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審決分類 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない X05
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X05
管理番号 1218423 
審判番号 不服2009-12801 
総通号数 127 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2010-07-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-07-14 
確定日 2010-06-10 
事件の表示 商願2008- 11669拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「コリホグス」の文字を標準文字で表してなり、第5類「薬剤」を指定商品として、平成20年2月19日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『筋肉が張ってかたくなること』を意味する『凝り』の読みを片仮名で表記した『コリ』の文字と、『こり固まったものをやわらげる』を意味する『解す』の読みを片仮名で表記した『ホグス』の文字とを一連に標準文字で『コリホグス』と表してなるものであるため、指定商品中の『湿布薬』に使用しても、それに接する取引者、需要者に『肩等の凝りを解す湿布薬』であることを認識させるにとどまり、単に商品の品質、効能を表示するにすぎないものと認められる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるため、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、別掲に示すとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対し、平成22年2月1日付けで証拠調べの結果を通知した。

4 請求人は、前記3の証拠調べ通知に対し、何ら意見を述べていない。

5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号の該当性について
本願商標は、「コリホグス」の文字を標準文字で書してなるところ、前記3の証拠調べ通知書に記載の各事実(別掲(証拠調べ通知の内容)の1及び2)によれば、「こりほぐす」又は「凝りほぐす」、「コリほぐす」の文字が、「肩や腰などの凝りをほぐす」ことを意味する語として使用されていること。そして、本願商標の指定商品との関係では、「こり」及び「コリ」、「ほぐす」等の各文字が指定商品との関係において、商品の品質・効能を表示する文字として使用されている実情が窺い知れるところである。
そうすると、本願商標からは、その前記実情をふまえ指定商品との関係についてみれば、その構成中の「コリ」の文字は、「筋肉が張ってかたくなること。『肩の?』」(株式会社岩波書店発行 広辞苑第六版)等の意味を有する語「凝り」をカタカナ文字で表したものであり、また、「ホグス」の文字は、「こり固まったものをやわらげる。『肩の凝りを?・す』」(株式会社岩波書店発行 広辞苑第六版)等の意味を有する語「解す」をカタカナ文字で表したものと理解できる。
してみれば、「凝り」及び「解す」の各文字の読みをカタカナ文字で一連に書した本願商標は、「肩などの凝りを解す」ほどの意味合いを容易に認識させるものであり、本願の指定商品である「薬剤」の範疇には、「湿布剤,消炎鎮痛剤」等の肩や腰などの凝りをほぐす商品が含まれていること及び別掲の証拠調べ通知書の2の記載においても、商品の効能等において「こりをほぐす」、「コリをほぐす」などの記載が認められることからすれば、これに接する取引者、需要者は、該商品が「肩や腰などの凝りをほぐす商品」であること、すなわち、商品の品質、効能を表示したものと認識するにとどまるものであって、自他商品の識別標識としては機能し得ないものというべきである。
また、本願商標は、その指定商品中、前記商品以外の商品に使用するときは、あたかも「肩や腰などの凝りをほぐす効果を有する商品」であるかのように商品の品質について誤認を生じるおそれがあるものである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、過去の登録例を挙げて本願商標も登録されるべきである旨を主張するが、それら過去の登録例は、指定商品(指定役務)の内容及び商標の具体的構成等において本願とは事案を異にするものであり、また、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものであるか否かは、当該商標の構成態様と指定商品又は指定役務とに基づいて、個別具体的に判断されるべきものであるから、請求人の主張は採用することができない。
イ また、請求人は、平成21年7月14日付けの審判請求書に添付した提出物件により、本願商標は、薬事法による医薬品の製造の承認を申請し、許可及び承認を受けている医薬品である旨を主張するが、たとえ、薬事法により医薬品の承認を受けていたとしても、それをもって、本願商標を登録しなければならない事情が存するものとは認められないものであり、本願商標が登録されるべきであるかどうかは、本願指定商品の需要者等において、これがどのような意味を有するものとして認識されるかによって判断されなければならないものであるところ、本願商標が、その指定商品を取り扱う需要者等において、指定商品の品質等を示すものとして認識されることは、上記認定のとおりであることからしても、請求人の主張は採用することができない。
(3)結論
以上のとおり、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものとして、本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すべき限りではない。
よって、結論のとおり審決する。

別掲 別掲
(証拠調べ通知の内容)
1 新聞記事情報において、「こりほぐす」又は「凝りほぐす」、「コリほぐす」の文字が、肩や腰などの凝りをほぐすことを意味するものとして、使用されている事実について
ア 「(GWのヒント09)軽い運動で疲労回復 血液循環、コリほぐす」(朝日新聞 2009.05.05付け 東京朝刊 17頁)
「疲労物質の一つ、乳酸がたまると筋肉が硬くなり、ハリやコリ、だるさのもとになる。穏やかな運動で血液の循環をよくすることで、乳酸が早く取り除かれるという。山本さんが提案するのは、筋肉を伸ばし、柔軟性を養うストレッチング。年齢を問わず気軽にできて、道具もいらない。硬くなった筋肉をほぐすことで、腰痛、肩こり、ひざの痛みなどの予防になる。」と記載されている。
イ 「能登半島地震“出張エステ”でこりほぐす 輪島市門前地区の避難所」(北国・富山新聞 2007.04.02付け 朝刊)
「井口さんはラベンダーやカモミールなど十種類の植物オイルを用いて避難所の女性にマッサージを施し、手足や背中のこりをほぐした。」と記載されている。
ウ 「〔情報ディスク〕2月18日」(読売新聞 2007.02.18付け 東京朝刊 8頁)
「エステー化学は、医療用温熱ジェルシート『サーモセラ』を26日に発売する。・・・40度前後の温度を5時間以上にわたり維持し、血行を高めたり、筋肉のこりをほぐしたりといった効果があるという。」と記載されている。
エ 「〈かんたん!健康体操〉猫の背運動*筋肉縮めて凝りほぐす」(北海道新聞 2006.05.20付け 夕刊地方 7頁)
「この運動の中では、日常生活の中で伸ばすことの多い僧帽筋や菱形(りょうけい)筋を、縮める動きをしています。ふだん伸ばしている筋肉を縮めることで血流が良くなり、上半身の凝りや違和感が取れるのです。」と記載されている。
オ 「血行を改善し凝りをほぐす 蒸気が出る温熱シート」(共同通信 2006.02.01付け)
「熱は湿っていると体に広く深く伝わり、早く温めることが研究で分かっていた。温熱には血行を改善して筋肉の疲れや凝りをほぐすだけでなく、自律神経のバランスを整えて、胃腸の働きを活発にする効果もあるという。」と記載されている。
カ 「〈商品情報〉磁気でこりほぐす」(繊研新聞 2004.10.27付け 10面)
「アツギは、磁気による『こり』の解消や血行促進に効果があるレッグウエア『マグネットヘルディー』を開発した。」と記載されている。
キ 「〔ビジネス情報〕ピップフジモト 回転磁石で凝りほぐす治療器発売」(毎日新聞 2003.06.25付け 大阪朝刊 8頁)
「磁気治療器製造の『ピップフジモト』(大阪市)は24日、回転式貼付用磁気治療器『ピップイーバン』を発売した。電池で円柱形の磁石を回転させ、磁気を広範囲に浸透させることで血行を良くし、肩や腰などの凝りをほぐすという。」と記載されている。
ク 「肩凝りほぐす肩パッド グランブルー シルクに磁気内蔵」(繊研新聞 2003.05.19付け 4面)
「この肩パッドは片方に直系5・2ミリのフェライト永久磁石を10個固定させたもので、1300ガウスの磁気が発生、身につけると血液中に電流を発生させ、血流効果を高め、肩凝りをほぐす効果がある。」と記載されている。
ケ 「役立つグッズ=肩を温めるパッド『蒸しタオル効果』でこりほぐす〈役立つグッッズ〉」(熊本日日新聞 1998.12.15付け 夕刊 8頁)
「寒くなるとつい首をちぢめ、肩がこりやすくなる。こりをほぐすには、肩を温めるのが効果的だ。」と記載されている。
コ 「デビュー 首のこりほぐす治療器」(中国新聞 1998.04.17付け 夕刊)
「松下電工は、仕事をしながらでも首のこりをほぐせる低周波治療器『くびもみ』を発売した。7700円。」と記載されている。

2 インターネット情報において、指定商品との関係において「コリ」、「こり」、「凝り」及び「ホグス」、「ほぐす」、「解す」の各文字が、商品の品質、効能を表示する文字として使用されている事実について
ア 「株式会社ナガタ」の「selme(セルメ)」と称するホームページにおいて、「ゼノール しっぷ〈温感〉6枚」の見出しのもと、「『腰痛』『肩こり』に。『血行を促進し、こりをほぐす』トウガラシエキスが皮ふに適度な刺激を与え、皮ふを温め血液の循環を良くし、腰痛、肩こり等の症状を改善します。」と記載されている。
(http://www.selme.net/product_info.php/cPath/2_805_1181_3006/products_id/3777/)
イ 「株式会社爽快ドラッグ」の「爽快ドラッグ」と称するホームページにおいて、「サロンパスローション 85mL 心地よいサロンパスの刺激がコリをほぐす」と記載されている。
(http://www.soukai.com/P8052037/p.html/)
ウ 「株式会社爽快ドラッグ」の「爽快ドラッグ」と称するホームページにおいて、「トクホンエース ホット 20枚入 コリや痛みをしっかりほぐす」と記載されている。
(http://www.soukai.com/P363452/p.html/)
エ 「株式会社ジューゴ」の「クスリのゴクウ」と称するホームページにおいて、「肌にやさしくフィットしながら、肩や筋肉のコリや痛みをほぐす ら・サロンパス16枚入り【第3類医薬品】」と記載されている。
(http://store.shopping.yahoo.co.jp/gokuu/k-4987188171028.html/)
オ 「株式会社ジューゴ」の「クスリのゴクウ」と称するホームページにおいて、「微温感の快い刺激で血行を促進!うっ血をとりこりや痛みをほぐす メンフラ A 120枚入り【第3類医薬品】」と記載されている。
(http://store.shopping.yahoo.co.jp/gokuu/4987306066526.html)
カ 「456ショッピング」のホームページにおいて、「ターガーバーム:18g(0.63oz)」の見出しのもと、「用法 ・・・筋肉の痛みとこりをほぐす効果があります。」と記載されている。
(http://www.456.com/pages/detail.php4?serial=4978/)
キ 「ケンコーコム株式会社」の「ケンコーコム」と称するホームページにおいて、「温感シートハップ 8枚」の見出しのもと、「商品説明 『温感シートハップ 8枚』は、特に腰痛、肩こり等を緩和するハップ剤です。トウガラシエキス、オウバクエキス、ビタミンE(酢酸トコフェロール)およびdl-カンフルが患部の血行を高め、慢性化した頑固な痛みやこわばりをほぐします。」と記載されている。
(http://www.kenko.com/product/item/itm_6905092972.html)
ク 「ケンコーコム株式会社」の「ケンコーコム」と称するホームページにおいて、「サロンパス-ハイ 32枚」の見出しのもと、「商品説明 『サロンパス-ハイ 32枚』は、すぐれた消炎鎮痛作用と血行促進作用が、疲れた筋肉のコリや痛みをほぐすプラスターです。」と記載されている。
(http://www.kenko.com/product/item/itm_8311185072.html/)
ケ 「興和株式会社」のホームページにおいて、「インドメタシンってなぁに?/インドメタシンの歴史」の見出しのもと、「(4)インドメタシンの歴史 外用鎮痛消炎薬の世代って? 筋肉痛や肩こりの痛みを緩和する外用鎮痛消炎薬としては、〈サリチル酸メチル〉や〈サリチル酸グリコール〉を使った製剤が従来の主流でした。これらは、主に皮膚刺激により軽い知覚麻痺を起こして痛みを緩和し、血流を促進することでコリをほぐす刺激型の薬剤です。」と記載されている。
(http://www.kowa.co.jp/g/story/indomethacin/about_indomethacin/08.htm/)
コ 「慢性頭痛の症状と対処・治療法」のホームページにおいて、「最新記事 筋弛緩薬と抗不安薬・抗うつ薬の作用」の項に、「緊張型頭痛の原因となる筋肉のこりをほぐす 緊張型頭痛の予防や治療には、原因となっている首や肩のこりをほぐしていくことが必要となります。・・・こりをほぐす薬としては、筋弛緩薬(きんしかんやく)や抗不安薬・抗うつ薬があります。」と記載されている。
(http://healthlife.xrea.jp/zutsu/category9/entry42.html/)

3 本願商標は、「コリホグス」の文字を標準文字で表してなるところ、原審における平成20年8月21日付けの拒絶理由通知書において、その指定商品中の「湿布薬」について使用するときは、それに接する取引者、需要者に「肩等の凝りを解す湿布薬」であることを認識させるにとどまり、単に商品の品質、効能を表示するにすぎないものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当するものとして、拒絶の理由を通知したものである。
そこで、当審において本願商標「コリホグス」の文字について調査したところ、近時の職場・家庭におけるパソコン等OA機器の長時間使用、または、職場・家庭におけるストレスなどによる「肩こり」、「腰痛」等の様々な症状に悩まされる人が増えてきた現在、それらの症状に対応するため、各社が肩の凝りをほぐしたり、腰の痛みを緩和させる効能・効果をもった薬や器具等を製造・販売している実情が前記1ないし2に示したインターネット情報の記載より窺えるものであり、その実情をふまえ指定商品との関係についてみれば、その構成中の「コリ」の文字は、「筋肉が張ってかたくなること。『肩の?』」(株式会社岩波書店発行 広辞苑第六版)等の意味を有する語「凝り」をカタカナ文字で表したものであり、また、「ホグス」の文字は、「こり固まったものをやわらげる。『肩の凝りを?・す』」(株式会社岩波書店発行 広辞苑第六版)等の意味を有する語「解す」をカタカナ文字で表したものと理解できる。
そうすると、「凝り」及び「解す」の各文字の読みをカタカナ文字で一連に書した本願商標は、「肩などの凝りを解す」ほどの意味合いを容易に認識させるものであり、本願の指定商品である「薬剤」の範疇には、「湿布剤,消炎鎮痛剤」等の肩や腰などの凝りをほぐす商品が含まれていること、及び前記2に示したインターネット情報の記載においても、商品の効能等において「こりをほぐす」、「コリをほぐす」などの記載が認められることからすれば、これに接する取引者、需要者は、該商品が「肩や腰などの凝りをほぐすもの」であること、すなわち、商品の品質、効能を表示したものと認識するにとどまるものであって、自他商品の識別標識としては機能し得ないものというべきである。
また、本願商標は、その指定商品中、前記商品以外の商品に使用するときは、あたかも「肩や腰などの凝りをほぐす効果を有する商品」であるかのように商品の品質について誤認を生じるおそれがあるものである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものと認められる。




審理終結日 2010-04-08 
結審通知日 2010-04-13 
審決日 2010-04-28 
出願番号 商願2008-11669(T2008-11669) 
審決分類 T 1 8・ 272- Z (X05)
T 1 8・ 13- Z (X05)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 箕輪 秀人 
特許庁審判長 鈴木 修
特許庁審判官 小畑 恵一
大島 康浩
商標の称呼 コリホグス 
代理人 宮田 信道 

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