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審決分類 審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 登録しない Y30
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Y30
管理番号 1221405 
審判番号 不服2006-10349 
総通号数 129 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2010-09-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-05-19 
確定日 2010-07-15 
事件の表示 商願2005- 52084拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、別掲に表示した構成からなり、第30類「タルト」を指定商品として、平成17年6月10日に登録出願されたものであるが、指定商品については、原審における同18年2月15日付け提出の手続補正書により、第30類「紅芋を用いたタルト」と補正されているものである。

第2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、『紅いもタルト』の文字を普通に用いられる方法で書してなるが、これは、その指定商品を指称する商品の普通名称である『タルト』の文字に、その指定商品を含む菓子の原材料としても広く用いられている芋の一種『紅芋』を表す『紅いも』の文字を冠してなるものであり、全体としては、『紅いもを使用したタルト』である旨を表示するものとして認識されるにとどまるといえるから、これを、その指定商品中、『紅いもを使用したタルト』に使用したときは、その商品の原材料又は品質を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。なお、出願人は、平成18年2月15日提出の手続補正書において指定商品を補正し、同日提出の意見書において本願商標が商標法第3条第2項に該当する旨述べ、上申書において資料を提出しているが、本願商標は、沖縄県において一定程度の周知性は認められるものの、いまだ全国的に知られているとまではいえないから、さきの認定を覆すことはできない。」旨認定、判断して、本願を拒絶したものである。

第3 当審の証拠調べ通知
本願商標は、赤色で「紅いもタルト(紅の文字は、他の文字より大きく表されている。)」の文字を籠文字風に表してなるところ、これらの文字は、まとまりよく一体に表されており、「紅いもタルト」の文字を表したものとしか理解されないものであり、未だ普通に用いられる方法の域を脱する表示方法とは認められない。
そして、「紅いもタルト」「紅芋タルト」及び「べにいもたると」等の文字に関して行った証拠調べによれば、以下の事実が認められるので、本願商標をその指定商品「紅芋を用いたタルト」について使用するときは、全体として「(原材料として)紅いもを使用したタルト」の意味を認識させるにすぎず、単に商品の原材料又は品質を表示するものといわなければならない。
また、以下の事実によれば、各社が、「紅いもタルト」「紅芋タルト」及び「べにいもたると」等の文字を、商品「紅芋を用いたタルト」を表す語として使用している事実が少なからず存在することから、本願商標は、使用をされた結果、需要者が何人かの(請求人の)業務に係る商品であることを認識することができるもの(特定の者の出所表示として、その商品の需要者の間で全国的に認識されているもの)とは認められない。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとし、同法第3条第2項には該当しないとした原査定の拒絶の理由は、免れ得ないものである。

この審判事件に関し、平成19年2月14日付けで提出された刊行物等提出書のほかに、「紅いもタルト」「紅芋タルト」及び「べにいもたると」の文字が、商品「紅芋を用いたタルト」を表す語として使用されている事実
1. 2006年11月4日付けの中日新聞 朝刊16頁広域岐阜には、「市岐商デパート 売り上げ620万円 特産品やパン販売」の見出しの下に「鬼まんじゅうや出来たてパンは午前中で売り切れ。にぎわいをみせた沖縄物産展では『沖縄そば』や『紅芋タルト』が人気を集めた。」の記載がある。

2. 2007年7月15日付けの産経新聞 東京朝刊16頁には、「【旅・行楽地人気ランキング】沖縄に行ったら買いたいお土産」の見出しの下に「
(1)泡盛
(2)ちんすこう
(3)沖縄そば/ソーキそば
(4)パイナップル、マンゴーなど南国系フルーツ
(5)黒糖
(6)シークヮーサージュース
(7)海ぶどう
(8)ハイチュウパイナップル味など沖縄限定菓子
(9)紅いもたると
(10)サーターアンダギー」の記載がある。

3. 2007年12月6日付けの朝日新聞 大阪地方版/大阪30頁には、「鳥取・沖縄など6県名産ずらり 大阪・キタであすまで /大阪府」の見出しの下に「大阪駅前第3、第4両ビル(大阪市北区)に事務所を置く山梨、三重、鳥取、熊本、大分、沖縄6県による「第28回ふるさとの地酒と銘産品まつり」が5日、両ビルの各県大阪事務所を会場に始まった。各県特産の日本酒、焼酎、ワインや果物、菓子などの名産品を販売している。7日まで。各事務所の場所と出品数は次の通り。【山梨】(第3ビル21階)ほうとう、甲州あんぽ柿など約30点【熊本】(同)いきなりだんご、太平燕(タイピーエン)など約140点【大分】(同)どんこシイタケ、豊後水道の魚の干物など約40点【沖縄】(同)海ぶどう、紅いもタルトなど約140点【鳥取】(第3ビル28階)とうふちくわ、焼酎カステラなど約40点【三重】(第4ビル8階)伊勢うどん、南紀ミカンなど約60点。」の記載がある。

4. 「べにいもたると
沖縄特産の紅芋を上品な甘さのタルトにしました。
紅芋には、紫色のアントシアニン(ポリフェノールの一種)が含まれていて、抗酸化作用が高いので、癌作用や生活習慣病に威力を発揮すると言われています。
しっとりとやわらかく、紅芋ならではの甘すぎない甘さと香りが大人気でお土産として喜ばれています。
ホックリとしていて生菓子のような味わいです。
船のような形も可愛いですよ★お茶菓子などにいかがですか?
○名称 :菓子
○原材料名:紅芋、小麦粉、マーガリン、白あん、砂糖、卵、アーモンドプードル、さつまいも、食塩、クロレラエキス、ソルドトール、グリシン、クチナシ色素、ラック色素(原料に乳、大豆含む)
○保存方法:常温保存
○製造者 :(株)ナンポー通商」の記載がある。
http://www.atshops.net/asp/ItemFile/10000598.html

5. 「紅いもタルト
紅いもの栄養の秘密はビタミンCをはじめ、豊富なカルシューム、その上このつやのある紫や紅色は、ワインやブルーベリーに含まれている人気のポリフェノール(アントシアニン)です。このように栄養効果が高く、その上美容効果も期待できる紅イモをたっぷりと使ったモンテドールの『紅いもタルト』は、特にオシャレな女性に人気があります。
数量:10個入り 製造・販売:有限会社 モンテドール」の記載がある。
http://storetool.jp/3705304026/ITMP/204.html

6. 「紅芋タルト【南風堂】
紅芋を練りこんだスポンジ生地にビスケット生地を敷き、焼き上げました。隠し味にカスタードクリームが入っています。」の記載がある。
http://calamel.jp/%E7%B4%85%E8%8A%8B%E3%82%BF%E3%83%AB%E3%83%88%E3%80%90%E5%8D%97%E9%A2%A8%E5%A0%82%E3%80%91/item/5947509

7. 「紅芋タルト
沖縄の特産品の紅芋を使って作られた、(有)しろま製菓産業の『紅芋タルト』です。」の記載がある。
http://momo.cocolog-nifty.com/momo/2007/11/post_ffc5.html

8. 「紅いもタルト
沖縄紅芋の美味しさをうんと詰め込んだ一品です。
ポリフェノールや食物繊維たっぷりの、沖縄産紅イモでつくったペーストをタルトにのせました♪
ほっくりとした紅イモの上品な甘さが大人気です。
材料:べにいも、小麦粉、マーガリン、白あん、砂糖、卵、アーモンドプードル、さつまいも、食塩、クロレラエキス、ソルビトール、グリシン、クチナシ色素、ラック色素 (原料に乳大豆含む)
内容量:10個入り
価格: 1,050円 (税込)」の記載がある。
http://shop.nagopain.com/itemNP005.html

9. 商標中に「べにいもたると」の文字を有する商願2007-3760について、平成19年9月10日付けで提出された意見書及び手続補足書(証拠については電子化されていないので原本参照)によれば、以下のことが認められる。
手続補足書の甲第10号証の1には、(有)沖縄エイサー物産の「紅芋タルト」のパッケージ写真の写しが記載されている。
手続補足書の甲第10号証の2には、(有)沖縄ユタカ農産の「紅イモタルト」の広告の写しが記載されている。
手続補足書の甲第10号証の4には、(有)モンテドールの「紅いもタルト」のパッケージ写真の写しが記載されている。
手続補足書の甲第10号証の5には、城間製菓の「紅芋タルト」のパッケージ写真の写しが記載されている。
手続補足書の甲第10号証の6には、南風堂株式会社の「紅芋タルト」のパッケージ写真の写しが記載されている。
手続補足書の甲第8号証には、ぜいたく屋が販売していた「紅芋タルト」のパッケージ写真の写しが記載されている。

第4 当審の証拠調べ通知に対する請求人の意見
1.証拠調べ通知では、各社が「紅いもタルト」「紅芋タルト」及び「べにいもたると」等の文字を、商品「紅芋を用いたタルト」を表す語として使用している事実が少なからず存在するとされるが、以下のとおり、新聞広告、特産品販売等を介して、日本国中の消費者の目に触れる多くのものは、審判請求人(以下「請求人」という。)の業務に係る商品である。
(1)2007年7月15日付け産経新聞/東京朝刊16頁に掲載の沖縄に行ったら買いたいお土産のランキング9位の「紅いもタルト」については、その文字構成である「紅いもタルト」であることからみて、請求人の業務に係る商品と言える。
(2)2007年12月6日付け朝日新聞/大阪地方版/大阪30頁の「大阪駅前第3.第4両ビル(大阪市北区)に事務所を置く山梨、三重、鳥取、熊本、大分、沖縄6県による「第28回ふるさとの地酒と名産品まつり」が5日、両ビルの各県大阪事務所を会場に始まった。各県特産の・・・菓子などの名産品を販売している。・・・事務所の場所と出品数は次のとおり。
・・・【沖縄】・・・紅いもタルトなど約40点・・・」の記載がある。
沖縄県大阪事務所は、(株)沖縄県物産公社と提携して、沖縄特産品の展示販売を行っており、(株)沖縄県物産公社は、請求人から「紅いもタルト」を仕入れて、展示販売を行っており、上記「第28回ふるさと地酒と名産品まつり」で展示販売されていた「紅いもタルト」は請求人の業務に係る商品である。
沖縄県大阪事務所の関連会社として(株)沖縄県物産公社大阪営業所(事務所)があり、その物産取扱店である「大阪わしたショップ」は大阪駅前第3ビルにあり(甲第44号証)、請求人が(株)沖縄県物産公社の主な取引先であり(甲第45号証)、請求人の「紅いもタルト」が沖縄県大阪事務所の開催する展示販売会で展示販売されている(甲第46号証)。
(株)沖縄県物産公社が物産取扱店の「わしたショップ」が沖縄物産展を全国展開して、請求人の「紅いもタルト」を展示販売しており、「紅いもタルト」の商標が当該商品の需要者の間で全国的に認識されている(甲第47号証)。
また、「沖縄物産販売・沖縄宝島」は(株)沖縄物産企業連合で、資本金3億1075万円、卸売り小売りを事業内容とし、本社が沖縄で、東京、大阪、名古屋、福岡の日本主要都市に営業所を設置して事業展開しており、そのネット販売で、請求人の「紅いもタルト」が人気ランキング2位にランクされており、「紅いもタルト」の商標が当該商品の需要者の間で全国的に認識されている(甲第48号証の1及び2)。

2.株式会社ナンポー通商の「べにいもたると」の使用について
株式会社ナンポー通商は、本店を沖縄県那覇市曙3-21-2に置いて、「べにいもたると」の商標を使用して「(原材料として)紅いもを使用したタルト」を販売し始めているため、請求人は、ナンポー通商の上記行為は、請求人が昭和61年から継続して使用してきた周知商品等表示「紅いもタルト」に類似した商品等表示を使用する不正競争防止法第2条1項1号に違反する不正競争行為に該当することから、その使用差止等の請求訴訟を提起しており、現在、係争中である(事件番号・那覇地方裁判所平成19年(ワ)第1032号事件)。

3.有限会社モンテドールの「紅いもタルト」の使用について
有限会社モンテドールは、本店を沖縄県宮古島市平良字西里7-2に置く零細事業者にすぎず、菓子に「紅いもタルト」の名称を使用していたとしても、販売規模も小さく、販売期間も短い。

4.南風堂株式会社の「紅芋タルト」の使用について
南風堂株式会社は、本店を沖縄県糸満市西崎町4-15-2に置く零細事業者にすぎず、菓子に「紅芋タルト」の名称を使用していたとしても、販売規模も小さく、販売期間も短い。

5.有限会社しろま製菓産業の「紅芋タルト」の使用について
有限会社しろま製菓産業は、本店を沖縄県浦添市大平3-10-6に置いて、平成18年頃から、「紅芋タルト」を製造販売し始めたので、請求人は、平成19年12月25日付け同月27日到達の内容証明郵便で、有限会社しろま製菓産業に対し、不正競争防止法第2条1項1号に基づいて、使用差止の警告を発送している(甲第49号証の1及び2)。

6.有限会社沖縄エイサー物産の「紅芋タルト」の使用について
有限会社沖縄エイサー物産は、沖縄県那覇市曙1-16-7に本店を置く零細事業者にすぎず、販売規模も小さく、販売期間も短い。

7.有限会社沖縄ユタカ農産の「紅イモタルト」の使用について
有限会社沖縄ユタカ農産は、沖縄県豊見城市字豊見城704に本店を置く零細事業者にすぎず、販売規模も小さく、販売期間も短い。

8.ぜいたく屋の「紅芋タルト」の使用について
ぜいたく屋は沖縄県那覇市において菓子に「紅芋タルト」の名称を使用していたが、請求人の「紅いもタルト」の使用よりも後であり、また、その後に倒産しており、使用の規模も小さく、販売数も多くないし、現在は使用していない。

9.上記のとおり、請求人が商標の使用停止を求めて提訴した(株)ナンポー通商は比較的規模を大きくして販売しており、他は規模が小さいものであるが、時期の古い有限会社しろま製菓産業に対しては不正競争防止法に基づく警告書を発送している。他は零細規模の業者にすぎないが、今後、必要に応じて警告等を行っていく予定である。

10.商標法第3条第2項の「使用による顕著性」について
上記の業者が「紅いもタルト」に類似する商標を使用していたとしても、それらの業者の販売規模は小さく、販売地域も沖縄県内に限られたり、販売期間も短いことから、請求人の販売規模が大きく、販売地域も沖縄県のほかに既に述べたとおり全国規模で展開し、販売期間も長期間に及んでいることからみて、請求人の本願商標「紅いもタルト」が商標法第3条第2項による使用による顕著性の獲得を妨げるほどの使用ではないといえる。
なお、この点は上記業者の販売規模、地域、期間に関する資料を追加で提出予定である。

11.請求人の使用による全国的周知性獲得
(1)請求人の商品である「紅いもタルト」は、沖縄県読谷村の村おこし事業として、請求人が地元産の紅いもを素材としたお菓子を開発して生まれた商品であり、沖縄県商工会連合会の担当責任者であった野中正信は、昭和63年11月に東京池袋サンシャインシティで開催された「第2回ニッポン全国むらおこし展」において請求人の商品「紅いもタルト」を1個100円で販売したと証言している(甲第50号証の1ないし3)。
(2)「沖縄民俗辞典」(吉川弘文館、平成20年7月20日発行、甲第51号証)には、「べにいも」の解説の中で、1989年(平成元年)より読谷村商工会による村おこし事業として、「読谷紅いも」と冠した商品の開発・販売がなされ、広く知られるようになった。」と記載されている。
(3)「オキナワなんでも事典」((株)新潮社、平成15年7月1日発行、甲第52号証)にも、「紅イモ」の解説の中で、「県産紅イモ普及のきっかけをつくったのは、読谷村内の菓子業者だった。地域に根ざした菓子づくりをモットーにした和菓子の店「ポルシェ」(請求人の前身の個人営業)が、ある祭りに出品した紅イモ菓子が大きな反響を呼んだ。・・・」と記載されている。
(4)モンドセレクション賞の受賞
請求人の商品「紅いもタルト」は、モンドセレクションで2007年に銀賞を、2008年に金賞を受賞した(甲第53号証の1ないし4)。
モンドセレクションはベルギーの独立民間組織が行っている食品分野を中心とした製品の技術的水準を審査する組織で、そこから与えられる認証(賞)を指す。審査基準として「味覚」「衛生」「パッケージに記載されている成分などが正しいか」「原材料」等の項目だといわれており、それぞれを点数化し、総合得点に応じて100点満点の95点以上で特別金賞、85点以上で金賞、75点以上で銀賞、65点以上で銅賞が授与される。認証を得た商品は一定の技術的水準を達成していることを消費者にアピールできる。2008年現在の日本では知名度が高いこともあり、中小企業が自社商品のPRをするための有効な手段という意見もある。事実、2008年現在では認証を受けた企業の大半は地方企業という分析があるが、大企業の製品であれば利益優先のため保存料等が使用されていることが多いため、申請してもメダルすら受賞できないとも言われている。
(5)JAL沖縄便の冊子に広告を掲載
日本航空沖縄便の旅客に配布する2008年版「JAL×ぴあ ちゅらナビ」冊子の表紙裏に1頁全面に「紅いもタルト」の広告を掲載した。沖縄への旅行客は年間約500万人で、JAL利用者は約4割であり、200万人以上の旅客に「紅いもタルト」が知られた(甲第54号証の1ないし3)。
(6)全国菓子博での人気ベスト2位を獲得
第25回全国菓子大博覧会(姫路菓子博2008)が平成20年4月18日から同年5月11日までの24日間、兵庫県姫路市で開催され、期間中延べ92万2000人の入場者があり、請求人は「紅いもタルト」を展示し、「名誉総裁賞」を受賞したほか、即売もされ、全国のお菓子人気ベスト10の第2位を獲得した(甲第55号証の1ないし3)。
(7)農商工連携88選に選ばれた。
平成20年7月に「農林水産省、経済産業省」から「農商工連携88選」が刊行され、請求人が「地元産紅いもブランド化による村おこし」の事業者として新商品開発に成功した例として選ばれ、代表的お菓子「紅いもタルト」が全国に紹介された(甲第56号証)。
(8)全国五つ星の手みやげに掲載される。
岸朝子選・東京書籍(株)が平成20年8月11日発行した「全国五つ星の手みやげ」は2006年5月から2008年7月の取材をもとに制作されているが、その中で請求人の商品「紅いもタルト」について、「紅イモの旨みと甘みしっとりの沖縄の『紅いもタルト』が有名だ。」と記載され、全国に紹介された(甲第57号証:審決注「甲第58号証」の誤記)。
(9)「地元おすすめ沖縄スイーツ」の第1位に選ばれた。
請求人の「紅いもタルト」が、平成20年11月1日の日本経済新聞全国版の「日経PLUS1」で「地元おすすめ沖縄スイーツ」第1位に選ばれた記事が掲載され、全国に紹介された(甲第58号証:審決注「甲第57号証」の誤記)。
(10)日本テレビ全国ネット番組「THE・サンデー」で約20分間、請求人の「紅いもタルト」が放映され、大人気を博した(甲第59号証の1ないし4)。
既に提出しているTBSテレビ全国ネットの「世界バリバリバリュー」の収録ビデオ(甲第33号証)では、「セレブの食事」のコーナーで、請求人の代表者澤岻カズ子が紹介され、その中で、商品「紅いもタルト」が1日6万個製造販売され、月商2億円を売り上げていることが述べられているが、日本テレビの日曜の朝8時から9時半までの1時間半にわたり放映されている「THE・サンデー」の平成21年4月26日の番組で「女性社長に密着!沖縄みやげNo.1スイーツ」の題名で請求人の商品「紅いもタルト」が紹介されており、司会者徳光和夫氏、佐藤アナウンサー、コメンテーター東国原英夫氏(宮崎県知事)、森永卓郎(経済アナリスト)、萩谷麻衣子(弁護士)が出演している。番組で「紅いもタルト」が爆発的な人気を博しており、平成20年度で年商40億円、主力商品の「紅いもタルト」がその3割以上を占めることが報じられている。田中義剛氏が北海道で経営する花畑牧場で製造して全国的に有名になった「北海道の生キャラメル」に対応する沖縄を代表するお菓子として「紅いもタルト」が紹介され、請求人の「紅いもタルト」が全国的に広く知られるようになった。

12.他社の商品表示
平成20年3月31日付け「証拠調べ通知書」に記載の、各社が「紅いもタルト」、「紅芋タルト」及び「べにいもたると」等の文字を、商品「紅芋を用いたタルト」を表す語として使用している事実が少なからず存在することから、本願商標は、使用をされた結果、需要者が何人かの(請求人の)業務に係る商品であることを認識することができるもの(特定の出所表示として、その商品の需要者の間で全国的に認識されているもの)とは認められないとの判断については、事実誤認である。
他社使用の状況については、請求人の平成20年5月13日付け意見書でも述べているが、下記の事項を追加する。
(1)請求人は、平成2年設立の株式会社であり、資本金4500万円で(甲第60号証)、年商約40億円(平成20年度)で、その3割以上が「紅いもタルト」の売上げであり、1日6万個を製造販売している(甲第59号証の1)。
(2)有限会社モンテドールは、「紅いもタルト」の商品名を使用しているようであるが、同社は沖縄県の離島である宮古島にある有限会社で、設立が平成18年4月19日と新しく、資本金も300万円の零細企業であり(甲第61号証の1)、販売規模(数量や販売地域)も小さく、販売期間も短いことが明らかであり、請求人の周知商品表示「紅いもタルト」に対して悪意でフリーライドしてきた業者である。インターネットのホームページには「バナナケーキ」の宣伝ばかりで、「紅いもタルト」の宣伝はしていない(甲第61号証の2)。
(3)南風堂株式会社は、「紅芋タルト」の商品名を使用しているようであるが、本店を沖縄県糸満市に置き、昭和47年に設立され、資本金は1240万円であり(甲第62号証の1)、販売規模(数量や販売地域)も小さく、販売期間も短く、請求人の周知商品表示「紅いもタルト」に対して悪意でフリーライドしてきた業者である。メインの商品は「ちんすこう」であり、インターネットのホームページでも「ちんすこう」の宣伝ばかりで、「紅芋タルト」の宣伝はしていない(甲第62号証の2)。
(4)有限会社しろま製菓産業は、「紅芋タルト」の商品名を使用しているようであるが、本店を沖縄県浦添市に置き、昭和60年に設立され、資本金は1000万円の有限会社であり(甲第63号証の1)、販売規模(数量や販売地域)も小さく、販売期間も短く、請求人の周知商品表示「紅いもタルト」に対して悪意でフリーライドしてきた業者である。インターネットのホームページでは「紅いもかすてら」を宣伝しており、「紅芋タルト」の宣伝はしていない(甲第63号証の2)。なお、請求人は同社に対して不正競争防止法2条1項1号に基づき、使用差止めの警告を行っている(甲第49号証の1及び2)。
(5)有限会社沖縄エイサー物産は、「紅芋タルト」の商品名を使用しているようであるが、沖縄県那覇市に本店を置き、平成16年1月8日に資本金300万円で設立された有限会社で(甲第64号証の1)、販売規模(数量や販売地域)も小さく、販売期間も短く、請求人の周知商品表示「紅いもタルト」に対して悪意でフリーライドしてきた業者である。インターネットのホームページには「紅芋タルト」を宣伝していない(甲第64号証の2)。
(6)有限会社沖縄ユタカ農産は、「紅イモタルト」の商品名を使用しているようであるが、沖縄県豊見城市に本店を置き、平成10年12月22日に資本金300万円で設立された有限会社で(甲第65号証の1)、「紅イモタルト」の商品名を使用するが、販売規模(数量や販売地域)も小さく、販売期間も短く、請求人の周知商品表示「紅いもタルト」に対して悪意でフリーライドしてきた業者である。インターネットのホームページには「ヨモギエキス」の製造販売を宣伝し、「紅イモタルト」の宣伝をしていない(甲第65号証の2)。
(7)以上のとおり、上記5社が、請求人の周知商品表示「紅いもタルト」に類似した商品表示を使用するとしても、すべて悪意のフリーライダーであり、ともに商品の販売数量や販売地域も小さいのに対し、請求人は全国的に展開して、大量の製造販売数を誇っていて、上記5社とは比較にならず、上記5社の各商品表示の使用は、請求人の周知商品表示使用による商標の「顕著性」の取得に影響を及ぼすものではない。
(8)ぜいたく屋の「紅芋タルト」の使用について
ぜいたく屋は、黒糖カステラ製造販売業者で、昭和60年6月に手形不渡りを出して倒産し、その後、規模を縮小して営業を行っているもので、平成6年から平成8年の年商も3500万円程度の零細企業にすぎない(甲第66号証)。同社は、「紅芋タルト」の商品名を使用していたが、請求人の周知商品表示「紅いもタルト」の使用開始の後であり、販売数も少なく、現在はまったく使用していない。
また、ぜいたく屋の「紅芋タルト」の使用は、請求人が「紅いもタルト」を使用して人気が出てきた後に、使用し始めたものである。
したがって、ぜいたく屋の「紅芋タルト」も、請求人の周知商品表示使用による商標の「顕著性」の取得に影響を及ぼすものではない。
(9)ナンポー通商の「べにいもたると」について
ナンポー通商は、請求人の商品「紅いもタルト」が人気を博し、商品表示が周知性を取得していたことから、悪意でフリーライドし、平成13年11月頃から類似商標「べにいもたると」の商品表示を使用を開始したものであり、請求人は、その使用の停止を求める訴訟を提起しており、福岡高裁那覇支部に係属中である。

13.以上のとおり、本願商標「紅いもタルト」は、使用をされた結果、需要者が請求人の業務に係る商品であることを認識することができるもの(特定の出所表示として、その商品の需要者の間で全国的に認識されているもの)とは認められるもので、商標法第3条第2項に該当する。

第5 当審の判断
1. 商標法第3条第1項第3号について
商標法第3条第1項第3号の趣旨は、同号に列挙されている商標は、商品や役務の内容に関わるものであるために、現実に使用され、あるいは、将来一般的に使用されるものであることから、出所識別機能を有しないことが多く、また、これを特定人に独占させることは適切でないために登録することができないものとされていると解される。
本願商標は、別掲に表示したとおり、赤色で「紅いもタルト(紅の文字は、他の文字より大きく表されている。)」の文字を籠文字風に表してなるところ、「紅いもタルト」の文字を表したものと理解されるものであり、未だ普通に用いられる方法で表示する標章の域を脱する表示方法とは認められない。
そして、上記第3の「当審の証拠調べ通知」によれば、本願商標をその指定商品「紅芋を用いたタルト」について使用するときは、全体として「(原材料として)紅いもを使用したタルト」の意味を認識させるにすぎず、単に商品の品質又は原材料を表示するものといわなければならない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。

2. 商標法第3条第2項について
請求人は、平成19年8月22日付けで提出された手続補正書において、原審において提出した添付資料1ないし添付資料23を甲第1号証ないし甲第23号証に補正し、当審において提出した資料1ないし資料10を甲第24号証ないし甲第33号証に補正している。
そして、請求人は、同日(平成19年8月22日)付けで提出された証拠説明書において、甲第34号証ないし甲第43号証を提出している。また、請求人は、平成20年5月13日付けで提出された意見書において、甲第44号証ないし甲第49号証(枝番号を含む。)を提出している。
さらに、請求人は、平成21年9月16日付けで提出された意見書において、甲第50号証ないし甲第66号証(枝番号を含む。)を提出している。

(1)本願商標が、商標法第3条第2項に該当するとして提出された証拠について
甲第1号証は、平成16年7月の「(株)お菓子のポルシェ事業概況書」と認められるところ、全自動紅いもタルト製造ラインの写真、「紅いもタルト」の文字及び写真、「紅いもタルト 第24回全国菓子大博覧会 中小企業長官賞」の文字、請求人の沿革、請求人の事業内容、請求人の従業員の状況、請求人の売上高の推移、請求人の主要な製品並びにお菓子のポルシェ各店の紹介等が記載されている。
甲第2号証は、「紅いもタルト売上集計」と認められるところ、紅いもタルトの売上は、平成13年度が約242万個、平成14年度が約452万個、平成15年度が約510万個、平成16年度が約620万個、平成17年度が8ヶ月で約437万個であると記載されている。
甲第3号証は、「特産品づくり」と題する1987年12月10日付け琉球新報の記事と認められるところ、「紅いも羊かん」「読谷村商工会」「風味が格別と評判」の文字は確認できるものの、記事の内容は、不鮮明で確認できないものである。
甲第4号証は、請求人が発行した商品カタログ「沖縄銘菓選」と認められるところ、甘藷(いも)の歴史、「紅芋菓子づくりのパイオニアお菓子のポルシェ」と題する請求人を説明する記事、「銘菓(紅芋タルト)の製造風景」の文字及びその写真、縦書きされた「紅いもタルト」の文字及びその写真、横書きされた「紅いも生そば」「紅いもさーたーあんだぎー」「紅いもガレット」「紅芋菓子詰め合わせ」「紅芋焼」「紅いもパイ・パインパイセット」「紅いもようかん」の文字、「平成9年 第21回沖縄県産業まつり 紅芋タルト 県知事奨励賞を受賞」の文字及びその写真及びお菓子のポルシェ各店の紹介等が記載されている。
甲第5号証は、「包装タイムスの記事」と認められるところ、本願商標と社会通念上同一と認められる商標が付された指定商品「紅芋を用いたタルト」の写真及び機械化された製造工程の写真が掲載されている。
甲第6号証は、「平成14年度 第4回ビジネスオンリーワン賞のパンフレット」と認められるところ、「ビジネスオンリーワン賞 製造部門」の文字、「株式会社 お菓子のポルシェ」の文字、請求人の事業内容、お菓子御殿恩納店と思しき写真、紅芋の写真、指定商品「紅芋を用いたタルト」と思しき写真及び「ビジネスオンリーワン賞事業とは」と題する同事業の説明等が記載されているが、本願商標は記載されていない。
甲第7号証は、「琉球新報の記事:ビジネスオンリーワン賞」と認められるところ、紅イモを使った菓子作りに関し、請求人が、ビジネスオンリーワン賞を受賞した旨の記載はあるものの、本願商標は記載されていない。
甲第8号証は、22枚の「賞状のコピーの綴り」と認められるところ、「紅いもタルト」について表彰されたものは、第21回沖縄の産業まつり優秀県産品審査会において平成9年11月27日に沖縄県知事から受賞した奨励賞及び第24回全国菓子大博覧会九州in熊本において平成14年11月17日に中小企業庁長官から受賞した賞状の2枚にすぎず、他の賞状は、「紅芋菓子詰め合わせ」「紅いもようかん」「紅いもガレット」「紅芋焼」「黒糖一番」「紅いもパイ」「ちんすこう」「さーたーあんだきー」「美ら貝」「月桃かるかん」等に関するものである。
甲第9号証は、「月刊工連ニュース」と認められるところ、「紅いもタルト」と思しき写真及び文字が掲載されている。
甲第10号証は、情報誌「るるぶ沖縄」の記事と認められるところ、「紅いもタルト」と思しき写真、この写真を説明した「紅いもタルト」の文字及び記事中の「紅いもタルト」の文字が掲載されている。
甲第11号証は、「読谷村商工会の周知証明書」及びその添付書類と認められるところ、読谷村商工会は、昭和61年に請求人に対し、紅いもタルトやその他の紅芋菓子の商品化を依頼したこと、むらおこし会社「ユンタンザ」が、メーカーと組んでサーターアンダギー、紅いもアイスクリーム、紅いもゼリーを開発したこと、村内業者を説得し読谷村産の紅いもを使った試作品を作ってもらいタルト等が完成したこと及びその村内業者が請求人であること等が記載されている。
甲第12号証は、「1992年(平成4年)2月3日発行の琉球新報の抜粋記事」と認められるところ、紅イモ菓子の年間売上高が年間1億円に達した旨記載されているものの、「紅いもタルト」の文字を確認することはできない。
甲第13号証は、「1992年(平成4年)3月26日発行の沖縄タイムスの抜粋記事」と認められるところ、平成3年の県産業まつりに紅イモを使用した菓子を出品し、県知事賞を受賞した旨記載されているものの、「紅いもタルト」の文字は、記載されていない。
甲第14号証は、「週間ほーむぷらざの抜粋記事」と認められるところ、「さいしょくけんび 彩・職・賢・美」の欄に請求人の女性の代表者が紹介されているものの、「紅いもタルト」の文字を確認することはできない。
甲第15号証は、「“イモ食品”色でブレーク 沖縄・鹿児島・宮崎(報!)【西部】」と題する2000年1月18日発行の朝日新聞西部夕刊の抜粋記事と認められるところ、「ポルシェは1988年から紅イモを使ったシュークリームやタルトなどをつくり始めた。・・・ポルシェが紅イモ菓子をつくったのも、地元商工会から村おこしとして紅イモ利用を依頼されたためだ。」と記載されている。
甲第16号証は、「<ざっくばらん>リーダーたちの素顔/16/お菓子のポルシェ 澤岻カズ子さん/紅イモにこだわり」と題する2004年10月10日発行の琉球新報朝刊の抜粋記事と認められるところ、「『それまではイモのお菓子なんて見たことなかった』という澤岻が、86年に読谷村商工会の村おこし事業に参加したのが、読谷産紅イモを使った菓子作りのきっかけ。試行錯誤を経て、18年前に誕生した『紅イモタルト』は今でも同社の一番人気だ。」と記載されている。
甲第17号証は、「<琉球新報社 新社屋特集>澤岻 カズ子さん お菓子のポルシェ社長/信念貫き アイデア形に/『紅いもタルト』『御菓子御殿』…/『絶対できる』 自分を信じ/次の目標『空港に行列できる店』」と題する2005年4月26日発行の琉球新報別冊の抜粋記事と認められるところ、「86年に読谷村の村おこし事業に参加し、紅イモ菓子の製作に力を入れ始めたことが大きな転機となった。・・・最初に開発した『紅いもタルト』がヒットし、社員も100人を超えた・・・」と記載されている。
なお、甲第15号証ないし甲第17号証は、電子化された文字が不鮮明なため、特許庁新聞記事検索を使用した。
甲第18号証は、「(株)お菓子のポルシェの商品開発経緯について」と題する財団法人沖縄県産業振興公社理事長が押印した平成18年3月13日付けの書面と認められるところ、「昭和61年、読谷村は村おこし事業を実施した。読谷商工会の中で一番大きい業者がお菓子のポルシェであった。お菓子のポルシェは、村おこし事業に積極的に取り組み、紅いもを原料としたお菓子の開発に努めた。平成9年 第21回沖縄県産業まつりにおいて、『紅いもタルト』が県知事奨励賞を受賞し、お菓子のポルシェの主力商品になっている。」旨記載されている。
甲第19号証は、日本航空が作成した「沖縄の休日」と題する全体で約18分間のゴーヤーにスポットを当てたビデオテープと認められるところ、最初にシートベルト着用の注意、那覇空港の説明を行った後、ゴーヤーの皮を剥かずに直接搾ってジュースを作り、日本航空の二人の女性社員がゴーヤージュースを飲んでいる映像が映り、ゴーヤーの他にも沖縄には特産物があるということで、最初から約3分5秒経過したとき、紅いもが大きく映り、日本航空の二人の女性社員がお菓子御殿を訪れ、「紅いもタルト」の映像が一瞬映り、「紅いもタルト」がお菓子御殿の一押し商品であることの男性の声の説明が入り、「紅いもタルト」以外の請求人の商品が映り、売り場の隣が工場になっていることを男性の声が説明し、日本航空の二人の女性社員が「紅いもタルト」以外の御菓子を食べている映像が映り、最初から約3分40秒経過したとき、日本航空の二人の女性社員がゴーヤー農園でゴーヤーを切り取っている映像が映り、滞在型リゾートホテルの説明が入り、日本航空の二人の女性社員が海岸でゴーヤーチャンプルを作り、久米島の琉球泡盛「久米仙」の説明をし、おきなわ屋という土産物店を紹介し、その店では土産物の人気の第1位が「ちんすこう」であり第2位が「沖縄そば」であることを紹介し、各ホテルの広告が入るものである。
甲第20号証は、BSN新潟放送が作成したテレビ番組「ウィークエンドi」のビデオテープと認められるところ、紅いもは沖縄県外へ持ち出すことができないこと、その紅いもを原材料とするデザートを食べさせる店があることの音声による説明、女性がモンブランを食べている映像、モンブランを作っている映像、ロールケーキの映像、紅いもタルトの製造工程及び紅いもタルトの映像が約18秒映り、御菓子の地方発送を行っていることの音声による説明、テレビのスタジオで複数の人がモンブランやロールケーキを食べている映像が、合わせて約3分40秒映っているものである。
甲第21号証は、北日本放送が作成したテレビ番組「沖縄からの招待状」のビデオテープと認められるところ、御菓子御殿の建物が何なのかというクイズと解答を約1分20秒放送し、紅いもタルトが琉球菓子であることを説明し、二人の女性が御菓子御殿の中に入り、御菓子御殿の店員が、御菓子御殿の100種類ある御菓子の中で一番のお奨めが紅いもタルトであることを、二人の女性に約40秒説明し、その後、二人の女性が紅いもタルト以外の御菓子を食べているという放送内容である。
甲第22号証は、「アリゾナの魔法#34」のビデオテープと認められるところ、全体として、女性達が色々な店を訪れる映像を男性歌手達が見ている構成からなるものであり、二人の女性芸人が、御菓子御殿の製造工程を見学し、摘み食いをし、紅いもタルトを手作りしている御菓子御殿に関しては約2分間の映像である。
甲第23号証は、OBS大分放送が作成したテレビ番組「おはようナイスキャッチ」のビデオテープと認められるところ、御菓子御殿の説明を約50秒行い、紅いもタルトが約10秒映り、女性がロールケーキを手作りし食べるところが約1分20秒映っているものである。
甲第24号証は、「拒絶査定に対する意見書」と題する書類と認められるところ、「『紅いもタルト』は、59店舗で販売している。・・・お客の約1割は、宅配を利用している。・・・全国47都道府県へ宅配している。・・・直営3店舗の『紅いもタルト』の出荷額は、平成18年3月が7,953万円で、宅配件数は、4,965件であり、平成18年4月の出荷額が、6,581万円で、宅配件数は、4,341件である。・・・『紅いもタルト』は、特別な場合を除き、沖縄県内でのみ発売する。」旨記載されている。
甲第25号証は、「平成18年3月と4月の販売実績一覧表」と認められるところ、「紅いもタルト」の販売個数/販売額は、平成18年(2006年)3月が約89万個/約7952万円、同年4月が約73万個/約6580万円である旨記載されている。
甲第26号証は、「直営三店舗における平成18年3月と4月の宅配実績一覧表」と認められるところ、全国47都道府県向けの宅配件数について、平成18年3月が4,965件、同年4月が4,341件であると記載されているものの、宅配された商品が、何の商品に関するものか記載されていない。
甲第27号証は、「三店舗における平成18年3月の宅配明細一覧」と認められるところ、3月の宅配件数は、国際通り松尾店が608件、読谷本店が871件、恩納店が3,486件であり、その明細が記載されているものの、宅配された商品が、何の商品に関するものか記載されていない。
甲第28号証は、「三店舗における平成18年4月の宅配明細一覧」と認められるところ、4月の宅配件数は、恩納店が2,994件、読谷本店が890件、国際通り松尾店が457件であり、その明細が記載されているものの、宅配された商品が、何の商品に関するものか記載されていない。
甲第29号証は、第24回全国菓子大博覧会九州in熊本において平成14年11月17日に中小企業庁長官から受賞した賞状と認められるところ、甲第8号証の賞状のうちの1枚と重複しているものである。
甲第30号証は、第24回全国菓子大博覧会九州in熊本の概要を説明した書類と認められるところ、同博覧会は、平成14年11月1日から18日まで18日間開催されたこと、入場者数が55万9838人であったことが確認できるものの、「紅いもタルト」に関する記載はない。
甲第31号証は、沖縄県出展協賛会事務局が発行した「中小企業庁長官賞 証明について」と題する書類と認められるところ、沖縄県出展協賛会事務局が、「2002年に熊本県で開催された第24回全国菓子大博覧会九州in熊本で請求人が”紅いもタルト”について、中小企業庁長官賞を受賞したこと」を証明している。
甲第32号証は、財団法人地域活性化センターが発行した情報誌「地域づくり」抜粋記事と認められるところ、「請求人が読谷村商工会から読谷紅いもを使った菓子を商品化できないものかとの具体的な提案を受けたこと。試行錯誤を繰り返し、商工会、村、農協、村民の協力を得ながら、『紅いもタルト』の商品化に成功したこと及び請求人が中小企業庁長官賞を受賞したこと」等が記載されている。
甲第33号証は、「TBSテレビの『世界バリバリバリュー』の特集『突撃!セレブの晩ごはん』を収録したDVD」と認められるところ、「紅いもタルト」は、1日に6万個の販売実績があり、単価が105円であることから、1ヶ月の売上げは、1億8,900万円になることを芸人が電卓で計算するなどして店舗内で約1分間紹介され、その後、請求人の社長の自宅へ突撃し、約9分30秒のうち、約20秒間、「紅いもタルト」は手作りから始めて20年以上の努力と実績を積み重ね、請求人は沖縄全土で7店舗、請求人の年商は34億円にまで成長したことが紹介されている。
甲第34号証は、「紅いもタルトの包装袋」と認められるところ、包装袋の上部に本願商標と社会通念上同一の商標が記載されている。
甲第35号証は、「紅いもタルトの包装紙箱」と認められるところ、包装紙箱の上面及び側面に本願商標と社会通念上同一の商標が記載されている。
甲第36号証は、「シンニホンニュース」と認められるところ、その記事中に、本願商標と社会通念上同一の商標が付された商品の写真が写っている。
甲第37号証は、「機関誌『工連ニュース』の刊行部数についての社団法人沖縄県工業連合会の証明書」と認められるところ、社団法人沖縄県工業連合会が、「本件審判に甲9号証として提出された『工連ニュース』は毎月1回、1200部刊行されること」を証明している。
甲第38号証は、「週刊『包装タイムス』の発行部数についての(株)日報アイ・ビーの証明書」と認められるところ、「本件審判に甲5号証として提出された『包装タイムス』は、発行部数が5万6千部であること」を証明している。
甲第39号証は、「インターネットYAHOOについての『紅いもタルト』の検索結果及び請求人のホームページ」と認められるところ、YAHOOの検索結果では、「紅いもタルト」が39,300件検索されている。また、請求人のホームページには、「紅いもタルト」の写真と文字が掲載されており、請求人が経営するものと思われる御菓子御殿オンラインショップの中では、「紅いもタルト」が人気ランキングの第1位になっていることが記載されている。
甲第40号証は、「インターネット検索された楽天市場」と認められるところ、沖縄三越楽天市場店において、「紅いもタルト」が取り扱われたことを表しており、「紅いもタルト」の包装箱及び包装袋に本願商標と社会通念上同一の商標が記載されている。
甲第41号証は、「個人のブログ」と認められるところ、ブログ掲載者の夫が、「紅いもタルト」を気に入ったことが記載されており、「紅いもタルト」の包装袋に本願商標と社会通念上同一の商標が記載されている。
甲第42号証は、「請求人の年度別売上高、『紅いもタルト』の年度別販売高比率・販売高・販売個数の推計」と認められるところ、平成17年度(平成17年7月1日?平成18年6月30日)の紅いもタルト販売高が852,558,514円であり、紅いもタルト販売個数が10,331,977個であることが記載されている。
甲第43号証は、「平成2年9月1日から平成18年6月30日までの請求人の損益計算書」と認められるところ、請求人が取り扱う全商品の売上高が、約15年で概ね8倍に増えていることが窺えるとしても、「紅いもタルト」の使用商標は、掲載されておらず、その販売額、販売個数、販売比率は、不明である。
甲第44号証は、「沖縄県大阪事務所のホームページ」と認められるところ、沖縄県大阪事務所の関連会社の(株)沖縄県物産公社の物産取扱店「大阪わしたショップ」が大阪駅前第3ビル内にあることが記載されている。
甲第45号証は、「わしたショップのホームページ」と認められるところ、「平成18年度」の文字及び(株)沖縄県物産公社の物産取扱店「わしたショップ」の主な仕入取引先の最後に「(株)御菓子のポルシェ」と記載されているものの、仕入れた商品が「紅いもタルト」であることは記載されていない。
甲第46号証は、「わしたショップのホームページ」と認められるところ、「紅いもタルト」の文字が付された写真、「紅いもタルト」(12個入り)の文字及び「価格:¥1,260(税込)」の文字が記載されている。
甲第47号証は、「わしたショップのホームページ」と認められるところ、(株)沖縄県物産公社が物産取扱店の「わしたショップ」の沖縄物産展を全国展開していることは記載されているものの、請求人の「紅いもタルト」の沖縄物産展における販売量、販売額は記載されていない。
甲第48号証の1は、「沖縄物産販売・沖縄宝島のホームページ」と認められるところ、沖縄宝島のネット販売では、請求人の「紅いもタルト」が人気ランキング2位にランクされていることが記載されているものの、請求人の「紅いもタルト」の沖縄宝島のネット販売における販売量、販売額は記載されていない。
甲第48号証の2は、「沖縄物産販売・沖縄宝島のホームページ」と認められるところ、沖縄宝島は(株)沖縄物産企業連合で、資本金3億1075万円、卸売り小売りを事業内容とし、本社は沖縄であるが、東京、大阪、名古屋、福岡の日本主要都市に営業所を設置して事業展開していることが記載されている。
甲第49号証の1は、「通知書」と認められるところ、請求人が有限会社しろま製菓産業に対して「紅芋タルト」の使用停止を求める警告をしたことが記載されている。
甲第49号証の2は、「配達証明郵便」と認められるところ、上記通知書が平成19年12月27日に(有)しろま製菓産業に配達されたことが記載されている。
甲第50号証の1は、「第1回ニッポン全国むらおこし展及び第2回ニッポン全国むらおこし展における沖縄特産『紅いもシリーズ』の販売状況写真について」と題する野中正信の証明書と認められる。
甲第51号証は、「沖縄民俗辞典」と認められるところ、「紅芋」は、「甘藷の一種。一般に、沖縄で栽培され、果肉が鮮やかな紫色である食用品種の総称。主な栽培品種は宮農三十六号・・・宮農三十六号は、・・・読谷村には七二年に導入された。一九八九(平成元)より読谷村商工会による村おこし事業として、『読谷紅いも』と冠した商品の開発・販売がなされ、広く知られるようになった。」旨記載されている。
甲第52号証は、「オキナワなんでも事典」(平成15年 株式会社新潮社発行)と認められるところ、「県産紅イモ普及のきっかけをつくったのは、読谷村内の菓子業者だった。地域に根ざした菓子づくりをモットーにした和洋菓子の店「ポルシェ」が、ある祭りに出品した紅イモ菓子が大きな反響を呼んだ。・・・」と記載されている。
甲第53号証の1及び2は、請求人の商品「紅いもタルト」が、モンドセレクションで2007年に銀賞を受賞し、2008年に金賞を受賞した際の賞状と認められ、甲第53号証の3には「2008金賞・紅いもタルト 御菓子御殿」と記載されている。
甲第53号証の4(Wikipedia)には、「モンドセレクションは、100点満点の95点以上で特別金賞、85点以上で金賞、75点以上で銀賞、65点以上で銅賞が授与される」等のモンドセレクションに関する説明が記載されている。
甲第54号証の1は、「JAL×ぴあ ちゅらナビ」と題する冊子と認められるところ、1頁全面に「紅いもタルト」の広告が掲載されている。
甲第54号証の2には、「観光入込み客数は年間500万人を突破」と記載されており、甲第54号証の3には、「県は12月の搭乗実績が6・2%増で推移した場合、2005年の観光入域客数は547万人を超えると試算している。」と記載されているが、「紅いもタルト」の文字は記載されていない。
甲第55号証の1は、第25回全国菓子大博覧会(姫路菓子博2008)の会場総合案内図及び同博覧会において「紅いもタルト」が展示・販売されたときの写真である。
甲第55号証の2は、同博覧会において、請求人が名誉総裁賞(文化部門)を授与されたときの褒賞状である。
甲第55号証の3は、「平成20年5月17日付けの神戸新聞の記事」と認められるところ、同博覧会が平成20年5月11日までの24日間、兵庫県姫路市で開催され、期間中延べ92万2000人の入場者があり、「紅いもタルト」が全国のお菓子人気ベスト10の第2位を獲得したこと、人気を呼んだお菓子ベスト20を「アンコール菓子博」として、18日まで姫路市のヤマトヤシキ姫路店と山陽百貨店で販売したことが記載されている。
甲第56号証は、平成20年7月に「農林水産省」及び「経済産業省」が発行した「農商工連携88選」の抜粋と認められるところ、「紅いもタルト」は記載されていない。
甲第57号証は、平成20年11月1日に発行された日本経済新聞の「日経PLUS1」と認められるところ、請求人の「紅いもタルト」が、「地元おすすめ沖縄スイーツ」第1位に選ばれた新聞記事である。
甲第58号証は、東京書籍株式会社が平成20年8月11日に発行した書籍「全国 五つ星の手みやげ」と認められるところ、788頁には「紅イモ菓子の商品化は初めてだったため、試行錯誤を重ね、また数多くの人々の協力により代表銘菓の紅イモタルトが誕生した。」と記載され、791頁には「沖縄といえば、小麦、砂糖、ラードなどを練って揚げたさっくりクッキーの『ちんすこう』、紅イモの旨みと甘みしっとりの沖縄の『紅いもタルト』が有名だ。」と「紅いもタルト」が、いわゆる慣用商標と認められる「ちんすこう」と並んで記載されている。
甲第59号証の1及び2は、「THE サンデーNEXTの収録ビデオ」及び収録ビデオの内容を紙に印刷したものと認められるところ、甲第59号証の3によれば、2009年4月26日(日曜日)の朝8時46分44秒から約20分間、「女性社長に密着!沖縄みやげNo.1スイーツ」の題するコーナーで、請求人の商品「紅いもタルト」が、請求人の本社、工場、販売店とともに紹介されており、平成20年度における請求人の全商品の年商が40億円であり、主力商品の「紅いもタルト」がその3割以上を占めることが放送されている。
甲第59号証の4(Wikipedia)には、「THE・サンデー」は、日本テレビ系列で日曜日の朝8時から放送されていた番組であること等が記載されている。
甲第60号証は、請求人の履歴事項全部証明書である。
甲第61号証の1及び2は、有限会社モンテドールの現在事項全部証明書及びホームページである。
甲第62号証の1及び2は、南風堂株式会社の現在事項全部証明書及びホームページである。
甲第63号証の1及び2は、有限会社しろま製菓産業の現在事項全部証明書及びホームページである。
甲第64号証の1及び2は、有限会社沖縄エイサー物産の現在事項全部証明書及びホームページである。
甲第65号証の1及び2は、有限会社沖縄ユタカ農産の現在事項全部証明書及びホームページである。
甲第66号証は、ぜいたく屋に関する株式会社帝国データバンクの調査報告書である。

(2)商標法第3条第2項に関する判断
甲第6号証、甲第7号証、甲第12号証、甲第13号証、甲第14号証、甲第15号証及び甲第30号証には、本願商標が記載されていないものである。
甲第3号証、甲第7号証、甲第12号証、甲第13号証、甲第16号証及び甲第17号証の新聞記事は、いずれも地方新聞の記事であって、これらの記事をもって、本願商標が請求人の出所表示として、指定商品の需要者の間で全国的に広く認識されているものとは認められない。
甲第32号証、甲第37号証及び甲第38号証によれば、甲第11号証の添付書類中の「地域づくり」の発行部数は、月1万4,000部であり、甲第9号証の「工連ニュース」の発行部数は、月1,200部であり、甲第5号証の週刊「包装タイムス」の発行部数は、5万6,000部であって、いずれも発行部数が少なく、限られた読者を対象とするものと認められる。
そして、これらの証拠に掲載された「紅いもタルト」の内容は、それぞれ1回の記事として掲載されたものであって、反復継続される広告として掲載されたものとは認められない。
また、甲第11号証の添付書類中の「財団法人いも類振興会」及び月刊誌「緑と生活」、甲第14号証の「週刊ほーむぷらざ」並びに甲第36号証の「シンニホンニュース」は、発行部数、配布地域、対象とする読者層が明らかではない。
甲第20号証、甲第21号証及び甲第23号証のビデオテープは、いずれも「紅いもタルト」に関する放送部分が短いものであり、地方テレビ局が1回放送したものと思われる番組内容であって、反復継続される広告として放送したものとは認められないから、これらの番組をもって、本願商標が請求人の出所表示として、指定商品の需要者の間で全国的に広く認識されているものとは認められない。
甲第22号証のビデオテープは、「紅いもタルト」に関する映像部分が短いものであり、テレビ番組として放映されたものか明らかではないから、これをもって、本願商標が請求人の出所表示として、指定商品の需要者の間で全国的に広く認識されているものとは認められない。
甲第24号証(拒絶査定に対する意見書)には、「『紅いもタルト』は、無添加・無着色のため賞味期限が製造から2週間と極端に短いため、商品管理が十分出来るようにと、沖縄本島内でのみ発売しています。・・・今後とも沖縄発の銘菓として、特別な場合を除き、沖縄県内でのみ発売する所存です。」と記載されていることから、「紅いもタルト」は、特別な場合を除き、沖縄本島内でのみ発売されてきたものと認められる。
甲第26号証(直営三店舗における平成18年3月と4月の宅配実績一覧表)、甲第27号証(三店舗における平成18年3月の宅配明細一覧)及び甲第28号証(三店舗における平成18年4月の宅配明細一覧)には、「紅いもタルト」の文字が無いことから、これらの宅配された商品が、「紅いもタルト」のみを表すのか、請求人の全商品を表すのか明らかではない。
甲第24号証(拒絶査定に対する意見書)において、「当社のHP(ホームページ)や電話・FAX.でのご注文は全て宅配となります。また、店頭やホテルでのお買い求めのお客様の約1割は宅配をご利用となり宅配記録は残ります・・・平成18年3月の宅配件数が4,965件、同年4月の宅配件数が4,341件である。」旨記載されており、第25号証(平成18年3月と4月の販売実績一覧表)によれば、平成18年3月の合計数量が892,092であり、同年4月の合計数量が735,841であること及び「紅いもタルト」は、単品、5個入り、10個入りがあり、10個入りが最も大きい商品であることからすると、甲第39号証(請求人のホームページ)及び甲第40号証(沖縄三越楽天市場店のサイト)において、販売された「紅いもタルト」の数量は決して多くないものと推認される。
甲第33号証のDVDは、「紅いもタルト」に関する映像部分が短いものであり、「紅いもタルト」の売上が1日6万個という放送内容は、以下の理由により、信憑性が低いものである。甲第42号証(請求人の年度別売上高、『紅いもタルト』の年度別販売高比率・販売高・販売個数の推計)には、甲第43号証(請求人の損益計算書)と同一の売上高が記載されている。しかしながら、甲第42号証によれば、「紅いもタルト」の年間販売個数が、約1,033万個と記載されており、甲第33号証のDVDの中で述べている「紅いもタルト」の売上が1日6万個という数字は、年換算すると甲第42号証の約2倍となる。同様に、甲第33号証のDVDの中で述べている年商34億円という数字は、甲第43号証の損益計算書の売上高よりも相当多いものである。
甲第2号証及び甲第42号証によれば、紅いもタルトの年間販売個数は、以下のようになっており、毎年一致しないものであり、平成16年度は、120万個以上相違するものである。
甲第2号証 甲第42号証
平成13年度 2,423,928個 2,480,960個
平成14年度 4,521,420個 4,399,491個
平成15年度 5,100,110個 5,094,096個
平成16年度 6,195,548個 7,481,132個
甲第2号証及び甲第42号証によれば、紅いもタルトの年間販売高は、以下のようになっており、平成13年度ないし平成15年度は、甲第42号証の方が3千万円から6千万円少ないが、平成16年度は、甲第42号証の方が4千万円以上多いものである。
甲第2号証 甲第42号証
平成13年度 242,392,800円 211,430,650円
平成14年度 452,142,000円 390,509,978円
平成15年度 510,011,000円 451,360,540円
平成16年度 619,554,800円 661,865,451円
また、甲第25号証(資料2)の上から3番目の表によれば、「紅いもタルト」よりも「紅いも子タルト」の方が数量が多いものであり、甲第2号証及び甲第42号証の販売個数及び販売高は、「紅いもタルト」及び「紅いも子タルト」の合計であるのか、「紅いもタルト」のみの販売個数及び販売高であるのか明らかではない。
そして、請求人が提出した証拠は、数値が異なるなど、その正確性に疑義が存するところである。
甲第44号証、甲第45号証、甲第47号証及び甲第48号証の2には、本願商標が記載されていないものである。
甲第46号証及び甲第48号証の1には、本願商標が記載されているものの、請求人の「紅いもタルト」の販売量、販売額は記載されていないものである。
甲第49号証の1に記載されている請求人が原告となった不正競争行為差止等請求事件 平成19年(ワ)第1032号は、平成20年8月6日付けで那覇地方裁判所において請求を棄却する旨の判決がなされているものである。
甲第50号証の1は、「第1回ニッポン全国むらおこし展及び第2回ニッポン全国むらおこし展における沖縄特産『紅いもシリーズ』の販売状況写真について」と題する野中正信の証明書と認められるところ、同むらおこし展が開催された昭和62年11月27日から29日まで及び昭和63年11月25日から27日までの6日間に、「紅いもタルト」を何個販売したのか明らかではない。なお、甲第50号証の1の証明書では、「紅いもタルトは1個100円で販売されておりました」と記載されているが、甲第50号証の3の写真では、「紅いもタルト」には「90円」の価格が表示されており、証明内容と価格が一致しないものである。
甲第55号証の3は、第25回全国菓子大博覧会(姫路菓子博2008)に関する平成20年5月17日付けの神戸新聞の記事と認められるところ、同博覧会が開催されたのは平成20年5月11日までの24日間であり、また、18日までアンコール菓子博が開催されたのは地方百貨店であることから、本願商標が請求人の出所表示として、指定商品の需要者の間で全国的に広く認識されているものとは認められない。
甲第59号証の1ないし3は、テレビの全国放送の内容ということができても、日曜日の朝8時過ぎにどれだけの視聴率をあげたのか明らかではない。また、1度だけ番組で取り上げられたものであり、テレビの全国放送で反復継続して広告されたものとは認められない。
甲第59号証の1ないし3によれば、平成20年度で請求人の年商が40億円、主力商品の「紅いもタルト」が全売上の3割を占めることが放送されている。年商40億円の3割であれば、約12億円になる。しかしながら、先に提出されたTBSテレビ全国ネットの「世界バリバリバリュー」の収録ビデオ(甲第33号証)では、商品「紅いもタルト」が1日6万個製造販売され、月商2億円を売り上げていることが述べられている。月商2億円であれば、年商約24億円になる。したがって、甲第59号証の1ないし3と甲第33号証の商品「紅いもタルト」に関する年商は一致しないものである。
甲第60号証ないし甲第66号証は、請求人及び同業他社の履歴事項全部証明書及び現在事項全部証明書、ホームページ及び調査報告書であるから、これらの証拠をもって、本願商標が商標法第3条第2項に該当するものとは認められない。
むしろ、同業他社が商品「紅いもを用いたタルト」に「紅いもタルト」「紅芋タルト」「べにいもたると」等の標章を使用している事実は、前記第3(当審の証拠調べ通知)の1及び4ないし9に示すように、審決時においても確認することができるものである。
そうとすれば、本願商標が請求人の出所を表示する商標として、指定商品の需要者の間で全国的に広く認識されているものとは認められない。
してみれば、本願商標は、使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものと認められるから、商標法第3条第2項には該当せず、商標登録を受けることができないものである。

3. まとめ
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとし、同法第3条第2項には該当しないとした原査定の拒絶の理由は、免れ得ないものである。
なお、本件審判の審理の終結後に、請求人は、平成21年9月16日付け上申書において「審理を再開するよう上申する」旨述べているが、その理由及び内容を検討するも上記判断に影響を及ぼし得る程のものではないから、審理を再開する必要がないと判断した。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
本願商標 (色彩については原本を参照)




審理終結日 2009-08-25 
結審通知日 2009-08-28 
審決日 2009-09-29 
出願番号 商願2005-52084(T2005-52084) 
審決分類 T 1 8・ 17- Z (Y30)
T 1 8・ 13- Z (Y30)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 林 栄二井出 英一郎 
特許庁審判長 渡邉 健司
特許庁審判官 瀧本 佐代子
平澤 芳行
商標の称呼 ベニイモタルト、ベニイモ 
代理人 谷口 由記 
代理人 島袋 勝也 
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