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審決分類 審判 一部無効 商4条1項7号 公序、良俗 無効としない Z38
審判 一部無効  無効としない Z38
管理番号 1216387 
審判番号 無効2009-890026 
総通号数 126 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2010-06-25 
種別 無効の審決 
審判請求日 2009-03-30 
確定日 2010-04-19 
事件の表示 上記当事者間の登録第4602351号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4602351号商標(以下「本件商標」という。)は、「iモード」の文字を標準文字で表してなり、平成13年9月17日に登録出願、第38類「移動体電話による通信,電子計算機端末による通信,電子計算機端末による通信ネットワークへの接続の提供」を指定役務として、同14年9月6日に設定登録され、その商標権は、現に有効に存続しているものである。

2 請求人の主張
請求人は、「本件商標の指定役務中、『移動体電話による通信』についての登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めた。その理由については、必ずしも明らかではないが、次のように理由があると主張しているものと解される。また、請求人は、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第29号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)請求の利益について
被請求人は、1999年2月22日に、「iモード」のサービス開始と称して、本件商標を使用する対象である移動体電話に、「i moDE」を付して販売したところ、被請求人の業務に係る移動体電話のメール機能の構成要素、文字入力方式は、請求人の有する日本国特許第3611580号、米国特許第6097990号(これらをまとめて、以下「請求人特許権」という。)に抵触するものである。請求人は、その事実を被請求人及びその親会社であるNTTのほか、「iモード対応」端末を開発、製造等をした富士通株式会社、日本電気株式会社、松下電器産業株式会社に対し、通告したにもかかわらず、被請求人は、本件商標を請求人に無断で登録出願したものである。
したがって、請求人は、本件審判を請求するにつき、利害関係を有するものである。
(2)本件商標を無効とすべき理由
前記(1)のとおり、「i moDE」を付した被請求人の業務に係る移動体電話は、請求人特許権に係る入力装置を搭載した携帯電話機の実施形態及び構成要素と類似するものである。そして、請求人は、その事実を被請求人及びその親会社であるNTTのほか、「iモード対応」端末を開発、製造等をした富士通株式会社、日本電気株式会社、松下電器産業株式会社に対し、通告したにもかかわらず、被請求人は、本件商標を請求人に無断で登録出願したものである。
さらに、被請求人は、前記「iモード」のサービス開始日より平成14年8月25日までの間、商標法第40条第1項に規定の登録料を納付をしていない。また、被請求人は、本件商標の商標権を取得後も、移動体電話に、「i又はi moDE」を付して販売した。
したがって、本件商標の登録は、商標法第29条第1項並びに同法第46条第1項、同法第46条第1項第5号及び同法第4条第1項第7号に違反してされたものであるから、無効とされるべきである。

3 被請求人の主張
被請求人は、主位的に、「本件審判の請求を却下する。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求め、予備的に、結論と同旨の審決を求めると答弁し、それらの理由を要旨次のように述べた。
(1)主位的答弁
本件審判と「同一事実及び同一の証拠」に基づいてされた無効2006-89028号事件は、平成20年6月10日に、確定審決の登録がされており、本件審判の請求は、一事不再理の原則(商標法第56条第1項、特許法第167条)により、不適法なものであり、補正することができないものであるから、却下すべきである。
また、商標法第29条第1項に該当するとした無効理由による本件審判の請求は、同法第46条の法定列挙主義に違反した不適法な請求であり、補正することができないものであるから、却下すべきものである。
(2)予備的答弁
商標が商標法第4条第1項第7号に該当するかどうかは、特段の事情のない限り、当該商標の構成を基礎として判断されるべきものであり、指定商品又は指定役務についての当該商標の使用態様が他人の権利を侵害するか否かを含めて判断されるべきものではないと解される(無効2006-89028号審決及び平成19年(行ケ)第10303号判決)。
したがって、請求人の主張する商標法第4条第1項第7号に違反するとの無効事由は成り立つ余地がないのは明白である。
(3)むすび
以上のとおり、本件審判の請求は、一事不再理の原則、無効理由の法定列挙主義に違反したものとして、却下すべきものであり、仮に、本案の判断をするとしても、請求人の主張は、一切、成り立つ余地はなく、審判請求は成り立たない。

4 当審の判断
(1)本案前における被請求人の主張について
被請求人は、本件審判の請求は、商標法第56条において準用する特許法第167条に規定する一事不再理の原則に違反するものであるから、却下されるべきである旨主張する。
職権による調査によれば、本件商標について、商標法第29条及び同法第4条第1項第7号等違反の事実に基づき、本件審判の請求人から、商標登録を無効とすることについての審判(無効2006-89028号、以下「前審判」という。)が請求され、前審判に係る審決(以下「前審決」という。)において、前記規定違反の主張が排斥され、前審判の請求が不成立となった。その後、前審決に対する審決取消訴訟おいて原告(本件審判の請求人)の請求が棄却され、さらに、同判決に対する上告及び上告受理申立ては、棄却及び不受理とされ、平成20年6月10日に前審判について審判の確定登録がなされたことを認めることができる。
商標法第56条第1項において準用する特許法第167条は、何人も、商標登録無効等の審判の確定審決の登録があったときは、「同一の事実及び同一の証拠」に基づいて、新たな審判請求をすることができない旨規定しているところ、本件審判における請求人の主張事実及び提出に係る証拠の多くは、前審判における請求人の主張事実及び提出に係る証拠と同一と認めることができるといえるが、前審判においては、本件商標が商標法第29条及び同法第4条第1項第7号の各規定に該当する旨の主張のほか、パリ条約、米国特許法、日本国特許法の各規定にも該当するなどの主張を行ったのに対し、本件審判においては、商標法第29条及び同法第46条第1項第1号に基づく同法第4条第1項第7号の規定に該当する旨の主張のほか、前審判において明確に主張されていなかった商標法第46条第1項第5号の規定に基づく同法第4条第1項第7号の規定に該当する旨の主張があり、また、同法第40条の規定に基づく主張もされていると解することができる。さらに、提出に係る証拠についても、新たに提出された証拠も存在することが認められる。
そうとすれば、本件審判の請求は、前審判とは、同一の事実及び同一の証拠に基づいてされたものとはいえない。
したがって、本件審判の請求は、商標法第56条第1項で準用する特許法第167条の規定に違反したものとはいえないから、被請求人の前記主張は採用することができない。
なお、被請求人は、請求人が主張する商標法第29条違反について、同法第46条の法定列挙主義に違反した不適法な請求であり、補正することができないものであるから、却下すべきものである旨主張するが、請求人の前記主張は、商標法第29条と同法第4条第1項第7号とを関連づけて主張しているものと解されるから、この点については、本案に入って検討する。
(2)本案の審理について
ア 商標法第4条第1項第7号等について
請求人が、本件商標が商標法第4条第1項第7号に該当すると主張する根拠は、「i moDE」を付した被請求人の業務に係る移動体電話が、請求人特許権に係る入力装置を搭載した携帯電話機の実施形態及び構成要素と抵触するものであるから、その事実を被請求人及びその親会社であるNTT等に通告したにもかかわらず、被請求人は、本件商標を請求人に無断で登録出願したというものと解される。
しかしながら、商標が商標法第4条第1項第7号に該当するかどうかは、特段の事情のない限り、当該商標の構成を基礎として判断されるべきものであり、指定商品又は指定役務についての当該商標の使用態様が他人の権利を侵害するか否かを含めて判断されるべきものではない。
特に、商標法29条において、商標権者による登録商標の使用が、その使用の態様によりその出願の日前の出願に係る他人の特許権等と抵触するときには、指定商品又は指定役務のうち抵触する部分についてその態様により登録商標の使用をすることができないと定められ、知的財産権相互の調整が図られていること等に照らすならば、指定商品又は指定役務についての商標の使用態様によって他人の特許権等を侵害することがあったとしても、すなわち、そのような使用がされたり、あるいはそのような使用がされる事態が想定される状況等があったとしても、そのことから直ちに当該商標が、「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」に該当するものと判断すべきではないといえる(知財高裁平成19年(行ケ)第10303号判決 平成20年1月31日判決言渡)。
これを本件についてみると、本件商標は、「iモード」を標準文字で表す構成からなる典型的な文字商標であり、本件商標の構成態様から、他人の特許権等を侵害するものということはできないものである。
そうすると、請求人の主張に係る、移動体電話に「i moDE」を付した被請求人による使用が、請求人特許権に抵触するという理由をもって、本件商標が「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」に該当するということはできない。
したがって、本件商標は、その登録査定時において商標法第4条第1項第7号に該当していた、又は、設定登録後において同号に該当するものとなっていたと認めることはできない。
また、仮に請求人が、「商標法第29条違反」が同法第4条第1項第7号に該当することと切り離して主張しているというのであれば、同法第46条第1項に挙げられた無効理由は限定的列挙であるから、これらに該当しない限り無効審判により商標登録が無効とされることはないと解される。
したがって、商標法第29条違反が商標登録の無効理由となっていないことは同法第46条第1項の規定に照らし明らかであるから、請求人の主張が前記のように解されたとしても、その主張は失当である。
なお、請求人は、被請求人は、前記「iモード」のサービス開始日である平成11年(1999年)2月22日から同14年(2002年)8月25日までの間、商標法第40条第1項に規定の登録料を納付していない旨を主張する(なお、職権による調査によれば、本件商標の登録査定は、平成14年8月20日に被請求人に発送され、同年8月27日に登録料の納付があったと認めることができる。)が、このこと自体にいかなる違法性が存在するのかは判然としないところ、請求人の主張が、仮に本件商標の商標権に係る登録料の納付がなされる以前から、被請求人は、本件商標をその業務に係る移動体電話に使用していたから、商標法第4条第1項第7号に該当する、というのであれば、その主張は失当というべきものである。
なぜなら、商標法には、他人の商標権等を侵害していない商標(標章)について、登録料納付前又は設定登録前の使用を禁止する旨の規定はなく、加えて、それが周知である場合に、登録料納付以前からその使用が可能であることは、商標法第4条第1項第10号及び同法第32条等の立法趣旨に照らしても明らかであるから、前記期間において、本件商標の使用があったことをもって、本件商標が商標法第4条第1項第7号に該当するということはできない。
その他、請求人は、種々述べるも、いずれも理由がなく、採用することができない。
なお、請求人は、平成21年10月13日、同年同月16日及び同年同月19日付けで、審理再開申立書、手続補正書及び物件提出書を提出しているが、その内容を徴するも、前記判断に影響を与えるものとは認められないから、本件の審理再開の必要はないと判断した。
イ むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第29条及び同法第4条第1項第7号に違反してされたものではなく、また、本件商標の登録がされた後において、商標法第4条第1項第7号に該当することとなっているものでもないから、同法第46条第1項第1号又は同第5号により、無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2009-09-18 
結審通知日 2009-09-28 
審決日 2009-10-26 
出願番号 商願2001-83974(T2001-83974) 
審決分類 T 1 12・ 07- Y (Z38)
T 1 12・ 22- Y (Z38)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 三澤 惠美子 
特許庁審判長 森吉 正美
特許庁審判官 瀧本 佐代子
岩崎 安子
登録日 2002-09-06 
登録番号 商標登録第4602351号(T4602351) 
商標の称呼 アイモード、イモード、モード 
代理人 大野 聖二 
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