• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 商3条1項6号 1号から5号以外のもの 登録しない X42
管理番号 1225029 
審判番号 不服2009-9397 
総通号数 131 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2010-11-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-04-30 
確定日 2010-09-30 
事件の表示 商願2007-87676拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第42類「農業・畜産又は水産に関する試験・検査又は研究」を指定役務として、平成19年8月9日に登録出願されたものである。

2 原査定における拒絶の理由(要旨)
原査定において、本願商標は、商標の輪郭図形として普通に用いられる横長楕円形内に、ありふれた姓氏の一つである「新井」又は「荒井」に通じる「Arai」の欧文字をややデザイン化して表示してなるにすぎないから、これをその指定役務に使用しても、自他役務の識別標識としての機能を有するものとは認められない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第4号に該当する旨、認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審における審尋(要旨)
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するとして、請求人に通知した、平成22年6月9日付け審尋は以下のとおりである。
原査定は、本願商標は、商標法第3条第1項第4号に該当する旨認定、判断し、本願を拒絶したものであるが、当審は、以下のとおり、本願商標は、同6号に該当すると判断するものである。
本願商標中の「Arai」の文字部分は、ややデザイン化されているとはいえ、いまだ特異ともいい難い構成からなるものである。
そして、日常の商取引において、日本人の姓氏を表す場合、平仮名、片仮名、欧文字等種々の文字で表す場合も決して少なくないものであるから、該文字部分は、日本人の姓氏の一つである「新井」又は「荒井」に通じるものと認められる。また、「日本人の姓」(佐久間英著、1972年3月8日再版、六藝書房発行)によれば、「新井」及び「荒井」の姓は、我が国においてありふれた氏の一つであると認められる。
そうすると、本願商標中「Arai」の文字に接する取引者、需要者は、我が国においてありふれた氏の一つである「新井」または「荒井」を欧文字で表したものと容易に理解すると判断するのが相当であり、また、本願商標中、横長楕円形の図形部分は、輪郭としての形象を脱し得ないものであり、いまだ普通に用いられる方法の範疇で表示されたものである。
そうとすると、本願商標は、ありふれた横長楕円形の輪郭内に、ありふれた姓氏の一つである「新井」又は「荒井」に通じる「Arai」の欧文字を書してなるにすぎないものであるから、これをその指定役務について使用しても、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができないものである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。

4 審尋に対する請求人の回答(要旨)
本願商標中、「Arai」の文字部分は、ややデザイン化されている程度の域を逸脱する程度にデザイン化されており、特殊・特異性を有する書体からなるものである。また、該文字から直ちに「新井」又は「荒井」なる氏のみに通じるものと認識されるものではない。
また、「新井」又は「荒井」は、直ちにありふれた姓氏の一つに該当する範疇に属するものであるとはいい難いものである。
仮に「Arai」の欧文字が姓氏に通じることがあるとしても、本願商標中「Arai」の文字に接する取引者、需要者は、その書体の特殊性・普通に使用されているともいえない事情や構成全体・なんとも形容しがたい特異な印象などの図形的一体性を加味した場合には、請求人の著名な略称を表示したものと理解・認識されると判断するのが相当である。
また、輪郭図形部分についても、請求人が創造したところであって、太さを一定としない、かつ、上下の輪郭部分の肉厚を左右の輪郭部分の1/2とする変化のある黒線で楕円図形を描き、その線に2/3以上の比率で深く食い込み、変化する肉厚で形成され、同時に「Arai」の欧文字を同じ肉太の線を以って外観上まとまりよく、渾然一体的に表示されている独創的な構図・図形全体が特異な構成・特徴のある横長楕円を描いた図形であるところの上下及び左右の輪郭部の構成態様を異にしてなる特異な楕円形状の輪郭図形であるとするのが相当であり、一種幾何学的図形・図案化・デザイン化されたと見るのが相当である。
したがって、本願商標は、構成全体としても図形部分と文字部分とが凹凸部分を以って形成され、両部分が互いに噛み合って安定し、均衡のとれた密接不可分の組み合わせからなる請求人の創造にかかる特異な商標として把握されて商品(役務)の出所の識別標識としての機能を十分に果たすものである。

5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第6号の該当性について
本願商標は、別掲のとおり、横長楕円形内に「Arai」の欧文字を配してなるところ、該構成中の「Arai」の文字部分は、ブロック体及び筆記体を取り混ぜた書体からなり、ややデザイン化されているとはいえ、いまだ特異ともいい難い構成からなるものである。
ところで、「広辞苑第六版」によれば、「新井」または「荒井」の文字については、「姓氏の一つ。」と記載されているものである。
そして、「日本人の姓」(佐久間英著、1972年3月8日再版、六藝書房発行)によれば、「新井」の姓は、全国第88位(約100,000人)に、また、「荒井」の姓は、全国第135位(約80,000人)にそれぞれ位置づけられていることが記載されており、さらに、「ハローページ東京都23区個人名全区版・上巻」(平成13年3月、東日本電信電話株式会社発行)によれば、「新井」の姓を有する者は、約3,400名、そして、「荒井」の姓を有する者は、約2,400名がそれぞれ掲載されているものである。
そうすると、「新井」、「荒井」の姓は、我が国において、ありふれた氏の一つと認められるものである。
そして、「日本人の氏性も、日常これを表現する手段として、漢字、片仮名、平仮名、ローマ字等種々な文字を使用することは顕著な事実である。」(昭和41年(行ケ)49号 昭和48年2月23日判決言渡し 東京高裁)と判示されているとおり、姓氏をローマ字で表すことは、ごく一般的に行われているものであることからすれば、本願商標中「Arai」の文字に接する取引者、需要者は、我が国においてありふれた氏の一つである「新井」または「荒井」を欧文字で表したものと容易に理解すると判断するのが相当である。
また、標章の輪郭を表す装飾図形として、楕円形の図形は、しばしば採択使用されているものであるところ、本願商標中、横長楕円形の図形部分は、両脇をやや太く描いてはいるものの、依然として、輪郭としての形象を脱し得ないものであり、この程度の構成態様をもってしては、いまだ普通に用いられる方法の範疇で表示されたものといわざるを得ない。
そうとすると、ありふれた横長楕円形の輪郭内に、ありふれた姓氏の一つである「新井」又は「荒井」に通じる「Arai」の欧文字を書してなるにすぎないものであるから、これをその指定役務について使用しても、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができないものというのが相当である。
(2)請求人の主張について
請求人は、本願商標の文字部分より生ずる「アライ」の称呼より、姓氏としての「新井」及び「荒井」の他、「洗い」、「新井(新潟県西部の地名)」及び「荒い、粗い」を想起させ得る旨、主張している。
たしかに、請求人が主張するとおり、本願商標からは、上記意味合いも生じ得るものであるが、姓氏に関する書籍、ハローページの掲載はもとより、広辞苑(第六版)においても、「新井、荒井」は、「姓氏の一つ。」と記載されているとおり、「新井」及び「荒井」の姓氏は、我が国において数多く存在すると認められる姓氏であるから、ありふれた氏の一つであると認められるものである。
また、請求人は、「Arai」の欧文字は、ややデザイン化されている程度の域を逸脱する程度にデザイン化されているものであり、輪郭図形部分は、太さを一定としない、変化する肉厚で形成され、外観上まとまりよく、渾然一体的に表示されている請求人の創造にかかる特異な商標である旨、主張している。
しかしながら、本願商標は、ブロック体と筆記体を取り混ぜた書体で書された「Arai」の文字と、上下部分と左右部分の太さが多少異なる楕円形の図形からなり、図形内側に配された「Arai」の文字の一部が楕円図形に重なって書されているものではあるが、この程度は、デザイン化の一手法として普通に採択される文字書体からなる文字と、標章の輪郭を表す装飾図形としてしばしば使用されるありふれた楕円の輪郭図形との結合にすぎないと認められるものである。
そうとすると、本願商標は、普通に用いられる方法の範囲で表されたものと判断するのが相当である。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当するもの
である。
なお、原査定においては、本願商標は、商標第3条第1項第4号に該当するとして拒絶したものであるが、本願商標は、前記のとおり、自他役務の識別標識としての機能を果たさない商標であり、この認定において原査定と相違するものではないから、結局、原査定は妥当なものであって取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(本願商標)


審理終結日 2010-07-29 
結審通知日 2010-08-03 
審決日 2010-08-18 
出願番号 商願2007-87676(T2007-87676) 
審決分類 T 1 8・ 16- Z (X42)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 田中 幸一 
特許庁審判長 野口 美代子
特許庁審判官 豊瀬 京太郎
田中 亨子
商標の称呼 アライ 
代理人 堀内 香菜子 
代理人 小橋 立昌 
代理人 細井 貞行 
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社   サービスに関しての問い合わせ