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審決分類 審判 全部申立て   
審判 全部申立て  登録を維持 
審判 全部申立て   
審判 全部申立て   
管理番号 1225174 
異議申立番号 異議2010-900056 
総通号数 131 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2010-11-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2010-03-04 
確定日 2010-09-21 
異議申立件数
事件の表示 登録第5283143号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5283143号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5283143号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成21年3月2日に登録出願、第3類「香水,その他の化粧品,香料類」を指定商品として、同年10月14日に登録査定、同年11月27日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)の引用する登録第4608351号商標(以下「引用商標」という。)は、「SENSUOUS」の欧文字と「センシアス」の片仮名を上下二段に横書きしてなり、平成13年12月12日に登録出願、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」を指定商品として、平成14年9月27日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

3 登録異議申立ての理由
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標は「Very Sensuous」の文字を装飾された書体で書してなるところ、本件商標の要部は「Sensuous」にあり、本件商標は「Sensuous」と省略して認識、称呼され得るから、本件商標は引用商標と類似し、商標法第4条第1項第11号に該当する。
イ 本件商標の要部について
「Very」は「とても」「大変」「まさに」等を意味する語で、その後に続く形容詞を強調する語である。たとえば、「Very Good(大変良い)」は「Good(良い)」を強調し、「Very hard(とても一生懸命な)」は「Hard(一生懸命な)」を強調する。このように、「Very」はその後に続く語をさらに強める役割を有するにすぎない。このような強調語は、「Super」などと同様で、それ自体で特定の観念を有さないことから、識別力がなく、その語単独で商標の要部となることはできない。
本件商標「Very Sensuous」は、上記「Very」のほかに「Sensuous」の語を有し、この語は「感覚的な、五感に訴える」等の意味を有する形容詞である。上述のように「Very」はその後に続く形容詞(本件商標の場合「Sensuous」)を強調するにすぎない語であるから、本件商標の要部は、「Sensuous」である。
ウ 引用商標の要部について
引用商標は「SENSUOUS/センシアス」からなり、「センシアス」は「SENSUOUS」の振り仮名であることから実質的に一語の商標と言える。そして「SENSUOUS」は上述のとおり「感覚的な、五感に訴える」等の意味を有し、指定商品との関係で商品の特定の品質、機能を表示する語とまでは言えないことから十分に識別力を有し、引用商標の要部は商標全体の「SENSUOUS/センシアス」である。
エ 本件商標と引用商標の類否について
上記イ、ウのとおり、本件商標の要部と引用商標の要部は同じく「Sensuous」である。よって、本件商標と引用商標に接した需要者、取引者は、両商標を同じく「センシアス」と認識、称呼し、本件商標と引用商標は、称呼上および観念上互いに類似する商標である。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第10号及び同第15号について
ア 引用商標「SENSUOUS/センシアス」は、使用権者であるエスティ ローダー株式会社(以下「エスティローダー社」という。)により「香水」について継続使用され、需要者によく知られ一定の業務上の信用を有するものであり、引用商標と類似し、かつ、引用商標の商品と同一又は類似の商品に使用する本件商標は商標法第4条第1項第10号に該当する。さらに、他人(エスティローダー社)の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがあるから、商標法第4条第1項第15号に該当する。
イ 引用商標の周知性および混同のおそれについて
甲第3号証ないし甲第5号証に見られるように、引用商標は、これを付した商品が百貨店等の大規模量販店で販売され、かつ、その販売者が化粧品会社として周知著名なエスティローダー社であることも相侯って、需要者、取引者によく知られ、一定の業務上の信用を獲得している。このような引用商標と類似する本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。また、本件商標の使用は、引用商標を使用する他人(エスティローダー社)に係る商品と混同を生ずるおそれがあり、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標は、引用商標と同一又は類似であって、その商標に係る商品と同一又は類似の商品に使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当するものであり、また、本件商標は、需要者、取引者によく知られた引用商標と同一又は類似であって、その商標に係る商品と同一又は類似の商品に使用するものであるから、同法第4条第1項第10号に該当し、さらに、本件商標は、他人(エスティローダー社)に係る商品と混同を生ずるおそれがあるから、同法第4条第1項第15号に該当し、取り消されるべきものである。

4 当審の判断
(1)引用商標の周知・著名性について
申立人の提出に係る甲各号証によれば、以下の事実が認められる。
ア 甲第3号証は、阪急百貨店においてエスティローダー社の香水「SENSUOUS」が発売されていることを示すチラシの写しであり、「日本初上陸の、洗練された香りを手に入れて!」、「海外では昨秋から発売となり、人気を博しているエスティ ローダーの新しいフレグランス『センシュアス』。・・・阪急うめだ本店だけで購入できるチャンス、・・・」、「・・・センシュアス オーデ パフューム スプレィ 30ml \6,300(9月3日?阪急うめだ本店限定発売)」などの記載とともに、容器に「ESTEE LAUDER/SENSUOUS」の表示がなされている香水の写真が掲載されている。しかしながら、チラシの発行年月日、配布数量などは見あたらない。
イ 甲第4号証は、伊勢丹百貨店においてエスティローダー社の香水「センシュアス」が発売されていることを示すチラシ写しであり、1枚目の左下に、「ISETAN」、右下に「2009 10.21 WED START!」の記載は判読できるが、その余の文字は不鮮明のため判読できない。2枚目の左中央に「ESTEE LAUDER/エスティーローダー」、右上には「クリスマスになると世界中のコレクターが楽しみにしているのが(エスティローダー)の練香水。・・・特に、センシュアス フラタリング ドラゴンフライは、伊勢丹新宿店でしか手に入らない一品です。・・・ センシュアス フラタリング ドラゴンフライ37,800円・・・(すべて11月6日(金)数量限定発売) ・・・新宿店限定」などの記載とともに練香水の容器と思われる写真が掲載され、右下には「ISETAN BEAUTY GUIDE 47」の記載がある。
ウ 甲第5号証は、1枚目の左上に「2009年 Oggi 10月号別冊付録 阪急うめだ本店特別企画」と記載された書面の写しであり、「9月3日(木)阪急うめだ本店 建て替え一期棟 オープン!」などの記載がある。2枚目には、左上に手書きで「2008年PRリリース」と記載され、その下に「練香水 全9点 11月7日(金)限定発売」、左下には「センシュアス ホリデー トリート」、右下に「センシュアス アンティーク トレイン(アンティークな蒸気機関車)」、その下に「センシュアス:今秋、世界でセンセーショナルに登場した日本未発売の香り。・・・」の記載とともに商品の写真が掲載されている。そして、左下には「6」、右下には「7」の記載がある。3枚目には、左上に手書きで「2009年PRリリース」と記載され、右上には「練香水」、「11月6日(金)限定発売」、右下には「センシュアス ブリリアント ブルーム(煌めく美しき花)」などの記載とともに、商品の写真が掲載されている。そして、左下には「5」、右下には「6」の記載がある。
エ 以上の事実からすれば、2009年(平成21年)10月ころにエスティローダー社の練香水「センシュアス フラタリング ドラゴンフライ」について広告され、11月6日に発売されたことが推認できる(上記イ)ものの、甲第3号証は発行年月日、配布数などは明らかでなく、また、甲第5号証は、2枚目が6頁、7頁であり、3枚目が5頁、6頁であることから、1枚目ないし3枚目の関係が不明確であり、他に引用商標の使用に関する事実を立証する証拠の提出はない。
そうとすれば、申立人の提出した証拠からは、引用商標が、本件商標の登録出願の日前に、及び登録査定時において、「香水、練香水」についてエスティローダー社の業務に係る商品を表示するものとして我が国の需要者の間に広く認識されていたと認めることはできない。
(2)商標法第4条第1項第11号の該当性について
ア 本件商標について
本件商標は、別掲のとおり、「Very Sensuous」の文字からなるものであり、「Very」の語と「Sensuous」との間に一文字分程度の間隔があるものの、薄茶色を配した文字で同じ書体、大きさで表され、全体として円弧状に一体感をもって配され、構成文字全体から生ずる「ベリーセンシ(シュ)アス」の称呼も、格別冗長というべきものでなく、よどみなく、一連に称呼し得るものである。そして、本件商標は、その構成中の「Very」の文字が、「非常に、たいへん、とても」などの意味を有する我が国において良く知られた英語であるとしても、かかる構成においては、全体が一体不可分のものとして認識されるとみるのが相当である。
さらに、本件商標は、これに接する取引者、需要者が殊更「very」の文字部分を捨象し「Sensuous」の文字部分のみをもって取引に資すると見なければならない特段の事情も見いだせない。
そうとすれば、本件商標は構成文字全体が一体不可分のものであって、「ベリーセンシ(シュ)アス」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものといわなければならない。
イ 引用商標について
引用商標は、「SENSUOUS」の欧文字と「センシアス」の片仮名を上下二段に横書きしてなるところ、「センシアス」の片仮名は「SENSUOUS」の欧文字の称呼を特定したと解されるものであり、「SENSUOUS」の文字部分は、「感性に訴える、感性の鋭い」などの意味を有する英語であるが、我が国において親しまれた語とはいえないから、構成全体として「センシアス」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
ウ 本件商標と引用商標との類否について
本件商標から生ずる称呼「ベリーセンシアス」と引用商標から生ずる称呼「センシアス」とを対比すると、両者は、語頭において「ベリー」の音の有無という明らかな差異を有するので十分聴別することができ、互いに相紛れるおそれがない。また、本件商標から生じる「ベリーセンシュアス」の称呼は、引用商標の称呼と、より相違する。
本件商標と引用商標とは、外観において、「Very」及び「センシアス」の各文字の有無の差異を有するので十分区別することができ、観念においては共に特定の観念を生じないものであるから比較することができない。
したがって、本件商標と引用商標とは、称呼、外観及び観念のいずれの
点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。
(3)商標法第4条第1項第10号の該当性について
引用商標が周知のものと認められないこと上記(1)のとおりであり、また、上記(2)のとおり本件商標と引用商標とは、称呼、外観及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当するものではない。
(4)商標法第4条第1項第15号の該当性について
引用商標が周知のものと認められないこと上記(1)のとおりであり、また、上記(2)のとおり本件商標と引用商標とは、称呼、外観及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標であるから、本件商標はこれをその指定商品に使用したとしても、これに接する取引者・需要者をして引用商標又はエスティーローダー社を想起又は連想して、当該商品をエスティーローダー社又は同社と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものといわなければならない。
(5)結論
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号、同第11号及び同第15号の規定に違反してされたものでないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲 本件商標(登録第5283143号)




(色彩については、原本を参照されたい。)


異議決定日 2010-09-02 
出願番号 商願2009-14557(T2009-14557) 
審決分類 T 1 651・ 271- [N/A] ()
T 1 651・ 263- [N/A] ()
T 1 651・ 25- Y ()
T 1 651・ 262- [N/A] ()
最終処分 維持  
前審関与審査官 前山 るり子 
特許庁審判長 森吉 正美
特許庁審判官 小畑 恵一
瀧本 佐代子
登録日 2009-11-27 
登録番号 商標登録第5283143号(T5283143) 
権利者 株式会社メイクアップ
商標の称呼 ベリーセンシアス、ベリーセンシュアス、ベリー、センシアス、センシュアス 
代理人 向口 浩二 
代理人 森田 俊雄 
代理人 深見 久郎 
代理人 竹内 耕三 

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