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審決分類 審判 一部取消 商標の同一性 無効としない X03
管理番号 1216293 
審判番号 取消2009-300984 
総通号数 126 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2010-06-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2009-09-01 
確定日 2010-04-05 
事件の表示 上記当事者間の登録第2722896号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第2722896号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成からなり、昭和63年12月28日に登録出願、第4類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成9年8月29日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録がなされ、さらに、同19年7月18日に指定商品を第3類「香料類,化粧品,歯磨き」とする指定商品の書換登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録は、平成21年9月11日にされているものである。

第2 請求人の主張
請求人は、「本件商標の指定商品中、『化粧品』について登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第37号証(枝番を含む。)を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、指定商品中「化粧品」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
なお、被請求人のインターネット上のホームページを参照、検索しても、本件商標を使用している形跡が見当たらない。
2 答弁に対する弁駁
(1)被請求人が主張する使用事実
ア 使用事実1
(ア)被請求人は、御木本製薬株式会社(以下「御木本製薬」という。)に本件商標の通常使用権を許諾している。
(イ)御木本製薬は、化粧品に関し、別掲(2)のとおりの構成からなる標章(以下「使用標章1」という。)を使用している。
(ウ)上記使用は、本件商標の通常使用権者による使用に該当する。
イ 使用事実2
(ア)被請求人は、株式会社コーセー(以下「コーセー」という。)に本件商標の通常使用権を許諾している。
(イ)コーセーは、化粧品に関し、別掲(3)のとおりの構成からなる標章(以下「使用標章2」という。)を使用している。
(ウ)上記使用は、本件商標の通常使用権者による使用に該当する。
ウ 使用事実3
(ア)被請求人は、コーセーに本件商標の通常使用権を許諾している。
(イ)コーセーは、化粧品に関し、別掲(4)のとおりの構成からなる標章(以下「使用標章3」という。)を使用している。
(ウ)上記使用は、本件商標の通常使用権者による使用に該当する。
エ 一方、被請求人は、本件商標を自身で使用していることは主張しておらず、本件商標は、商標権者自身によっては使用されていなかったことが裏付けられる。
つまり、本件商標に関しては被請求人の信用は何ら化体しておらず、使用許諾されたのは商標に化体した信用、すなわち顧客誘因力ではなく、被請求人が商標権者という法的な地位に基づいて使用権、禁止権を専有している「プレミアム/PREMIUM」という標章それ自体ということになる。
(2)本件商標の出所表示機能
ア ところで、「プレミアム/PREMIUM」の文字には、現在では甲第2号証、甲第3号証などの辞書にも記載されているように「他の物より価値があること。高級。上等。高価。」、「高級な。」などの意味があり、近年これらの意味を有する文字であるとの認識も広く普及し、実際にそのような意味で使用されていることは特許庁においても顕著な事実であると思料する。また、甲第33号証の最新の裁判例でもそのような認定が裁判所においてなされている。
よって、これを商標に用いても、商品の品質誇示用語的な色彩が強く、出所表示機能に疑義が生じる。
イ 例えば、化粧品、石けん関係に限ってインターネットで簡単にサーチしただけでも、一例として「プレミアム/PREMIUM」の次のような使用例がヒットする。
「私は特別な日につける口紅があります。それは私にとってプレミアムまさに特別なのです。本当の意味でもプレミアム化粧品とは高級という意味なんでしょうけど・・・」(甲第34号証)。
「化粧品選ぶ基準は人それぞれですよね。今はちょっといいもの『プレミアム』が流行りのようですね。」(甲第35号証)。
「プレミアムシャンプーは今、大人の女性の間で大人気!プレミアムって聞くだけで高級なイメージがします。」(甲第36号証)。
「またプレミアムアイラッシュエッセンスの育毛効果はまつ毛だけに限らず眉毛にも効果抜群で、育毛の専門家からもお墨付きをもらっているほどのまさにプレミアムなまつ毛美容液なのです。」(甲第37号証)。
ウ また、被請求人の提出した乙第8号証のインターネット記事にも次の記載があり、通常使用権者自身が「プレミアム/PREMIUM」を前記の意味で使用していることがうかがい知れる。
今回発売された新商品、ベースメイクアップシリーズ「CASIA PREMIUM(キャシアプレミアム)」は2001年3月1日から発売している「CASIA」シリーズの上位商品に位置づける。
(3)本件商標と各使用標章との社会通念上の同一性の有無
ア 使用標章1
(ア)使用標章1は、上段に「CASIA」の文字を大きく記し、下段に「PREMIUM」の文字を小さく記した上下2段の構成からなる。
そして、両者は、上下に近接して配されており、デザイン上のつながりも自然であり、これに接した取引者、需要者は、両者を一体の商標として認識すると考えるのが自然である。
よって、ここから殊更「PREMIUM」の文字部分が分離して認識され、「PREMIUM」の文字部分が単独で出所表示の用を果たすと考えるのは自然でなく、本件商標と使用標章1とは、社会通念上の同一性はないと考える。
(イ)これに関し、被請求人は、「このように、商標の文字の大きさ等変えて複数行で使用している態様は、代表的出所標識と個別商標を併記して商品に付すことが普通に行われていることから、明らかに本件商標の使用といえるものである。」と主張している。
なるほど、商標の文字の大きさを変えて複数行で記す理由には、主張のような場合も確かにある。
ただし、各文字を横一列に配すると、それを商品に付した場合に横長になりすぎてデザイン上の収まりが悪くなるので、それを左右でなく上下に振り分けることにより商標の収まる空間をコンパクトにまとめデザイン上の収まりをよくするという理由による場合が圧倒的に多いのが現実である。
被請求人の主張を言い換えれば、使用標章1は、「CASIA」という代表的出所標識と「PREMIUM」という個別商標を上下に振り分けたということになる。
しかし、前記したように、「PREMIUM」の文字は、「他の物より価値があること。高級。上等。高価。」、「高級な。」などの意味があるという品質誇示用語として認識されており、仮に、自他商品識別力が存するとしてもその指標力は極めて弱いものである。
一方、「CASIA」の文字は、商標登録第2245648号として商標権が確立されている自他商品識別力に関し一点の曇りもない商標であり、使用標章1に接した取引者、需要者は、「PREMIUM」の文字は顧客誘因力のある「CASIA」の商標を修飾する、すなわち品質を誇示する文字として認識し、それを「個別商標」と認識する余地はないと考える。
使用標章1の使用において「代表的出所標識」とは、著名ブランドである「MIKIMOTO」であり、「個別商標」とは、ひとかたまりの商標として認識される「CASIA/PREMIUM」と考えるのが自然である。
事実、御木本製薬は、使用標章1に関し、他の場面では終始一貫、「キャシアプレミアム」として一体に使用している。
よって、使用標章1に関し、「CASIA」の文字部分が単独で出所表示の用を果たすことはあっても、「PREMIUM」の文字部分が単独で出所表示の用を果たすことはなく、本件商標と使用標章1とは、社会通念上の同一性はないものと考える。
イ 使用標章2
(ア)使用標章2は、最上段に「COSME DECORTE」の文字を大きく記し、中段に「WHITE-SCIENCE」の文字を大きく記し、下段に「PREMIUM」の文字を小さく記した上下3段の構成からなる。
そして、「COSME DECORTE」の文字部分はやや離隔しているものの、「WHITE-SCIENCE」と「PREMIUM」の各文字部分は、上下に近接して配されており、デザイン上のつながりも自然であり、これに接した取引者、需要者は、「WHITE-SCIENCE/PREMIUM」を一体の商標として認識すると考えるのが自然である。
よって、ここから殊更「PREMIUM」の文字部分が分離して認識され、「PREMIUM」の文字部分が単独で出所表示の用を果たすと考えるのは自然でなく、本件商標と使用標章2とは、社会通念上の同一性はないと考える。
(イ)前記(3)ア(イ)のとおり、「PREMIUM」の文字は、「他の物より価値があること。高級。上等。高価。」「高級な。」などの意味があるという品質誇示用語として認識されており、仮に、自他商品識別力が存するとしてもその指標力は極めて弱いものである。
一方、「WHITE-SCIENCE」の文字は、商標登録第4505188号として商標権が確立されている自他商品識別力に関し一点の曇りもない商標であり、使用標章2に接した取引者、需要者は、「PREMIUM」の文字は顧客誘因力のある「WHITE-SCIENCE」の商標を修飾する、すなわち品質を誇示する文字として認識し、それを「個別商標」と認識する余地はないと考える。
使用標章2の使用において「代表的出所標識」とは、コーセーの40年近い歴史を誇る著名ブランドである「COSME DECORTE」(http://www.cosmedecorte.com/)(商標登録第912228号他)であり、「個別商標」とは、ひとかたまりの商標として認識される「WHITE-SCIENCE/PREMIUM」と考えるのが自然である。
事実、コーセーは、使用標章2に関し、他の場面では終始一貫、「コスメデコルテ ホワイト サイエンス プレミアム」として一体に使用している。
よって、使用標章2に関し、「COSME DECORTE」や「WHITE-SCIENCE」の各文字部分が単独で出所表示の用を果たすことはあっても、「PREMIUM」の文字部分が単独で出所表示の用を果たすことはなく、本件商標と使用標章2とは、社会通念上の同一性はないものと考える。
ウ 使用標章3
(ア)使用標章3は、最上段に「COSME DECORTE」の文字を大きく記し、中段に「VITAL-SCIENCE」の文字を大きく記し、下段に「PREMIUM」の文字を小さく記した上下3段の構成からなる。
そして、「COSME DECORTE」の文字部分は、やや離隔しているものの、「VITAL-SCIENCE」と「PREMIUM」の各文字部分は、上下に近接して配されており、デザイン上のつながりも自然であり、これに接した取引者、需要者は、「VITAL-SCIENCE/PREMIUM」を一体の商標として認識すると考えるのが自然である。
よって、ここから殊更「PREMIUM」の文字部分が分離して認識され、「PREMIUM」の文字部分が単独で出所表示の用を果たすと考えるのは自然でなく、本件商標と使用標章3とは、社会通念上の同一性はないと考える。
(イ)前記(3)ア(イ)のとおり、「PREMIUM」の文字は、「他の物より価値があること。高級。上等。高価。」「高級な。」などの意味があるという品質誇示用語として認識されており、仮に、自他商品識別力が存するとしてもその指標力は極めて弱いものである。
一方、「VITAL-SCIENCE」の文字は、商標登録第4160041号として商標権が確立されている自他商品識別力に関し一点の曇りもない商標であり、使用標章3に接した取引者、需要者は、「PREMIUM」の文字は顧客誘因力のある「VITAL-SCIENCE」の商標を修飾する、すなわち品質を誇示する文字として認識し、それを「個別商標」と認識する余地はないと考える。
使用標章3の使用において「代表的出所標識」とは、前記(3)イ(イ)のとおり、「COSME DECORTE」であり、「個別商標」とは、ひとかたまりの商標として認識される「VITAL-SCIENCE/PREMIUM」と考えるのが自然である。
事実、コーセーは、使用標章3に関し、他の場面では終始一貫、「コスメデコルテ バイタル サイエンス プレミアム」として一体に使用している。
よって、使用標章3に関し、「COSME DECORTE」や「VITAL-SCIENCE」の各文字部分が単独で出所表示の用を果たすことはあっても、「PREMIUM」の文字部分が単独で出所表示の用を果たすことはなく、本件商標と使用標章3とは、社会通念上の同一性はないものと考える。
(4)付記的事項
ア 被請求人は、本件商標を構成する「プレミアム/PREMIUM」の文字自体が顕著性を有することを例証するために、本件商標の拒絶査定不服審判の審決公報(乙第26号証)、「プレミアム/PREMIUM」関係の商標登録例のリスト(乙第27号証)を提出している。
しかし、これらの商標の大半は(本件商標も含めて)、「プレミアム/PREMIUM」の文字が前記のように「他の物より価値があること。高級。上等。高価。」、「高級な。」などの意味として辞書において未だ認知されておらず、また、これらの意味を有する文字であるとの取引者、需要者の認識も薄い時代のものである。
一方、近年では、例えば、甲第4号証ないし甲第28号証(枝番を含む。)に示すように「プレミアム/PREMIUM」関係の商標の自他商品識別力を否定する審決例及び審査例が多数出現するに至っている。
イ また、本件商標に関し、乙第26号証の拒絶査定不服審判後に、「B」の文字、「BelleCio」の文字、「PREMIUM」の文字及び「ESSENCE」の文字を上下4段に配した「B\BelleCio\PREMIUM\ESSENCE」と本件商標は非類似であるという判断を示した異議決定がなされており(甲第30号証)、「FASCINO」の文字と「PREMIUM CREAM」の文字を上下2段に配した商標が本件商標の存在にもかかわらず登録されている(甲第31号証)。
ウ 一方、乙第27号証のリストに記載の登録商標に関しても、甲第32号証のリストに示すように近年、「プレミアム」又は「PREMIUM」の文字を他の文字の上段又は下段に配した登録商標の併存例が出現するに至っている。
(5)以上のとおり、被請求人は、本件商標を使用していなので、本件商標の登録は取り消されるべきである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第29号証(枝番を含む。)を提出した。
1 被請求人は、以下に述べる理由により、請求人の主張事実を認めることはできない。
(1)通常使用権者1
被請求人は、「通常使用権許諾契約書」(乙第1号証)で示すように、御木本製薬との間で本件商標について、通常使用権を許諾している。
乙第1号証では、被請求人の住所が本社とは異なるが、これは担当部署が置かれている被請求人の総合研究所の住所で契約しているものであり、契約者が被請求人であることは被請求人の会社案内(乙第2号証)で明らかである。
顔用パウダーのパンフレット「FACE POWDER/PRESSED POWDER」(乙第3号証)、メイクアップ用化粧品のパンフレット「CONTROL MAKE-UP BASE」(乙第4号証)、コンシーラーのパンフレット「BRIGHTENING CONCEALER」(乙第5号証)、ファンデーションのパンフレット「WHITE TWO WAY FOUNDATION」(乙第6号証)、ファンデーションの商品写真及び説明書写し「WHITE TWO WAY FOUNDATION」(乙第7号証)、グローブ・データ株式会社の証明書(乙第8号証)、日経MJの記事「2007年7月13日」(乙第9号証の1)、同資料についての国立国会図書館所蔵図書館資料に関する証明書(乙第9号証の2)、日経MJの記事「2008年1月18日」(乙第10号証の1)、同資料についての国立国会図書館所蔵図書館資料に関する証明書(乙第10号証の2)からも明らかなように、通常使用権者である御木本製薬は、本件審判の請求の登録前3年以内に本件商標を「化粧品」(パンフレット等に記載されている顔用パウダー、メイクアップ用化粧品、コンシーラー、ファンデーション等)に使用していたものである。
パンフレット等に記載されている「ミキモトコスメテイツクス」、「MIKIMOTO COSMETICS」が御木本製薬の商品であることは、乙第7号証及び乙第8号証でも明らかと考えるが、念のため御木本製薬の会社概要(乙第11号証)も提出する。
ところで、乙第8号証ないし乙第10号証においては、商標の表示が「CASIA PREMIUM」、「キャシアプレミアム」等になっているが、これは記事として記載されているものであって、通常使用権者が使用している態様は、あくまで乙第3号証ないし乙第7号証のように、「CASIA」の文字の下に「PREMIUM」と表示して使用しているものである。
なお、このように、商標の文字の大きさ等変えて複数行で使用している態様は、代表的出所標識と個別商標を併記して商品に付すことが普通に行われていることから、明らかに本件商標の使用といえるものである(参考審決例:乙第12号証ないし乙第14号証)。
(2)通常使用権者2
被請求人は、「契約書」(乙第15号証)で示すように、コーセーとの間で本件商標について、通常使用権を許諾している。
乙第15号証では、被請求人の住所が本社とは異なるが、これは担当部署が置かれている被請求人のマーケティング本部が置かれている総合研究所の住所で契約しているものであり、契約者が被請求人であることは乙第2号証の会社案内で明らかである。
化粧水、化粧用乳液、クリームのパンフレット「COSME DECORTE/WHITE-SCIENCE/PREMIUM」(乙第16号証)、化粧用乳液、化粧水、クリーム、洗顔料のパンフレット「COSME DECORTE/VITAL-SCIENCE/PREMIUM」(乙第17号証)、雑誌(乙第18号証ないし乙第23号証)、日経産業新聞の記事「2008年9月3日」(乙第24号証の1)、同資料についての国立国会図書館所蔵図書館資料に関する証明書(乙第24号証の2)からも明らかなように、通常使用権者であるコーセーは、本件審判の請求の登録前3年以内に本件商標を「化粧品」(パンフレット、広告、記事等に記載されている化粧用乳液、化粧水、クリーム、洗顔料等)に使用していたものである。
パンフレット、広告等に記載されている「COSME DECORTE」がコーセーの商品であることは、乙第24号証で明らかであると考えるが、念のためコーセーのホームページの写し(乙第25号証)を提出する。
ところで、乙第16号証ないし乙第24号証も前記御木本製薬の商品のように、文字の大きさ等を変えて複数行で使用しているが、これも代表的出所標識と個別商標を併記して商品に付したものであり、本件商標の使用といえるものである。
また、商標の表示が一部カタカナになっているものもあるが、これらは説明や記事として記載されているものであって、通常使用権者が商品に使用している態様は、あくまで「PREMIUM」の文字を別の行に独立して使用しているものである。
2 被請求人は、前記通常使用権者の他にも、複数の者に本件商標の通常使用権を設定しているものである。
このため、商品の代表的出所標識とは別に個別商標として本件商標を使用している例があるが、それらは被請求人の許諾を得た通常使用権者の使用である。
また、「プレミアム/PREMIUM」の文字自体が顕著性を有することは、本件商標が平成6年審判第13719号(乙第26号証)の審判を経て、登録されていることや登録例(乙第27号証)の一覧から当然のことであると考える。
ところで、御木本製薬は、下記に示すように、乙第3号証ないし乙第7号証に示した商標と略同一の商標を登録出願し、本件商標に類似するとして拒絶査定となっているものである。
商願2004-119030公開商標公報(乙第28号証の1)
同拒絶理由通知書(乙第28号証の2)
同拒絶査定謄本(乙第28号証の3)
御木本製薬及びコーセーは、被請求人と通常使用権設定の契約を締結し、一般的によく行われている商品の代表的出所標識とは別に個別商標として本件商標を使用しているものであり、他の通常使用権者も同様である。
3 「プレミアム/PREMIUM」の文字に顕著性があると判断されている商願2008-59707(乙第29号証の1ないし5)を参考のため提出する。
上記商標は、「Playback」と「Premium」の各文字の大きさ、書体を変えて上下2段に表示したものであるが、拒絶理由通知書で本件商標と類似であると判断されている。
出願人は、「PREMIUM」の語は、化粧品業界において商品の等級や品質を表す語と主張したが、拒絶査定では、「その指定商品を取り扱う業界においては、本願商標の構成中の『Premium』の文字が、必ずしも直接的かつ具体的に商品の等級表示として認識されるとは言い難いものです。」と判断している。
このため、本件商標の指定商品については、「プレミアム/PREMIUM」の文字自体に顕著性があることは明らかである。
また、拒絶査定において、上記商標は、「外観構成上『Playback』と『Premium』の文字の大きさ、書体及び色彩に差異があって一体性がなく、また、それぞれの語からなる部分が独立して取引者・需要者の注意を引き自他商品の識別力を有するものといえますので、取引上においてはそれぞれの語が分離して認識される場合も少なくなく、簡易迅速を旨とする商取引の場にあっては、・・・『Premium』の文字部分から『プレミアム』の称呼をも生ずるものです。」と判断されている。
このため、文字の大きさ等を変えて複数行で、通常使用権者によって使用されている本件商標も、それぞれの部分が独立して、自他商品の識別力を有するものであり、代表的出所標識と共に、独立して個別商標として使用されていることを裏付けるものでもある。
4 以上の証拠から、本件商標は、通常使用権者によって「化粧品」に使用されていることは明らかである。

第4 当審の判断
1 被請求人の提出に係る乙各号証によれば、以下の事実が認められる。
(1)乙第1号証は、平成17年9月27日付けの「通常使用権許諾契約書」の写しであり、「甲」として「愛知県愛知郡長久手町大字長湫字櫨木1-12 ホーユー株式会社」、「乙」として「三重県伊勢市黒瀬町1425 御木本製薬株式会社」と記載されており、「1.商標登録番号 第2722896号 2.登録商標 『プレミアム\PREMIUM』 3.指定商品 旧第4類『歯みがき、化粧品(薬剤に属するものを除く)香料類』」の表記の下に、第1条(通常使用権の範囲)に「甲は乙に対し本件商標につき、下記範囲の通常使用権を許諾する。」として、「商品 メイクアップ用化粧品,ファンデーション及びこれらの販売促進物」、「地域 日本全国」、「期間 本契約締結日から10年間」の記載ほか、第8条(契約の有効期間)に「本契約の有効期間は、本契約締結の日から10年間とする。」等の記載がある。
(2)乙第2号証は、右中央に「ホーユー会社案内」と表記されている被請求人の会社案内の写しであり、会社概要の見出しの下、総合研究所として「愛知県愛知郡長久手町大字長湫字櫨木1-12」などの記載がある。
そして、上記総合研究所の住所は、乙第1号証における「甲」の住所と符合するものである。
(3)乙第3号証は、「顔用パウダーのパンフレット『FACE POWDER/PRESSED POWDER』」とするものであり、上部ないし容器に、別掲(2)のとおりの構成からなる使用標章1が表示され、また、左中央及び右下に「MIKIMOTO」と「COSMETICS」の各文字が上下2段に表示されている。
(4)乙第4号証は、「メイクアップ用化粧品のパンフレット『CONTROL MAKE-UP BASE』」とするものであり、使用標章1、上下2段に表示した「CONTROL」と「MAKE-UP BASE」の各文字及び同じく「MIKIMOTO」と「COSMETICS」の各文字が表示された容器が表示されている。
(5)乙第5号証は、「コンシーラーのパンフレット『BRIGHTENING CONCEALER』」とするものであり、使用標章1が表示された商品ほか、右下に「MIKIMOTO」と「COSMETICS」の各文字が上下2段に表示されている。
(6)乙第6号証は、「ファンデーションのパンフレット『WHITE TWO WAY FOUNDATION』」とするものであり、中央部ないし容器に、使用標章1が表示され、また、中央部の使用標章1の下に「WHITE TWO WAY FOUNDATION」の文字が表示され、さらに、左中央及び右下に「MIKIMOTO」と「COSMETICS」の各文字が上下2段に表示されている。
(7)乙第7号証は、ファンデーションの商品写真及び説明書写しとするものであり、1葉目には、上部に使用標章1が表示された容器と「御木本製薬株式会社」の文字が記載された説明書の写真、下部に該容器において、使用標章1が表示された部分の拡大写真が各掲載されている。
2葉目には、上部にファンデーションとパフが収納された容器の写真、下部に使用標章1が刻印された該ファンデーションの拡大写真が各掲載されている。
3葉目には、使用標章1、上下3段に表示された「WHITE」、「TWO WAY」及び「FOUNDATION」の各文字及び上下2段に表示された「MIKIMOTO」と「COSMETICS」の各文字のほか、「御木本製薬株式会社」の文字等が記載された説明書の写しが掲載されている。
(8)乙第8号証は、2009年10月10日付けグローブ・データ株式会社の証明書であり、「私は、本書に添付したインターネット記事は、弊社が運営する情報配信サービスである伊勢志摩経済新聞に、2007年11月26日に掲載したもので間違いないことを証明します。」、「添付:1.2007年11月26日当社掲載記事 2.伊勢志摩経済新聞について」と各記載され、ウェブページの写し5枚が添付されている。
ウェブページの写し1葉目には、「(2007年11月26日)」の日付の下、「御木本製薬(・・・)は11月1日、『ミキモト コスメティックス』ベースメイクアップシリーズ『CASIA PREMIUM(キャシアプレミアム)』のフェイスパウダー、・・・を発売した。」との記載がある。
そして、乙第8号証に記載された「ミキモト コスメティックス」の文字は、乙第3号証ないし乙第6号証に表示された「MIKIMOTO」と「COSMETICS」の各文字から生ずる読みを片仮名で表したものと認められ、かつ、「CASIA PREMIUM」の欧文字も同各号証と符合するものであるから、乙第3号証ないし乙第6号証は、御木本製薬に係るパンフレット、商品写真等ということができるものである。
(9)乙第9号証の1は、2007(平成19)年7月13日付けの「日経MJ」の広告記事の写しであり、「新製品」の表題の下の中央部分に、使用標章1が表示された商品の写真とともに「色むらを補正しながら、しわや毛穴を目立たなくする『キャシアプレミアム ブライトニング コンシーラー』。・・・発売元はミキモトコスメティックス・・・」と記載されている。
そして、「キャシアプレミアム」及び「ミキモトコスメティックス」の各文字は、乙第8号証と符合するものである。
乙第9号証の2は、「国立国会図書館所蔵図書館資料に関する証明書」と題する国立国会図書館主題情報部長による証明書であり、上記乙第9号証の1が平成19年9月26日に受け入れられた旨記載されている。
(10)乙第10号証の1は、2008(平成20)年1月18日付けの「日経MJ」の広告記事の写しであり、「新製品」の表題の下に商品の写真とともに「地肌の色むらやくすみを補整し、肌に透明感を与える化粧品『キャシアプレミアム コントロール メイクアップベース』。・・・発売元はミキモトコスメティックス・・・」と記載されている。
そして、「キャシアプレミアム」及び「ミキモトコスメティックス」の各文字は、乙第8号証と符合するものである。
乙第10号証の2は、「国立国会図書館所蔵図書館資料に関する証明書」と題する国立国会図書館主題情報部長による証明書であり、上記乙第10号証の1が平成20年3月27日に受け入れられた旨記載されている。
(11)乙第11号証は、「御木本製薬株式会社」と題する「会社概要」であり、「7.所在地」の項に、本社・工場として「三重県伊勢市黒瀬町1425番地」のほか、「ミキモトギンザ2 / 1F:コスメティックスカウンター」等の記載がある。
そして、上記住所は、乙第1号証における「乙」の住所と符合するものである。
(12)乙第15号証は、平成20年1月21日付けの被請求人とコーセーとの「契約書」の写しであり、「甲」として「愛知県愛知郡長久手町大字長湫字櫨木1-12 ホーユー株式会社」、「乙」として「東京都中央区日本橋3丁目6番2号 株式会社コーセー」と記載されており、「甲商標」として、「登録番号:第2722896号 登録商標:『プレミアム/PREMIUM』 指定商品:第3類『化粧品,歯磨き,香料類』」の表記の下に、第1条(使用許諾)に「甲は乙に対し、本件商標に係わる商標権(以下『本件商標権』という)について、次の範囲の通常使用権を許諾する。」として、「(1)許諾商品 化粧品(頭髪用化粧品を除く) (2)許諾期間 本契約有効期間中 (3)許諾地域 日本国内全域」の記載ほか、第9条(契約期間)に「本契約の有効期間は、平成20年1月21日より平成25年1月20日までとする。」等の記載がある。
(13)乙第16号証は、表紙上部に、別掲(3)のとおりの構成からなる使用標章2が表示され、下部に「2009年2月16日発売 新製品 コスメデコルテ ホワイト サイエンスR(審決注:「R」の文字は、小さな○内に表記されている。) プレミアム」と記載されている商品パンフレットの写しであり、2葉目以降に使用標章2と「CRYSTAL TENSOR」ないし「REVOLUTION」等の欧文字を併記した容器の写真が掲載され、「コスメデコルテ」、「COSME DECORTE」の各文字の表示及び別掲(5)のとおりの構成からなる「WHITE-SCIENCE」と「PREMIUM」の各欧文字を上下二段に横書きした標章(以下「使用標章4」という。)の表示がなされており、使用標章4が上部に表示された9葉目ないし13葉目には、「透明感とみずみずしさを取り戻す、美白化粧水。」、「角層の奥まで深く届く、美白乳液。」、「ハリを高め、輝きを再生する、美白クリーム。」、「毛穴もキュッと引きしまる、収れん化粧水。」及び「輝く透明感を生みだす、クレンジングクリーム。」等の各文字が記載されている。
そして、最終葉の下部の横長矩形内に、「お客様からのお問い合わせ先は コスメデコルテ Tel.03-3273-1676・・・東京都中央区日本橋3-6-2」と記載され、該矩形の下に「コスメデコルテのホームページもご覧ください。http://www.cosmedecorte.com」と記載されている。
そして、矩形内に記載された上記住所は、乙第15号証における「乙」の住所と符合するものである。
(14)乙第17号証は、表紙上部に、別掲(4)のとおりの構成からなる使用標章3が表示され、下部に「2008年9月16日発売 新製品 コスメデコルテ バイタル サイエンスR(審決注:「R」の文字は、小さな○内に表記されている。) プレミアム」と記載されている商品パンフレットの写しであり、2葉目以降に使用標章3が表示されている容器の写真が掲載され、「コスメデコルテ」、「COSME DECORTE」の各文字の表示及び別掲(6)のとおりの構成からなる「VITAL-SCIENCE」と「PREMIUM」の各欧文字を上下二段に横書きした標章(以下「使用標章5」という。)の表示がなされており、使用標章5が上部に表示された9葉目ないし13葉目には、「瞬時に肌を柔らげ、角層の奥からふっくら育む乳液。」、「潤いを巡らせ、みずみずしいハリ感を生む化粧水。」、「リフトアップしたようなハリ感を叶えるクリーム。」、「ふっくら明るい目元が活きるアイクリーム。」及び「贅沢に使って生まれたクレンジングクリーム。」等の各文字が記載されている。
そして、最終葉の下部の横長矩形内に、「お客様からのお問い合わせ先は コスメデコルテ Tel.03-3273-1676・・・東京都中央区日本橋3-6-2」と記載され、該矩形の下に「コスメデコルテのホームページもご覧ください。http://www.cosmedecorte.com」と記載されている。
そして、矩形内に記載された上記住所は、乙第15号証における「乙」の住所と符合するものである。
(15)乙第18号証ないし乙第23号証は、平成21年6月1日、平成21年3月1日、平成21年5月1日及び平成21年8月1日の各日付け発行の雑誌「STORY」、「VERY」、「VOCE」及び「美的」の各写しであり、乙第18号証ないし乙第21号証の雑誌の広告には、使用標章4と「新・美白化粧水『クリスタルテンサー』」、「ひとと、気品と、コスメデコルテ」及び「COSME DECORTE」等の文字、使用標章2と「CRYSTAL TENSOR」の欧文字を併記した容器の写真のほか、「お問合せ先 03-3273-1676 www.cosmedecorte.com」と記載されている。
また、乙第22号証及び乙第23号証には、使用標章2と「CRYSTAL TENSOR」ないし「REVOLUTION」の各欧文字を併記した容器の写真が掲載されている。
(16)乙第24号証の1は、2008年(平成20年)9月3日付けの「日経産業新聞」の記事の写しであり、「ファンデーション」、「肌の水分奪いにくく」及び「コーセー 酸化チタン覆う技術」の見出しの下、「コーセーは・・・16日に発売するファンデーション『コスメデコルテ バイタルサイエンス プレミアム バウダーファンデーション リアリティ』・・・」の記載がある。
乙第24号証の2は、「国立国会図書館所蔵図書館資料に関する証明書」と題する国立国会図書館主題情報部長による証明書であり、上記乙第10号証の1が平成20年10月28日に受け入れられた旨記載されている。
(17)乙第25号証は、コーセーのホームページとするものであり、各葉の右下に2009(平成21)年10月16日に印刷されたと解される「2009/10/16」の文字が記載されており、1葉目の左上には「株式会社コーセー」の文字、5葉目には「CATALOGUE」の見出しの下、使用標章4、使用標章5及び「COSME DECORTE」の文字が各記載され、また、7葉目に使用標章3を表示した容器の写真、8葉目に使用標章2の下に「CRYSTAL TENSOR」の文字を横書きした容器の写真が各掲載されている。
さらに、9葉目には、左上に「お問い合せ|株式会社コーセー」と記載され、「お問い合わせ先電話番号一覧」の見出しの下に、「コスメデコルテ 03-3273-1676」の記載がある。
そして、上記の「コスメデコルテ」の文字及び電話番号は、乙第16号証、乙第17号証及び乙第18号証ないし乙第21号証の表示と符合するものであり、また、8葉目の使用標章2の下に「CRYSTAL TENSOR」の文字を横書きした容器の写真は、乙第16号証、乙第17号証及び乙第18号証ないし乙第23号証に掲載された容器と符号するものと認められるから、乙第16号証及び乙第17号証は、コーセーに係るパンフレットということができるものである。
2 以上の認定事実によれば、以下のとおり判断することができる。
(1)使用者について
乙第1号証の「通常使用権許諾契約書」及び乙第15号証の「契約書」によれば、被請求人は、御木本製薬及びコーセーと、それぞれ平成17年9月27日、平成20年1月21日から効力を有する本件商標に係る通常使用権の許諾契約をしたものと認められ、乙第3号証ないし乙第11号証及び乙第16号証ないし乙第25号証によれば、御木本製薬及びコーセーは、いずれも本件商標の使用者ということができる。
なお、請求人は、御木本製薬及びコーセーが本件商標の使用者であることについて、争っていない。
(2)使用商品について
乙第3号証ないし乙第10号証及び乙第16号証ないし乙第24号証によれば、御木本製薬及びコーセーの使用に係る商品は、前者がファンデーション等、後者が化粧水等と認められ、いずれも本件審判の請求に係る「化粧品」に属する商品であり、これについては、請求人も争っていない。
(3)使用時期について
乙第8号証ないし乙第10号証によれば、御木本製薬は、2007(平成19)年7月13日から2008(平成20)年1月18日までの間に、及び乙第16号証ないし乙第23号証によれば、コーセーは、2009(平成21)年2月16日から同年8月1日までの間に、それぞれ本件商標を化粧品に使用したと優に推認することができ、いずれも本件審判の請求の登録前3年以内に該当するものである。
なお、請求人は、本件商標の使用時期についても争っていない。
(4)使用商標について
ア 本件商標について
本件商標は、「プレミアム」の片仮名文字と「PREMIUM」の欧文字とを上下2段に横書きしてなるところ、その構成中の「PREMIUM」の欧文字は、「プレミアム」と片仮名表記され、「割増金、賞金」等の意味を有する語(甲第2号証及び甲第3号証)として、我が国において知られている語であるから、上段の「プレミアム」と下段の「PREMIUM」の各文字は、称呼及び観念を同一にするものである。
イ 使用標章1について
使用標章1は、別掲(2)のとおり、上段に「CASIA」の欧文字を大きく表し、下段に「PREMIUM」の欧文字を小さく横書きした構成からなるところ、該「CASIA」と「PREMIUM」の各文字は、文字の大きさが顕著に異なることから、視覚上、分離して看取されるものであり、かつ、構成文字全体をもって、親しまれた既成の観念を表すものとみるべき格別の事情も見当たらない。
したがって、使用標章1は、「CASIA」と「PREMIUM」の各欧文字を常に一体のものとしてのみ認識し把握するということはできず、「PREMIUM」の文字も独立して看取されるというべきである。
ウ 使用標章2及び使用標章4について
使用標章2は、別掲(3)のとおり、上段に「COSME DECORTE」の欧文字を表し、該欧文字の高さと同程度の間隔を空けて中段に「WHITE-SCIENCE」の欧文字を表し、その下段に小さく「PREMIUM」の欧文字を横書きした構成からなるものである。
また、使用標章4は、別掲(5)のとおり、使用標章2から上段の「COSME DECORTE」の欧文字を省略した構成からなるものである。
そして、使用標章2は、上段の「COSME DECORTE」の欧文字が「WHITE-SCIENCE」と「PREMIUM」の各欧文字と顕著な間隔を空けて表された構成からして、中段以下の欧文字とは、視覚上、明らかに分離して看取されるものである。
しかして、使用標章2の構成中の「WHITE-SCIENCE」と「PREMIUM」の各欧文字も、文字の大きさが顕著に異なることから、視覚上、分離して看取されるものであり、かつ、構成文字全体又は「WHITE-SCIENCE」と「PREMIUM」の各欧文字全体のいずれについても、親しまれた既成の観念を表すものとみるべき格別の事情も見当たらない。
したがって、使用標章2は、その構成文字を常に一体のものとしてのみ認識し把握するということはできず、「PREMIUM」の文字も独立して看取されるというべきである。
さらに、使用標章4についても、上記と同様の理由により、「PREMIUM」の文字も独立して看取されるというべきである。
エ 使用標章3及び使用標章5について
使用標章3は、別掲(4)のとおり、上段に「COSME DECORTE」の欧文字を表し、該欧文字の高さと同程度の間隔を空けて中段に「VITAL-SCIENCE」の欧文字を表し、その下段に小さく「PREMIUM」の欧文字を横書きした構成からなるものである。
また、使用標章5は、別掲(6)のとおり、使用標章3から上段の「COSME DECORTE」の欧文字を省略した構成からなるものである。
そして、使用標章3は、上段の「COSME DECORTE」の欧文字が「VITAL-SCIENCE」と「PREMIUM」の各欧文字と顕著な間隔を空けて表された構成からして、中段以下の欧文字とは、視覚上、明らかに分離して看取されるものである。
しかして、使用標章3の構成中の「VITAL-SCIENCE」と「PREMIUM」の各欧文字も、文字の大きさが顕著に異なることから、視覚上、分離して看取されるものであり、かつ、構成文字全体又は「VITAL-SCIENCE」と「PREMIUM」の各欧文字全体のいずれについても、親しまれた既成の観念を表すものとみるべき格別の事情も見当たらない。
したがって、使用標章3は、その構成文字を常に一体のものとしてのみ認識し把握するということはできず、「PREMIUM」の文字も独立して看取されるというべきである。
さらに、使用標章5についても、上記と同様の理由により、「PREMIUM」の文字も独立して看取されるというべきである。
オ 本件商標と使用標章1ないし使用標章5との同一性について
前記イないしエによれば、使用標章1ないし使用標章5(以下「使用各標章」という。)は、いずれも「PREMIUM」の文字が独立して看取されるというべきであるところ、本件商標と使用各標章とは、本件商標の欧文字部分のつづり字を同じくするばかりでなく、「プレミアム」の称呼及び「割増金、賞金」等の観念を同じくするものであるから、社会通念上同一のものというべきである。
これに対して、請求人は、「PREMIUM」の文字について、判決、審決、拒絶査定及び登録例を挙げて、現在では「他の物より価値があること。高級。上等。高価。高級な。」などの意味を有し、自他商品識別力を存しないか、極めて弱いものであり、使用各標章において、「PREMIUM」の文字が単独で出所表示機能を果たすことはないから、使用各標章は、本件商標と社会通念上同一ではない旨主張する。
しかし、「プレミアム(PREMIUM)」の語は、「景品、おまけ、賞品、賞金、正規の料金に上乗せされる金額、高級」(甲第2号証)、「割増金、景品、賞品、高級な」(甲第3号証)など多数の意味を有するものとして一般に知られているものであり、通常使用権者の御木本製薬及びコーセーの使用に係る商品「化粧品」に付された「PREMIUM」の欧文字は、使用各標章中の他の文字部分と比較してみると、たとえ、需要者において、「高級」等の意味から自他商品の識別標識としての機能が弱いものと理解し得る場合があるとしても、その一方、「割増金、賞金」等の意味から自他商品を識別させるために付されている商標でもあると解することができるものであって、少なくとも、商品「化粧品」において、直ちに自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないとはいえないものである。
したがって、使用各標章中の「PREMIUM」の欧文字は、通常使用権者の使用に係る商品「化粧品」について、独立して自他商品を識別させる機能をも果たすものとして付されていると解することができるから、請求人の主張は採用することができない。
(5)小括
前記(1)ないし(4)によれば、通常使用権者の御木本製薬及びコーセーは、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、請求に係る指定商品「化粧品」について本件商標と社会通念上同一の商標の使用をしたというべきである。
3 請求人の主張について
請求人は、被請求人が本件商標の使用をしていないから、本件商標に被請求人の信用は何ら化体しておらず、通常使用権者に使用許諾されたのは商標に化体した信用ではない旨主張する。
しかし、商標法第50条第2項は、「・・・商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての登録商標の使用をしていることを被請求人が証明しない限り、商標権者は、その指定商品又は指定役務に係る商標登録の取消しを免れない。・・・」と規定しており、登録商標の使用者が必ずしも商標権者に限られるものではなく、通常使用権者による使用も許容されているものであり、前記のとおり、通常使用権者の御木本製薬及びコーセーが本件商標と社会通念上同一の商標を商品「化粧品」に使用しているものであるから、この点についての請求人の主張は、採用することができない。
4 まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者が請求に係る指定商品「化粧品」について本件商標の使用をしていたことを証明したものといわなければならない。
したがって、本件商標の登録は、請求に係る指定商品について、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
(1)本件商標


(2)使用標章1


(3)使用標章2


(4)使用標章3


(5)使用標章4


(6)使用標章5


審理終結日 2010-02-02 
結審通知日 2010-02-05 
審決日 2010-02-24 
出願番号 商願昭63-148370 
審決分類 T 1 32・ 11- Y (X03)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 井岡 賢一
特許庁審判官 酒井 福造
末武 久佳
登録日 1997-08-29 
登録番号 商標登録第2722896号(T2722896) 
商標の称呼 プレミアム 
代理人 名古屋国際特許業務法人 

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