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審決分類 審判 全部無効 商4条1項11号一般他人の登録商標 無効としない Y03
管理番号 1218206 
審判番号 無効2007-890121 
総通号数 127 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2010-07-30 
種別 無効の審決 
審判請求日 2007-07-18 
確定日 2010-05-10 
事件の表示 上記当事者間の登録第5046619号商標の商標登録無効審判事件についてされた平成20年9月9日付け審決に対し、知的財産高等裁判所において審決取消の判決(平成20年(行ケ)第10380号平成21年4月27日判決言渡)があったので、さらに審理のうえ、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5046619号商標(以下「本件商標」という。)は、「ラブコスメ」の片仮名文字を標準文字により表してなり、平成18年3月13日に登録出願、第3類「化粧品」を指定商品として、同19年5月11日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
請求人が本件商標の無効の理由に引用する登録商標は、以下の(1)ないし(6)のとおりである。
(1)登録第542450号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲(1)の構成よりなり、昭和33年8月30日に登録出願、第3類「香料及び他類に属しない化粧品」を指定商品として、同34年9月28日に設定登録され、その後、同55年1月31日、平成1年8月23日、平成11年8月10日及び同21年8月11日の4回に亘り商標権の存続期間の更新登録がなされたものであり、当該商標権は現に有効に存続するものである。
(2)登録第2219231号商標(以下「引用商標2」という。)は、「LOVE」の欧文字を横書きしてなり、昭和46年8月5日に登録出願、第4類「歯みがき、化粧品、香料類」を指定商品として、平成2年3月27日に設定登録され、その後、同12年5月23日及び同22年2月2日の2回に亘り商標権の存続期間の更新登録がなされたものであり、当該商標権は現に有効に存続するものである。

(3)登録第2219232号商標(以下「引用商標3」という。)は、「ラブ」の片仮名文字を横書きしてなり、昭和46年8月5日に登録出願、第4類「歯みがき、化粧品、香料類」を指定商品として、平成2年3月27日に設定登録され、その後、同12年5月23日及び同22年2月2日の2回に亘り商標権の存続期間の更新登録がなされたものであり、当該商標権は現に有効に存続するものである。

(4)登録第2431617号商標(以下「引用商標4」という。)は、別掲(2)の構成よりなり、昭和48年5月10日に登録出願、第4類「歯みがき、化粧品、香料類」を指定商品として、平成4年7月31日に設定登録され、その後、同14年5月28日に商標権の存続期間の更新登録がなされ、さらに、同16年3月3日に指定商品を第3類「歯みがき,化粧品,香料類,薫料」及び第30類「食品香料(精油のものを除く。)」とする指定商品の書換登録がなされたものであり、当該商標権は現に有効に存続するものである。

(5)登録第4277280号商標(以下「引用商標5」という。)は、別掲(3)の構成よりなり、平成9年12月22日に登録出願、第3類「歯みがき,化粧品,香料類」を指定商品として、同11年5月28日に設定登録なされ、その後、同21年2月24日に商標権の存続期間の更新登録がなされたものであり、当該商標権は現に有効に存続するものである。

(6)登録第4522976号商標(以下「引用商標6」という。)は、「ラブ」及び「LOVE」の文字を上下二段に横書きしてなり、平成13年1月9日に登録出願、第3類「歯みがき,化粧品,香料類」を指定商品として、同13年11月16日に設定登録なされたものであり、当該商標権は現に有効に存続するものである。

以下、これらを一括して「引用商標」という。

第3 請求人の主張の要点
請求人は、「本件商標の登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁の理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第101号証を提出した。
1 請求の理由
(1)請求人適格
請求人は、引用商標の商標権者である。後述するように、本件商標は、引用商標と同一又は類似であって、その商標に係る指定商品と同一又は類似の商品について使用するものであるから、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当し、登録無効とされるべきものである。
よって、登録無効の根拠となる引用商標の商標権者である請求人が、本件審判において利害関係を有することは明らかである。

(2)請求の根拠
本件商標は、引用商標と同一又は類似であって、その商標に係る指定商品と同一又は類似の商品について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録無効とされるべきものである。

(3)本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当する理由
本件商標は、下記(ア)ないし(ウ)の理由で引用商標と類似し、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(ア)「コスメ」の自他商品識別力
本件商標の構成要素中、後半部分「コスメ」の文字は、後掲の証拠から明らかなように、「コスメチック」の略称として、商品「化粧品」をそのまま表示する普通名称ないし商品の品質、内容表示として一般消費者の間で認識されており、自他商品識別力を有しない。
一方、前半部分「ラブ」の文字は、「愛、愛情」を意味する広く知られた英単語「love」の日本語表記である。そして、この文字は、指定商品(化粧品)の品質や内容を表示するものではなく、指定商品との関係で十分な自他商品識別力を有する。
したがって、本件商標は、自他商品識別力を有する文字「ラブ」と、自他商品識別力を有しない文字「コスメ」との結合商標といえる。
この点、商標審査基準(改訂第7版)は、商標法第4条第1項第11号該当性の判断基準の一つとして、「形容詞的文字(商品の品質、原材料等を表示する文字、又は役務の提供の場所、質等を表示する文字)を有する結合商標は、原則として、それが付加結合されていない商標と類似する。」と述べている(甲第7号証)。この審査基準については、以下のように解説されている。(自他商品識別力を有しない)「表示を一部に有する商標は、それ以外の部分に自他商品又は役務の識別力を有すると言える。したがって、構成全体の文字より生ずる称呼等の外に、自他商品又は役務の識別力を有する部分からも称呼等を生ずる。」(甲第8号証)。
本件商標は、まさにこの基準に合致する商標である。すなわち、本件商標は「ラブ」と「コスメ」との結合からなるところ、上述のとおり「ラブ」には自他商品識別力がある一方、「コスメ」は商品の品質、内容表示であって自他商品識別力がない。つまり、本件商標は審査基準に言うところの「形容詞的文字(商品の品質、原材料等を表示する文字、又は役務の提供の場所、質等を表示する文字)を有する結合商標」である。よって、本件商標は、自他商品識別力を有する部分「ラブ」からも称呼、観念を生じ、その称呼とは「ラブ」であり、観念とは「愛、愛情」である。
一方、引用商標は、上記第2のとおりの構成よりなり、この構成文字に相応して、「ラブ」の称呼を生じ、また、「愛、愛情」の観念を生じる。
以上のように、本件商標と引用商標は、ともに「ラブ」という同一の称呼を生じ、「愛、愛情」という同一の観念を生じる。よって、本件商標と引用商標とは、称呼及び観念を同一にする、互いに類似の商標であることは明らかである。
これを補強する証拠として、甲第97号証を提出する。
甲第97号証は、出願商標「ラブウォーター」が引用商標「LOVE」、「ラブ」と類似すると判断され、拒絶査定が確定していることを示す証拠である。これは「ウォーター」が普通名称又は形容詞的文字であり自他商品識別力を有しないため「ラブ」が引用商標と類似すると判断された事例である。
なお、上記審査基準では「原則として」と記されており、例外としては、(a)形容詞的文字が自他商品識別力を有する場合又は(b)形容詞的文字以外の文字との結合で一定の観念を生ずるとき(「スーパーマン」、「ホワイトクリスマス」等)があるが(前掲「商標審査基準の解説第五版」参照)、本件商標がこれら(a)(b)のいずれにも該当しないことは明らかである。
以下に、「コスメ」の文字が「コスメチック」の略称として商品(化粧品)の普通名称ないしは商品の品質、内容表示として一般消費者の間で認識されていることを示す証拠を掲げる。なお、その前提として「コスメチック」が「化粧品」を意味する語であることについては、「広辞苑」(甲第9号証)からも明らかである。
●「現代用語の基礎知識2006」における「コスメティック(cosmetic)」が「化粧品全般をさす言葉。略してコスメ」との解説(甲第10号証)。

●毎日新聞2005年8月31日号(紙面中央)における「秋の新作コスメ」との記載(甲第11号証)。

●読売新聞2006年3月19日号(紙面左上)における「男のコスメ」との記載(甲第12号証)。

●毎日新聞2000年9月5日号(紙面左やや下)における「市民団体のコスメガイド作成」との記載(甲第13号証)。

●朝日新聞1999年10月1日号(紙面中央)における「炭コスメ」との記載(甲第14号証)。

●夕刊読売新聞1999年12月17日号(紙面左上)における「新興コスメ売りは『セルフ』」との記載(甲第15号証)。

●雑誌「Hanako 2005年7月号」中、関連頁の右上における「新しいコスメでビューティアップ」との記載(甲第16号証)。

●雑誌「FRAU 2005年11月5日号」中、関連頁(1枚目及び2枚目)における「総合第1位コスメ」、「ミレニアムはヒットコスメが豊作の年」、「諦めていた肌悩みを救うコスメが続々登場」、「最優秀コスメ大賞、10年目の真実とは?」との記載(甲第17号証)。

●雑誌「ef 2006年1月号」中、関連頁の上部における「優秀コスメ」との記載(甲第18号証)。

●雑誌「STORY 2007年6月号」中、関連頁(1枚目及び2枚目)における「五感に響くかどうかがコスメを選ぶポイント。香りやつけ心地が大切です。」、「使ってみました 噂のコスメはここがスゴイ!」との記載(甲第19号証)。

●雑誌「LEE 2007年5月号」中、関連頁(1枚目ないし3枚目)における「美白コスメ」、「実力派UV対策コスメ」、「今月のコスメ・バイヤー手帳」との記載(甲第20号証)。

●雑誌「JJ 2007年4月号」中、関連頁の左上における「春の新作コスメも『つやつや』がいっぱい!!」との記載(甲第21号証)。

●雑誌「JJ 2007年6月号」中、関連頁(1枚目)の右下、関連頁(2枚目及び3枚目)における「令嬢ブランドの『傑作コスメ』全部見せます!」、「夏の限定コスメ」、「可愛くってキャンディみたいなコスメです。」との記載(甲第22号証)。

●雑誌「美的 2005年2月号」中、表紙の中央、関連頁(1枚目ないし12枚目)における「『ハマッた!』コスメ」、「恒例!サンプルコスメ福袋2005」、「『ハマッた!』コスメ 最強ランキング」、「効果実感と使用実感で『私たちの肌にハマッた!』スキンケアコスメランキング」、「私に『キレイ』の魔法をかける このメークアップコスメにFALL IN LOVE ランキング」、「プロを虜にした今どきスターコスメたち」、「コスメ最強ランキング番外編」、「あなたの愛用コスメもこの中にある?」、「ここからは、美的読者の厳しい選択眼をクリアしたベーシックコスメのランキング結果を8つのアイテムごとに発表。」、「レアコスメをご紹介!」、「このメークアップコスメに・・・」、「今どきスターコスメたち」、「リピートコスメ部門」、「コスメ整理も楽勝?」、「サンプルコスメ福袋2005」との記載(甲第23号証)。

●雑誌「美的 2005年3月号」中、関連頁(1枚目ないし5枚目)における「小顔ゲットのためにコスメでできるコト」、「美白コスメ発売早わかりNEWS」、「肌の外側から効かせる話題の漢方コスメ」、「私たち的 春の美肌プロジェクトはこのコスメにお任せ!です」、「高機能&リーズナブルを両立した『最愛コスメ』の決定版!」との記載(甲第24号証)。

●雑誌「美的 2006年9月号」中、関連頁(1枚目ないし6枚目)における「胸キュン!新色コスメのニューター・コレクション」、「なぜ『このコスメが売れたのか』をきっちり分析」、「乾きすぎて、既にトラブルがあるならバリア機能サポートコスメを」、「ラッピングコスメをトッピング」、「まだまだ見逃せないコスメがいっぱい!」、「胸キュン!新色コスメの・・・」、「無敵の小悪魔コスメ・・・」との記載(甲第25号証)。

●雑誌「美的 2006年10月号」中、関連頁(1枚目及び2枚目)における「プチ・プラコスメセレクション」、「秋コスメの選択」との記載(甲第26号証)。

●雑誌「美的 2006年11月号」中、関連頁(1枚目ないし6枚目)における「コスメブランド人物事典」、「・・・級の優しさが・・・ップコスメにも!!」、「愛すべき実力派コスメの秀作・3品」、「保湿コスメ」、「スペシャルセレクトコスメコーナー」、「今、改めて、問い質せ!コスメの力!!」との記載(甲第27号証)。

●雑誌「美的 2007年3月号」中、関連頁(1枚目ないし5枚目)における「コフレから、エイジングケア、限定レアアイテムまで見逃せない春コスメ18」、「話題のコスメの発売日早わかりNEWS」、「敏感肌用コスメ モニタリングSP」、「フランス発、ヨーロッパで大人気の通販カタログコスメの裏側を現地へ出向き徹底リポート!」、「大切な肌のための“ごほうび“コスメ、選びました!」との記載(甲第28号証)。

●雑誌「VOCE 2004年5月号」中、関連頁(1枚目ないし6枚目)における「『春の戦利品コスメ』110」、「必需品がすぐわかる!忘れない!便利な“旅コスメリスト”」、「サロンコスメ 噂のブランド」、「コスメ通@つるつる放談」、「コスメカウンターを120%楽しむ!!」、「これぞパーソナルコスメ。オーダーすれば、2週間で手元に届く!」との記載(甲第29号証)。

●雑誌「MAQUIA(マキア) 2005年8月号」中、表紙の中央下部、関連頁(1枚目ないし7枚目)における「ベストコスメ堂々発表!」、「本当に売れたコスメ・心に響いたコスメ」、「ザ・ベスト・オブ・ベスト スキンケアコスメはこれ!」、「自分のために使いたいコスメ、本音トーク」、「話題のコスメを語り尽くす」、「売れ筋コスメの真相」、「このコスメに肌を許しました」、「2005上半期 ベストコスメ 堂々発表!」、「噂のコスメブランドストーリー&ヒストリー」、「スキンケア ベストコスメはこれ!」、「自分のために使いたいコスメ 本音トーク」、「皮膚科女医3人が話題のコスメを語り尽くす!」、「高機能コスメの効果を引き出すには、土壌となる肌を整えるケアが先決」、「コスメカレンダーエクスプレス」、「最速コスメNEWS」との記載(甲第30号証)。

●雑誌「MAQUIA(マキア) 2006年2月号」中、表紙の左、関連頁(1枚目ないし5枚目)における「超私的こだわリコスメランキング」、「超私的こだわりコスメ」、「・・・人の勝負コスメ」、「困ったときのベストレスキューコスメ」、「噂のコスメブランド ストーリー&ヒストリー」、「コスメ通が愛する名品が、関西で唯一堪能できるカウンター」との記載、及び雑誌「MAQUIA(マキア) 2007年1月号別冊付録2」中、表紙の下部、関連頁(1枚目)における「GINZA BEAUTY 最新コスメBOOK」「GINZA BEAUTY “IN”にオーガニックコスメが仲間入り」との記載(甲第31号証) 。
さらに、これを補強する証拠として、甲第86号証ないし甲第96号証を提出する。
甲第86号証は、「コスメ」が「コスメティックの略」と定義されているインターネットウェブサイト「goo辞書」、「YAHOO!辞書」の検索結果プリントアウト写である。
甲第87号証ないし甲第96号証は、「コスメ」が「化粧品」を意味する「コスメティック(ス)」「コスメチック(ス)」の略称であると判断された審決例、異議決定例及び判決例である。
例えば、甲第87号証の審決では、「・・・化粧品を取り扱う業界及び需要者間では、・・・『COSME』及び『コスメ』の部分を『化粧品』を意味する語として、・・・普通に使用している事実が認められる。・・・そうとすれば、『COSME』及び『コスメ』の文字よりなる本願商標を、その指定商品中『化粧品』に使用しても、これに接する取引者・需要者は、単に当該商品の品質を表示しているにすぎないものと理解し、自他商品の識別機能を果たし得ないものと認識すると認められる。」と判断されている。
甲第88号証ないし甲第95号証の異議決定又は審決においてもほぼ同様の判断がされている。
また、甲第96号証の判決でも、「一般に、『コスメ』の語が『化粧品』を意味・・・することが認められるから」と判断されている。
上掲の証拠から明らかなように、「コスメ」の文字は「コスメチック」の略称として商品(化粧品)の普通名称、ないしは商品の内容表示として一般消費者の間で認識されており、自他商品識別力がない。よって、本件商標の自他商品識別力を有する部分は「ラブ」のみであり、これに相応して「ラブ」の称呼及び「愛、愛情」の観念を生じ、本件商標と引用商標とは、称呼及び観念を同一にする、互いに類似する商標というべきである。

(イ)化粧品購買者及び化粧品製造販売業者による「ブランド名+コスメ(cosme)」の慣行的指称
化粧品購買者の間では、化粧品を指称する際、もちろんそのブランド名のみを表示して指称する場合も多いが(例えば、株式会社カネボウ化粧品の化粧品として有名な「テスティモ」を、そのまま「テスティモ」と表示して指称する場合)、そのような指称の方法に加えて、そのブランド名に「コスメ(cosme)」の文字を付加し、「ブランド名+コスメ(cosme)」と指称する方法が慣行化している。例えば、前掲の「テスティモ」の場合、それを「テスティモコスメ」と指称する方法である。そのような指称方法が慣行化していることを示す証拠は後掲する(なお、上記「テスティモコスメ」の例は実際に甲第58号証に見られる。)。
また、このような指称方法は、化粧品製造業者及び販売業者自身が用いる場合もある。例えば、甲第60号証に見られるように、株式会社資生堂(以下「資生堂」という。)又はその販売業者が同社の化粧品を「資生堂コスメ」と指称する場合である。
このような慣行があることより、一般的な化粧品購買者は、「○○+コスメ(cosme)」という表示に接した場合、「コスメ(cosme)」の部分は無視して「○○」の部分のみに着目し、「○○」部分のみをブランド名として認識、称呼するのが通常ということができる。例えば、前掲の「テスティモコスメ」の場合、これに接した化粧品購買者は、「コスメ」の語を除く「テスティモ」部分に着目し、この「テスティモ」を化粧品のブランド名と認識するのである。決して、「テスティモコスメ」全体をブランド名と認識するのではない。
翻って、本件の場合、本件商標は「ラブ」と「コスメ」の結合で構成されることから、本件商標が付された化粧品に接した化粧品購買者は、上記の慣行があることより、「コスメ」の部分を無視して「ラブ」の部分のみに着目し、「ラブ」をこの化粧品のブランド名と認識、称呼するといえる。決して「ラブコスメ」全体を化粧品のブランド名として認識することはない。
一方、引用商標は、その構成文字に相応して、「ラブ」、「LOVE」がブランド名として認識、称呼されることは明らかであり、本件商標と同ー又は類似である。
よって、上記のような慣行があることからも、本件商標と引用商標とは、称呼及び観念を同一にする、互いに類似する商標であることは明らかである。
以下のとおり、ブランド名に「コスメ(cosme)」の文字を付加して「ブランド名+コスメ(cosme)」と指称する方法が慣行化していることを示す証拠を甲第32号証ないし甲第78号証として掲げる。
●「YSL(イヴサンローラン)」のブランド名に係る化粧品に「YSLコスメ」の表示(甲第32号証)。

●「イヴモア」のブランド名に係る化粧品に「イブモアコスメ」の表示(甲第33号証)。

●「マリークワント(マリクワ)」のブランド名に係る化粧品に「マリクワコスメ」の表示(甲第34号証)。

●「ミシャ」のブランド名に係る化粧品に「ミシャコスメ」の表示(甲第35号証)。

●「クリニーク」、「シャネル」、「ランコム」、「ディオール(=クリスチャンディオール)」、「ヘレナ」のブランド名に係る化粧品にそれぞれ「クリニークコスメ」、「シャネルコスメ」、「ランコムコスメ」、「ディオールコスメ」、「ヘレナコスメ」の表示(甲第36号証)。

●「クリスチャンディオール」のブランド名に係る化粧品に「クリスチャンディオールコスメ」の表示(甲第37号証)。

●「ディオール(=クリスチャンディオール)」のブランド名に係る化粧品に「ディオールコスメ」の表示(甲第38号証)。

●「サンリオ」のブランド名に係る化粧品に「サンリオコスメ」の表示(甲第39号証)。

●「RMK」のブランド名に係る化粧品に「RMKコスメ」の表示(甲第40号証)。

●「セザンヌ」のブランド名に係る化粧品に「セザンヌコスメ」の表示(甲第41号証)。

●「ファンケル」のブランド名に係る化粧品に「ファンケルコスメ」の表示(甲第42号証)。

●「メイベリン」のブランド名に係る化粧品に「メイベリンコスメ」の表示(甲第43号証)。

●「MAC」のブランド名に係る化粧品に「MACコスメ」の表示(甲第44号証)。

●「レブロン」のブランド名に係る化粧品に「レブロンコスメ」の表示(甲第45号証)。

●「ジル」、「ジルスチュアート」のブランド名に係る化粧品に「ジルコスメ」、「ジルスチュアートコスメ」の表示(甲第46号証)。

●「ゲラン」のブランド名に係る化粧品に「ゲランコスメ」の表示(甲第47号証)。

●「ロクシタン」のブランド名に係る化粧品に「ロクシタンコスメ」の表示(甲第48号証)。

●「ジバンシー」のブランド名に係る化粧品に「ジバンシーコスメ」の表示(甲第49号証)。

●「ソニアリキエル」のブランド名に係る化粧品に「ソニアリキエルコスメ」の表示(甲第50号証)。

●「ジョルジオアルマーニ」のブランド名に係る化粧品に「ジョルジオアルマーニコスメ」の表示(甲第51号証)。

●「ポール&ジョー」のブランド名に係る化粧品に「ポール&ジョーコスメ」の表示(甲第52号証)。

●「DHC」のブランド名に係る化粧品に「DHCコスメ」の表示(甲第53号証)。

●「マキアージュ」のブランド名に係る化粧品に「マキアージュコスメ」の表示(甲第54号証)。

●「ルナソル」のブランド名に係る化粧品に「ルナソルコスメ」の表示(甲第55号証)。

●「アテニア」のブランド名に係る化粧品に「アテニアコスメ」の表示(甲第56号証)。

●「シャネル」のブランド名に係る化粧品に「シャネルコスメ」の表示(甲第57号証)。

●「テスティモ」のブランド名に係る化粧品に「テスティモコスメ」の表示(甲第58号証)。

●「スティラ」のブランド名に係る化粧品に「スティラコスメ」の表示(甲第59号証)。

●「資生堂」のブランド名に係る化粧品に「資生堂コスメ」の表示(甲第60号証)。

●「ナリス」のブランド名に係る化粧品に「ナリスコスメ」の表示(甲第61号証)。

●「オリジンズ」のブランド名に係る化粧品に「オリジンズコスメ」の表示(甲第62号証)。

●「キオラ」のブランド名に係る化粧品に「キオラコスメ」の表示(甲第63号証)。

●「クレージュ」のブランド名に係る化粧品に「クレージュコスメ」の表示(甲第64号証)。

●「アユーラ」のブランド名に係る化粧品に「アユーラコスメ」の表示(甲第65号証)。

●「オルビス」のブランド名に係る化粧品に「オルビスコスメ」の表示(甲第66号証)。

●「オージオ」のブランド名に係る化粧品に「オージオコスメ」の表示(甲第67号証)。

●「クラランス」のブランド名に係る化粧品に「クラランスコスメ」の表示(甲第68号証)。

●「キスミー」のブランド名に係る化粧品に「キスミーコスメ」の表示(甲第69号証)。

●「ニナリッチ」のブランド名に係る化粧品に「ニナリッチコスメ」の表示(甲第70号証)。

●「ドクターシーラボ」、「ジバンシー」、「アラミス」のブランド名に係る化粧品にそれぞれ「ドクターシーラボコスメ」、「ジバンシーコスメ」、「アラミスコスメ」の表示(甲第71号証)。

●「エテュセ」のブランド名に係る化粧品に「エテュセコスメ」の表示(甲第72号証)。

●「イヴサンローラン」のブランド名に係る化粧品に「イヴサンローランコスメ」の表示(甲第73号証)。

●「アウェイク」のブランド名に係る化粧品に「アウェイクコスメ」の表示(甲第74号証)。

●「化粧惑星」のブランド名に係る化粧品に「化粧惑星コスメ」の表示(甲第75号証)。

●「ショパール」のブランド名に係る化粧品に「ショパールコスメ」の表示(甲第76号証)。

●「シュウ ウエムラ」のブランド名に係る化粧品に「シュウ ウエムラ コスメ」の表示(甲第77証)。

●「アナスイ」のブランド名に係る化粧品に「アナスイコスメ」の表示(甲第78号証)。

以上のような「ブランド名+コスメ」の慣行的指称の事実より、本件商標「ラブコスメ」に接した化粧品購買者は、「ラブ」をブランド名と認識、称呼することは明らかであり、本件商標は、引用商標と類似すること明らかである。

(ウ)特許庁の判断例
本件商標の商標権者は、本件商標と同一の商標「ラブコスメ」を、化粧品を含む商品を指定して以前に一度商標登録出願をしており(商願2004-079673号;甲第85号証)、同出願の審査において、本件審判の引用商標を含む先行商標との類似を理由に、商標法第4条第1項第11号に該当するとして拒絶査定が確定している。このことはつまり、「ラブコスメ」と「ラブ」、「LOVE」とは互いに類似する商標であることを特許庁が一度判断したことを示すものであり、本件商標と引用商標との間でも同様の判断がなされるべきところ、看過され商標登録に至ったものである。本件審判において、上記商願2004-079673号における判断と同様の判断がなされることで、特許庁における類否判断の整合性がとれると思料するものであり、この点でも、本件商標と引用商標とは互いに類似すると判断されるべきである。
また、後掲の証拠に見られるように、「○○」と「○○+コスメ(cosme)」とが類似すると特許庁が判断した事例が多数存在する。これらの事例はすべて、出願商標が「○○+コスメ(cosme)」からなり、引用商標が「○○」からなるところ、「コスメ(cosme)」が「コスメティック(cosmetic)」の略称であり「化粧品」を意味する普通名称ないしは商品の品質、内容表示であると判断され、出願商標の構成要素中「コスメ(cosme)」を除いた部分と引用商標とを比較し、その結果、出願商標と引用商標とが類似すると判断された事例である。本件商標「ラブコスメ」も「○○+コスメ」で構成される商標であり、本件商標をこれらの事例と別視すべき特別な事情は何らなく、本件商標「ラブコスメ」は、引用商標「ラブ」、「LOVE」、「ラブ/LOVE」と類似すると判断されるべきである。
甲第79号証は、出願商標「CEICOCOSME」が引用商標「セイコー」、「SEIKO」と類似すると判断され、拒絶査定が確定していることを示す証拠である。出願人は「COSME」が「化粧品」ではなく「きれいなもの」又は「美容的なもの」を意味する抽象的なものと認識されているなどと反論したが、特許庁はそれを認めず「COSME」を「COSMETIC」の略称で化粧品を意味する語であり自他商品識別力がない部分と判断した。また、この出願商標は全ての文字が同書同大一連一体に書されているが、それでもなお、特許庁は「CEICO」と「COSME」を分離して観察し、「COSME」を除いた上で「CEICO」と引用商標「セイコー」、「SEIKO」とを比較している。これはとりもなおさず、たとえ「COSME」が他の要素と同書同大一連一体に書されていてもなお「COSME」が自他商品識別力を全く有しないため他の要素から分離、除去すべきと特許庁が判断したことを示すものである。
その他、同様の事例として「マクロビコスメ」と「マクロビ」(甲第80号証)、「開運コスメ」と「開運」(甲第81号証)、「COSMOCOSME/コスモコスメ」と「COSMO」(甲第82号証)、「ゆめコスメ」と「ゆめ」(甲第83号証)、「JS/CLINICAL/COSME」と「クリニカル」、「クリニカル/CLINICAL」(甲第84号証)が挙げられる。
本件もこれらの事例と同様の判断がなされるべきであり、本件商標「ラブコスメ」と引用商標「ラブ」、「LOVE」とは類似と判断されるべきである。

(4)商標権侵害訴訟
本件審判の請求人を原告、被請求人を被告とする商標権侵害訴訟(平成18年(ワ)第4737号)が大阪地方裁判所に係属していたが、平成19年10月1日付けで判決が言い渡された(甲第98号証)。
この侵害訴訟においては、本件商標を被告標章3及び被告登録商標2として、本件商標が、本件審判の引用商標を含む原告商標1ないし4(判決書第133ないし136頁参照)と類似するか否かが争われた。判決書第46ないし第48頁「(4)被告標章3」に見られるように、裁判所は、本件商標「ラブコスメ」の要部を「ラブ」であると認め、本件商標「ラブコスメ」と本件審判の引用商標の一つ「ラブ/LOVE」とは類似である、と認定した。さらに、判決書第67頁及び第68頁「(2)被告登録商標2の無効事由の有無」に見られるように、本件商標「ラブコスメ」は本件審判の引用商標の一つ「ラブ」と類似し、その指定商品はともに化粧品であるから、本件商標は商標法第4条第1項第11号により商標登録を受けることができない商標であって、同法第46条第1項第1号の無効理由がある、と認定された。
このような裁判所の判断、特に判決書第67頁及び第68頁における「本件商標には無効理由がある」という判断を考慮すると、本件の審理においても本件商標と引用商標とは類似すると判断されるべきである。

2 弁駁の理由
(1)被請求人は、審査基準を挙げ、本件商標「ラブコスメ」は一体不可分であり引用商標(「ラブ」等)と外観、称呼又は観念が明らかに異なると反論している。
しかしながら、そのような被請求人の反論は不適切であり、むしろ、請求人の主張を補強するものであると思料する。すなわち、上記審査基準はその判断基準の例として5つ挙げているところ、その5つの例のうち下記の例は本件商標とまさに合致し得るものだからである。
その例とは「形容詞的文字(商品の品質、原材料等を表示する文字、又は役務の提供の場所、質等を表示する文字)を有する結合商標は、原則として、それが付加結合されていない商標と類似する。」である(「コスメ」が形容詞的文字であることは被請求人も争っていないところである。)。この基準からすれば、「ラブ」とそれに形容詞的文字「コスメ」を結合させた「ラブコスメ」とが類似することは明らかである。被請求人は、上記審査基準の文言中「例えば、次のように」を答弁書において記載せず、例示をことさら無視して自らの都合の良いように上記審査基準を解釈適用しようとしているが、そのような解釈が不適切であることは明らかである。
また、被請求人は、本件商標が同書同大同間隔であることを一体不可分の理由としているが、本件商標のように標準文字をそのまま横に並べた場合、それが同書同大同間隔になることは当たり前である。これがたとえば極めて特殊な態様でデザイン化された文字が外観上まとまり良く一体に書されているのであれば上記のような理由も成り立つであろうが、標準文字を横に並べただけにすぎない本件商標がそれに当てはまらないことは明らかである。よって、本件商標からは、「ラブコスメ」の称呼に加えて、原則どおり形容詞的文字を除去した「ラブ」の称呼も生じることは明らかであり、引用商標(請求人は、「本件商標」としているが誤記と認める。)の称呼と同一である。
さらに、被請求人は、本件商標から「愛する化粧品、愛のこもった化粧品」等の観念を生じ一体不可分であると反論しているが、仮にそのような観念を生じるとしても「愛する」「愛のこもった」は「ラブ」、「LOVE」の本来的な意味であり、したがって引用商標(「ラブ」等)と観念が同じである(なお「化粧品」は商品の名称にすぎないから、何ら特別な観念を結合商標に付加するものではない。)。審査基準にいう「ただし、著しく異なった・・・観念・・・を生ずることが明らかなときは、この限りでない。」とは、結合商標が全体として融合し、それぞれの構成要素を単に結合したにすぎない観念にとどまらず、全体として一つの異なる観念が生じる場合をいうものと解されるところ、本件商標はそれぞれの構成要素を単に結合したにすぎない観念が生じるのみであって、上記の場合に該当しないことは明らかである。
なお、被請求人は、自己の所有する登録商標第4788574号「Love cosmetic/for two person who love/ラブコスメティック」を挙げ、これに対する無効審判での観念に関する特許庁の判断例を引き合いに出しているが、この商標登録の指定役務は第35類の主として「広告」であり、対象となる商品・役務が異なれば(本件は「化粧品」)、観念の結びつき等の判断も異なることは当然であり、本件とは明らかに事案が異なる。
以上より、被請求人の反論は、失当である。

(2)被請求人は、本件商標を周知となる程度(約3年)使用していると述べ、「ラブコスメ」「ナチュラルプランツ」をアンド検索した場合915件ヒットしたこと(乙第3号証)を根拠として挙げている。
しかしながら、そのような被請求人の使用は、請求人との間で商標権侵害の問題が生じた後(請求人がその旨を警告した後)の使用であって、そのような使用状態での周知性獲得の主張は適切なものといい難いと思われるし、さらには、被請求人のいう915件のヒットについては、被請求人は所謂アフィリエイトサイトを複数有していてその関連のウェブサイトのヒットであることに鑑みるとそれほど多いヒット数とはいえないと思われる。むしろ、請求人の引用商標に係る「ラブ」と「クラブコスメチックス」をアンド検索した結果、9810件のヒットがあった(甲第99号証)。このことは少なくとも、「ラブ」が請求人の商標として認識されている程度が、「ラブコスメ」が被請求人の商標として認識されている程度を大きく凌駕していることを示すものであると思料する。

(3)被請求人は、「○○」と「○○+コスメ(cosme)」の併存登録例を挙げ本件商標とも同様に登録されるべきと反論するが、そのうち少なくとも、乙第8号証ないし乙第11号証、乙第14号証及び乙第15号証、乙第22号証及び乙第23号証、乙第26号証ないし乙第29号証、乙第34号証及び乙第35号証、乙第38号証及び乙第39号証は、本件とは商標の態様等が相違し事案が異なり、これらの登録例を挙げることは不適切である。また、これらに加えて、乙第42号証ないし乙第57号証に係る「コスメティック+○○」「コスメ(cosme)+○○」の併存登録例は、本件が「○○+コスメ」であることから結合の態様が異なり、本件と事案が異なる。
(4)被請求人は、「cellcosme/セルコスメ」を一連一体のブランド名として挙げているが、そもそも乙第58号証及び乙第59号証に見られるように、実際の商標は「cellcosme」ではなく「cellcosmet」(語尾に「t」を有する)であって、本件と事案が異なると思料する。また、この「t」の有無はさておくとしても、甲第32号証ないし甲第78号証に見られるように、極めて多数の事例において「○○+コスメ(cosme)」の「○○」部分をブランド名として認識されている事実が示されているのであるから、上記「cellcosme/セルコスメ」はごく例外にすぎず、これをもって一般論であるかのように論じるのは被請求人の強弁に他ならない。

(5)被請求人は、請求人が提出した「○○+コスメ(cosme)」の慣行的指称を示す証拠(甲第32号証ないし甲第78号証)をコーポレートマークとブランドマークとに分け、コーポレートマークは同社の化粧品の総称を指すのでありコーポレートマークの部分をブランドマークと認識し、称呼するとは考えられないと反論している。
しかしながら、そもそもコーポレートマークとブランドマークの区別は曖昧なものであるし、コーポレートマークがブランドマークとして機能することは十分あり得る。たとえば請求人のグループ会社のマリークワント社は、会社名(コーポレートマーク)の「マリークワント」、「MARY QUANT」がそのままブランド名としても機能している例である。また、被請求人が例示する「資生堂」の場合でも、いわゆるブランドマーク(例:「マキアージュ」)を付さずに販売する商品(例:「資生堂ハンドクリーム」)も存在することからすれば、たとえコーポレートマーク以外にブランドマークを有する会社の場合でも、上記のように会社名(コーポレートマーク)がブランド名として認識される例が存在する。
これらのことから、コーポレートマークがブランドマークと認識されないことを前提とした被請求人の反論は、失当である。

(6)被請求人は、化粧品の瓶、ケース、包装箱等にはブランド名のみが記載されていると述べ、「○○+コスメ(cosme)」の慣行的指称の事実はないと反論する。
しかしながら、化粧品のブランド名は商品そのものや包装容器(瓶、ケース、包装箱)にのみ使用されるのではなく、広告や、新聞、雑誌、インターネット上の紹介記事でブランド名が使用されることはごく当たり前に見られることである。このことから、化粧品購買者は、商品そのものや包装容器に付されたブランド名から化粧品のブランド名を認識するのみならず、広告、新聞、雑誌、インターネット上の紹介記事からも同様に、化粧品のブランド名を認識するというべきである。そして、甲第32号証ないし甲第78号証に見られるように、新聞、雑誌、インターネット上の紹介記事に「○○+コスメ(cosme)」が使用されている事実が多数存在し、「○○」部分がブランド名として認識されていることは明らかであることからすれば、被請求人の上記反論は失当である。

(7)被請求人は、意見書提出の有無という相違を理由に、商標の類否判断に不整合があっても問題ない旨の反論をしている。
しかしながら、商標の類否は、客観的事実として定まるものであって、意見書提出の有無により左右されて良いものではない。本件審判は、引用商標と本件商標との類否判断について、過去における特許庁の妥当な判断に合致させようとするものである。

第4 被請求人の答弁の要点
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第88号証(枝番を含む。)を提出した。
1 本件商標は、「ラブコスメ」を標準文字で構成された商標である。請求人は、
1)本件商標から「コスメ」の文字を取り出し、それが「化粧品」の普通名称ないしは商品の品質、内容表示であり自他商品識別力を有しない、
2)化粧品購買者及び化粧品製造販売業者において、ブランド名に「コスメ」の文字を付し、「ブランド名+コスメ」と指称する方法は慣用化している、
3)被請求人が3年前に行った本件商標と同一の商標の商標登録出願(商願2004-79673)が、本件審判の引用商標を含む先行商標との類似を理由に、商標法第4条第1項第11号に該当するとして拒絶査定が確定している、ことを理由に本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当し、登録無効とされるべきと主張している。
しかしながら、本件商標は、
1)「ラブコスメ」は一連一体で称呼され、また一つの概念、「愛する化粧品、愛情のこもった化粧品」などを生じ、「コスメ」部分のみを取り出して類否判断すべきではなく、
2)仮に、「ブランド名+コスメ」と指称する方法は慣用化しているとしても、そのことが、「ラブコスメ」というブランド名を「ラブ」と認識し、称呼するとは断定できず、
3)過去の審査結果を持ち出して、審査官の瑕疵及び特許庁の類否判断の整合性との関係で本件商標の登録性について論ずるのは不適切である。そのため、本件商標と引用商標は類似関係にあるとはいえない。したがって、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当しない。
以下、上記1)ないし3)の理由を詳述する。

2 「コスメ」の自他商品識別力
(1)請求人は、本件商標の構成要素中、「コスメ」部分については、化粧品を意味する「コスメティック」の略称であるため自他商品識別力を有さず、「ラブ」部分は十分な自他商品識別力を有するため、本件商標は「ラブ」と「コスメ」からなる結合商標であると主張している。また、上記の理由から結合商標であることを前提に、本件商標について結合商標類否判断に関する審査基準を引用し、本件商標と引用商標とが称呼及び観念同一による類似関係にある旨、主張している。

(2)しかしながら、そもそも本件商標が結合商標類否判断を適用すべきか否かについて論じる必要がある。
審査基準改定第8版には、結合商標類否判断について、以下のように規定している。
結合商標の類否は、その結合の強弱の程度を考慮し、判断するものとする。ただし、著しく異なった外観、称呼又は観念を生ずることが明らかなときは、この限りでない。」
本件商標は、引用商標と比較して、外観はもちろんのこと、称呼及び観念についても、明らかに異なる。
まず、称呼については、同書、同大、同間隔の文字でまとまりよく一体的に表示されているものであり、よどみなく一体不可分に「ラブコスメ」の称呼のみ生ずる。また、商標全体の構成から、「ラブ」と「コスメ」の両部分の音数を比較して、2音×3音であり各部分が占める割合には軽重の差はなく、むしろどちらかといえば3音を構成する「コスメ」の占める割合が高い。つまり、本件商標を、「コスメ」部分をはずして「ラブ」と称呼する可能性は極めて低いものであり、よどみなく一体不可分に称呼するのが自然である。また、化粧品を指定商品とする「ラブ」、「LOVE」の付く商標は、多数登録されている。かかる状況において、「ラブコスメ」に接する需要者、取引者が「ラブ」と省略して称呼するとは考えられない。更には、被請求人による長年の使用により、本件商標は「ラブコスメ」と一体不可分に認識され、称呼されている。
観念については、本件商標「ラブコスメ」は、全体として「愛する化粧品、愛情のこもった化粧品」等の観念を生じる。これについては、被請求人が所有する登録商標 「Love cosmetic/for two person who love/ラブコスメティック」(商標登録第4788574号)について、請求人より請求された商標登録無効審判(無効2005-89125)の審決(乙第1号証)において、「Love Cosmetic」、「ラブコスメティック」については、「愛する化粧品、愛情のこもった化粧品」等の観念を生じる旨判断されている。以下、該審決文の抜粋を記載する。
「『Love』の文字が『愛、愛情、愛する』等の意味を、また『Cosmetic』の文字が『化粧品』の意味をそれぞれ有する平易な英語であって、『愛する化粧品、愛情のこもった化粧品』等の意味合いを容易に理解し得るものである。
「『Love Cosmetic』の欧文字と『ラブコスメティック』の片仮名文字は、『Love』と『Cosmetic』及び『ラブ』と『コスメティック』に分離されることなく全体をもって一体不可分の語を表したものと把握し、認識されるとみるのが自然である。してみれば、本件商標は、『愛する化粧品、愛情のこもった化粧品』の観念を生ずるというべきである。」
「引用商標の『LOVE』の文字及びその読みである『ラブ』の片仮名文字は、『愛、愛情、愛する』等の意味を有する平易な英語及び外来語であって、日常親しまれて使用されている語であるから、これより、『愛、愛情』の観念を生ずるものである。」
「『Love Cosmetic』の欧文字と『ラブコスメティック』の片仮名文字は、観念、称呼及び外観のいずれの点からしても全体をもって一体不可分の語を表したものと把握し、認識されるとみるのが自然である。」 以上のように、「Love cosmetic/for two person who love/ラブコスメティック」と「LOVE/ラブ」は非類似であると判断され、維持審決がなされている。これにより、請求人が述べているとおり、「コスメ」が「化粧品」を意味する「コスメティック(ス)」「コスメチック(ス)」の略称であると判断した場合、本件商標は前記「Love cosmetic/for two person who love/ラブコスメティック」における「Love cosmetic」、「ラブコスメティック」と同様の観念が生ずるものである。

(3)本件商標は、被請求人が英語の「LOVE DRUG」という言葉から考案した造語である。「LOVE DRUG」とは、辞書(研究社「新英和大辞典」第6版:乙第2号証)によれば、「媚薬、催淫剤」という意味をもつ言葉で、「LOVE」と「DRUG」を結合することによって二つの言葉のそれぞれが本来有する意味を超えて新たな意味を有する単一の言葉として成立している。英語に慣れ親しんでいる人が「媚薬、催淫剤」を「LOVE」と称することはないであろう。
これと同じことが「ラブコスメ」についてもいえる。つまり、この商標が付された化粧品を見た需要者は、その商標を「ラブコスメ」と一体に称するとともに、その商品コンセプトが、愛する化粧品、愛情のこもった化粧品という意味のほかに、媚薬を使ったり、催淫剤を使ったりするようなシーンにいる人、そのようなチャンスをまつ人をも念頭においたものであるとも感じる。つまり、この一連の語感から性的な魅力を強くアピールできる化粧品とのイメージをも持つのである。

(4)被請求人は、この商標が周知となる程度(約3年)使用している(例えば、インターネットの検索サイトgoogleで、“ラブコスメ”“ナチュラルプランツ”をアンド検索した場合、915件がヒットした。(乙第3号証)。その結果、需要者の間では「ラブコスメ」は一体として称呼されるとともに前記の意味を有する商品を表すものとして認識されている。

(5)指定商品を化粧品(類似群コード04C01)として、ある言葉と、その言葉に「COSME/コスメ」の文字を付した商標が、非類似であると判断され並存して登録されている例を以下に示す(乙第4号証ないし乙第57号証)。
●「IQ/アイキュー」 × 「IQCOSME/アイキューコスメ」
●「カルチユア/CULTURE」 × 「カルチャーコスメ」
●「カレッジ」 × 「カレッジコスメ」
●「CRONOS」 × 「CHRONO-COSME」
●「コラボ」 × 「コラボコスメ/COLABOCOSME」
●「TS」 × 「T’s Cosme」
●「DAILY」 × 「デイリーコスメ」
●「デザイン/DESIGN」 × 「デザインコスメ/DESIGNCOSME」
●「TRIP/トリップ」 × 「TRIPCOSME/トリップコスメ」●「NARS」 × 「ナースコスメ」
●「NIKKO」 × 「Nikko Cosme」
●「バイオ」 × 「バイオコスメ」
●「ピュア」 × 「ピュアコスメ」
●「PLAzA」 × 「Plaza Cosme」
●「マイ」 × 「マイコスメ」
●「マジカール」 × 「マジカルコスメ」
●「メディ」 × 「メディコスメ」
●「RESULT」 × 「RESULTCOSME/リザルトコスメ」
●「レインボー」 × 「レインボーコスメ」(標)
●「カウンセラー」 × 「コスメティックカウンセラー」
●「クラフト」 × 「コスメクラフト」
●「クラブ」 × 「コスメクラブ」
●「ケア」 × 「コスメケア」
●「サプリ」 × 「コスメサプリ」
●「ジュエリー/JEWELRY」 × 「コスメジュエリー」
●「PLAZA」 × 「COSMEPLAZA」
●「ラブ」 × 「コスメラブ/CosmeLab」
●「ピュア」 × 「コスメピュア」
なお、上記登録例のうち、「IQCOSME/アイキューコスメ」は、引用商標の一つとして「IQ/アイキュー」を挙げ、商標法第4条第1項第11号を理由とする拒絶理由通知がなされている。これに対して、出願人は、「同書・同大・同間隔に書されて一連一体性が強いものある」、「商標全体の構成をみれば『IQ/アイキュー』と『COSME/コスメ』の各部分が占める割合には軽重の差がなくむしろ『COSME/コスメ』の占める割合が高く見える」、「『IQ/アイキュー』と『COSME/コスメ』の両部分の音数を比較しても、3音×3音の同等の割合である」等意見書において主張し、最終的には登録査定となっている。また、「RESULTCOSME/リザルトコスメ」についても、「RESULT」を引用商標として拒絶理由通知がなされている。これに対して出願人は、「同書・同大・同間隔の文字でまとまりよく一体的に表示されるものであり、よどみなく一連に称呼することが可能である」、「構成全体をもって一体不可分の造語と認識し、理解されるのが自然」等意見書において主張し、最終的には登録査定となっている。
同様に、「レインボーコスメ」についても、「レインボー」を引用商標として拒絶理由通知がなされている。これに対して出願人は、「同書同大で一連に書されてなるもの」、「虹色の化粧品の観念が生じる」等意見書において主張し、最終的には登録査定となっている。

(5)上述したように、本件商標が「ラブ」と「コスメ」からなる結合商標であり、「コスメ」部分は自他商品識別力を有さないため、引用商標と類似関係にある、との判断は誤りである。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当しない。

3 化粧品購買者及び化粧品製造販売業者による「ブランド名+コスメ(cosme)」の慣行的指称
(1)請求人は、雑誌の化粧品特集やブログ、通販サイトなどをプリントアウトしたものを甲号証として提出し、「ブランド名+コスメ(cosme)」と指称する方法が慣用化しているとし、したがって、一般的な化粧品購買者が「○○+コスメ(cosme)」という表示に接した場合、「コスメ(cosme)」の部分は無視して「○○」部分にのみ着目し、「○○」部分のみをブランド名として認識、称呼することが通常である旨主張している。また、これにより、化粧品購買者が本件商標「ラブコスメ」に接した場合、「ラブ」をこの化粧品のブランド名と認識、称呼するため、本件商標は引用商標と称呼及び観念を同一とする類似関係にあると主張している。

(2)仮に、請求人の主張のとおり、ブランド名に「コスメ(cosme)」を付して指称する方法が慣行化しているとしても、だからといって「○○コスメ」というブランド名に接した需要者が、「コスメ(cosme)」部分を無視して「○○」の部分をブランド名であると認識、称呼するとはいえない。
例えば、「cellcosme/セルコスメ」国内正規販売元のバリラジャパン株式会社のホームページのご愛用者の声ページ(乙第58号証)において、該化粧品の購入者(愛用者)は、それぞれ「セルコスメのアイクリーム」、「セルコスメの美容液」という記載をしており、「cell/セル」部分のみをブランド名として認識、称呼しておらず、「cellcosme/セルコスメ」一連一体でブランド名として認識し、称呼していることが伺える。また、「cellcosme/セルコスメ」というブランドの化粧品の通販サイト(乙第59号証)において、「cellcosme/セルコスメ化粧品」という表示がある。これは、「cellcosme/セルコスメ」という表示に接した場合に、「cellcosme/セルコスメ」一連一体でブランド名として認識、称呼しているために、「化粧品」の文字を付したことを意味するものである。請求人が主張するように、「○○+コスメ(cosme)」の「○○」の部分のみをブランド名として認識、称呼する場合、「化粧品」を意味する「cosme/コスメ」の後にわざわざ「化粧品」の文字を付するとは考えられない。

(3)請求人の提出した甲第32号証ないし甲第78号証は、コーポレートマークとブランドマークの両方が含まれている。コーポレートマークとは、製造又は販売元の会社名又はその略称であり、ブランドマークとは、コーポレートマークの下位概念に該当する名称であり、例えば、「資生堂」はコーポレートマークであり、「マキアージュ」はブランドマークとなる。
かかる甲号証について、コーポレートマークとブランドマークとで区別した場合、コーポレートマークは42件、ブランドマークは11件であった。ここで、コーポレートマーク(例:資生堂コスメ)については、「コスメ」の文字を付したものは、資生堂社製(資生堂社販売)のコスメの総称を意味するものである。つまり、「コスメ」を付した場合と付さない場合(社名又はその略称)とでは、その意味が大きく異なる。
したがって、「資生堂(コーポレートマーク)コスメ」について、「資生堂(コーポレートマーク)」の部分をブランドマークと認識し、称呼するとは考えられない。請求人が提出した証拠資料はその大部分がコーポレートマークについてのものである。つまり、「ブランド名(ブランドマーク)+コスメ」の指称が慣行化しているとは、請求人の証拠からは不明である。

(4)審査基準(第8版)第4条1項11号には、結合商標類否判断について、以下のように規定している。「商標の類否の判断は、商標が使用される商品又は役務の主たる需要者層その他商品又は役務の取引の実情を考慮し、需要者の通常有する注意力を基準として判断しなければならない。」
通常、化粧品が入っている瓶やケース又はそれらを包装する箱等には、ブランド名のみが記載されており、「ブランド名十コスメ」の記載がされていることはない。例えば、資生堂の「マキアージュ」というブランドの製品の場合、瓶やケース又はそれらを包装する箱等には、「マキアージュ」との記載があるのみで、「マキアージュコスメ」との記載はない。つまり、需要者は、もし、瓶やケース又はそれらを包装する箱等に「○○コスメ」との記載があった場合、「○○」の部分のみに注目し、それをブランド名と認識するとは考えられず、記載のとおり、「○○コスメ」全体をブランド名として認識し、称呼する。
また、通常の会話においても、ブランド名に「コスメ」の文字を付してそのブランドの化粧品を称呼することはない。例えば、「マキアージュの口紅」、「マキアージュのアイシャドウ」という言い方はしても、「マキアージュコスメの口紅」、「マキアージュコスメのアイシャドウ」などという言い方をすることはない。

(5)上述したように、化粧品購買者及び化粧品製造販売業者が「ブランド名十コスメ(cosme)」を慣行的に指称しているとはいえず、引用商標と類似関係にある、との判断は誤りである。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当しない。

4 特許庁の判断例
(1)請求人は、被請求人が約3年前に行った、本件商標と同一の商標「ラブコスメ」(標準文字)であって、指定商品を化粧品とする出願(商願2004-079673)(乙第60号証)が、本審判の引用商標(甲第2号証ないし甲第6号証)を引用され商標法第4条第1項第11号により拒絶査定が確定していることを理由に、本件商標は看過ごされて商標登録に至ったものであると主張している。また、特許庁における類否判断の整合性をとるためにも、前記判断と同様に判断すべきであると主張している。

(2)しかしながら、上記請求人の主張は不適切である。本件商標についても、一度は審査官により、商標法第4条第1項第11号を理由に拒絶理由通知(乙第61号証)がなされており、かかる拒絶理由の引用商標には拒絶査定が確定した際の引用商標(甲第2号証ないし甲第6号証)と全く同じである。つまり、本件商標は、本来拒絶と判断されるべきところを看過ごされて商標登録に至ったという請求人の主張は誤りである。また、拒絶査定が確定した出願については、拒絶理由通知に対して、意見書等による対応をしなかった。これに対して、本件商標については、意見書による対応を経て、登録査定がなされ事実がある。拒絶理由通知に対して、意見書で対応し、登録査定がなされることは珍しいことではない。そもそも拒絶理由通知とは、審査主義の下、審査官の判断に誤りがないことを保障することができず、また出願人に何ら弁明の機会を与えることなく拒絶査定をするのは不合理であるために、なされる通知である。したがって、同一商標、同一指定商品の二つの出願が、同一の理由で拒絶理由通知がなされ、一方は該通知に対応せず拒絶査定が確定し、他方は意見書により対応したために登録査定がなされたとしても全く疑義が生ずることはなく、そのことをもって、特許庁における類否判断の整合性がとれない、という主張は全くの誤りである。

(3)なお、請求人は「○○コスメ」が「○○」という登録商標を理由に拒絶査定が確定した事例を提出している(甲第79号証ないし甲第84号証)。しかしながら、これらの事例を本件商標に適用することは不適切であると考える。つまり、甲第79号証の「CEICOCOSME」、甲第82号証「COSMOCOSME」については、特定の意味を有さない「CEICO」、「COSMO」にそれぞれ「COSME」の文字を付したに過ぎず、双方とも商標全体で一つの観念を生じるものではない。つまり、「CEICOCOSME」及び「COSMOCOSME」の商標に接した需要者は、それぞれ「CEICO」、「COSMO」の文字のみを認識し、商標全体を一連一体で認識することはない。甲第80号証の「マクロビコスメ」、甲第81号証の「開運コスメ」、甲第83号証の「ゆめコスメ」については、出願人が拒絶理由通知に対して意見書で反論するなどの対応を行っていない。また、甲第84号証の「JS/CLINICAL/COSME」については、横書きの三段構成となっていることや、「CLINICAL」と「COSME」の両部分の音数が5音×3音であり、2音差を生ずることからして、商標全体を一連一体で認識することができない。したがって、甲第79ないし第84号証の拒絶査定の確定事例を本件商標にそのまま適用することは出来ないと考える。

(4)上述したように、拒絶査定が確定した過去の出願を理由に本件商標についても同様に判断すべきであり、本件商標は引用商標と類似関係にある、との判断は誤りである。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当しない。

5 弁駁に対する答弁
(1)請求人は、被請求人が提出した答弁書の結合商標に関する審査基準の記載を挙げて、かかる主張は請求人の主張を補強するものであり、その判断基準は本件商標とまさに合致し得るものである、そして、かかる判断基準により、本件商標と「ラブ」とは類似する、としている。
しかしながら、請求人の上記主張は不適切である。なぜなら、被請求人は、本件商標と請求人が有する登録商標「ラブ」、「LOVE」とは外観はもちろんのこと、称呼及び観念においても著しく異なるため、上記審査基準の但書きに該当し、結合商標類否判断を適用すべきではないと考えるからである。

(2)なお、請求人は、本件商標について、標準文字を横に並べただけにすぎないから同書同大同間隔であることは当たり前であり、これは一体不可分の理由にはならず、よって「ラブコスメ」の称呼に加えて「ラブ」の称呼も生じるとしている。
しかしながら、請求人は次の被請求人の主張を無視している。つまり、本件商標がたった5音からなる点、「ラブ」と「コスメ」が、2音×3音であり各部分が占める割合には軽重の差はなく、むしろどちらかといえば3音を構成する「コスメ」の占める割合が高い点である。また「ラブ」と「コスメ」の間にスペースを入れていない点などを考慮した場合、本件商標は一体不可分に「ラブコスメ」の称呼のみ生じる。

(3)請求人は、上記審査基準の但書きが適用されるためには、結合商標が全体として融合し、それぞれの構成要素を単に結合したにすぎない観念にとどまらず、全体として一つの異なる観念が生じる必要がある旨主張している。
まず、「それぞれの構成要素を単に結合したにすぎない観念」というのが何を意味しているのか不明である。仮にそれが「英単語を並べた場合に単純に意味するもの」という趣旨のものである場合「ラブコスメ」の「それぞれの構成要素を単に結合したにすぎない観念」とは次のようなものになる。つまり、「ラブ」を動詞、「コスメ」を名詞として「化粧品を愛する」という観念や、「ラブ」と「コスメ」をともに名詞として「愛化粧品」という観念である。つまり、「愛する化粧品、愛情のこもった化粧品」という観念は請求人のいうところの「単に結合したにすぎない観念」には該当せず、むしろ請求人がいうところの、「全体として一つの異なる観念」として、「愛する化粧品、愛のこもった化粧品」という観念が生じているといえる。

(4)請求人は、被請求人が答弁書において引用した無効審判の審決の内容について(乙第1号証)は指定商品役務が異なるから観念の判断も異なるのは当然であるとしている。
しかしながら、かかる審決の第35類の指定役務(広告等)において、「Love cosmetic」から「愛する化粧品、愛のこもった化粧品」という観念が生じるのであれば、本件商標の指定商品(化粧品)においては、尚更そのような観念が生じるといえる。
よって、請求人の上記主張は不適切である。

(6)請求人は、「ラブ」と「クラブコスメチックス」のアンド検索の結果、9810件ヒットし、これは「ラブコスメ」と「ナチュラルプランツ」の915件より多く、よって請求人の商標「ラブ」の方がより商標として認識されていると主張している。
しかしながら、「ラブ」の文字はその前後に何らかの文字を付して使用することも多く、上記ヒット件数の中に請求人の商標とは無関係に使用されているケースも多々ある。
よって、上記検索結果を単純に比較し、それをもって商標の認識の程度を判断し、主張することは、請求人の強弁という他なく、かかる請求人の主張は不適切である。

(7)請求人は、次の8つの並存登録例については事案が異なるため、本件商標を同様に解すべきではない旨主張している。
しかしながら、以下の理由により、うち6つの並存登録例が事案が異なるとするのは不適切である。
(ア)「図形+TS」(乙第14号証)と「T-S Cosme」(乙第15号証)
請求人は、乙第14号証に図形が含まれているため事案が異なるとしている。しかし該図形は、単に大きな円の中心に黒塗りの正六角形があり、そのなかに通常の書体の「TS」の文字が白抜きにしてあるにすぎない。つまり、図形といっても単純な図形にすぎず、「TS」が要部であることは明確である。

(イ)「NARS」(乙第22号証)と「ナースコスメ」(乙第23号証) 請求人は、乙第22号証は「ナーズ」と読む周知著名なブランドであるとし、その周知著名性を示す資料として、「NARSJAPAN」のオフィシャルサイトのプリントアウト及び化粧品のロコミサイト「@COSME」のNARS化粧品についてのページのプリントアウトを提出している(甲第100号証)。しかしながら、オフィシャルサイトのプリントアウトが周知著名性を示す資料にはなり得ないのは明確である。また、口コミサイト「@コスメ」で扱われているブランドは膨大であり、「な」から始まるブランドだけでも252もある(乙第62号証)。そして、当然にそのすべてが周知著名ブランドであるとはいえない。また、「NARSJAPAN」のオフィシャルサイトによると、「NARS」化粧品を販売するカウンターは日本全国において、13箇所のみである(乙第63号証)。よって、「NARS」が周知著名ブランドであるという請求人の主張は到底受け入れ難い。

(ウ)「BIO」(乙第26号証)と「バイオコスメ」(乙第27号証)
請求人は、乙第26号証について、「ビオ」とも「バイオ」とも称され得るため、称呼が一義的でないことから事案が異なるとしている。
しかしながら、請求人が認めているように、「バイオ」の称呼が生じることは疑いようもなく、一義的でないことは理由にならない。

(エ)「図形+ピュア」(乙第28号証)と「図形+ピュアコスメ」(乙第29号証)
請求人は、両商標とも図形要素が含まれているため事案が異なるとしている。
しかしながら、両商標に含まれる図形要素は、いずれも特殊な図形とはいえず、また文字も図案化されておらず通常の文字である。そして、文字と図形とは完全に引き離すことができる構成である。ここで、文字・図形等の結合商標類否判断における称呼はどのように判断すべきかについては、次のように記載されている。「・・・一般取引者・購買者は普通その中で誰にも親しみやすく理解されやすい文字・図形によってこれを指称するものであると解するのが自然であろう。・・・商標の称呼も指定商品の購買者層における取引の実情を勘案し、一般取引者間における風習を標準として決定されるべきもの・・・。」(網野誠著「商標第6版」有斐閣)。つまり、乙第28号証からは「ピュア」の称呼、乙第29号証からは「ピュアコスメ」の称呼が生じるのは当然であり、これをもって商標の類否判断がされるのである。

(オ)「MAGIECURL/マジカール」(乙第34号証)と「マジカルコスメ/MAGICAL COSME」(乙第35号証)
請求人は、称呼も音数も異なるため事案が異なるとしている。
しかしながら、「一」の有無の違いのみであって、発する音は同一である。

(カ)また、請求人は「コスメティック+○○」、「コスメ(cosme)+○○」の並存登録例(乙第42ないし第57号証)はその結合の態様が異なり、事案が異なるとしている。
しかしながら、請求人は本件商標が「ラブ」と「コスメ」からなる結合商標であると主張し、「コスメ」は形容詞的文字であるから、その形容詞文字が結合付加されていない商標と類似する、という審査基準を適用すべきとしている。そのような主張をする請求人が、同時に、「コスメティック+○○」、「コスメ(cosme)+○○」は結合の態様が異なるから事案が異なるとする主張は矛盾している。

(キ)以上より、被請求人が先の答弁書において列挙した28組の並存登録例のうち、少なくとも26組は、本事案と同様に解すべきである。

(8)実際の使用態様について
(ア)請求人は、被請求人が提出した「cellcosme/セルコスメ」が一連一体のブランド名として認識されていることを示す乙第58及び第59号証はごく例外にすぎず、甲第32号証ないし甲第78号証が示すように、「○○+コスメ(cosme)」の「○○」部分をブランド名として認識すると主張している。
しかしながら、上記甲第32号証ないし甲第78号証は、「○○」というコーポレートマーク又はブランドマークに、「コスメ(cosme)」を付したものであって、「○○コスメ(cosme)」というブランドマークを「○○」と認識することを示しているものではない。
つまり、請求人は自己の主張を裏付ける資料を全く提出しておらず、自己に都合のいい主張をしているにすぎない。そうでありながら、被請求人が提出した資料(乙第58号証及び甲第59号証)がごく例外にすぎない、と主張するのは請求人の強弁に他ならない。

(イ)請求人は、例えば「マリークワント」のように、コーポレートマークがそのままブランドマークとして機能する、また、「資生堂ハンドクリーム」のようにブランドマークを有する会社においても、コーポレートマークをブランドマークのように付して販売する商品もある。よって、コーポレートマークがブランドマークと認識される。したがって、甲第32号証ないし甲第78号証のほとんどはコーポレートマークに「コスメ(cosme)」を付したものであり、ブランドマークに「コスメ (cosme)」を付して指称することが慣行化しているとはいえない、という被請求人の主張を否定している。

(ウ)ここで、コーポレートマークとブランドマークとの相違点を明確にしておく。コーポレートマークとは、(個別の商品等とは無関係に)営業について自己を表示するマークであり、ブランドマークとは個別の商品や役務の標識するためのマークである。請求人がいうように、両者の区別は曖昧なものである。請求人が挙げた「マリークワント」については、コーポレートマークであるとともにブランドマークとも認識されている。だからこそ、「マリークワントコスメ」と表示されていた場合、それは「マリークワント社製のコスメ」とコーポレートマークとして認識される。それは、「マリークワント」というブランドマークは化粧品のみでなく、被服やアクセサリー、バッグ、手袋などの多種の商品に使用されていることからも明らかである(乙第64号証)。

(エ)以上より、「マリークワント」については一例に過ぎないが、先の答弁書において述べたように、(a)ブランドマーク「○○」に「コスメ(cosme)」を付して「○○+コスメ(cosme)」と指称するのが慣行化しているとはいえない。
更には、上記理由により、「マリークワントコスメ」を単に「マリークワント」と認識し、称呼することもない。よって、(b)「○○コスメ(cosme)」という表示を見た需要者が「○○」部分をブランド名として認識することはない。
なお、「資生堂ハンドクリーム」についてであるが、被請求人が探したところ、「資生堂ハンドクリーム」なる商品は見つかっていない。資生堂社製のハンドクリームとしては、乙第65号証があるが、これは明らかに「資生堂」をコーポレートマークとして使用しており、ブランドマークとして使用しているとはいえない。よって、請求人がかかる例をもって何を主張しようとしているのか不明である。また、仮に「資生堂ハンドクリーム」なる商品があったとしても、本事案は「コスメ(cosme)」という化粧品全体を意味する文字についての事案であり、「ハンドクリーム」のように、個別の商品を意味する文字は事案が異なる。

(9)特許庁の判断について
請求人は、意見書提出の有無により商標の類否が左右されて良いものではないと主張する。
拒絶理由通知に対して意見書を提出せず、拒絶査定が確定した場合、これは単に商標登録出願が権利化されなかったという事実にすぎず、出願にかかる商標の類否判断が定まったということではない。請求人はこの点において、商標制度を全く理解していない。一方、拒絶理由通知に対して、意見書を提出し、また拒絶査定に対して拒絶査定不服審判を請求し、その後登録査定が確定した場合、これはその確定した結果の中に類否判断が含まれていると解すべきである。つまり、拒絶の理由となっていた引用商標と登録商標とは類似関係にはない、という類否判断が定まったということである。出願した商標が権利化しないのには種々のパターンが考えられるが、権利化するためには、一定の基準を満たす必要があるからである。
以上より、拒絶査定が確定した過去の出願を理由に本件商標についても同様に判断すべきであり、本件商標は引用商標と類似関係にある、との判断は誤りである。

(10)アンケートの実施
被請求人は、平成19年12月8日(土)及び9日(日)の2日間に渡って、都内の数箇所において、本件商標について以下のようなアンケートを行った。なお、アンケート対象者は、化粧品の一般的需要者である18歳から69歳までの女性200名である。
(ア)アンケート方法
1枚の紙に本件商標を記載し、3秒間見てもらう。その後、紙は伏せて、該紙に何と書かれていたか実際に書いてもらう。また、次の6つの選択肢[ラブ、ラブリー、ラブコスメ、ラブコスメティック、ラブリーコスメ、この中にはない]の中から、1つ選択してもらう(乙第66号証)。

(イ)アンケート結果
「ラブコスメ」と記載した人は、200人中200人であった。つまり100%の確率で、「ラブコスメ」と回答した。また、6つの選択肢のうち、「ラブコスメ」を選択した人は200人中200人であった。「ラブ」を選択した人は皆無であった(乙第67号証)。
この結果により、本件商標の要部を「ラブ」とは認識しないことが伺える。本件商標が片仮名でたった5文字からなり、上記結果は当然であると考えることもできる。しかし、これがもし、比較的長い文字からなり、よどみなく一連一体に称呼できないようなものであった場合、該アンケートを取った場合、対象者は商標の一部のみを記憶し、その一部のみを回答すると考えられる。つまり一部が「要部」として認識されることになる。本アンケートにおいては、100%の確率で、本件商標を一連一体で認識されているため、「ラブ」をその要部と認識されることはない。
したがって、「商標の類否の判断は、商標が使用される商品又は役務の主たる需要者層その他商品又は役務の取引の実情を考慮し、需要者の通常有する注意力を基準として判断しなければならない」(商標審査基準第8版商標法第4条第1項第11号)とする審査基準によれば、本件商標の類否判断は、一連一体で行うべきであり、その一部を「要部」として行うのは不適切であると考えられる。

第5 当審の判断
1 請求人適格について
請求人が本件審判を請求することについて利害関係を有していることは、当事者間に争いがないし、当審も、請求人は本件審判の請求人適格を有するものと判断するので、以下、本案に入って審理する。

2 商標法4条1項11号について
当審は、本件商標は、引用商標のいずれにも類似しないから、商標法4条1項11号に該当しないと判断する。その理由は、以下のとおりである。
(1)商標法4条1項11号に係る商標の類否は、同一又は類似の商品又は役務に使用された商標が、その外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して、その商品又は役務に係る取引の実情を踏まえつつ全体的に考察すべきものであり(最高裁昭和39年(行ツ)第110号昭和43年2月27日第三小法廷判決参照)、複数の構成部分を組み合わせた結合商標と解されるものについて、商標の構成部分の一部を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは、その部分が取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合などを除き、許されないというべきである(最高裁昭和37年オ第953号昭和38年12月5日第一小法廷判決、最高裁平成3年(行ツ)第103号平成5年9月10日第二小法廷判決、最高裁平成19年(行ヒ)第223号平成20年9月8日第二小法廷判決参照)。
以下、本件商標と引用商標との類否を判断するに当たって、上記の観点を考慮して、本件商標の要部(識別機能を有する部分)について、考察をする。

(2)本件商標について
本件商標は、「ラブコスメ」の片仮名文字を標準文字により表してなる商標である。
まず、本件商標の構成中、「ラブ」の語について検討する。
「ラブ」の語は、名詞としては「愛」、「愛情」、「好意」など、動詞としては「人を愛する」、「恋をする」、「好きになる」などを指す、我が国では、よく知られた語である。
次に、本件商標の構成中、「コスメ」の部分について検討する。
「cosmetic」ないし「コスメチック」は、「化粧品」を指す英語ないしその片仮名表記であることが認められる(株式会社岩波書店、「広辞苑」第3版・甲第9号証)。
そして、「コスメ」は、ファッション、化粧品関連の雑誌、図書、通信販売用カタログ・パンフレット等において、化粧品を指す語として、使用されていること、美容に関心のある一部女性の中では、化粧品を指す語として、理解されていることが推認できるが(甲第11号証ないし甲第78号証)、「コスメ」の語が、我が国において、化粧品を指す「cosmetic」ないし「コスメチック」の語の省略であることが認識されているとまではいえない。
本件商標は、「ラブコスメ」の片仮名文字を標準文字により、一連に表記したものであり、その音数は5音であって、ごく短いものであることに照らすと、本件商標に接した需要者及び取引者は、これを一連一体のものとして認識、理解する。本件商標からは、片仮名横書きの「ラブコスメ」との外観を生じ、「ラブコスメ」の称呼を生じ、これを更に短縮した「ラブ」との称呼を生ずると解するのは不自然である。
また、前記検討したとおり、「コスメ」が、化粧品を指すものとして、我が国において、一般的に認識理解されているとまではいえないこと、本件商標が、ごく短い語からなる商標であることに照らすならば、本件商標の一部である「ラブ」のみによって識別されるということができない。全体として造語であるため、使用態様及び需要者により、「愛情・愛に関連する化粧品」などの観念を生ずる余地は否定できないものの、多様な観念を生ずる可能性があり、その意味で特定の観念は生じない。

(3)引用商標について
引用商標は、引用商標1ないし6から、順に、(1)欧文字「Love」(Lが大文字、他の文字は小文字)を、特有の書体による横書きで表記したものであり、「v」の右上先端部に、「’」が付された特有の形状、(2)欧文字「LOVE」(すべて大文字)を横書きで表記した形状、(3)片仮名「ラブ」を横書きで表記した形状、(4)上段に欧文字「Love」(Lが大文字、他の文字は小文字)を特有の書体で表記し、下段に片仮名「ラブ」を表記した形状、(5)L字状の図形を左から右下方に大きく表記し、欧文字「ove」(すべて小文字)をその右側に表記した形状、(6)片仮名「ラブ」を上段に、欧文字「LOVE」(すべて大文字)を下段に、上下二段に横書きで表記した形状から成るものである。
引用商標からは、上記認定したとおりの外観を生じ、このうち、引用商標2ないし引用商標4及び引用商標6からは、「ラブ」の称呼を、また、「愛」、「愛情」、「好意」、「人を愛する」、「恋をする」、「好きになる」などの観念を生ずる(なお、引用商標1及び引用商標5からは、必ずしも、「ラブ」の称呼及び上記の観念のみを生ずるか否かについては、確定することができない。)。
そして、指定商品中の「化粧品」が、「美しく見えるよう、飾ったりするために用いるクリーム、洗顔剤などの商品」であることに照らすならば、「ラブ」の構成(引用商標2ないし引用商標4及び引用商標6中の「ラブ」の称呼を生ずる部分を含む。以下同じ。)は、指定商品中の「化粧品」と、直接的な関連性があるとまではいえないが、密接な関連性を有する語であるということができる。
そのような指定商品との関連性を考慮すると、「ラブ」の構成は、指定商品中の「化粧品」等に用いられる場合は、当然には、強い識別力・排他力を持つ語であるということはできない。

(4)本件商標及び引用商標の使用態様
ア 本件商標について
本件商標を付した指定商品は、性的な悩みを解決する化粧品等の商品を含むものであり、「caz」、「TOKYO 1週間」、「VoCE」、「クチコミきれい」、「JELLY」、「OZ magazine」、「Chouchou」、「VoCE」、「ViVi」、「ゆほびか」等の雑誌に紹介がされている。その販売は、主にインターネット等を経由した通信販売等によって行われてきた(乙第69号証、乙第70号証、乙第78号証、乙第80号証、乙第81号証1ないし10及び乙第84号証1ないし3)。

イ 引用商標について
本件全証拠によるも、本件商標が登録出願された平成18年3月13日ないし登録査定がされた平成19年4月20日より前に、引用商標が、広く使用されていたとの事実は認められない。
確かに、(a)被請求人発行に係る社史には、「クラブラブ乳液」や「Love」の付された商品の写真が掲載されているが、被告の商品には、「クラブ化粧品の誕生」など、むしろ「クラブ」との標章が多く使用されており、被告の商品に、引用商標1が使用されていたことは確認できないこと(乙第74号証)、(b)請求人は、平成8年2月に、「ラブ」の名称の付された商品の発注伝票(乙第75号証)を一枚だけ提出しているが、それ以外に、「ラブ」の名称が付された被請求人商品が販売されていたと認めるに足りる証拠の提出はないこと、(c)平成18年ころ、顧客と小売店との間で交換されたメールにおいて、顧客から(株)ホームセンターサンコーに対して、「『LOVE』という名称の商品(「ネイルポリッシュ」及び「ネイルリムーバー」)が格安(200円前後)で販売されていたのを発見したので、メーカー名を教えてほしい」旨の問い合わせがあり、同ホームセンターは、「メーカーが被請求人であること、当該商品は既に廃盤とされていた」との回答をしたこと(乙第83号証1及び2)等の事実が認められ、そのような事実を総合すると、引用商標を付した商品については、どの程度の数量が取引され、どのような態様で流通されていたかは明確ではなく、取引があったとしても、わずかであると推認される。

(5)本件商標と引用商標の類否について
ア 外観及び称呼
本件商標は、「ラブコスメ」の片仮名文字を標準文字により、一連に表記したものであり、その音数は5音であって短く、本件商標に接した需要者及び取引者は、これを一連一体に認識、理解するものと解するのが相当であるから、本件商標からは、片仮名横書きの「ラブコスメ」との外観及び称呼を生じる。
他方、引用商標は、引用商標1ないし6から、順に、(a)欧文字「Love」(Lが大文字、他の文字は小文字)を、特有の書体による横書きで表記したものであり、「v」の右上先端部に、「’」が付された特有の形状、(b)欧文字「LOVE」(すべて大文字)を横書きで表記した形状、(c)片仮名「ラブ」を横書きで表記した形状、(d)上段に欧文字「Love」(Lが大文字、他の文字は小文字)を特有の書体で表記し、下段に片仮名「ラブ」を表記した形状、(e)L字状の図形を左から右下方に大きく表記し、欧文字「ove」(すべて小文字)をその右側に表記した形状、(f)片仮名「ラブ」を上段に、欧文字「LOVE」(すべて大文字)を下段に、上下二段に横書きで表記した外観を示し、このうち、引用商標2ないし4、6からは、「ラブ」の称呼を生じる。
したがって、本件商標と引用商標は、外観及び称呼において、類似しない。

イ 観念
本件商標からは、使用態様及び需要者により、「愛情・愛に関連する化粧品」などの観念を生ずる余地は否定できないものの、多様な観念を生ずる可能性があるといえる。他方、引用商標のうち、引用商標2ないし引用商標4及び引用商標6からは、「愛」、「愛情」、「好意」、「人を愛する」、「恋をする」、「好きになる」などの観念を生ずる(なお、引用商標1及び引用商標5からは、必ずしも、上記の観念のみを生ずるか否かは定かではない。)。
本件商標と引用商標は、観念において、必ずしも類似するとはいえない。

ウ 取引の実情等
本件商標に係る指定商品は、主にインターネット等を利用した通信販売の形態により購入する需要者を対象としている。
これに対し、引用商標に係る商品は、使用態様を示す具体的な証拠がないので、必ずしも明らかでないが、化粧品を使用する女性の需要者を中心としているものと推認される。両者を比較すると、その取引態様に特殊性はあるものの、大きな相違があるか否かは明らかでない。
そして、前記のとおり、指定商品中の「化粧品」が、「美しく見えるよう、飾ったりするために用いるクリーム、洗顔剤などの商品」であることに照らすならば、引用商標中の「ラブ」の構成は、指定商品中の「化粧品」と、直接的な関連性があるとまではいえないが、密接な関連性を有する構成であるということができ、そのような指定商品との関連性を考慮するならば、「ラブ」の構成は、指定商品中の「化粧品」等に用いられた場合、「ラブ」を含むあらゆる商標に対しても、当然に、強い排他力を持つ構成部分であるということはできない。本件商標の出願時ないし商標登録査定時における引用商標の取引や使用等の実情に大きく左右されるものというべきであるが、請求人は、引用商標が使用されていた実情を必ずしも、明らかにしているとはいえない。
以上のとおり外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合し、商品に係る前記認定に係る取引の実情を踏まえつつ全体的に考察すると、本件指定商品の出所が引用商標の商標権者である請求人であるとの誤認混同を生ずるおそれがあると認めることはできず、本件商標と引用商標とは、全体として類似する商標であるとはいえない。

エ 請求人の主張及びその他の点について
請求人は、化粧品の取引や需要者間においては、周知・著名商標に、続けて「コスメ」を付加することが慣行的に行われる例があることから、需要者は、本件商標「ラブコスメ」が付された化粧品を見た場合には、「ラブ」の商標を有する請求人の化粧品であると認識すると主張する。
しかし、本件全証拠によるも、本件商標が出願され、登録査定された、平成18年3月13日ないし平成19年4月20日ころに、本件商標が付された化粧品等に接した場合、取引者が「ラブ」を商標とする化粧品であると認識される程度に、引用商標の「ラブ」の構成が周知・著名であったと認めることは到底できず、この点の被告の主張は採用できない。
なお、知的財産高等裁判所平成20年5月28日判決(平成20年〔行ケ〕10042号事件)においては、「アンダーラインを挟んで上段に大きく「Love cosmetic」の欧文字及び下段に小さく「for two persons who love」の欧文字とを2段に表し、その下部に「ラブコスメティック」の片仮名文字を横書きし、上部に左方向に横向きのハート状図形を配した図形について、引用商標2ないし引用商標6と類似するとの判断がされている(甲第101号証)。しかし、上記商標は「Love cosmetic」の文字部分の「Love」と「cosmetic」との間に間隙が存在すること、一連一体に把握することが困難な商標であること等、本件商標と相違するものであるから、互いに判断の結果が相違しても、齟齬があるものとはいえない。

3 結論
以上のとおり、本件商標と引用商標は、類似しない。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲






審理終結日 2008-08-15 
結審通知日 2008-08-20 
審決日 2008-09-09 
出願番号 商願2006-93938(T2006-93938) 
審決分類 T 1 11・ 26- Y (Y03)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 齋藤 貴博 
特許庁審判長 井岡 賢一
特許庁審判官 小林 由美子
酒井 福造
登録日 2007-05-11 
登録番号 商標登録第5046619号(T5046619) 
商標の称呼 ラブコスメ、ラブ 
代理人 中村 賢一郎 
代理人 木村 秀子 
代理人 工藤 一郎 
代理人 竹内 耕三 
代理人 深見 久郎 
代理人 野田 久登 
代理人 森田 俊雄 
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