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審決分類 審判 査定不服 商3条柱書 業務尾記載 取り消して登録 X0711
審判 査定不服 称呼類似 取り消して登録 X0711
審判 査定不服 外観類似 取り消して登録 X0711
管理番号 1222964 
審判番号 不服2009-6517 
総通号数 130 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2010-10-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-03-26 
確定日 2010-09-03 
事件の表示 商願2008-40103拒絶査定不服審判事件についてした平成21年10月28日付け審決に対し、知的財産高等裁判所において審決取消の判決(平成21年(行ケ)第10396号平成22年7月21日判決言渡)があったので、さらに審理のうえ、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
理由 第1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第7類、第10類ないし第12類及び第37類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成20年5月27日に登録出願されたものであるが、その後、指定商品及び指定役務については、同21年3月26日付け手続補正書により、第7類「ろ過機・その他の化学機械器具」及び第11類「家庭用空気清浄機及びそのフィルター・家庭用アルカリイオン水生成器及びそのフィルター・その他の家庭用電熱用品類,家庭用浄水器及びそのフィルター,業務用浄水器及びそのフィルター・その他の浄水装置」と補正されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、以下の1及び2のとおり認定、判断し、本願を拒絶したものである。
1 商標法第3条第1項柱書について
本願は、第37類において広範な範囲にわたる役務を指定しているため、出願人が本願商標をそれらの指定役務の全てについて使用しているか又は近い将来使用をすることについて疑義があるといわざるを得ない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項柱書の要件を具備しない。
2 商標法第4条第1項第11号について
本願商標は、以下の(1)及び(2)のとおりの登録商標と同一又は類似の商標であって、それらの商標に係る指定商品と同一又は類似の商品について使用をするものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(1)登録第2543597号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、平成2年10月22日登録出願、第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同5年6月30日に設定登録され、その後、同15年6月24日に商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、同16年9月8日に指定商品を第6類ないし第9類、第11類、第12類、第16類、第17類、第19類ないし第21類、第26類及び第28類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がされ、また、商標登録の一部取消し審判により、指定商品中の第7類「動力機械器具(陸上の乗物用のもの及び『水車・風車』を除く。)」、第11類「ボイラー,暖冷房装置」及び第12類「陸上の乗物用の動力機械(その部品を除く。)」について、その登録を取り消すべき旨の審決がされ、同21年6月5日にその審判の確定登録がされたものである。
(2)登録第4599178号商標(以下「引用商標2」という。)は、「ROKI」の欧文字を横書きしてなり、平成13年8月30日登録出願、第11類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同14年8月23日に設定登録されたものである。

第3 当審の判断
1 商標法第3条第1項柱書について
本願の指定商品及び指定役務は、前記第1のとおり補正された結果、本願商標を使用しているか又は近い将来使用をすることについて疑義のある役務は、すべて削除されたものである。
したがって、本願商標が第37類の指定役務について商標法第3条第1項柱書の要件を具備しないとする原審の拒絶の理由は、解消した。
2 商標法第4条第1項第11号について
(1)本願商標について
本願商標は、別掲1のとおり、上部に配置され全体の約3分の2を占める幾何模様的な図形部分と、その下部に配置され全体の約3分の1を占める「THE FILTRATION COMPANY」と「ROKICo.,Ltd.」の各文字を上下2段書きにしてなる文字部分とから構成される結合商標であり、図形部分と文字部分とは、左右両端の位置は同一であるものの、上下に分かれており、図形部分が文字部分の背景となったり、文字部分が意匠化されて図形部分と組み合わされていたりするものではないから、両者を分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものではない。
そこで検討するに、本願商標の図形部分は、左側にやや扁平で内部が中空の六角形の図形が、右側に十字形がそれぞれ配置され、十字形の内部の白のクロスラインが強調され左に伸びた部分が左側の六角形の内部と連通しており、幾何模様的でかなり特徴的な形態であるが、特定の観念及び称呼を生じさせるような具体的な図形とは認められない。
次に、本願商標の文字部分は、左右両端の位置が同一の上下2段に横書きされたゴシック体文字からなり、上段に「THE FILTRATION COMPANY」の欧文字が、下段に「ROKICo.,Ltd.」の欧文字(独自のロゴタイプ)が配置されており、下段の「R」と「t」の欧文字にはやや特徴がある。また、文字数の少ない下段の「ROKICo.,Ltd 」の方が、文字数の多い上段の「THE FILTRATION COMPANY」に比べ相対的に太く大きく表され、特に「ROKI」の部分は、上段の欧文字に対し高さで1.5倍程度、横幅で3倍程度大きく表示されているから、視覚的に、下段の一連の欧文字が上段の一連の欧文字に対してやや強調されたものと受け止められる。
また、本願商標の文字部分全体から生ずる称呼は、「ザフィルトレーションカンパニーロキシーオーエルティーディー」又は「ザフィルトレーションカンパニーロキカンパニーリミテッド」であり、著しく冗長なものであるから、取引者、需要者は、本願商標の文字部分を上段と下段に分離して把握し、上段の「THE FILTRATION COMPANY」から「ザフィルトレーションカンパニー」の称呼と下段の「ROKICo.,Ltd.」から「ロキシーオーエルティーディー」又は「ロキカンパニーリミテッド」の称呼も生じるものと認められるが、これらもやや冗長なものと認められる。
そして、後述する本願指定商品の取引者、需要者の通常の理解力を前提とすると、上段の「THE FILTRATION COMPANY」の文字部分からは、「フィルトレーション(濾過作用)に関する会社」との一般的な意味合いが生じるのに対し、下段の「ROKICo.,Ltd.」の文字部分については、後半の「Co.,Ltd.」の欧文字が法人組織の種類を表す英語表記「company limited」の略語として理解されることから、「ROKI」という特定の名称の会社を表示したと認識されるものと認められる。
ところで、本願指定商品は、第7類「ろ過機・その他の化学機械器具」と第11類「家庭用空気清浄機及びそのフィルター・家庭用アルカリイオン水生成器及びそのフィルター・その他の家庭用電熱用品類,家庭用浄水器及びそのフィルター,業務用浄水器及びそのフィルター・その他の浄水装置」であって、「ろ過機」や「業務用浄水器」のみならず、「家庭用空気清浄機」「家庭用アルカリイオン水生成器」「家庭用電熱用品類」及び「家庭用浄水器」などが含まれるものであるから、その取引者、需要者には、家庭用器具に関する一般的な消費者も含まれるものと認められる。
以上の事実を前提として、本願商標から生じる称呼を検討すると、本願商標は、上部の図形部分と下部の文字部分とが上下に分かれており、両者が組み合わされていたりするものではないから、両者が不可分一体とはいえず、その図形部分からは特定の観念及び称呼が生じないのに対し、文字部分は、文字数の少ない下段の「ROKICo.,Ltd.」が文字数の多い上段の「THE FILTRATION COMPANY」よりも視覚的にやや強調されるが、文字部分全体から生ずる称呼や上段と下段を分離して生じる称呼は、いずれも冗長なものと認められる。そして、上段の文字部分からは「フィルトレーション(濾過作用)に関する会社」との一般的な意味合いが生じるのに対し、下段の文字部分からは「ROKI」という特定の名称の会社を表示したものと認識されることなどを考慮すると、本願商標に接する一般的な取引者、需要者は、その称呼を検討する際、強調された下段部の「ROKICo.,Ltd.」の文字部分の中でも特定の会社名を表示した「ROKI」の欧文字に着目することも少なくないと解されるから、簡易迅速が要請される取引の場面において、本願商標は、当該文字部分に相応して簡潔に「ロキ」と称呼される場合もあるものといわなければならない。
そうすると、本願商標は、「ROKI」の文字に相応して、「ロキ」の称呼をも生ずるものというべきであり、また、これからは、特定の観念を生じないものと認められる。
(2)引用商標1及び同2について
ア 引用商標1は、別掲2のとおり、太いゴチック体からなる「ROKI」の欧文字が横書きされたとの印象を与える図形の中央部分を、三本の白い横線が右端から左端までを貫く構成からなるものであるところ、必ずしも明瞭ではないものの、「ROKI」の欧文字4字をデザイン化している図形と一応視認できることから、「ロキ」の称呼を生ずるものであり、特定の観念は生じないものと認められる。
イ 引用商標2は、「ROKI」の欧文字からなるものであるから、「ロキ」の称呼を生ずるものであり、特定の観念は生じないものと認められる。
(3)本願商標と引用商標1との類否判断
ア 外観
本願商標は、前記(1)で認定したとおり、上部に配置され全体の約3分の2を占める図形部分と、下部に配置され全体の約3分の1を占める文字部分とから構成される結合商標であり、両者は区分して認識できるものの、図形部分は、左側にやや扁平で内部が中空の六角形の図形が、右側に十字形が配置され、十字形の内部の白のクロスラインが強調され左に伸びた部分が左側の六角形の内部と連通しており、かなり特徴的な形態であるから、本願指定商品の取引者、需要者は、当該図形部分に注目するものと認められる。また、文字部分は上段に「THE FILTRATION COMPANY」の欧文字が、下段に「ROKICo.,Ltd.」の欧文字が配置されており、下段部及び「ROKI」の部分がやや強調されているものの、「ROKI」の部分のみが特徴的なものとは認められない。
他方、引用商標1は、前記(2)アで認定したとおり、「ROKI」の欧文字が横書きされたとの印象を与える図形の中央部分を、三本の白い横線が右端から左端までを貫く構成と認められる。
したがって、本願商標と引用商標1とは、その外観において大きく相違するものといわなければならない。
イ 観念
本願商標からは、前記(1)で認定したとおり、上段の文字部分から「フィルトレーション(濾過作用)に関する会社」との一般的な意味合いが生じ、下段の文字部分については、後半の「Co.,Ltd.」の欧文字が法人組織の種類を表す英語表記「company limited」の略語として理解されることから、「ROKI」という特定の名称の会社を表示したと理解され、結局、本願商標全体は、「フィルトレーション(濾過作用)に関する『ROKI』という名称の会社」と観念されるものと認められる。
他方、引用商標1は、前記(2)アで認定したとおり、特定の観念を生じるものではない。
したがって、本願商標と引用商標1とは、その観念において比較できないものといえる。
ウ 称呼
本願商標からは、前記(1)で認定したとおり、その文字部分全体から「ザフィルトレーションカンパニーロキシーオーエルティーディー」又は「ザフィルトレーションカンパニーロキカンパニーリミテッド」の称呼が生じ、上段の「THE FILTRATION COMPANY」から「ザフィルトレーションカンパニー」の称呼と下段の「ROKICo.,Ltd.」から「ロキシーオーエルティーディー」又は「ロキカンパニーリミテッド」の称呼が生じるとともに、「ロキ」の称呼も生じるものと認められる。
他方、引用商標1は、前記(2)アで認定したとおり「ROKI」の欧文字4字をデザイン化している図形と一応視認できるものと解されるから、「ロキ」の称呼が生じるものと認められるが、本願指定商品の取引者、需要者にあっては、図形の意味が把握できず、必ずしも明確に「ロキ」と称呼できない場合もあるものと推測される。
したがって、本願商標と引用商標1とは、その称呼において一応共通するものの、場合によっては相違することもあるものと解される。
エ 本願商標の使用態様
本件に係る審決取消請求事件において、請求人が提出した証拠によれば、同人は、インターネット上での自らのウェブサイト、新聞・雑誌における広告や設置した看板、製造納品する製品及び製品の包装、対外的な取引関係書類等において、本願商標をその図形部分及び文字部分全体を一体として使用するとともに、社報や社内手続書類、社用車、名刺、社員証などの社内物品においても、本願商標全体を一体として使用しているものと認められる。
そうすると、本願商標は、その文字部分と図形部分とが切り離されて使用されたり、文字部分中の「ROKI」の部分のみが使用されることは極めて少ないものと解される。
類否判断
以上の本願商標と引用商標1との外観、観念、称呼についての比較検討の結果を踏まえて、全体的に考察すると、両商標は、称呼について共通する場合があるものの、外観において大きく相違し、観念においても比較できないものと認められるところ、「商標の外観、観念または称呼の類似は、その商標を使用した商品につき出所の誤認混同のおそれを推測させる一応の基準にすぎず、従って、右三点のうちその一において類似するものでも、他の二点において著しく相違することその他取引の実情等によって、なんら商品の出所に誤認混同をきたすおそれの認めがたいものについては、これを類似商標と解すべきではない。」(最高裁昭和39年(行ツ)第110号昭和43年2月27日第三小法廷判決)といえるから、本願商標がその図形部分と文字部分とが常に一体として使用されているという取引の実情も考慮すれば、本願商標を使用した商品が引用商標1を使用した商品とその出所につき誤認混同を生ずるおそれは極めて少ないものといえる。
(4)引用商標2について
本件に係る審決取消請求事件において、請求人が提出した証拠(引用商標2に係る商標権者の閉鎖事項全部証明書)によれば、引用商標2に係る商標権は、平成13年8月30日に商標登録出願され、同14年8月23日に商標登録されたものであり、その存続期間満了日が同24年8月23日である(商標法第19条)ところ、その商標権者である株式会社星籌は、同6年2月14日に設立され、同17年10月26日午後5時に、東京地方裁判所から破産手続開始決定を受け(同年10月28日登記)、同18年5月11日に東京地方裁判所の破産手続終結決定が確定し(同年5月15日登記)、同年5月15日に同社の登記簿が閉鎖されたものと認められる。また、同社の破産手続終結決定が確定した平成18年5月11日から引用商標2に係る商標権の存続期間満了日である同24年8月23日までの間、同社(破産管財人を含む。)及び同社からの使用許諾を受けた第三者が、当該商標を使用した又は使用すると認めるに足りる証拠はない。
そうすると、本願商標の登録出願時である平成20年5月27日、拒絶査定時である同21年2月24日及び審決時である同21年10月28日において、引用商標2がその正当な権利者(商標権者又はこれから使用許諾を受けた者)によって使用される可能性は極めて低いものと認められ、引用商標2と本願商標との間で商品の出所についての混同を生ずるおそれはないものというべきである。
(5)小括
前記(3)及び(4)のとおり、本願商標は、引用商標1及び同2と同一又は類似の商品に使用された場合に、商品の出所について混同を生ずるおそれはないから、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
3 むすび
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項柱書の要件を具備していないものではなく、また、同法第4条第1項第11号に該当するものでもないから、これらを理由とした原査定は、妥当でなく、その理由をもって本願を拒絶することはできない。
その他、政令で定める期間内に本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
1 本願商標


2 引用商標1


審理終結日 2009-08-17 
結審通知日 2009-08-18 
審決日 2010-08-24 
出願番号 商願2008-40103(T2008-40103) 
審決分類 T 1 8・ 261- WY (X0711)
T 1 8・ 262- WY (X0711)
T 1 8・ 18- WY (X0711)
最終処分 成立  
前審関与審査官 浦辺 淑絵 
特許庁審判長 井岡 賢一
特許庁審判官 末武 久佳
酒井 福造
商標の称呼 ザフィルトレーションカンパニーロキカンパニーリミテッド、ザフィルトレーションカンパニー、フィルトレーションカンパニー、ザフィルトレーション、ロキカンパニーリミテッド、ロキ、フィルトレーション 
代理人 佐藤 俊司 
代理人 塩川 修治 
代理人 稲葉 良幸 
代理人 鳥海 哲郎 

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