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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 038
管理番号 1224927 
審判番号 取消2009-301209 
総通号数 131 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2010-11-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2009-10-30 
確定日 2010-09-17 
事件の表示 上記当事者間の登録第4383711号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4383711号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4383711号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成7年3月3日に登録出願、第38類「移動体電話による通信,テレックスによる通信,電子計算機端末による通信,電報による通信,電話による通信,ファクシミリによる通信,無線呼出し」を指定役務として、同12年5月19日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張の要点
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由として、本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかにより、請求に係る指定役務のいずれかについて登録商標が使用された事実を発見することができないものであるから、商標法第50条第1項の規定によりその登録は取り消されるべきである旨主張している。

3 被請求人の答弁及び審尋に対する回答
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、その理由及び審尋に対する回答を、要旨、次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第3号証を提出した。
(1)答弁の理由
現在携帯電話を使用した双方向動画伝送システムを構築中であり、この商号を使用し活用しようと計画している。
(2)審尋に対する回答
ア 計画は株式会社ウイルコムのPHS網による動画電送サービスを前提としていた。
イ そのため、当社の商標権を、株式会社ウイルコムに無償貸与し、準備を進めてきた。その証明として、株式会社ウイルコムとの契約書(乙第1号証)、三次元フルカラー動画伝送サービス事業計画の作成(乙第2号証)、及び基本プレゼンテーション資料(乙第3号証)を提出する。
ウ しかしながら、株式会社ウイルコムが民事再生法により、内部組織の改革や受入体制の変更により検討段階でストップしているのが現状であり、当社は、独自にも検討している。

4 被請求人に対する審尋
被請求人の答弁書の主張のみでは、本件登録商標の使用をしていないことについての正当な理由を認めることはできない。
よって、被請求人は、本件商標をその指定役務に使用していないことについての正当な理由があることを示す具体的な証拠を提出されたい。

5 当審の判断
(1)商標法第50条第1項は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが各指定商品又は指定役務についての登録商標の使用をしていないときは、何人も、その指定商品又は指定役務に係る商標登録を取り消すことについて審判を請求することができる、と規定しており、同項の審判の請求があった場合においては、被請求人はその取消請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての登録商標の使用をしていることを証明するか、あるいは、使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消を免れないものである(商標法第50条第2項)。
そして、商標法第50条第2項ただし書にいう「正当な理由」とは、登録商標を使用していないことについて、商標権者等の責めに帰することができないやむを得ない事情、例えば、天変地異等の不可抗力事由、放火等の第三者の故意又は過失事由、法的規制事由等の、不使用を理由に当該商標登録を取り消すことが社会通念上商標権者に酷であるような場合をいうものと解される(平成9年(行ケ)第53号事件:平成9年10月16日判決、平成19年(行ケ)第10227号事件:平成19年11月29日判決参照)。

(2)本件商標の使用の有無について
被請求人は、答弁書において、「現在携帯電話を使用した双方向動画伝送システムを構築中であり、この商号を使用し活用しようと計画している。」旨述べるのみで、本件商標の使用の事実について、何ら主張立証するところがない。
してみれば、本件商標は、本件審判の請求の登録(平成21年11月16日)前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが指定役務のいずれかについて使用をしていたものとは認めることはできない。

(3)不使用についての正当な理由の存否について
被請求人は、本件商標の不使用について正当な理由があることを示す具体的な証拠を求めた審尋に対する回答書において、「被請求人が有する商標を株式会社ウイルコムに無償貸与し、準備を進めてきた。」として、「登録商標一時譲渡契約書」(乙第1号証)、「WILLCOM(ウイルコム)ネットによる三次元フルカラー動画伝送サービス事業計画」(乙第2号証)、「基本プレゼンテーション資料」(乙第3号証)を提出し、「計画は、株式会社ウイルコムのPHS網による動画伝送サービスを前提としていたが、株式会社ウイルコムの民事再生法による内部組織の改革や受入体制の変更により検討段階でストップしている。」旨述べている。
しかしながら、乙第1号証は、本件商標とは何らの関係も認められない商標(登録第4398047号商標)の一時譲渡契約書であり、また、乙第2号証及び乙第3号証の事業計画及びそれに関連したプレゼンテーション資料についても、あくまで事業計画であって、その指定役務についての実際の使用とも、不使用についての理由ともいえないものであるから、これらの提出された証拠をもってしては、本件商標を使用していないことについての正当な理由があるものとは認められない。
さらに、被請求人が主張する、被請求人と株式会社ウイルコムとの間の事情は、被請求人が自らの自由な意思に基づく選択によって締結した契約に起因していることであるから、かかる当事者間の契約を原因とする事情は、上記(1)の商標権者等の責めに帰すことができないやむをえない事情とは認めることができない。
また、被請求人は、回答書において、「当社は独自にも検討している。」とも述べていることからすれば、被請求人自らも実施することが可能であったと推測されるものであり、このことからしても不使用についての正当理由があったものとすることはできない。
してみれば、被請求人が主張する上記事情をもって、商標法第50条第2項ただし書にいう「正当な理由」に該当するものとはできないというのが相当であり、また、上記のほか、本件商標の不使用の「正当な理由」に係る主張立証は見いだせない。
したがって、被請求人によって、本件商標の不使用について商標法第50条第2項ただし書にいう「正当な理由」が明らかにされたものと認めることはできない。

(4)まとめ
以上のとおり、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定役務のいずれかについて使用をしている事実が認められず、かつ、本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があったものとも認められないから、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 (別掲)本件商標


審理終結日 2010-06-29 
結審通知日 2010-07-05 
審決日 2010-07-21 
出願番号 商願平7-20744 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (038)
最終処分 成立  
特許庁審判長 佐藤 達夫
特許庁審判官 小川 きみえ
野口 美代子
登録日 2000-05-19 
登録番号 商標登録第4383711号(T4383711) 
商標の称呼 アイテイテイ、コクサイデンデン 
代理人 小沢 慶之輔 

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