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審決分類 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない X41
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X41
管理番号 1221503 
審判番号 不服2009-9248 
総通号数 129 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2010-09-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-04-28 
確定日 2010-07-30 
事件の表示 商願2008-32990拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、「釣り検定」の文字を横書きしてなり、第41類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として、平成20年4月25日に登録出願され、指定役務については、当審における平成21年7月6日付け手続補正書により、第41類「魚釣りの知識に関する検定試験の企画・運営又は実施,魚釣りの知識に関する検定試験受験者へのセミナーの開催,魚釣りの知識に関する検定試験の学習用の電子出版物の提供,魚釣りの知識に関するビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。)」と補正されたものである。

第2 原査定における拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『釣りに関する検定試験』程の意味合いを看取させるに過ぎない『釣り検定』の文字を普通に用いられる方法で表してなるから、これを本願指定役務のうち前記照応する役務(例えば、『釣りに関する検定試験の企画・運営又は実施,釣りに関する検定試験受験者へのセミナーの開催,釣りに関する検定試験の学習用の電子出版物の提供,釣りに関する検定試験のための書籍の制作やビデオの制作』など)に使用しても、これに接する取引者、需要者をして、釣りに関する検定試験に関連する役務であると理解するに止まり、単に役務の質、用途を表示するにすぎない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審の判断
1 本願商標の商標法第3条第1項第3号の該当性について
本願商標は、前記第1のとおり、「釣り検定」の文字よりなるところ、その構成中「釣り」の文字は、「釣糸の先に付けた鉤に掛けて魚を取ること。うおつり。」を意味する語として、また、「検定」の文字は、「一定の基準に照らして検査し、合格・不合格・価値・資格などを決定すること。検定試験の略。」(いずれも、広辞苑第6版)を意味する語として、それぞれよく知られているところである。
そうとすると、「釣り」と「検定」の両語を結合した語であることを看取させる本願商標よりは、「魚釣りに関する検定試験」程の意味合いを理解させるものである。
そして、本願指定役務との関係においては、本願商標に接する取引者、需要者をして、容易に、「魚釣りの知識に関する検定試験」の意味合いを理解、認識させるというのが相当である。
そうしてみると、本願商標は、これをその指定役務について使用しても、これに接する取引者、需要者は、「魚釣りの知識に関する検定試験に関連する役務」程の意味合い、すなわち、役務の質、内容を表示するものとして認識するに止まるものであるから、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないというべきである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。

2 本願商標の商標法第4条第1項第16号の該当性について
本願指定役務は、前記第1のとおり補正された結果、本願商標をその指定役務に使用しても、役務の質の誤認を生じるおそれはなくなったものと認められる。
したがって、本願商標が商標法第4条第1項第16号に該当するとした原査定の拒絶の理由は解消した。

3 請求人の主張(要旨)について
(1)請求人は、「釣り」の意味合いには、「釣銭。おつり」もある。一方で、「魚釣り」に限定しても、「釣り検定」から直接的に導かれる意味合いは広辞苑の意味からすると、「魚の釣果によって合否を決定する検定」となる。しかしながら、本願商標は、指定役務「魚釣りの知識に関する検定試験」に使用するものであるから、本願商標「釣り検定」は指定役務の内容を直接的に表示したものとは云えない旨、主張している。
しかしながら、「検定」の語は、その知識を検査する検定試験であることを容易に認識させ得るものであることに加え、「検定」の語にその検定の対象を表す語を冠して検定試験の目的や内容を端的に表した、例えば「実用英語技能検定」、「秘書技能検定」、「販売士検定」などの表示の各種の知識や技能を測る検定試験が実施されている事実があることを併せ考慮すると、本願商標「釣り検定」を本願指定役務に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、役務の出所を表示するものとして認識するというよりは、「魚釣りの知識に関する検定試験についての役務」であることそのものを想起、理解するといえるものであり、役務の質(内容)を表示するにすぎないというのが相当である。
また、「検定」の語を含む商標と指定役務との関係性の判断について、知財高裁は、「本件商標(『声優検定』)の指定役務は、前記のとおり、『声優の適性能力の検定,声優の適性能力の検定試験の企画・運営・実施』であって、声優についての一般的な検定ではなく、声優の『適性能力』の検定に関するものであることが明記されている以上、その指定役務に関する需要者又は取引者が、本件商標を『声優に関するクイズ』又はそれに係る役務とまで認識する余地はないものといわなければならない」(平成21年(行ケ)第10351号 平成22年5月19日判決言渡)旨、判示しているところ、これを、本願商標についてみるに、本願指定役務は、前記1のとおり、「魚釣りの技能や釣果に関する検定」についての役務ではなく、「魚釣りの知識に関する検定」についての役務であることが明記されている以上、その指定役務に関する取引者、需要者が、本願商標を「魚の釣果によって合否を決定する検定」又はそれに係る役務とまで認識する余地はないものというのが相当である。
さらに、「検定」の語は「一定の基準に照らして検査し、合格・不合格・価値・資格などを決定すること。検定試験の略。」を意味するものであるから、「検定」の語により、どのような知識を有するか、その知識がどのような水準かを判定することは当然想定されることから、「釣り検定」の語から「魚釣りの知識を試す検定試験」の意味合いも無理なく認識し得るというべきである。
したがって、請求人の主張は採用することができない。
(2)また、請求人は、拒絶査定では使用例として3つの「参考情報」を挙げているが、有象無象の情報が溢れ返るインターネット上での取るに足らない単なる一例に過ぎず、本願商標の識別力を否定する根拠としては不十分と言わざるを得ない旨、主張している。
しかしながら、商標法第3条第1項第3号の該当性の判断について、東京高裁判決では、「商標法3条1項3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべき」(平成12年(行ケ)第76号 平成12年9月4日判決言渡)と判示しているところである。
してみると、本願商標が登録されるべきであるかどうかは、本願指定役務の需要者等において、これがどのような意味を有するものとして認識され用いられるのかによって判断されなければならないものであるところ、本願商標が、その指定役務の需要者等において、指定役務の質(内容)を表示するものとして認識されることは、上記(1)で認定したとおりであるから、かかる請求人の主張については採用することができない。
(3)さらに、請求人は、過去の登録例を挙げ、本願商標も同様に登録されるべきである旨主張している。
しかしながら、登録出願された商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものであるか否かの判断は、当該商標の構成態様と指定商品又は指定役務との関係における、その商品又は役務の取引の実情を考慮して、個別具体的に判断されるべきものであって、かつ、その判断時期は、査定時又は審決時と解されるべきものであるから、請求人が挙げた商標登録例の存在によって、前記判断は左右されるべきものではない。
したがって、この請求人の主張も採用することができない。
その他の請求人の主張をもってしても、原査定の拒絶の理由を覆すに足りない。

第4 まとめ
以上のとおり、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものとした原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
なお、本願商標が商標法第4条第1項第16号に該当するとした原査定の拒絶の理由は、補正により解消した。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2010-05-25 
結審通知日 2010-05-28 
審決日 2010-06-09 
出願番号 商願2008-32990(T2008-32990) 
審決分類 T 1 8・ 272- Z (X41)
T 1 8・ 13- Z (X41)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 板谷 玲子 
特許庁審判長 野口 美代子
特許庁審判官 田中 亨子
豊瀬 京太郎
商標の称呼 ツリケンテー 
代理人 井澤 洵 

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