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審決分類 |
審判 全部無効 外観類似 無効としない X16 審判 全部無効 観念類似 無効としない X16 審判 全部無効 称呼類似 無効としない X16 |
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管理番号 | 1226593 |
審判番号 | 無効2009-890124 |
総通号数 | 132 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2010-12-24 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2009-11-17 |
確定日 | 2010-10-22 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第5173650号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5173650号商標(以下「本件商標」という。)は、平成20年1月29日に登録出願、「metro age」の欧文字を横書きしてなり、第16類「印刷物,書画,写真,写真立て,紙類,文房具類,事務用又は家庭用ののり及び接着剤,紙製包装用容器」を指定商品として、同年10月17日に設定登録されたものである。 第2 請求人の主張 請求人は、本件商標の登録は無効とする、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第14号証を提出した。 1 引用商標 (1)登録第1384973号商標(以下「引用商標1」という。)は、「週刊時代」の漢字を横書きしてなり、昭和50年4月3日に登録出願、第26類「新聞、雑誌」を指定商品として、同54年7月31日に設定登録、その後、平成元年9月22日及び同11年3月9日の2回にわたり、商標権の存続期間の更新登録がなされたものである。 なお、引用商標1は、平成21年7月31日に存続期間満了により消滅し、その抹消の登録が平成22年4月7日にされたものである。 (2)登録第1547899号商標(以下「引用商標2」という。)は、「ニューエイジ」の片仮名文字を横書きしてなり、昭和54年6月19日に登録出願、第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同57年11月26日に設定登録、その後、平成4年11月27日及び同14年10月22日の2回にわたり、商標権の存続期間の更新登録がなされ、その後、同年11月6日に指定商品を第16類「紙類,文房具類」とする指定商品の書換登録がされたものである。 (3)登録第4067867号商標(以下「引用商標3」という。)は、「NEW AGE」の欧文字を横書きしてなり、平成7年6月29日に登録出願、第16類「紙類,文房具類」を指定商品として、同9年10月9日に設定登録、その後、同19年5月22日に商標権の存続期間の更新登録がなされたものである。 (4)登録第4380443号商標(以下「引用商標4」という。)は、「プラスチックエイジ」の片仮名文字を標準文字で表してなり、平成11年4月30日に登録出願、第16類「紙類,紙製包装用容器,家庭用食品包装フィルム,紙製ごみ収集用袋,プラスチック製ごみ収集用袋,衛生手ふき,紙製タオル,紙製テーブルナプキン,紙製手ふき,紙製ハンカチ,型紙,裁縫用チャコ,紙製テーブルクロス,紙製ブラインド,紙製のぼり,紙製旗,紙製幼児用おしめ,荷札,印刷物,書画,写真,写真立て,かるた,歌がるた,トランプ,花札,文房具類(「昆虫採集用具」を除く。),昆虫採集用具,事務用又は家庭用ののり及び接着剤,青写真複写機,あて名印刷機,印字用インクリボン,こんにゃく版複写機,自動印紙はり付け機,事務用電動式ホッチキス,事務用封かん機,消印機,製図用具,タイプライター,チェックライター,謄写版,凸版複写機,文書細断機,郵便料金計器,輪転謄写機,印刷用インテル,活字,装飾塗工用ブラシ,封ろう,マーキング用孔開型板,観賞魚用水槽及びその附属品」を指定商品として、同12年4月28日に設定登録されたものである。 (5)登録第4393375号商標(以下「引用商標5」という。)は、「エイジ」の片仮名文字を標準文字で表してなり、平成11年6月3日に登録出願、第9類「電池,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,レコード,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,家庭用テレビゲームおもちゃ」を指定商品として、同12年6月23日に設定登録されたものである。 (6)登録第4956473号商標(以下「引用商標6」という。)は、「時代屋」の漢字を標準文字で表してなり、平成17年11月25日に登録出願、第16類「文房具類,印刷物」を指定商品として、同18年5月26日に設定登録されたものである。 以下、これらを一括していうときは、「引用商標」という。 2 請求の理由 (1)本件商標と引用商標との類否 本件商標は、「metro age」の欧文字からなるものであり、実際の使用態様として、地下鉄の東京メトロ各駅において、無償配布されている情報提供誌に付されているものである(甲第8号証ないし甲第12号証)。 このことから、本件商標「metro age」中の「metro」は、商品の販売地(提供場所)表示であって自他商品の識別力を有する部分は「age」の部分にあり、本件商標は、構成全体の文字より「メトロエイジ」の外に「エイジ」の称呼、観念を生ずる。 ア 本件商標と引用商標1との対比 引用商標1は、「週刊時代」の漢字からなるものであるから、これより「シューカンジダイ」のほかに「ジダイ」の称呼及び観念、「エイジ」の観念をも生ずる。 したがって、本件商標と引用商標1とは、観念「エイジ」共通にするから、両商標は、外観及び称呼の相違を考慮するまでもなく類似する商標である。 イ 本件商標と引用商標2との対比 引用商標2は、「ニューエイジ」の片仮名文字からなるものであるから、これより「ニューエイジ」のほかに「エイジ」の称呼、観念を生ずる。 したがって、本件商標と引用商標2とは、外観が相違するとしても「エイジ」の称呼、観念を共通にする類似の商標である。 ウ 本件商標と引用商標3との対比 引用商標3は、「NEW AGE」の欧文字からなるものであるから、これより「ニューエイジ」のほかに「エイジ」の称呼、観念を生ずる。 したがって、本件商標と引用商標3とは、外観が相違するとしても「エイジ」の称呼、観念を共通にする類似の商標である。 エ 本件商標と引用商標4との対比 引用商標4は、「プラスチックエイジ」の片仮名文字からなるものであるから、これより「プラスチックエイジ」のほかに「エイジ」の称呼を生ずる。 したがって、本件商標と引用商標4とは、外観が相違するとしても「エイジ」の称呼、観念を共通にする類似の商標である。 オ 本件商標と引用商標5との対比 引用商標5は、「エイジ」の片仮名文字からなるものであるから、これより「エイジ」の称呼を生ずる。 したがって、本件商標と引用商標5とは、外観が相違するとしても「エイジ」の称呼、観念を共通にする類似の商標である。 カ 本件商標と引用商標6との対比 引用商標6は、「時代屋」の漢字からなるものであるから、これより「ジダイヤ」のほかに「ジダイ」の称呼及び観念、「エイジ」の観念をも生ずる。 したがって、本件商標と引用商標6とは、観念「エイジ」を共通にするから、両商標は、外観及び称呼の相違を考慮するまでもなく類似する商標である (2)指定商品について ア 本件商標と引用商標1との対比 本件商標の指定商品中、国際分類第9版第16類「印刷物」と引用商標1の指定商品中、旧類第26類「新聞,雑誌」とは、原材料のみならず用途、用法、需要者をも共通にするものであるから、同一又は類似の商品である。 イ 本件商標と引用商標2との対比 本件商標の指定商品中、国際分類第9版第16類「紙類,文房具類」と引用商標2の指定商品中、国際分類第8版第16類「紙類,文房具類」とは、原材料のみならず用途、用法、需要者をも共通にするものであるから、同一の商品である。 ウ 本件商標と引用商標3との対比 本件商標の指定商品中、国際分類第9版第16類「紙類,文房具類」と引用商標3の指定商品中、国際分類第6版第16類「紙類,文房具類」とは、原材料のみならず用途、用法、需要者をも共通にするものであるから、同一の商品である。 エ 本件商標と引用商標4との対比 本件商標の指定商品中、国際分類第9版第16類「印刷物,書画,写真,写真立て,紙類,文房具類,事務用又は家庭用ののり及び接着剤,紙製包装用容器」と引用商標4の指定商品中、国際分類第7版第16類「紙類,紙製包装用容器,印刷物,書画,写真,写真立て,文房具類(「昆虫採集用具」を除く。),事務用又は家庭用ののり及び接着剤」とは、原材料のみならず用途、用法、需要者をも共通にするものであるから、同一の商品である。 オ 本件商標と引用商標5との対比 本件商標の指定商品中、国際分類第9版第16類「写真,写真立て」と引用商標5の指定商品中、国際分類第7版第9類「録画済みビデオディスク及びビデオテープ」とは、用途、用法、需要者を共通にするものであるから、類似の商品である。 カ 本件商標と引用商標6との対比 本件商標の指定商品中、国際分類第9版第16類「印刷物,文房具類」と引用商標6の指定商品中、国際分類第8版第16類「文房具類,印刷物」とは、原材料のみならず用途、用法、需要者をも共通にするものであるから、同一の商品である。 (3)結論 本件商標と引用商標とは、外観が相違するとしても「エイジ」の称呼、観念を共通にする類似の商標であり、その指定商品も同一又は類似する商品である。 したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものであるから、同法第46条第1項第1号により、無効とすべきである。 3 答弁に対する弁駁 (1)本件商標について ア 本件商標は結合商標であること 被請求人は、本件商標について、「メトロ エイジ」で一連の称呼、観念が生じるものであると主張する。 しかしながら、本件商標が、以下の事実より、「metro」の文字と「age」の文字の結合からなる商標であることは、明らかである。 (ア)「metro」と「age」の単語は、それぞれ独立して商標を構成し得る文字であること。 「metro」は、日本語で「地下鉄」の意味を持ち、また、「age」は、日本語で「年齢」もしくは「時代」の意味を持つ(乙第3号証)。 本件商標は、これら独立の意味を持つ二つの文字単語が、結合して構成された商標である。 (イ)「metro」と「age」との間が離れていること。 両単語の間には、「空間」がおかれ、二つの単語から構成されていることが明確にわかるように表示されている商標である。 (ウ)称呼の際、両単語を分けて発音すること。 「metro」と「age」の両単語の間に空間がおかれていることからも、本件商標を見た購読者は、称呼に際しても「メトロ」と「エイジ」の間に一呼吸おいて発音する。 したがって、本件商標を称呼する際、一連によどみなく称呼するのではなく、「エイジ」部分にも、独立して称呼が存在するといえる。 (エ)二つの観念が結合したものであること。 被請求人が、答弁書で述べているように、本件商標は「地下鉄時代、地下鉄の時代」という、「地下鉄」という観念と「時代」という二つの別個の観念が結合して構成された商標である。 被請求人が主張するように、両単語が、強い連結力、親和力を持っていることまでは認められない。なぜなら、「地下鉄」が必ずしもいつも「時代」という単語を呼び起こすものでもなく、被請求人の主張には、合理的根拠がないからである。 以上を総合すると、本件商標は、「metro」と「age」の単語からなる結合商標であるといえる。 イ 「age」部分が本件商標の要部であること 被請求人は、本件商標において、「age」のみが抽出されて認識されることはないと主張する。 しかし、「age」部分が、本件商標の付されたフリーマガジン(以下「本件商品」という。)の購読者に対して、強く支配的な印象を与え、当該部分を持って購読者は、他の雑誌と区別している識別力を持った要部であることは、以下の事実から明らかである。 (ア)東京メトロ駅構内配布の被請求人発行の他雑誌との比較 被請求人は、東京メトロ53駅構内において、2種類のフリーマガジンを、購読者の年代層の違いによってターゲットを分けて、月刊で発刊している。 すなわち、20歳代から30歳代の男女をターゲットとした「metro min」と50歳代後半から60歳代間近の男性をターゲットとした本件商品「metro age」である(甲第13号証)。 駅で雑誌を受け取る購読者は、「min」若しくは「age」の部分において、自分向けのマガジンであるかどうか判断しており、この部分に識別力があることは明らかである。 (イ)東京メトロ駅構内配布の他雑誌との比較 また、乙第7号証より、東京メトロ駅構内では、「TOKYO METRO NEWS」、「BONJOUR! MeTRO」、「東京メトロ沿線だより」、「メトロガイド」、「metropolitana」、「アーバンライフ・メトロ」といった多数のフリーマガジンが発行されていることがわかる。 これらの雑誌には、いずれも「メトロ」若しくは「metro」という文字が入っている。 しかし、購読者は、これらの雑誌タイトルのうち、「メトロ」「metro」部分ではなく、「NEWS」、「BONJOUR」、「沿線だより」、「ガイド」、「politana」、「アーバンライフ」部分を見て、どのような雑誌か判断して受け取っているものであるから、これらの部分に識別力があることは明らかである。 (ウ)一方、「age」との対比において、一般的、普遍的な文字である「metro」部分は、本件商品が、東京メトロ駅構内で配られているという、役務の提供場所を示しているにすぎない(甲第10号証及び甲第12号証)。 この点、被請求人は、単に「地下鉄」だけではどこの地下鉄を意味するのか不明であると述べている。 しかし、かかる被請求人の論理によると、たとえば「銀座」という役務提供場所を用いた商品はすべて、どこの「銀座」か、わからないから、役務提供場所としては認められない、という論理になる。 「metro」の文字は、本件商品が、東京メトロ駅構内で配布されているということを表示するのに十分であり、また、単に当該雑誌の配布場所の表示にすぎないということは、フリーマガジンの購読者において、識別標識としての称呼、観念は「age」部分に比べて、弱いといえる。 以上より、本件商標は、「age」の部分に強い識別力を有しており、当該部分が類似性判断の際の要部にあたるといえる。 ウ 小括 以上より、本件商標は、「metro」の文字と「age」の文字からなる結合商標であり、「age」の部分は、強い識別力を有する要部にあたるものである。 (2)引用商標について ア 引用商標1ないし引用商標4について 被請求人は、引用商標1「週刊時代」、引用商標2「ニューエイジ」、引用商標3「NEW AGE」及び引用商標4「プラスチックエイジ」が、それぞれ一連の称呼となると主張している。しかし、これら引用商標1ないし引用商標4は、以下に示すとおり、いずれも、2つの文字の結合した商標である。 (ア)引用商標1について 引用商標1は、「週刊」と「時代」の部分からなり、それぞれ独立した文字、称呼、観念を持つ両単語から構成された結合商標である。 「週刊」については、雑誌の発行形態を示した形容詞的表現にすぎない。 そして、「週刊」がつく雑誌は他にも「週刊朝日」「週刊現代」などいくつか存在することからしても、「週刊」の部分は、雑誌として一般的な表現にすぎず、「時代」の部分に、他との識別力を有する商標であるといえる。 (イ)引用商標2について 引用商標2は「ニュー」と「エイジ」の部分からなり、それぞれ独立した文字、称呼、観念を持つ両単語から構成された結合商標である。 そして、「ニュー」部分は、抽象的な形容詞の表現にすぎないため、「エイジ」部分に識別力を持つ商標であるといえる。 (ウ)引用商標3について 引用商標3は、「NEW」と「AGE」の部分からなり、それぞれ独立した文字、称呼、観念を持つ両単語から構成された結合商標である。 そして、引用商標2と同様に、「NEW」の部分は抽象的な形容詞の表現にあるから、「AGE」部分に識別力を有する商標であるといえる。 (エ)引用商標4について 引用商標4は「プラスチック」と「エイジ」の部分からなり、それぞれ独立した文字、称呼、観念を持つ両単語から構成された結合商標である。 そして、引用商標4は、「商品の役務の区分並びに指定商品または指定役務」に、プラスチック製のゴミ袋などを指定しているものである。 すると、「プラスチック」部分は、引用商標4を付した商品の性質を表す一般的、形容詞的表現にすぎないといえ、「エイジ」の部分に強い識別力を有する商標であるといえる。 イ 引用商標5について 引用商標5の「エイジ」については、被請求人の述べるとおりである。 ウ 引用商標6について 引用商標6の「時代屋」については、「屋」の部分は、通常商号の一部分として使用される単語であり、特別の意味を持たず、「屋」の部分を除外して、「時代」として、判断すべき商標であるといえる。 (3)本件商標と引用商標の類似について 本件商標は、結合商標であるから、全体観察をもって商標の類比判断をするほかに、識別力を有する要部観察においても、類比判断を行うべきものである。 すなわち、類似性を判断するに当たっては、「メトロエイジ」として判断するだけでなく、「メトロ」部分と「エイジ」部分に分け、識別力を持つ「エイジ」部分のみについても、以下のように、類比判断されるものである。 ア 外観について 被請求人は、両商標が、外観上類似しないと主張する。 しかしこの点、引用商標3の「AGE」部分は、本件商標の要部である「age」部分と、大文字か小文字かの違いしか有さず、外観においてきわめて類似しているといえる。 イ 称呼について 被請求人は、両商標が、称呼において類似しないと主張する。 しかしながら、要部である「エイジ」という称呼は、引用商標2ないし引用商標4の要部並びに引用商標5において使用されており、称呼において一致しているものである。 ウ 観念について 被請求人は、両商標が、観念においても類似しないと主張する。 しかし、被請求人自身認めているように、本件商標の要部である「age」には、「時代」という観念があり、これは、引用商標1ないし引用商標6すべてにおいて用いられている「時代」という観念と一致するものである。 (4)結論 以上を総合すると、本件商標は、「metro」と「age」部分からなる結合商標であり、本件商品が、東京メトロ駅構内で、フリーマガジンとして配布されている実情にかんがみると、「age」の部分に強い識別力を有している商標であるといえる。したがって、類似判断に際しては、当該部分をもって要部観察されるべきものである。そして、「age」部分の要部観察によると、本件商標は、引用商標1ないし引用商標6とその外観、称呼、観念において、類似ないし一致しており、結論として、本件商標と引用商標とは、類似しているといえる。 一方で、被請求人の答弁はいずれも、「メトロエイジ」として一連の称呼であることを前提としているもので、要部観察を行っていないから、合理的理由を有さず、排斥されるべきである。 以上より、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものであるから、同法第46条第1項第1号により、無効とすべきである。 第3 被請求人の答弁 被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第7号証を提出した。 1 被請求人の主張 本件商標は、引用商標に類似するものではないから、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではなく、同法第46条第1項第1号により無効とされるべきものではない。 (1)本件商標について 本件商標「metro age」は、同一書体(フーツラ・デミ・ボールド風の欧文字書体)、同一大きさ、同一間隔で「metro」と「age」の文字間が半文字以下の間隔で横一連に、外観上まとまりよく一体的に表されているので、これより「メトロエイジ」の一連の称呼が生じる。 また、上記「metro」と「age」の語は、共によく知られた英語であって、それぞれ「地下鉄」と「時代、年齢」の意義を有する語(乙第1号証ないし乙第3号証)であるので、本件商標「metro age」は、「地下鉄時代、地下鉄の時代」又は「地下鉄の年齢」と認識され、このように観念されるのが自然である。 (2)引用商標について ア 引用商標1の「週刊時代」は、同一書体(明朝体風の漢字)、同一大きさ、同一間隔で横一連に表示されているので、これより「シュウカンジダイ」の称呼が生じる。 また、この引用商標1の「週刊時代」は、その語の意義どおりに「週刊時代」と観念される。 イ 引用商標2の「ニューエイジ」は、同一書体(太ゴシック体風の片仮名文字)、同一大きさ、同一間隔で横一連に表示されているので、これより「ニューエイジ」の称呼が生じる。 また、この引用商標2の「ニューエイジ」は、その語の英語表示「NEW AGE」の認識の下に、これより「新しい時代、新時代」と観念される。 ウ 引用商標3の「NEW AGE」は、同一書体(ゴシック体の欧文字)、同一大きさ、同一間隔で横一連に、かつ「NEW」と「AGE」の文字間が略半文字の間隔で表示されており、外観上まとまりよく一体的に表されているので、これより「ニューエイジ」の一連の称呼が生じる。 また、この引用商標3の「NEW AGE」は、その語の意義どおりに「新しい時代、新時代」と観念される。 エ 引用商標4の「プラスチックエイジ」は、同一書体(標準文字)、同一大きさ、同一間隔で横一連に表示されているので、これより「プラスチックエイジ」の称呼が生じる。 また、この引用商標4の「プラスチックエイジ」は、その語の意義どおりに「プラスチック時代、プラスチックの時代」又は「プラスチックの年齢」と観念される。 オ 引用商標5の「エイジ」は、同一書体(標準文字)、同一大きさ、同一間隔で横一連に表示されているので、これより「エイジ」の称呼が生じる。 また、この引用商標5の「エイジ」は、その語の英語表示「AGE」の認識の下に、これより「時代」又は「年齢」と観念される。 カ 引用商標6の「時代屋」は、同一書体(標準文字)、同一大きさ、同一間隔で横一連に表示されているので、これより「ジダイヤ」の称呼が生じる。 また、この引用商標6の「時代屋」は、その語の意義どおりに「時代屋」と観念される。 (3)本件商標と引用商標の類否 ア 外観について 両商標は、上記商標の態様からして外観上類似しないことは明らかである。 イ 称呼について 両商標は、上記本件商標について及び引用商標についての項目において述べたように、称呼において類似しない。 ウ 観念について 両商標は、上記本件商標について及び引用商標についての項目において述べたように、観念においても類似しない。 エ 以上述べたように、本件商標は、引用商標とは、外観、称呼及び観念の何れの点においても類似しない。 オ 請求人は、実際の使用態様において、本件商標が地下鉄の東京メトロ各駅において無償配布されている情報雑誌に付されているものであるから、本件商標「metro age」中の「metro」は、商品の販売地(提供場所)表示であって、自他商品の識別力を有する部分は、「age」の部分にある旨主張する。 しかしながら、請求人の主張は、以下述べるごとく理由がない。 確かに、本願商標中の「metro」の部分より「地下鉄」を想起することがあるけれども、そうであるからといって、地下鉄には、東京の地下鉄、大阪の地下鉄、神戸の地下鉄、横浜の地下鉄などと多くの地下鉄が存在し、単に地下鉄と総称したのみでは、どこの地下鉄の販売地(提供場所)を表示するものであるのか不明であって販売地(提供場所)が特定されているわけではないから、「metro」の文字部分をもって商品の販売地(提供場所)を表示するものとはいえない。 また、請求人は、商標「METRO」について出願しており、既に登録されている(乙第4号証)。この商標「METRO」が商品の販売地(提供場所)表示であり自他商品の識別力がないと考えるのであれば、その出願は拒絶されるのが分かっているわけであるから、出願はされなかったはずである。しかし、上記商標「METRO」が登録されているのは、この「METRO」に自他商品の識別力があると判断されたからであると思料する。 なお、商標「METRO」については、その他、商標「Metro/メトロ」や「METRO」等が登録されている(乙第5号証及び乙第6号証)。 したがって、これらの事実に反した請求人の主張は、矛盾したものといわざるを得ない。 さらに、被請求人は、甲第9号証及び甲第11号証に示すように、フリーペーパー(フリーマガジン)を発行しているが、本誌中には、商標「metro age」の表示と共に、その呼称として「メトロエイジ」と一連に表示している。本誌以外にも「METRO」(「metro」)や「メトロ」の文字を含む情報誌として、「TOKYO METRO NEWS/TOKYO METRO INFO」、「BONJOUR!METRO」、「東京メトロ沿線だより」、「メトロガイド」、「metropolitana」、「アーバンライフ・メトロ」等が存在するが、これらの情報誌はそれぞれ一連の名称をもって称呼されており、「METRO」(「metro」)や「メトロ」部分が省略されて呼称されているような事実はない。 これらのことから、本件商標「metro age」は、その「metro」を販売地(提供場所)表示としてこの部分に自他商品の識別力がなく、「age」の部分に自他商品の識別力を有するものではない。 本件商標「metro age」は、上記したように「metro」と「age」の文字が外観上まとまりよく一体的に表示されており、その両文字より「地下鉄時代、地下鉄の時代」の自然な称呼、観念が生じるごとく両文字間が強い連結力、親和力をもって結合されているのであるから、本件商標より、その一方の文字「age」のみが抽出されて認識されるようなことはなく、「metro age」と全体として認識されるものである。 カ また、請求人は、引用商標1及び引用商標6より「ジダイ」の称呼と、「ジダイ」と「エイジ」の観念が生じ、引用商標2ないし引用商標4より「エイジ」の称呼、観念が生じる旨主張する。 しかしながら、上記引用商標についての項目で述べたように、引用商標1ないし引用商標4及び引用商標6からは、請求人が主張するような称呼及び観念は生じない。 上記引用商標を見ても、引用商標4「プラスチックエイジ」と引用商標5「エイジ」は、商標中に「エイジ」の文字を含み、かつ、類似群コード26D01の指定商品が共通しているが、両商標は非類似の商標として登録されている。 また、引用商標2「ニューエイジ」、引用商標3「NEW AGE」と引用商標6「時代屋」は、商標中に「エイジ」、「AGE」、「時代」の文字を含み、かつ、類似群コード25B01の指定商品が共通しているが、両商標は、非類似の商標として登録されている。 さらに、引用商標2「ニューエイジ」、引用商標3「NEW AGE」と引用商標6「時代屋」は、商標中に「エイジ」、「AGE」、「時代」の文字を含み、かつ、類似群コード25B01の指定商品が共通しているが、両商標は、非類似の商標として登録されている。 このように、引用商標が互いに非類似の商標としてそれぞれ独立して登録されているのは、引用商標には請求人が主張するような称呼、観念が生じないと判断されたからである。 2 上記したように、本件商標は、引用商標とは外観、称呼及び観念のいずれの点においても類似するものではなく、相紛れるおそれない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではなく、同法第46条第1項第1号により無効とされるべきものではない。 第4 当審の判断 1 本件商標 本件商標は、「metro age」の文字よりなるものであるところ、その構成は、同じ書体、同じ大きさで表されており、「metro」の文字と「age」の文字の間隔は、半文字程の間隔があるものの、外観上まとまりよく一体的に看取し得るものである。 そして、本件商標の構成中前半の「metro」の文字は、「地下鉄」の意味を有し、後半の「age」の文字は、「時代」の意味を有するいずれも親しまれた英語(新英和中辞典携帯版:株式会社研究社発行)であることから、本件商標は、全体として「地下鉄時代」程の意味合いを想起し、一連の観念をもってまとまりよく一体的に看取し得るものとみるのが相当である。 また、本件商標から生ずると認められる「メトロエイジ」の称呼は、特段冗長なものではなく、よどみなく一連に称呼できるものである。 そして、他に「age」の文字部分のみを抽出して称呼、観念しなければならない特段の事情は見当たらない。 したがって、本件商標は、「メトロエイジ」の称呼のみを生ずるものというべきである。 しかして、請求人は、その構成中の「metro」の文字が「地下鉄」を意味し、商品の販売(配布)場所を示すにすぎないから、本件商標の要部は、「age」の文字にある旨述べているが、上記のとおり、本件商標は、外観、観念、称呼のいずれにおいても、一体不可分の商標と判断すべきものであるから、かかる請求人の主張は採用できない。 2 引用商標 (1)引用商標1は、「週刊時代」の漢字よりなるものであるから、「シュウカンジダイ」の称呼及び「週刊時代」の観念を生ずるものである。 (2)引用商標2は、「ニューエイジ」の片仮名文字よりなるものであるから、「ニューエイジ」の称呼及び「新しい時代」の観念を生ずるものである。 (3)引用商標3は、「NEW AGE」の欧文字よりなるものであるから、「ニューエイジ」の称呼及び「新しい時代」の観念を生ずるものである。 (4)引用商標4は、「プラスチックエイジ」の片仮名文字を標準文字で表してなるものであるから、「プラスチックエイジ」の称呼及び「プラスチック時代」程の観念を生ずるものである。 (5)引用商標5は、「エイジ」の片仮名文字を標準文字で表してなるものであるから、「エイジ」の称呼及び「時代」の観念を生ずるものである。 (6)引用商標6は、「時代屋」の漢字よりなるものであるから、「ジダイヤ」の称呼及び「時代屋」程の観念を生ずるものである。 3 本件商標と引用商標との比較 (1)本件商標と引用商標との外観の類否について 本件商標と引用商標とは、その構成全体から受ける視覚的印象を明らかに異にするものであるから、これらを時と処を異にして離隔的に観察しても、外観において紛れるおそれはないものといわなければならない。 (2)本件商標と引用商標との称呼の類否について 本件商標から生ずる「メトロエイジ」の称呼と引用商標1から生ずる「シュウカンジダイ」の称呼、引用商標2及び引用商標3から生ずる「ニューエイジ」の称呼、引用商標4から生ずる「プラスチックエイジ」の称呼、引用商標5から生ずる「エイジ」の称呼、引用商標6から生ずる「ジダイヤ」の称呼を比較しても、構成音数の相違及び称呼の識別上重要な位置を占める語頭部分の音の相違等により、称呼において紛れるおそれはないものといわなければならない。 (3)本件商標と引用商標との観念の類否について 本件商標から生ずる「地下鉄時代」の観念と引用商標1から生ずる「週刊時代」の観念、引用商標2及び引用商標3から生ずる「新しい時代」の観念、引用商標4から生ずる「プラスチック時代」の観念、引用商標5から生ずる「時代」の観念、引用商標6から生ずる「時代屋」の観念を比較しても、観念上も明確に区別することができることから紛れるおそれはないものといわなければならない。 (4)まとめ 上記のとおり、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても紛れるおそれのない非類似の商標であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものということはできない。 4 むすび 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではないから、同法第46条第1項第1項により、その登録を無効とすることはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
|
審理終結日 | 2010-06-02 |
結審通知日 | 2010-06-04 |
審決日 | 2010-06-15 |
出願番号 | 商願2008-5578(T2008-5578) |
審決分類 |
T
1
11・
263-
Y
(X16)
T 1 11・ 261- Y (X16) T 1 11・ 262- Y (X16) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 田村 正明、庄司 美和 |
特許庁審判長 |
芦葉 松美 |
特許庁審判官 |
渡邉 健司 岩崎 良子 |
登録日 | 2008-10-17 |
登録番号 | 商標登録第5173650号(T5173650) |
商標の称呼 | メトロエージ |
代理人 | 亀川 義示 |
代理人 | 望月 宣武 |