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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Z18
管理番号 1218209 
審判番号 取消2009-300680 
総通号数 127 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2010-07-30 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2009-06-08 
確定日 2010-05-10 
事件の表示 上記当事者間の登録第4586795号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4586795号商標(以下「本件商標」という。)は、「VIVI」の文字を横書きしてなり、平成13年9月25日に登録出願、第18類「皮革,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,乗馬用具,愛玩動物用被服類」を指定商品として、同14年7月19日に設定登録されたものであって、その商標権は現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、平成21年6月24日である。

2 請求人の主張
請求人は、本件商標に係る指定商品中「携帯用化粧道具入れ」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証の1ないし3を提出した。
(1)請求の理由
請求人の調査によれば、本件商標は、その指定商品中「携帯用化粧道具入れ」について、ここ3年以上継続して商標権者又は通常使用権者によって使用されていない。
したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その指定商品中「携帯用化粧道具入れ」について取り消されるべきである。
(2)答弁に対する弁駁
ア 乙第1号証の商標使用許諾契約書によると、被請求人は、ヤング産業株式会社(以下「ヤング産業」という。)に「カバン(但し学校指定カバンは除く),財布,定期入れ」について本件商標の通常使用権を設定している。乙第3号証の納品書(控)によると、ヤング産業は、「札入れ、小物入れ、名刺入れ、パス入れ、小銭入れ、2面パス入れ」に本件商標を付して製造販売している。納品書(控)にある商品コード81V064及び81V084は、ともに「小物入れ」として取引されている。これらはいずれも特許庁発行のいわゆる商品区分表によると「かばん類、袋物」に相当すると考える。したがって、通常使用権設定契約に従った商標使用であり契約上問題ないところである。
イ 「携帯用化粧道具入れ」とは、文字通り、「化粧道具」を入れる携帯用袋物ないし容器ではないかと推察される。注意されるべきは「化粧用具」と言わず「化粧道具」と言っている点で、「道具」であるから使い切るものでなく、反復使われる器具系のものと解釈される。具体的には例えば、まつ毛カール器、耳かき、化粧用はけ、ヘアブラシ等で、これらを収納する携帯用容器と推察される。
これら化粧道具各々はそれぞれの機能上、一定の大きさ、形がある。したがって、それらを収納する容器も携帯用とはいえ、それ相応の大きさを要求されると同時に小型容器なら形状が自在に変化できる柔軟なものであることが要求される。具体的にはいわば大型ガマグチのような袋物であろう。
ウ 乙第2号証、乙第3号証の商品コード81V064及び81V084の小物入れを乙第4号証の1、2の売り場に行って求めたが販売されていなかったので確認してないが、写真から判断して、これらの商品は側が硬質なため内容物に合わせて変形せず、サイズも小さく化粧道具入れとしては不適当である。したがって、たとえ「携帯用化粧道具入れ」として使用する需要者がいても、これを商品として「携帯用化粧道具入れ」であるとは認識できない。なお、被請求人の「いかに使用するかは購入者の裁量に委ねられるもの」を根拠に商品の名称を判定すべしという主張が仮に通るなら、際限がなくなる。例えば、花瓶として販売されていたものを購入者が灰皿として使用したからといって花瓶という商品が灰皿になるわけではない。商品区分表を基準に商標権の成立・効力を判定する法体系を崩壊させるおそれがあり、到底是認できない。
一般に市販されている携帯用化粧道具入れ数例の写真を提出する(甲第1号証の1ないし3)。

3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第4号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)以下に示す証拠から明らかなように、本件商標と社会通念上同一と認められる商標「ViVi」は「携帯用化粧道具入れ」を含む複数の商品について、本件商標の通常使用権者により使用されており、本件商標の登録は維持されるべきである。
ア 乙第1号証に示すように、被請求人は、大阪市平野区に所在するヤング産業との間に商標使用許諾契約書を取り交わしており、同社は本件商標の指定商品中「カバン(但し学校指定カバンは除く),財布,定期入れ」についての通常使用権を有する使用権者である。
ヤング産業は、乙第2号証の商品カタログ掲載写真及びデザインに示すとおり、同社が製造販売する財布,カード入れ,パス入れ,小物入れに、本件商標と社会通念上同一と認められる商標「ViVi」を付して使用している。
乙第3号証は、これらのカタログ掲載商品のうち、品番81V064,81V084他に関する2008年8月29日付け納品書(控)の写しであり、少なくとも2008年8月時点において商取引があることの証拠資料である。
以上により、商標「ViVi」が、品番81V064、81V084について過去3年以内に通常使用権者によって使用されていた事実は明らかである。
イ 乙第3号証の納品書(控)「品名」欄において使用権者が「小物入れ」と記載している品番81V064、81V084が「携帯用化粧道具入れ」に該当するか否かについて述べる。
乙第2号証掲載写真及びデザインを見ると、品番81V064、81V084は、ピンク・ゴールド・シルバーなどの色彩及び、ハート・ヒョウ柄・フリルなどのデザインが施されていることから、一般需要者は主に女性であると想定され、また、財布やカード入れとほぼ同様の大きさであることから、通常外出時に携帯する身の回り品を収納するための小型のケースとして使用されることが想定される。
女性向けの小物入れ、ポーチ類は、乙第4号証として提出するファッションビル及び百貨店のフロアガイドにみられるように、通常、財布、パスケース等と同一又は隣接する売り場で陳列販売されており、販売者が特定の用途を示唆して販売する類のものではない。
したがって、一般需要者である女性が、品番81V064、81V084を「携帯用化粧道具入れ」に使用する目的で購入することは十分想定され得るものである。
ウ 商品の構造に特別の仕様を有しない小型のかばん,袋物,ケース,ポーチに、どのようなものを収納して使用するかは購入者の裁量に委ねられるものであり、社会通念上「携帯用化粧道具入れ」は「かばん,袋物」の範ちゅうに含まれる商品であるといえる。
(2)以上によって、本件商標は、本件審判請求に係る商品を含む商品について使用されていることが明らかであるから、本件商標の「携帯用化粧道具入れ」についての登録は維持されるべきものである。

4 当審の判断
(1)被請求人の提出に係る乙各号証によれば、以下の事実が認められる。
ア 乙第1号証は、2008年8月13日付けの被請求人を甲とし、ヤング産業を乙とする本件商標に係る「商標使用許諾契約書」の写しである。そこには、第1条 2.として「前項の通常使用権の範囲は、甲の供給に係る素材を用いて乙が製造販売する『カバン(但し学校指定カバンを除く),財布,定期入れ』・・・に限定する。」及び第14条として「本契約の有効期限は2008年9月1日から2010年8月31日までとする。ただし、期間満了の日の1か月前までに乙から申し出があったときは、甲乙協議の上これを延長することができる。」と記載されている。
イ 乙第2号証は、被請求人が「『ViVi』商品カタログ(抜粋)」とするものであり、3葉のそれぞれの右上角部の枠内に「ViVi」の文字が記載されている。また、「乙第3号証において使用者が『小物入』と記載している」と被請求人が説明する商品を描いた図がそれぞれに記載されており、そこには「ViVi」の文字が表されており、1葉目には「81V064」、2葉目には「81V084」、3葉目には「81V015」の番号が表示されている。
ウ 乙第3号証は、被請求人が「『ViVi』納品書(控)の写し」とするものであり、「納品書(控)」のタイトルの下、日付欄に年として「2008」、月として「08」、日として「29」とあり、取引先名欄に「ヤング産業株式会社」及び住所、左上の枠内に「POMME」(中間部分の「M」はデザイン化されている。)が記載されている。そして、品名欄の1行目には「ViVi 札入れ」と記載され、2行目以降は「ViVi」の文字が省略されたことを示すと認められる符号が記載されており、それに続けて、2行目には「小物入」、3行目には「小物入」の文字が省略されたことを示すと認められる符号が記載されている。また、当社商品コード欄には、1行目に「81V062」、2行目に3つの空欄に続けて「064」、3行目に3つの空欄に続けて「084」と記載されている。
エ 乙第4号証の1は、有楽町マルイ1F(ファッション雑貨/レディスバッグ/化粧品/ジュエリー/アクセサリー)のフロアマップで、「レディス革小物(財布、パスケース、ポーチなど)」と表記された一画が表示されている。また、乙第4号証の2は、有楽町阪急のフロアガイドで、1Fの「Women’s ファッションパーツ&コスメティック」と題する図中に「ハンカチーフ 革小物」と表記された一画が表示されている。そして、これらにおいて、化粧用具又は化粧道具の入れ物に係るコーナーが特別に存在することは確認できない。
(2)以上の事実によれば、乙第2号証及び乙第3号証に表示又は記載されている商標「ViVi」の文字は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標であるといえる。また、乙第3号証に記載された日付である「2008年8月29日」は、本件審判の請求の登録(平成21(2009)年6月24日)前3年以内に含まれるものである。さらに、乙第2号証における1葉目に表示された「81V064」及び2葉目に表示された「81V084」は、乙第3号証に記載された品名「ViVi小物入」の当社商品コード「81V064」及び「81V084」と一致していることが認められる。
そして、被請求人とヤング産業との関係については、両者間の商標使用許諾契約により(乙第1号証)、被請求人は、ヤング産業に本件商標権についての通常使用権を許諾していたものとみるのが相当であるところ、契約書第1条 2.における「前項の通常使用権の範囲は、甲の供給に係る素材を用いて乙が製造販売する『カバン(但し学校指定カバンを除く),財布,定期入れ』・・・に限定する。」中の「カバン」の表記は、例えば、「大辞泉 増補・新装版」(株式会社小学館発行)において、「かばん」の見出しの下、「革やズックなどで作り、書類その他の物を入れる携帯用具。」の意味を有するものとして記載されているように、一般的に商品の形状、構造までも詳細に特定されている用語でもないことから、上記の商品「小物入れ」をも包含するものと解釈して差し支えないものといえる(商品「小物入れ」が「携帯用化粧道具入れ」に属するか否かについては後述する。)。
以上により、本件商標は、その審判の請求の登録前3年以内に日本国内において通常使用権者により商品「小物入れ」に使用されていたことが優に推認し得るものである。
(3)上記の商品「小物入れ」が、本件審判の取消請求に係る商品「携帯用化粧道具入れ」に属するか否かについて、当事者間に争いがあるので、以下検討する。
ア 商品「携帯用化粧道具入れ」は、文字通り、「携帯用の化粧道具入れ」であり、その用途は、携帯可能な化粧道具を入れるものであるとしても、必ずしも商品の形状、構造までもが特定されるものではなく、不使用取消審判においては、当該商品の取引者、需要者の判断を基準として実質的に判断すべきと解されるから、明らかに「携帯用化粧道具入れ」でないといえない限り、化粧道具を収納することができて携帯することができる容器は、「携帯用化粧道具入れ」に含まれるというべきであり、請求人が甲第1号証の1ないし3により例示するとともに「機能上、一定の大きさ、形のある化粧道具(まつ毛カール器、耳かき、化粧用はけ、ヘアブラシ等)を収納する容器も携帯用とはいえ、それ相応の大きさを要求されると同時に小型容器なら形状が自在に変化できる柔軟なものであることが要求される。」と主張する形態の容器のみに限定することは適切ではない。
イ 商品コード「81V064」及び「81V084」の「小物入れ」が表示されている乙第2号証の1葉目及び2葉目をみると、該「小物入れ」は、一緒に紹介されている財布やカード入れとほぼ同じような大きさをしているものであり、横の長さに対して4分の1程度の厚みを有する小型の入れ物であることから、通常外出時に、小型の化粧道具を収納して携帯することは可能であると考えられる。
ウ そうすると、上記の商品「小物入れ」が、本件審判の取消請求に係る商品「携帯用化粧道具入れ」に属する商品であることを否定することはできないといわなければならない。
(4)以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において通常使用権者が本件審判の請求に係る指定商品「携帯用化粧道具入れ」について本件商標を使用していたことを証明したものということができる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2010-03-04 
結審通知日 2009-12-22 
審決日 2010-03-29 
出願番号 商願2001-86395(T2001-86395) 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (Z18)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 門倉 武則 
特許庁審判長 井岡 賢一
特許庁審判官 酒井 福造
末武 久佳
登録日 2002-07-19 
登録番号 商標登録第4586795号(T4586795) 
商標の称呼 ビビ、ブイアイブイアイ 
代理人 小林 孝次 

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