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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 009
管理番号 1218302 
審判番号 取消2009-300836 
総通号数 127 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2010-07-30 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2009-07-22 
確定日 2010-05-24 
事件の表示 上記当事者間の登録第3239462号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第3239462号商標の指定商品中「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第3239462号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成からなり、平成6年4月18日に登録出願、第9類「電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気掃除機,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,電池,電線及びケーブル,配電用又は制御用の械器具」を指定商品として同8年12月25日に設定登録されたものであり、その後、同18年11月28日に商標権の存続期間の更新登録がなされている。

2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出した。
(1)請求の理由
本件商標は、その指定商品中、第9類「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」について継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかによって使用された事実が存在しないものであるから、商標法第50条第1項の規定により、その登録は取消されるべきである。
(2)答弁に対する弁駁
被請求人は、被請求人の総合カタログに本件商標「DUET」を商品「ビデオデッキ付きカラーテレビ」に使用している旨主張している。
(ア)しかしながら、該カタログは、私文書であり、単に提出しただけでは、そこに示された商標が使用されたことの立証としては十分ではない。具体的な作成者の証言等によって初めて、その作成年月日及び頒布年月日等が証明されたことになるものであり、そのような作成者の証言等がない以上、同カタログをもって商標の使用が証明されたとすることはできない。
商標の使用とは、本来、商品に関していうものであるが、カタログを介して広告宣伝において使用する場合も、商標の使用と認められている。
しかし、カタログに商標が記載されているから直ちに商標の使用が認められるわけではない。それが需要者に開示されてはじめて宣伝広告があったとし得るにすぎない。
この点について、被請求人は、乙第1号証を提出するだけで、それがどのような経路で、どのような者にいつ頒布されたかに関する証明をしていない。使用されたかどうかは、事実問題であり、使用される可能性があっただけでは、商標の使用というべきではない。乙第1号証だけでは「登録商標の使用」がされたことの証明には不十分である。
(イ)さらに、本件商標の態様は、大文字のアルファベット「D」を大きく表わし、これに「U」「E」「T」の文字を組み合わせた構成文字とし、それらの右下に、「デュエット」の文字を添え、さらにその下に大きな文字で「2重掃」の文字を配したものである。
これに対して、被請求人が使用しているとする商標は「Duet」であり、両者は百歩譲って「DUET」において共通することを認めるとしても、その使用態様には登録商標の「2重掃」の部分を欠落しており、両者は明らかに異なるものであり、社会通念上本件商標の使用に等しいということもできない。
(ウ)したがって、本件商標の登録は、請求に係る指定商品について取り消されるべきである。

3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証を提出した(なお、被請求人は、書証の表示を甲号証として表示しているが、被請求人提出の証拠であるので、乙号証として表示した)。
(1)乙第1号証は、2006年11月作成の当社製品の総合カタログの写しであり、被請求人は、本審判請求登録日の過去3年以内である2006年11月に作成したカタログの39頁及び40頁に本件商標「DUET」をビデオデッキ付カラーテレビに使用している。上記商品は、「電気通信機械器具」の範囲に属する商品であることは明らかである。
(2)平成8年の商標法第50条第1項の1部改正の趣旨から、登録商標の使用であるかどうかは、自他商品(役務)の識別をその本質的機能としている商標の性格上、単なる物理的同一にこだわらず、取引社会の通念に照らして判断される必要があるものと解すべきである。
上記カタログで使用されている商標「DUET」と本件商標「DUET/2重掃」とは、その構成上、「2重掃」の部分で相違するものの、本件商標の中で、一番大きく書かれ、取引に接する需要者の目を引く要部は「DUET」の部分であることから、該相違点は、両商標において、商標としての自他商品識別力に影響を及ぼすものではない。
また、「DUET」と「2重掃」は上下二段の構成からなり、容易に、各部分に分離されることから、上記カタログにおける「DUET」の使用が本件商標と社会通念上同一の商標の使用と認められることは、上記第50条第1項の1部改正の趣旨に鑑み明白である。
(3)したがって、被請求人が本件商標を本審判請求に係る指定商品である「電気通信機械器具」について、本審判請求登録日の過去3年間に継続して使用していることは明白である。
よって、答弁の趣旨通りの審決を求める。

4 当審の判断
(1)被請求人は、本件商標をその指定商品について使用しているとして、乙第1号証を提出している。
そこで、被請求人の提出に係る乙第1号証をみるに、乙第1号証は、被請求人の作成に係る総合カタログの写しであり、1枚目は、該カタログの表紙と裏表紙の写しであり、2枚目は、該カタログの39頁と40頁の写しと認められるものである。
そして、該カタログの表紙及び裏表紙には、有名女優の写真を大きく配し、表紙には、左上から「SHARP」、「2006年秋冬号」、「シャープ」、「総合カタログ」の各文字が大きな文字をもって4段に記載されており、その下にやゝ小さく「セールス専用」の文字が記載されている。
また、裏表紙には、左端部分に、カタログに掲載されている商品の見出しを表示しているものと認められる「AVシステム商品」、「情報システム商品」、「ドキュメントシステム商品」、「電化システム商品」等の表示があり、「本カタログ掲載商品の価格には、配送・設置・付帯工事、使用済み商品の引き取りなどの費用は含まれておりません。・・・」等の注意書きが記載されており、右下部分に「シャープ株式会社」とあり、その下に「このカタログの内容は、2006年11月現在のものです。」と記載されていることが認められる。
そして、該カタログの39頁と40頁には、「ブラウン管テレビ」の表示のもとに4機種のテレビデオ(ビデオデッキ付カラーテレビ)が掲載されており、それぞれのテレビの左肩には、別掲(2)のとおり、「Duet」の欧文字からなる商標(以下「使用商標」という。)が表示されている(「Duet」の文字の上に、極めて小さく「デュエット」の如き文字が表示されているようにも見えるが確認することはできない。)。
(2)上記において認定した証拠によれば、被請求人は、本件審判の請求の登録(平成21年8月6日)前3年以内である2006年(平成18年)11月当時に作成したものと推認し得る「2006年秋冬号/シャープ総合カタログ」と題するカタログにおいて、使用商標を表示した4機種のテレビデオ(ビデオデッキ付カラーテレビ)を掲載していたことを認めることができる。
そして、被請求人の使用に係る商品「テレビデオ(ビデオデッキ付カラーテレビ)」は、取消請求に係る指定商品中の第9類「電気通信機械器具」の範疇に属するものである。
この点について、請求人は、乙第1号証のカタログがどのような経路でどのような者にいつ頒布されたかについて証明されておらず、同カタログのみをもってしては、本件商標の使用が証明されたとはいえない旨主張しているが、上記したカタログの体裁とその記載内容からみれば、該カタログに不自然なところは見当たらず、該カタログは、2006年秋冬号のシャープ総合カタログとして、被請求人により発行され、2006年の秋から冬にかけて、実際の取引の場において取引に供されていたものと優に推認し得るものというべきである。
(3)しかしながら、以下の理由により、被請求人の使用に係る商標は、本件商標あるいは本件商標と社会通念上同一の商標についての使用とは認められないものである。
すなわち、本件商標は、別掲(1)に示したとおりの構成からなるところ、上段に表された欧文字は、「D」の文字を大きく表わし、これにそれよりやゝ小さく表した「U」「E」「T」の各文字を組み合わせた態様からなるものであり、該文字の右下に、小さく表した「デュエット」の文字を添え、更にその下に、やゝ大きな文字で「2重掃」の文字を配したものである。
しかして、本件商標構成中の欧文字部分は、やゝデザイン化して表されてはいるが、その読みを表すものとして付記されている「デュエット」の片仮名文字とも相俟って、「DUET」の文字を表したものと理解・認識し得るものであり、これより「二重唱、二重奏」の意味合い(観念)を把握し得るものである。
しかしながら、それらの各文字の下に表示されている「2重掃」の文字は、その構成文字から看取し得る意味合いからみて、「DUET」の語が持つ意味合いを表したものとはいい難いから、「DUET/デュエット」の語とは独立した別異の語として位置付けられているものというべきであって、本件商標の構成における必須的構成部分の一つを形成しているものといわなければならない。
これに対して、被請求人(商標権者)が使用している商標は、別掲(2)に示したとおり、「D」の文字を大文字で表し、2文字目以下を小文字をもって表した「Duet」の構成のみからなるものである(上記したとおり、「Duet」の文字の上に、極めて小さく「デュエット」の如き文字が表示されているようにも見えるが確認することはできない。)。
そうすると、被請求人の使用に係る商標は、本件商標構成中の欧文字部分のみを使用するものであり(欧文字の態様の違いについては、商標法第50条第1項括弧書きにより許容されるとしても)、本件商標におけるもう一つの必須的な構成要素である「2重掃」の文字部分を欠落させたものであるから、本件商標との同一性を損なうものであって、もはや、本件商標と社会通念上同一と認められる商標であるということはできない。
してみれば、被請求人(商標権者)は、「Duet」の欧文字からなる商標を取消請求に係る指定商品中の第9類「電気通信機械器具」の範疇に属する「テレビデオ(ビデオデッキ付カラーテレビ)」について使用していたことは認められるが、該商標は、本件商標あるいは本件商標と社会通念上同一の商標についての使用とは認められないものである。
そして、被請求人は、他に、本件商標を取消請求に係る指定商品について使用をしていたことを裏付けるに足りる証拠を提出していない。
(4)まとめ
以上のとおり、被請求人の答弁の全趣旨及び乙第1号証を総合的に判断しても、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが取消請求に係る指定商品のいずれかについて、本件商標(本件商標と社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしていたことを証明したものとは認められない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により、取消請求に係る第9類「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」についての登録を取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
(1)本件商標



(2)使用商標


審理終結日 2010-03-25 
結審通知日 2010-03-30 
審決日 2010-04-12 
出願番号 商願平6-39438 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (009)
最終処分 成立  
前審関与審査官 泉田 智宏 
特許庁審判長 渡邉 健司
特許庁審判官 鈴木 修
井出 英一郎
登録日 1996-12-25 
登録番号 商標登録第3239462号(T3239462) 
商標の称呼 デュエット、ニジューソー 
代理人 加藤 恒久 
代理人 平井 良憲 

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