかしながら、「担架」は、商品及び役務の区分第10類の「医療用機械器具」中の「病院用機械器具」の範疇に属する商品として例示されている。そして、「携帯用担架,患者搬送用担架」も第10類の「担架」の範疇に属する商品と認められる。
そして、「移乗用ボード のせかえくん」なる商品は、上記した商品の特徴・構造からみて、人命救助のために人を乗せて運ぶ帯状のものとはいい難いばかりでなく、第9類の「救命用具」に例示されている「救命帯」なる商品は、被請求人が提出している乙第9号証(広辞苑)の「きゅうめい(救命)」の項中の「救命帯」の説明にもあるとおり、「救命胴衣の一種であって、帯のように身体にまきつけるもの」を指称するものであって、人命救助のために人を乗せて運ぶ帯状のものではないから、「移乗用ボード のせかえくん」なる商品が「救命帯」と同一の用途を果たすものであることを前提に、「移乗用ボード のせかえくん」なる商品が第9類の「救命用具」に該当する旨の被請求人の主張は採用できない。
(2)被請求人は、乙第1号証ないし乙第5号証の3の「移乗用ボード」が乙第6号証及び乙第7号証にいう「救急救命」のための「コンパクト担架」(乙第8号証)としての機能を発揮するものであることから、「移乗用ボード」は、第9類の「救命用具」にも該当する旨主張している。
しかしながら、「担架」は、商品及び役務の区分第10類に属する商品であり、「移乗用ボード のせかえくん」なる商品は、要介護者を楽に・簡単に・安全に移乗させることを主な目的に開発されたものであって、該商品が第10類に属する商品であることは、上記認定のとおりである。
そして、被請求人は、「移乗用ボード のせかえくん」について、前記のとおり、専ら看護・介護用の商品と理解される広告、宣伝を行っているものであるから、「移乗用ボード」が「救急救命」のための「コンパクト担架」としての機能を発揮するものであるとしても、それは「移乗用ボード のせかえくん」の購入者が担架に転用した場合の副次的な用途であるとみるべきものである。よって、被請求人の上記主張も採用できない。
そして他に、本件商標が「救命用具」をはじめとする取消請求に係る指定商品について使用されていたことを認めるに足る証拠は提出されていない。
5 まとめ
以上のとおり、被請求人の答弁の全趣旨及び乙各号証を総合的に判断しても、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品のいずれかについて、本件商標の使用をしていたことを証明したものとは認められない。
したがって、本件商標は、その指定商品中の請求に係る指定商品「第9類 理化学機械器具,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,救命用具,レコード,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,メトロノーム」について、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
(1)使用商標1



(色彩については、原本参照)

(2)使用商標2



(色彩については、原本参照)


審理終結日 2010-08-27 
結審通知日 2010-08-31 
審決日 2010-09-14 
出願番号 商願2000-113769(T2000-113769) 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (Z09)
最終処分 成立 
前審関与審査官 半田 正人大森 健司 
特許庁審判長 井岡 賢一
特許庁審判官 末武 久佳
小畑 恵一
登録日 2002-08-16 
登録番号 商標登録第4596070号(T4596070) 
商標の称呼 ハートワークス、ハート 
代理人 黒川 朋也 
代理人 工藤 莞司 
代理人 浅村 肇 
代理人 岡野 光男 
代理人 高原 千鶴子 
代理人 長谷川 芳樹 
代理人 土屋 良弘 
代理人 大塚 一貴 
代理人 浜田 廣士 
代理人 特許業務法人浅村特許事務所 
代理人 浅村 皓 
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