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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) Y03
管理番号 1225188 
異議申立番号 異議2008-685005 
総通号数 131 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2010-11-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2008-02-25 
確定日 2010-07-27 
異議申立件数
事件の表示 国際登録第842258号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 国際登録第842258号商標の商標登録を取り消す。
理由 第1 本件商標
本件国際登録第842258号商標(以下「本件商標」という。)は、「SUCCESS MODEL」の欧文字を書してなり、2004年6月14日にFranceにおいてした商標登録に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して2004年(平成16年)12月1日に国際商標登録出願、第3類「Perfumery goods,perfumes,cosmetics,essential oils,hair lotions,soaps.」を指定商品として、平成19年12月7日に設定登録されたものである。
第2 引用商標
(1)登録第605236号商標(以下「引用商標1」という。)は、「サクセス」の片仮名文字を書してなり、昭和36年11月20日に登録出願、第4類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、昭和38年2月13日に設定登録され、その後、4回にわたり商標権の存続期間の更新がなされ、指定商品については、平成15年4月9日に第3類「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」とする指定商品の書換登録がされたものである。
(2)登録第2138742号商標(以下「引用商標2」という。)は、「サクセス」の片仮名文字と「SUCCESS」の欧文字とを上下二段に書してなり、昭和61年11月20日に登録出願、第4類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成元年5月30日に設定登録され、その後、2回にわたり商標権の存続期間の更新がなされ、指定商品については、平成21年7月8日に第3類「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」とする指定商品の書換登録がされたものである。
(3)登録第4446457号商標(以下「引用商標3」という。)は、「SUCCESS」の欧文字を標準文字で表してなり、平成11年6月11日に登録出願、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,つけづめ,つけまつ毛,かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのリ,歯磨き,家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布」を指定商品として、平成13年1月19日に設定登録されたものである。
以下、これらを併せていうときは、「引用商標」という。
第3 登録異議の申立ての理由(要点)
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第4条第1項第11号又は同第15号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号により取り消されるべきである旨主張し、その理由を要旨以下のとおり述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第91号証(枝番号を含む。)を提出している。
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、「SUCCESS MODEL」の表示からなるところ、その構成から「サクセスモデル」及び「サクセス」の称呼を生じる。引用商標からはいずれも「サクセス」の称呼を生じる。
したがって、両商標は、「サクセス」を共通にする互いに類似の商標である。また、両商標に係る指定商品も同一又は類似である。
(2)商標法第4条第1項第15号について
引用商標は、申立人の商標として広く需要者や取引者に知られているから、引用商標の称呼を含む本件商標がその指定商品に使用された場合、商品の出所について混同を生じるおそれがある。
第4 本件商標に対する取消理由
平成21年10月16日付けで通知した取消理由は、要旨次のとおりである。
(1)引用商標の周知・著名性について
甲各号証によれば、以下の事実が認められる。
申立人は、引用商標に係る「サクセス」及び「SUCCESS」の文字からなる商標を「シャンプー、リンス、シェービングクリーム、ヘアートニック、ヘアースタイリング剤、育毛剤」などの商品に昭和62年から現在に至るまで継続して使用し、これを製造、販売している。
引用商標を使用した商品の広告、宣伝については、主としてテレビ、新聞、雑誌を通して行っている。広告例の一部としては、雑誌では「GORO」「POPEYE」「MENS NON-NO」「文藝春秋」「FINEBOYS」「Tarzan」「日経ビジネス」「DIME」「週刊ポスト」などに掲載されている(甲第14号証ないし甲第29号証)。
また、甲第32号証ないし甲第35号証の「広告取扱証明書」によれば、花王株式会社が同社の商品「サクセス」に関して、2002年4月から2008年1月までの期間にテレビ、ラジオ、新聞、雑誌媒体において行った広告宣伝の総額が株式会社電通、株式会社博報堂、株式会社I&S BBDO及び株式会社大広によって証明されている。
そして、各社による広告宣伝の総額は、株式会社電通が4,435,828千円、株式会社博報堂が1,528,209千円、株式会社I&S BBDOが1,534,879千円、株式会社大広が346,750千円、株式会社アサツーディ・ケイが155,011千円であり、その総額はおよそ6年間で約76億5千万円にも及ぶものである。
なお、テレビの宣伝広告における具体的なテレビコマーシャル(CF)の例として甲第37号証ないし甲第55号証が提出されている。
甲第76号証及び甲第77号証ないし甲第85号証は、株式会社マーケティング・リサーチ・サービスが行った(旧)東京都庁を中心とする首都圏30Kmに居住する「12?69才の男性個人」を調査対象者とする「メンズプロダクト」(発毛・育毛・養毛剤、シャンプー、リンス、顔の肌のお手入れ品など)商品のベンチマーク調査である。
該調査結果によれば、商品「サクセス」の知名率は、2003年5月は67.5%、2003年10月は72.1‰、2004年5月は68.6%、2005年5月は74.3%、2005年10月は74.9%、2006年5月は81.7%、2006年10月は85.2%、2007年5月は80.6%、2007年10月は85.9%であり、他のメンズ商品と比べても、高い知名率をもっていることが窺える。
以上によれば、引用商標は、申立人が自己の製造販売する「シャンプー、リンス、シェービングクリーム、ヘアートニック、ヘアースタイリング剤、育毛剤」などの商品に昭和62年から現在に至るまで継続して使用されるとともに、多量の広告、宣伝を行ってきたことが認められ、遅くとも本件商標の登録出願がなされた平成16年12月1日前には、化粧品などの取引者、需要者の間に申立人の取り扱いに係る商品の出所を表示する商標として広く知られるようになっていたというのが相当である。
(2)本件商標の商標法第4条第1項第15号の該当性について
本件商標は、「SUCCESS MODEL」の欧文字よりなるところ、その構成中の「SUCCESS」の文字部分は、「成功、成功したもの」を意味する英語であり、また、「MODEL」の文字部分は、「手本、模範、鑑(かがみ)、規範、(比較の)基準となるべきもの、模型、原型、ひな型、見本模型、見本、(芸術作品の)モデル、題材、ファッションモデル」などを意味する英語(ともに「プログレッシブ英和中辞典」)であって、両語は、我が国において一般的によく知られているものである。
しかしながら、該「SUCCESS MODEL」の語は、その構成文字全体をもって既成語とされるものでなく、特定の意味合いを有するものでもない。また、「MODEL」の文字は、多くの意味合いを有するものであって、さらに、商品の「原型、ひな型、見本」といった意味合いとして理解した場合には、該語は、識別力の極めて弱い語として認識されることからすると、「SUCCESS」の語と「MODEL」の語とを常に一体不可分のものとして認識しなければならないとする事情は認められない。
他方、引用商標は、上記2のとおり、「サクセス」及び「SUCCESS」の文字よりなるところ、これよりは、「サクセス」の称呼が生ずるものであり、また、両文字は、申立人に係る前記商品のブランド名として長きにわたって使用されており、周知・著名な商標となっていることから、上記した文字固有の意味合いの他に、「申立人の使用する著名商標」という程の観念を生ずるものというのが相当である。
そうすると、本件商標の構成中「SUCCESS」の文字部分は、申立人の取り扱いに係る商品の出所を表示するものとして周知・著名となっている引用商標の欧文字「SUCCESS」と綴り字が同一の構成であり、称呼及び観念においては、引用商標と「サクセス」の称呼を同一にし、「申立人の使用する著名商標」の観念を同一にするものである。
そして、本件商標の指定商品と引用商標の使用に係る「シャンプー、リンス、シェービングクリーム、ヘアートニック、ヘアースタイリング剤、育毛剤」等の商品は、その取引者及び男性を主とする需要者において共通し、販売場所も化粧品店やドラッグストアーなどで共通することが多く、用途も頭髪ケア、美容などを目的とする点において密接な関連を有していると認められるものである。
以上を総合すると、本件商標は、その構成中に、他人が使用する周知・著名な引用商標の欧文字「SUCCESS」と構成を同一にし、「サクセス」の称呼及び「申立人の使用する著名商標」の観念を同一にする「SUCCESS」の文字を有するものであり、その使用する商品も引用商標を使用している商品と需要者層や販売場所の共通性及び用途との密接な関連性を有するものであるから、これをその指定商品に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、その構成中の「SUCCESS」の文字部分に着目して、周知・著名となっている引用商標を連想、想起し、該商品が申立人又は同人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれがあるものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、その登録を取り消すべきものである。
第5 商標権者の意見
商標権者は、上記第4の取消理由に対して、指定した期間内に意見を述べるところがない。
第6 当審の判断
本件商標についてした先の取消理由は妥当なものと認められる。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものといわざるを得ないから、本件商標の登録は、商標法第43条の3第2項により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2010-03-05 
審決分類 T 1 651・ 271- Z (Y03)
最終処分 取消  
前審関与審査官 澤里 和孝内田 直樹 
特許庁審判長 佐藤 達夫
特許庁審判官 井出 英一郎
野口 美代子
登録日 2004-12-01 
権利者 GUERLAIN S.A., Societe Anonyme
商標の称呼 サクセスモデル 
代理人 達野 大輔 
代理人 宇野 晴海 
代理人 関根 秀太 

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