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審判番号(事件番号) データベース 権利
不服201028413 審決 商標
不服201120454 審決 商標
不服200811461 審決 商標
不服201127665 審決 商標
不服2012422 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 商4条1項18号他 団体商標 取り消して登録 X31
管理番号 1225137 
審判番号 不服2009-12251 
総通号数 131 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2010-11-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-07-06 
確定日 2010-10-29 
事件の表示 商願2008-3912拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
理由 第1 本願商標
本願商標は、「淡路島たまねぎ」の文字を標準文字で表してなり、第31類「淡路島産のたまねぎ」を指定商品として、平成20年1月23日に地域団体商標として登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標が、出願人(全国農業協同組合連合会。《以下「全農」という。》)又はその構成員(以下『出願人等』という。)の業務に係る商品を表示するものとして、周知性を獲得していたと認めることはできない。また、出願人の出荷量からすると、商品『淡路島産のたまねぎ』の総出荷量のうちの46%を、出願人以外の者が出荷しているといえるものであり、そして、『淡路玉葱商業協同組合』の構成員等によって、本願商標『淡路島たまねぎ』が使用されている状況が確認できることからすれば、本願商標が、出願人等の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。したがって、本願商標は、商標法第7条の2第1項の要件を具備しない。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 手続の経緯
本件は、前記第2の理由を不服とし、平成21年7月6日に請求された審判事件であるところ、その請求より前の同年6月22日に、出願人名義変更届が提出され、淡路玉葱商業協同組合(以下「玉葱商業組合」という。)が本願の共同出願人となった(以下、出願人と玉葱商業組合を合わせて「請求人」という。)ものである。
そして、当合議体は、請求人に対し、同22年2月25日付けの審尋及び同年4月16日の口頭審理において、本件についての論点整理を行うとともに、提出された証拠の釈明及び追加の資料(証拠)の提出を求めた。
(なお、同20年1月24日、同年9月8日及び同21年7月6日付け手続補足書並びに同年8月24日付け上申書により提出された資料については、提出日順に甲第1号証から甲第37号証とすることを確認した。)
これに対し、請求人は、同22年5月10日付け上申書及び同月12日付け手続補足書並びに同年6月1日付け及び同年9月28日付けの上申書により、審尋に対する回答及び「淡路島産のたまねぎ」(以下「使用商品」という。)のほとんどを請求人が取り扱っているものであることの証拠として、甲第38号証ないし甲第44号証を提出した。なお、甲第34号については差し替えされている。

第4 当審の判断
1 本願商標の商標法第7条の2第1項該当性について
本願商標は、前記第2のとおり、出願人等の商標として周知性を獲得しているとは認められないこと、及び出願人等以外の者が、淡路島産のたまねぎの総出荷量のうちの46%を出荷し、かつ、「玉葱商業組合」の構成員等による本願商標の使用の事実が確認できること等をもって、いわゆる周知性の要件を具備しないとの理由により拒絶されたものであるが、前記第3のとおり、出願人以外の出荷者であった「玉葱商業組合」は、本願商標の共同出願人となったため、「玉葱商業組合」及びその構成員が、本願商標を使用していることをもって、商標法第7条の2第1項の要件を具備しないとはいえないものとなった。
そこで、本願商標が使用をされた結果、請求人又はその構成員(以下「請求人等」という。)の業務に係る商品を表示するものとして需要者(例えば、兵庫県及びその隣接府県に及ぶ程度)の間に広く認識されているか否かについて検討する。

(1)請求人等による本願商標「淡路島たまねぎ」の使用について
ア 使用している商標及び商品
(ア)請求人のうち「全農」の構成員である「淡路日の出農業協同組合」(以下「JA淡路日の出」という。)のホームページの写し(甲第9号証)及び出荷用ダンボール箱の写真の写し(甲第13号証(ダンボール箱の側面に「JA淡路日の出」の記載があるもの)及び甲第14号証(ダンボール箱の側面に全農の構成員である「あわじ島農業協同組合」(以下「JAあわじ島」という。)の記載があるもの))、並びにパンフレット(甲第15号証)、ポスター(甲第17号証)、レッテル(段ボール箱に入れる荷札:甲第18号証)に、本願商標とともに「JA淡路日の出」又は「JAあわじ島」の文字が使用されている。
なお、「JA淡路日の出」及び「JAあわじ島」が、使用商品の出荷において、本願商標が付された前記段ボール箱を使用していることは、請求人の主張及びそれぞれのホームページから確認することができる。
(イ)請求人と取引者の間で使用される「青果物送り状」の写し(甲第2号証及び甲第7号証)には、「JA淡路日の出」又は「JAあわじ島」の文字と、品名欄に本願商標が記載されている。
(ウ)平成22年5月10日付け手続補足書(以下「5月10日補足書」という。)で提出された写真の写し(甲第38号証)によれば、「玉葱商業組合」の構成員が使用する使用商品の出荷用ダンボール箱に、本願商標が使用されていることが認められる。
(エ)上記(ア)ないし(ウ)によれば、本願商標は、請求人等によって、使用商品について使用されていたと認められる。
イ 使用開始時期、使用期間
「青果物送り状」の写し(甲第2号証)には、品名として本願商標が使用され、その出荷日は平成19年12月1日から同月9日までのものと認められる。
また、広告の事実を証明する書面(甲第32号証)によれば、平成20年7月、8月及び同21年5月にテレビやラジオのスポット放送による本願商標を使用した広告が行われていたことが確認できる。
そうすると、本願商標は、遅くとも平成19年12月頃から、使用商品に関する取引書類(青果物送り状)に使用され、その後も、定期的にテレビやラジオにより、広告が行われていたと認めることができる。
ウ 使用地域
「青果物送り状」の写し(甲第2号証)並びに「青果物販売明細書兼送金明細書」及び「農協別出荷実績(日別)」の写し(甲第6号証及び甲第8号証)によれば、「JAあわじ島」及び「JA淡路日の出」は、「大阪中央青果」、「尼崎中央青果」、「神戸中央青果」、「京都青果合同」、「滋賀びわ湖青果」、「京都南部青果」、「奈良中央青果」、「岐阜中央青果」、「東京新宿ベジブル」及び「東京千住青果」等の卸売業者等に使用商品を出荷し、その際に本願商標を使用していることが認められる。
さらに、「JAあわじ島」が開設するホームページ(甲第10号証)中の「淡路島たまねぎ 販売協力店」の項目から、「あわじ島農協の淡路島たまねぎを積極的に販売していただいているお店です。」として、兵庫県内の店舗のほか、大阪府、京都府、奈良県、愛知県及び東京都を住所とする店舗名及び住所が記載されていることが確認できる(http://www.ja-awajishima.or.jp/info/b04/Tamanegi_shop.html)。
以上によれば、本願商標を使用した請求人等の使用商品は、請求人が所在する兵庫県内にとどまらず、大阪府等の隣接する府県並びに東京にも及ぶ範囲で取引されていることが認められる。
エ 使用商品の生産及び販売量
「農林水産関係市町村別データ」(甲第43号証)によれば、平成20年度の兵庫県淡路島で生産されたたまねぎの出荷(販売)量は、97,830トンであるところ、農協別販売実績表(甲第40号証)によれば、このうちの約65,453トンが、「JAあわじ島」及び「JA淡路日の出」による販売(直販を含む)であることが確認でき、また、「玉葱商業組合」の各構成員の報告書(甲第39号証)によれば、出荷(販売)量のうちの、31,267トンが、「玉葱商業組合」の構成員37名の内の35名により販売されていることが確認できる。
したがって、両者を合わせた販売量は、96,620トンとなり、請求人等による使用商品の販売量は、使用商品の総販売量の約98.9%を占めるものとなる。
また、平成22年9月28日付け上申書で提出の、「2005年農林業センサス兵庫県」によれば、淡路地域における農家数は、11,193戸と認められ、また、平成20年版の「都道府県農業協同組合名鑑」(甲第35号証)によれば、淡路地域の農協である「JAあわじ島」及び「JA淡路日の出」の組合員戸数の合計が14,611戸であることからすれば、それぞれの集計年が違うことを考慮しても、淡路地域の農家のほとんどが「JAあわじ島」及び「JA淡路日の出」の組合員であることが推認でき、使用商品は、その生産量のほとんどを「JAあわじ島」及び「JA淡路日の出」の構成員が生産しているものとみて差し支えないものといえる。
以上のことからすれば、使用商品は、そのほとんどを請求人の構成員が生産し、かつ、総販売量の約98.9%を請求人の構成員が販売しているものといえる。
オ 広告宣伝の方法及び回数及び内容
(ア)テレビ及びラジオにおけるコマーシャルについて
2008年(平成20年)7月、8月及び2009年(平成21年)5月に「JAあわじ島」が広告主となった「淡路島たまねぎ」についてのテレビ及びラジオのコマーシャルが行われ、その放送地域については、ラジオコマーシャルは、近畿地方(甲第20号証)及び関東地方(甲第21号証)、そして、テレビコマーシャルは、近畿地方(甲第24号証)であって、その内容は、テレビコマーシャルの画面上に、たまねぎの画像及び本願商標「淡路島たまねぎ」及び「あわじ島農協」の文字が表示されるものであること、及び、ラジオコマーシャルは「淡路島たまねぎ」のナレーションを含むものであることが認められる(甲第22号証及び甲第23号証)。
そして、コマーシャルの放送回数は、ラジオスポット放送確認書(甲第20号証及び甲第32号証)によれば、大阪市所在の朝日放送株式会社及び東京都所在の株式会社ニッポン放送を合わせ、2008年7月及び8月には月に60回以上放送され、また、2009年5月にも35回放送されていたことが確認でき、また、テレビコマーシャルも、2008年7月及び8月にそれぞれ17回放送されたことが確認できる。
(イ)インターネットのウェブページについて
「JA淡路日の出」及び「JAあわじ島」がそれぞれ開設するホームページには、「淡路島たまねぎ」の説明あるいは収穫風景等が紹介され、また、該ホームページから、使用商品の注文ができるようになっていることが確認できる(甲第9号証及び甲第10号証)。
また、全農の一部署(都道府県単位の部署の一)と認められる「全国農業協同組合連合会兵庫県本部」(以下「JA全農兵庫」という。)のホームページ写し(甲第36号証)には、「『淡路島たまねぎ』を地域団体商標登録を出願中」との記載がされている。
さらに、「淡路島たまねぎ.net 淡路島たまねぎ紹介サイト」と表示された項目からは、「淡路島たまねぎ」を使った料理レシピが紹介され、また、サイト利用者向けのキャンペーンの結果報告及び「淡路島たまねぎ」の街頭無料配布の結果報告が確認できる。
そして、職権による調査によれば、「淡路島たまねぎ.net 淡路島たまねぎ紹介サイト」は、当該ホームページの「サイトご利用にあたって」の記載からして、上記JA全農兵庫が運営管理を行っているものと認められる。
(ウ)その他の宣伝広告について
上記(イ)に記載の「淡路島たまねぎ.net 淡路島たまねぎ紹介サイト」によれば、JA全農兵庫は、2009年6月22日に兵庫県内において、「淡路島たまねぎ」を街頭で配布し、アンケートを回収するという宣伝広告を行っている。
また、本願商標とともに「JA淡路日の出」あるいは「JAあわじ島」の文字が使用されている「リーフレット」(105,000枚、甲第15号証及び甲第16号証)、「ポスター」(100枚、甲第17号証及び甲第19号証)及び「レッテル」(100,000枚、甲第18号証及び甲第19号証)が作成されており、これらの配布、掲示等により宣伝広告を行っていることが推認できる。
カ 小括
以上の証拠及び職権による調査の結果を総合してみると、本願商標は、遅くとも平成19年12月頃から、請求人等によって、使用商品に使用されており、また、請求人等により、近畿圏、関東圏といった大都市圏でのテレビ及びラジオにおけるコマーシャルの放送、インターネットのウェブページ上での宣伝、並びに、街頭における宣伝、印刷物の作成(配布)等が行われたことによって、本願商標は、請求人等の業務に係る商品を表示するものとして一定範囲の需要者(兵庫県及びその隣接府県に及ぶ程度の需要者)の間に広く認識されるに至っているものと認められる。

(2)他人による「淡路島たまねぎ」の標章の使用について
原審における拒絶理由通知書において、「出願人等以外にも『淡路島たまねぎ』の標章を使用して商品『淡路島産のたまねぎ』を生産・販売している者が存在する」として、以下の者があげられているため、この点について検討、判断する。
ア 「淡路島 里農園」については、そのホームページ上に店長の名が表示されているところ、5月10日補足書で提出の甲第41号証によれば、店長は「JA淡路日の出」の構成員の親族であることが認められる。
イ 「あいあい淡路島」の店長は、平成22年6月1日付け手続補足書で提出された甲第44号証によれば、JAあわじ島の構成員の子息であることが認められる。
ウ 「通販サイト“グーテン”」と請求人等との関係は明らかではなく、当該サイトで本願商標が使用されていることが確認できる。
エ しかしながら、これらの者による販売量等は明らかではないものの、前記(1)エのとおり、使用商品は、その販売量のうち約98.9%が請求人等の取扱いに係るものであることからすれば、その取扱量は、ごくわずかなものと推認できるものである。
オ 職権による調査について
さらに、当審における職権調査によっても、上記の者以外に、請求人等以外の者による「淡路島たまねぎ」の文字からなる商標の使用を確認することはできない。
カ 小括
以上からすると、本願商標が、請求人等以外の者によって、使用商品について使用されているとしても、その使用はごくわずかなものであって、その他人によって、「淡路島たまねぎ」の標章が広く知られるようになっているものということはできない。

4 まとめ
そうとすれば、本願商標「淡路島たまねぎ」は、請求人又はその構成員により、その指定商品「淡路島産のたまねぎ」に継続して使用された結果、請求人又はその構成員の業務に係る商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されるに至っていると認めることができる。
したがって、本願商標は、商標法第7条の2第1項の要件を具備するものであるから、これを理由として本願を拒絶した原査定は取り消すべきである。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決日 2010-10-26 
出願番号 商願2008-3912(T2008-3912) 
審決分類 T 1 8・ 942- WY (X31)
最終処分 成立  
前審関与審査官 津金 純子 
特許庁審判長 小林 由美子
特許庁審判官 豊田 純一
野口 美代子
商標の称呼 アワジシマタマネギ 
代理人 木村 正俊 
代理人 木村 正俊 

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