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審決分類 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 取り消して登録 X0305
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 取り消して登録 X0305
管理番号 1218238 
審判番号 不服2009-5877 
総通号数 127 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2010-07-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-03-18 
確定日 2010-06-11 
事件の表示 商願2008-2288拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
理由 第1 本願商標
本願商標は、「消臭SUICOM」の欧文字を標準文字で表してなり、第3類及び第5類に属する願書に記載のとおりの商品を指定商品として、平成20年1月17日に登録出願され、指定商品については、原審における同年7月31日付け及び当審における同22年5月21日付け提出の手続補正書において指定商品が補正された結果、最終的に第3類「消臭効果を有する家庭用帯電防止剤,消臭効果を有する家庭用脱脂剤,消臭効果を有する洗濯用柔軟剤,消臭効果を有する洗濯用漂白剤,消臭効果を有する洗濯用除菌剤,消臭効果を有する洗濯用抗菌剤,消臭効果を有する洗濯用でん粉のり,消臭効果を有する洗濯用ふのり,消臭効果を有するせっけん類,消臭効果を有する歯磨き,身体用消臭剤,身体用芳香消臭剤,その他の消臭効果を有する化粧品,消臭芳香剤,その他の消臭効果を有する香料類」及び第5類「消臭効果を有する除菌剤(工業用及び洗濯用のものを除く。),消臭効果を有する抗菌剤(工業用及び洗濯用のものを除く。),消臭剤(工業用及び身体用のものを除く。),芳香消臭剤(工業用及び身体用のものを除く。),その他の消臭効果を有する薬剤,消臭効果を有する衛生マスク,消臭効果を有する生理帯,消臭効果を有するおりものシート,消臭効果を有する生理用タンポン,消臭効果を有する生理用ナプキン,消臭効果を有する生理用パンティ,消臭効果を有する胸当てパッド」と補正されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、各種消臭剤の商品との関係から、その効能、機能とする悪臭を吸い込んでその臭いを消し去る内容であることを容易に、若しくは直ちに認識させる『消臭SUICOM』の文字を書してなるものであるから、これをその商品に使用しても、取引者・需要者は、自他商品の識別標識として認識すると言うよりも、出願人の扱う商品のうち各種消臭剤の用途効能機能に特化し、それを強調するものと理解するにすぎず、本願商標は、単に商品の品質を表示するものであり、自他商品の識別標識としての機能を有しないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審において行った証拠調べ通知書の要旨
本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、下記の事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき通知する。

1 本願商標は、願書に記載のとおり、「消臭SUICOM」の文字を標準文字で表わしてなるところ、本願商標の構成文字についての証拠調べによれば、以下の事実が認められる。
(1)「消臭」の語について
ア 「大辞泉(第一版 株式会社小学館)」の「しょうしゅう【消臭】」の項には、「悪臭をなくすこと・『-剤』」との記載がある。
イ 「広辞苑(第六版 株式会社岩波書店)の「しょうしゅう【消臭】」の項には、「不快な臭いを消すこと。『-剤』」との記載がある。
(2)「吸い込む」の語について
ア 「大辞泉(第1版 株式会社小学館)」の「すいこむ」の項には、「1 液体や気体などを、吸って中のほうまで入れる。『深く息を?・む』『地面が雨を?・む』」との記載がある。
イ 「広辞苑(第六版 株式会社岩波書店)の「すいこむ【吸い込む】」の項には、「吸って中に入れ込む。『煙を?・む』『?・まれるような青空』」との記載がある。
ウ 「消臭剤と芳香剤」と称するホームページには、「ニオイを消す代表的な方法には、”マスキング法”と”物理的脱臭法”があるそうです。・・・”物理的脱臭法”には、活性炭などにニオイを吸着させる商品があります。・・・”吸着する方式”は、全てのニオイを吸い込むので、花の香りなどの良い香りも吸い取られてしまいます。また、吸い込んだニオイは消滅しないので、消臭剤そのものがニオイの発生源になることもあります。」との記載がある。
エ 「孤立吹き飛ばす消臭剤『島の香り』離島・粟島浦村が開発/新潟」の見出しのもと、「日本海に浮かぶ離島の粟島浦村が、島特産の竹炭を活用したきんちゃく型『島の香り』を売り出した。・・・真竹の炭は繊維質の穴が多く・・・。においの元になる物質を吸い込むため、消臭効果は抜群だ。」との記事。
オ 「Yahoo!ショッピング」と称するホームページの「チクノライフ・CHIKUNO CLUB マガジンショップ」の項には、商品説明「竹の炭を利用した消臭剤。」、店長オススメコメント「消臭効果の高い竹炭を使った商品は過去にもありますが、・・・嫌な臭いをグングンと吸い込む、吸い込む!・・・」との記載がある。
カ 「楽天市場」と称するホームページの「ペットマーケット アニマル」の項の「JOYPET活性炭消臭剤200g石鹸の香り」の商品掲載のページには、「まるでスポンジが水を吸い込むように気になるニオイを取り去ります!」との記載がある。

2 上記1(1)のとおり、「消臭」の文字(語)は、本願指定商品「消臭剤」との関係において、商品の品質を表わす既成の語であることがわかる。
また、上記1(2)のとおり、「吸い込む」の文字(語)は、本願指定商品中、第3類「身体用消臭剤,身体用芳香消臭剤,消臭芳香剤」及び第5類「消臭剤(工業用及び身体用のものを除く。),芳香消臭剤(工業用及び身体用のものを除く。)」との関係において、「吸い込む方法(吸着による方法)による消臭剤,吸い込む方法(吸着による方法)による芳香消臭剤(消臭芳香剤)」との意を容易に認識させるものと判断するのが相当である。
そして、本願構成中「SUICOM」の文字(語)は、その構成中に「消臭」の文字を有することにより、これに接する需要者、取引者が、「SUICOM」の文字部分が「消臭方法の一つである吸い込む方法(吸着する方法)」の意を表している「吸い込む」の読み「スイコム」を欧文字で書したものと容易に認識するに止まるものというのが相当といえる。
そうとすれば、本願商標は、これをその指定商品中、第3類「身体用消臭剤,身体用芳香消臭剤,消臭芳香剤」及び第5類「消臭剤(工業用及び身体用のものを除く。),芳香消臭剤(工業用及び身体用のものを除く。)」に使用するときは、これに接する取引者、需要者が、「吸い込む方法(吸着による方法)で消臭する商品」であるという商品の品質を表示したものと理解するに止まり、自他商品の識別標識として認識し得ないものといわざるを得ない。
また、上記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。

第4 証拠調べ通知書に対する請求人の平成22年3月31日付け意見書の要旨
上記第3の証拠調べ通知書に対して、請求人は平成22年3月31日付け「手続補足書」及び「意見書」、証拠として甲第22号証ないし同27号証を提出し、以下の様に述べている。
1 証拠調べ通知書に紹介された4件のウエブサイトは、消臭剤との関係で「ニオイ(の元)を吸い込む」といった類の表現が使用されることがあることと理解した。
2 本願商標は、その構成中に『消臭』の文字を有することにより、これに接する需要者・取引者が、『SUICOM』の文字部分が『消臭方法の一つである吸い込む方法(吸着する方法)』の意を表す『吸い込む』の文字の読み『スイコム』を欧文字で書したものと認識するに止まるというのが相当との見解には不服である。
3 請求人は、商標「消臭スイコム」の使用に係る「芳香消臭剤」を、2009年3月25日から、日本全国の店舗及びウエブサイトを利用した通信販売により販売しており、使用の実績があり、自他商品識別標識として十分に機能している。
4 欧文字による「吸い込む」の普遍的な表示は、「SUIKOMU」であり、「SUICOM」と表示することは一切ない。
5 本願商標「消臭SUICOM」も、同様に、同製品に使用されると同時に自他商品の識別標識として機能することが明らかです。
6 本願商標は、その全体から「消臭を吸い込む」といった意味合いを直接的に表示するものではなく、また、かかる意味合いを需要者・取引者に直感的に想起せしめるものではなく、指定商品の品質・効能・用途等を間接的に表示するにすぎない、あるいは、暗示的に想起せしめるにすぎない。

第5 当審の判断
本願商標は、上記第1のとおりの構成よりなるところ、その構成中の「SUICOM」の欧文字部分は、外国語の成語ではなく、また、「吸い込む」の語を普通に用いられるローマ字で表されたものでもないから、これに接する需要者、取引者は、これを特定の観念を生じない一種の造語と理解するというのが相当である。
また、本願商標構成中の「消臭」の文字部分は、本願指定商品との関係では「消臭効果を有する商品」であるとの品質を認識させるものであるから、本願商標の自他商品の識別標識となる部分は、「SUICOM」の欧文字部分にあるものといえる。
そこで、当審において、職権をもって調査するも、「SUICOM」の文字が、原審説示のごとき「吸い込む機能(品質)」を表すものとして、指定商品を取り扱う業界において一般に使用されている事実は確認することができなかった。
してみれば、「SUICOM」の欧文字部分は、本願指定商品に使用しても、十分に自他商品の識別標識として機能し得るものと判断するのが相当であるから、本願商標は、商標法第3条第1項第3号には該当しないものである。
また、本願は、その指定商品について、上記第1のとおり、当審において補正された結果、商品の品質について誤認を生じさせるおそれはなくなった。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。
その他、政令で定める期間内に本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決日 2010-05-27 
出願番号 商願2008-2288(T2008-2288) 
審決分類 T 1 8・ 13- WY (X0305)
T 1 8・ 272- WY (X0305)
最終処分 成立  
前審関与審査官 神田 忠雄 
特許庁審判長 鈴木 修
特許庁審判官 馬場 秀敏
瀧本 佐代子
商標の称呼 ショーシュースイコム、スイコム 
代理人 大村 昇 
代理人 小林 久夫 
代理人 安島 清 
代理人 高梨 範夫 
代理人 木村 三朗 

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