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審決分類 審判 全部無効 商4条1項19号 不正目的の出願 無効としない X28
審判 全部無効 商4条1項10号一般周知商標 無効としない X28
管理番号 1218390 
審判番号 無効2009-890077 
総通号数 127 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2010-07-30 
種別 無効の審決 
審判請求日 2009-07-02 
確定日 2010-06-10 
事件の表示 上記当事者間の登録第5142685号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5142685号商標(以下「本件商標」という。)は、「KAMUI」の文字を標準文字で表してなり、平成19年4月23日に登録出願、第28類「運動用具」を指定商品として、同20年6月2日に登録査定、同月20日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁、審尋に対する回答を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第23号証、甲第41号証及び第42号証、甲第51号証ないし甲第57号証及び甲61号証ないし甲第88号証(甲第24号証ないし甲第40号証、甲第43号証ないし50号証及び甲第58号証ないし甲第60号証は欠号)を提出した。
1 無効理由
本件商標は、請求人の先使用に係る周知の商標である別掲記載の引用商標1ないし引用商標4(以下、これらをまとめていうときは、「引用各商標」という。)と類似の商標であって、商品も同一又は類似するものである。また、被請求人には、本件商標の使用について不正の目的があると認められる。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同項第19号に該当し、同法第46条第1項の規定によりその登録を無効とすべきである。
2 商標法第4条第1項第10号について
(1) 引用各商標の周知性について
請求人は、平成9年頃から、製造していたゴルフクラブについて、引用各商標を使用するようになり、当該ゴルフクラブを、請求人の関連会社である「有限会社カムイ」を介して販売していた。
そして、その後、請求人が製造し続けたゴルフクラブは、特に飛距離において圧倒的な性能の高さを有するこどから、プロ・アマを問わず、多くのゴルファーからの支持を受けることとなった。
これにより、平成13年頃から、引用各商標を付したゴルフクラブや、キャディーバッグ等のゴルフ用品が、ゴルフ関連の雑誌等において紹介記事として掲載されるに至った(甲第3号証ないし甲第11号証)。
これらの紹介記事を掲載した雑誌は、次のとおり、相当部数が発行されているものであって、数多くのゴルファーによって購読されていることが認められる。
〈各雑誌の発行部数(平成17年ないし平成20年の平均)〉
・週刊ゴルフダイジェスト 230,000部/毎月
・月刊ゴルフダイジェスト 140,000部/毎月
・ゴルフクラシック 80,000部/毎月
・ゴルフダイジェストチョイス90,000部/毎月
・ゴルフトゥデイ 10万?15万部/毎月
また、引用各商標を付したゴルフクラブは、ゴルフのショットによる飛距離を争う競技として、日本最大級の規模を誇る「ゴルフダイジェスト/ドラコン日本選手権」(甲第12号証)の優勝者や上位入賞者に愛用されているクラブである。
そして、その事実は、雑誌の記事からも確認できる(甲第13号証ないし甲第15号証)。
なお、「ゴルフダイジェスト/ドラコン日本選手権」は、甲第13号証ないし甲第15号証の「週刊ゴルフダイジェスト」、「月刊ゴルフダイジェスト」及び「ゴルフダイジェスト チョイス」を発行している「株式会社ゴルフダイジェスト社(東京都港区)」が主催するものであって、その大会要領は、例えば、平成19年の大会(2007年/第9回)においては、参加受付前から地区予選が終了する、2007年3月から同年10月までの間、「週刊ゴルフダイジェスト」のほぼ毎号において告知されていた。
そして、請求人及び有限会社カムイは、当該選手権の協賛企業(甲第12号証)であることから、平成19年7月3日発行の「週刊ゴルフダイジェスト2007年7月3日号」(甲第16号証)等で示されているように、オフィシャルスポンサーとして紹介され、その紹介記事においては、引用各商標を付したゴルフクラブが掲載されていた。
なお、当該日本選手権のうち、北陸ブロック地区予選の模様等は、平成18年から平成20年の毎9月に、富山テレビ放送局等によってテレビ放送もされていた。
さらに、引用各商標を付したゴルフクラブは、使用プロ一覧表(甲第17号証)に記載のとおり、172人ものプロゴルファーに愛用されており、そのゴルフクラブとしての人気の高さを伺い知ることができる。なお、各プロの住所及び電話番号については、個人情報保護のため、その一部の記載を省略している。
以上に述べた事実から、引用各商標は、請求人がゴルフクラブについて使用する商標として、遅くとも、本件商標の登録出願時には、すでに日本国内の取引者・需要者において広く認識されるに至っており、また、その状態は、本件商標の登録査定時においても継続していたものである。
(2) 本件商標と引用各商標との類否について
ア 両商標の類否
本件商標は、「KAMUI」の欧文字からなるものであるから、これより「カムイ」の称呼及びアイヌ語において「神」の観念を生ずる。
一方、引用商標1、引用商標2及び引用商標4も、「KAMUI」の欧文字からなるものであるから、これより「カムイ」の称呼及びアイヌ語において「神」の観念を生ずる。
また、引用商標3は、「カムイ」の片仮名文字からなるものであるから、これも「カムイ」の称呼及びアイヌ語において「神」の観念を生ずる。
したがって、本件商標と引用各商標とは、「カムイ」という称呼及びアイヌ語において「神」の観念を共通にする類似の商標である。
イ 両商品の類否
引用各商標が使用されている商品は、ゴルフクラブである。
したがって、本件商標の指定商品第28類「運動用具」中のゴルフクラブについては、商品が共通し、ゴルフクラブ以外の商品すべてについては、商品が類似する。
ウ 以上のとおり、本件商標と引用各商標とは、「カムイ」という称呼及びアイヌ語において「神」の観念を共通にする類似の商標であり、その商品も同一又は類似する商品である。
エ したがって、本件商標は、請求人の先使用に係る周知の商標である引用各商標と類似の商標であって、商品も同一又は類似するものであるから、商標法第4条第1項第10号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第19号について
ア 請求人の商標の周知性については上記(1)で述べたとおりである。
イ 本件商標と請求人の商標との類否については上記(2)で述べたとおりである。
ウ 被請求人の不正の目的について
被請求人は、本件商標の使用について、次のとおり不正の目的を有している。
請求人と被請求人は、過去の極めて短い時期の間、共に提携し事業を行っていたことがあった。
その後の事情により、当該提携関係は解消されたが、それ以降、被請求人は、理由は分からないが、請求人に対し、明らかに敵対的で悪意に満ちた行動を取るようになった。
まず、被請求人は、いわゆる訴権を濫用し、韓国において請求人が適法に登録を受けている商標「KAMUI」(韓国商標登録第558175号)に対し、何ら法的根拠が無いのにも関わらず、無効審判の請求を行った。当該審判請求は、当然に棄却されたが、被請求人は、その後も、法的根拠がないまま、韓国特許法院への提訴、そして、上告までも行った。
無論、これらも、すべて棄却されるに至ったが、請求人は、このような法的根拠がない審判請求及び訴訟提起であっても、しばしば韓国に赴き、現地の弁護士・弁理士に、その対応を依頼せざるを得なかった。そして、その時間的・経済的負担は、決して少ないものではなかった。
なお、甲第18号証及び甲第19号証は、以上の審判・訴訟事件に関する、韓国現地代理人からのレターの写しである。
被請求人は、このような請求人が被る負担を充分に理解しつつ、韓国での審判請求及び訴訟提起をしたと認められる。そして、このような行動を取る被請求人が、請求人が使用する周知商標と類似する関係にある本件商標を登録出願したことは、請求人に損害を加える目的、すなわち、不正の目的があったと判断せざるを得ない。
また、被請求人は、請求人に対し、内容証明郵便による警告書を度々送付しているが(甲第20号証及び甲第21号証)、これまでに述べた事実からも明らかなように、引用各商標は、ゴルフクラブについて、商標法上のいわゆる先使用権(商標法第32条)が発生していると認められることから、このような警告書の送付は、商標権の濫用であると認められ、このような行動を取る被請求人が、請求人が使用する周知商標と類似する関係にある本件商標を登録出願したことは、請求人に損害を加える目的、すなわち、不正の目的があったと判断せざるを得ない。
なお、請求人が、引用各商標について商標登録を受けていなかったのは、決してこれらの商標登録出願の手続を怠っていた訳ではなく、すでに、先登録されている登録第2280009号商標、「CAMUI」の文字よりなり、第15類、第25類及び第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、昭和63年6月10日に登録出願され、平成2年11月30日に設定登録された(甲第22号証)登録商標が存在しており、この先登録商標の商標権者である株式会社卑弥呼より、指定商品「ゴルフクラブ」について、商標の使用許諾を得ていたからである。
ただし、当該使用許諾により、請求人は、引用各商標を、ゴルフクラブについて適法に使用できたものの、先登録商標が「CAMUI」であったことから、請求人による引用各商標の使用は、先登録商標と社会通念上同一の商標とはなっていなかった。
この事実に気が付いた被請求人は、これを奇貨として、当該先登録商標に対し、商標法第50条不使用取消審判を請求し(甲第23号証)、当該請求とほぼ同時に、本件商標を登録出願し、その登録を受けたのである。
そして、このような被請求人の行為も、請求人に損害を加える目的、すなわち、不正の目的があったと判断せざるを得ない。
3 答弁に対する弁駁
(1)プロゴルファー17人からの署名入り書類(乙第1号証)
被請求人は、答弁書において、乙第1号証を提出し、17人のプロゴルファーが、引用各商標を付したゴルフクラブを使用していない旨主張している。
しかしながら、これらのプロゴルファーらは以下の通り、過去に引用各商標を付したゴルフクラブを使用した事実があり、被請求人の主張は、何の意味もなさないものと認められる。
なお、これらのプロゴルファーが、乙第1号証の書類に署名をしたのは、記載文面が、「下記の商標1ないし4を付したゴルフクラブを、現在、使用しておりません。」となっていること、また、請求人のゴルフクラブが、「カムイタイフーンプロ」や「カムイTP-3」などの通称で知られているため、これらのプロゴルファーが、請求人のすべてのゴルフクラブのソール(底面)に「KAMUI」の文字が表記されていることをしらなかったからであると考えられる。
商標の使用の定義について確かな理解がなければ、クラブソールにおける文字「KAMUI」の表記が、商標の使用であることを容易には認識しがたいため、今回は、この誤った認識に基づいて、これらのプロゴルファーらに被請求人から十分な説明がなされないまま、乙第1号証の書類が作成されてしまったと、請求人は判断している。
(2)先登録商標があったため商標登録出願をしなかったことについて
被請求人は、答弁書において、請求人が株式会社卑弥呼の先登録商標に対し、不使用取消審判を請求しなかったことをもって、商標保護の熱意が希薄であった旨主張している。
しかしながら、この主張は、完全な誤りである。
請求人は、審判請求書において述べた通り、株式会社卑弥呼より、当該先登録商標の使用許諾を、指定商品「ゴルフクラブ」について得ていた。そして、この使用許諾契約書においては、理由の如何を問わず、株式会社卑弥呼の先登録商標についての有効性を争わない旨の条項、いわゆる「不争条項」を有していた。そのため、請求人は、商取引における慣行を重視し、この契約内容を遵守したことから、株式会社卑弥呼の先登録商標に対し、不使用取消審判を請求しなかったのである。
決して、請求人は、なすべき事を怠っていた訳ではない。
(3)被請求人が使用するロゴマークについて
請求人は、甲第42号証の2002年版製品カタログに掲載されている、楔のような形状をした赤色のロゴマークを、文字「KAMUI」と共に、遅くとも2001年頃から、現在に至るまで、ウッドクラブをはじめとする請求人の製造・販売に係る各種製品において、商標として継続的に使用している。
一方、被請求人は、例えば、乙第4号証の製品カタログに見られるように、前記の請求人のロゴマークと色彩も形状も極めて近似するといえるものを、文字「KAMUI」と共に、ウッドクラブ等の製品において使用していることが認められる。
このような被請求人によるロゴマーク及び文字「KAMUI」の使用は、請求人の使用に係るロゴマークや商標と出所の混同を生じさせるものであって、請求人の商標に蓄積した業務上の信用に、ただ乗り(フリーライド)するものであると言わざるを得ない。
特に、ロゴマークに関しては、なぜ、被請求人は、請求人よりも後に、この赤色と、楔のような形状とを、わざわざロゴマークに採用したのか請求人は被請求人に問い質したい。
もし、この色彩と形状との採用にあたり、すでに存在していた請求人のロゴマークをまったく意識していないということであれば、その合理的な理由につき明らかにしてもらいたいと、請求人は考えている。
4 平成21年11月18日付けで通知した審尋に対する請求人の回答
甲第51号証として、引用各商標が付されたゴルフクラブ(ウッドクラブのみ)の販売実績数のデータを提出する。
当該データに記載の通り、引用各商標が付されたゴルフクラブは、2001年から2002年にかけては、「カムイ320シリーズ」の爆発的なヒット、また、それに続く「カムイタイフーンプロ380」の好調な売れ行きにより、年間1万本以上が販売された。
その後、販売数は減少するが、2006年は「カムイ430シリーズ」を主力商品として年間5,464本、2007年は「カムイTP-03シリーズ」を主力商品として年間8,355本を販売した。
なお、以上の販売実績数と通常販売価格とから、引用各商標が付されたウッドゴルフクラブの一部についての販売金額を求めると、以下の通りとなる。
販売金額について、「カムイ320シリーズ」は2001年、11億4,856万円、2002年、8億5,024万円、「カムイタイフーンプロ380」は、2002年、2億4,710万円、2003年、3億7,980円、「カムイ430シリーズ」は、2005年、2億3,267万円、2006年3億606万円、2007年、8,544万円、「カムイRDIIシリーズ」は2005年、2,856万円、 2006年、 7,358万円、「カムイTP-03シリーズ」は、2007年、5億6,744万円、2008年、4億9,200万円である。
なお、各クラブの販売単価については、カムイ320シリーズは甲第3号証に、カムイタイフーンプロ380は甲第6号証に、それぞれ記載が認められる。また、カムイ430シリーズ及びカムイRDIIシリーズは、添付の2005年版製品カタログ(甲第52号証)に、さらに、カムイTP-03シリーズは、添付の2007年版製品カタログ(甲第53号証)に、それぞれ記載が認められる。
以上の販売実績数等は、いわゆる「地クラブメーカー」、すなわち、独自のこだわりを持ってゴルフクラブを製造する者であって、大手には分類されないメーカーとしては、決して少なくない数字だと請求人は確信している。
その証拠に、被請求人が証拠として提出した「2009年版ゴルフ産業白書」(乙第2号証)において、ウッドクラブの国内出荷金額上位24社に掲載されている会社よりも、請求人の方が、販売実績数において上回っている場合が確認できる。
例えば、乙第2号証を見てみると、2006年において、(株)ルーツゴルフは2,000本、また、国際興業は4,000本の販売数しかないが、請求人は、甲第51号証に記載の通り、2006年には、5,464本の販売実績数を有している。
また、乙第2号証を見てみると、2007年において、(株)イオンスポーツは7,000本、(株)フォーティーンは8,000本、(株)ルーツゴルフは2,000本、また、国際興業は6,000本の販売数しかないが、請求人は、甲第51号証に記載の通り、2007年には、8,355本の販売実績数を有している。
なお、以上のような販売実績数にも関わらず、乙第2号証の資料に請求人が掲載されていないのは、当該資料が、国内出荷金額に基づいて作成されているからであると認められる。この点は、当該資料の43頁の最下段において「3.出荷金額はメーカーごとに算出基準が異なるため単純比較はできない。」との記載があることからも伺い知ることができる。
それ故、請求人は、もし、このような資料が、販売実績数に基づいて作成されていれば、請求人が上位24社内にランキングされると確信している。
なお、商標の周知性の判断においては、商標を付した商品のシェア(市場占有率)の大きさも、判断要素のーつになると認められるが、本件の「ゴルフクラブ」のように、マーケットにおいて、大手メーカーのシェアが50%を超え、大手メーカー以外のメーカーが多数存在する商品の場合には、必ずしもシェアの大きさだけによって、周知性の有無を判断することはできない、と請求人は主張する。
なぜなら、このような商品においては、大手メーカー以外のメーカーの個性的な商品がユーザ一間で広がって、その商標がブランド化し、周知性を獲得することが経験的に認められるからである。
なお、このような請求人の主張は、過去の審決例によっても支持されている。
例えば、無効2006-89158(甲第54号証)及び異議2002-90727(甲第55号証)の審決例における判事事項は、請求人の主張を裏付けるものであると確信している。
次に、甲第56号証として、2006年10月27日付の読売新聞朝刊における広告の写しを、甲第57号証として、月刊ゴルフ用品界2007年1月号の記事の写しを、それぞれ提出する。
確かに、引用各商標は、本件商標の出願前では、今までに提出した証拠物件において、甲第3号証ないし甲第8号証までの6回と、今回提出する証拠物件(甲第56号証、甲第57号証)の2回しか雑誌・新聞等に掲載されていない。
しかしながら、これらの掲載は、甲第56号証を除き、代金を支払えば基本的にすべての掲載が認められる「広告」によるものではなく、雑誌側が取材をして掲載する「記事」によるものである。
そして、甲第4号証及び甲第8号証の「月刊ゴルフダイジェスト」、甲第5号証の「週刊ゴルフダイジェスト」、甲第6号証の「ゴルフクラシック」、甲第7号証「ゴルフダイジェスト チョイス」は、それぞれ、以下の発行部数を誇り、ゴルファーでなくても、一度は聞いたことがある著名な専門誌であって、このような雑誌において、広告ではなく、記事として掲載されることは、決して容易なことではない。
<各雑誌の発行部数(平成17年ないし平成20年の平均)>
・週刊ゴルフダイジェスト 230,000部/毎月
・月刊ゴルフダイジェスト 140,000部/毎月
・ゴルフクラシック 80,000部/毎月
・ゴルフダイジェスト チョイス 90,000部/毎月
したがって、これらの雑誌において、5回も掲載されることは、それだけで十分な周知性を有しているといえ、その掲載によって、その知名度が、全国の取引者・需要者へとさらに広がってゆくと認められる。
なお、本件商標の出願前約3年の間においては、雑誌・新聞等の掲載を示す証拠として、請求人は甲第56号証及び甲第57号証しか提出できなかったが、前述したように、引用各商標は、カムイ320シリーズの爆発的なヒットの時期に前後して、2001年頃から前述のような著名な専門誌に複数回掲載されるようになり、十分な周知性を獲得していると認められるところ、ゴルフクラブのように、複数年の使用が前提とされる商品においては、その商品に付された商標について一度獲得した周知性が、簡単に失われてしまうことは無いと認められる。
そうしてみると、雑誌等の掲載について、本件商標の出願前約3年の間における回数が2回程度だったとしても、それにより、引用各商標の周知性が失われることはない、と請求人は確信している。
5 同審尋に対する請求人の第二回答
甲第61号証ないし甲第88号証として、株式会社ゴルフ用品界社発行の「月刊ゴルフ用品界」の記事・広告等の写しを提出する。
月刊ゴルフ用品界は、発行数10,000部/月を誇るゴルフ用品専門経済誌であって、1978年3月から発行されている。当該誌は、メーカー、問屋、専門店を対象に毎号のトピックス、調査報道、用品トレンドや海外情報を幅広く網羅し、単に用品動向にとどまらず、メーカーの開発背景や経営方針、流通における新しい動きなどを解説を交えながら分かりやすく報道している。また、韓国、中国、台湾や東南アジア、欧米にも多くの読者を持つとされている。
そして、当該誌には、「定店観測」と呼ばれる人気コンテンツがあり、この「定店観測」には、全国の有力販売店の売れ筋情報が毎月掲載され、ゴルフショップの販売員を中心に、業界関係者に幅広く読まれている。それ故、この「定点観測」を一読すれば、マーケットトレンドが理解できるようになっている。
添付の証拠物件のとおり、請求人の引用各商標が付されたゴルフクラブは、ミズノやブリヂストン等の大手メーカーと並び、ウッドベスト5において、常連としてランクインしていることが確認できる。
この事実は、引用各商標が、請求人がゴルフクラブについて使用する商標として、遅くとも、本件商標の出願時には、すでに日本国内の取引者・需要者において広く認識されるに至っていたこと、また、その状態が、本件商標の登録査定時においても継続していたことを証明するものであると認められる。
6 まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第19号に違反してされたものであるから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第22号証(枝番を含む。)を提出した。
1 商標法第4条第1項第10号について
(1)請求人は、甲第3号証ないし甲第16号証で提示する雑誌等に、甲第2号証で示す商標を付したゴルフクラブやキャディバック等のゴルフ用品が記事として掲載されていることを証拠として、本件商標が商標法第4条第1項第10号に該当し、同法第46条第1項第1号により無効にすべきである、と主張している。
ところで、無効の根拠条文となっている商標法第4条第1項第10号(以下、単に「第10号」という場合がある。)適用時点について、同法第4条第3項では、同項第10号に該当する商標であっても、商標登録出願の時に第10号に該当しないものについては、第10号は適用しない旨を定めている。
すなわち、第10号が適用されるためには、当該出願の査定(又は審決)時点と、当該出願の登録出願時点との、両方の時点において他人に商標が需要者間に広く認識されている状態(周知)になっていることを要件としている。
さらに換言すれば、本件商標の場合には、本件商標に係る出願の登録査定(又は本審判の審決)時点において仮に甲第2号証で示す商標がゴルフ用品の使用により周知になっていたとしても、当該出願の登録出願時点である平成19年4月23日の時点において請求人の前記商標が周知になっていなければ、第10号の適用がされないものである。
したがって、前記登録出願時の周知性の立証ための証拠としては、本件商標の登録出願日である平成19年4月23日までの発行日付の雑誌等に限られ、当該日付以降のものは、本件商標の無効のための証拠として全く価値のないことが明らかである。
このような観点から請求人提示の甲第3号証ないし甲第16号証の雑誌等の発行日付けを検証すると、甲第9号証から甲第16号証はいずれも前記登録出願日以降の発行日付であるため出願時の周知性立証の証拠からは排除されるものである。
よって、請求人主張の周知性の証拠としては、甲第3号証から甲第8号証の計6回の雑誌等の記載のみであり、しかも最後の雑誌記事の掲載は平成16年2月1日発行(甲第8号証)であって、本件商標の登録出願日である平成19年4月23日までには3年以上の期間にわたって全く雑誌等に記事として掲載されていない。
このような状況を総合的に勘案すれば、この程度の雑誌等の記事掲載を根拠として甲第2号証提示の商標の周知性を立証し、かつ本件商標の無効を主張することは、到底認められるものでないことは多言を要しないほど明らかである。
(2)さらに請求人は、甲第17号証を提示し甲第2号証の商標を付したゴルフクラブを172人ものプロゴルファーに愛用されている旨を主張している。
被請求人は、甲第17号証に挙げられているプロゴルファーの住所及び電話番号が個人情報保護を理由に示されていないため、前記の各プロゴルファーに愛用の有無の確認をすることが容易ではなかったが、172人のうち一部のプロゴルファーの連絡先を無作為で捜し出した39人に連絡を試みた。
その結果、回答を得たのは19人であり、そのうち17人が甲第2号証を付したゴルフクラブを使用していない旨の回答を得た(乙第1号証の1ないし17)。
したがって、172人のプロゴルファーに請求人のゴルフクラブが愛用されているとの請求人の主張の信憑性には強い疑念を抱かざるを得ない。
(3)ところで、請求人のいう商標の周知性を立証するための重要な要素である販売実績及び販売金額の実績については、請求人は何ら証拠を提示していない。
そこで被請求人は、請求人製造のゴルフクラブ(ウッドクラブ)の販売実績及び販売金額の実績を乙第2号証及び乙第3号証に基づく客観的なデータに基づき仮説を立て、請求人の前記製品の市場における占有率を推測してみた。
乙第2号証は、ウッドクラブメーカー別国内出荷データであって、出荷金額の多い順からランキングしたもので、このランキングされた24社の出荷数量と共に掲載されている。そして、このベスト24社の中には請求人である株式会社中条の名前が掲載されていない。
国内全体に対して前記の24社全体で占める合計の占有率は、2008(平成20)年度において、数量的には87.2%であり、金額的には92.3%である。
一方、国内主要ゴルフ用品メーカーは乙第3号証で示すように全国で145社存在しており、ベスト24社を除いた他のメーカー121社で占める合計占有率は、前記年度において、数量的には12.8%であり、金額的には7.7%であって、請求人である株式会社中条はその中に含まれている。
そこで、請求人が前記121社中の中位に位置すると仮定して推定した請求人の市場占有率は、数量的には0.1058%であり、さらに金額的に至っては0.0636%となる。
上記の請求人の市場占有率(推定値)からは、とても請求人の商標の周知性を立証するための説得力のある証拠とはなり得ない。2006(平成18)年度及び2007(平成19)年度においても2008(平成20)年度とは大差がない。
(4)以上述べたことを総合的に勘案し、かつ請求人が提示した甲第3号証ないし甲第17号証を慎重に検証すれば、請求人のゴルフ用品について甲第2号証に示す商標が周知になっている事実を見出せないので、本件商標は商標法第4条第1項第10号に該当しないものである。
2 商標法第4条第1項第19号について
(1)同項第19号についても、本件商標の登録出願時において引用商標の周知性が立証できなければ、同項第19号の適用をしない旨が規定されている(商標法第4条第3項)。
したがって、請求人の商標は、日本国内はもちろん韓国においても、請求人が提示した証拠からは周知であることの立証がなされていないので、商標法第4条第1項第19号の適用がされないことは明らかである。
(2)なお、請求人は、審判請求書において、「請求人が、引用各商標について商標登録を受けていなかったのは、決してこれらの商標登録出願の手続を怠った訳ではなく、すでに、先登録商標(甲第22号証)が存在しており、この先登録商標の商標権者である株式会社卑弥呼より、指定商品『ゴルフクラブ』について、商標の使用許諾を得ていたからである。」として、被請求人が商標法第50条不使用取消審判を請求し、当該請求とほぼ同時に、本件商標を登録出願し、その登録を受けた行為が恰も不正の目的があったかの如くの主張をしているので、この点の主張について反論する。
先登録商標があったから商標登録出願をしなかった旨の請求人の主張は商標保護の熱意が希薄であったことのなによりの証である。先登録商標の権利者である株式会社卑弥呼の業務範囲をインターネットのホームページ等を活用して調査すれば、請求人の使用を求める「ゴルフ用具」が含まれていないことは、容易に知ることができ、かつ不使用取消審判(商標法第50条)を介して商標登録の可能性が十分にあるからである。
被請求人は、「ゴルフ用具」(運動具)について「KAMUI」の使用を強く想い、かつ適法な使用をするために商標登録を熱望し、最大限の努力を尽くして本件商標を取得したものである。
その努力をしなかった請求人が、商標法の範囲内で最大限の努力をして登録を取得した被請求人の行為を不正の目的という論法は、為すべき事を怠ったといわざるを得ない。商標法上認められている的確な手続を怠ったことに伴う不利益は、それを行わなかった請求人が負うべきである。
(3)そして、被請求人の行為は、商標の使用する者の業務上の信用を維持することを目的とし(商標法第1条)、かつ先願登録主義を建前とする(商標法第8条1項)我が国法制の下では当然に是認されるものである。
なお、被請求人は、本件商標を取得した後、当該登録商標を付した商品を商品カタログに載せ(乙第4号証)、雑誌には当該商品の広告宣伝記事が頻繁に載り(乙第5号証ないし乙第12号証)、更に新聞にも数多くの広告宣伝記事が掲載されている(乙第13号証ないし乙第21号証)ことを付言しておく。
(4)以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
3 被請求人の第2答弁
(1)被請求人は、平成21年9月3日に本件審判事件に対する答弁書を提出したが、その後、請求人の所在地である富山県及び北陸地域(富山県、石川県、福井県)での市場占有率を推定するための客観的データを株式会社矢野経済研究所(東京都中野区本町2丁目46番2号 中野坂上セントラルビル)に依頼し入手したので、このデータに基づき仮設を立て、富山県及び北陸地域における請求人の市場占有率を推測する内容を答弁理由として、更に追加する。
(2)乙第22号証は、北陸地域の各県別及びそれをまとめた北陸地域におけるゴルフクラブ(ドライバー)の販売推計であって、販売金額の多い順からランキングしたもので、このランキングされた18社の販売数量と共に掲載されている。なお、調査は、乙第22号証の3頁及び4頁に記載の手法により行っている。
そして、このベスト18社の中には請求人である株式会社中条の名前が掲載されていない。
そこで、富山県において、前記18社全体で占める合計の占有率は、2008(平成20)年度では、販売数量が86.4%であり、販売金額が88.2%である。
一方、国内主要ゴルフ用品メーカーは乙第3号証で示すように全国で145社存在しており、ベスト18社を除いた他のメーカーは127社で占める合計占有率は、前記年度において、数量的には13.6%であり、金額的には11.8%であって、請求人である株式会社中条はその中に含まれている。
そこで、請求人が前記127社中の中位に位置すると仮定して推定した請求人の市場占有率は、数量的には0.1071%であり、さらに金額的に至っては0.0929%となる。
上記の請求人の市場占有率(推定値)からは、とても請求人の商標の周知性を立証するための説得力のある証拠とはなり得ない。2006(平成18)年度及び2007(平成19)年度においても2008(平成20)年度とは大差がない。
(3)次に、北陸地域(富山県、石川県、福井県)において、ペスト18社で占める合計市場占有率は、2008(平成20)年度で、数量的には84.6%であり、金額的には86.9%である。
一方、ベスト18社を除いた他のメーカー127社で占める合計占有率は、前記年度において、数量的には15.4%であり、金額的には13.1%であって、請求人である株式会社中条はその中に含まれている。
そこで、請求人が前記127社中の中位に位置すると仮定して推定した請求人の市場占有率は、数量的には0.1213%であり、さらに金額的には0.1031%となる。
上記の請求人の市場占有率(推定値)からは、とても請求人の商標の周知性を立証するための説得力のある証拠とはなり得ない。2006(平成18)年度及び2007(平成19)年度においても2008(平成20)年度とは大差がない。
(4)以上述べたように、請求人の所在地である富山県及び富山県を含む北陸地域における販売実績データに基づき、請求人の販売実績を推定して判断すると、請求人の商標が周知であると到底いえない。
4 まとめ
上記のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第19号に該当するものではないから、その登録は同法第46条第1項の規定による無効事由に該当するものではない。

第4 当審の判断
1 請求人の主張の全趣旨及び提出された証拠によれば、次の事実を認めることができる。
(1)審判請求書をもって提出された証拠
ア 甲第2号証には、別掲のとおりの引用各商標が記載されている。
イ 甲第3号証は、平成13年(2001年)7月21日、株式会社ゴルフメイト発行の雑誌「月刊 ゴルフメイト」の写しで、表紙には、ヘッド部分に引用商標1(これと同一視できる態様のものを含む。以下、引用各商標いずれも同じ。)が表示されているゴルフクラブの写真が掲載され、2枚目には、下段に引用商標1が表示されたゴルフクラブのヘッド部分の写真が掲載され、その左に「カムイ320 中条」の記載(「カムイ320」中の「カムイ」の文字は、引用商標3)がある。また、上段やや右に「…世界最高レベルの反発力を達成したのがカムイ320だ。その飛距離は圧倒的で…」の記載がある。
ウ 甲第4号証は、平成13年(2001年)10月1日、ゴルフダイジェスト社発行の雑誌「GOLF DIGEST」の写しで、2枚目には、上部やや右に「カムイの飛びは」の見出しの下に「…カムイプロもそんなドライバーの代表クラブ。…」、その右に引用商標1(及び2)の記載があり、3枚目には、中央右には「カムイプロ320を試打する成田プロ」の記載があり、左下に引用商標1が表示されたゴルフクラブのヘッド部分及び引用商標4が表示されたゴルフクラブのグリップ部分の写真が掲載され、4枚目には、引用商標1が表示されたゴルフクラブのヘッド部分の写真と共に「カムイ/320ドライバー」の記載(「カムイ」の文字は引用商標3)があり、また、右上に引用商標1(及び2)の記載がある。
エ 甲第5号証は、平成14年(2002年)10月1日、ゴルフダイジェスト社発行の雑誌「週刊 ゴルフダイジェスト」の写しで、2枚目の上段右に「カムイ/タイフーンプロ380」(「カムイ」の文字は引用商標3)としてゴルフクラブのヘッド部分の写真が掲載され、その左に「問(黒丸の中に白抜きで表示)カムイ」と電話番号が記載され、中段には「…カムイタイフーンプロ380は、反対に鈍い音がした。…」と記載され、3枚目の下段には「…ボクはカムイのタイフーンプロ380です。…」の記載がある。
オ 甲第6号証は、2002年(月日不明)、日本文化出版株式会社発行の雑誌「ゴルフクラシック」の写しで、2枚目の上段に、引用商標4が表示されたゴルフクラブのヘッド部分及びシャフト部分の写真が掲載され、中段右に「カムイならではの反発性能。機能に任せるスインガーへ」、「タイフーンプロ/380/【中条】」、下段に「…さすがにカムイならでは…」の記載があり、さらに3枚目に引用商標4が表示されたゴルフクラブのシャフト部分の写真が掲載され、左上に「【問い合わせ先】/(株)中条」と電話番号の記載がある。
カ 甲第7号証は、平成14年(2002年)11月1日、ゴルフダイジェスト社発行の雑誌「チョイス」の写しで、4枚目の中央左に「飛びの“いちばん”は、/『キャリーのカムイ』/『ランのWAKAMUSHA』」の見出しの下に、「…記録は217ヤードで、カムイにほぼ近い…」『…カムイ320改…』の記載があり、5枚目に引用商標1が表示されたゴルフクラブのヘッド部分の写真が掲載され、その左下に「Kamui320改」の記載がある。
キ 甲第8号証は、平成16年(2004年)2月1日、ゴルフダイジェスト社発行の雑誌「GOLF DIGEST」の写しで、3枚目の上段に「…カムイは249Y飛んだ!」の記載があり、6枚目の下段にゴルフクラブの写真の右側に「カムイ/タイフーン/プロ380」の記載がある。
ク 甲第9号証は、平成19年(2007年)6月1日、日本文化出版株式会社発行の雑誌「ゴルフクラシック」の写しで、2枚目の上段右に、「もっと簡単に/そして、だれよりも遠くへ/飛ばせるドライバー」の見出しの下に「(株)中条からカムイのDNAを受け継ぐニュードライバー『TP-03』(8万4000円)が登場した。…」、その下に「お問い合わせ」として「(株)中条」と電話番号の記載がある。
ケ 甲第10号証は、平成19年(2007年)6月26日、ゴルフダイジェスト社発行の雑誌「週刊 ゴルフダイジェスト」の写しで、2枚目の上段右に「飛距離性能は/トップクラス」の見出しの下に「カムイ/TP-03」(「カムイ」の文字は引用商標3)、中段には「…驚いたのはカムイのTP-03かな…」の記載、5枚目の右下の「試打者のイチ押し!」の見出しの下に「加藤プロ/飛び/カムイTP-03」の記載がある。
コ 甲第11号証は、平成19年(2007年)8月16日、株式会社三栄書房発行(発行会社は職権調査による)の雑誌「GOLFTODAY」の写しで、2枚目及び3枚目にそれぞれ「カムイ/タイフーンプロ-03」及び「カムイ」(「カムイ」の文字はいずれも引用商標3)の記載と共にゴルフクラブが掲載されている。
サ 甲第12号証は、「2007(第9回)ゴルフダイジェストドラコン日本選手権」のチラシとその参加申込書で、チラシには、左下に「[ステージ1・2]地区予選/地区決勝」「4月29日(日)東海ブロック:東名CC/練習場」と記載され、参加申込書の裏面には、ゴルフクラブのヘッド部分の写真と共に引用商標4、「TP-03」及び「タイフーンプロ/Typhoon Pro」、「〈製造発売元〉株式会社中条/有限会社カムイ」の記載がある。
シ 甲第13号証ないし甲第16号証は、いずれもゴルフダイジェスト社発行の雑誌の写しであって、甲第13号証は、平成19年(2007年)7月10日発行の「週刊 ゴルフダイジェスト」であり、2枚目に「カムイタンフーン襲来!」、「カムイ、オープン・シニア2冠達成!」の記載がある。甲第14号証は、平成19年(2007年)10月30日発行の「週刊 ゴルフダイジェスト」の写しであり、2枚目に「矢野正二選手/CLUB SPEC/ドライバーヘッド/カムイTP-03」の記載がある。甲第15号証は、平成20年(2008年)1月1日発行の「月刊 ゴルフダイジェスト」の写しであり、6枚目に「…カムイのクラブに一目ぼれし…」、「ヘッドは共にカムイTP03(9度)。」の記載がある。甲第16号証は、平成19年(2007年)7月3日発行の「週刊 ゴルフダイジェスト」の写しであり、2枚目に「2007/【第9回】ゴルフダイジェスト/ドラコン日本選手権」の見出しの下に、左下に「[ステージ1・2]地区予選/地区決勝」「6月24日(日)九州ブロック:JR内野CC」、その下に「協賛…(株)中条・(有)カムイ…」の記載があり、3枚目の下段に引用商標4の表示と共にゴルフクラブのヘッド部分の写真が掲載され、その下に「<製造発売元>株式会社中条/有限会社カムイ」の記載がある。
ス 甲第17号証は、「使用プロ一覧」という表題と、「2009/4/30」と記載されている表で、番号1ないし172の取引先名の欄に各プロゴルファーの氏名が記載され、それぞれの住所と電話番号の一部が表示されている。
セ 甲第18号証及び甲第19号証は韓国における審決と判決の訳文、甲第20号証及び甲第21号証は被請求人から請求人への通知及び警告書の写し、甲第22号証及び甲第23号証は登録商標「CAMUI」の登録情報と商標審決公報の写しである。
(2) 審判事件弁駁書をもって提出された証拠
ア 甲第41号証は、請求人から荒木東海男プロに2001年ないし2008年の間に無料貸出したクラブ一覧であり、貸出日や「TPSI-7」、「TP-03」、「P430-1」等のクラブの種類の記載がある。
イ 甲第42号証は、作成時期は確認できないが、ゴルフクラブの製品カタログの写しであり、1枚目の左右中央に、それぞれ引用商標4とその下に「PRODUCE BY KAMUI CO.,LTD」の表示があり、左下に「KAMUIPRO」、その下に「株式会社中条 有限会社カムイ」の記載がある。2枚目には、引用商標4と「PRODUCE BY KAMUI CO.,LTD」の表示がある。3枚目以降には、引用商標1及び引用商標4が表示されたゴルフクラブのヘッド部分の写真やキャディバックの写真が掲載され、また、「カムイ320」(「カムイ」の文字は引用商標3)、「KAMUI320」(「KAMUI」の文字は引用商標2)、「グリップ=カムイオリジナルコードグリップ」などの記載がある。
(3)審判事件回答書をもって提出された証拠
引用各商標が本件商標の出願前から周知であることを立証する証拠の提出を求めた平成21年11月18日付け審尋に対して審判事件回答書をもって提出された証拠によれば、次の事実が認められる。
ア 甲第51号証は、ゴルフクラブの2000年ないし2009年の販売数の表であり、商品の欄に「カムイ320シリーズ」、「カムイRDIIシリーズ」、「カムイ430シリーズ」等の記載があり、販売数及び販売数合計の記載がある。
イ 甲第52号証は、製品カタログの写しであり1枚目の左上及び右上に「KAMUI PRO430」(「KAMUI」の文字はいずれも引用商標2)、左下に「2007年末迄SLEルール適合」の記載があり、左右に引用商標4の表示があるゴルフクラブのヘッド部分の写真が掲載されている。2枚目の左上の説明文中に「2008年1月1日から…ルールが変更になります。」の記載があり、左中央に「KAMUI PRO」、その下に「株式会社中条 有限会社カムイ」、中央上に「KAMUI PRO」、中央下に「KAMUI GaN WEDGE」(「KAMUI」の文字はいずれも引用商標2)、中央上に「KAMUI TP」(「KAMUI」の文字は引用商標4)の記載があり、右下に引用商標4と「PRODUCE BY KAMUI CO.,LTD」の表示がある。また、中央上下に引用商標4の表示があるゴルフクラブのヘッド部分の写真が掲載されている。
ウ 甲第53号証は、作成時期は確認できないが、製品カタログの写しであり、左上に引用商標4の表示とその下に「PRODUCE BY KAMUI CO.,LTD」の記載があり、左中央に「カムイのDNAを受け継ぐ、タイフーンプロ〈TP-03〉」、下段に「〈製造発売元〉株式会社中条/有限会社カムイ」の記載がある。
エ 甲第54号証及び甲第55号証は、無効2006-89158の商標審決公報及び異議2002-90727の商標決定公報の写しである。
オ 甲第56号証は、2006年10月27日付けの読売新聞の写しであり、左下の広告には「300ヤード超え続々ドラコン王者カムイ」「KAMUIPRO430CFM/適合モデル」「KAMUI」及び「株式会社中条/有限会社カムイ」の記載がある。
カ 甲第57号証は、平成19年(2007年)1月1日発売、株式会社ゴルフ用品界社発行の雑誌「月刊ゴルフ用品界」の写しであり、記事中に「…私を全力でサポートしてくれたイオンスポーツさん、カムイさん、そして中国の…」、「…ゴルフクラブ関連で私を全力で応援してくださったイオンスポーツさん、カムイさん…」の記載がある。
キ 甲第61号証ないし甲第88号証は、株式会社ゴルフ用品界社発行の雑誌「月刊ゴルフ用品界」の記事・広告等の写しである。
(ア)甲第61号証は、平成16年(2004年)9月1日発売の9月号であり、2枚目に「KAMUIPRO V」の文字の下に、引用商標2が表示されたゴルフクラブのヘッド部分の写真が掲載され、下段には、「KAMUIPRO」、「有限会社カムイ 株式会社中条」の記載がある。
(イ)甲第64号証は、平成17年(2005年)8月1日発売の8月号であり、2枚目の上段右に引用商標4、中段に「KAMUIPRO430」の記載があり、中央に引用商標4が表示されたゴルフクラブのヘッド部分の写真が掲載されている。下段には、「KAMUIPRO」、「有限会社カムイ 株式会社中条」の記載がある。
(ウ)甲第66号証は、平成17年(2005年)11月1日発売の11月号であり、3枚目には、「…なお、同選手の使用クラブは以下の通り。ドライバー:カムイプロ・タイフーンプロ」、「アイアン:カムイプロTP」、「パター:カムイプロ」の記載がある。
(エ)甲第69号証は、平成18年(2006年)3月1日発売の3月号であり、2枚目には、上段右に「中条/カムイ」、「大反発『KAMUIPRO430』『KAMUIPRO430CFM』」及び上段左に引用商標4が表示されたゴルフクラブのヘッド部分の写真が掲載されている。
(オ)甲第70号証は、平成18年(2006年)8月1日発売の8月号であり、2枚目には、中段に「ドラコン日本選手権で活躍、『KAMUIPRO430 CMF』ドライバー」等の記載がある。
(カ)甲第76号証は、平成19年(2007年)3月1日発売の3月号であり、2枚目には、「KAMUI PRO V」、「KAMUI PRO WEDGE」、「KAMUI TP」(「KAMUI」の文字は引用商標2)の記載とともに、引用商標4が表示されているゴルフクラブのヘッド部分の写真が掲載されている。下段には、「有限会社カムイ 株式会社中条」の記載がある。また、3枚目に、「中条/カムイ」、「KAMUI PRO ブランドの高機能フェアウェイウッドの他、アイアン、パターもニューモデル」等の記載がある。
(キ)甲第62号証、甲第63号証、甲第65号証、甲第67号証、甲第68号証、甲第71号証ないし甲第75号証は本件商標の登録出願前に発行されたものであり、「定店観測」と呼ばれるコンテンツの「ウッドベスト5」の欄に、「KAMUI PRO V」(甲第62号証は、「KMUI PRO V」と記載されている。)、「KAMUI PRO430」の記載、「メーカー名」の欄に「中条」の記載がある。
(ク)甲第77号証ないし甲第88号証は、本件商標の登録出願後に発行されたものであり、「定店観測」と呼ばれるコンテンツの「ドライバーベスト5」の欄に「TP-03」、メーカー名の欄に「中条」の記載があるが、「カムイ」、「KAMUI」の記載は見い出すことはできない。
2 引用各商標の周知性について
(1)商標法第4条第1項第10号及び同項第19号は、商標登録出願の時に同号に該当しないものについては、適用されない(商標法第4条第3項)。
そうすると、被請求人の提出した甲各号証のうち、本件商標の登録出願の日である平成19年(2007年)4月23日後のものについては、出願の時における周知性の立証のための証拠としては採用することができない。
そして、同法第4条第1項第10号及び同項第19号は、他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして(日本国又は外国における)需要者の間に広く認識されている商標(又はこれに類似する商標)を要件としているのであるから、その周知性の判断にあたっては、商標自体の使用ばかりでなく、商標を使用している者が誰であるのかも考慮し判断すべきである。
(2)請求人提出に係る引用各商標の周知性を立証する証拠のうち、本件商標の登録出願の日以前のものと認められるものは、甲第3号証ないし甲第8号証、甲第56号証及び甲第57号証及び甲第61号証ないし甲第76号証であり、さらに、引用各商標(これと同一視できるものを含む。以下同じ。)と請求人を表示したものと認め得る「株式会社中条」、「(株)中条」又は「中条」とが共に確認できるのは、甲第3号証、甲第6号証、甲61号証、甲64号証、甲第69号証及び甲第76号証であり、平成13年7月21日から平成19年3月1日のおおよそ5年半の間で6件のみである。
(3)なお、甲第62号証、甲第63号証、甲第65号証、甲第67号証、甲第68号証及び甲第71号証ないし甲第75号証は、「メーカー名」の欄に「中条」の記載は認められるものの、「ウッドベスト5」の欄に記載された「KAMUI PRO V」(甲第62号証は、「KMUI PRO V」と記載されている。)「KAMUI PRO430」の文字中「KAMUI PRO」の文字はまとまりよく一体的に表され、そこから生じる「カムイプロ」の称呼もよどみなく一連に称呼し得るものであるから、全体が一体不可分のものとみるのが自然であり、それらは引用各商標とは別異のものと判断するのが相当である。
また、これら甲各号証は雑誌「月刊ゴルフ用品界」の「定店観測」と呼ばれる全国の売れ筋情報が毎月掲載されるコンテンツであるが、職権調査によれば、この「定店観測」は全国約60店舗毎の販売ランキングが毎号掲載されており、上記各号証は、それらのなかで、「KAMUI PRO V」等がランキングに入った一店舗の頁であり、他の店舗のランキングには、提出のあったいずれの号にも引用各商標や「KAMUI PRO」の記載は見いだせない。
さらに、「定店観測」の記事には、各店舗の販売ランキングの1位に5ポイント、2位に4ポイント、3位に3ポイント、4位に2ポイント、5位に1ポイントとして、全店舗のポイントを集計し、「WOOD」「IRON SET」「PUTTER」等部門別のランキングが毎号掲載されているが、そこには提出のあったいずれの号にも引用各商標、「KAMUI PRO」及び「中条」の記載は見いだせない。
(4)甲第12号証の「2007(第9回)ゴルフダイジェストドラコン日本選手権の参加申込書には、引用商標4及び「株式会社中条」の記載が認められ、そのタイトルの「2007」の文字及び最初の地区予選(東海ブロック)が「4月29日(日)」と記載されていることから、当該地区において、本件商標の登録出願の日以前に配布されていたことが推認し得るとしても、具体的な配布時期、配布部数等が明らかにされていないから、証拠力は極めて弱いものといわざるを得ない。
(5)甲第17号証は、引用各商標を付したゴルフクラブを愛用するプロゴルファーの一覧表であるが、それを裏付ける証拠は見当たらないから、証拠として採用できない。
なお、請求人が弁駁書で述べるように、「・・・請求人のゴルフクラブが『カムイタイフーンプロ』や『カムイTP-03』等の通称で知られているため、これらのプロゴルファーが、請求人のすべてのゴルフクラブのソールに『KAMUI』の文字が表記されていることを知らなかった」のであれば、引用各商標又は「KAMUI」の文字は請求人の業務に係る商品を表示するものとして周知とはいえない。
(6)甲第41号証は、請求人からプログルファー荒木東海男プロに貸し出したゴルフクラブ一覧であるが、一人のプロゴルファーに貸し出したことと周知性の獲得とは関連性が強いとはいえず、貸し出したことを裏付ける証拠の提出がないものであり、また、甲第42号証は、請求人は2002年版の製品カタログと主張しているが、作成年(月日)の記載はなく、また作成部数等も不明であるから、いずれも証拠として採用できない。
(7)甲第51号証は、ゴルフクラブの販売数の表であるが、請求人が容易に作成し得る体裁のものであって、販売数の裏付けとなる証拠の提出はなく、また、同号証が、引用各商標が請求人の業務に係る商品を表すものとして本件商標の登録出願の時以前から需要者の間に広く認識されていたことを裏付ける書類、例えば売上高、売上シェア・ランキングなどを立証する証拠の提出を求めた審尋に対して提出されたものであることを考慮すれば、この数値を採用することはできない。
(8)甲第52号証の製品カタログには、引用商標2、引用商標4及び「株式会社中条」の記載が認められ、カタログの説明文中の「2008年1月1日から…ルール変更になります。」等の記載から、2008年1月1日前に作成されたものと推認できるとしても、具体的な作成日が確認できないから証拠として採用することはできない。
(9)上記(1)ないし(8)を総合してみると、引用各商標は、本件商標の登録出願の時以前から、ある程度知られていたことは認められるとしても、これが請求人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されていたと認めるに足る証左は見いだせない。
そうとすれば、引用各商標は、本件商標の登録出願の時以前から、申立人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして我が国の需要者の間に広く認識されている商標とは認めることはできない。
3 商標法第4条第1項第10号について
引用各商標は、本件商標の登録出願の時以前から、申立人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして我が国の需要者の間に広く認識されている商標とは認めることはできないこと上記2の認定のとおりである。
したがって、本件商標は、引用各商標と類似するものであるとしても、商標法第4条第1項第10号に該当するものではない。
4 商標法第4条第1項第19号について
前記2の認定のとおり、引用各商標は、本件商標の登録出願時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして我が国の需要者の間に広く認識されている商標とは認めることはできないものである。
また、請求人は、被請求人が請求人の使用する周知商標と類似する本件商標を登録出願したこと、被請求人がいわゆる訴権を濫用し、韓国における請求人の商標「KAMUI」(韓国商標登録第558175号)に対し無効審判の請求を行ったこと及び登録商標「CAMUI」の一部取消審判をしたことをもって、被請求人が不正の目的をもって本件商標を使用するものである旨主張している。
しかしながら、請求人と被請求人は一時期提携して事業を行っており、また、被請求人が商標登録出願をすること、無効審判や取消審判を請求すること自体は適正な行為であることから、前記のことをもって、被請求人が不正の目的があったとまではいえない。
さらに、引用各商標が韓国等外国において周知であることの立証はなされていない。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第19号に該当するものではない。
5 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号及び同第19号に違反してされたものではないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲



審理終結日 2010-04-12 
結審通知日 2010-04-14 
審決日 2010-04-30 
出願番号 商願2007-40533(T2007-40533) 
審決分類 T 1 11・ 25- Y (X28)
T 1 11・ 222- Y (X28)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 竹内 耕平金子 尚人 
特許庁審判長 森吉 正美
特許庁審判官 小畑 恵一
瀧本 佐代子
登録日 2008-06-20 
登録番号 商標登録第5142685号(T5142685) 
商標の称呼 カムイ 
代理人 猪狩 充 
代理人 宮田 信道 
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