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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y09
管理番号 1216290 
審判番号 取消2009-300110 
総通号数 126 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2010-06-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2009-01-19 
確定日 2010-04-06 
事件の表示 上記当事者間の登録第4902705号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4902705号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成16年5月18日に登録出願、第9類「ソフトウェアアプリケーションのライフサイクルにおいて発生する問題を攻略・連絡・指摘及び分析するためのコンピュータソフトウェア,電子応用機械器具及びその部品」を指定商品として、同17年10月21日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨以下のように述べている。
本件商標は、その指定商品について継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取り消されるべきものである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1ないし第13号証を提出している。
1.被請求人(商標権者)は、本件審判の請求の登録日である平成21年2月3日前3年以内に日本国内において本件商標をその指定商品「ソフトウェアアプリケーションのライフサイクルにおいて発生する問題を攻略・連絡・指摘及び分析するためのコンピュータソフトウェア,その他の電子計算機プログラム」に使用しているので、商標法第50条第1項の規定に該当しないものである。
2.審判の請求の登録日について
被請求人が登録原簿の写しを確認したところ、本件審判の請求の登録日は平成21年2月3日である。
したがって、被請求人は、平成18年2月4日から同21年2月3日までの期間内において本件商標が使用されている事実を立証すれば足りることになる。
3.証明に係る指定商品の範囲
本件商標は、平成16年5月18日に出願されたものであり、国際分類の第8版に対応した審査基準に基づきその指定商品の範囲が定まる。指定商品の「電子応用機械器具及びその部品」の概念の中には「電子計算機プログラム」も記載されていることから、「ソフトウェアアプリケーションのライフサイクルにおいて発生する問題を攻略・連絡・指摘及び分析するためのコンピュータソフトウェア,その他の電子計算機プログラム」に使用していることを立証すれば良いことになる。
4.証明に係る商標使用者について
被請求人(商標権者)「アイデンティファイ ソフトウェア リミテッド」は、イスラエル国で設立された会社であるが、平成15年4月24日に発表された株式会社電通国際情報サービス(以下「電通国際情報サービス」という。)の「ISID News|お知らせ」(乙第2号証)には、「株式会社電通国際情報サービス(東京都中野区、資本金:81億8050万円、代表取締役社長:瀧浪壽太郎、略称:ISID)は、イスラエルのIdentify Software社と同社が開発したアプリケーション・マネージメント・ソフトウェアである“AppSight”に関する日本における販売提携契約を締結しました。」と記載されている。すなわち、被請求人は、日本国内においてアプリケーション・マネージメント・ソフトウェアである“AppSight”を販売代理店として販売することができることとなった。
平成16年6月4日に発表された電通国際情報サービスの「ISID News|お知らせ」(乙第3号証)には、「株式会社電通国際情報サービス(略)は、アプリケーション動作を様々なレイヤーで把握・解析する世界初のプロダクト『ITフライトレコーダー“AppSight”』(以下“AppSight”)を株式会社UFJ銀行(以下UFJ銀行)に販売・納入致しました。“AppSight”は、Identify Software社が開発したプロダクトで、オープン系システムにおけるアプリケーションの動作状況を時系列で記録し、アプリケーション障害が発生した場合の詳細な障害状況をビジュアルに再生・確認でき、必要に応じてソース・コードのレベルまでの障害分析を可能と致します。」と記載されている。
電通国際情報サービスは、会社設立から平成16年5月5日までは、乙第4号証の閉鎖登記簿謄本に記載されているように、東京都中野区中野四丁目所在に存在し、乙第5号証の会社登記簿謄本に記載されているように、平成16年5月5日以降は東京都港区港南二丁目所在に移転してから現在に至っている。
5.電通国際情報サービスは、乙第6号証に示す「戦略的運用/保守プロセスを実現する/アプリケーションライフサイクル管理」に関する「AppSight」のリーフレット、乙第7号証に示す「AppSight」のリーフレット、乙第8号証に示す「AppSight J2EE Application Support System」のリーフレット、乙第9号証の「AppSight Application Support System」のリーフレットに示されるように、商標「Identify」をソフトウェアの解説リーフレットに使用している。
かかる行為は、商標法第2条第3項第8号の「商品若しくは役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」に該当するものである。
乙第6ないし第9号証のリーフレットで解説されている内容は、「ソフトウェアアプリケーションのライフサイクルにおいて発生する問題を攻略・連絡・指摘及び分析するためのコンピュータソフトウェア」又は「電子計算機用プログラム」そのものであり、本件請求に係る取消対象の指定商品のいずれかに属するものであることは明かである。
6.証明に係る商標の同一性について
本件商標は、別掲のとおり、灰色塗りのほぼ正方形右下に対角線状に細長の薄灰色の楕円と該楕円を囲むように右下を開放してなる二重の白抜き円弧を描いた図形と、その下段に欧文字「Identify」を横一連に書してなるもので、該商標から発生する称呼は「アイデンティファイ」となる。
商標法第70条第1項に「・・・第50条、・・・又は第74条における『登録商標』には、その登録商標に似する商標であつて、色彩を登録商標と同一にするものとすれば登録商標と同一の商標であると認められるものを含むものとする。」と規定されている。したがって、乙第6ないし第9号証のリーフレット上はカラーで商標が構成されているが、これらは、実質的に本件商標と同一の商標に属するものである。
乙第6、第8及び第9号証中の使用商標の図形の右に付記されている「software」の文字は、「電子計算機プログラム」を意味する商標の普通名詞であり、無視できるものである。
乙第6、第8及び第9号証中の使用商標では、「Identify」の「y」の右上に“R”符号が付記されているが、これは「Identify」及び上部の図形全体として登録商標であることを示しているに過ぎない。
また、乙第7及び第9号証中の使用商標では、「Identify」の文字の下段に「www.identify,com」が付記されているが、これは当該ソフトウェアを提供している会社のurlを示すドメイン名であり、上部の商標とは社会常識的に分離されるものである。
したがって、乙第6、第8及び第9号証のかかる商標は、本件商標と実質的に同一の関係にあり、被請求人は、電通国際情報サービスを介して日本国内で本件商標を指定商品に使用していたことになる。
7.電通国際情報サービスは、乙第10号証の「AppSightソリューション」のウェブサイト上で「AppSightWinDemo1」、「AppSightWinDemo2」、「AppSightJ2EEDemo」(乙第9号証に係る製品)を紹介しているように、本件ソフトウェアの導入先は、Microsoft、HP、HSBC、JP Morgan、AFLAC、VISA、SIEMENS、ERICSSON、PHILIP MORRIS他、海外2,000以上での実績ありとされ、動作環境もAppSight for Windows:Windows98、NT、Windows2000、XP、Windows2003と記載されているように、1998年から2007年までのOSに対応していた。
8.株式会社コンポーネントスクエアの「AppSight Support System for J2EE 1ライセンス(5コンソール)(バージョン:Ver.5.5)」が掲載されたウェブサイト(乙第11号証)では、乙第9号証の製品の定価が19,800,000円と記載されているように、商品として販売されていたことが推定できる。
9.次に、2006年4月30日発行の「CREDIT MEMO」(乙第12及び第13号証)によれば、Identify Software,Inc.(アイデンティファイ ソフトウェア リミテッド)からISID(電通国際情報サービスの略称)宛ての東芝テック又は三菱東京UFJ銀行及びダイヤモンドコンピュータの注文に基づく請求書が発行されている。
10.乙第6ないし第13号証により、商標権者(被請求人)であるアイデンティファイ ソフトウェア リミテッド及び日本の総代理店である電通国際情報サービスが本件商標をその指定商品「ソフトウェアアプリケーションのライフサイクルにおいて発生する問題を攻略・連絡・指摘及び分析するためのコンピュータソフトウェア」に平成18年4月30日まで使用してきたことは明かである。
11.被請求人のソフトウェアは、日本に留まらず世界各国で販売されており、乙第10号証の「AppSightソリューション」のウェブサイト上で本件ソフトウェアの導入先として、「Microsoft,HP,・・・SIEMENS,ERICSSON,PHILIP MORRIS他、海外2,000以上」と記載されているように、請求人も購入しており、請求人は、「商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが継続して3年以上日本国内において、本件商標をその指定商品について使用した事実が存しない」旨述べているが、かかる主張はなんら根拠のないものである。
よって、本件審判の請求は成り立たない。

第4 当審の判断
1.被請求人の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。
(1)乙第2号証は、2009年6月4日にプリントアウトされた電通国際情報サービスのウェブサイトの写しと認められるところ、2003年4月24日付「ISID News/お知らせ」として、「ISID,アプリケーション・マネージメント分野に進出へ」、「-イスラエル・Identify Software社と提携-」、「ソフトウェアのフライトレコーダー”AppSight Black Box”販売開始」の見出しの下に、「株式会社電通国際情報サービス(略)は、イスラエルのIdentify Software社と同社が開発したアプリケーション・マネージメント・ソフトウェアである“AppSight”に関する日本における販売提携契約を締結しました。・・・ISIDは日本での主力販売代理店として2003年5月1日より販売開始いたします。」、「【Identify Software Ltd.社長兼CEO Yochi Slonim氏のコメント】/Identify Softwareは、米国、欧州におけるアプリケーション・マネージメントとサポート分野のリーディングカンパニーです。日本に進出するにあたり、私たちIdentify社は、IT業界のリーダーそして、革新者であるISIDをビジネスパートナーとして迎えられることを光栄に思います。・・・」等と記載されている。
(2)同じく乙第3号証は、2004年6月4日付「ISID News/お知らせ」として、「ISID,アプリケーション動作を把握・解析するソフトウェア・プロダクト『ITフライトレコーダー”AppSight”』をUFJ銀行に納入」、「?システムの信頼性・安定性向上を狙う?」の見出しの下に、「株式会社電通国際情報サービス(略)は、アプリケーション動作を様々なレイヤーで把握・解析する世界初のプロダクト『ITフライトレコーダー“AppSight”』(以下“AppSight”)を株式会社UFJ銀行(以下UFJ銀行)に販売・納入致しました。“AppSight”はIdentify Software社が開発したプロダクトで、オープン系システムにおけるアプリケーションの動作状況を時系列で記録し、アプリケーション障害が発生した場合の詳細な障害状況をビジュアルに再生・確認でき、必要に応じてソース・コードのレベルまでの障害分析を可能と致します。」と記載されている。
(3)乙第6ないし第9号証は、電通国際情報サービスの発行に係る上記「AppSight」に関するリーフレットと認められるところ、それぞれの掲載内容からして、上記「AppSight」は、電子計算機用プログラムの範疇に属する商品と認められるものである。
そして、乙第6号証には、その第3頁目の右上隅に本件商標と社会通念上同一といえる標章が表示されており、最終頁の下欄外に「●このカタログの内容は、2006年1月現在のものです。」と記載されている。また、乙7号証では第1面の左下に、乙第8及び第9号証では第1頁の左下及び最終頁の下部中央に、それぞれ本件商標と社会通念上同一といえる標章が表示されている。
(4)乙第10号証は、2009年6月5日にプリントアウトされた電通国際情報サービスのウェブサイトの写しと認められるところ、「トラブル発生時の解析時間/コストを劇的に削減する、サポート・チェーン・マネージメント・ソフト」、「AppSight Support System」の見出しの下に、商品の説明が記載され、画像の写真が添付されているほか、最終頁の右下隅に「C(マル)Copyright:2004-2009 Information Services International-Dentsu.Ltd.」との記載がある。
(5)乙第11号証は、2009年6月5日にプリントアウトされた「Component Square,Inc.」のウェブサイトの写しと認められるところ、「開発・テスト・運用・教育>>ドキュメンテーション・テスト・負荷・監視ツール>>」として、「システムの開発・保守コストを激減させる世界初の『ITフライトレコーダーAppSight』/AppSight Support System」、「会社名:株式会社電通国際情報サービス」と紹介され、「価格一覧」の項では、各種商品が掲げられ、例えば「AppSight Support System for Windows 1ライセンス(5コンソール)(バージョン:Ver.5.5)」につき、「定価19,800,000円」、「法人会員価格 別途お問合せください。」、「一般会員価格 別途お問合せください。」等と記載されている。
また、「新着情報」の項には、「Seasar2.4(Chura)デモ(2009-2-17)」、「オフショア開発の状況を・・・(2009-2-2)」、「2008年11月25日開催・・・(2008-11-20)」等の記載が見られる。
2.上記1.の認定事実によれば、電通国際情報サービスは、2003年4月頃に被請求人の開発に係るアプリケーション・マネージメント・ソフトウェア「AppSight」について、被請求人と販売提携契約を締結し、日本における販売代理店として販売を行っていたのであるから、本件商標に関し、被請求人から黙示の使用許諾を得ていたものというべきであり、通常使用権者とみるのが自然である。
そして、上記ソフトウェアは、本件商標の指定商品「ソフトウェアアプリケーションのライフサイクルにおいて発生する問題を攻略・連絡・指摘及び分析するためのコンピュータソフトウェア」の範疇に属する商品といえるものであり、電通国際情報サービスの発行に係る乙第6ないし第9号証のリーフレットは、上記ソフトウェアに関するものであって、そのいずれにも本件商標と社会通念上同一といえる商標が明示されている。
また、乙第6号証のリーフレットは、その内容が2006年1月現在のものである旨明示されていることから、取引の経験則に従えば、少なくとも該リーフレットは本件審判の請求の登録(平成21年2月3日)前3年以内の期間である2006年2月3日以降においても引き続き使用されていたものと推認される。
さらに、電通国際情報サービスは、2003年4月24日付で2003年5月1日より被請求人の日本における販売代理店として上記ソフトウェアの販売を開始する旨発表し、2004年6月4日付で上記ソフトウェアをUFJ銀行に販売した旨発表していること、乙第10号証の電通国際情報サービスのウェブサイトに表示された「AppSight Support System」は、上記ソフトウェアを指すものといえること、乙第11号証には、「Component Square,Inc.」と被請求人及び電通国際情報サービスとの関係は不明であるものの、電通国際情報サービスの取扱に係る商品として「AppSight Support System」が販売されている旨記載されており、これも上記ソフトウェアを指すものといえること、乙第11号証のウェブサイトには、新着情報として2008年11月20日ないし2009年2月17日の情報が掲載されていること、などからすると、電通国際情報サービスは、2004年5月頃から上記ソフトウェアの販売を開始し、その後も乙第6ないし第9号証のリーフレットを用いて販売を継続していたものと推認される。
3.以上を総合勘案すると、電通国際情報サービスは、被請求人の日本における販売代理店たる通常使用権者として、本件審判の請求の登録(平成21年2月3日)前3年以内に、日本国内において、本件商標を使用して商品「ソフトウェアアプリケーションのライフサイクルにおいて発生する問題を攻略・連絡・指摘及び分析するためのコンピュータソフトウェア」の取引を行っていたものというべきである。
4.以上のとおり、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、その指定商品について、通常使用権者により使用されていたものであるから、商標法第50条第1項の規定によりその登録を取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲 本件商標




審理終結日 2009-11-11 
結審通知日 2009-11-13 
審決日 2009-11-25 
出願番号 商願2004-45549(T2004-45549) 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (Y09)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 平松 和雄木住野 勝也 
特許庁審判長 石田 清
特許庁審判官 久我 敬史
小林 由美子
登録日 2005-10-21 
登録番号 商標登録第4902705号(T4902705) 
商標の称呼 アイデンティファイ 
代理人 加藤 義明 
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト 
代理人 山川 政樹 
代理人 山崎 和香子 

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