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審決分類 審判 全部無効 商4条1項10号一般周知商標 無効としない 103
審判 全部無効 商4条1項7号 公序、良俗 無効としない 103
管理番号 1221490 
審判番号 無効2008-890050 
総通号数 129 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2010-09-24 
種別 無効の審決 
審判請求日 2008-06-09 
確定日 2010-07-30 
事件の表示 上記当事者間の登録第2597283号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第2597283号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成3年6月25日に登録出願、第4類「化粧品、香料類、せっけん類」を指定商品として、平成5年11月30日に設定登録されたものであるが、その後、商標権の存続期間の更新登録が平成15年7月22日になされ、さらに、同年10月29日に指定商品を第3類「化粧品,香料類,せっけん類」とする書換登録がなされているものである。

第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号ないし第177号証(枝番を含む。)を提出し、また、同時に証人の尋問を申請した。
1 請求の理由
本件商標は、その出願前に既に請求人の業務に係る「化粧品、せっけん類」を表示するものとして需要者の間に広く認識されていた商標「PAPAWASH」、「Papawash」及び「パパウォッシュ」に同一又は類似し、「化粧品,せっけん類」を指定商品としているから、指定商品中「化粧品,せっけん類」は商標法第4条第1項第10号の規定に違反して登録されたものである。
本件商標は、前商標権者の有田順一氏(以下「有田氏」という。)が不正競争の目的で登録を受けたものであるから、商標法第47条第1項の規定にある括弧書き「不正競争の目的で商標登録を受けた場合」に該当し、本件商標登録の無効審判の請求に対して除斥期間は適用されない。
本件商標は、有田氏が、請求人の広告宣伝や販売努力により請求人の業務に係る商品について、「PAPAWASH」、「Papawash」、「パパウォッシュ」が既に周知商標となっていたことを認識しつつ、密接な取引関係にある請求人(株式会社イー・エス・エス)が商標登録を得ていないことを奇貨として、請求人に無断で請求人の販売に係る「化粧品,香料類,せっけん類」を指定商品として出願をし、商標登録を受けたものであり、しかも、有田氏が代表者であった被請求人(株式会社シャローネ)ともどもその商標権を競合関係者に譲渡する等、その経緯は著しく社会的妥当性を欠き、斯かる商標登録を認めることは商標法の予定する秩序に反するものであるから、商標法第4条第1項第7号の規定に違反して登録されたものである。
よって、本件商標は指定商品中「化粧品,せっけん類」が商標法第4条第1項第10号の規定に違反し、また、本件商標は商標法第4条第1項第7号の規定に違反して登録されたものであるから、商標法第46条第1項第1号の規定により、その登録を無効とすべきである。
(1)本件商標について
本件商標は、片仮名文字からなる「パパウオッシュ」を横書きしてなり、第4類「化粧品、香料類、せっけん類」を指定商品とし、被請求人の前代表取締役であった有田氏により出願された平成3年6月25日付け商標登録出願(商願平3-66473号)に係り、平成5年11月30日に設定登録の後、本件商標権が有田氏から被請求人に移転され、平成19年11月12日付けでその移転登録がなされている(甲第1号証、甲第2号証)。
(2)商標法第4条第1項第10号の規定に該当すること
ア 請求人が使用をする商標「PAPAWASH」、「Papawash」及び「パパウォッシュ」の周知性
上記商標は、請求人の代表取締役である渡邊順子氏(以下「渡邊氏」という。)により創出され、販売商品である、パパイン酵素入り洗顔料(以下「本件洗顔料」という。)のパッケージや容器に使用されるとともに、大々的に本件洗顔料の宣伝広告、販売活動等に用いられた結果、本件商標の出願日である平成3年6月25日前には、請求人が取扱う商品であることを表示する商標として全国的に周知ないし著名となっていたのである。
(ア)請求人の商標「PAPAWASH」、「Papawash」及び「パパウォッシュ」使用の経緯
請求人は、昭和60年9月7日に設立された化粧品等の委託製造及び通信販売を主たる業務とする会社である(甲第3号証、甲第4号証)。これに対し、被請求人は、昭和55年に設立された化粧品の製造、販売を主たる業務とする会社であり、請求人に対する本件洗顔料を製造・納入を担当している。
請求人の代表取締役である渡邊氏は、昭和56年当時「イー・エス・エス」の商号で、本件洗顔料(当時の商品名は「シャローネ」であった。)を被請求人より仕入れて通信販売を行っていたが、商品名が被請求人の会社名称と同じであったため、新会社設立前に本件洗顔料の商品名を変えて販売したいと考えた。
渡邊氏は、本件洗顔料がパパイヤからとったパパイン酵素を主成分とした洗顔料であったことから、昭和60年の初めにパパイヤを彷彿とさせる「パパ(papa)」と、洗うことを意味する英語の「ウォッシュ(wash)」とを組み合わせた「パパウォッシュ」及び「PAPAWASH(Papawash)」なる造語を案出し、同年4月26日に商標「パパウォッシュ」、「パパウォッシュ・デラ」について第4類「せっけん類,歯みがき,化粧品,香料類」を指定商品として商標登録出願をした(甲第7号ないし第10号証)。また、同年5月13日には、「パパウォッシュ」、「パパウォッシュ・デラ」を商品名として使用するために、製造業者である被請求人に薬事法上義務付けられている化粧品の製造許可申請を行うように依頼し、同年8月22日に「パパウォッシュ」、「パパウォッシュ・デラ」を商品名とした製造品目追加許可を受けた(甲第15号証、甲第16号証)。
これを受けて、渡邊氏は、同年9月7日に、株式会社イー・エス・エス(請求人)を設立するとともに、欧文字の「PAPAWASH」よりなる商標(以下「商標『PAPAWASH』」という。)を使用した本件洗顔料の販売を開始した(甲第4号証、甲第5号証、甲第17号ないし第19号証)。その後、平成2年に本件洗顔料のパッケージのデザインを新装したことに伴い、本件洗顔料に使用をする商標のデザインも工夫した(甲第4号証)。
斯かる商標は、先に使用してきた商標「PAPAWASH」と同一の称呼を維持し当該商標との継続性を重視しつつ、商標「PAPAWASH」の先頭文字の「P」を大文字にし、他の文字を小文字化する一方、この「Papawash」中のアルファベット「w」の左側線部を僅かに長く上方に延長するとともに、パパイヤの木の幹に見立て、その延長上の中央部にパパイヤの3つ果実と、その果実の後方及び左右に放射状に円弧状をなす茎とを配し、その茎の先端に左右を大きく後方を小さく異ならせた3枚の葉を「paw」の上側に配することにより、遠近感を持たせたパパイヤを想起させる図形を上記「Papawash」と一体不可分とした文字及び図形からなる標章である(以下「商標『Papawash』」という。甲第21号証)。
斯かる商標は、請求人により代表的な商品表示として、現在に至るまで18年間にわたり継続的に用いられている(甲第4号証)。
また、商標「パパウォッシュ」は、昭和60年の商品発売より、請求人により、雑誌での広告や、自社で発行するダイレクトメール、カタログ等に請求人の会社名称を付した上で掲載され、現在に至るまで23年間にわたり代表的な商品表示として使用されている(甲第4号証、甲第17号ないし第20号証、甲第22号ないし第88号証、甲第100号ないし第103号証)。
したがって、商標「PAPAWASH」、「Papawash」及び「パパウォッシュ」はいずれも、本件商標の出願前から使用されてきたのである。
(イ)請求人の商標「PAPAWASH」、「Papawash」商標「パパウォッシュ」の使用態様と営業努力
請求人は、昭和60年から平成元年までの間は商標「PAPAWASH」を付した本件洗顔料、平成2年以降は現在に至るまで商標「Papawash」を付した本件洗顔料(以下、併せて「パパウォッシュ洗顔料」という。)を独占販売している。また、洗顔料に加えて、シャンプーやリンスにも商標「Papawash」を付して販売している時期もあった(甲第100号ないし第103号証)。請求人はパパウォッシュ洗顔料を看板商品と位置付けていたため、代表取締役である渡邊氏が自ら標章を創出しただけでなく、多くの人々に購入してもらえるようにパパウォッシュ洗顔料のパッケージのデザインを自らデザイナーに依頼して決めるなど意欲的な活動を行っていた(甲第136号証の4 甲第136号証の8、甲第137号証の3、甲第138号証の3、甲第138号証の5、甲第139号証の4、甲第139号証の5、甲第139号証の9)。そして、商品及び商標の周知化や販売促進を図るために、請求人は、上記両商標とともに商標「パパウォッシュ」を付したパパウォッシュ洗顔料の商品広告を、昭和60年の商品発売開始より請求人の商号を併記して雑誌に長期にわたって掲載するなど、全国的に大規模な宣伝活動を継続的に行ってきた。
(a)雑誌での宣伝活動
請求人は、平成7年11月にパパイヤクラブ荻窪店を開店するまで、ハガキ、電話を使って申し込みを行う通信販売の形態での販売しか行わなかった上、新規客には最初から直接販売を行わずにサンプル請求を経てから販売するという方式を採用していた(甲第4号証、甲第6号証)。そのため、請求人は、売上を伸ばすために宣伝広告活動を充実させることを強く意識していた。そして、請求人は不二広告株式会社を通じて宣伝広告活動を行ってきたが(甲第136号証の17?20)、この不二広告株式会社は請求人の代表者である平林将宏氏が代表取締役を務めていたことから、請求人が会社設立当初からパパウォッシュ洗顔料の周知を図るために戦略的な宣伝広告活動を展開できる環境に恵まれていたことと相俟って、設立当初から積極的かつ大規模に充実した宣伝広告活動が行われてきた(甲第133号証の50、甲第136号証の2、甲第136号証の5、甲第136号証の10ないし13 甲第136号証の17ないし20)。
まず、雑誌については、パパウォッシュ洗顔料の主な購買者である女性を多く読者として持つ各全国誌に、「『肌キレイね』と、いわれたい方、ぜひ天然酵素洗顔を!」等の宣伝コピーを掲載し、きれいな肌を保っていたい、きれいな肌になりたいという願望を持つ多くの女性の興味を引き、パパウォッシュ洗顔料に対して目を向けるような宣伝広告を行ってきた。そして、宣伝コピーやパパウォッシュ洗顔料の効能を掲載するだけでなく、無料サンプルの請求方法の記載や申込ハガキの添付を併せて行うことで、単なる商品に対する興味を超えて、読者にサンプル請求をする意欲を掻き立てる工夫を凝らしてきた(甲第22号ないし第88号証)。また、掲載の程度に関しては、毎月必ず複数の雑誌に広告を掲載しており、その掲載雑誌数は同一月に20誌に上り、週刊誌には同一月中に複数回掲載してきた(甲第133号証の50)。
掲載誌としては、発行部数が多く全国の書店で販売されるとともに、美容院や病院や銀行等の公衆が集まる場所に常備される等、全国の女性が愛読する、女性週刊誌の「週刊女性」、「女性セブン」、「女性自身」、「微笑」や、ファッション誌、情報誌の「Hanako」、「SAY」、「anan」、「non-no」、「JJ」、「ViVi」、「with」、「MORE」、「Olive」、「私の部屋」、「TVガイド」や、マタニティ・育児雑誌、家庭誌の「ベビーエイジ」、「マタニティ」、「Balloon」、「すてきな奥さん」、「Como」、「レタスクラブ」、「クロワッサン」やレディースコミック誌の「Me」、「BE・LOVE」、「YOU」があり、多分野、多種類に渡り、独身、妊婦、主婦等の立場のみならず地域や世代をも問わない、全国のあらゆる女性に対する強力な宣伝活動を展開してきた(甲第22号ないし第88号証)。掲載された号としては、例えば、「女性自身」(甲第22号ないし第30号証)、「女性セブン」(甲第31号ないし第41号証)、「週刊女性」(甲第42号ないし第50号証)、「SAY」(甲第51号ないし第58号証)、「クロワッサン」(甲第59号ないし第66号証)があり、これら各雑誌の昭和61年、昭和62年、平成2年における1号あたりの平均販売部数、発行部数は、「女性自身」が約81万?96万部、「女性セブン」が約71万?93万部、「週刊女性」が約50万?64万部、「クロワッサン」が約60万?70万部、「SAY」が約63万部であったことから、宣伝効果は絶大であった(甲第89号証)。
なお、甲第22号証から甲第88号証の雑誌の記事には、サンプルの応募先として雑誌名と丸囲み数字を明記することを求めているが、この丸囲み数字は広告掲載当初から現在に至るまで当該雑誌の発売月を示している。加えて、各記事の電話番号の記載は、市外局番03の後が7桁表示になっており、東京23区の電話番号が8桁表示になったのが平成3年1月1日であることからすれば(甲第155号証)、これらの雑誌広告がいずれも平成3年1月1日以前になされたものであることは明白である。
(b)会社設立前からの顧客に対する宣伝活動
次に、請求人は、雑誌広告を通じた新規顧客の開拓だけでなく、会社設立以前からの既存の顧客に対しても請求人商品の宣伝を強力に行ってきた。
請求人は、本件洗顔料の商品名が「シャローネ」だった昭和56年?60年の期間にも、全国販売され、かつ相当の発行部数を誇っていた「週刊女性」、「週刊平凡」等の各種雑誌に定期的に商品宣伝を掲載していたことから(甲第90号ないし第99号証)、パパウォッシュ洗顔料発売の昭和60年9月時点でも全国に相当数の顧客を抱えていた。そのため、パパウォッシュ洗顔料発売に当たって、商品名を「シャローネ」から「パパウォッシュ」、「パパウォッシュ・デラ」に変更する旨の案内(甲第17号証、甲第18号証)を既存の顧客に送付して、引き続きパパウォッシュ洗顔料を始めとした請求人の商品を購入してもらえるように、パパウォッシュ洗顔料の認知度を高めるための努力を行ってきた。
(c)ダイレクトメールによる宣伝活動
請求人は、甲第6号証の業務マニュアルに示すように、顧客を、サンプル請求したのみの「サンプル客」、初めての購入者で金額が1万円以下である「新規客」、2回以上の購入者で累計1万円以下である「継続」、累計が1万円以上である「ESS友の会」の「会員」の3種類に分類して管理しており、この顧客分類に応じて、紹介商品や商品価格を変えたり、商品サンプルを付けたりする等の顧客を引き付けるための様々な工夫を凝らしたダイレクトメールを送付してきた(甲第4号ないし第6号証、甲第18号証、甲第112号ないし第125号証の3、甲第136号証の3、甲第139号証の2、甲第139号証の3、甲第139号証の7)。また、特に購入金額が多いリピーター客である「会員」に対しては、商品を20%割引で販売する他に、新商品、季節に合った商品の紹介や商品愛用者の声などが掲載された「パパイヤ通信」等の会報誌を送付している(甲第100号ないし第111号証)。
このように、請求人は、雑誌等で商品の宣伝を行っている他に、サンプル請求者や一度でも商品を購入した経験をもつ顧客全てに対して、継続的に商品情報を提供してきており、この商品情報の提供により新たに商品を購入してもらえるように努力してきた。そのダイレクトメールや会報誌の中には、請求人の看板商品であるパパウォッシュ洗顔料は大きく掲載されており、これらダイレクトメール等を受け取った顧客は、大きく取り上げられて紹介されているパパウォッシュ洗顔料及びその商標の存在を目にしていたことは明らかである。
(d)その他の活動
請求人は、雑誌やダイレクトメールでの宣伝活動以外にも、パパウォッシュ洗顔料の写真を載せた年賀状の送付、新聞での折り込み広告やタレントを起用する等様々な宣伝活動を行ってきた(甲第20号証、甲第140号証等)。
新聞の折り込み広告については、例えば平成3年から4年にかけて、全国紙である朝日新聞、読売新聞やその他地方紙にパパウォッシュ洗顔料の広告を入れることで全国の各家庭に配布していた(甲第139号証の1、甲第139号証の6)。甲第139号証の1の「折り込み広告配布状況」に示すように、場所によって配布数は異なるものの、2日間で82万?158万部の広告が、北海道、宮城県、東京都内、千葉県、埼玉県、神奈川県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、岡山県、広島県、九州各県の全国の各家庭に配布されていた。
また、請求人は、平成3年3月に、当時テレビドラマなどで女優として活躍していた大西結花を広告のイメージキャラクターとして契約しており、会報誌「パパイヤ通信」やサンプル請求者に送付する商品カタログに写真を掲載して、パパウォッシュ洗顔料を始めとする各種商品のイメージの向上を図るとともに、商品の注目度を高める努力を行ってきた(甲第4号証、甲第5号証、甲第103号ないし第112号証、甲第122号証、甲第128号証の1)。
こうした請求人による積極的かつ能動的な宣伝活動に加え、実際に購入した人達による口コミも大きな宣伝効果を上げている。パパウォッシュ洗顔料は、洗顔という日常的に行う行動に使用されるせっけん、化粧品であるところ、洗顔料は短期間で消費される商品であるため、新しい商品に買い替える機会に富むのが特徴である。そこで、次の洗顔料は何を選択すべきかを迷う消費者は多く、その中でも特に女性であれば、ニキビ対策・美肌効果が高い商品や新商品の情報に対して非常に敏感であって、少しでも良い商品を見つけたいと考えているのが常である。そのため、家族や友人同士の会話の中では、自分が今どの洗顔料を使用しているか、どの商品がお薦めであるか、等の商品に関する情報は日常的な話題として上げられるのであるから、商品に関する情報交換が各地で頻繁になされているのである。こうした日々行われている情報交換により、雑誌等の広告に触れる機会が無かった人に対してもパパウォッシュ洗顔料の紹介が行われており、「パパイヤ通信」等の会報誌に「愛用者の声」として掲載されているように、実際に友達等から紹介を受けてサンプル請求を行ったり、パパウォッシュ洗顔料を購入して顧客になったりした人も多く存在している(甲第104号ないし第112号証)。
請求人は、顧客から送られてくるハガキや市場調査から、こうした口コミによる宣伝が非常に高い効果を持っていることを認識していたので、既にパパウォッシュ洗顔料の良さを理解している会員等に対し、カタログ類とともに友達紹介カードをダイレクトメールに同封して送付し、積極的に友人や知り合い、家族等に商品を紹介してもらえるように働きかけていた(甲第126号証、甲第127号証)。
このように、請求人は、様々な媒体を利用して、有名女優のイメージキャラクターとしての起用、効果的な広告、口コミや友人紹介といった各種の宣伝活動により、パパウォッシュ洗顔料を始めとした請求人の商品に目を向けてもらえるような工夫を凝らす等、多大な営業努力を行ってきたのであるから、平成3年6月25日前に、商標「PAPAWASH」、「Papawash」及び「パパウォッシュ」が日本全国において周知性を獲得していたことは明らかである。
(e)商標の使用地域
請求人は、パパウォッシュ洗顔料の発売当初より、全国販売されている各種雑誌に商標「パパウォッシュ」を使用した請求人名義の広告を多数掲載してきた他、全国各地のサンプル請求者や顧客に対してダイレクトメールや会報誌を送付してきたことから明らかなように、全国的に商標「パパウォッシュ」を使用していた(甲第22号ないし第88号証、甲第100号ないし第127号証)。また、通信販売の性質上、全国各地より商品サンプル請求や商品の購入申込がなされ、全国にパパウォッシュ洗顔料が行き渡っていることから明らかなように、商標「PAPAWASH」及び商標「Papawash」についても全国的に使用してきた。
このことからすると、請求人は、商標「パパウォッシュ」、商標「PAPAWASH」及び商標「Papawash」のいずれについても、日本全国において使用していたのである。
(ウ)パパウォッシュ洗顔料の販売実績等
請求人は、パパウォッシュ洗顔料の販売開始以来、大規模な宣伝広告活動を行う等の営業努力を行っていた結果、パパウォッシュ洗顔料は年々売上を伸ばしており、有田氏が本件商標を出願した平成3年6月25日当時には相当の売上となっていた(甲第128号証の1、甲第128号証の2)。
請求人は、平成3年6月25日以前には、現在のように店頭販売を行っておらず、ハガキや電話を使った通信販売の方法だけでパパウォッシュ洗顔料を販売してきた(甲第4号証、甲第6号証)。通信販売という販売方法においては、売上を伸ばすために宣伝広告活動を行って商品の存在を知らしめることは必要不可欠であるが、販売開始から毎年売上高を増加してきたという事実は、請求人が行ってきた宣伝広告活動が実を結び、多くの人達にパパウォッシュ洗顔料を始めとする請求人の商品の存在を認識させることができたことを示している。
(a)事業規模について
請求人は、甲第128号証の1、甲第128号証の2のように、昭和60年9月の会社設立以来、年々売上を伸ばし続けてきた。また、パパウォッシュ洗顔料は請求人の看板商品であったことから、請求人の売上高の中でも最も大きな割合を占めていた。
(b)パパウォッシュ洗顔料の販売個数
パパウォッシュ洗顔料の販売個数は、甲第132号証の1ないし12に記載された「パパウォッシュ」と「パパウォッシュデラ」の当月出庫数の合計から明らかなとおり、昭和62年9月3,019個、10月3,351個、11月3,181個、12月3,098個、昭和63年1月2,940個、2月3,855個、3月3,589個、4月3,749個、5月3,887個、6月4,691個、7月4,878個、8月4,488個であった。
上記の昭和62年9月から昭和63年8月のいずれの月においても、パパウォッシュ洗顔料は3,000個以上の売り上げがあり、時の経過とともに売上個数は増加している。そして、他の製品と比べて圧倒的にパパウォッシュ洗顔料の販売個数が多いのであるから、パパウォッシュ洗顔料が請求人の売上の大半を占めていたことは明らかである。
(c)購入者数の増加
請求人は、各顧客を新規、継続、会員の3種類に分類していたところ、継続的に行ってきた大規模な広告宣伝の結果、パパウォッシュ洗顔料の発売開始から毎年増加し続けていた。
a 新規購入者の人数
まず、これまで請求人の商品を購入したことはなく初めて商品を購入した顧客である新規購入者は、昭和61年4月から平成2年11月にかけては、合計で86,890人も増加した。その内訳は甲第133号証の1ないし58、甲第137号証の4のとおりである。
b 継続購入者の人数
次に、2度目以降の購入者で前回までの累計購買額が1万円以下である継続客の購入者は、昭和61年4月から平成2年11月までに合計で27,862人に上った。その内訳は甲第133号証の1ないし58、甲第137号証の4のとおりである。
c 会員購入者の人数
さらに、2度目以降の購入者で前回までの累計購入額が1万円を超えている会員の購入者は、昭和61年4月から平成2年11月までに合計で85,265人に上った。その内訳は甲第133号証の1ないし58、甲第137号証の4のとおりである。
(d)サンプル請求者数
甲第22号ないし第88号証の雑誌に掲載された宣伝広告において、請求人は商品紹介とともにサンプル請求の申し込み方法を記載する等してサンプル請求の意欲を掻き立てる効果的な宣伝方法を行ってきた結果、顧客数や売上高と同時に、サンプル請求者数も年々大きく伸びていた(甲第137号証の4)。
(e)広告費
上記のように、売上高が年々増加していることを受けて、請求人は宣伝広告費も増額させてきた。
甲第136号証の14の表における広告制作費と広告掲載料を合計すると、昭和61年10月?昭和62年8月の広告費は、28,911,125円に上った。
甲第134号証の1?12における各月の広告料を合計すると、昭和62年9月?昭和63年8月の広告費は、57,853,915円に上った。
さらに、甲第128号証の4及び甲第135号証記載の広告費を合計すると、平成1年9月から平成7年8月までの広告費は平成元年9月?平成2年8月:209,147,647円、平成4年9月?平成5年8月:546,974,428円、平成5年9月?平成6年8月:817,218,059円、平成6年9月?平成7年8月:1,043,928,925円のようになっている。
このように、各種雑誌に継続的かつ大々的に広告を掲載したり、顧客にダイレクトメールやカタログを大量に送付してきている他、イメージキャラクターとして女優の大西結花と契約して各種カタログ等に写真を掲載する等、請求人はパパウォッシュ洗顔料発売開始から平成3年6月25日に至るまで、意欲的に宣伝広告活動に取り組んでおり、上記の広告費の増加は請求人の宣伝にかける意欲の表れである。
(f)平成4年以降のサンプル請求数及び新規購入者数
請求人が、パパウォッシュ洗顔料の販売開始以来、雑誌等での広告宣伝活動を継続的に行ってきたことで、平成3年6月25日以前にはパパウォッシュ洗顔料は請求人が販売する商品として多くの人々に知られていた。そして、商標「PAPAWASH」、「Papawash」及び「パパウォッシュ」が周知性を獲得したことや継続的な宣伝広告活動を行ってきたことで、平成3年度以降も順調にサンプル請求数、新規購入者数、継続購入者数及び会員購入者数を毎年増加させるに至っている(甲第128号証の3、甲第129号証の1ないし第131号証の3)。なお、平成4年以降のサンプル請求者数は甲第128号証の3のとおりである。
また、サンプル請求者数だけでなく、請求人の商品を実際に購入した新規購入者も増加してきている(甲第129号証の1ないし3)。
(エ)小結
以上のとおり、請求人は地域、規模、数量の面で非常に意欲的に広告宣伝活動を行っており、例えば、多種類の雑誌に多数回にわたり広告を掲載したり、新聞の折り込み広告を配布したり、会員等の各顧客にダイレクトメールやカタログを送付したりといった活動を行って、パパウォッシュ洗顔料を多くの人に知ってもらうべく宣伝広告に努めてきた。その内容も、雑誌の1ページ全面に読者が目を止めやすい内容の宣伝コピーを付して広告を掲載したり、単なる商品紹介だけでなくサンプル請求ハガキを添付して当該広告ページを開きやすくしたりするといった、読者がパパウォッシュ洗顔料に関心を持つように効果的なものとしていたのである。
こうした継続的かつ大々的な宣伝広告の結果、パパウォッシュ洗顔料は多くの人々に存在を知られるようになり、請求人に対するサンプル請求者数、購入申込者数は販売開始から年々伸び続け、平成2年にはサンプル請求数は月平均10,000通、購入申込者数は新規、継続、会員を含めれば月平均7,000人を超えるに至り、新規購入者数も1年間に26,000人(月平均2,200人程度)以上が増えるようになっていた。そして、平成4年には、サンプル請求数は月平均22,000通を超え、新規購入者数は1年間に80,000人(月平均6,700人程度)以上増加するようになったことからすると、平成3年時にはサンプル請求数は月平均15,000通を超え、新規購入者も1年間に50,000人(月平均4,200人程度)以上増加していたことが伺われる。
しかしながら、これらの人数は請求人が販売するパパウォッシュ洗顔料を知っている人々のほんの一部に過ぎない。広告を見てパパウォッシュ洗顔料に興味を持ったもののサンプル請求や購入申込まではしない者、友人などから紹介されてパパウォッシュ洗顔料を知ってはいるがサンプル請求や購入申込まではしていない者は、実際にサンプル請求してきた人数よりも遙かに多く存在するのであり、平成3年6月25日以前に、請求人が把握することができない程の大人数に請求人の販売するパパウォッシュ洗顔料が知られていたことは明白なのである。
そして、上記の広告活動は、すべて請求人である株式会社イー・エス・エスの名称のもとに行われている以上、広告を目にした人々、商品の存在を知った人々が、商標「PAPAWASH」、「Papawash」及び「パパウォッシュ」を請求人の商品を表示するものとしてのみ認識していたのである。
以上からすれば、これまで請求人が行ってきた宣伝態様、商標使用年数、販売実績、顧客の数からみれば、平成3年6月25日当時には、商標「PAPAWASH」、商標「Papawash」及び商標「パパウォッシュ」のいずれの商標も請求人の業務に係る商品である「せっけん類,化粧品」を表示する商標として需要者の間に広く認識されていたことは明らかである。
イ 本件商標と商標「PAPAWASH」、「Papawash」及び「パパウォッシュ」との関係
(ア)商標が同一又は類似であること
本件商標は片仮名文字の「パパウオッシュ」を横書きしてなる、上記(1)に記載のとおりの商品を指定商品とするものである(甲第2号証)。
本件商標は、請求人の業務に係る「せっけん類,化粧品」について使用をしている周知商標である「パパウォッシュ」と同一の標章と見ることができ、同一の称呼が生じるものである。
請求人の業務に係る周知商標である「PAPAWASH」は、アルファベット「PAPAWASH」の欧文字8字を横書きしたものであって、造語であるところ、その称呼は慣用的な読みから発せられる「パパウォッシュ」である。また、「PAPAWASH」なる文字列は一体不可分であるから他の称呼が発せられることはなく、他の称呼をもって商品を特定されることはない。
請求人の業務に係る周知商標である「Papawash」は、既述のとおり、横書きしてなる欧文字「Papawash」と、この「Papawash」中のアルファベット「w」の左側部分をパパイヤの木の幹に見立て、その延長上の中央部に3つ果実と、この果実を前にその後方及び左右に円弧状かつ放射状に茎を配するとともに、茎の先端に異なる大きさの3枚の葉を配することにより、遠近感を持たせたパパイヤをイメージさせる図形とを一体不可分とした文字及び図形からなる標章である(甲第21号証)。したがって、その称呼は、「パパウォッシュ」であって、パパイヤを想起させる。
また、「Papawash」は、パパイヤのイメージ図形が描かれていることから、パパイヤとの関連性を持つという観念を生ずるものである。
よって、周知商標である「パパウォッシュ」、「PAPAWASH」及び「Papawash」は、いずれも本件商標と同一又は類似の商標である。
(イ)商品が同一又は類似であること
請求人は、昭和60年から平成3年の7年間にわたって、商標「PAPAWASH」、商標「Papawash」及び商標「パパウォッシュ」を本件洗顔料に使用するとともに宣伝広告にも使用をしてきていた。そして、本件洗顔料は、せっけん類に該当することに加え、化粧落としや角質除去の効果も有している。斯かる効果を有する化粧品について他の登録例を挙げると、スキンクレンジング用化粧品(商願2003-10091号、登録第4722986号)等甲第141号証がある。これらは、審査において「化粧品」と認められたものであり、化粧落としや角質除去の効果を有する洗顔料は「化粧品」に該当するものである。
よって、本件商標の指定商品は、周知商標である「パパウォッシュ」、「PAPAWASH」及び「Papawash」が使用されてきた商品と同一又は類似である。
(ウ)小結
したがって、本件商標は、その指定商品のうち「せっけん類、化粧品」について、他人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であって、その商品又はこれらに類似する商品について使用するものとして、商標法第4条第1項第10号の規定に該当する。
ウ 本件商標登録は不正競争の目的で登録を受けたものであること
本件商標は、平成5年6月4日に設定登録されているため(甲第1号証、甲第2号証)、本審判請求時には既に登録から5年は経過している。しかしながら、有田氏による本件商標登録には「不正競争の目的」(商標法第47条第1項)があるので、本件請求には除斥期間は適用されない。
(ア)商標「パパウォッシュ」の信用に便乗するために無断で本件商標の登録出願をしたこと
前述のとおり、商標「PAPAWASH」、商標「Papawash」及び商標「パパウォッシュ」は、渡邊氏が案出した独創的な造語であって、渡邊氏は会社設立に当たって自ら創出したこの商標を周知させるために相当の熱意をもって販売活動や宣伝活動を行ってきた。販売活動については、パパウォッシュ洗顔料のボトル、外装、小包、分包等のデザインをデザイナーである佐藤氏に依頼する等、パッケージデザインの全てを請求人の側で決めていた(甲第136号証の4、甲第136号証の8、甲第137号証の3、甲第138号証の3、甲第138号証の5、甲第139号証の4、甲第139号証の5、甲第139号証の9)。また、宣伝広告活動の内容、期間、規模に関しては、前述の「商標『PAPAWASH』、『Papawash』及び『パパウォッシュ』の周知性」のとおりであり、これほど大規模な広告活動を7年間に渡り継続し、会社の売上を毎年飛躍的に増加させてきたという事実から明らかなように、渡邊氏は新たに設立した会社を発展させていくこととともに、自らが創出した商標を付したパパウォッシュ洗顔料を多くの人に知ってもらいたい、使ってもらいたいという情熱を持って意欲的に営業活動を行ってきたのである。
そして、これらの営業活動が実を結んだ結果、有田氏が出願した平成3年6月25日当時には、商標「PAPAWASH」、商標「Papawash」及び商標「パパウォッシュ」が請求人の販売するせっけん類、化粧品を示すものとして広く認識されるに至っており、多くの信用等が化体することになった。かかる周知性や信用は、あくまで請求人が長年に渡ってパパウォッシュ洗顔料を雑誌や会報誌等で宣伝したことや、宣伝により売上を年々伸ばしてきた等により獲得したもの、すなわち、請求人の多大な営業努力の賜物というべきものであって、パパウォッシュ洗顔料を製造し請求人に納入していたにすぎない被請求人及びその代表者であった有田氏の功績ではないのである。
それにもかかわらず、パパウォッシュ洗顔料の製造・納入をしていた被請求人の代表取締役であった有田氏は、商標「PAPAWASH」、商標「Papawash」及び商標「パパウォッシュ」のいずれも請求人により商標登録されていなかったことを奇貨として、商標使用者である請求人に一切の断りもなく、本件商標について設定登録したのである。
すなわち、有田氏が、請求人が使用をしている周知商標「パパウォッシュ」に蓄積された多大な信用に便乗しようとして、請求人に無断で本件商標の登録出願をしたことは明らかである。
(イ)有田氏に自己の利益を図る意図があったこと
本件商標が有田氏によって商標登録されてしまったことで、請求人は自己が使用をする商標「パパウォッシュ」と、同一である本件商標登録に係る商標権(以下「本件商標権」という。)を有田氏に持たれることになってしまった。そのため、請求人は、営業活動において最も重要な権利を有田氏に握られたことで、立場が不安定になることを恐れて、有田氏に対して本件商標権を譲渡するよう再三求めてきた。しかし、有田氏は、取引を通じてパパウォッシュ洗顔料の毎月の売上個数や、年々売上が伸びていたことを知っていたために、本件商標がどれほど重要なものかを理解しており(甲第137号証の2、甲第138号証の4、甲第138号証の7)、請求人に対して「化粧品の場合は雑貨等と異なり、製造許可と商標権を同時に保有する必要がある。」、「製造できない者が商標権を持っても意味は無い」などと詭弁を弄して、高い価値を持つ本件商標権を移転することを拒絶し続けた(甲第142号証及び甲第143号証)。
その後、有田氏は、自己の都合により、被請求人の株式を売却せざるを得なくなり、その途を探していたところ、請求人と同業である株式会社ファンケルが名乗り出てきたことを受けて、被請求人に本件商標権を移転させた上で、平成19年10月26日にファンケルに対し被請求人株式の90%を17億円弱で売却した(甲第144号証)。しかも、有田氏は、株式と本件商標権を売却するに当たっては、請求人に対して本件商標権を譲渡するという提案を正式にすることは一切なく、同業であるファンケルのグループ会社に本件商標権が渡ってしまうことについても何ら相談をすることもなかった。有田氏は、以前から請求人が安心してパパウォッシュ洗顔料を販売するために本件商標権を有していると述べていたにもかかわらず、同業のファンケルに商標権ともども被請求人の株式を売却したため、請求人は今後もパパウォッシュ洗顔料の安定供給を受けられるか分からない状況に置かれることになってしまった。
そこで、請求人は、被請求人との間で新たにパパウォッシュ洗顔料等の製造委託の交渉をすることになったが、その交渉では、被請求人より本件商標に関する使用料を支払うこと等、請求人にとって納得できない要求がなされた。
請求人は、有田氏が本件商標の登録出願以前より、パパウォッシュ洗顔料に商標「PAPAWASH」、「Papawash」及び「パパウォッシュ」の使用をしていた結果、有田氏の登録出願時には、これらの商標が請求人の販売するパパウォッシュ洗顔料を表示するものとして広く知られていたのであり、被請求人の使用許諾に関係なく商標「PAPAWASH」、「Papawash」及び「パパウォッシュ」の使用をできるのであるから、被請求人が本件商標の使用料を支払う理由は全くないのである。にもかかわらず、パパウォッシュ洗顔料の製造委託の条件として本件商標の使用料の支払いを要求してきており、斯かる条件を呑まなければ製造委託契約を締結できない立場に置かれているのである。そのため、本無効審判請求時においても未だ製造委託契約は締結されてはいない。
なお、有田氏が株式会社ファンケルに株式を売却する以前に、被請求人の従業員が、請求人に対して被請求人の株式を買い取って欲しい旨の要望を個人的に持ってきてはいたが、この従業員は有田氏に依頼されたわけではなかった上、有田氏から聞いてきたという売却金額が30億円と請求人が購入するとは到底考えられない程の高額であり、実際の売却額とかけ離れたものであったため、とても正式な申し込みといえるものではなかった。また、この従業員の話には本件商標権譲渡の話は何ら含まれてはおらず、本件商標権を譲り受けることはできないものであった。
このように、本件商標権の譲渡を頑なに拒絶した上、最後には請求人と同業の会社に本件商標権を株式とともに譲渡して請求人に不利益を被らせている一方で、株式及び本件商標権の譲渡により多額の金銭を受け取っているのである。斯かる身勝手な行動から明らかなように、有田氏には当初より請求人の利益に配慮する意図などなかったのであり、請求人の永年使用、広告宣伝、商品販売等の多大な企業努力により商標「PAPAWASH」、「Papawash」及び「パパウォッシュ」に蓄積された、絶大なる請求人の信用や商標の価値に便乗して自己の利益を図ることを企図していたことに他ならないのである。
(ウ)信義則に反すること
有田氏は、渡邊氏が会社を設立する以前から、本件洗顔料の製造・納入を行う等永年の取引関係を有しており(甲第136号証の7、同号証の15及び16、甲第137号証の2、甲第138号証の2、甲第138号証の4及び7、甲第139号証の10及び11)、こうした取引関係を通じて渡邊氏は有田氏を信頼するに至っていた。そこで、有田氏が以前に商標登録出願をした経験があることを知った渡邊氏は、自らが昭和60年4月に出願した商標「パパウォッシュ」、「パパウォッシュ・デラ」について拒絶理由通知書(甲第11号及び第12号証)を受けた際に、どのように対処したら良いのか、有田氏に相談をしたのである。結果として商標「パパ」(登録第1522797号商標、甲第145号及び第146号証)の存在により拒絶査定を受けることになったが(甲第13号及び第14号証)、渡邊氏としては商標「パパウォッシュ」の登録をあきらめたわけではなく、機会があれば商標登録を得たいと考えていた(甲第136号証の6)。すなわち、相談を受けたことで渡邊氏が商標「パパウォッシュ」、「パパウォッシュ・デラ」について商標登録を受けたいという意思を持っていることを十分承知していた。斯かる状況のもとで、有田氏は、商標「パパウォッシュ」が未だ請求人に商標登録されていないことを奇貨として、平成3年になって突然商標「パパウオッシュ」を登録出願するに至った(甲第1号及び第2号証)。しかも、渡邊氏が出願した際に引用された商標「パパ」(登録第1522797号商標)は、平成4年6月29日に存続期間が満了していたため(甲第145号証)、本件商標が商標登録されてしまったのである。
また、有田氏は、「パパウォッシュ」のみならず、請求人の会社名称でもある「イー・エス・エス」(登録第3100008号商標)についてまでも、平成5年3月12日に請求人に無断で登録出願を行い、第3類「せっけん類,歯みがき,化粧品,香料類」を指定商品として平成7年11月30日に設定登録を受けていた(甲第147号証の1及び2)。有田氏は請求人である株式会社イー・エス・エスと取引関係にあっただけで、「イー・エス・エス」という商標を登録する立場に無かったにもかかわらず、あえて請求人の事業内容と直接関わる「せっけん類,歯みがき,化粧品,香料類」を指定商品として出願していた。このような明らかに請求人に不利益を被らせるおそれのある商標登録出願を繰り返していたことから、請求人は本件商標登録の時と同様に、被請求人に抗議するとともに移転するように要求をしてきた。その結果、有田氏は登録から8年後の平成15年になってようやく商標権を請求人に移転するに至った(甲第147号証の2)。
さらに、現在までの23年間に請求人が商標「PAPAWASH」、「Papawash」及び「パパウォッシュ」を使用したことで著名となった本件商標を請求人の取引先でもないファンケルに被請求人の株式ともども売却することは、請求人に大きな不利益となることは明白である。加えて、有田氏は、パパウォッシュ洗顔料を始めとする請求人との取引によって、これまで多大な利益を上げてきていたのであるから、請求人に本件商標権を移転することで請求人に不利益を与えないようにするべき立場にあったのである。
このように、商標登録されていないことを奇貨として無断で他者が使用する周知商標のみならず、請求人の商号に係る「イー・エス・エス」までも請求人に何の許可も得ずして商標登録出願を行い、その登録後は権利を手放そうとしない有田氏の行動は、請求人の利益を図る意図など全くなく、むしろ請求人に不利益を与えてでも自己の利益を図ろうとすることは明白であって、取引通念上あるいは商業道徳からみて背信的行為に他ならず、信義則に反することは明らかである。
(エ)本件商標が請求人の商標登録を阻害していること
有田氏が本件商標を有していたため、請求人は本件商標の存在を理由とした拒絶理由を受けることがあった。
請求人としては、商標「PAPAWASH」、商標「Papawash」及び商標「パパウォッシュ」はいずれも営業活動に欠かせない重要な商標であるから、商標登録を受けたいと考えるのは当然である。しかしながら、被請求人の本件商標が存在するため、化粧品やせっけん類を除いた指定商品でしか商標「Papawash」の登録ができず(甲第148号証)、化粧品やせっけん類に関係する指定商品・役務について拒絶理由を受けるなどした(甲第149号及び第150号証)。
有田氏は、自らが本件商標について設定登録を受けることで、請求人が類似する商標について「せっけん類」や「化粧品」を指定商品とした場合には設定登録できなくなることを当然予想していたはずである。そうだとすれば、あえて本件商標について登録出願するという行為は、有田氏が、今後パパウォッシュ洗顔料に関して、請求人よりも優位な立場に立った上でそれを維持しようと意図したものであることは明らかなのである。
(オ)小結
以上のような商標登録の経緯や、請求人の会社名称についても無断で商標登録したこと、本件商標について交渉しても譲渡を拒絶した挙句、被請求人に移転させるのと同時に被請求人株式を同業のファンケルに譲渡して請求人を不利な立場に追い込んだこと等のこれまでの有田氏の行動からすれば、有田氏は請求人が大々的に使用することで築いてきた商標「PAPAWASH」、「Papawash」及び「パパウォッシュ」の信用を利用して不当な利益を得る目的があったことは明らかであり、商標法第47条第1項にいう「不正競争の目的で商標登録を受けた場合」にあたるから、本請求には除斥期間が適用されない。
エ 結論
以上より、本件商標は、請求人の業務に係る「化粧品、せっけん類」を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標「PAPAWASH」、「Papawash」及び「パパウォッシュ」と同一又は類似する商標であって、指定商品「化粧品,せっけん類」は商標法第4条第1項第10号の規定に違反している上、有田氏は不正競争の目的で本件商標を出願しているので、本請求には除斥期間の適用はない。
したがって、本件商標の指定商品中第3類「化粧品,せっけん類」について登録は無効である。
(3)商標法第4条第1項第7号の規定に該当すること
同号にいう「公の秩序または善良の風俗を害するおそれがある商標」については、「特定の商標の使用者と一定の取引関係その他特別の関係にある者が、その関係を通じて知り得た相手方使用の当該商標を剽窃したと認めるべき事情があるなど、当該商標の登録出願の経緯に著しく社会的妥当性を欠くものがあり、その商標登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ない場合も、この規定に該当すると解するのが相当である。」(東京高裁平成16年(行ケ)第7号、平成16年12月21日判決参照、甲第151号証)や、「登録出願の経緯に著しく社会的妥当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして容認し得ないような場合には、商標の構成自体に公序良俗違反のない商標であっても、7号に該当するものと認めるのが相当である。」(知財高裁平成17年(行ケ)第10028号、平成18年12月26日判決参照、甲第152号証)と判断されており、無効2006-89105、無効2006-89114等これらの判断に沿った審決も数多く出されている(甲第153号及び第154号証)。
本件でも、登録出願の経緯に著しく社会的妥当性を欠くものがあって、本件商標の登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するといえるので、本件商標は7号の規定に該当することは明らかである。
ア 請求人と有田氏との取引関係
既述のとおり、渡邊氏は、請求人である株式会社イー・エス・エス設立以前の昭和56年より、本件洗顔料を被請求人より仕入れて販売していたところ、昭和60年に会社を設立するに当たり、新たに自ら創出した「パパウォッシュ」に商品の名称を変更することにした。そして、薬事法上製造品目追加の許可を得る必要があったため、渡邊氏は有田氏に対し、自らが考えた「パパウォッシュ」及び「パパウォッシュ・デラ」という名称の洗顔料について製造品目追加の許可申請をして欲しいとの依頼をした。有田氏は、この依頼を受けて、昭和60年5月13日に化粧品製造品目追加の申請を行い、同年8月22日に被請求人は「パパウォッシュ」及び「パパウォッシュ・デラ」を名称とする洗顔料の製造許可を得た(甲第15号及び第16号証)。
その後、被請求人は請求人からの注文に応じてパパウォッシュ洗顔料を独占的に製造、納入するようになった。
このように、渡邊氏は、昭和56年から被請求人より本件洗顔料を仕入れてきたことで、平成3年6月25日には既に被請求人の代表者であった有田氏と10年間の取引関係を有していたのであり、この取引関係を通じて請求人が商標「パパウォッシュ」の使用をしていたことを知ったのである(甲第136号証の7、同号証の9、同号証の15及び16、甲第137号証の2、甲第138号証の2、甲第138号証の4及び7、甲第139号証の8、同号証の10及び11)。
イ 有田氏が商標「パパウォッシュ」の価値を把握していたこと
前記のように、パパウォッシュ洗顔料は、被請求人による独占供給の形をとっていたことから(甲第142号証)、有田氏は、請求人からの発注量などにより、現在どの程度の売上があるのかを把握することができた(甲第137号証の2、甲第138号証の4及び7)。
パパウォッシュ洗顔料は、上記「商標『PAPAWASH』、『Papawash』及び『パパウォッシュ』の周知性」で述べたように、昭和60年9月の販売開始以来、請求人により継続的な広告宣伝等の多大な営業努力がなされた結果、平成3年6月25日以前に周知性を得るに至っており、売上高も年々増大していた。被請求人の代表取締役であった有田氏は、新製品の相談などのために請求人と頻繁に連絡を取り合ってきたことや請求人からの発注状況などから、こうした商標「PAPAWASH」、商標「Papawash」及び商標「パパウォッシュ」が広く知られるようになっていたことやパパウォッシュ洗顔料の売上が大きく伸びていることを十分に把握していた。そのため、平成3年6月25日当時、商標「パパウォッシュ」が請求人の販売するパパウォッシュ洗顔料を表示するものとして広く知られていることを理解しており、パパウォッシュ洗顔料が今後もさらに売り上げを伸ばし、商標「パパウォッシュ」に大きな価値・信用が化体することも十分把握していたのである。
したがって、有田氏は、平成3年6月25日当時、商標「パパウォッシュ」が大きな価値を有するもので、当時のみならず将来的にも請求人にとって重要な財産になることを承知していたのである。
ウ 本件商標は有田氏により剽窃されたものであること
渡邊氏は、自ら創出した「パパウォッシュ」について商標登録を受けようと考え、昭和60年4月26日に第4類「せっけん類,歯みがき,化粧品,香料類」を指定商品として商標登録出願を行った(甲第7号及び第8号証)。しかし、当時「パパ」(登録第1522797号、甲第145号及び第146号証)という登録商標が存在していたために昭和62年4月10日に拒絶理由通知を受け、昭和62年7月31日に拒絶査定を受けるに至った(甲第7号ないし第14号証)。
この拒絶理由通知を受けた際、渡邊氏は対処方法が分からなかったため、取引を通じて信頼を置いていた有田氏が以前に商標登録出願を行った経験があったことを知って、有田氏に相談することにした。結局、商標「パパウォッシュ」及び「パパウォッシュ・デラ」については拒絶査定を受けてしまったが、渡邊氏は商標登録を諦めたわけではなく、機会があれば商標「パパウォッシュ」について商標登録を受けたいと考えていた(甲第136号証の6)。
しかし、有田氏は、相談を受けたことで渡邊氏が商標「パパウォッシュ」の登録を望んでいることを知っていたにもかかわらず、平成3年になっても商標「パパウォッシュ」が設定登録されていなかったことを奇貨として、本件商標を登録出願するに至った。請求人の取引相手であって、しかも商標登録したいという渡邊氏の希望を知っていた有田氏が、商標「パパウォッシュ」と「オ」の大きさが異なるのみで実質的に同一の本件商標の登録出願をしたのであるから、有田氏は、渡邊氏が代表取締役を務める請求人の使用をする商標を自己のものにしようとして行ったことは明らかであり、まさに商標の剽窃というべきである。
エ 自己の利益のために商標登録をしたこと
前述のように、有田氏は、昭和62年に渡邊氏より商標「パパウォッシュ」、「パパウォッシュ・デラ」について相談を受けており、また、パパウォッシュ洗顔料を独占的に製造・納入していたため、請求人が商標「パパウォッシュ」を自己の商品を表示するものとして使用をしていた事実を知っていた。にもかかわらず、有田氏は、何ら請求人に相談することなく、平成3年6月25日に第4類「化粧品,香料類,せっけん類」を指定商品として登録出願して、平成5年6月4日に設定登録を受けてしまったのである(甲第1号及び第2号証)。
その後、商標「パパウォッシュ」と「オ」の大きさが違うだけでの商標を登録されてしまった請求人が、再三にわたり本件商標権を譲渡するように求めたものの、「請求人が安心してパパウォッシュ洗顔料を販売するために本件商標登録を行った」、「製造できない者が商標権を持っても意味は無い」などの詭弁を弄して有田氏がこの求めを拒絶していたのは前述のとおりである(甲第142号及び第143号証)。
しかしながら、上記の詭弁を弄しての本件商標を請求人に移転しない独善的な理由までも簡単に翻し、有田氏個人の所有であった本件商標を被請求人の法人財産に組み入れてその株式を売却し、請求人が築き上げてきた商標に化体する信用や金銭的価値が有田氏の金銭獲得の手段に用いられたのである。その結果、請求人は、パパウォッシュ洗顔料の安定供給を受けられるか分からない状態に陥り、ファンケルのグループ会社になった被請求人と交渉せざるを得なくなってしまった。しかも、請求人が永年にわたる使用の結果、商標「PAPAWASH」、商標「Papawash」及び商標「パパウォッシュ」が周知商標になっていたことで、請求人はこれらの商標を化粧品及びせっけん類に自由に使用できる立場にあったにもかかわらず、偶然本件商標権を手に入れたにすぎない被請求人より、本件商標権の使用料の支払いを求める条項を含んだ契約書を突き付けられるという状況に陥っているのである。
こうした請求人への移転を拒む一方で、自己の借金返済等のために請求人の不利益を全く顧みずに同業他社に商標を売却するという登録後の有田氏の行動からは、請求人の利益を図るという意図は全く見えないのであり、当初から自分の利益を図るために商標登録を受けていたものという他ないのである。したがって、有田氏は、請求人の不利益のもとで自己の利益を図ろうとして本件商標の設定登録を受けていたことは明らかである。
オ 結論
以上のように、有田氏は長年にわたる渡邊氏及び請求人との取引関係という特別な関係があったことから、商標「パパウォッシュ」の存在を知るに至った上、パパウォッシュ洗顔料を製造・納入してきたことで売り上げ状況や知名度を把握しており商標「パパウォッシュ」の持つ価値を理解していた。そして、商標「パパウォッシュ」が非常に高い価値を有していることに着目し、請求人の不利益のもとに自己の利益を図ることを意図して、商標「パパウォッシュ」と実質的に同一の商標である本件商標を登録出願し、その設定登録を受けているのであるから、かかる行為は商標「パパウォッシュ」が未だに商標登録されていなかったことを奇貨として、請求人が使用をする商標を剽窃したものであることは明白である。
したがって、本件商標の登録出願の経緯が著しく社会的妥当性を欠き、商標登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものであることは明らかであるから、本件商標は商標法第4条第1項第7号に該当する。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標は、本件商標登録の出願前に既に周知商標となっていた請求人の使用する商標と同一又は類似の関係にあったのであるから、商標法第4条第1項第10号の規定に該当し、しかも、本件商標登録が有田氏による不正競争の目的でなされたものであることは明白であるから、本件無効審判の請求に除斥期間の適用はなく、また、斯かる商標登録及びその後の経過が請求人の正常な営業活動を阻害するものであるから、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものであり、商標法第46条第1項第1号の規定により、無効にすべきである。

2 答弁に対する弁駁
被請求人は、答弁書において縷々述べ、乙第1号ないし第27号証を提出しているものの、いずれの主張も理由がない。
(1)有田氏は「不正競争の目的」(商標法第47条第1項)で本件商標登録を受けたこと【争点1】
ア 本件商標登録の際、有田氏に「不正競争の目的」があったことは、審判請求書に記載した請求人の主張する各事実により十分立証されている。
たとえ請求人主張の事実が本件商標出願から10年以上経過する事実であるとしても、それは、出願及び登録時から現在に至るまでの間、一貫して持ち続けてきた有田氏の本件商標に対する認識が行為として端的に現れた事柄であり、本件商標と同一又は類似である商標「PAPAWASH」、「Papawash」及び「パパウォッシュ」(以下、併せて「使用商標」という。)に化体した多大な信用から利益を得ようとする意図を具体化したものであるから、「不正競争の目的」を推認する根拠となりうる。
イ 被請求人は、登録から15年が経過した後に「不正競争の目的」があるとして無効とされることが除斥期間の趣旨に悖る旨の主張をするが、「不正競争の目的」をもって登録された場合には除斥期間が適用されないことは商標法が明文の規定を置いて認めるところであり、除斥期間の趣旨に反しないことは当然である。
(2)本件商標は、「他人」たる請求人の「業務に係る商品」を表示する使用商標と同一又は類似の商標であること【争点2】
ア 請求人が大規模かつ継続的な広告宣伝活動を自己名義で行ってきたことにより、本件洗顔料は請求人の業務に係る商品として需要者に広く認識されていた。そして、審判請求書記載のとおり、本件商標は使用商標と同一又は類似の商標であるから、本件商標が、「他人」たる請求人の「業務に係る商品」を「表示するものとして需要者の間に広く認識されている」使用商標と同一又は類似の商標であることは明らかである。
イ なお、被請求人が述べているように「他人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に…認識されている商標」に該当するかどうかは、「当該商標の使用された商品に接した取引者、需要者が、だれの業務に係る商品であることを表示するものとして当該商標を認識するかによって定まる」(東京高判平成14年12月25日 平成13年(行ケ)第453号 乙第19号証)としても、使用商標の付された本件洗顔料に接した消費者はあくまで販売者である請求人が出所であると認識するから、使用商標は、やはり請求人の業務に係る商品を表示するものであることは明白である。
そうすると、審判請求書に記載のとおり、本件商標は使用商標と同一又は類似の商標であるから、本件商標は、「他人」たる請求人の「業務に係る商品」を「表示するものとして需要者の間に広く認識されている」使用商標と同一又は類似の商標に該当する。
(3)使用商標が「需要者の間に広く認識されている商標」(商標法第4条第1項第10号)に該当すること【争点3】
ア 請求人は、審判請求書に記載のとおり、多様な宣伝広告活動等の本件洗顔料及び使用商標の認識を高めるための活動を大々的に行っていたことや、そうした活動によりサンプル請求や売り上げが大きく伸びてきたこと等を主張、立証してきたが、斯かる審判請求書における記載により使用商標が周知商標であったことは十分主張、立証されている。
イ 他方、被請求人は、平成3年当時の販売チャネルについて言及し、使用商標は周知性を有していなかったと結論付けているが、被請求人の主張も平成3年当時の消費者の情報収集態様に関する誤った認識に基づくものであり、説得力を欠いている。
即ち、平成3年当時にはインターネットは存在せず、携帯電話も現在のように普及していなかったために、消費者はテレビ、雑誌、新聞、ダイレクトメールといった身近なメディアにより商品の情報を収集していた。特に、雑誌については、販売部数が現在よりも圧倒的に多く(甲第89号証)、読者も現在とは比較できないほど多かったのであり、消費者に対する影響力も非常に大きいものであった。こうした状況にあり、広告によって本件洗顔料の売上げも伸びていたのであるから、請求人が行ってきた宣伝広告活動は大きな効果を挙げてきたことは疑いがなく、使用商標が周知性を有していたことは明らかである。
(4)本件商標が「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」(商標法第4条第1項第7号)に該当すること【争点4】
ア 審判請求書に記載のとおり、有田氏は、請求人との取引において使用商標を使用していたことや、本件洗顔料の売上げが増大し今後も継続的に伸びることを予想していたこと、長年使用し多くの費用と労力をかけて宣伝する等渡邊氏が自ら案出した使用商標に多大な業務上の信用を蓄積させてきたことを知りながら、商品製造とは無関係の本件商標について無断で商標登録を受けた。
そして、登録後に至っては請求人のことなど全く考えようともせず、自己の保身のために多額の金銭と引き替えに、被請求人株式の売却と合わせて本件商標権を譲渡したのである(甲第144号証)。
こうした出願時及び出願後の有田氏の振る舞いから、使用商標が商標登録されていないことを奇貨として、有田氏が当初から請求人を支配するとともに使用商標に蓄積した信用から利益を得ようとしたことは明らかであり、本件商標はまさに剽窃されたものである。
イ そうすると、審判請求書の記載により、本件商標は、「登録出願の経緯に著しく社会的妥当性を欠くものがあり、その商標登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ない場合」として「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」に該当することは明白である。
ウ さらに、被請求人株式の売却について、被請求人は有田氏の指示で買取意向を打診した旨述べているが、有田氏には元々正式な交渉に発展させるつもりも本件商標権を譲渡するつもりも無かった。従業員が希望したために仕方なく請求人への打診を許可したに過ぎないのであり、請求人に伝えた金額が実際の売却額の倍近くであること、本件商標権の譲渡の話を伝えなかったことから、有田氏が請求人の不利益のもとに自己の利益を得ようとしたことは明らかである。
エ 以上より、本件商標は、その「登録出願の経緯に著しく社会的妥当性を欠くものがあり、その商標登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ない場合」であるから「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」に該当する。
(5)上記のとおり、
【争点1】有田氏が「不正競争の目的」(商標法第47条第1項)で本件商標登録を受けたこと、
【争点2】本件商標が、「他人」たる請求人の「業務に係る商品」(商標法第4条第1項第10号)を表示する使用商標と同一又は類似の商標であること、
【争点3】使用商標が「需要者の間に広く認識されている商標」(商標法第4条第1項第10号)に該当すること、
【争点4】本件商標が「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」(商標法第4条第1項第7号)に該当すること、
はいずれも明らかであり、被請求人の主張はいずれも理由がない。
よって、審判請求書に記載の理由により、本件商標は速やかに無効とされるべきである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号ないし第27号証(枝番を含む。)を提出した。なお、被請求人は、同時に証人尋問を申請している。
1 被請求人の主張の要点
答弁の理由を詳細に述べる前に、各争点に対する被請求人の主張の要点を述べる。
(1)「不正競争の目的」(商標法47条1項)の存否【争点1】
まず第1に、本件における洗顔料「パパウォッシュ(PAPAWASH)(Papawash)」(以下「本件商品」という。)は、被請求人が独自に開発した商品である。被請求人は、この商品を独占的に製造し、その全量を請求人に供給しており、請求人はこれを独占的に販売している。
しかるところ、被請求人の前代表取締役であった有田氏が、本件商標(「パパウオッシュ」登録第2597283号)の登録出願をした理由は、自らが開発し、かつ独占的に請求人に供給する「本件商品」の商品名を商標登録することによって、本件商品にかかる自己の事業の安定性を確保するとともに、製造業者として請求人及び消費者に対する商品の供給責任を果たす点にあった。
そして、このように被請求人が製造業者としての責任を果たし、この商標による商品の安定供給を図りうる体制を整えるということは、同時にその独占的販売業者として同商品にかかる事業を展開する請求人の利益にも叶うことであった。
さらに、本件商標の出願及び登録時までの間に被請求人と請求人との間には強固な関係が築かれていたし、製造技術上本件商品を製造しうるのは製造ノウハウを有する被請求人のみであったことなど、本件を巡る後述の諸事情に照らすと、有田氏は、本件商標の登録出願に関して、標章に付着した他人の信用を利用して不当の利益を得る目的を有していなかったことが明らかである(被請求人も有田氏も、本件商標の使用料を請求人に対して請求したことはない。)。
したがって、有田氏は、「不正競争の目的」(商標法47条1項)で本件商標登録を受けたものではないから、本件商標の設定登録から5年をはるかに経過した現時点において、同法4条1項10号を理由とする無効審判の請求は成り立たない。
(2)本件商標は「他人」の業務にかかる商品を表示するもの(商標法4条1項10号)といえるか【争点2】
本件商品は、もともと被請求人が昭和55年から60年にかけて「シャローネ」という商品名で販売していた商品の名称のみが、使用商標に変更された商品である。しかも、本件商品の化粧箱及び容器には、昭和60年の発売開始以降平成7年に至るまで、製造業者としての被請求人の社名及び販売業者としての請求人の社名が一貫して並べて共に明瞭に記載されていた。
さらに、本件商品は、その品質が需要者(消費者)に対して強く訴求されていたため、需要者(消費者)は、本件商品の化粧箱及び容器に記載されていた製造業者に注目していたといえる。かかる事情から、消費者は、被請求人=製造業者、請求人=販売業者として、本件商品の出所と認識していたのであり、使用商標は、被請求人自身の商品を表示するものであったといえる。
しかも、本件商品は、被請求人が請求人と別の商品を流通におこうとした事案ではない。被請求人が製造する商品は、そのまま請求人が販売しているから、本件商品は同一出所にかかる同一商品に関する案件であり、出所混同の問題は生じない。
さらに、本件において、請求人の使用商標及び使用利益は何ら阻害されていない。よって、本件において被請求人による本件商標の保有は、商標法4条1項10号の趣旨に反しない。
したがって、本件商標が商標法4条1項10号にいう「他人」の業務にかかる商品を表示するものに類似するものであるとして無効とされる理由は存在しない。
(3)使用商標は「需要者の間に広く認識されている商標」(商標法4条1項10号)といえるか【争点3】
本件商標の出願時である平成3年及び登録時である平成5年当時において、本件商品の市場占有率及び需要者の認知度は極めて低かった。
したがって、使用商標は、商標法4条1項10号にいう「需要者の間に広く認識されている商標」に該当しない。
(4)本件商標は「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」(商標法4条1項7号)に該当するか【争点4】
最後に、有田氏による本件商標の登録出願は、被請求人及び請求人が共に携わっていた本件商品にかかる事業を保全するために行われたのであり、有田氏が不当な利益を取得しようとして行なったものではないし、請求人を害する意図があって行なったものでもない。
したがって、本件商標登録出願の経緯に著しく社会的相当性を欠くところがあるとはいえないから、本件商標は「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」(商標法4条1項7号)に該当しない。
(5)小括
よって、請求人による商標法4条1項10号に基づく主張は同法47条1項の規定する5年の除斥期間が経過しているため成り立たず(争点1)、また、本件商標は同法4条1項7号、10号いずれの事由にも該当しない(争点2、3、4)。
以下、上記各争点毎に、本件商標登録を無効とすべき理由が存在しないことを明らかにする。

2 争点1(「不正競争の目的」(商標法47条1項)の有無)
(1)「不正競争の目的」の意義
ア 判例によれば、「不正競争の目的」とは、「標章に付着した他人の信用を利用して不当の利益を得る目的」を指し(乙第15号証)、登録出願時ないし登録査定時において、出願人に「不正競争の目的」があるかどうかが判断される(乙第16号証)。
イ また、商標は、発明などと異なり、考案者(案出者)以外の者でも原始的な権利者となりうる(乙第17号証)。したがって、本件商標を案出したのが請求人であるとしても、そのことを以て有田氏による本件商標の登録出願が「不正競争の目的」をもってなされたということはできない。
(2)本件の事実関係
本件における事実関係に照らし、有田氏に「不正競争の目的」がなかったことは明らかである。
ア 渡邊氏による洗顔料「シャローネ」の販売
昭和56年、洗顔料「シャローネ」の品質を評価した旭硝子株式会社と被請求人の間で、同商品の販売事業に関する商談が進行していた。そのときの旭硝子株式会社の担当者だったのが、請求人の代表取締役である渡邊氏である。結局、旭硝子株式会社自体が被請求人との事業を行うことはなかったが、渡邊氏は、洗顔料「シャローネ」の優れた品質に強く惹かれ、同社から離れて、洗顔料「シャローネ」の販売事業に乗り出した。
そして、渡邊氏は、昭和56年から昭和60年に至る4年間、個人事業として洗顔料「シャローネ」の販売事業を行っており、同商品の宣伝広告活動を積極的に行っていた(乙2 商品「シャローネ」の広告(婦人生活1981年9月号))。その甲斐もあって、4年間で洗顔料「シャローネ」の売上げは順調に伸び、その品質の高さは、主要な需要者である女性層に浸透していった。
イ 被請求人による本件商品の請求人への販売開始に至る経緯
昭和60年、渡邊氏は、本件請求人である株式会社イー・エス・エスを設立し、同社による洗顔料「シャローネ」の販売事業を開始した。同年、渡邊氏は、洗顔料「シャローネ」を製造業者名でもある「シャローネ」以外の名称で販売したいと被請求人に相談した。被請求人は、請求人と協同して上記洗顔料の販売を拡大したいと考えていたこと、また、被請求人の当時の代表者である有田氏が、渡邊氏の洗顔料事業に対する熱意に強く共感を覚えたことから、被請求人は、渡邊氏の申し出に応じることとした。昭和60年、被請求人は、製造業者として厚生省に申請して、「パパウオッシュ」及び「パパウオッシュ・デラ」を商品名とする製造品目追加許可を受けた(甲第15号証)。当時の本件商品は、洗顔料「シャローネ」と品質・分量・容器ともに同一の商品であり、単に商品名を「シャローネ」から「パパウォッシュ」に変更しただけであった(甲第17号証)。
ウ 被請求人と請求人の関係
昭和60年に本件商品の販売が開始されて以降、被請求人と請求人は、本件商品の独占的製造業者とその独占的販売業者という緊密な関係にあった。しかも、被請求人の売上高における請求人に対する売上高比率は、本件商標出願・登録当時、約90%程度を占めており(乙第3号証 被請求人の入金記録)、また、請求人においても、その売上高に占める本件商品の割合は相当程度高かったものと推測される。
現に、両社は、「製造業者=被請求人、販売業者=請求人」という関係にあっただけでなく、ビジネスパートナーとして、本件商品の発展に協力して取り組んできた。たとえば、化粧品である本件商品の外装をどのようなものとするかは、商品販売戦略上重要な意味を持っていたが、被請求人は、本件商品の化粧箱や容器デザインについて、請求人の希望を踏まえ、請求人と議論しながら、自らその構成を考え、印刷会社に直接指示を行っていた(甲第136号証の7)。
エ また、被請求人は、請求人から本件商品に関する消費者の製品クレーム対応について相談を受け、対応方針等について適宜アドバイスしていた(乙第4号証 クレーム対応記録)。本件商品のような化粧品においては、消費者からのクレームにいかに適切に対応するかは、そのビジネスが成功するかどうかを決する上で非常に重要である。本件商品について当初ほとんど知識のなかった請求人の求めに応じて、被請求人は、消費者から請求人に寄せられたクレームに対する回答を請求人にアドバイスするとともに、また、消費者のクレームを真摯に受け止め、本件商品のさらなる品質向上に活かしていたのであった。
オ 有田氏による本件商標出願の経緯
有田氏が本件商標の出願を行った平成3年当時の薬事法は、化粧品や医薬部外品について、当該製品の製造業者が製造許可を取得すべきことを規定していた(乙第6号証 平成3年当時の薬事法第12条1項 なお、販売業者に関しては、特段規定は置かれていなかった)。
そして、製造業者が化粧品について製造許可を取得する際には、当該化粧品の販売名を許可申請書に記載する必要があった(甲第15号証)。また、当時の行政庁の運用として、他人の商標と同じ販売名では製造許可を取得できないこととされていた。
平成3年、有田氏は、本件商品とは無関係の医薬部外品の製造許可を取得するため、香川県の薬務食品課に赴いた(乙第7号証)。その際、同課の職員であった砂原氏から、上記行政庁の運用について指導を受けると共に、第三者に販売名を商標登録されないようにするために早期に商標登録出願を行ったほうがよいとのアドバイスを受けた。そこで、有田氏は、かかるアドバイスに従って、本件商品を含む4商品の販売名についても、第三者に商標登録されることを避けるために、平成3年中に相次いで商標登録出願を行ったのであった(乙第8号証の1ないし3)。
このように、有田氏(すなわち当時の被請求人代表者)の本件商標出願の意図は、自己の業務である本件商品にかかる事業の安定性を確保するとともに、本件商品の単独の製造業者として、その販売業者である請求人や消費者に対する供給責任を果たそうとする点にあった。そして、被請求人が製造業者としての責任を果たすことは、本件商品の販売業者たる請求人にとっても利益になることであった。
(3)本件における「不正競争の目的」の有無
ア 上述のとおり、有田氏は、自らが開発し、被請求人において単独で製造していた本件商品につき、製造業者として安定的に商品供給を行う責任を請求人と消費者に果たすために本件商標を出願したのであり、かつ、それを実践してきた。したがって、本件商標登録時及び登録出願時のいずれにおいても、有田氏が、「標章に付着した他人の信用を利用して不当の利益を得る目的」を有していなかったことは明らかである。特に、上述のとおり、有田氏と請求人との間で本件商標についての話がなされたのが平成15年になって初めてであるが、この事実は、とりもなおさず、請求人が、登録如何にかかわらず、使用商標を何の支障もなく円満に使用し続けてこられたこと、さらにいえば、有田氏が本件商標を取得したからこそ、第三者からの不当な妨害を受けることなく、本件商品の販売を継続できたことを意味する。このような事実のみを以てしても、有田氏に「不正競争の目的」など一切なかったことは明らかである。
イ また、商標法47条1項にいう「不正競争の目的」とは、競争関係の存在を前提としている(乙第9号証 工業所有権法逐条解説[第17版]1345頁)。そして、同条項自体に「競争」という文言が使用されていることも併せ鑑みれば、「不正競争の目的」の判断にあたっては、両社間に「取引上の競争関係」があるかどうかが特に重要な考慮要素となるというべきである。
しかるところ、被請求人と請求人は、共に本件商品にかかる事業を成長させようという共通の目的の下、被請求人が製造業者として独占的に本件商品を製造し、それを請求人が販売業者として独占的に販売するという関係にあり、さらに、パッケージ作成、クレーム対応等にも協力して取り組んできたのであるから、両社は、強固なビジネスパートナーとして商品の製造・販売を行っていたといえる。よって、両社が「取引上の競争関係」にあったということはできない。また、(a)上記のとおり、被請求人と請求人は、強固なビジネスパートナーとして本件商品の発展に取り組んできた関係にあったこと、(b)消費者にとっては、何よりも本件商品の品質が重要であり、本件商品の製造業者である被請求人に対する注目度は大きく、本件商品と被請求人との関連性は極めて強いものであったこと、さらに、(c)本件商品の製造には、有田氏が開発した特殊な製造ノウハウが必要不可欠であり、製造技術上、本件商品の製造をなしうるのは被請求人のみであったことから、本件商標の出願・登録時において、被請求人の競業他社が本件商品ないしその類似商品の製造を行う可能性は事実上なかったのであり、被請求人にとって本件商品に関する競争関係は存在しなかったといえる。
ウ 以上より、登録出願時ないし登録査定時において、有田氏が、標章に付着した他人の信用を利用して不当の利益を得る目的を有していなかったことは明らかであり、同氏による本件商標の登録が、「不正競争の目的」によるものではないことは疑う余地もない。
加えて、本件においては、確かに本件商標の名称自体は請求人が案出したものであるが、そのことを以て被請求人による本件商標の取得が「不正競争の目的」をもってなされたということはできないのは上述のとおりである。
(4)請求人の主張に対する反論
ア 請求人は、有田氏が悪意をもって無断で本件商標を取得したかのような主張をしている。しかし、仮に有田氏が、不当な利益取得を目論んで本件商標の出願を行ったのであるならば、本件商標が登録された事実を請求人に即座に通知して、商標使用料の支払等を要求するか、あるいは、商標権取得を取引材料にして、請求人に不利な取引条件を提示するなどしたはずである。ところが、被請求人は、本件商標登録後、そのような通知は行わず、商標使用料を求めることも、また取引条件を自己に有利に変更要求することもしていない。被請求人は、請求人に対する本件商品の販売価格を上げたことは一切なく、本件商標取得の前から現在に至るまで、販売価格はずっと据え置かれている。
イ また、上述のとおり、有田氏が請求人に本件商標の取得の事実を通知しなかったのは、当時、請求人(渡邊氏)は商標に関して無関心・無頓着だったため、敢えて通知するに及ばないと考え、また、本件商標登録後も、両社の良好なビジネス関係に何ら変更はないため、敢えて話をする必要も感じなかったからに過ぎない。
したがって、有田氏に請求人主張のような悪意がなかったことは明らかである。

3 争点2 本件商標は「他人の業務に係る商品を表示するもの」(4条1項10号)に該当するか
上述のとおり、請求人による商標法4条1項10号に基づく登録無効の主張は、5年の除斥期間が経過しているため理由がないと思料するが、以下、念のため、本件商標が「他人の業務に係る商品を表示するもの」ではないことを主張する。なお、被請求人は、本件商標と使用商標との類似性の点については、争わない。
(1)「他人の業務に係る商品を表示するもの」の意義
ア 商標法4条1項10号が、「他人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標」を商標登録することを禁止した趣旨は、最高裁判例によれば、「需要者の間に広く認識されている商標との関係で商品又は役務の出所の混同の防止を図ろうとする」点にあるとされている(乙第20号証)。かかる趣旨に鑑みれば、当該出願人が当該商標を登録しても、需要者に商品についての混同が生じない商標は、「他人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に…認識されている商標」にはあたらないというべきである。
(2)事実関係
ア 被請求人と請求人は、本件商品にかかる事業において、昭和56年当時から強固なビジネスパートナーとして密接な協力関係にあった。
イ 本件商品は、昭和55年以降、商品名が「シャローネ」であったときから通信販売によって販売され、消費者も当該商品の品質を評価して購入しており、既に一定の評価を得ていた。だからこそ、請求人が、本件商品名である「パパウォッシュ」として昭和60年に当該商品を販売する際、ダイレクトメールによっても商品名の変更を伝え、顧客の継続購入に力を入れていたのである(甲第18号証)。
(3)「他人の業務に係る商品を表示するもの」の該当性
ア 本件商品の特徴は、その品質にあり、また広告によっても、その点が強調されていたのであるから、本件商品の品質に対して、本件商標出願及び登録当時、需要者が大きな関心を抱いていたことは明らかである。そして、本件商標出願及び登録当時、被請求人は本件商品の製造業者として、本件商品の外箱及びボトルに名前が記載されていたのであるから、需要者が本件商品の製造業者が被請求人であると認識していたことは、疑問の余地がない。
イ また、有田氏は、使用商標が付された本件商品のために本件商標を取得し、本件商品以外の商品に付しておらず、現にそれを実践してきたのであるから、本件商標出願及び登録当時、商品の出所について需要者に混同誤認を生じていない。したがって、被請求人が本件商標を登録したことは、商標法4条1項10号の趣旨に全く反しておらず、同号の趣旨に照らしても、本件商標が、「他人の業務に係る商品を表示するもの」に該当しないことに疑いはない。
なお、学説の中には、商標法4条1項10号の趣旨が、周知商標使用者の使用利益を保護する点にあると解する説(使用事実保護説、利益保護説)(乙第11号証 注解商標法242頁)も存在する。しかし、仮に同条項の趣旨がかかる内容であったとしても、被請求人が製造した本件商品は、本件商品の販売開始から現在に至るまで、全て請求人に販売されており、しかも被請求人は本件商標に関し、請求人から商標使用料を含む一切の利益を取得していなかったのであるから、請求人の商標使用利益は全く侵害されていない。よって、上記解釈を採ったとしても、本件商標が、同条項の趣旨に反せず、「他人の業務に係る商品を表示するもの」に該当しないことに変わりはない。

4 争点3 使用商標は「需要者の間に広く認識されている商標」(同法4条1項10号)に該当するか
(1)本件商品の市場占有率等
ア 本件商品の市場占有率
商標法4条1項10号を適用するために引用される商標は、商標登録出願時に我が国の需要者の間に広く認識されていなければならないところ(商標審査基準)、本件においては、同時点での周知性を端的に示す証拠がないため、以下推計する。
本件商標登録出願時である平成3年における洗顔料市場の規模は、売上高ベースで605億円、販売数量ベースで6770万本であった(乙第12号証 富士経済レポート)。一方、被請求人から請求人に対する平成3年の本件商品出荷本数は、約16万本であった(乙第13号証 平成3年時における被請求人の出荷記録)。
仮に、請求人が仕入れた本件商品を全て販売したとしても、平成3年の請求人における本件商品の販売本数は、約16万本に過ぎないことになる。また、上記販売本数に本件商品の希望小売価格(甲第122号証)を乗じて推計した同年の本件商品の売上高は、約6億円である。
したがって、上記推計によれば、本件商標出願時である平成3年当時における、本件商品の当時の市場占有率は、(商品「パパウォッシュ」と商品「パパウォッシュ・デラ」の合計値を採っても)売上高ベースで1.02%、販売数量ベースで0.24%でしかなかった。
イ 本件商品の認知度
また、乙12号証の作成者である株式会社富士経済は、昭和37年に創業された市場調査会社であり、そのリサーチレポートの信頼度は産業界において高く評価されているところ、乙12号証における当時のブランドシェア一覧及び化粧品業界主要商品リストには、本件商品は挙がっていない。したがって、本件商品の当時の消費者の認知度は決して高かったとは言いがたい。
以上のとおり、本件商品の市場占有率や消費者の認知度に鑑みれば、使用商標が、「需要者の間に広く認識されている」とはいえなかったことは明らかである。
(2)請求人の主張に対する反論
請求人は、雑誌等での広告活動やダイレクトメールによる宣伝活動等を行ったことにより、本件商品が需要者に広く認識されていたと主張する。
しかし、平成3年当時は、現在のようにドラッグストアが多数の店舗で化粧品を取り扱う状況にはなく、またインターネットを通じて容易に化粧品の情報を収集したり、商品自体を購入したりすることもできなかった。すなわち、当時の化粧品購入のチャネルとしては、化粧品店、百貨店等の化粧品売場が最大のチャネルだったのである。
このような当時の状況に照らせば、雑誌等での通信販売の広告や、ダイレクトメールによる宣伝活動の効果というものは、極めて限られたものであったといえる。このことは、富士経済レポートによる当時の化粧品の主力メーカーは、ほぼ全てがテレビ広告等のマスメディア広告と化粧品売場での販売チャネルを備えたメーカーであり、いわゆる通信販売を主とするメーカーは1社も入っていないことからも裏付けられる(乙第12号証)。
以上の事情からすれば、本件商標出願時も、同出願登録当時も、使用商標は周知性を有していなかったというべきである。
(3)過去の裁判例との対比
ア 判例は、全国展開されている清酒に係る商標の周知性(4条1項10号)の認定に関し、「清酒も外国酒も購入する可能性のある成人一般の需要者を基準として考慮すべきである」とし(乙第21号証)、また、商標法4条1項10号のいわゆる周知性が認められるためには、「少なくともその同種商品取扱業者の半ばに達する程度の層に認識されていることを要する」としている(乙第22号証)。
イ 本件商品は、請求人も認めているように通信販売により全国的に販売されていた商品であり、また、一般消費者が使用する洗顔料であるので他の洗顔料との出所混同が問題となりうる。したがって、使用商標の周知性は、洗顔料を購入する可能性のある全国の需要者一般を基準として、その需要者たる消費者の半ばに達する程度の層に認識されていたか否かが判断されるべきである。
ウ しかるところ、上述のような本件商品の市場占有率からすると、本件商品を認知していながら実際には購入しない潜在顧客がある程度存在することを考慮しても、平成3年当時、本件商品が、洗顔料を購入する可能性のある需要者(10代以降の女性全て)の半数程度に認識されていたとは、およそ考えられない。したがって、他の裁判例に照らしても、本件商標出願当時において、使用商標が、「需要者の間に広く認識されている」とはいえない。

5 争点4 本件商標は「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」(4条1項7号)に該当するか
(1)「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」の意義
判例は、商標法4条1項7号にいう「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」には、「その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、矯激若しくは他人に不快な印象を与えるような文字又は図形である場合、当該商標の構成自体がそのようなものでなくとも、指定商品又は指定役務について使用することが社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反する場合、他の法律によって、当該商標の使用等が禁止されている場合、特定の国若しくはその国民を侮辱し、又は一般に国際信義に反する場合、当該商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合、などが含まれる」としている(乙第23号証)。
本件においては、本件商標の出願経緯が問題となっているため、本件商標登録出願が、「当該商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合」にあたるといえるかが問題となる。
そして、上記の場合にあたるといえるためには、自己だけが利益を受ける意図または加害の意図などの不正な意図が必要であるとするのが判例である(乙第24号ないし第27号証)。
(2)本件における「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」の該当性
上述のとおり、被請求人が、本件商標を登録出願した目的は、自己の業務である本件商品にかかる事業の安定性を確保するとともに、本件商品の単独の製造業者として、その販売業者である請求人や消費者に対する供給責任を果たそうとする点にあった。よって、被請求人だけが利益を得る意図や請求人への加害の意図がなかったことは明らかである。そして、被請求人は、請求人から本件商標の使用料等を一切収受していないのであるから、現実に何の利益も得ていないし、また請求人を害してもいない。かかる事実からも、被請求人の意図に不正な目的がなかったことは、明確に裏付けられているといえる。
さらに、被請求人が本件商標を保有して、本件商品の商品名が他者によってフリーライドされないようにし、製造業者としての責任を果たすことは、本件商品の品質を信頼している需要者にとっても利益になるのであり、被請求人による本件商標の保有は、まさに商標法の目的(同法1条)にも合致する。
以上からすれば、本件商標は、「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」に該当しないことは明白である。
(3)上記のとおり、本件商標登録出願の経緯に社会的相当性を欠くような事情は存在しないから、本件商標は、「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」(商標法4条1項7号)には該当せず、商標法46条1項1号の規定する無効事由にあたらない。

6 結論
(1)以上のとおり、被請求人による本件商標登録は、「不正競争の目的」によるものではなく、請求人による商標法4条1項10号に基づく登録無効の主張は、5年の除斥期間が経過している。
(2)本件商標は、「他人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標と類似する商標」ではなく、しかも、使用商標は「需要者の間に広く認識されている」とはいえないことから、本件商標は商標法4条1項10号に違反してなされたものではない。
(3)本件商標は、「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」には該当せず、同項7号の規定に違反してされたものではない。
したがって、本件商標は、商標法46条1項1号に該当するものではない。

第4 当審の判断
1 請求人提出の証拠によれば、以下の事実が認められる。
(1)甲第3号証は、「履歴事項全部証明書」と認められるところ、請求人は、昭和60年9月5日に設立されていることが認められる。
(2)甲第4号及び第5号証には、請求人の業務内容及び沿革が記載されている。
(3)甲第7号ないし第14号証によれば、請求人の代表取締役である渡邊氏は、昭和60年4月26日に商標「パパウォッシュ」及び「パパウォッシュ・デラ」に関する商標登録出願をし、該出願は、昭和62年6月19日に拒絶査定されていることが認められる。
(4)甲第17号証は、「『シャローネ』の名前が『パパウォッシュ』と変わりました!」と題する書面と認められるところ、該書面により請求人が商標「パパウォッシュ」を付した洗顔料について、昭和60年9月に販売開始した事実を認めることができる。
(5)甲第22号ないし第88号証の雑誌「女性自身」等(発行日 1986年2月25日ないし1990年9月11日)によれば、それぞれの広告欄に使用商標を付した使用商品が掲載されていた事実を認めることができる。
(6)甲第100号ないし第104号証は、カタログ(Spring 1990ないし1992発行)と認められるところ、該カタログには、商品情報や愛用者の声が掲載されていた事実を認めることができる。
(7)甲第113号ないし第127号証は、会員用申込券等と認められるところ、該申込券には、会員に対し、新商品情報等を記載した往復ハガキを送っていた事実を認めることができる。
(8)甲第128号ないし第139号証は、売上及び経常利益推移表等と認められるところ、該表等に記載されている売上高等はいずれも何等の裏付けが示されていない。
(9)甲第144号証は、「企業情報」と認められるところ、該情報によれば、被請求人は、平成19年10月26日に株式会社ファンケルへ本件商標権と共に売却した事実が認められ、該会社の子会社となったことを認めることができる。

2 被請求人提出の証拠によれば、以下の事実が認められる。
(1)乙第5号証は、「履歴事項全部証明書」と認められるところ、被請求人の前代表取締役であった有田氏が代表取締役の一人である株式会社イーエスコスメチックスが平成7年3月7日に設立していることが認められる。
(2)乙第10号証の1ないし3は、使用商品の外箱及び容器と認められるところ、該外箱には、発売元が請求人であり、製造元が被請求人であることが記載されており、使用商標を付した使用商品が使用期限等の記載より本件商標の登録出願前に取引されていた事実を認めることができる。
(3)乙第14号証の1ないし5によれば、請求人が商標「イー・エス・エス」に関する出願をし、登録無効となった経過を示す書類一式を平成5年3月10日に有田氏へ送付したことが認められる。

3 商標法第4条第1項第10号該当について
前記1及び2の事実によれば、使用商標を付した使用商品について、昭和60年9月の販売開始から発売元が請求人であり、製造元が被請求人であったことが認められ、その関係は、少なくも、被請求人が平成19年10月26日付で株式会社ファンケルの子会社となるまで、20年以上続けられていたといえるものである。
そうすると、請求人と被請求人との間には、本件商標の登録出願時はもとより登録査定時において、使用商標を付した使用商品の製造、販売に拘わっていたという取引関係が存在しており、両者の関係は、少なくとも20年以上続けられていたといえるものであるから、被請求人が、平成19年10月26日付で株式会社ファンケルの子会社となったしても、本件商標の登録査定から14年以上も経過していることであって、請求人が商標権者であった有田氏に本件商標権を譲渡するよう求めたことに対して取り合おうとしなかったことや、株式会社ファンケルに本件商標権が渡ってしまうことについて何ら相談もなかったこと等をもって、商標法第47条第1項で規定する「不正競争の目的」で本件商標の登録を受けたものとはいえない。
してみれば、有田氏は、本件商標の登録出願に関して、他人の信用を利用して不当の利益を得る目的を有していなかったとみるのが相当であって、商標法第47条第1項で規定する「不正競争の目的」で本件商標の登録を受けたものとはいえないから、本件商標の設定登録から5年を経過した現時点において、同法第4条第1項第10号を理由とする本件無効審判の請求は成り立たない。

4 商標法商標法第4条第1項第7号該当について
前記3のとおり、請求人と被請求人との間には、使用商品の製造、販売に拘わっていたという取引関係があり、その関係は20年以上続けられていたといえるものであることからすれば、被請求人の前代表取締役であった有田氏が、本件商標の登録を受けたことが直ちに商取引の秩序を乱すものであるとはいい難いものである。
そして、本件商標は、その構成前記第1のとおりであって、その構成自体が矯激、卑猥、差別的若しくは他人に不快な印象を与えるようなものではなく、その指定商品に使用することが、社会公共の利益又は一般的な道徳観念に反するようなものともいえない。また、法律によって使用が禁止されているものでもない。
また、請求人は、「有田氏は、渡邊氏が会社を設立する以前から、使用商品の製造・納入を行う等永年の取引関係があったこと、渡邊氏は、登録出願した使用商標について、拒絶理由通知を受けた際に有田氏に相談していたこと、その後、請求人は、有田氏に対して本件商標権を譲渡するよう再三求めたが、有田氏はこの求めに応じなかったこと等商標登録及びその後の経過が請求人の正常な営業活動を阻害する」旨主張している。
しかしながら、前記3のとおり、請求人及び渡邊氏と被請求人及び有田氏との関係は、少なくも、被請求人が平成19年10月26日付で株式会社ファンケルの子会社となるまで、20年以上続けられてきたものであるから、請求人の主張する如く、「請求人は、有田氏に対して本件商標権を譲渡するよう再三求めたが、有田氏はこの求めに応じなかったこと等」であったとしても、被請求人及び有田氏は、決して請求人の営業活動を阻害してきたものとは認められない。
してみれば、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当するものではない。

5 請求人の主張について
請求人が援用する判決例及び審決例(甲第151号ないし第154号証)は、本件と事案を異にするものであって、本件については前記認定のとおりであるから、この点に関する請求人の主張は採用することができない。

6 なお、請求人及び被請求人により、それぞれ証人尋問の申請があったが、本件については前記認定のとおりであるから、その必要性を認めない。

7 まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものではなく、また、同法第4条第1項第10号を理由とする本件無効審判の請求は認められないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(本件商標)




審理終結日 2009-04-07 
結審通知日 2009-04-20 
審決日 2009-05-14 
出願番号 商願平3-66473 
審決分類 T 1 11・ 22- Y (103)
T 1 11・ 25- Y (103)
最終処分 不成立 
特許庁審判長 井岡 賢一
特許庁審判官 佐藤 達夫
小川 きみえ
登録日 1993-11-30 
登録番号 商標登録第2597283号(T2597283) 
商標の称呼 パパウオッシュ、パパ 
代理人 小川 智也 
代理人 畝本 継立 
代理人 鈴木 康仁 
代理人 畝本 卓弥 
代理人 服部 誠 
代理人 畝本 正一 
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